【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

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遂に30話を突破しました。コメント欄でジャオウドラゴンワンダーライドブックの誕生の反応が凄くて驚きました。ただ使うのはもう少し先になるかもしれません。今回は少し長めです。


追伸 いつのまにかお気に入りが700を超えました。本当にありがとうございます。




第30話 人類の救済、暴れ狂う撃槍。

学園祭にて突如乱入した調と切歌は響達の前でツヴァイウィングの曲を歌い、生徒や観客から拍手と歓声を貰う一方、ウェルが何の関係のない中学生を殺した事で隼人はマリア達への溜め込んだ怒りが爆発。その怒りに同調するかの様に新たなワンダーライドブック、ジャオウドラゴンが誕生したのだった。

 

 

「これは…?」

 

恐る恐る手にしたジャオウドラゴンを見つめる隼人。自分の怒りに同調するかの様に生まれたこのワンダーライドブック。普通の物と比べこんな大きいサイズだ。強大な力が秘められているのだろう。しかし、この力を使ったら一体どうなるのか。何か代償とかあるんじゃないかと考える。

 

「これを使うのは、まだ控えておこう…。」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、響達はノイズの出現パターンを検知した弦十郎から招集がかかり、二課へと集合していた。

 

(遺棄されたアジトと、大量に残されたノイズ被災者の痕跡。これまでと異なる状況は、何を意味している?)

 

弦十郎は顎に手を当てて考える。

 

「司令! 永田町深部電算室による解析結果が出ました! モニターに回します。」

 

「アウフヴァッヘン波形照合。誤差、パーツはトリリオンレベルまで確認出来ません!」

 

藤尭と友里がモニターを操作する。画面にはオレンジとピンクのアウフヴァッヘン波形。それらは見事に完全一致。つまり、響とマリアのガングニールは全く同じ物だ。

 

「マリア・カデンツァヴナ・イヴが纏う黒いガングニールは、響君の物と寸分違わぬ物と言う訳か。」

 

「私と同じ…」

 

響は自分の胸に手を置く。

 

「考えられるのは、米国政府と通じていた了子さんによって、ガングニールの一部が持ち出され、作られた物ではないでしょうか?」

 

藤尭はフィーネこと櫻井了子が米国政府の元で作ったのでは無いかと推理した。

 

「櫻井理論に基づいて作られたもう一つのガングニールのシンフォギア。」

 

キーボードを操作しながら言う友里。

 

「だけど変だな。米国政府の連中は、フィーネの研究を狙っていた。F.I.S.なんて機関があって、シンフォギアまで作っているのなら、その必要はないはず…」

 

クリスは顎に手を当て、米国政府の思惑について考えた。

 

「政府の管理から離れ、暴走しているという現状から察するに、F.I.S.は聖遺物に関する技術や情報を独占し、独自判断と見て間違い無いだろう。」

 

翼がクリスに続いて答える。

 

「F.I.S.は自国の政府まで敵に回して何を企んでいるんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ステルス機能で姿を消している飛行機の操縦室の中で檻に入ったネフィリムをモニターで見ていた。

 

(遂に本国の追っ手にも捕捉されてしまった…だけど以前、ネフィリムの成長は途中段階。フロンティアの起動には遠く至らない。)

 

ナスターシャがモニターを切り替えると、ソロモンの杖を持ったウェルが映し出された。そしてもう一度切り替えると、今度はペンダントを持つマリアの姿が。

 

セレナの意思を継ぐ為にあなたは全てを受け入れた筈ですよマリア。もう迷っている暇など無いのです。)

 

マリアは6年前の出来事を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

F.I.S.研究所にてネフィリムが暴れ始めた事を。司令室には警報が鳴り響いている。そこにマリアと1人の少女が。彼女の名はセレナ・カデンツァヴナ・イヴ。マリアの妹だ。

 

『ネフィリムの出力は以前不安定、やはり、歌を介さずの強制起動は完全聖遺物を制御出来るのではなかったですね!』

 

ナスターシャが言う。

 

『私、歌うよ。』

 

セレナが口を開く。

 

『でも、あの歌は…!』

 

