【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

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コメント欄の方からアドバイスを頂きながら、書いています。いつもありがとうございます。

最近は仕事で今月は忙しいので更新速度は落ちるかもしれません。


第40話 歌を忘れた、沈黙の撃槍。

日本とロンドンでオートスコアラーの襲撃を受けた装者達は、シンフォギアを分解するアルカ・ノイズと言われる新種のノイズと戦闘で翼とクリスがその餌食になってしまう。そんな中、響はキャロルと対峙した時、ギアを纏えず倒れてしまう。世界は再び新たな脅威にさらされる事となった。

 

 

 

 

 

 

翼はギアが分解させる中、刀を取り出し、人型ノイズを斬り裂いた。しかし、とうとうギアが完全に分解され、翼は全裸になってしまい、倒れてしまう。

 

「翼!」

 

マリアは翼の元へ駆け寄る。目の前にはまだアルカ・ノイズが数体とオートスコアラー。

 

 

 

 

そしてクリスのギアもとうとう完全に解除され、倒れてしまう。

 

「クリスさん!」

 

倒れたクリスに駆け寄るエルフナイン。そこへレイアがやってくる。

 

「イチイバル…反応途絶…!」

 

「ノイズに…嘘だろ…? だってシンフォギアが…」

 

藤尭はノイズに対抗できるシンフォギアが分解された事に戦慄した。

 

「あの分解は、ノイズの炭素分解では無いのか!?」

 

弦十郎が画面のレイアとアルカ・ノイズを見て言った。

 

「世界の解剖を目的に作られたアルカ・ノイズは、兵器と使えば…」

 

「シンフォギアに備わる各種防御フィールドを突破する事など、容易い。」

 

「なるほど。対シンフォギアに特化した新型のノイズか。」

 

レイアとエルフナインが声のする方向を向くと、ガトライクフォンでアルカ・ノイズを探知したカリバーが歩いてきた。

 

「あなたは…!」

 

「来たか…カリバー…」

 

「全く…ようやく平穏に暮らせると思った矢先これだ。 」

 

カリバーは不満げにアルカ・ノイズ達を顎で指す。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ロンドンでは生身のマリアがアルカ・ノイズとオートスコアラーと対峙していた。

 

「システム破壊を確認。これでお仕事はひと段落ね。」

 

オートスコアラーはフラメンコのステップを踏むと、足元に赤い陣を出す。すると、アルカ・ノイズの足元にも出現しそのまま魔法陣の中へと消した。

 

「……」

 

マリアはその光景を見ている事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「次なる仕上げは次なるキャスト…」

 

レイアの言葉に反応したエルフナインはクリスの前に立ち塞がる。

 

「お前達が何を企んでいおうが、斬らせてもらう。」

 

カリバーは闇黒剣月闇をレイアに向ける。すると…

 

「1人でいい格好はさせないデスよ!」

 

上から声が聞こえた。カリバーとレイア、エルフナインが声のする方を見ると、垂れ幕をマント代わりにした切歌が腕を組んで立っていた。

 

「暁切歌…」

 

切歌は垂れ幕を捨てる。そして…

 

 

 

 

 

 

 

「Zeios igalima raizen tron」

 

聖詠を唱え、イガリマを纏う切歌。フロンティア事変の時と変わって黒い部分が白くなっていた。切歌は飛び降り、着地する。

 

「どういう事デスかカリバー! バビロニアの宝物庫は消滅させたんデスよね!?」

 

「考えられるのは、奴等がノイズを作り出したという事だ。」

   

「ノイズを作り出した…デスか!?」

 

カリバーの推測に切歌は驚く。

 

「そんな事よりも、雪音クリスとあの少女を救出したいのなら、私の邪魔はするな。」

 

「それはこっちの台詞デス!」

 

レイアが顎で指示を出すと、アルカ・ノイズの群れは2人に突っ込む。カリバーは闇黒剣月闇で斬り裂いていき、切歌は大きくジャンプし、切・呪りeッTぉを放ち、アルカ・ノイズを斬り裂いていく。すると、切歌のギアから緑色の稲妻が流れる。しかし、切歌は鎌を手にアルカ・ノイズに突っ込んでいく。

