【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

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今回は響推しの読者にとっては納得いかない展開になってしまいました…原作の良さや響の魅力を全否定した酷い展開になってしまいました…。やり過ぎたかなと思っています…。原作ファンの皆様、本当に申し訳ありません。








第41話 力を持つ事、戦う事。

翼とクリスがギアを破壊され、適合係数の低い調と切歌はLiNKER無しでは戦えず、マリアも戦えない。戦えるS.O.N.G.の装者は響のみ。しかし、心の中では戦いたくないという思いが芽生える。未来達と帰宅途中、キャロルが送り込んだオートスコアラー、ガリィと対峙した響は、アルカ・ノイズを前に聖詠を唱える事が出来ず、ガングニールは沈黙するのだった。

 

 

 

 

 

「アルカ・ノイズの反応を検知!座標を絞り込みます!」

 

その頃、S.O.N.G.ではガリィが召喚したアルカ・ノイズを検知していた。

 

「エルフナインちゃんの情報で、捕捉精度が格段に上がっている!」

 

モニターにはアルカ・ノイズの反応と、ガリィとアルカ・ノイズに取り囲まれる響達とカリバーの様子が映し出された。顔を顰める弦十郎。

 

藤尭は装者達に対応する様通信を開こうとするが、すぐに気づく。調と切歌の身体の状態では出動出来ないからだ。今の装者はほぼ戦闘不能。戦える装者は響だけだ。

 

「まともにギアを纏えるのは響君ただ1人…そして装者以外で戦えるのはカリバーだけ…!」

 

映像に映し出されるカリバーと響を見つめて悔しそうに言った。

 

 

「頭の中のお花畑を踏みにじってあげる。」

 

ガリィは指を鳴らすと、アルカ・ノイズが前進する。響は聖詠を唱えようとするが、歌えない。ガングニールは沈黙していた。

 

「何をしている! 早くギアを纏え!!」

 

カリバーは闇黒剣月闇を手にアルカ・ノイズを斬りかかろうとするが…

 

「あらあら? 今手を出したら、こいつらみんな殺しちゃうけどいいの?」

 

 

「くっ…!」

 

ガリィは意地悪そうにカリバーが攻撃したら響達を殺すと宣言。カリバーは迂闊に手を出せなかった。

 

 

 

その様子は指令室でも映し出されていた。弦十郎は緒川を向かわせると、マリアと鉢合わせする。響の援護をすると聞いたマリアも緒川と共に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「何で…聖詠が浮かばないんだ…!?」

 

響はどうしてギアを纏えないのか、分からずにいた。

 

(ギアを纏えないこいつと戦った所で、意味はない。ここは試しに、仲良しこよしを引き裂いてみるか?)

 

ガリィが悪巧みをしようとすると、突如1人の女子が足踏みをした。

 

「あぁーまどろっこしいなぁ!」

 

皆が注目したのは、寺島だ。

 

「あんたと立花がどういう関係か知らんけど、だらだらやんのならあたしら巻き込まないでくれる?」

 

普段のお淑やかな口調と違ってかなり強気だ。

 

「お前、こいつの仲間じゃないのか?」.

 

「冗談! たまたま帰り道が同じだけ。ほら。道を開けなよ。」

 

ガリィは顔を歪ませ、アルカ・ノイズに指示を出して道を開けた。すると…

 

寺島が目で合図を送る。

 

「行くよ!」

 

安藤が未来の腕を引っ張り、響達はカリバーとすれ違い、走り出す。

 

「なるほど…一芝居打ったか。さて、邪魔者はいなくなった。斬らせてもらう。」

 

カリバーは寺島の演技を評価しつつ、ガリィに闇黒剣月闇を向ける。

 

「お前はこいつらと遊んでな。その間にあいつらの希望をバッサリと摘み取るからねぇ〜。」

 

ガリィは意地悪な笑みを浮かべると、新たにアルカ・ノイズを召喚してカリバーにけしかけ、自身は他のアルカ・ノイズと共に響達を追いに向かった。

 

「野郎…!」

 

カリバーはガリィに対して怒りを見せながらも、一気に決める為に全て闇黒剣月闇を納刀してトリガーを押す。

 

【月闇居合! 】

 

そして、抜刀する。

 

【読後一閃!】

 

闇黒剣月闇から紫色の斬撃波を飛ばし、アルカ・ノイズ達を全て一掃した。煙が晴れた後にはガリィ達はいつの間にか距離を離されている。

 

「不味い…!」

 

カリバーが走ると、目の前に時間差で陣が発生し、新たなアルカ・ノイズが召喚される。倒したと思わせていざ向かおうとした時に時間差で召喚する。性根が腐ったガリィらしい手口だ。

 

「ふざけた真似を…!」

 

カリバーはストームイーグルを取り出して闇黒剣月闇に1回スキャンした。

 

【必殺リード!ジャアクイーグル!】

 

【月闇必殺撃!習得一閃!】

 