『私の絶唱で、ネフィリムを起動する前の状態にリセット出来るかもしれないの。』

 

『そんな賭けみたいな…! もしそれでもネフィリムを抑えられなかったら…!』

 

マリアは反対だった。最愛の妹を危険な目に合わせたくなかったからだ。しかし、セレナは首を横に振る。

 

『その時は、マリア姉さんが何とかしてくれる。F.I.S.の人達もいる。私だけじゃない。だから、何とかなる!』

 

セレナは明るく答える。

 

『セレナ…』

 

『ギアを纏う力は、私が望んだ物じゃないけど、この力でみんなを守りたいと望んだのは私なんだから。』

 

そういうとセレナは走り出す。追いかけるマリアを引き止めるナスターシャ。

 

 

 

そしてセレナは白を基調としたシンフォギアを纏う。燃え盛る炎の中、彼女は歌う。

 

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal』

 

『Emustolronzen fine el baral zizzl』

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal』

 

『Emustolronzen fine el zizzl』

 

そして閃光と共に爆発が起こる。シンフォギアが解除された彼女の手には起動前のネフィリムが。

 

『セレナ!』

 

マリアが炎の中、セレナの元へ向かう。しかし、炎が行く手を阻む。

 

『誰か!私の妹が!』

 

『貴重な実験サンプルが自滅したか!』

 

『実験はただじゃないんだぞ!』

 

彼女の叫びを無視して指令室では職員達が言い合う。

 

『どうしてそんな事が言えるの!? あなた達を守る為に血を流したのは私の妹なのよ!』

 

マリアを振り返るセレナは口から血を流し目を見開き涙の様に血が出ている。

 

 

『良かった…マリア姉さん…』

 

 

『セレナ! セレナ!!』

 

やがて研究所の天井から落石がマリアの目の前でセレナに落下する。

 

『セレナァァァーーーーーー!!!』

 

彼女の叫びが燃え盛る研究所に響き渡った。マリアの最愛の妹、セレナ・カデンツァヴナ・イヴは暴走するネフィリムを鎮める為に命を燃やして血を流して歌い、13歳の生涯を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現代。ペンダントを見つめるマリア。

 

(セレナ…あなたと違って、私の歌では誰も守る事は出来ないかもしれない。)

 

すると、ナスターシャから通信が入る。

 

「間も無くランデブーポイントに到達します。いいですね?」

 

「OK.マム。」

 

マリアは小さい声で答えた。

 

 

 

 

 

 

 

そして夕方。大破したかつてフィーネが建てたカ・ディンギルの前に飛行機が到着。そこにはリディアンから撤退した調と切歌の姿も。

 

「マリア! 大丈夫デスか!?」

 

切歌が心配そうに言う。

 

「ええ。」

 

安堵の表情を浮かべる2人。

 

「そこへナスターシャとウェルが現れる。調と切歌はまだペンダントを奪っていないから決闘する事を言うと、ナスターシャは2人に平手打ちを浴びせ、戦いは遊びではないと言う。それを仲裁するウェル。2人の決闘に乗ってみたいと言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、二課ではノイズの反応がカ・ディンギルの跡地から出た事から決闘の狼煙が上げられた事を響達は悟る。一方、ガトライクフォンでその反応を探知した隼人も、闇黒剣月闇を手にして部屋を後にした。

 

 

カ・ディンギル跡地へと向かう3人。

 

「決着を求めるに、おあつらえ向きの舞台と言う訳か。」

 

そして3人の前にある人物が。ウェルだ。

 

「野郎!」

 

ウェルはソロモンの杖でノイズを召喚する。

 

 

「Balwisyall nescell gungnir tron」

 

「Imyuteus amenohabakiri tron」

 

「Killter Ichaival tron」

 

3人は聖詠を唱え、ギアを纏う。響は己の拳と足で、翼は刀で、クリスはガトリングで次々にノイズ達を炭素に還していく。

 

「調ちゃんと切歌ちゃんは!?」

 

響がウェルに問う。

 

「あの子達は謹慎中です。 だからこうして僕が出張ってきているのですよ。お友達感覚で計画遂行に支障をきたされては困りますので。」

 

調と切歌を謹慎中と言うウェル。

 

「何を企てる!? F.I.S.!」

 

翼がウェルに何が目的なのか聞く。

 

「企てる? とんでもない。我々が望むのは人類の救済!」

 

人類の救済と称してウェルは夜空の満月を指差す。

 

月の落下にて失われる命を可能な限り救い出す事だ!」

 

(((月の!?)))

