第22話 束の間の、休息。
カリバーと立花響達がフィーネを倒してから1ヶ月が経った。フィーネが月を破壊しようとしたこの事件は後にルナアタックと呼ばれる事となる。あれから1ヶ月。仮面ライダーカリバーこと上條隼人は、ワンダーワールドに建てられた自宅で休息を取っていた。
「あぁ〜〜〜〜暇だな…。」
退屈そうにリビングのソファーに腰掛けながら背伸びをする隼人。ここ最近はノイズも出現していない。出来れば一生出現しないで欲しいがそんな甘い事は起こらない。これからもこの世界で戦わなければ生き残れない。いずれフィーネの様な悪党や醜悪な人間がまた現れるかもしれない。それにノイズの災禍は収まらないだろう。
「そうだ。ちょっと出かけてみるか。」
隼人は何かを思い付いたかの様に言うと、ソファーから立ち上がり出かける準備をした。ここ最近は戦いばかりでろくに外出もしていない。たまには気分転換に出かけてみようとしたのだ。そして玄関のドアの前に立ち、ブックゲートを開く。
【ブックゲート!】
隼人は生成されたドアを開き、中へ入ると路地裏の廃ビルの勝手口へと出た。そして路地裏から大通りに出て歩いて行き、商店街へ入っていくと何やらいい匂いが漂ってきた。
「お? いい匂い。」
その直後、隼人の腹が鳴る。ガトライクフォンを見ると、時間は12時5分を表示している。
「丁度良かった。昼飯食ってくか。」
隼人はいい匂いのする方向へ歩いて行き、店のドアを開けて中へ入っていた。その店の看板には「ふらわー」と書いてあった。
「いらっしゃい。」
入ってきた隼人に声をかける店主。隼人はカウンター席に座りメニューを見る。
(お好み焼きか…。食べてみるか。)
「すみません。お好み焼き1つお願いします。」
「はい。ちょっと待っててね。」
店主はそう言うと、調理に取り掛かった。
「はぁ…困ったもんだ…。」
「司令、またですか?」
その頃、特異災害対策機動部二課の指令室では、弦十郎がソファに座り腕を組みながらため息を吐いていた。
「あぁ。また政府の連中からだ。一刻も早くカリバーを捕獲して身柄を引き渡せと催促してくる。シンフォギアでないにも関わらずノイズを倒せる上に月まで修復する力を持っている。そんな力を持つ存在がいれば誰だって喉から手が出る程欲しいに決まってる。日本だけじゃない。今や各国の政府もカリバーの力を物にしようとしている。日本政府はカリバーは日本にいるから日本の物であり日本政府で管理すると主張しているがな。証拠を見せつける為と世界情勢の中で優位に立つ為に俺達にカリバーを捕獲する様命じている。」
弦十郎は政府からの催促の対応をしていた。前からカリバーを捕獲する様に催促されていたが、ルナアタックの後は前以上に催促が来る様になった。彼の持つ力を手に入れる為に最悪殺しても構わないと言う程だ。それほど彼の力は強大であり未知数である。それを防ぐ為にも弦十郎は彼を守る為に二課に所属してもらいたかった。しかし、カリバーには拒否されフィーネこと櫻井了子の裏切りによってカリバーの情報が世界中に知られてしまった。そのせいで日本政府だけでなく各国の政府からもカリバーの身柄を要求される様になってしまったのだ。
「やはりそうなってしまいましたか…。」
「あぁ。 その内痺れを切らして政府自らがカリバーを捕獲しようとするのも時間の問題だろう。 それだけじゃない。 広木防衛大臣殺害の件の様に他の国からも刺客が送り込まれるだろう。」
弦十郎は今の日本政府や各国の政府がカリバーを捕獲しようとする事を藤尭と友里に言うと、コーヒーを一杯注いで飲んだ。
二課がそう思っている頃、隼人はふらわーで注文したお好み焼きを食べていた。
(美味い…! 美味いぞ…! 前に食べた事がある味だ…! ん…? 前に食べた事がある…?…っ!!)