カリバーも紫色のエネルギーを纏わせ、ノイズを斬る。切歌は自身を中心に駒の様に高速回転しながら鎌でアルカ・ノイズ達を斬り裂く。これは切歌の技の1つ、災輪・TぃN渦ぁBェルだ。

カリバーも薄藍のワンダーライドブックを取り出して起動し、闇黒剣月闇に1回スキャンした。

 

【ピーターファンタジスタ!】

 

【必殺リード!ジャアクピーターファン!】

 

【月闇必殺撃!習得一閃!】

 

カリバーが闇黒剣月闇から紫色の妖精の光を放ち、アルカ・ノイズ達を拘束すると、今度は剣先から鎖付きフックを伸ばして鞭の様に振るってアルカ・ノイズ達を纏めて消滅させた。

 

「派手にやってくれる。」

 

カリバーと切歌を見てレイアが呟く。

 

 

 

 

 

 

 

「カリバーはともかく、切歌ちゃんが状況介入!?」

 

「LiNKERを投与せずにか!?」

 

S.O.N.G.指令室ではカリバーと切歌がアルカ・ノイズとの戦闘に入った事を見ていた。そう。切歌はLiNKERを投与せずに来たのだ。

 

「ですが、これで行ければ…!」

 

「っ…!!」

 

弦十郎は険しい表情を浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

カリバーは左手に針が生えたアルカ・ノイズ2体を相手と戦っていた。そして闇黒剣月闇と針の先がぶつかる。レイアは笑みを浮かべるが、何も起こらない。

 

「干渉破砕効果が…効かない…?」

 

「アルカ・ノイズの能力を寄せ付けないなんて…!」

 

レイアが呟き、エルフナインが驚く中カリバーは闇黒剣月闇に紫色のエネルギーを纏わせ、逆にアルカ・ノイズを斬り裂いた。

 

「なるほど…マスターが欲しがるのも無理はない…」

 

 

 

 

 

 

切歌は体に稲妻が流れながらもアルカ・ノイズ達を斬り裂いていく。すると、エルフナインにアルカ・ノイズの群れが一歩、また一歩と近づく。すると、アルカ・ノイズが斬り裂かれる。やって来たのは調だ。そしてα式 百輪廻を繰り出し、アルカ・ノイズを赤煙に還す。

 

「女神ザババ…」

 

そう呟いたエルフナインを抱え、調は戦線から離脱した。

 

「派手な立ち回りは陽動…」

 

切歌は垂れ幕でクリスを包み込み、退却する。

 

「陽動にまた陽動…」

 

「なかなかやるな…あいつら。」

 

カリバーは調と切歌の行動を見て呟いた。非常Σ式 禁月輪でアルカ・ノイズを斬り裂きながら退却する調にピンク色の稲妻が走り苦しみ、ギアが元に戻る。

 

(やっぱり、私達の適合係数ではギアを上手く扱えない…!)

 

「調!」

 

「大丈夫!今はそれよりも!」

 

2人はクリスとエルフナインを救助し、退却していった。

 

 

「予定にない闖入者。指示を下さい。」

 

レイアはキャロルに指示を聞くが、キャロルは必要ないと答え、帰投を命じた。

 

「待て。」

 

レイアをカリバーが呼び止める。

 

「お前、あのキャロルとかいう錬金術師の仲間か?」

 

カリバーがレイアにキャロルの仲間かと問う。

 

「そうだとしたら?」

 

「無論、始末させてもらう。」

 

カリバーは闇黒剣月闇をレイアに向けた。

 

「そうはいかない。」

 

レイアはカリバーに向けてキャロルとガリィが持っていたテレポートジェムを地面に落とし、地面に魔法陣を作り出す。

 

「逃がすか!」

 

