【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

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今回で第2章は完結となります。結末としては荒唐無稽だったりやはり納得いかない部分が多いかもしれません。ここまで読んで頂き、本当にありがとうございます。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。

いつの間にかお気に入りが800を超えました。ありがとうございます。



第37話 祈りの絶唱(うた)地球(ほし)が音楽となった日。

月の落下が迫る中、ウェルはナスターシャを月へ飛ばしてしまう。マリアは怒りに任せてウェルを殺そうとするが、そこへ響がやって来て、マリアのガングニールを奪うのだった。そして、人類の運命を賭けた最後の戦いが始まる。

 

 

 

「ガングニールに…適合だと…?」

 

ガングニールを纏った響に驚きを隠せないマリア。その様子を板場達は街頭テレビで嬉しそうに見ていた。

 

「ビッキー…!」

 

「やっぱり立花さんは…」

 

「人助け…」

 

 

 

 

 

 

「うわあぁぁ!!…っ!!」

 

逃げ出そうとするウェルをカリバーが捕まえる。

 

「そういえば貴様は私をコケにしてくれたな。その分の礼をしてやろう。」

 

「何をする気だ! 僕は人類を救う英雄なんだぞ!」

 

カリバーに捕まってもなお自身を英雄と言うウェルに対してカリバーは…

 

「貴様はもはや、英雄かどうかの問題ではない…!!ただの馬鹿だッ!!」

 

ウェルをただの馬鹿と痛烈に罵倒した。

 

「何だと…がぁぁ!!」

 

ウェルの首を掴みカリバーは頭を闇黒剣月闇のグリップエンドで殴り付ける。何度も何度も殴り付ける。響とマリアもこれには引いている。勿論この光景は世界中に中継されている。そしてウェルを蹴り飛ばし、階段下まで落とす。

 

「こんな所で…終わるものかぁぁーーーー!!」

 

ウェルは左手で床に触れると、触れた部分が光り出す。逃げ出そうとするウェルに気づいた響だがよろめくマリアを抱き止めた。

 

「ウェル博士!」

 

そこへ弦十郎と緒川が走って来る。

 

「響さん! そのシンフォギアは!?」

 

緒川が響に聞く。

 

「マリアさんのガングニールが、私の歌に答えてくれたんです!」

 

「奇跡としか言いようがないな。」

 

「カリバー! 君のあの行動には…」

 

すると、突然フロンティアが揺れ始める。

 

「重力場の異常を計測ッ!」

 

「フロンティア、上昇しつつ移動を開始ッ!」

 

藤尭と友里が指令室で叫ぶ。

 

「奴がまた何かしでかすつもりか。」

 

 

「今のウェルは……左腕をフロンティアと繋げる事で、意のままに制御できる……」

 

マリアは震えながら俯き、小さい声で話す。

 

ウェルは廊下を歩きながら、左腕を壁に当ててフロンティアを操作していた。

 

「ソロモンの杖がなくとも……僕にはまだフロンティアがある……!邪魔する奴らは……重力波にて、足元から引っぺがしてやるッ……!」

 

苛立ちながらウェルは廊下を歩いて行った。

 

 

 

 

 

「フロンティアのコアは、ネフィリムの心臓……それを停止させれば、ウェルの暴挙も止められる……!お願い……戦う資格の無い私に変わって……お願いッ……!」

 

カリバーと響達に懇願するマリア。その目は申し訳なさそうで、悲しい目をしていた。

 

「調ちゃんにも頼まれてるんだ。マリアさんを助けてって。だから、心配しないで!」

 

響はマリアに明るく話す。その時、音と共に弦十郎が地面に拳で巨大な穴を作っていた。

 

「バカな…」

 

カリバーは仮面の下で驚愕の表情を浮かべる。

 

「師匠!」

 

「ウェル博士の追跡は、俺達に任せろ!」

 

「今の奴は斬る価値も無い。身柄はくれてやる。煮るなり焼くなり好きにしろ。」

 

カリバーは弦十郎達にウェルの身柄をくれてやると言った。

 

「そうさせて貰おう。だから…」

 

「カリバーさんと一緒にネフィリムの心臓を止めます!」 

 

「フッ。付き合ってやるとするか。」

 

弦十郎にガッツポーズをする響を見てカリバーは闇黒剣月闇を納刀する。

 

 

「行くぞ!」

 

「はい!」

 

弦十郎と緒川は穴の中へと入っていった。

 

「さて、私達も行くとするか。」

 

カリバーは邪剣カリバードライバーにセットされたジャアクドラゴンのページを押した。

 

