【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

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無印編もだんだん終わりに近づいて来ました。


第16話 少女の後悔、二人の和解。

翼はカリバーから裏切り者が櫻井了子と告げられ、信じたくはないがカリバーの理屈に思考を働かせる。一方、度重なる失敗で雪音クリスはフィーネに切り捨てられ、どうしていいのか分からず独り考えていた。そして響は未来にシンフォギア装者である事を知られ、絶交を宣言されてしまい、2人の間に溝が出来てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

雨の降る夜。リディアンの学生寮。未来はベッドで横になっているものの、眠れずにいた。ベッドから起き、ふと横を見ると響と未来が笑っている写真が目に入った。そして未来はパジャマを脱ぎ、着替え始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして雨が降る朝。イチイバルを纏って路地裏で青いノイズ達と戦っているのはクリスだ。ノイズ達を退けたものの、装着が解除され、倒れてしまう。その頃、制服姿で雨の中、商店街を未来が歩いていた。ふと路地裏を見ると、クリスが倒れているのを見つけた。

 

 

 

 

 

「ノイズですか?」

 

登校した響はリディアン内にて弦十郎と通話していた。

 

「そうだ。市街地第6区域にノイズのパターンを検知している。未明という事もあり、人的被害が無かったのが救いではあるが、ノイズと同時に聖遺物イチイバルのパターンを検知したんだ。」

 

弦十郎は現場にて響と通話をしていた。現場には立入禁止のテープが貼られ、二課の人間が現場を見に来ていた住人に話をしていた。

 

「てことは師匠。クリスちゃんがノイズと戦ったって事でしょうか?」

 

「そうだろうな。」

 

響は弦十郎の言葉でその場所でクリスがノイズと戦ったと推測した。その時響は暗い顔をして溜息を吐く。

 

「どうした?」

 

「あの子、戻るとこがないんじゃないかって…」

 

「…そうかもな…。この件についてはこちらで捜査を引き続き行う。」

 

すると、サングラスにスーツ姿の男性がタブレットを持って弦十郎の元へ走ってきた。

 

「響君は指示があるまで待機して欲しい。」

 

「はい。分かりました。」

 

弦十郎の言葉に返事をする響。そして教室に入ると、いつもいるはずの未来が席に付いてなかった。

 

「未来…。」

 

「小日向さん、お休みなんですか?」

 

クラスメートの1人で金髪の少女、寺嶋詩織が話しかける。

 

「私より先に登校したはずなんだけど…。」

 

「こないだはごめん!茶化しちゃって。これでも責任感じてるんだ。」

 

安藤が響の左手を掴み、冗談を言った事を謝った。

 

「う〜ん…こんな時アニメだったらどうするんだっけ?」

 

「ちょっと!真面目に考えて!」

 

腕を組んで考えているツインテールの少女は安藤や寺島と同じくクラスメートの板場弓美だ。そして彼女はアニメ好きでもある。

 

「もう…」

 

板場を見て安藤は呆れる。それをみて苦笑いする響。

 

(未来…このままなんて…私やだよ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、未来は倒れていたクリスを拾い、誰かの家で寝かせていた。クリスが疲れで顔を歪ませるのを見た未来は額に乗せたタオルを取り、絞った。

 

 

「うっ………ぐっ……ハッ!!」

 

息を荒げながらクリスは飛び起きた。辺りを見回すと、見知らぬ場所。ここは何処だ。そうクリスが考えてると未来が口を開いた。

 

「良かった。目が覚めたのね。びしょ濡れだったから着替えさせてもらったわ。」

 

クリスには「小日向」書かれた体操服が着せられていた。

 

「っ!!勝手な事を!!」

 

「っ!!」

 

クリスが声を出し立ち上がると、未来が顔を赤くした。

 

「…!?何でだ!!」

 

「流石に…下着の替えは持ってなかったから…」

 

未来がクリスから目を逸らす。それを聞いたクリスは恥ずかしそうに顔を赤くし、布団に包まった。  

 

「未来ちゃん。どう?お友達の具合は?」

 

廊下から洗濯カゴを持って歩いて話しかけたのはお好み焼き屋ふらわーの女性店主だ。

 