カリバーが走り出すと、レイアはコインを10枚飛ばす。放たれたコインをカリバーは全て弾くが、あと一歩の所でレイアは姿を消した。

 

「おのれ…!」

 

カリバーは悔しそうに声を出した。

 

 

 

 

 

 

ファラも十分だ。」

 

「分かりました。ではその様に。」

 

ロンドンにいるオートスコアラー、ファラもキャロルに帰投命令を下す。ファラもキャロルとガリィ、レイアと同じ方法で姿を消した。

 

 

「敗北で済まされないと、言った…」

 

 

 

 

 

 

「調ちゃん切歌ちゃんが離脱。クリスちゃんや保護対象の無事も確認しています。」

 

「装者との合流と、回収を急ぎます!」

 

指令室では友里と藤尭が弦十郎に状況を報告していた。

 

「……」

 

腕を組んだまま弦十郎は、スクリーンに映し出された調に抱えられるエルフナインを見ていた。

 

「錬金術師キャロルと同じ顔の少女…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ノイズの次は新型のノイズに錬金術師とその手下と戦わなければならないのか…」

 

自宅に戻った隼人は新たな戦いに身を投じなければならない事に悩んでいた。ようやく平穏に暮らせると思った矢先また戦いだ。いつまでこれを繰り返すのか。いつになったら平穏に暮らせるのか。

 

 

「だが、何故あいつはギアを纏わなかったんだ…? 攻撃されたにも関わらず…」

 

 

隼人は何故響がギアを纏わなかった事に疑問を感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜が明け、調と切歌はクリスとエルフナインを連れて海沿いの堤防まで来ていた。

 

「LiNKERが無くたって、あんな奴に負けるもんかデス!」

 

「切ちゃん…」

 

強がる切歌のギアからは緑色の稲妻が流れていた。そして調にも。

 

「分かってるデス!」

 

「私達、どこまで行けば良いのかな?」

 

「行けるとこまで。デス。」

 

調の言葉に切歌は静かに答えた。

 

「でもそれじゃ、あの頃と変わらないよ?」

 

調が言うあの頃…それは、フィーネの魂の器としてF.I.S.に強制的に連れて来られ、レセプターチルドレンとして施設に収容された頃。

 

「身寄りのない私達が連れてこられた壁も天井も真っ白な世界。」

 

「そこで出会ったシンフォギアは、昨日までの嫌な事、全部ぶっ飛ばしてくれる特別な力だと思ってたデス…」

 

研究員にLiNKERを投与され、適合者にされシュミレーションでノイズを倒した事…その研究者の中に、ウェルと櫻井了子もいた。

 

「聖遺物が引き起こした災禍から人類を守るには聖遺物の力で対抗するしかない…そう考えるマムを、手伝いたいと思った訳デスが…」

 

自分達が世界に革命を起こしたフロンティア事変。

 

「状況に流されるままに、力を奮っても何も変えられない現実を知らされた…」

 

そしてお互いに全力でぶつかったあの日。

 

「マムやマリアのやりたい事じゃない…アタシ達が、アタシ達のやるべき事を見つけられなかったから、あんな風になってしまったデス…!」

 

「目的も無く、行けるところまで行ったところに望んだゴールがある保証なんてない。がむしゃらなだけじゃダメなんだ。」

 

すると、走っていた切歌が止まる。

 

「もしかして、アタシ達を出動させなかったのは、そういう事デスか!?」

 

「うっ……うぅっ……!」

 

切歌に抱えられていたクリスが目を覚ます。

 

「良かった。」

 

クリスが目を覚ました事に安堵の声を出す調。

 

「大丈夫デスか?」

 

「大丈夫なものかよ!」

 

クリスは切歌に声を荒げる。

 

(守らなきゃいけない後輩に守られて…大丈夫な訳ないだろ!?)