【ジャアクドラゴン!】   

 

すると、ブリッジの中にジャアクドラゴンが咆哮と共にやって来たのだ。カリバーはジャアクドラゴンに乗る。

 

「待ってて!ちょーっと行って来るから!」

 

マリアにウインクをしながら言う響。

 

「早く乗れ!」

 

「はい!」

 

カリバーと響を乗せたジャアクドラゴンは外へと飛び去っていった。飛び去っていく2人を乗せたジャアクドラゴンを見るマリア。そしてジャアクドラゴンは翼とクリスの元へ着地。2人が降りると、ジャアクドラゴンは飛び去っていった。翼とクリスの元へ駆け寄る響。

 

「翼さん! クリスちゃん!」

 

「立花!」

 

クリスは響を見てそっぽを向く。

 

「もう遅れは取りません! だから…!」

 

「あぁ。一緒に戦うぞ!」

 

「はい!」

 

すると、クリスの手のソロモンの杖を見て手を握る響。

 

「やったねクリスちゃん! やっぱりカリバーさんの言う通りだった!取り戻して帰ってくると信じてた!」

 

「お……おう!あったりめーだ!」

 

嬉しそうに言う響の言葉に照れ隠しをするクリス。

 

「全く二課の連中は人騒がせな奴が多いな。」

 

3人の元にカリバーが歩いてくる。

 

「月修復したり存在そのもの消す力を持った奴に言われたくねぇよ! 」

 

クリスがカリバーに突っ込んだ。ごもっともである。すると3人の元に弦十郎から通信が入る。

 

「本部の解析にて、高出量のエネルギー反応室を特定した!恐らくあそこが、フロンティアの炉心、心臓部に違いない!装者達は本部からの支援情報に従って急行せよ!」

 

「行くぞ! この場に槍と弓、剣を携えているのは私達だけだ!」

 

「私を忘れて貰ってはいけないな。」

 

翼の言葉にカリバーが口を挟む。

 

「カリバー…来てくれるのか?」

 

「別にお前達に手を貸す訳ではない。お前達の目的と私の目的が同じだけだ。」

 

「ヘッ!何だかんだあたし達に手を貸してるじゃねぇか!」

 

カリバーはクリスの言葉を無視してストームイーグルを起動、闇黒剣月闇にスキャンした。

 

【ストームイーグル!】

 

【ジャアクリード!ジャアクイーグル!】

 

カリバーと3人の装者達は本部からの通信でポイントへと向かっていった。

 

その様子をジェネレータールームでウェルは見ていた。

 

「人んちの庭を走り回る野良猫共に偽物の英雄め……フロンティアを喰らって同化したネフィリムの力を、思い知るがいいッ!」

 

すると、ウェルの叫びに同調してネフィリムの心臓が不気味に光出す。そして4人の目の前の地面が突如変化し、巨大な人型の塊となる。それは黒く染まり、やがてネフィリムと化す。ネフィリムは肩からミサイルの様な物を出す。それを避ける4人。

 

「あの時の、自立型完全聖遺物なのかッ!?」

 

「しかも成長するとは、厄介な奴だ。」

 

翼とカリバーは声を上げる。ネフィリムはクリスに向けて火球を放つ。

 

「にしては張り切りすぎだ!」

 

火球を避けたクリスが叫ぶ。

 

 

 

 

 

「喰らい尽くせ……!僕の邪魔をする何もかもを……!暴食の二つ名で呼ばれた力を!示すんだぁ!ネフィリィームッ!」

 

ジェネレータールームにいる彼の絶叫と共にネフィリムは咆哮を上げた。

 

 

 

 

 

その頃、マリアは無念な思いでブリッジの階段を降りていた。

 

 

「私では、何も出来やしない……セレナの歌を……セレナの死を……無駄な物にしてしまう…」

 

彼女の頬に涙が流れる。すると…

 

「マリア姉さん。」

 

後ろから聞いた事のある優しい声が。そこには、最愛の妹である亡きセレナの姿が。

 

「セレナ!?」

 

「マリア姉さんがやりたいことは何?」

 

セレナの問いに戸惑いながらもマリアは答える。

 

「歌で、世界を救いたい……月の落下がもたらす災厄から、みんなを助けたい…」

 

マリアの声を聞きセレナが目の前に近づき、マリアの手を取る。

 

「生まれたままの感情を、隠さないで……。」

 

「セレナ…」

 