「目が覚めた所です。ありがとうおばちゃん。布団まで貸してもらっちゃって。」

 

「気にしないでいいんだよ。お洋服、洗濯しておいたから。」

 

店主の言葉にクリスはハッとする。

 

「私、手伝います!」

 

「あら、ありがとう。」

 

2人はそのまま縁側へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フィーネの狙いは一体何なんだ…」

 

一方隼人は部屋でフィーネこと櫻井了子は何を企んでいるのか考えていた。雪音クリスを切り捨て、自分と立花響を狙う奴の目的。取り返しのつかない事になる前に奴を倒さなければ一連の騒動は解決しない。そんな事を考えてると、ガトライクフォンから電子音が鳴る。ノイズが現れた。それを聞いた隼人は闇黒剣月闇を手に部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、現実世界ではノイズ出現を知らせる警報が鳴り響いていた。

 

 

「翼です。立花も一緒にいます。」

 

未来との溝が広がってしまった響は、翼と共に屋上に来ており、翼はノイズ出現を弦十郎と通話をしていた。

 

「ノイズを検知した!相当な数だ!恐らく、未明に検知したノイズと関連があるはずだ!」

 

二課の司令部のモニターにはノイズを示す赤い点が幾つも表示されており、藤尭も友里もモニターと睨めっこをしている。

 

「了解しました!現場に急行します!」

 

翼はすぐに出動しようとするが…

 

「ダメだ!メディカルチェックの結果が出ていない者を出す訳にはいかない!」

 

当然ながら弦十郎は怪我人である翼の出動を許可しなかった。

 

「ですが…!」

 

翼は弦十郎に反論すると、響が口を開く。

 

「翼さんはみんなを守っていて下さい。だったら私前だけを向いていられます!」

 

 

 

 

 

 

その頃、商店街では阿鼻叫喚の中、住人が必死に逃げるのを見たクリスは反対方向に走りながら大通りに向かっていた。

 

(バカだ…あたしってば…何やらかしてんだ!)

 

息を切らし、商店街から大通りに出たクリスは道路の真ん中で立ち止まった。そして湧き出る罪悪感。

 

「あたしのせいで…関係の無い奴らまで…!ああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

道路の真ん中で後悔と罪悪感に満ちた叫び声を放つクリス。そして叫び声は嗚咽へと変わり、彼女の涙がアスファルトを濡らす。膝を付き、涙を流して空を見上げる。

 

「ようやく自分が今まで何をしてきたか理解したな。」

 

クリスの背後からカリバーが歩いてきた。

 

「どれだけ泣こうが喚こうが、お前の罪は一生消えない。その罪を背負いながら生き続けなければならない。これがお前のしたかった事か?」

 

カリバーはクリスに厳しい言葉をぶつける。

 

「あたしのしたかった事はこんな事じゃない…けどいつだってあたしのやる事は…!いつもいつもいつも!」

 

両手を地面に付き、 再び嗚咽を漏らすクリス。その声を聞いてノイズが反応し、ノイズ達が集まる。

 

「そこで泣いている場合か?お前が出来る懺悔は1つ。戦う事だ。」

 

その言葉を聞いてクリスは立ち上がり、涙目になりながらノイズ達を睨みつける。

 

「あたしはここだ…だから、関係ない奴等の所へ行くんじゃねぇ!!」

 

その言葉を聞いたノイズは、一斉にカリバーとクリスに飛びかかる。カリバーは闇黒剣月闇でノイズ達を斬っていく。クリスは避けながら聖詠を歌おうとするが、叫んだせいか咳をしてイチイバルを纏えない。3体のノイズがクリスに飛びかかろうとしたその時…

 

 

 

 

 

「フンッ!」

 

 

何者かがアスファルトを踏みつけ、衝撃で壁を作り出したのだ。そしてアスファルトは砕け散り、破片がノイズに飛んでいき、炭素化した。

 

 

「っ!?まさか…!!」

 