 

クリスは、自分が守るべき後輩に逆に守られた自分が悔しくて許せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ロンドンでは…

 

「完全敗北…いえ、状況はもっと悪いかもしれません。ギアの解除に伴って、身に付けていた衣服が戻っていないのは、コンバーターの損傷による機能不全に間違い無いでしょう。」

 

 

翼は通信で弦十郎に今の状況を報告する。翼とクリスのギアが解除された時に、普通なら戻るはずの衣服が戻らずに全裸になったのだ。

 

「まさか、翼のシンフォギアは…」

 

マリアの言葉に翼は顔を横にする。

 

「絶刀・天羽々斬が手折られたと言う事だ。」

 

翼はマリアに自分が戦う術を失った事を告げた。

 

「クリスちゃんのイチイバルと翼さんの天羽々斬が破損…」

 

「了子さんはもういない…一体どうすれば良いんだ…」

 

かつての仲間櫻井了子はもういない。つまり、シンフォギアを修復する人材はいないのだ。

 

「響君の回収はどうなっている?」

 

「もう平気です。」

 

通信で響が答える。カリバーがエネルギー波の直撃を防いだ事もあって響の回復も早くなっていた。

 

「ごめんなさい。 私がキャロルちゃんと話が出来ていれば…」

 

「話を…だと…?」

 

響の話という所に弦十郎が反応する。

 

 

 

 

 

その頃、マリアと翼の元に黒塗りの車が何台も到着する。そして降りて来た男性達が一斉に拳銃を突きつける。

 

「状況報告は聞いている。だが、マリア・カデンツァヴナ・イヴ。君の行動制限は解除されていない。」

 

その言葉を聞いたマリアは翼から通信機を取り外し…

 

「風鳴司令。S.O.N.G.への転属を希望します。」

 

「マリア?」

 

いきなりS.O.N.G.に転属すると言い出したマリアに翼は声を漏らした。

 

「ギアを持たない私ですが、この状況に偶像のままではいられません。」

 

 

 

 

 

 

 

後日、調と切歌は検査入院をし、響はリディアンにて調理実習でビーフストロガノフを作っていた。

途中、包丁で指を怪我してしまう響。彼女の心の中ではシンフォギアは人助けの為の物であり、誰かを傷つけたくないと言う思いが芽生えていた。その頃、翼とマリアは日本へ帰国をしていた。

 

 

 

 

 

ふと思い出す。ロンドンでプロデューサーに話した事を。

 

『日本に戻ると?』

 

『世界を舞台に歌う事は、私の夢でした。ですが…』

 

それを聞いたプロデューサーは…

 

『それが自分の意思なら尊重したい。だが、いつかもう一度自分の夢を追いかけると約束してもらえないだろうか?』

 

『それは…』

 

 

 

 

 

 

窓から外を眺める翼を見つめるマリア。すると、飛行機からアナウンスが入る。

 

「間も無く、着陸態勢に入ります。シートベルトの着用をお願いします。」

 

 

 

 

 

そして荷物を持つ緒川と共に翼とマリアは空港内を歩く。

 

「翼さーん!マリアさーん!」

 

3人を出迎えたのは響、クリス、調、そして切歌だ。手を振る響を見て翼は笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてS.O.N.G.にて響達装者が集結した。

 

「シンフォギア装者勢揃い…とは言い難いのかもしれないな…」

 

弦十郎が声を出すと、モニターに2つのペンダントが映し出される。

 

「これは?」

 

「新型ノイズに破壊された、天羽々斬とイチイバルです。コアとなる聖遺物のカケラは無事なんですが…」

 

「エネルギーをプロテクターとして固着させる機能が、損なわれている状態です。」

 

藤尭と友里の説明を聞いてマリアはセレナの遺したペンダントを取り出す。

 

「セレナのギアと同じ…」

 

「もちろん直るんだよな?」

 

クリスが2人に聞く。

 

「櫻井理論が開示された事で、各国の異端技術研究は飛躍的に進行しているわ。」

 

「それでも、了子さんでなければシンフォギアシステムの修復は望まない…」

 

 

それを聞いて黙り込む一同。

 

「現状動ける装者は響君ただ1人…」

 

「私だけ…」

 

今の状況で翼とクリスが戦えない今、戦えるのは響1人だ。

 