 

ウェルの言葉に心の中で驚く3人。

 

「月の公転軌道は各国機関が三カ前から計測中!落下などの結果が出たら黙って」

 

「黙ってるに決まってるじゃないかぁ〜。」

 

馬鹿にした表情で翼を蔑むウェル。

 

「対処方法の見つからない極大災厄など、さらなる混乱を招くだけです。不都合な真実を隠蔽する理由などいくらでもあるのですよ!」

 

 

「なるほど。それが貴様等のやり方か。」

 

「あぁ?」

 

その時、翼の目の前のノイズが横から飛んできた斬撃波を受け粉々となる。響達とウェルがその方向を見ると、闇黒剣月闇を構えたカリバーが立っていた。

 

「カリバー!」

 

「来ましたねカリバー。 また会えて嬉しいですよ…。」

 

不敵に笑うウェルを仮面の下で睨み付けるカリバー。

 

「全くどいつもこいつもこの世界にはろくな考えしか持たない奴等がいくらでもいるな。」

 

「あなたなら、どうしますか?」 

 

ウェルは再びノイズをカリバーに向けて召喚する。

 

「貴様等の行動に対して私の答えは、貴様等を始末させてもらう。」

 

ウェルに向けてカリバーは闇黒剣月闇を構え、ノイズ達を斬っていく、

 

「対する僕達の答えは、ネフィリム!」

 

すると、地面から突然ネフィリムが現れ、地上に飛び出す。その時鳥型ノイズが粘液で翼とクリスを拘束する。

 

「人を束ね、組織を編み、国を建てて命を守護する!ネフィリムはそのための力!」

 

ネフィリムは咆哮を上げ、翼とクリスに襲いかかる。そこへ響が飛び蹴りを浴びせネフィリムを怯ませる。ネフィリムに拳と蹴りを浴びせる響。ノイズを斬り裂くカリバーを見てウェルは言う。

 

「ルナアタックの英雄達よ!その剣と拳で何を守る!?」

 

響は両腕のギアパーツをスライドさせ、カリバーは闇黒剣月闇に紫色のエネルギーを纏わせる。そして響は一撃を喰らわせ、カリバーはノイズ達を一掃する。 

 

「そうやって君達は!誰かを守るための剣と拳でもっと多くの誰かをぶっ殺してみせるわけだぁぁぁ!」

 

ウェルがノイズを召喚しながらカリバーと響に対して叫ぶ。

 

「戯言を!」

 

カリバーが声を上げる。

 

『それこそが偽善…!』

 

響の脳裏に調の言葉が浮かび上がる。

 

響が左腕を伸ばした瞬間、ネフィリムが響の腕を喰らいついた。

 

「え?」

 

突然の事に気の抜けた声を出す響。そしてネフィリムは響の左腕を食いちぎった。左腕から血が噴き出す。

 

「立花ァァ!!」

 

「…っ!!」

 

絶句する翼とカリバー。狂気に満ちた笑顔を浮かべるウェル。ネフィリムは美味しそうに響の左腕を食している。そして響はネフィリムを絶望の表情で見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわああああああああああああああああ!!」

 

夜空に響の絶叫が響き渡った。

 

それを聞いて醜悪な笑みを浮かべるウェル。膝を突く響。

 

 

「いったぁぁぁーー!! パクついた…シンフォギアをぉ…これでぇぇぇーー!!」

 

ネフィリムが響の左腕を食した事でテンション上がって叫ぶウェル。痛みに顔を歪ませる響。

 

「あのキテレツ! どこまで道を外してやがるのデスか!?」

 

その様子を見ていた切歌が声を荒げ、壁を殴る。

 

「ネフィリムに聖遺物の欠片を餌と与えるって、そういう……。」

 

