今回は短いです。
クリスは自分が今までしてきた罪がどんな物なのかが理解し、カリバーの言葉もあってノイズとの戦いに身を投じる。一方、響は未来の真意を知り、ノイズを撃退して仲直りをしてまた友達になったのであった。
雨の降るある日、弦十郎は歩いていた。その目線にはとある廃ビルに向けられている。ゴミが散らばった暗い部屋の中に毛布に包まっている少女はクリスだ。人を戦いに巻き込まない為に、野良猫の様な生活を送っていた。彼女の腹が鳴る。彼女は空腹なのだ。すると、足音がする。すぐ様入り口に立ち、拳を構える。すると、中身の入ったレジ袋を持つ手が。弦十郎だ。
「ほらよ。応援は連れてきていない。俺1人だ。」
憎悪に満ちた目で弦十郎を睨みつけ、身構えるクリス。
「君の保護を命じられたのは、もう俺1人になってしまったからな。」
床に腰掛ける弦十郎。そう。彼はクリスを二課で保護する為にやってきたのだ。
「…どうしてここが?」
「慣れた仕事さ。差し入れだ。」
弦十郎はレジ袋をクリスに見せた。そしてあんぱんを取り出し、自分で食べて毒を盛っていない事を証明した。
「バイオリン奏者、雪音雅律とその妻声楽家ソネット・M・ユキネが、難民救済のNGO活動中に戦火に巻き込まれて死亡したのが8年前。残った1人娘も行方不明となった。その後、国連軍のバルベルデ介入によって事態は急転する。現地の組織に囚われていた娘は、発見され保護。日本に移送される事になった。」
牛乳を飲み、毒がない事を証明してクリスに与える弦十郎。
「ふん。よく調べているじゃねえか。」
牛乳を飲むクリス。
「そういう詮索反吐が出る!」
「当時の俺たちは、適合者を探す為に音楽界のサラブレッドに注目していてね。天涯孤独となった身元引き受け先として、手を挙げたのさ。ところが、少女は帰国直後に消息不明。俺たちも慌てたよ。二課からの相当の捜査員が駆り出されたが、この件に関わった者の多くが死亡、或いは行方不明という最悪な結末で幕を引く事になった。」
「何がしたいオッサン!」
クリスの問いに弦十郎は…
「俺がやりたいのは…君を救い出す事だ。引き受けた仕事をやり遂げるのは、大人の務めだからな。」
その言葉を聞いたクリスは…
「ふん!大人の務めときたか!余計な事以外は、いつも何もしてくれない大人が偉そうに!!」
弦十郎に怒りをぶちまけ、紙パックを投げ捨てるクリス。すると、窓ガラスを割り、外へ飛び出した。
「Killter Ichaival tron」
聖詠が響き渡る。クリスはイチイバルを纏い、そのまま去っていた。その背中を弦十郎は見ている事しか出来なかった。
「野良猫の保護に失敗したか。」
弦十郎の背後から声が聞こえた。振り返ると、後ろにはカリバーが。
「カリバー…。何故ここが…。」
「面白い物を見せてやろうと思ってな。」
カリバーはガトライクフォンを取り出し、アプリを操作すると、画面を弦十郎に見せた。それを見た弦十郎は驚愕の表情を浮かべる。
「っ!!こっ…これは…!!」
廃ビルから飛び出し、クリスは、電柱のてっぺんに立っていた。
「あたしは何を…。」
「了子君…!」
カリバーが弦十郎に見せていたのは了子がバリアの様な物を出し、響をノイズから守る映像と、復活したデュランダルを見て恍惚の表情を見せる了子の映像だった。実はあの時カリバーは一部始終をガトライクフォンで撮影していたのだ。
「おかしいと思わないか?普通の人間にはこんな事は出来ない。それにデュランダルの強大な力を見てこの表情。明らかに奴の狙いはこれだ。」
「それじゃあ君の言う通り…。」
弦十郎はカリバーの言葉で疑念が確信へと変わりつつあった。信じたくなかった現実。櫻井了子が裏切り者だと。
「これで分かっただろう。櫻井了子が裏切り者であり、フィーネの正体である事を。奴はお前達が掲げる人命の守護よりも、自分1人の野望を優先している。分かった以上どうするか分かる筈だ。」
「そうだな…。」
カリバーの言葉に弦十郎は納得するしかなかった。
「お前達が守りたい物は、人命だろう?」
カリバーはガトライクフォンをしまうと、弦十郎に背を向けて去っていった。カリバーが去った部屋で1人、弦十郎は何かを決意した目をし、廃ビルを後にした。
「ハァ……俺、何やってるんだろう…」
カリバーはあの場所から去った後、自分は一体何をしているのかと考えていた。
協力しないと言っておきながら、何故情報を提供したのか、自分にも分からなかった…
いかがだったでしょうか?自分の構成能力不足で時系列が飛んでしまうかもしれませんが、ご了承下さい。
今回は短くてすみません。感想お待ちしています。