「そんな事ないデスよ!」

 

「私達だって…」

 

切歌と調が口を開く。しかし弦十郎はダメだと言う。

 

「LiNKERで適合係数の不足値を補わないシンフォギアの運用が、どれほど体の負荷になっているか…」

 

「君達の体に合わせたLiNKERが無い今、無理を強いる事は出来ないよ。」 

 

「どこまでも私達は、役に立たないお子様という訳ね…」

 

「メディカルチェックの結果が思った以上に良くないのは知っているデスよ…それでも…」

 

友里と藤尭の言葉を聞いた調と切歌は悔しまじりに言う。

 

「こんな事で仲間を失うのは、二度とごめんだからな。」

 

「その気持ちだけで十分だ。」

 

翼とクリスが答える。

 

「後、響君の他に戦える者と言えば…」

 

弦十郎が響の他に戦える者を思い出そうとすると…

 

「カリバー…ですか?」

 

翼がカリバーの名前を出す。それを聞いた一同も一斉に翼を向く。

 

「昨夜の戦闘で新型ノイズが翼とクリス君のギアを分解したが、カリバーの持つ剣と鎧は分解されずに、逆に新型ノイズを消滅させていた。」

 

弦十郎は昨夜の戦闘でカリバーが闇黒剣月闇にエネルギーを纏わせてアルカ・ノイズを倒した事を話した。

 

「…闇黒剣月闇の力ね。」

 

「闇黒剣月闇?」

 

「あいつの剣の名前だよオッサン。 あいつの剣には闇の力とか言う奴で存在そのものを消す力があるんだってさ。」 

 

闇黒剣月闇の力について説明するクリスに驚きの声を出す弦十郎。

 

「そんな力を持つ彼が我々の仲間になってくれれば百人力だが、彼は我々の事を快く思っていない。」

 

弦十郎は腕を組む。すると…

 

 

 

「あの!師匠! カリバーさんの事、私に預けて貰えませんか?!」

 

「響君?」

 

響が口を開いた。

 

「私、カリバーさんに協力してくれる様頼んでみます!」

 

響の発言に一同が目を見開く。

 

「私なら、カリバーさんと会う機会が多いので私に任せて下さい!」

 

自分ならカリバーと接触する機会が多い事を理由に自信満々に答える響だが…

 

「でもよ、あいつがあたし達に進んで手を貸すなんて思えねーぞ?」

 

クリスがカリバーが自ら進んで手を貸すとは思えないと話す。

 

「そ、そんな事ないよクリスちゃん!カリバーさん、前にも私達に協力してくれた事あったよ!」

 

「雪音の言う通り、カリバーが自ら進んで手を貸すとは思えない。これまで私達に手を貸して来たのは、あくまでも目的と利害が一致した時のみ… 」

 

 

「それに、我々が国連直轄下の組織になった今、組織を信用しない彼はますます警戒を強めているだろう。各国の政府だけでなく、国連もカリバーを手に入れようとしている。そんな状況を彼が知っていないはずがない。むしろ我々と敵対する事も考えているだろう。」

 

「敵対…」

 

響はもしかしたらカリバーと戦わなければならないかもしれないという考えが浮かぶ。そんな事はしたくない。戦いたくない。そんな気持ちが彼女に芽生える。

 

 

 

「それでも…私はカリバーさんに頼みます!話せば分かってくれます!」

 

翼と弦十郎の考えにクリス達が頷く中、響はカリバーに頼むと言った。響の「話せば」という言葉に弦十郎は表情を僅かに険しくした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いっきま〜す!」

 

その頃、キャロルが玉座に座るとある場所では、ガリィが赤髪の少女の前で何かを始めようとしていた。

 

キャロル、ファラ、レイアが見守る中、ガリィは赤髪の少女に口づけを交わした。少女の体にエネルギーが送られ、赤いオーラを放つと膝を突き、ロボットの様に腕の関節をぎこちなく動かし、眠ったかの様に首を俯かせた。

 

 