そしてセレナは目を閉じ歌う。マリアもセレナに続いて歌う。そして世界中の人々のフォニックゲインが、祈りが、平和を願う気持ちが集まっていく。フロンティアの遺跡が虹色に輝き、天へ光を放っている。その歌は月に向かっているナスターシャにも届く。

 

「世界中のフォニックゲインが…フロンティアを経由してここに収束している…これだけのフォニックゲインを照射すれば、月の遺跡を再起動させ、公転軌道の修正も可能……!」

 

そうと分かれば善は急げだ。ナスターシャはマリアに通信を繋げる。

 

「マリア! マリア!」

 

ナスターシャの声がマリアに聞こえた。

 

「マム!」

 

「あなたの歌に世界が共鳴しています!これだけフォニックゲインが高まれば、月の遺跡を稼働させるには十分です! 月は私が責任を持って止めます!」

 

ナスターシャの決意にハッとするマリア。

 

「マムッ!」

 

「もう何もあなたを縛るものはありません。行きなさい、マリア。言って私に、あなたの歌を聞かせなさい。」

 

マリアに優しく言うナスターシャ。マリアの目からは涙が溢れる。

 

「OKマム。」

 

 

そして世界中の人々に宣言した。

 

「世界最高のステージの幕を開けましょうッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外では巨大ネフィリムと4人が激しい戦闘を繰り広げていた。翼の斬撃と響の拳が効かず、クリスのガトリングとミサイルも受け付けない。空中からカリバーが闇黒剣月闇を納刀し、トリガーを押す。

 

【月闇居合!読後一閃!】

 

抜刀し、闇黒剣月闇から紫色の斬撃波を放つ。それを受けたネフィリムは爆発と共に苦痛の声を出すが、まだ倒れない。

 

「何だと…」

 

これまでと違う相手にカリバーは仮面の下で表情を険しくする。すると、ネフィリムが火球を放ってクリスを吹っ飛ばす。

 

「うわああぁぁ!!」

 

「雪音!」

 

クリスに声を上げる翼にネフィリムが右腕で攻撃。それを辛うじて避ける翼。

 

「くっ!」

 

「翼さんっ!」

 

響の声に反応したネフィリムは後ろを向きながら左腕を伸ばして響を攻撃しようとする。響に当たる寸前、腕にワイヤーが巻かれ、切歌が断殺・邪刃ウォttKKKで腕を切断する。更に追撃に調が非常Σ式 禁月輪で胴体を斬り裂く。ネフィリムの身体と腕から緑色の体液が吹き出す。

 

2人と登場に驚く装者達。カリバーは彼女らが何故来たのか分かっていた。

 

「シュルシャガナと…」

 

「イガリマ、到着デス!」

 

「来てくれたんだ!」

 

響は2人が来てくれた事に喜んだ。

 

「とはいえ…こいつを相手をするのは結構骨が折れそうデスよ…。」

 

咆哮を上げるネフィリムを見て切歌が言う。

 

「だけど歌がある!」

 

一同が声のする方向を見ると、マリアが立っていた。

 

「マリア!」

 

そしてマリアの元にカリバーと装者が集まる。

 

「どうした? そんな真面目な顔をして。」

 

「マリアさん!」

 

「もう迷わない。だってマムが命懸けで月の落下を阻止してくれている。」

 

「全員集合と言う訳か。ケリを付けるぞ。」

 

カリバーはジャオウドラゴンを取り出して起動した。

 

【ジャオウドラゴン!】

 

「カリバー…そ、それは…!」

 

「ん?どうかしたのか?」

 

切歌がジャオウドラゴンに対して驚愕の表情を浮かべた事に疑問を抱くクリス。

 

【ジャオウリード!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その様子を見ていたウェルが顔を歪ませていた。

 

「出来損ない共と人殺しが集まったところで、こちらの優位は揺るがないッ!焼き尽くせッ!ネフィリーーーームッ!」

 

ネフィリムがカリバー達に向けて火球を放つ。火球がカリバー達に直撃する寸前、カリバーが闇黒剣月闇のグリップエンドで邪剣カリバードライバーのボタンを押す。

 

【闇黒剣月闇!】

 

そして爆発が起きた。

 

 

 

「ウッヒヒヒヒヒ!ヒャーハッハッハッハッ!!」

 

勝ち誇ったかの様に笑うウェルだが、それもすぐに無くなる。

 

「Seilien coffin airget-lamh tron」

 

 

【Jump out the book. open it and burst.

 The fear of the darkness.

 You make right a just,no matter

 dark joke. Fury in the dark.