モニターを見て中学生達の最期を思い出すマリア。そして輸送機から出ようとする。

 

「どこへ行くつもりですか?あなたたちに命じているのはこの場での待機です。」

 

マリアを引き止めるナスターシャ。

 

「あいつは!人の命を弄んでいるだけッ!こんな事が私達のなすべきことなのですかッ!?」

 

マリアの言葉にナスターシャは何も答えない。

 

「……」

 

「…アタシ達…正しい事をするんデスよね…?」

 

「間違っていないとしたら…どうしてこんな気持ちになるの?」

 

調と切歌が暗い表情をして言う。

 

「…その優しさは今日を限りに捨ててしまいなさい。私たちには微笑みなど必要ないのですから…。」

 

非情にもナスターシャはマリア達に優しさを捨てろと冷たく言い放つ。

 

「くッ……。」

 

マリアは部屋を後にした。そして座り込み、セレナの形見のペンダントを見つめる。

 

「何もかもが崩れていく…。このままじゃいつか私も壊れてしまう…。」

 

「セレナ…どうすればいいの…。」

 

マリアは自分がどうすればいいのか分からなくなっていた。

 

 

 

 

「立花ッ! 立花ァァァーーーーーー!!」

 

その頃、左腕をネフィリムに食いちぎられた響に翼が叫ぶ。

 

「完全聖遺物ネフィリムは、いわば自律稼働する増殖炉!他のエネルギー体を捕食し、取り込む事でさらなる出力を可能とするゥ~!さぁ始まるぞ!聞こえるか?覚醒の鼓動!この力がフロンティアを浮上させるのだ!フハハハ!ハハハハ!フヒヒヒヒ!」

 

ハイテンションなウェルの言葉と共にネフィリムが赤い光を放つ。ウェルは狂ったかの様に笑う。笑い続ける。その時、響が唸り声を上げる。

 

 

「ま…まさか…!」

 

カリバーが声を上げる。そのまさかだ。響の胸が光り出したのだ。そして黒く染め上がる。体は赤黒く、その顔は牙を剥き出しにして赤く光り憎悪に満ちた眼だ。そしてネフィリムと対峙する響。

 

「これが…フィーネの観測記録にあった…立花響の…」

 

「暴走…だと…!?」

その様子をナスターシャと調と切歌、弦十郎は見ていた。

 

「グゥゥゥ…ウガァァァ!」

 

獣の様な咆哮を上げ左腕を黒いエネルギーを出して再生した。

 

「腕を再生しただと…」

 

「ギアのエネルギーを腕の形に固定!?まるでアームドギアを形成するかのように!」

 

カリバーと翼は響が腕を再生した事に驚いた。

 

「ガウゥッ!」

 

響は四つん這いになる。

 

「ま、まさか…!?」

 

そのまさかだ。

 

「ッ!ウァァッ!!」

 

ネフィリムに飛びかかり、殴り付ける。

 

「や、止めろー!止めるんだー!成長したネフィリムは、これからの新世界に必要不可欠な物だ! カリバー! 君の力で彼女を止めてくれ!!」

 

ウェルの声など聞かずに響はネフィリムを攻撃する。ネフィリムを響に殺されそうになったウェルはどう言う訳かカリバーに助けを求めた。しかし…

 

貴様の様な下劣な人間の頼みなど、私が聞くとでも思っているのか。

 

「………っ!!」

 

カリバーはウェルの頼みを殺意に満ちた声で切り捨てた。

 

貴様は斬るよりも、痛み苦しみを浴びせ続けてやろう。

 

カリバーは闇黒剣月闇を構えてゆっくりとウェルに近づいていく。

 

「ひぃぃ…! く、来るなッ! 来るなぁぁ!!」

 

ウェルは尻餅を突き、怯えた表情でカリバーを見る。今のウェルにはカリバーが闇黒剣月闇を持った暴走した響にも見えているのだ。

 

暴走した響がネフィリムを蹂躙しているのを尻目にカリバーはウェルの首を掴み上げ、闇黒剣月闇のグリップで殴り付ける。その後ろでは響がネフィリムの身体に手刀を突っ込み心臓を取り出した。