「最大戦力となるミカを動かすだけの想い出を集めるのは、存外時間がかかった様だな。」

 

「いやですよ〜? これでも頑張ったんですよ? なるべく目立たずに事を進めるには〜大変だったんですから〜。」 

 

 

 

夜のスーパーマーケットの駐車場には、ガリィに想い出を吸われて殺された男性達の亡骸やバイクの残骸が虚しく残されていた。

 

 

 

そしてキャロルが見る中、それぞれの定位置でポーズを決めるオートスコアラー達。

 

「まぁ問題なかろう。これで、オートスコアラーは全機起動。計画は次の段階に進める事が出来る。」

 

そう。オートスコアラー達は人間ではなく、想い出で動く人形なのだ。そんな中、ミカが力なく左腕を上げ、また下げる。

 

「どうした? ミカ?」

 

「お腹が空いて、動けないゾ…」

 

ミカはまだ足りないと言わんばかりに眠そうな顔をする。

 

「ガリィ。」

 

「あぁ〜はいはい。ガリィのお仕事ですよね〜。」

 

ガリィは面倒くさそうに動き出す。

 

「ついでにもう二仕事、こなしてくると良い。」

 

「そういえばマスター。エルフナインは連中に保護された様ですよ? 後カリバーの件はどうします?」

 

ガリィの問いにキャロルは答える。

 

 

「把握している。 奴の本と、闇黒剣月闇を手に入れるのは他でもない。オレだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃S.O.N.G.本部では、エルフナインが弦十郎と装者達に自分の事やキャロルのしようとしている事を話していた。

 

「ボクは、キャロルに命じられるまま、巨大装置の一部の建造に携わっていました。ある時アクセスしたデータベースより、この装置が世界をバラバラに解剖してしまう事を知ってしまい、目論見を阻止する為に逃げて来たのです。」

 

「世界をバラバラにたぁ穏やかじゃねぇな。」

 

クリスの言葉に頷くエルフナイン。

 

「それを可能にするのが、錬金術です。ノイズのレシピを元に作られたアルカ・ノイズを見れば分かる様にシンフォギアを始めとする万物を分解する力は既にあり、その力を世界規模に拡大するのが、建造途中の巨大装置、チフォージュ・シャトーになります。」

 

「装置の建造に携わっていたという事は、君もまた、錬金術師なのか?」

 

翼の問いにエルフナインははいと答える。

 

「ですが、キャロルの様に全ての知識や能力を統括しているのではなく、限定した目的の為に作られたに過ぎません。」

 

「作られた?」

 

「装置の建造に必要な最低限の錬金知識をインストールされただけなのです。」

 

「インストールと言ったわね?」

 

「必要な情報を知識として脳に転送複写する事です。残念ながらボクにインストールされた知識に正確な詳細はありません。ですが…世界解剖の装置、チフォージュ・シャトーが完成間近なのは分かります。お願いです! 力を貸してください!その為にボクは、ドヴェルグ=ダインの遺産を持ってここまで来たのです!」

 

エルフナインは涙を浮かべながら懇願した。

 

「ドヴェルグ=ダインの遺産…?」

 

エルフナインは箱の蓋を開け、黒い小さな板状の物を取り出した。

 

「アルカ・ノイズに、錬金術師キャロルの力に、対抗しうる聖遺物…魔剣ダインスレイフのカケラです。」  

 

 

 

すると、クリスが何かを思い出したかの様に口を開く。

 

「そういやお前聞き忘れたんだけどさ、何であたし達とカリバーが仲間だって思ったんだ?」

 

「カリバーさんが、私達と仲間…?」

 

「どういう事だ?」

 

響と翼が疑問の声を上げた。

 

「キャロルが言っていた事を偶然耳にしたんです。これまで聖遺物が起こした2度の大規模災害をカリバーとあなた達装者の皆さんが解決したと聞いてボクはてっきり仲間だと思っていました。アルカ・ノイズの分解が効かないカリバーの力ならキャロルの目論見を阻止してくれると思ったんですが…」

