【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

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クライマックスに近づいて来ました。このまま頑張ります。


第18話 天を仰ぐ、高みの塔。

雪音クリスの保護に失敗した弦十郎は、カリバーからデュランダル移送作戦の時の映像を見せられてた事で、櫻井了子が裏切り者だと確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある森…フィーネの屋敷の側の森で、アサルトライフルを装備した兵士達が潜伏していた。そしてその屋敷の中に、いるはずのない人物がいた。櫻井了子である。すると、後ろから足音とアサルトライフルを構える音がする。

 

「っ!?」

 

その直後、ステンドガラスを破り、数人の兵士が突入してきた。その直後、兵士が引き金を引き発砲し、モニターやコンピューターを破壊した。了子は逃げようとするも、腹を撃たれてしまう。すると、隊長である男が英語で話す。

 

 

「手前勝手が過ぎたな。聖遺物に関する研究データは我々が活用させてもらおう。」

 

「掠める準備が出来たら、あとは用無しってわけね。徹底しているわ…」

 

隊長の男の英語に了子も英語で返すと、男は了子の腹を蹴飛ばす。すると了子は撃たれた所に手を当て、青い光を出した。それを見て驚き、アサルトライフルを構える兵士達。悶絶する了子の体を何かが蝕む。そして立ち上がり、隊長を睨みつけ、口を開く。

 

「それも、わざと痕跡を残して立ち回るあたりが、品性下劣な米国政府らしい。」

 

そう。彼らは聖遺物に関するデータを入手する為に米国から送り込まれた特殊部隊だ。

 

「ブラックアートの深淵を、覗いてすらもいない青二才のアンクルサムが…!」

 

「撃てッ!」

 

隊長の声と共にアサルトライフルが一斉に火を吹いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃クリスは1人、フィーネの屋敷に向かっていた。そして目に飛び込んできた光景は、特殊部隊の兵士達の亡骸だった。

 

「何が…どうなってやがるんだ…!?」

 

 

「遅かったか…!!」

 

後ろから声と共に物音が聞こえる。後ろを振り返ると、弦十郎が立っていた。

 

「違う!あたしはやってない!」

 

その直後、銃を持った二課の男達が突入してきた。クリスは身構えたが、男達はスルーしていった。そして弦十郎がクリスに歩み寄ると、頭に手を置いた。

 

「誰もお前がやったとは疑っていない。全ては、君や俺たちの側にいた彼女の仕業だ。」

 

そう。弦十郎はフィーネこと櫻井了子を拘束する為に潜伏先である屋敷を突き止め、突入して来たのだが、一足遅かったのだ。

 

「風鳴司令!」

 

1人の男が弦十郎を呼ぶ。兵士のチョッキに血で書かれたメッセージが残されていた。

 

 

「I LOVE You SAYONARA」

 

 

それを男が手に取ったその時…糸が引っ張られ、繋がれた爆弾の起爆装置が作動、屋敷が爆発した。その中で弦十郎はクリスを抱え、屋敷の巨大な瓦礫を片手で持っていたのだ。

 

「どうなってんだよこいつは…!」

 

「衝撃は発勁で掻き消した。」

 

「そうじゃねーよ!」

 

クリスは弦十郎にツッコんだ。ごもっともである。そして弦十郎の腕から抜け出し、離れた。

 

「何でギアを纏えない奴があたしを守ってんだよ!」

 

その問いに弦十郎は瓦礫を投げ捨てると…

 

「俺がお前を守るのは、ギアのある無しじゃなく、お前よか少しばかり大人だからだ。」

 

「大人!?あたしは大人が嫌いだ!死んだパパとママも大嫌いだ!とんだ夢想家で臆病者。あたしはあいつらと違うッ!戦地で縄民救済?歌で世界を救う?いい大人が夢なんてみてるんじゃねーよ!!」

 

クリスは大人達への憎しみをぶちまけた。

 

「大人が夢を…ね。」

 

「本当に戦争を無くしたいのなら、戦う意思と力を持つ奴等を片っ端からぶっ潰していけば良いッ!!それが1番合理的で現実的だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな事をしても争いは無くならない。誰かを倒してもそこからまた争いが起こる。戦争なんて虚しい物だよ。」

 

 

クリスと弦十郎のやり取りを隼人はシャボン玉を通して見ていた。弦十郎に接触した時から彼は二課達を見張り続けていた。そして遂にフィーネの屋敷を見つけた。だか既にもぬけの殻。彼女の姿はなかった。