闇黒剣月闇から紫色の鷲型のエネルギーが放たれ、アルカ・ノイズ達を全て消滅させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、響達を追いながらアルカ・ノイズは丸めた腕を伸ばして街灯やベンチを次々に分解しながら迫る。ガリィは足が地面に接する部分を凍らせ、スケートの様に滑りながら響達を追っていた。

 

「上げて落とせば、いい加減戦うムードになるんじゃないかしら?」

 

ガリィは意地悪そうに言う。

 

「アニメじゃないんだから!」

 

板場が叫ぶと、アルカ・ノイズの触手が響の右靴を分解する。その拍子に転倒してしまい、ペンダントが手から離れる。

 

「ギアが!」

 

空高く舞うペンダント。その時、1台の黒塗りの車がやって来た。緒川とマリアだ。

 

「ハァァァァァ!!」

 

マリアはジャンプし、ペンダントをキャッチする。

 

 

 

 

 

「あれは…マリア・カデンツァヴナ・イヴ…!?」

 

ストームイーグルの力で飛行するカリバーは響達に追いつき、ジャンプしたマリアを見つけた。そして…

  

 

「Granzizel bilfen gungnir zizzl」

 

「この聖詠は…」

 

「マリアさん!」

 

マリアの聖詠が響き渡る。マリアはかつて革命を起こした時に纏った黒き撃槍を再び纏ったのだ。

 

 

 

そして、アームドギアである槍を展開するが、体に紫電が走る。しかし、負けじとHORIZON†SPEARを放ち、アルカ・ノイズを吹き飛ばす。

 

(戦える…この力さえあれば…!)

 

 

「ハァァァァ!!」

 

ガリィに背後からカリバーが飛行しながら斬りかかるが、ガリィはそれを体を曲げて避けた。カリバーはマリアの横に着地する。

 

「っ…! カリバー…!」

 

「まさかお前が再びそれを纏うとはな。」

 

「今も覚えているわ。この姿であなたと戦った事を。」

 

「奴と戦うのは勝手だがせいぜい私の邪魔はするな。」

 

カリバーは闇黒剣月闇の刀身を撫でながら言う。

 

「相変わらず冷たいわね。」

 

マリアも槍を構えて返し、カリバーと共に走り出す。仮初の共闘だ。

 

「黒い…ガングニール…!」

 

響はかつてフロンティア事変で戦ったマリアのあの姿を見て呟いた。

 

 

 

 

 

 

「緒川さんとマリアさんが到着!」

 

「ガングニールでエンゲージ!」

 

指令室では緒川と友里の声と共にカリバーとマリアの映像が映し出されていた。

 

「マリア君! 発光する攻撃部位こそが解剖器官! 気をつけて立ち回れ!」

 

弦十郎が通信でマリアにアルカ・ノイズの解剖器官に付いて話す。ガリィは再びアルカ・ノイズを召喚した。カリバーは闇黒剣月闇で、マリアは槍でアルカ・ノイズを斬っていく。

 

 

「想定外に次ぐ想定外…捨てておいたポンコツが、意外なくらいにあってくれるなんて…」

 

 

ガリィがほくそ笑む中、カリバーとマリアはアルカ・ノイズを倒していく。

 

 

「私のガングニールで…マリアさんが戦っている…」

 

自分のギアで自分の代わりに戦っている姿を見て、呟いた。そして先に槍てガリィを突こうとしたその時、ガリィが両手の掌から六角形状のバリアで防いだ。

 

「あれは…!」

 

カリバーが声を上げる。

 

「それでも!」

 

マリアは槍の外装を解放し、ガリィの両手を広げる。そして胸目掛けて突き立てようとするが、再び六角形のバリアがガリィの胸を守っていたら。そしてニヤリと笑うと…胸からバリアが展開されていく。

 

「!!」

 

「頭でも冷やせや〜い!!」

 

突如、ガリィから大きい氷の針がマリアに迫る。それを見たカリバーは闇黒剣月闇から斬撃波を放ち、針を斬り裂く。

 

「チッ…!」

 

舌打ちをするガリィ。距離を取るマリアだが、全身に紫電が走る。

 

(これ以上の戦闘は奴の体を壊してしまう…!)

 

カリバーはマリアが限界に近づいている事を悟った。

 

「決めた。ガリィの相手はあんたよ!」

 

「っ…!!」

 

狙いを付けられた顔を歪めるマリア。

 

「いっただっきま〜す!」

 

ガリィはジグザグに素早く滑ると、左手を氷の手刀に変化させて迫る。

 

「あれをくらったら不味い…!」

 

それを見たカリバーは走り出し、マリアに手刀が迫る寸前、ガリィの手刀の先を闇黒剣月闇で斬り落とした。

 

「っ…!!」

 

ガリィが不機嫌そうに顔を歪め、カリバーが蹴りを繰り出すと、ガリィは腕でガードしてそのまま距離を取った。同時にマリアのギアが解除された。膝を付き、息を荒げる彼女の目と口からは血が流れている。

 

「それでもその程度? フンッ。」

 

ガリィはマリアを指し、左手を元に戻した。

 

「何よこれ? カリバーはともかくまともに歌える奴が居ないなんて、聞いてないんだけど〜?」

 