 

エルフナインは残念そうな表情を浮かべる。すると…

 

「エルフナインちゃん。」

 

「?」

 

響がエルフナインに話しかける。

 

「カリバーさんの事は私に任せて。話せばきっと協力してくれるよ!」

 

笑みを浮かべる響をエルフナインは困惑した表情を見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、エルフナインの検査結果が出た。

 

「エルフナインちゃんの検査結果です。」

 

「念の為に彼女の…ええ…彼女のメディカルチェックを行った所…」

 

「身体機能や健康面に以上はなく、またインプラントや後催眠といった怪しい所は見られなかったのですが…」

 

 

「ですが?」

 

 

 

そして、友里の口から衝撃的な言葉が告げられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼女…エルフナインちゃんに性別は無く…本人曰く、自分はただのホムンクルスであり、決して怪しくは無いと…」

 

 

 

 

 

 

 

 

((((((あ、怪し過ぎる…!!))))))(デース…!)

 

装者達は心の中で言葉が揃った。エルフナインはホムンクルス…すなわち、人造人間だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、響は未来と板場達のいつものメンバーと共に、帰宅していた。たわいも無い話で盛り上がる中、響には悩み事があった。

アルカ・ノイズと錬金術師と戦えるのは自分1人だけという事。戦わずに分かり合える事は出来ないのかという事。その事をマリアに逃げていると言われた事。

 

 

『逃げているつもりじゃありません! だけど…適合してガングニールを自分の力と実感して以来、人助けの力で誰かを傷つける事が、嫌なんです…』

 

響は人助けとしての力で誰かを傷つける事を恐れていた。

 

『それは…力を持つ者の傲慢だっ!!』

 

マリアはそれをバッサリ切り捨てた。

 

その言葉が心残りとなっていた。

 

(私は…そんなつもりじゃないのに…)

 

 

 

 

「ハァッ!?」

 

その時、悲鳴が聞こえた。悲鳴の先には抜け殻となった人達の亡骸が残されていた。響が気配を感じる。

 

「聖杯に想い出は満たされて…生贄の少女が現れる。」

 

そう。犯人はガリィだ。

 

「キャロルちゃんの仲間、だよね?」

 

「そしてあなたの戦うべき敵…」

 

ガリィは響の方を向く。

 

「違うよ!私は人助けがしたいんだ!戦いたくなんかない!」

 

その言葉にガリィは舌打ちをする。そして、アルカ・ノイズを召喚した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、たまたま響達の場所から近くにいた隼人がガトライクフォンでアルカ・ノイズを探知する。

 

「近い…! すぐ近くだ!」

 

隼人は走り出した。

 

 

 

アルカ・ノイズが現れ、悲鳴をあげる響以外の4人。

 

「あなたみたいな面倒くさいのと戦わせる方法をよ〜く知ってるの。」

 

ガリィは意地悪そうに答えた。

 

 

「こいつ、性格悪っ!」

 

安藤が苦言を漏らした。

 

 

「なるほど。性根の腐った奴だな。」

 

響達の後ろからカリバーが闇黒剣月闇を持って歩いて来た。

 

「カリバーさん!」

 

「これはこれはカリバー。探す手間が省けた。マスターの命により、あなたの本と闇黒剣月闇を頂きま〜す。」

 

カリバーは闇黒剣月闇を構える。響もペンダントを取り出して聖詠を唱えようとするが、歌えない。胸の中に浮かばない。

 

「響!」

 

(ガングニールが…答えてくれないんだ…!!)

 

 

「何をしている! 早くギアを纏え!!」

 

 

 

 

 

撃槍・ガングニールは、響に答えず、沈黙したのだった。




いかがだったでしょうか? カリバーはアルカ・ノイズは闇の力により分解されない事にしました。こうなったのはメタ発言をすると、物語が進まず、詰むという事ですね。読者の方は納得いかない所があるかもしれませんが、多目に見ていただけると幸いです。

今回はここまでです。感想お待ちしています。
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