【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

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ようやく折り返し後半まで来ました。問題はフィーネの魂が無くなった事で調と切歌の喧嘩の部分をどうするか…。1つ2つ設定を変えただけで改変する部分が多くなってしまう…。クロスオーバー物を書くって難しい…。







第32話 連鎖する、それぞれの思惑。

ウェルとの戦いでカリバーは新たな姿、ジャオウドラゴンとなって調と切歌を圧倒的な力で退けるも、戦いの中、響の胸の聖遺物のカケラがさらに彼女を蝕んでしまう。これ以上戦えば最悪死に至ると宣告される。一方、ナスターシャはマリアにフィーネを演じるのはもうやめる様話し、マリアもカリバーによってフィーネの魂が消された事をナスターシャに告げる。それぞれの思惑が渦巻く時、事態は急変していく。

 

 

 

 

 

 

 

「この力は…かなり危険な匂いがする…」

 

寝室にいた隼人はジャオウドラゴンを手に取って見つめて調と切歌を圧倒した事を思い出していた。ジャアクドラゴンを遥かに凌駕するこの力。使い続けたら何か代償があると思ってしまう。力に溺れてしまう事もあり得る。

 

「今後は考えて使うか…」

 

隼人は今後ジャオウドラゴンを多用するのは極力控える事にした。使うとしたら、いざという時や、強大な敵と戦う最終手段として。しかし、隼人はこれから先、これを使わざるを得ない状況が幾つもある事をまだ知る由も無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、武装組織フィーネの飛行機にて、マリアは操縦室にて操縦桿を握りしめていた。

 

 

マリアは調と切歌と共にノイズのバトルシュミレーションをしている中、ナスターシャに言われた事を思い出していた。それは、フィーネである事を演じ続ける事。計画遂行の為にはウェルの力が必要。しかし、マリアは今更そんな事は出来なかった。その時、槍から放った光が、作り物とはいえ、人を貫いてしまった。愕然とするマリア。そしてシュミレーションは終わった。

 

 

 

(だけど…マムはこれ以上フィーネを演じる必要はないと言った。神獣鏡とネフィリムの心臓…。フロンティア起動の鍵が揃った今、どうしてこれ以上…嘘をつく必要はないと言ったのか…。)

 

マリアは、ナスターシャの言葉に疑問を抱いていた。すで人類救済の方舟、フロンティア起動には神獣鏡とネフィリムの心臓が揃っているのに。どういう事なのか。マリアがそんな事を思いながらもレーダーには目的地フロンティアが映し出されていた。

 

 

 

 

 

 

 

「オーバードーズによる不正数値もようやく安定してきましたね。」

 

調と切歌はウェルの元で身体検査を受けていた。

 

「よかった…これでもう脚を引っ張ったりしない。」

 

ウェルの言葉にホッとする調。

 

「LiNKERによって装者を生みだす事と同時に、装者の維持と管理もあなたの務めです…。よろしくお願いしますよ。」

 

「分かってますって。もちろん、あなたの身体の事もね。」

 

ウェルが答えた。

 

「マム。もう大丈夫。次こそカリバーの力を手に入れて来るから。」

 

「そうデス! あいつをギャフンと言わせてやるデス!」

 

自信満々にカリバーを倒す事をナスターシャに言う調と切歌。

 

「調。切歌。もう、カリバーの力を狙うのはやめなさい…。」

 

ナスターシャの言葉に驚愕の表情を浮かべる2人。

 

「え…?」

 

「どうしてデスか? カリバーの力があれば世界を救えるって! マムの病気も治せるかもしれないんデスよ!?」

 

声を上げる切歌を落ち着かせるナスターシャ。

 

「私はあなた達とカリバーの戦いを見ていました。あなた達ではカリバーには勝てません。それにあの力は私達が持つには強大過ぎます。私はこれ以上あなた達が傷つくのを見たくありません。あなた達を失いたくありません。私に残された時間は僅か…。その為に人類救済の方舟フロンティアを起動させなければなりません…。」

 

「マム…」

 

ナスターシャの自分達を傷つくのを見たくない、失いたくないという言葉に思い詰めた表情をする調と切歌。

 

 

 

 

 

 

「これは響君の体のスキャン画像だ。体内にあるガングニールが更なる浸食と増殖を果たした結果、新たな臓器を形成している。これが響君の爆発力の源であり…命を蝕んでいる原因だ。」