 

 

 

「そいつがお前の流儀か?なら聞くが、そのやり方で戦いを無くせたのか?」

 

弦十郎はクリスがそのやり方で戦争を無くせたのか聞いた。

 

「それは…」

 

しかし、クリスは反論出来なかった。

 

「いい大人は夢を見ないと言ったな?そうじゃない。大人だからこそ夢を見るんだ。大人になったら背も伸びるし力も強くなる。財布の中の小遣いだってちったあ増える。子供の頃はただ見るだけだった夢も、大人になったら叶えるチャンスが多くなる。夢を見る意味が大きくなる。お前の親はただ夢を見に戦場に行ったのか?違うな。歌で世界を平和にするっていう夢を叶える為、自ら望んでこの世の地獄に踏み込んだんじゃないのか?」

 

「何で…そんな事…」

 

「お前に見せたかったんだろう。夢は叶えられると言う揺るがない現実をな。お前は嫌いと吐き捨てたが、お前の両親はきっとお前の事を大切に思ってたんだろうな。」

 

弦十郎はクリスの元へ歩く。そして、クリスを優しく抱きしめた。クリスの目には涙が浮かんでいた。こんな大人始めてだ。自分に優しくしてくれる大人が。クリスは泣いた。大声で泣いた。大粒の涙を流して泣いた。弦十郎はクリスに限度額なら買い物などが出来る通信機を与え、そしてクリスは弦十郎にフィーネが完成しているカ・ディンギルの情報を伝えた。それを聞いた弦十郎は先手を打つと言い、車を走らせた。

 

 

 

 

 

 

 

「遂に奴が動き出したか…」

 

隼人は弦十郎とクリスの会話を聞いていた。フィーネは一体何をしでかそうとしているのか。そしてカ・ディンギルとは何なのか。何処にあるのか。隼人は考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、指令室に戻った弦十郎は翼と響と通信をしていた。

 

「はい。翼です。」

 

「響です。」

 

「収穫はあった。了子君は?」

 

弦十郎が友里に聞く。

 

「まだ出勤していません。朝から連絡不通でして…」

 

「そうか…」

 

弦十郎は頭の中で思考を働かせる。一体どうしているのか。

 

「了子さんならきっと大丈夫です!」

 

響が自信あり気に答える。

 

「何が来たって私を守ってくれた時みたいにドカーン!とやってくれます!」

 

「いや、戦闘訓練もろくに受講していない櫻井女史にその様な事は…」

 

「え?師匠とか了子さんって、人間離れした持ってるんじゃないんですか?」

 

響の脳裏に了子がバリアを出して自分を守った事が浮かび上がった。すると、通信が入った。

 

「や〜っと繋がった!ごめんね!寝坊しちゃったんだけど通信機の調子が良くなくって…。」

 

声の主は了子だ。その言葉に弦十郎が顔を険しくする。

 

「無事か?了子君、そっちに何も問題は?」

 

「寝坊してゴミを出せなかったんだけど、何かあったの?」

 

「良かった〜。」

 

了子の声に響は安心する。

 

「ならばいい。それより聞きたい事がある。」

 

「せっかちね。何かしら?」

 

カ・ディンギル。この言葉が意味する物は?」

 

 

 

 

その頃了子は、都内の廃ビルに身を潜めていた。

 

 

「カ・ディンギルとは、古代シュメールの言葉で高みの存在。転じて天を仰ぐ塔を意味しているわね。」

 

「何者かがそんな塔を建造していたとして、何故俺達は見過ごして来たんだ?」

 

「確かにそう言われちゃうと…」

 

「だが、ようやく掴んだ敵の尻尾。このまま情報を集めれば勝利も同然。相手の隙にこちらの全力を叩き込むんだ。最終決戦、仕掛けるからには仕損じるな!」

 

「「了解です!」」

 

弦十郎の言葉に響と翼は返事をし、通信を切った。

 

「ちょっと野暮用済ませてから私も急いでそっちに向かうわ。」

 

そして了子も通信を切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カ・ディンギル…天を仰ぐ塔…。」

 

隼人は二課の通信のやり取りをシャボン玉で見ていた。塔なんて目立つ物を何処に作ったのか。すでに完成しているとなら必ず何処かにあるはず。何としてでも奴の企みを阻止しなくては。すると、ガトライクフォンからノイズ発生を知らせる電子音が。それを聞いた隼人は闇黒剣月闇を持って部屋を出る。