 ジャオウドラゴン!】

 

 

【誰も逃れられない…】

 

突如として聞こえるマリアの聖詠とカリバーのデスボイスの音声。カリバーがジャオウドラゴンに変わったのだ。

 

(調がいる……切歌がいる……マムも、セレナもついている。そして……みんながいるなら、これくらいの奇跡…安い物!!)

 

ウェルの前の映像には、カリバーのジャオウドラゴンと4匹の黄金の竜とマリアのギアのエネルギーがカリバーと装者を守っていた。

そしてマリアが纏う物…これこそ亡きセレナから受け継いだシンフォギア、銀腕・アガートラームだ。

 

「装着時のエネルギーをバリアフィールドにぃ!? だが、そんな芸当!いつまでも続くものではなぁあいッ!あんなチンケな竜達もネフィリムの敵ではなぁぁい!!」

 

ネフィリムは火球を放つ。カリバーとマリアの前に響が立つ。

 

「セット! ハーモニクスッ!!」

 

響が叫ぶと、カリバーはブレーメンのロックバンドを取り出して起動し、闇黒剣月闇にスキャンした。

 

【ブレーメンのロックバンド!】

 

【ジャアクリード!ジャアクブレーメン!】

 

カリバーは闇黒剣月闇を天へ掲げ、エネルギーを更に増幅させる。

 

「S2CA!フォニックゲインを力に変えてぇぇぇ!!」

 

響が拳で火球を打ち消す。

 

 

「ひかれあう音色に、理由なんていらない。」

 

翼が調に手を差し伸べる。調は恥ずかしそうに手を繋ぐ。

 

「あたしも、つける薬が無いな……」 

 

「それはお互い様デスよ。」

 

切歌が差し出されたクリスの手を取る。

 

「調ちゃん! 切歌ちゃん!」

 

響が2人の手を繋ぐ。

 

「あなたのやってる事、偽善でないと信じたい。だから近くで私に見せて。あなたの言う人助けを……私達に……」

 

「うん!」

 

調の言葉に頷く響。

 

「立花響に救われたな。」

 

「あなたにも救われた。あなたの言葉が無ければ、切ちゃんと分かり合えなかった。カリバー、ありがとう。」

 

調の言葉にカリバーは…

 

 

「私は何もしていない。」

 

と素っ気なく答えた。

 

「やっぱりカリバーさんは、優しいですね。」

 

「……」

 

響の言葉にカリバーは黙った。そしてカリバーの力で6人の歌声の力が更に増幅されていく。

 

(繋いだ手だけが紡ぐもの、重ねた心だけが紡ぐもの……)

 

この光景を前にしてもまだウェルは自分が有利と思っていた。

 

「絶唱6人分……たかだか6人ぽっちで、すっかりその気かぁぁぁッ!?」

 

ネフィリムが赤いレーザーを放つが、ジャオウドラゴンと黄金の竜がそれを防ぎ、ネフィリムにそれぞれ体当たりを喰らわせる。

 

(6人じゃない……!私達が束ね、重ねる歌は……!)

 

世界中の皆の想いを乗せ、今1つとなる。

 

「70億のッ!絶唱おぉぉぉッ!」

 

カリバーによって増幅され束ね重なったフォニックゲインは6人の体を包み込み、限定解除エクスドライブを発動。6人の装者が光の帯となり、1つとなる。そして空中のカリバーも邪剣カリバードライバーからジャオウドラゴンを引き抜き、3回読み込ませる。

 

【必殺リード!必殺リード!必殺リード!ジャオウドラゴン!】

 

「響きあうみんなの歌声がくれたッ!」

 

 

【月闇必殺撃!習得三閃!】

 

 

「シンフォギアだぁぁぁッ!」

 

 

巨大な斬撃波と70億の絶唱の虹色のエネルギーはネフィリムの身体を斬り裂き、貫く。ネフィリムは跡形もなく消滅した。そして虹色のエネルギーが天へと伸びたのだった。1人の剣士と6人の装者に煌びやかな粒子が降り注いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だと…」

 

カリバー達にネフィリムが倒され、意気消沈するウェル。

 

 

「ウェル博士!」

 

弦十郎の声を聞いてハッとするウェル。

 

「お前の手に世界は大きすぎた様だな!」

 

弦十郎と緒川がやって来る。動こうとするウェルに緒川が拳銃を放つ。弾丸は生きているかの様に曲がり、ウェルの左腕の影に着弾。動きを封じた。影縫いだ。翼が使う影縫いは元々緒川の技であり、翼は鍛錬の末習得したのだ。

 

「あなたの好きにはさせません!」

 

「奇跡が一生懸命の報酬なら……」

 

