夢を見ていた。紫色の剣士が裏切りの罪を着せられ、かつての仲間に斬られる夢を。この世界に転生してから何度も。
「あの夢は一体何だろう…。」
青年の名は
ビルの屋上に佇む1人の人物。彼が上條隼人だ。彼は転生前はごく普通の青年だった。高校卒業と同時に就職し、家族の元を離れ、一人暮らしを始めていた。
しかし、就職をしてから彼の歯車が狂い始めた。会社の社長や上司に上手い様に言いくるめられ、甘言で騙されていた。気づいた時には遅く、誰も相談には乗ってくれず、挙げ句の果てには仕事の失態を擦り付けられ、社内では悪人呼ばわりだった。そして彼はとうとう堪忍袋の緒が切れた。周りが見えなくなり、檻に入れられた猿みたいに叫び、暴れた。
当然会社はクビになり、失意の底に突き落とされた。しかし、追い討ちをかける様にさらなる悲劇が襲った。
会社をクビになった後、実家に向かった彼が見たものは、更地になった土地だった。
聞いた話によると、自分が一人暮らしを始めた後、家族達は自分が家を出て早い内に何処かに引っ越したという。電話をしても全く繋がらなかった。嫌な予感がして預金通帳の残高はたった2桁になっていた。
もう、誰も信じられなくなった。
そして今、彼は全てを終わらせる為にビルの屋上にいる。
「もう…………誰も信じない……………。」
頬に涙がつたう。そして隼人はそのままビルから飛び降り
自殺した。
「……………あれ……?」
気がつけば、彼は立っていた。辺り一面真っ白な空間の中に。
「俺、ビルから飛び降りて自殺したんだっけ…。」
すると…
「そうだ…。お前は死んだ…。」
「えっ!?誰!?」
声がする方を振り返ると、そこには白い服を着て、顔をフードで隠した男性が立っていた。
「あの…どちら様ですか?」
恐る恐る隼人は聞いた。
「私は、世界の創造者。言うなれば、神だ。」
「神!?……そうですか…その神様が俺に何の様ですか?」
「お前にもう一度生きて欲しいからだ。何故19歳で自殺した?まだ人生はこれからだろう?」
神と名乗る男性は隼人に生きて欲しいと言った。19歳で死ぬのはあまりにも早すぎるからだ。
「生きる意味が無くなったんですよ。人に騙され、そして裏切られ、誰も信じる事が出来なくなったんです。」
「そうか。ならお前を異世界に転生させる。そしてもう一度生きてもらう。」
神と名乗る男性がいきなり自分を異世界に転生させるとか言い出した。小説やアニメじゃあるまいし。第一頼んでもない。
「何言ってるんですか!頼んでもないのに…。」
「お前の意見は求めん。」
「えぇ…。」
無茶苦茶だ。神様ってこんなわがままなのかと隼人は思った。
「さて、転生の準備が出来たが、その前にお前に特典を与えよう。何が欲しい?」
「特典?えーっとじゃあ…とりあえず仮面ライダーカリバーの力と一生遊んで暮らせるお金ですかね…。後は誰にも邪魔されない自分だけの場所かな…?」
ちょっと欲張り過ぎるかなと思った隼人だが、神様は…
「分かった。用意しよう」
「ありがとうございます。あっそうだ!それでどの世界に…」
「では検討を祈るぞ。」
突然隼人の辺り一面が強い光を放ち始めた。
「待ってください!まだ聞きたい事が…!!」
そのまま隼人は強い光りを前に目を瞑った。
「さて、一度生きる事を諦めた彼には、あの世界で頑張って貰おう。」
「ん…?ここは…何処だ…?」
目を開けると、隼人は部屋の中にいた。目の前にはベッドがある。ここは一体何処の世界なのか。そして自分は何処に居るのか。ふと後ろを振り返ると、4つの椅子と机が。机の上にはジャアクドラゴンワンダーライドブックを初めとした様々なワンダーライドブックと、ガトライクフォン、ブックゲート、そして仮面ライダーカリバーの聖剣、闇黒剣月闇が立てかけてあった。
隼人の腰には仮面ライダーカリバーのベルト、邪剣カリバードライバーが装着されている。
「俺、本当に力を貰ったんだな…。あの時軽い気持ちで言っただけのなのに……ん?あっ!俺の預金通帳と財布!」
机の上にはカリバーの装備と財布と預金通帳が置かれていた。それを開いて隼人は驚いた。
「ぜ…ゼロがめっちゃある…」
彼の預金通帳の残高は転生前のたった2桁から0が明らかに沢山あったのだ。気がつくといつの間にか手が震えていた。まさかこれほどの量とは。これなら一生遊んで暮らせる量だ。
「とりあえず外に出よう…。どの世界に来たのか確かめないと…」
隼人は寝室を出て、廊下を進み、家の玄関のドアを開けると、そこは…
「えええええええ!?」
青い空に白い雲、巨大な山に大きな河川、浮遊するシャボン玉や巨大な岩。そう、ワンダーワールドが広がっていた。
「ここって…ワンダーワールド!? マジかよ…!?」
隼人は驚いた。確かに特典で「誰にも邪魔されない自分だけの場所」と頼んだ。まさかワンダーワールドとは思わなかった。ここなら確かに誰にも邪魔されないだろう。
「そうだ!ブックゲート!」
隼人は寝室から戻り、ブックゲートとガトライクフォン、財布とジャアクドラゴンワンダーライドブック、闇黒剣月闇を持って玄関の前に立ち、ブックゲートの表紙ガードバインディングを開いた。
「ブックゲート!」
すると、目の前に特殊なゲートが生成された。
「よし、行くか!」
意を決して隼人はゲートに入っていった。
そしてゲートを抜けた先は、路地裏だった。どうやらブックゲートを抜けた先は空き物件のビルの勝手口の様だ。ここなら人目も付かないし安心だ。だが闇黒剣月闇は持ってたら目立つ。とりあえず適当に「戻れ!」と念じてみる。すると念じたおかげか闇黒剣月闇は消えた。という事は…今度は「来い!」と念じる。予想通り手元に戻って来た。これで安心だ。隼人は改めて闇黒剣月闇をしまうと、路地から人が通る通りに出た。
(一見すると普通の街なんだよなぁ…。)
そう思って歩いていると、目の前に新聞が落ちていた。
何か分かるかもしれないと思って新聞を拾うと記事には大きい文字でこう載せられていた。
ツヴァイウィング 歌手 天羽奏 死亡
今回は主人公の転生した理由を書いて見ました。
転生物だと奏が生きている事が多かったので今回は原作に合わせて見ました。
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