 

その頃、回復した響は翼とクリスと共に弦十郎から響の体のスキャン画像を見て、彼女の力と命を蝕む原因を聞かされていた。

 

「くっ…!」

 

画像を見て歯を食いしばるクリス。

 

「…あは…。あはーはっはー…」

 

弦十郎の言葉を聞いて笑い出す響。

 

「つまり、胸のガングニールを活性化させるたびに融合してしまうから、今後はなるべくギアを纏わないようにしろと…あはは、あは~は…」

 

「いい加減にしろッ!!」

 

そんな響の手首を掴み、声を荒げる翼。

 

「なるべくだと? 寝言を口にするな!今後一切の戦闘行為を禁止すると言っているのだ!」

 

「翼さん……。」

 

「このままでは死ぬんだぞ!立花!」

 

ハッとする響。怒鳴る翼の目には、涙が浮かんでいた。

 

「そんくらいにしときな! このバカだって分かってやってるんだ!」

 

響から翼を引き剥がすクリス。翼は何も言わず病室を後にした。

 

「医療班だって無能ではない。目下、了子君が残したデータ元に対策を進めている最中だ。」

 

弦十郎が響の頭に手を置く。

 

「師匠…」

 

「治療法なんて、すぐに見つかる。そのほんの僅かな時間、ゆっくりしてもバチなど当たるものか。だから今は休め。」

 

「分かり…ました。」

 

響は小さく答える。

 

一方、病室を出た翼はやるせない気持ちを抑えられず、壁を殴りつけていた。

 

(涙など…剣には無用…!! なのに…何故溢れて止まらぬ…?! )

 

翼の目には涙が溢れ、頬をつたっていた。

 

(今の私は…仲間を守る剣に能わずということか…!!)

 

「翼さん。」

 

そこへ緒川がやってくる。

 

「分かっています。今日はいくつか取材が入ってましたね。」

 

翼は流れる涙を拭きながら答え、歩いていく。

 

「翼さん!」

 

「1人でも行けます。 心配しないでください。」

 

その場を去っていく翼の背中を緒川は見ている事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、マリア達は飛行機でフロンティアが眠る海面で到着していた。

 

「マリア、お願いします。」

 

ナスターシャの声にマリアが操作し、飛行機から何かを射出した。

 

「シャトルマーカー、展開を確認。」

 

「ステルスカット。神獣鏡のエネルギーを収束。」

 

そして飛行機のステルス機能を解除した。

 

「長野県皆神山より出土した神獣鏡とは、鏡の聖遺物。…その特質は、光を屈折させて周囲の景色に溶け込む鏡面迷彩と、古来より伝えられる魔を祓う力…。」 

 

「聖遺物由来の力を中和する神獣鏡のエネルギーをもってしてフロンティアに施された封印を解除します。」

 

その時ナスターシャの手首を誰かが掴む。ウェルだ。

 

「フロンティアの封印が解けるということは、その存在を露わにするということ。全ての準備が整ってからでも遅くはないのでは?」

 

「心配は無用です。」

 

「リムーバレイ、ディスチャージ。」

 

操縦室の機器に設置されたペンダントと機械が光出す。そしてナスターシャがボタンを押すと、紫の光が撃たれ、シャトルマーカーがはんしゃし、海面へと入っていった。

 

「これで…フロンティアに施された封印が解ける…解けるぅぅぅ~っ!」

 

フロンティア解放にウェルは心を躍らせていた。そして海底に光が差し込み、水面から巨大な水泡が立ち込めるが、すぐに消えた。

 

「解けー…――…解けない?」

 

「……。」

 

「と…解け…、解け……ない?」

 

ウェルは呆然としていた。

 

「出力不足です。…いかな神獣鏡の力といえど、機械的に増幅さした程度ではフロンティアに施された封印を解くまでには至らないということ。」

 

「あなたは知っていたのか?聖遺物の権威であるあなたが、この地を調査に訪れて何も知らないはずなど考えられない!この実験は今の我々ではフロンティアの封印解除に程遠いという事案を知らしめるために!違いますか?」

 

「これからの大切な話をしましょう。」

 

「ぐっ、くぅぅぅーーっ!ぅうううう~~~!」

 

ナスターシャを睨みつけ、眉間に皺を作りながらウェルは歯軋りをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デタラメ…だと?」