隼人はお好み焼きを食べながら何かを思い出したかの様に箸を止めた。
(そういえば、この世界に転生する前に高校の部活の帰りとか、外出した時にお好み焼きよく食べたっけ…。)
隼人はこの世界に転生する前、高校の部活の帰りにふらわーのお好み焼きの味とよく似た味のお好み焼きを食べた事を思い出していた。懐かしい気分だ。まさかこの味にまた会えるとは。
(でもある日、閉店しちゃったんだよな…。 あそこの店主さんがもう年で、 継ぐ人がいなかったんだよな…。)
そんな思い出に耽ながらも完食し、お会計を済ませて店を後にした。
「懐かしい気分になれた。 また来よう。 そういやあそこのお好み焼き、テイクアウト出来るって書いてあったな。 今度頼んでみるか。」
隼人はふらわーのお好み焼きを気に入ったのかまた来る事にした。そして昼食後も引き続き休日を満喫する為に歩き始めた。しかし、その休日も終わろうとしていた。隼人のガトライクフォンから電子音が鳴る。そして街に響き渡るサイレン。そう、ノイズだ。サイレンを聞いた街の人々は血相を変え走り出す。
「ノイズだ! ノイズが出たぞ!!」
「みんな! 早くシェルターに逃げるぞ!!」
男性2人の叫び声と共に人々は阿鼻叫喚の中一斉にシェルターの方へ走っていく。
「せっかくの休日が台無しだ…。」
隼人は不機嫌な顔をして路地裏へ入っていった。そして、闇黒剣月闇とジャアクドラゴンを取り出す。
【ジャアクドラゴン!】
【ジャアクリード!】
「変身。」
【闇黒剣月闇!】
【Get go under conquer than get keen.(月光!暗黒!斬撃!) ジャアクドラゴン!】
【月闇翻訳!光を奪いし、漆黒の剣が冷酷無情に暗黒竜を支配する!】
紫のオーラと共に隼人はカリバーに変身した。
「ノイズの出現を探知! 現在カリバーが交戦中!」
オペレーターの声と共に二課でもノイズの出現を探知。指令室には警報が鳴り響いている。モニターの地図にはノイズを表すマークとカリバーが戦っている映像が映し出された。
「翼、響君、クリス君。 現在ノイズの群れが西へ進行中。 上空には編隊が北北東へ進行している。 至急向かってくれ。 B地区ではカリバーが交戦中だ。」
「了解!」
「了解です!」
「わーったよ!」
弦十郎の声を聞いて3人は応答し、ノイズの元へ向かった。
一方その頃、ノイズを斬っていたカリバーの周りには3方向からノイズが迫って来た。それを見たカリバーはこぶた3兄弟を取り出して起動し、闇黒剣月闇にスキャンした。
「面倒だ。 一気にケリをつけてやる。」
【こぶた3兄弟!】
【ジャアクリード!ジャアクぶた3!】
カリバーが3人に増え、それぞれ3方向から迫ってくるノイズ達に闇黒剣月闇を手に突っ込んでいき、次々と切り裂いていく。そして3人はそれぞれワンダーライドブックを起動し、闇黒剣月闇に1回スキャンした。
【天空のペガサス !】
【ニードルヘッジホッグ!】
【西遊ジャーニー!】
【必殺リード!ジャアクペガサス !ジャアクヘッジホッグ!ジャアク西遊ジャー!】
3人のカリバーはノイズに向けて闇黒剣月闇を構える。
【月闇必殺撃!習得一閃!】
ノイズに向けて青く輝くエネルギー波、無数の針、刀身から伸びる赤い如意棒が放たれる。ノイズらは斬り裂され、風穴を開けられ、殴られて炭素と化し、天空のペガサスを使用したカリバーの周りに青い羽根のエフェクトが舞い散る。
「ここら一帯のノイズはもういないな。」
ガトライクフォンのマップを見てもノイズの反応は確認出来ない。闇黒剣月闇を納刀し、立ち去ろうとすると、背後から何やら車の走行音が。振り返ると黒塗りの車が何台もカリバーの前で停車し、中からサングラスをかけた黒いスーツの男性が何人も降りてきた。
「仮面ライダーカリバーですね?」
