カリバーと立花響は、ネフシュタンの鎧を纏った少女、雪音クリスが第2号聖遺物「イチイバル」のシンフォギアを纏った事を知る。戦いの中、クリスに指示を出していた女性フィーネが現れ、カリバーは櫻井了子の正体を突き止め、裏切り者の正体を翼に告げるのだった。
「何だと…!櫻井女史が…!?」
翼は驚きを隠さなかった。まさか自分を今まで支えてきた二課の仲間である櫻井了子が裏切り者であり、フィーネであるとカリバーが言っている。
「まさか…櫻井女史に限って…嘘だ!ありえない!」
当然だ。翼は信じられなかった。
「残念ながら嘘ではない。これは真実だ。」
そう言い残し、カリバーは炎の渦で姿を消した。
一方、二課では藤尭がネフシュタンの鎧を纏ったクリスの経歴を突き止めていた。
「あの少女だったのか…」
弦十郎はモニターに映し出された新聞の記事に載っているクリスの写真を見て、何かに気づいた。
「雪音クリス。現在16歳。2年前に行方知れずとなった、過去に選抜されたギア装着候補の1人です。」
弦十郎は藤尭のクリスの経歴を聞くと、未来がスーツを着た二課の職員であろう男性達と一緒にいる映像を見ていた。
その頃、翼は二課へ続くエレベーターに乗りながら、カリバーの言葉を思い出していた。
『櫻井了子に気をつけろ。奴が二課の裏切り者であり、フィーネの正体だ。』
「櫻井女史が裏切り者…にわかには信じられない。でもカリバーは言っていた。私や立花、叔父様を初めとする二課の人物にしか教えてないのに立花がクリスと呼んでいた少女が何故かカリバーの名前を知っていた…。そうなれば二課の誰か…すなわち裏切り者が情報を流した…それなら辻褄が合う。そしてそれが櫻井女史であり、フィーネの正体…。」
翼はカリバーに言われた言葉を思い出しながら、二課の裏切り者について思考を働かせていた。そしてエレベーターを降りて廊下を歩いて行った。
「外傷は多かったけど、深刻な物が無くて助かったわ。」
一方負傷した響は、了子の元でメディカルチェックを受けていた。
「つまり、すっかり平気って事ですよね?」
「常軌を逸したエネルギー消費による、いわゆる過労ね。少し休めばまたいつも通りに回復するわよ。」
「じゃあ私…」
響が歩こうとすると、突然よろめいた。了子は肩を持って支える。
「あ〜もう!休息が必要なの!」
「私…呪われてるかも…」
響は今の自分に対して口癖をこぼした。
「…気になるの?お友達の事。」
了子は溜息を吐きながら、響に未来の事を聞いた。
「…はい。」
あの後未来は響と同じく二課に拘束され、二課に同行されたのだ。
「心配しないで大丈夫よ。緒川君達から事情の説明を受けているはずだから。」
「そう…ですか…」
「機密保護の説明を受けたら、すぐに開放されるわよ。」
「…はい。わかりました。」
了子の言葉に響は小さい声で返事をした。
「まさかイチイバルまで敵の手に…。そして、ギア装着候補者であった雪音クリス…。」
「聖遺物を力に変えて戦う技術において、我々の優位性は完全に失われましたね…」
その頃司令室では藤尭と友里がフィーネの目的と正体を考えていた。その直後、了子が響と翼と共に司令室に入ってきた。
「深刻になるのは分かるけど、シンフォギアの装者は2人共健在!頭を抱えるにはまだ早すぎるわよ。」
了子は明るく言った。
「その敵の正体はお前らのすぐそばにいるんだけどなぁ…。」
家に戻った隼人は二課でのやりとりをシャボン玉を通して見ていた。そして翼が響を半人前とは言ったものの、援護なら戦場に立てると、翼なりに響を認めた事、響の心臓のガングニールの破片が前よりも体組織と融合をし、驚異的なエネルギーと回復力はそのせいじゃないかという了子の推測を。
「あの防人も、前に進めそうだな。そして立花響のあの力は半端なかったな…。さて、後は雪音クリスか…」
隼人はシャボン玉を消すと、闇黒剣月闇を手にして、部屋を後にした。
その頃、フィーネに切り捨てられた夜の公園を雪音クリスは独り歩いていた。
「何でだよ…フィーネ…。」
『ちゃんと話し合えば、きっと分かり合えるはず!だって私達、同じく人間だよ!』
『争いを無くす為に奴の手先になって足場を固めたつもりか?使い捨ての手駒にされてるとも知らずに。』