 

「ううううああああがぁぁ!!」

 

それを見て発狂するウェルの頭を再び殴り付けるカリバー。ウェルの眼鏡が吹っ飛ぶ。そこからカリバーは連続でウェルをひたすら殴る。痛みを与え、苦しませる為に。

 

 

そして響は空へ飛び、右手をネフィリムの背中に突き刺し、赤い閃光と共に爆散させた。 その爆発の衝撃はマリア達がいる飛行機に響く程だ。

 

「ひっ…ひぃぃッ!!」

 

暴走する響を見てカリバーの手を振り解いて逃げ出そうとするウェルだが影を踏まれているので動きが鈍くなり、捕まる。そして後頭部を殴り付けられる。

 

「もうよせ立花!もういいんだ!」

 

「お前、黒いの似合わねえんだよ!」

 

翼とクリスが響を必死に押さえつける。それを尻目にカリバーはウェルの胸倉を掴みひたすら闇黒剣月闇のグリップで頭を殴っていた。殴られたウェルの頭からは血が流れ、目には涙を浮かべ鼻を垂らしている。そして蹴飛ばす。

 

今日はこんな所だな。さっさと失せろ。次に会う時まで怯えているがいい…!!

 

「はぁ…はぁ…うああ…うわああ…!!」

 

カリバーの殺意に満ちた声を聞いたウェルは眼鏡を拾いフラフラになりながらもカリバーから逃げていった。そして暴走した響は咆哮と共に強い光を放ち元の姿に戻った。

 

「立花!立花しっかりしろ!」

 

「ようやく収まった様だな。だが皮肉な物だ。暴走した事で食いちぎられた左腕が再生したのだからな…」

 

カリバーが皮肉げに答える。カリバー達の周りには巨大なクレーターが出来ていた。

 

一方、それを見ていたナスターシャは吐血し、気を失っていた。マリアは調と切歌に対してウェルを連れてくる様指示した。マリアは自分がフィーネを背負い切れていないと自分を責めていた。

 

 

 

暴走後気を失った響はすぐに二課の医療施設に緊急搬送された。それを見つめる弦十郎とクリスに翼。治療室に運ばれた響は、夢を見ていた。それは、2年前に受けた迫害の夢だった。学校ではいじめられ、クラスメートからは無視され罵詈雑言を浴びせられ自宅には心ない言葉が書かれた紙があちこちに貼り付けられていた。窓ガラスを割られ、母と祖母と共に味わったあの忌まわしい記憶。そして響は目を覚ました。ふと横を見ると、「早く元気になってね」と未来のメッセージが。

 

(私のしてる事って…調ちゃんの言った通り、偽善なのかな…)

 

そんな事を思っていると、胸に何かが付いている事に気づいた。それは、かさぶただった。

 

そして響は退院。翼は何故か響に戦場に出るなと冷たく突き放す。しかし、それにはある理由があった。

 

『これは…?』

 

弦十郎に呼び出された翼はある物を見せられた。黒い物体に黄金色をしたカケラがいくつも刺さっていた。

 

『メディカルチェックの際に採取された響君の体組織の一部だ。』

 

『胸のガングニールがっ!?』

 

『身に纏うシンフォギアとしてエネルギー化と再構成を繰り返してきた結果、体内の浸食深度が進んだのだ。』

 

弦十郎が響の体組織の写真を見せる。胸を中心にかなり浸食されていた。

 

『生体と聖遺物が1つに融け合って…。』

 

『適合者を超越した響くんの爆発的な力の源だ。』

 

これまで響が見せてきた強大な力を思い出す翼。

 

『この融合が立花の命に与える影響は…?』

 

『遠からずに至るだろう…。』

 

『立花の死…死ぬ…?馬鹿な…。』

 

信じられない。響が死ぬなんて。翼は信じたくなかった。

 

『そうでなくてもこれ以上の融合状態が進行してしまうと、それは果たして…人として生きていると言えるのか…。』

 

『皮肉な事だが、暴走時に観測されたデータによって、我々では知り得なかった危険が明るみに出たという訳だ。』

 

「壊れる立花…。」

 