 

 

 

 

 

その頃現実世界では爆撃機の様な4体の超巨大ノイズが飛行していた。そして爆弾を投下するように地上にノイズを放ち、空母の様に空中に戦闘機の様なノイズを解き放っていた。その背後に迫るヘリに、響は乗っていた。そして…

 

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron」

 

空に聖詠が響き渡る。そして響はガングニールを纏う。そして右腕のギアをスライドさせ、急降下の勢いも加えて拳でノイズに風穴を開けた。一方、地上では翼がバイクから飛び降り、天羽々斬を纏う。そしてアームドギアを大型化し、ノイズの編隊に蒼ノ一閃を放つ。しかし、大型のノイズには届かない。

 

「相手に頭上を取られる事が、こうも立ち回りにくいとは!」

 

「ヘリを使って私達も空から!」

 

響が声を上げると、突然が爆発を起こす。上を見上げると、赤い羽根で飛行しているカリバーの姿が。

 

「カリバー!」

 

翼の言葉を流すと、カリバーはノイズの編隊に突っ込んでいき、闇黒剣月闇で次々ノイズを斬り裂いていく。

 

「カリバーさんって空も飛べるんだ…」

 

「立花!関心してる場合ではない!来るぞ!」

 

空中のノイズが一斉に急降下してくる。しかし2人は恐れず、響は拳で、翼は刀で、そしてカリバーは闇黒剣月闇で炭素化していく。しかしそうしている間にも大型ノイズが落下傘部隊の如くノイズを投下していく。

 

「空飛ぶノイズ…どうすれば…!」

 

「臆するな立花!防人が後退れば、それだけ戦線が後退するという訳だ!!」

 

2人にノイズが編隊を組み、突っ込んでくる。その時、突如ノイズに銃弾を浴びせる者が。振り返ると、アームドギアをガトリングに変形させたクリスがいた。 

 

「雪音クリス…?」

 

カリバーは空中からクリスの姿を見ていた。

 

「こいつがピーチクパーチクやかましいからちょっと出張ってみただけ。それに勘違いするなよ!お前達の助っ人になった訳じゃねぇ!」

 

「助っ人が、少々到着が遅くなったかもしれないがな。」

 

「なっ…!!」

 

通信機から弦十郎の声が聞こえた。それを聞いて顔を赤くするクリス。響は嬉しそうな顔をする。

 

「助っ人…?」

 

「そうだ。第2号聖遺物イチイバルを纏うシンフォギアの戦士、雪音クリスだ!」

 

「クリスちゃ〜ん!ありがとう!絶対に分かり合えるって信じてた〜!!」

 

クリスに抱きつく響。

 

「このバカ!あたしの話を聞いてねーのかよ!」

 

「とにかく今は、連携してノイズを!」

 

「勝手にやらせてもらう!邪魔だけはすんなよな!」

 

響の抱擁から脱出したクリスは2人に向けて言い放つ。

 

「えぇ〜!?」

 

響はがっかりした。

 

そしてアームドギアのクロスボウをノイズに向け、矢を放つ。

 

「空中のノイズはあの子とカリバーに任せて私達は地上のノイズを!」

 

「はい!」

 

そしてまた大型ノイズが地上にノイズを投下する。

 

響と翼は地上のノイズをひたすら殴って斬り、空中のノイズはクリスがガトリングを撃ちまくり、カリバーは闇黒剣月闇で斬っていく。

 

「っ!!あの女は俺を巻き込む気か!」

 

途中カリバーが爆発に巻き込まれそうになる事もあったが。

そして戦いの中、クリスと翼の背中がぶつかる。

 

「何しやがる!すっこんでな!」

 

「あなたこそいい加減にして!独りで戦っているつもり?」

 

「あたしはいつだって独りだ。こちとら仲間と馴れ合ったつもりはこれっぽっちもねぇよ!」

 

クリスの言葉に顔を険しくする翼。東京スカイタワーの周りにはまだ3体の巨大ノイズが飛行している。

 

「確かにあたし達が争う理由なんてないかもな。だからって、争わない理由もあるものかよ!こないだまでやり合ってたんだぞ!」

 

「そんなに簡単に人と人が…」

 

クリスの拳を、響が両手で包み込む。

 

「出来るよ!誰とだって仲良くなれる。」

 

そして翼の手を取る響。

 