彼の目から血が流れる。

 

「僕にこそぉぉぉぉぉ!!」

 

彼の欲望が、更に暴走する。左腕を強引に動かしフロンティアを操作した。すると、中央の球体が光出した。

 

「何をしたッ!?」

 

「ただ一言!ネフィリムの心臓を切り離せと命じただけ!」

 

「「!?」」

 

驚く弦十郎と緒川。

 

「こちらの制御から離れたネフィリムの心臓は、フロンティアの全体を喰らい、糧として暴走を開始する!そこから放たれるエネルギーは……!1兆度だぁぁぁッ!」

 

狂気のままに叫ぶとウェルに近づく弦十郎。

 

「僕が英雄になれない世界なんていらない!みんなみんな消えちゃえ!!」

 

ヤケクソになるウェルを尻目に弦十郎は制御盤を破壊した。

 

「壊してどうにかなる物じゃなさそうですね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「分かりました。臨界に達する前に対処します。」

 

翼が弦十郎と通信をしていると

 

「どうやらそうもいかない様だ。」

 

カリバーが口を開いた瞬間、フロンティア中心部に紫電が走る。その頃弦十郎達はウェルを拘束してジープを走らせていた。

 

「確保だなんて悠長な…僕を殺せば簡単な事…ん?」

 

突如、頭上から巨大な岩が落下してくる。

 

「うわああああ!!」

 

悲鳴を上げるウェル。すると、弦十郎が拳で岩を粉々に砕いた

 

「殺しはしない。お前を、世界を滅ぼした悪魔にも、理想に殉じた英雄にもさせはしない。どこにでもいるただの人間として裁いてやるッ!」

 

それはウェルが何よりも聞きたくない言葉だった。そして脳裏に次々と浮かぶカリバーの言葉。

 

『貴様は斬るよりも、痛みと苦しみを浴びせ続けてやろう。』

 

『英雄というのは、英雄になろうとした瞬間に失格だ。』

 

『貴様はもはや、英雄かどうかの問題ではない…!!ただの馬鹿だッ!!』

 

 

「チクショー!!僕を殺せぇ!!英雄にしてくれぇ!!英雄にしてくれよおおおおお!!」

 

彼の叫びも虚しく、ジープは潜水艦へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてフロンティアの中心にはエネルギーが増幅させていた。そして紫色の光を放つ。そして、大爆発と共に真っ赤な巨大な巨人ネフィリム・ノヴァが誕生した。二課の潜水艦はミサイルを地上に発射し、フロンティアの陸地を破壊して脱出した。

 

 

「あれを見ろ!あれが…司令の言っていた…!」

 

「再生する…ネフィリムの心臓…!!」

 

そして7人の前に巨大なネフィリムが地球を背に現れたのだった。

 

「奴を倒さなければ終結には至らないという訳か。」

 

「お前!宇宙でも動けるのか!?」

 

禍々しいオーラを纏って平然と宇宙にいるカリバーを見てクリスが言う。

 

「大丈夫だ。問題ない。闇の力を纏っているからな。」

 

「またそれかよ!お前の言う闇の力って何なんだよ!?」

 

「話して分かる物では無い!」

 

「こっちは話して貰わなきゃ分かんねぇんだよ!!」

 

「漫才をしてる暇があるならアレを倒す事を考えろ!」

 

カリバーとクリスの漫才に翼がツッコんだ。なおカリバー本人は至って真面目なのだ。その光景を見て笑みを浮かべる響。先陣を切って調と切歌が動く。

 

調はギアのパーツを分解し、巨大ロボットに変形、終Ω式 ディストピアを繰り出す。切歌は鎌を3枚刃にして回転、終虐・Ne破aア乱怒を放つ。

 

「「ああああああ!!」」

 

2人の体に激痛が走り、エネルギーがネフィリムに吸収される。

 

「聖遺物どころか、そのエネルギーまで喰らっているのか!」

 

「臨界に達したら、地上は……!」

 

「蒸発しちゃうッ!」

 

翼と響をクリスが追い越す。

 

「バビロニア……フルオープンだぁぁッ!」

 

クリスは地球に向けて緑色の光線を放ち、バビロニアの宝物庫を開いた。だが、完全には開き切ってはいない。

 

「バビロニアの宝物庫!?」

 

「エクスドライブの出力で、ソロモンの杖を機能拡張したのかッ!?」

 

「ぐうぅぅッ!」

 

しかし、クリスがうめき声を出している。余程の集中力が必要なのだろう。

 

カリバーと装者達、ネフィリムは地球の引力に引かれ降下する。

 