『F.I.S.は月の落下に伴う世界の救済など立派な題目を掲げてはいるが、実際はノイズを操り、進んで人命を損なうような輩だ。このまま放っておくわけにはいくまい。』

 

『だが…、響くんを欠いた状態で我々はどこまで対抗できるのか…。』

 

『…それでも、立花をこれ以上戦わせるわけにはいきません。』

 

『かかる危難は全て防人の剣で払ってみせますッ!』

 

そう。冷たく突き放したのは響を死なせたくない翼のエゴだったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、自宅にいる隼人は寝室でジャオウドラゴンを手にして見つめていた。

 

(奴等の計画を知った今、これを使う時が来たかもしれない。だがこれは一体何の為に生まれたんだ?奴等への怒りがこれを作り出したと言うのか?どんな力が秘められているんだ? 俺はこれを使う事が出来るのか? 力に溺れたりしないのだろうか?)

 

隼人はこのジャオウドラゴンがジャアクドラゴンよりも遥かに強大な力を秘めている事をまだ使っていない時点で分かっていた。何の為に生まれたんだ。何故これが出来たのか。自分にこれを使う資格があるのか。そんな思考が隼人の中で渦巻いていた。

 

 

 

 

 

「きひひ…ひひ…きひひ……ひひひひいい……こんなところにあったのかぁ~!」

 

その頃、カリバーに受けた傷を治療をしたウェルは響が引きちぎったネフィリムの心臓を見つけ、テンションを上げていた。

 

「ひひひひ…これさえあれば英雄だぁ~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、隼人はガトライクフォンでノイズ反応を探知、闇黒剣月闇とジャアクドラゴン、そしてジャオウドラゴンを手に部屋を後にした。

 

 

その一方、響は未来と板場達と共に公園近くを歩いていると、3台の黒い車が横切り、爆発した。響達はそこへ向かうと、そこにはノイズを率いたウェルがいた。

 

 

「うっひひひひ…誰か追いかけてきたって…こいつを渡すわけには…。」

 

笑うウェルの左手には包まれたネフィリムの心臓が。

 

「ウェル…博士…。」   

 

響はウェルを睨みつける。

 

「な、なんで!お前がここに…ひぃぃぃっ!!」

 

響を見て驚くウェル。すると…

 

「私もいるぞ?」

 

「っ!!」

 

響達の後ろから変装した隼人が闇黒剣月闇を持って歩いてきた。

 

【ジャアクドラゴン!】

 

【ジャアクリード!】

 

「うわあぁぁ!! まさか、カリバー!?」

 

ジャアクドラゴンの起動音とジャアクリードの音を聞いて響を見た反応よりも驚くウェルはソロモンの杖で未来達にノイズを召喚する。ひたすら殴られた事がトラウマになっている様だ。

 

「Balwisyall nescell gungnir troooon!!」

 

未来達の前に出て走りながら響の力強い精鋭が響き渡り、生身でノイズに拳を放つ

 

「人の手で…ノイズに触れただと…」

 

ウェルが驚いた。そして腕から響は光を放ちギアを纏う。

 

【闇黒剣月闇!】

 

「変身。」

 

隼人が呟く様に声を放つ。そして闇黒剣月闇を縦に振りノイズに向けて斬撃波を放つ。

 

【Get go under conquer than get keen.(月光!暗黒!斬撃!) ジャアクドラゴン!】

 

【月闇翻訳!光を奪いし、漆黒の剣が冷酷無情に暗黒竜を支配する!】

 

ノイズを斬り裂き返ってきた斬撃波と紫のオーラと共に隼人は歩きながらカリバーに変身した。

 

そして驚愕の表情をするウェルに響は叫び、カリバーが言う。

 

「この拳も、命も、シンフォギアだッ!!」

 

「さぁ、この前の続きといこうか。」




いかがだったでしょうか?ウェルに対しては斬るよりも痛みと苦しみを浴びせ続けるという結果にしました。ただ読者の皆様は納得してくれるかどうか不安です…。次回ようやくカリバーのあの姿を出せそうかもしれません。今回はここまでです。感想お待ちしています。
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