カリバーと響の言葉が脳裏をよぎる。憎たらしい。思い出しただけで腹が立つ。
(あいつら…!くそっ…!!あたしの目的は、戦いの意思と力を持つ人間を叩き潰し、戦争の火種を無くす事なんだ…!!だけど…)
クリスはカリバーと響に対して憎悪を滾らせながら自分の信念を思い出していた。その時…
「おやおや、いけないなぁ。こんな時間に1人で出歩くとは。」
声のする方向を向くと、暗闇の中からカリバーが歩いてきた。
「カリバー…何の様だよ?」
「フィーネに斬り捨てられて、野良猫になったか。」
クリスを「野良猫」と蔑むカリバー。
「ああそうだよ。お前の言う通り、あいつに取ってあたしは使い捨ての手駒だった。」
クリスは自分が何故フィーネに協力したか、見捨てられた事、自分が使い捨ての手駒にされていた事をカリバーに全て話した。
「今頃になって自分が利用されていた事に気づくとはな。だがお前の罪は一生消えない。」
「あたしを殺すのか?」
クリスはカリバーに自分を殺すのか聞いた。しかし…
「いいや。お前など哀れすぎて斬る気にならない。私は私のやるべき事があるんでね。」
カリバーはクリスを哀れすぎて斬る気にならないと言い放つと、背を向けて暗闇の中へと消えていった。
「カリバー…。」
クリスが悔しくカリバーの名を呟いた時、少女の鳴き声が聞こえた。声のする方向をみると、少女がベンチに座って泣いており、少年が少女の横にいた。
「泣くなよ!泣いたってどうしようもないんだぞ!」
「だって…だって…」
それを見たクリスが少年に声をかける。
「おいこら!弱い者を虐めるな!」
「虐めてなんかないよ。妹が…」
それを聞いた少年は言い返す。どうやら兄妹だった様だ。しかし、妹が再び泣き出す。
「虐めるなって言ってんだろが!」
クリスは兄に向かって拳を振り上げる。すると…
「お兄ちゃんを虐めるな!」
妹が泣きながらも両手を広げ、兄の前に立ちクリスを睨みつけた。それを見たクリスは思わず手を下ろしてしまう。
「お前が兄ちゃんからいじめられてたんだろ?」
クリスは妹に聞くが違うと言う。そして兄が口を開く。
「父ちゃんがいなくなったんだ。」
「一緒に探してたんだけど、妹が「もう歩けない」って言ったから…それで…」
「迷子かよ!だったらはなからそう言えよな。」
「だって…だって…」
クリスの言葉に妹が再び泣きべそをかく。
「おいこら泣くなって!」
「妹を泣かしたな!」
今度は兄が両手を広げ、妹の前に立つ。
「あぁ〜もうめんどくせぇ!一緒に探してやるから大人しくしやがれ!」
このままではキリが無いと思ったクリスは2人の父親を一緒に探す事にした。
鼻歌を歌いながら妹と手を繋ぎ、夜の街を歩くクリス。その歌を聴いていた妹が、クリスを見ていた。
「何だよ?」
「お姉ちゃん、歌好きなの?」
「歌なんか大っ嫌いだ。特に…壊す事しか出来ないあたしの歌はな…」
妹が聞くが、クリスは素っ気なく大嫌いと答えた。
そして3人が歩いていくと、兄が父親であろう人物が交番にいたのを見つけた。2人は無事に父親に再会出来た。
一方、響は未来に自分がシンフォギアの装者である事を知られ、隠し事をしないと約束したにもかかわらず約束を破ってしまい、「嘘つき」と言われ、未来との溝が出来ていた。そして、食堂で食事中、クラスメートの安藤創世の冗談を聞いた途端、屋上まで走っていった。それを見た響は追いかけ、屋上へ着いた。
「ごめんなさい…」
響は未来に謝る。すると未来は…
「どうして響が謝ったりするの…?」
「未来は私に対して隠し事しないって言ったのに…私は未来にずっと隠し事をしてた…私は…!」
「言わないで…!」
未来は振り返り、響を見る。
「これ以上…私は響の友達じゃいられない…!」
未来の頬に涙がつたった。
「ごめん…!」
未来はそのまま走り去っていった。そしてドアの音が辺りに響く。親友から、絶交を告げられたのだ。
「どうして…こんな…嫌だ…嫌だよ…!!」
響は涙を流し、嗚咽を漏らした。
いかがだったでしょうか?今回は少し短めです。翼に真実を告げたカリバー、フィーネに切り捨てられたクリス、未来に絶交を宣言された響…果たしてどうなるのか。今回はここまでです。感想お待ちしています。