 

「はい。NASAが発表している月の公転軌道と質量には、わずかながら差異があることを確認しました。」

 

「誤差は非常に小さなものですが、間違いありません…。そして、この数値のズレがもたらすものは――」

 

モニターには地球を中心に月の公転軌道と月の質量が映し出された。

 

「ルナアタックの破損による月の公転軌道のズレとカリバーが欠けた所を修復した後に発表された質量は、今後数百年の間は問題ないという米国政府の公式見解を鵜呑みにはできないということか。」

 

『月の落下にて損なわれる無垢の命を可能な限り救いだす事だ!』

 

弦十郎はウェルが言っていた言葉を思い出す。

 

「…いや、遠くない未来に落ちてくるからこそF.I.S.は動いていたわけだな。」

 

 

 

  

 

    

 

 

その頃、東京スカイタワーにて。マリアとナスターシャがエレベーターから降りた。

 

『あなたにこれ以上、新生フィーネを演じてもらう必要はありません。』

 

ナスターシャに言われた事を思い出すマリアはナスターシャの車椅子を押しながら廊下を進んだ。

 

「マム…あれはどういう…」

 

「言葉通りです…。私たちがしてきたことはテロリストの真似事に過ぎません。真に成すべきことは、月がもたらす災厄の被害をいかに抑えるか…違いますか?」

 

彼女の言う通り、自分達がしてきた事は人類の救済と正当化してテロリスト同然の事を平然としてきた。本当のやるべき事は月の被害を最小限に抑える事と言った。

 

「つまり、今の私達では世界は救えないと?」

 

そして部屋に入った時、目の前に黒いスーツにサングラス姿の男性達が立っていた。

 

 

「!?」

 

「マム…これは?」

 

「米国政府のエージェントです。講和を持ちかけるため私が招集しました。」

 

「講和を…結ぶつもりなの?」

 

「ドクターウェルには通達済みです。さぁ、これからの大切な話をしましょう。」

 

 

机の前に移動するナスターシャを見て、マリアは何が考えなのかと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(気晴らしに出かけて来たけど、何か頭がモヤモヤするなぁ…。)

 

その頃、隼人は気を晴らす為にスカイタワーの水族館に来ていた。

 

「ここの魚は良いよなぁ…悩み事なんかが無さそうで…客に見られる為に水槽の中を泳いでるだけで良いんだもんなぁ…。)

 

隼人は水槽の中の魚を見ながら悩みがない事を心の中で愚痴っていた。

 

(それに比べて俺は解決しなさそうな悩み事があるんだよなぁ…それも…)

 

「うひゃあああああ!?」

 

突如、何処からか聞き覚えのある声が。

 

「何だ? っ!?」

 

声のする方向へ向かった隼人が見た物は…

 

 

「大きな声出さないで。」

 

「だだだだだだって、こんなことされたら誰だって声が出ちゃうって!」

 

「響が悪いんだからね。」

 

響と缶ジュースを持つ未来だった。

 

(立花響と小日向未来…まさか同じ水族館に来ていたとは…あいつら何しにここに来たんだ?)

 

隼人は偶然響と未来と同じ水族館に来ていたのだ。

 

「心配しないで。今日は久しぶりのデートだもの…楽しくないはずがないよっ!」

 

(デ…デートッ!? あいつらそういう関係なのか!? 親友とかじゃなくてそういう事なのか!?)

 

隼人は響のデートと言う言葉に心の中で更に驚きを隠せないでいた。何か勘違いをしながら。

 

(まっ…まぁ愛にはいろんな形があるって言うしな……その愛を否定する権利なんて俺や他の誰かには無いよな! )

 

隼人はそのまま2人から遠ざかっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん…思った通りの味が出た。」

 

エプロンを付けた調は料理の味見をしていた。彼女の目の前には何故かカップラーメンが2つ置かれていた。調はカップラーメンのスープの味見をしていた。一方切歌は飛行機の近くの木の下でナスターシャが言っていた言葉を思い出していた。

 

 

『私はこれ以上あなた達が傷つくのを見たくありません。あなた達を失いたくありません。』

 

「マム…どうしてあんな悲しい顔をしたのデス…? マリアと調とアタシは、マムの優しい顔が見たいだけデスのに…マリアだって…フィーネである事を背負いながら……」

 