「ゲートの向こう、バビロニアの宝物庫にネフィリムを格納出来ればッ!」

 

 

「人を殺すだけじゃないって!やってみろよソロモンッ!」

 

クリスの叫びに答えて、バビロニアの宝物庫がさらに開いた。

 

「これなら!」

 

「避けろ!雪音!」

 

翼が叫ぶが、一足遅く、ネフィリムに弾かれ、杖を手放してしまう。それをキャッチするマリア。

 

「明日をーーーーーッ!!」

 

マリアがさらに入り口を開く。ネフィリムの手が迫り、ワイヤーの様な物で拘束されてしまう。

 

「「マリア!」」

 

そしてネフィリムと共にバビロニアの宝物庫へ引き寄せられる。

 

「格納後、私が内部よりゲートを閉じるッ!ネフィリムは私がッ!」

 

 

「自分を犠牲にする気デスか!?」

 

「マリアーッ!」

 

マリアはゆっくりと目を閉じた。

 

「こんな事で、私の罪が償えるはずがない……だけど、全ての命は私が守って見せる……!」

 

すると…

 

「それじゃ、マリアさんの命は、私達が守って見せますね。」

 

「お前が死ぬ事は、私が許さん。」

 

マリアの隣に響とカリバーがいたのだ。そして翼達も集まる。

 

 

「あなた達……」

 

バビロニアの宝物庫では、無数のノイズが待ち構えていた。

 

 

「英雄でない私に、世界なんて守れやしない。」

 

「でも、私達。私達は……」

 

「一人じゃないんだ……!」

 

マリアが優しく微笑みを浮かべ、カリバーと装者達はネフィリムと共にバビロニアの宝物庫へと突入。入り口は完全に塞がれた。

 

「響ー! カリバーさんッ!」

 

二課の司令室にいた未来が叫ぶ。

 

「衝撃に備えて!」

 

二課の潜水艦は落下途中に小型艇を切り離してパラシュートを展開した。その頃、月に向かっていたナスターシャは…

 

 

「フォニックゲインの照射継続……!……っ?!」

 

再び吐血してしまう。彼女の身体はもう限界まで近づいていたのだ。

 

「月遺跡……バラルの呪詛……管制装置の再起動を確認……月軌道、アジャスト開始……!」

 

フォニックゲインの漂う、今は遠い青く輝く星を見上げる。

 

「星が……音楽となって……!」

 

そう言い残すとナスターシャは倒れた。

 

「フンッ!!ハァッ!!」

 

「うおおおおおおお!! 行っけぇぇ!!」

 

カリバーは飛行しながら闇黒剣月闇でノイズ達を斬り裂く。響もカリバーに続いて腕のギアを巨大な槍に変形、加速してノイズを貫く。翼も刀を大型化させ、巨大なノイズを斬り裂く。

 

「くらえ!」

 

クリスもアームドギアを展開、赤いレーザーを全方位に撃ちまくり、大爆発を起こす。

 

 

「調!まだデスか?!」  

 

「もう少しで…!」

 

切歌の先には調がワイヤーを丸鋸で切っていた。そしてロボットは粉々に砕け、マリアが解放される。

 

「マリア……!」

 

「一振りの杖では、これだけの数を……制御が追いつかない…!」

 

「マリアさんは、杖でもう一度宝物庫を開くことに集中してくださいッ!」

 

「何ッ?!」

 

 

「外から開けられるのならッ!中から開けることだって出来るはずだッ!」

 

「鍵なんだよ!そいつはッ!」  

 

翼とクリスがノイズを倒しながら言う。

 

そう。ソロモンの杖は、バビロニアの宝物庫を開ける事が出来る鍵なのだ。

 

 

「セレナァァァァ!!」

 

亡き妹の名を叫びながらマリアは出口を開く。翼達は脱出の準備をする。しかし、ネフィリムが立ち塞がる。

 

「迂回路は無しか……!」

 

「ならば、行く道は一つッ!」

 

「手を繋ごう!」

 

翼とクリス、響と調、切歌が手を繋ぐ。

 

「マリア。」

 

「マリア……」

 

「マリアさん!」

 

マリアは胸からアームドギアのダガーを取り出して巨大化させ、響と調の手を繋いだ。

 

「この手、簡単には離さない!」

 

「絶対の、間違いだろ?」

 

カリバーに言われてそうねと言うマリア。

 

「「最速で最短で!真っ直ぐに!」」

 