「どうして私にはアームドギアが無いんだろうってずっと考えてた。いつまでも半人前はやだなーって。でも、今は思わない。何もこの手に握ってないから2人とこうして手を握り合える。仲良くなれるからね!」

 

響は微笑む。

 

「立花…」

 

翼は刀を地に刺し、クリスに差し伸べる。顔を赤くし、目を逸らすクリス。彼女の左手は震えていた。そして恥ずかしながらも、翼の手を取ろうとすると、翼が手を掴む。驚くクリスは手を離す。

 

「このバカに当てられたのか!?」

 

「そうだと思う。そして、あなたもきっと。」

 

「冗談だろ…」

 

クリスは恥ずかしそうに言う。

 

 

 

 

 

 

「そうか…だから立花響にアームドギアが無かったのか…。」

 

その様子を空中から見ていたカリバーは立花響にアームドギアが無い理由を悟った。武器を持たない。だからこそ、人と手を繋ぐ事が出来る。それが立花響のアームドギアだったのだ。そして3人の頭上に巨大ノイズが現れる。

 

「親玉をやらないとキリがない。」

 

「だったらあたしに考えがある。」 あたしでなきゃ出来ない事だ。イチイバルの特性は長射程広域攻撃。派手にぶっ放してやる!」

 

クリスはガッツポーズをする。

 

「まさか、絶唱…!」

 

「バーカ!あたしの命は安物じゃねぇ!」

 

「ならば、どうやって…?」

 

「ギアの出力を引き上げつつも、放出を抑える。行き場の無くなったエネルギーを臨界まで溜め込み、一気に解き放ってやる!」

 

「だがチャージ中は、丸裸も同然。これだけの数をする状況では、危険すぎる!」

 

「そうですね。私達がクリスちゃんを守ればいいだけの事!」

 

「!!」

 

その言葉に反応するクリス。

 

「あいつら、何をするつもりだ?」

 

カリバーはクリスを残してノイズと戦う響と翼を見て疑問に思った。

 

(頼まれてもいない事を…!あたしも引き下がれないじゃねぇか!)

 

そしてクリスは歌を歌う。体にエネルギーが溜まっていく。そして、エネルギーが充填されたと同時にアームドギアをガトリングに変形、さらに4発のミサイルが展開され、固定砲台となった。そう。彼女の必殺技MEGA DETH QUARTETだ。4発のミサイルは2体のノイズに2発ずつ飛んでいき、さらにクラスターミサイルが飛んでいき、そしてクリスはガトリングを撃ちまくる。3体の飛行ノイズは木っ端微塵となり、小型のノイズ達もクリスによって蜂の巣となった。

 

「天晴れな奴だな。」

 

地上に降り、ノイズを斬っていたカリバーは空を見上げて呟いた。

 

(うん?何か忘れている様な…あ、そうだ。俺はこんな事をしてる場合じゃない。カ・ディンギルが何処にあるのか突き止めないと…。)

 

 

そして装着を解除した3人が一緒にいる中、響の通信機に着信が入る。

 

「はい?」

 

「響!助けて!リディアンがノイズに襲われ…!」

 

通話が途切れた。腕を力なくだらんと垂らす響。

 

「立花?どうした!」

 

「どうしたんだよそんな怯えた顔して?」

 

「リディアンが…リディアンがノイズに襲われたって…!!」

 

「「!!」」

 

響の言葉に戦慄する2人。それを近くで聞いたカリバーは、

 

(確かに聞こえた…リディアンがノイズに襲われたと…恐らくフィーネの仕業だ…しかし何故奴がリディアンにノイズを…?あそこには地下に二課の司令部…地下…?そういえば司令部にはエレベーターがある…他にあるとすれば移送作戦で戻されたデュランダルだが……それと天を仰ぐ塔カ・ディンギルと何の関係が……地下、エレベーター、デュランダル、そしてカ・ディンギル………っ!!まさかっ!!)

 

カリバーはガトライクフォンをライドガトライカーに変形させ、ライドガトライカーを走らせた。

 

 

(くそっ!!まんまと奴の罠に嵌った!!ノイズを送り込んだのは俺や立花響達を足止めする囮!!ガラ空きになったリディアンと二課を一気に叩くつもりだ!!奴はカ・ディンギルとデュランダルを使って何かを起こそうとしている!!そしてカ・ディンギルは…!!)

 

カリバーはスピードを上げ、リディアンの方向へと向かっていった。




いかがだったでしょうか?次回はいよいよフィーネとの戦いになると思います。今回はここまでです。感想お待ちしています。
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