カリバーはこんな人間離れした事が出来る人物を知っていた。そう。奴しかいない。風鳴弦十郎だ。クリスは呆然としていた。生身の人間がこんな事が出来るなんて。そんな思考もノイズが掻き消す。再びノイズが飛びかかると、弦十郎はまたアスファルトを踏みつけ、壁を作り出してノイズの攻撃を防いだ。そしてクリスを抱き抱えると、大ジャンプをし、ビルに飛び移った。ノイズを斬りながらそれを見たカリバーは…

 

「あいつ…人間だよな…?」

 

呆然と呟いた。その時…

 

「Killter Ichaival tron」

 

誰もいなくなった商店街に聖詠が響き渡る。そしてクリスは戦う為に鎧を纏う。すぐさまアームドギアであるクロスボウを取り出し、上空のノイズを素早く撃ち抜く。そして弦十郎に他の人間を助けてこいと言い放つ。

 

「ついて来い屑共!」

 

クリスはアームドギアを4門のガトリングに変形させ、BILLION MAIDENを放つ。ノイズは爆発と共に木っ端微塵となり、炭素と化す。それを1人見ていた弦十郎は呟く。

 

「俺は…またあの子を救えないのか…。」

 

 

クリスが戦っている別の場所ではカリバーがノイズをひたすら斬っていた。そして、西遊ジャーニーを取り出し、闇黒剣月闇に1回スキャンした。

 

【西遊ジャーニー!】

 

【必殺リード!ジャアク西遊ジャー!】

 

【月闇必殺撃!習得一閃!】

 

音声と共に闇黒剣月闇が赤く光だし、カリバーはノイズの群れに2回振るう。すると、刀身が如意棒の如く長く伸び、ノイズを一掃。とどめに上から巨大なノイズに振り下ろし、真っ二つになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃ノイズ出現を聞いて街に来た響は廃ビルから悲鳴を聞き、その中に入った。

 

「誰か!誰か今…!」

 

響が叫ぶと上から長いノイズの脚が迫ってきた。足場が崩され、響は下の階に着地し、見上げるとまるでタコのような形をしたオレンジ色のノイズが。思わず声を出そうとする響の口を誰かが塞ぐ。未来だ。そして「静かに」とサインを送る。そしてスマホを取り出し、何やら文字を打ち出した。

 

 

[静かに あれは大きな音に 反応するみたい]

 

 

[あれに追いかけれて ふらわーのおばちゃんと ここへ逃げ込んだの]

 

未来の文を読んだ響の目にふらわーの店主が倒れているのが見えた。

 

(シンフォギアを纏う為に歌を歌うと、未来やおばちゃんが危ない…!?どうしよう…?)

 

響は弦十郎に言われた言葉を思い出した。自分の歌が大切な人を巻き込む事を。すると、未来が再び画面を見せる。それを見た響もスマホを取り出し、文字を打つと未来に見せる。響が文字を打とうとすると、未来が止める。その時、店主がうめき声を出し、ノイズが反応する。すると、響に未来が耳打ちをする。

 

「私、響に酷い事した。今更許してもらおうなんて思ってない。それでも、一緒にいたい。私だって戦いたいんだ。」

 

「ダメだよ…未来…」

 

響は未来の言葉を受け入れられなかった。

 

「どう思われようと関係ない。響1人に背負わせたくないんだ。」

 

未来は立ち上がった。

 

「私、もう迷わない!!」

 

未来は走り出した。その時未来の叫びにノイズが反応する。脚で未来を攻撃しようとするノイズから必死に逃げる。親友だけには戦わせたくないからだ。そして外へ逃げだす。ノイズは外へ飛び出した。店主に駆け寄った響はノイズを見る。そして…

 

 

「Balwisyall nescell gungnir tron」

 

廃ビルの中に聖詠が響き渡る。そして響はガングニールを纏う。店主を抱き抱え、外へ飛び出す!

 

「響さん!」

 

道路には車に乗った緒川が響を見つけた。

 

「緒川さん!」

 

響は着地すると、緒川に店主を託した。

 

「緒川さん、おばちゃんをお願いします!」

 

「響さんは?」

 

緒川の問いに答えず、響は歌いながら電柱やビルからビルへとジャンプし、ノイズを追っていった。それを見届ける緒川は店主を抱え車へ乗った。

 

(未来…何処…!?)