刃が粒子へと変換され、ガングニール、そしてアガートラームの装甲が分離。ガングニールとアガートラームは巨大な金と銀の両腕を形成され、1つとなる。

   

「決めるぞ!!」

 

叫んだカリバーはジャオウドラゴンのページを閉じた。

 

【ジャオウ必殺読破!】

 

響達と共に飛び上がり、闇黒剣月闇のグリップで邪剣カリバードライバーのボタンを押して開く。

 

【ジャオウ必殺撃!】

 

カリバーは闇黒剣月闇を納刀し、勢いよくキックを繰り出す。

 

「「一直線にぃぃぃーーーー!!」」

 

カリバーと6人はネフィリムの攻撃をもろともせず突っ込んでいく。

 

「ハァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

「「「「「「うおおおおおおーーーーーッ!!」」」」」」

 

カリバーのジャオウ必殺撃と6人の合体技Vitalizationがネフィリムに命中。身体を貫いた。

 

You are over.(お前は終わりだ)

 

バビロニアの宝物庫にジャオウドラゴンの音声が響き渡った。そして7人は現実世界へと脱出した。しかし、ソロモンの杖は遠くの砂浜に刺さっていた。あと少しなのに。装者達は倒れ、力が入らない。カリバーも宇宙にいたせいか息を切らしていた。

 

「杖が……すぐにゲートを閉じなければ……まもなくネフィリムの爆発がッ……!」

 

「まだ……だ……」

 

「心強い仲間は、他にもッ……」

 

「仲間……」

 

翼、クリスが言う仲間とは誰かマリアが聞くと、響が口を開く。

 

「私の……親友だよ……」

 

2人の目線には全速力で走る未来の姿が。

 

(ギアだけが戦う力じゃないって響が教えてくれた!私だって……戦うんだッ!)

 

彼女の手が杖を引き抜くが、つまづいて転んでしまう。

 

「未来ッ!」

 

「このままでは間に合わんッ!」

 

カリバーはジャオウドラゴンを呼び出し、未来の元へ向かわせる。

 

「乗れッ!」

 

「は、はいっ!」

 

未来を乗せたジャオウドラゴンは飛び上がり、未来はバビロニアの宝物庫目掛けてソロモンの杖を投げた。

 

「お願い!閉じて!」

 

そしてネフィリムの身体から光が漏れ、大爆発が起きそうになる。

 

「もう響が…カリバーさんが…誰もが戦わなくていいような……世界に――ッ!」

 

ソロモンの杖が光出す。カリバーはジャオウドラゴンを邪剣カリバードライバーから引き抜き、闇黒剣月闇に3回スキャンした。

 

【必殺リード!必殺リード!必殺リード!ジャオウドラゴン!】

 

【月闇必殺撃!習得三閃!】

 

バビロニアの宝物庫の入り口目掛けて紫色の斬撃波を放った。放たれた斬撃波はソロモンの杖ごと入り口に入っていった。そして中では禍々しい紫色のエネルギーがネフィリムとノイズごとバビロニアの宝物庫を侵食していき、跡形もなく消滅した。

 

 

 

 

 

「カリバーさん、最後何をしたんですか?」

 

響が聞くと…

 

「バビロニアの宝物庫に闇の力を侵食させ、ソロモンの杖ごと存在そのものを消滅させた。」

 

カリバーの言葉に皆驚愕する一同。

 

「じゃ、じゃあ…」

 

表情を明るくする響と未来。

 

「発生源が消滅した事で、二度とこの世界にノイズが現れる事は無い。」

 

そう言うとカリバーは闇黒剣月闇を納刀した。

 

「何だと…!?」

 

「マジかよ…!!」

 

「あなたの力の事忘れてたわ…」

 

「チートすぎデス!!」

 

「ズルすぎ…」

 

翼達がツッコむ中、響と未来は顔を明るくする。

 

「でも…これで…!!」

 

「もう戦わなくていいんですね!」

 

「そういう事だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ウェルは米国に拘束され連行されていった。相変わらず英雄に執着していたが。緒川によると月の公転軌道は正常値へと近づきつつあると言う。しかし、ナスターシャとの連絡は取れなかった。弦十郎はふと夕日を見つめるカリバーと響達を見た。

 

「マムは未来を繋げてくれた。ありがとう。お母さん…。」

 

「マリアさん。」

 

マリアを読んだ響の手にはガングニールのペンダントが。

 

「ガングニールは君にこそ相応しい。だが、月の遺跡を再起動させてしまった。」

 

「バラルの呪詛か?」

 

「人類の相互理解は、また遠のいたって訳か…」

 

クリスは悔しそうに言う。

 