ナスターシャの言葉と悲しい顔が思い浮かんだ、するとそこへ調がやってくる。

 

 

「切ちゃん。ご飯の支度できたよ。」

 

「あ、ありがとデス…。何を作ってくれたデスか?」

 

切歌に対して調は298円とだけ答える。

 

「ごちそうデース!」

 

298円とは、先程調が作ったカップラーメンの事だ。彼女達にとってカップラーメンは滅多に食べれないご馳走なのだ。

 

「ドクターは何かの任務?見当たらないけれど。」

 

「知らないデス。気にもならないデス。あいつの顔を見ないうちにサッサとご飯にしちゃうデスよ。」

 

 

 

 

スカイタワーではマリアが米国のエージェントに何かのデータが入ったチップを渡していた。

 

「異端技術に関する情報、確かに受け取りました。」

 

そう言って懐にチップをしまうリーダー格の男。

 

「取扱いについては別途私が教示いたします…。つきましては…」

 

すると、男が突然ナスターシャに拳銃を突き付ける。

 

「マム!」

 

部下たちも一斉に拳銃を向ける。

 

「あなたの歌よりも、銃弾は遥かに速く躊躇なく命を奪う。」

 

「くっ!」

 

「はじめから取り引きに応じるつもりはなかったのですか?」

 

「必要なものは手に入った…。あとは不必要なものを片付けるだけ。」

 

彼らは最初から取引するつもりなんてなかった。データさえ入手できれば彼女らは用済みとして始末するつもりだったのだ。すると、空から飛行型ノイズが編隊を組んで飛行していた。

 

 

 

その頃、水族館を出た隼人がガトライクフォンでノイズを探知、上空を飛行しているのを遠くから見つけていた。

 

「嘘だろ…!?」

 

隼人はすぐに路地裏に向かった。

 

 

 

 

 

 

「ノイズ!?」

 

ノイズはスカイタワーの窓ガラスをすり抜け、エージェント達を炭素と化していく。

 

 

 

「誰も彼もが好き勝手な事ばかり。」

 

カフェにいたウェルはそう言いながらコーヒーを口にした。ノイズを召喚したのは彼だ。

 

 

「うわぁぁぁ!!」

 

「ぎゃあああああああ!!」

 

エージェント達はウェルが召喚したノイズによって全滅した。

 

「Granzizel bilfen gungnir zizzl」

 

マリアは聖詠を唱え、ギアを纏った。そしてノイズ達を歌いながら槍で貫いていく。そして爆発が起き、響と未来がいる展望台までその衝撃が響く。

 

「おい!あれノイズじゃないか!?」

 

「逃げろ!」

 

ノイズを見た人々は一斉に逃げていく。そして外ではストームイーグルの力で飛行すしながらノイズを斬るカリバーの姿が。それを見た響は走り出すが、未来が止める。

 

「行っちゃダメ!行かないで!」

 

「未来…だけど行かなきゃ。」

 

「この手は離さない!響を戦わせたくない!遠くに行ってほしくない!」

 

未来は響の胸のガングニールが響を蝕む事を知っている戦えば戦う程響は人でなくなり死んでしまう。それだけは避けたかった。

 

「お母さんどこ…お母さん!怖いよぉ…。」

 

迷子になって泣いている男の子を見る2人。

 

「胸のガングニールを使わなければ大丈夫なんだ!…このままじゃ…」

 

「…響。」

 

響と未来は走り出した。

 

 

 

マリアはチップを踏み砕き、ナスターシャを抱えて部屋を出る。そして廊下のノイズを槍で斬り裂く。

 

 

「うっひひひひ…いっしししし…!!」

 

爆発するスカイタワーを見てウェルは醜悪な笑みを浮かべ笑っていた。

 

 

スカイタワーでは自動小銃て武装した兵士達が突入する。発砲してくる兵士達からマントでナスターシャを守るマリア。そしてマントを伸ばして兵士達を吹っ飛ばす。  

 

 

「マリア、待ち伏せを避けるため、上の階からの脱出を試みましょう…!」

 

マリアはナスターシャの言う通り、階段で上の階を目指した。空にはまだ飛行ノイズが飛んでいる。それをカリバーがひたすら斬り裂いていく。

 

 

「ほらほら、男の子が泣いてちゃみっともないよ。」

 

「みんなと一緒に避難すればお母さんにもきっと会えるから大丈夫だよ。」

 