 

実は響と未来はあるやり取りをしていた。そう。あの時スマホで文を見せ合っていたのだ。

 

 

[響聞いて わたしがノイズの囮になってノイズの気をひくから その間におばちゃんを助けて]

 

 

[ダメだよ そんなこと未来にはさせられない]

 

 

[元陸上部の逃げ足だから何とかなる]

 

 

[何ともならない!]

 

 

[じゃあ何とかして]

 

 

[危険なのはわかってる だからお願いしてるの 私の全部を預けられるの響だけなんだから

 

 

 

 

(戦っているのは私1人だけじゃない。シンフォギアで誰かの助けになれると思っていたけどそれは思い上がりだ。助ける私だけが一生懸命じゃない。助けられる誰かも一緒懸命…!)

 

そして脳裏に浮かぶ天羽奏とカリバーの姿。

 

『おい死ぬな!目を開けてくれ!生きるのを諦めるな!』

 

『3日以内に生存者に対する誹謗中傷等の報道を一切止めろ。叩いていた連中は生存者に対して正義ではなく誠意を持って詫びろ。』

 

(本当の人助けは、自分1人の力じゃ無理なんだ。だから、あの日あの時奏さんは私に「生きるのを諦めるな」と叫んで、カリバーさんは私や他の人達の為に全てを敵に回したんだ。今なら分かる気がする!)

 

空中を飛んでいた響の耳に未来の悲鳴が入る。響は背中のブースターを起動させ、悲鳴をする方向へ向かう。

 

(そうだ。私が「誰かを助けたい」という気持ちは、惨劇と迫害を生き残った負い目じゃない!2年前、奏さんから託されて、カリバーさんに助けられて、私が受け取った気持ちなんだ!!」

 

響の脚が変化し、パーツがまるでサスペンションの様に伸び、坂道に着地すると同時に更に蹴り出し、響の勢いは増す。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、必死に逃げていた未来の体は限界だった。そしてすぐ背後にノイズが迫る

 

 

(もうここで、終わりなのかな…?仕方ないよね…響…。)

 

ノイズが飛び上がり、未来に覆い被さろうとする。

 

 

(だけど、まだ響と流れ星を見ていない!)

 

ハッとする未来。再び走り出そうとするも、ノイズが落下した衝撃でノイズもろとも道路から川へ落ちてしまう。その時、響が右手のギアをスライドさせ、ノイズ目掛けて一撃を繰り出した。響の一撃を受けたノイズは爆発四散し、炭素と化した。そして落下する未来を受け止め、アンカージャッキを展開させるも、勢い余って土手を転がってしまい、響の装着は解除された。そしてお互い笑い合う2人。そして未来は響が黙っていた事に腹を立てていたのではなく、辛い事を全て背負い込んていた事に怒っていたのだという。それを聞いた響は未来の顔を見て笑った。涙で顔はぐしゃぐしゃ、髪はボロボロ、制服は汚れだらけだったのだ。そして響も涙目になっており、未来と同じ汚れだらけになっていた。

 

2人は未来のスマホでお互いの姿を確認した後、写真を撮って仲直りをした。これで2人はまた友達だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてノイズを倒し終え、後の処理は弦十郎や緒川、遅れてやってきた了子達二課の大人達に任せられ、響と未来は帰路に着いた。

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

一方、家に帰った隼人はノイズを倒した時に弦十郎と対話した事を思い出していた。

 

『風鳴翼から聞いたか?』

 

『……ああ。聞いたぞ。二課に潜む裏切り者の事だろう?』

 

『フィーネの正体は間違いなくあの女だ。まさかお前達の中にいたとはな。』

 

『カリバー、まだ彼女と判明した訳じゃない。何かの間違いだろう?』

 

『これは真実だ。お前達が動かなければ、私が斬る。』

 

 

 

 

 

「奴の目的は何だ…。一体何をしでかそうとしている…!?」

 

 




いかがだったでしょうか?今回も少し主人公の出番が無かったり、クリスの扱いが少し悪かったかもしれません。

今回はここまでです。感想お待ちしています。
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