「へいき!へっちゃらですっ!」

 

響が明るく言う。

 

「だってこの世界には、歌があるんですよッ!」

 

「歌…デスか…」

 

「いつか人は繋がれる。だけどそれは、どこかの場所でも、いつかの未来では無い。確かに伝えたから。」

 

調の言葉に頷く響。

 

「立花響。君に出会えて良かった。」

 

マリアは響に感謝の言葉を述べた。すると…

 

「ところでカリバー。何故マリア達を斬らなかった?お前なら斬ると思っていたが…」

 

翼がカリバーに問う。しかしそれは聞いてはいけない質問だった。

 

「簡単な事だ。お前達にはこの先、生きていて貰わなければいけないからな。」

 

「それ、どう言う意味?」

 

マリアが聞くと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一生後悔させてやりたいからな。お前達のせいで、炭素の山が築かれる事になったんだからなッ!」

 

怒り混じりのカリバーの言葉にハッとする3人。

 

 

「お前達が革命を起こさずに最初から真実を告げていれば、失われる必要の無い命が失われた。今回の件で米国政府はお前達を死刑にするだろうが、日本政府の連中は奴とお前達の罪を帳消しにする。だが連中がいくら経歴を消しても、嘘で塗り固めても、お前達の罪と過去は消えない!!」

 

「罪と…過去は…消えない…」

 

クリスが呟く。

 

「また会う日もそう遠くない。これから先、生き恥を晒し続けるがいい。」

 

そういうとカリバーはマリア達に背を向け、炎の渦で姿を消した。そう。カリバーがマリア達を斬らなかったのは、彼女達が犯した罪が何を招いたのか自覚させ、一生罪悪感で苦しませる為。カリバーはマリア達を斬らずに斬ったのだ。

 

「マリア…」

 

「カリバーの言う通りよ。例え私達がどんなに償っても、罪と過去は消えないわ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、マリア達も米国へと連行され、飛び去るヘリを見送るのだった。

 

 

戦いは終わった。闇の剣士と戦姫に平凡が戻ってきたのだ。後日リディアンにて。

 

「翼さん!クリスちゃん!」

 

響とクリスの元へ響と未来が駆けてくる。

 

「聞いてくれ立花。あれ以来雪音は私の事を先輩と呼んでくれないのだ。」

 

翼の言葉に恥ずかしそうに顔を赤くするクリス。

 

「だから!」

 

「何何〜?クリスちゃんは翼さんの事先輩って呼んでるの〜?」

 

「ちょっと響ったら!」

 

クリスをからかう響に未来が声を上げる。

 

「いい機会だから教えてやる!」

 

イラッとしながら眉を震わせるクリス。

 

「あたしはお前よりも年上で、先輩だって事を!」

 

クリスに顎を掴まれ手をばたつかせる響。

 

そんな響を見てため息をつく翼と未来。2人ともそれくらいにしとけと翼は止める。

 

天羽奏から受け継いだガングニールは無くなった。しかし、響はその歌を絶対に忘れない。マリアにも託されたその力と思いも胸に響は今日も生きていく。何気ない日常を過ごす為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だよこれ…」

 

一方、隼人は世界中にカリバーの事を知られ、新聞やテレビ、ネットで響達と共に取り上げられ、2年前の行動もあってか英雄と称えられていた事に困惑していた。ネットではライブ生存者が立ち上げたサイトにカリバーに対するお礼の言葉が書き込まれ、中には熱狂的なファンが出来る程だった。その記事を見て隼人は呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は英雄なんかじゃない。これまでも、これからも。」

 

 

 

 

 

月闇絶唱シンフォギア 第2章




いかがだったでしょうか? ウェル博士は斬る価値は無いので痛めつけて痛烈に罵倒、バビロニアの宝物庫はGXで普通のノイズは出ないと聞いたのでソロモンの杖ごと存在そのものを消滅、マリア達は犯した罪を自覚させ、一生罪悪感で苦しませると言う形になりました。ただ、やはり蛇足や荒唐無稽な所、原作ファンや読者の皆様が納得のいかない部分が多かったかもしれません。思えば第2章は矛盾が発生したにも関わらず、誤字報告や高評価をしてくれた読者の皆様には感謝しています。これからもよろしくお願いします。これで第2章は完結となります。第3章につきましてはまだ未定なので、本編セイバーでカリバーが新たな姿で復活したら書こうかなと思っています。出なかったらそれはそれで書いていくのでそれまで気長に待って頂けたら幸いです。

今回はここまでです。感想お待ちしています。
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