リーダー格の男性がカリバーに話しかける。
「何の用だ?特異災害対策機動部ではないな?」
「日本政府の者です。単刀直入に言います。貴方を拘束します。」
「何?」
「翼さん! クリスちゃん! あれ!」
「どうしたんだよ?」
「どうした立花? 一体…ん? あれは…」
ノイズを倒し終わった3人は帰投しようとしていた時、響が指差す方向にはカリバーと日本政府の人間が対峙していた。
「叔父様。カリバーが…。」
翼は弦十郎に通信を繋げる。
「こちらからでも見ている。 政府の連中が遂にカリバーを捕獲しようと動き出した。」
「何話してんだカリバーとあいつらは?」
「ここからだと聞こえないね…。」
「お前達の望みは何だ?」
「貴方を日本政府へ迎え入れるんです。 分かっているとは思いますが、今世界中が貴方とその力を手に入れようと動き出している。 そこで我々が解決策を出しました。 貴方を日本政府直属の戦士として雇い、ノイズから国を守る為に戦っていただきます。 我々なら特機部二の様に裏切り者はいません。報酬も望むだけ出しましょう。いかがですか? 悪くない条件だと思いますが。」
リーダー格の男の誘いにカリバーは…
「フンッ。欲まみれの政府の連中の甘言を私が信じるとでも思っているのか? お前達の考えなど分かっている。 私はお前達の様な組織や人間など、信用しない。」
カリバーは闇黒剣月闇のグリップに手を掛け、トリガーを押す。
【月闇居合!】
身構える男達。そして、抜刀する。
【読後一閃!】
カリバーは刀身にエネルギーを纏わせ、闇黒剣月闇を道路に突き刺す。すると、エネルギーが道路を伝い、周囲が爆発を起こす。
「うぅぅぅ!!」
男達は爆発と同時に起きた爆煙に目を覆ってしまう。煙が晴れた時には、カリバーの姿は消えていた。
「逃したか…撤収だ!」
リーダーの男の号令で男達は車に乗って走り去っていった。それを見ていた3人の通信機に弦十郎から通信が入る。
「今回はカリバーが姿を消した事で奴等が撤収したが次もまた拘束しに来るだろう。お前達も帰投してくれ。」
「了解です!」
「了解。」
「おう。 分かった。」
響達は通信を切り、その場を後にした。
「せっかくの休日が台無しだよ。 ノイズは出るわ政府の連中も来るわ…あいつら暇なのかよ。」
一方、自宅に帰った隼人は休日が台無しになった事を愚痴りながら寝室でジュースを飲んでいた。ふと、目の前の分厚い銀色のワンダーライドブックを手に取る。
「それにしても、これは一体何なんだ…? 前から気になってたけど…」
転生してから寝室の机に置いてあったこの分厚いワンダーライドブック。最初の頃は特に気にしてなかったが最近これが何なのか気になってしょうがない。起動も開く事も出来ず闇黒剣月闇にスキャンしても全然反応しない。 何故これがあるのか。 隼人は全然分からなかった。
「まぁいいや。考えるのはやめた。 テレビでも見よ。」
隼人はブランクワンダーライドブックを机に置き、ジュースを片手に寝室を後にした。 隼人が部屋を出た後、机に置いてあった天空のペガサス、ニードルヘッジホッグ、西遊ジャーニー、ブランクワンダーライドブック、そして闇黒剣月闇が怪しく光った。そして、再び世界をかけた戦いの幕が開けようとしていたのだった…。
「仮面ライダーカリバー…立花響…世界を救った英雄…」
アメリカのとある研究室。銀髪に眼鏡をかけた男性が、カリバーと響の写真を見ている。
「伝説は塗り替えるもの…英雄は…ただ1人でいい…この僕だ…!!」
いかがだったでしょうか?今回は第2章のプロローグ的な話として書きました。まずはアニメ2期を視聴しつつ書いていきたいと思いますので引き続き応援よろしくお願いします。
何か要望等あれば活動報告の所へお願いします。
今回はここまでです。感想お待ちしています。