響と未来は迷子の男の子を連れて展望台内を歩いていた。そこへ職員達やって来る。

 

「大丈夫ですか?早くこっちへ。」

 

「あなた達も急いで!」

 

職員は男の子を抱き抱え、走り去っていく。

 

「うん!」   

 

その時、ノイズが展望台内に突入。爆発で天井が落下する。

 

「危ない!」

 

未来は響と共に下敷きになるのを辛うじて免れた。

その頃、マリア達は一般客を撃った3人の兵士に遭遇。自動小銃で銃弾を防ぐ中、マントで兵士を吹っ飛ばす。そして撃たれた人達を見つめる。

 

「マリア…。」

 

「私の…せいだ。」

 

 

「全ては、フィーネを背負い切れなかった私のせいだああーーッ!!」

 

 

目の前で人が倒れ、助けられずに情け無い自分に激昂したマリアは兵士達を薙ぎ倒し、槍で斬る。その槍には、血が付いていた。彼女の目に僅かに涙が浮かんでいた。

 

 

 

 

「ありがとう、未来…。」

 

「うん…。」

 

間一髪助かった響と未来は、中破し、誰もいなくなった展望台にいた。

 

「…あのね、響…っ!! う、うわぁ!?」

 

「うわぁわ!わわわわ!」

 

「響ーーーッ!!」

 

直後に崩れ落ちそうになり、響が落下しそうになるが、間一髪手首を掴む。

 

「……っ!」

 

「…!」

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……。」

 

「イヤー!助けて!助けてー!!」

 

 

血が飛び散った廊下で息を荒げるマリアを見て怯える一般客

 

「狼狽えるな!」

 

「ひぃっ!」

 

「狼狽えるな!行けっ!」

 

「ぅわぁ!ひぃぃー!」 

 

マリアの声で一般客はその場から逃げた。

 

『狼狽えるな!』

 

かつて世界の前で革命を起こした時に観客に言った事が脳裏をよぎる。

 

(あの言葉は…他の誰でもない私に向けて叫んだ言葉だ!)

 

「…マリア。」

 

「もう迷わない。一気に駆け抜ける!」

 

彼女は迷いを捨てた。ナスターシャを抱え、槍を回転させてマントで包みドリルの様に回転しながら上を目指した。

 

 

 

 

 

「未来!ここは長くもたない。手を離して!」

 

「ダメ!私が響を守らなきゃ!」

 

「未来…。」 

 

 

 

「またか…!」

 

カリバーが落ちそうになる響の元へ向かおうとすると操られているであろうノイズがカリバーに立ち塞がる。

 

 

(うっひひひひ…後悔させてあげましょうカリバー…!この僕に英雄失格の烙印を押した事を…!そして目の前の2つの命が自分のせいで失われる事を嘆くがいい…!!)

 

そのノイズを召喚していたのは勿論ウェルだ。その様子をビルの外から双眼鏡で見ていた。

 

 

 

「……!」

 

「いつか…本当に私が困った時…未来に助けてもらうから……今日はもう少しだけ、私に頑張らせて。」

 

「……っ!」

 

落ちそうになる響の手首を握りしめる響。

 

「…私だって、守りたいのにっ!」

 

未来の頬から涙が溢れる。そして、とうとう手が離れてしまう。

 

「っ!!」

 

「アハァー…!!」

 

「響ぃぃぃぃいいいいいいーーッ!!」

 

未来の叫び声が響く中、響は仰向けで落下していく。そして…

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron」

 

聖詠と共に響はギアを纏い、着地する。

 

「ハァ…」

 

「チィ…!!」

 

カリバーは安堵のため息を吐き、遠くから見ていたウェルは舌打ちをする。

 

 

「未来!今行くッ!」

 

その直後、スカイタワーの上部が爆発した。

 

「――!?」

 

「何!?」

 

爆炎が上がる中、更に爆発が起こる。

 

 

「未来―――ッ!!」

 




いかがだったでしょうか? 原作の部分を少し改変するだけでかなりシナリオが変わってしまうので考えるのかなり時間がかかってしまいました。あの2話で響と未来が衝突すると思いますがそこにカリバーを介入させるかどうか…解決しなければならない事がまだまだありそうです。改めて原作に沿って書くのって難しいんだなぁと痛感しました。

今回はここまでです。感想お待ちしています。
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