一気に不機嫌になるガリィ。

 

「くっそ面白くない。帰る。」

 

ガリィは再びテレポートジェムを足元に落として魔法陣を作り出すと、姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「空間移動…あれもまた…錬金術の…」

 

そこへ指令室に翼以下装者とエルフナインがやってくる。

 

「現代に新型ノイズを完成させるとは、移送空間に干渉する技術を備えているという事です。」

 

エルフナインが説明した。

 

「んな事より、みんな無事なのか!?」

 

クリスが友里に聞く。

 

「カリバーと駆けつけたマリアさんが、ガングニールを纏って敵を退けてくれたわ。」

 

「マリアがデスか?」

 

「それってつまり…私達の様に…」

 

「シンフォギアからのバックファイアに、自分を虐めながら、か。無茶をしてくれる。」

 

無理をして自分の体に負担をかける事を分かっていながら出動したマリアを翼は見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

(もしも私が…ガングニールを手放していなければ…!いや…それは未練だな…!!)

 

血を流しながらも戦ったマリアは響のペンダントを握りしめて見つめていた。そして立ち上がり、響達の元へ向かう。

 

「怪我は無い?」

 

「はい…でも、マリアさんが傷だらけで…」

 

「歌って戦ってボロボロになって…大丈夫なんですか!?」

 

板場達に大丈夫か聞かれて頷くマリアは背を向けている響にペンダントを差し出す。

 

 

「…君のガングニー「私のガングニールですッ!」

 

背を向けていた響はマリアから奪い返す様にペンダントを取った。

 

「響!」

 

「っ!!」

 

響の行動にそれを見ていたカリバーが反応する。

 

「これは、誰かを助ける為の力!私が貰った、私のガングニールなんです!」

 

響は自分の力が、誰かを助ける為の力が、戦う為に使われた事が許せなかった。そしてマリアに感謝の言葉を言えずに、感情的になってしまったのだ。しかし、この行動を見ていたカリバーが動く。

 

 

 

 

 

 

「だったら…何故ギアを纏わなかった? 何故戦わなかった? 私とマリア・カデンツァヴナ・イヴが来ていなければ、小日向未来達は奴等の餌食になっていたぞ?」

 

響の言葉を聞いてカリバーは声に僅かに怒りを混ぜて響の元へ歩いて来た。

 

 

 

 

「私は…戦いたくないんです…」

 

「…何?」

 

小声で話す響は、この時カリバーの逆鱗に触れてしまった。

 

「私がしたいのは戦いじゃなくて、人助けなんです! だから…!!」

 

 

「愚か者めッ!!」

 

怒鳴り声と共にカリバーは響を手の甲で殴ったのだ。これには未来や板場達、マリアも驚愕の表情を浮かべる。勿論、指令室でも見ていた弦十郎達もだ。

 

殴られた響は倒れ、頬を押さえながらカリバーを見る。

 

 

 

 

「力を手にしておきながら人助けがしたいから戦いたくないだと!? 笑わせるなッ!! お前は他者を傷つける事を、戦う事を人助けとかいう理想を盾に逃げているだけだッ!! 」

 

響の行動に怒鳴り声をあげるカリバー。響も負けじと目に涙を浮かべながら立ち上がり、声を荒げた。

 

 

「逃げてなんかいません!! 私は人助けの力で誰かを傷つけたくないだけなんです!翼さんもクリスちゃんも戦えない今、カリバーさんにも協力して欲しいんです!キャロルちゃんの仲間と戦わなくても、話せば分かると思って…!!」

 

響は自分の悩みの内を大声でぶちまけた。しかし、これが火に油を注ぐ事に…

 

「話せば分かるだと!? それはお前の理屈だろうッ!! この世界には理屈など何とも思わない人間などいくらでもいる!! そもそも理屈が通用しない連中など掃いて捨てるほどいる!! そんな事も分からずに生きてきたのなら、力を持つ資格は無い!!」

 

「……」

 

カリバーの声に響は黙り込んでしまう。

 

「力を持つという事は、戦いに身を投じるという事だ!! 一度力を手にした者は、決して後戻りする事も逃げる事も出来ない!! 戦う定めを受け入れ、自分の身と心に深い傷を負う事を覚悟し、涙を流しながら前に進まなければならない!! 戦うという事はそういう事だ!! 愚痴なら墓場で言えば良い!!」

 

人に騙され裏切られ、人間を斬った時から後戻りも逃げる事もせずに戦ってきたカリバーからしたら、話せば分かる協力は自身に対して侮辱以外何でもなかった。

 

「それでも……それでも私は…!!」

 

響は震えながらも言い返そうとする。

 

「戦わないのはお前の勝手だ。そうやっていつまでも現実から目を背けていれば良い!! 私に見せた心の強さと守りたい物を守る決意がその程度の物だったとはな。 失望したぞ。」

 

「え…」

 

カリバーから失望したと言われ、呆然とする響。そのままカリバーは響達に背を向けて歩いて行き、炎の渦で姿を消した。

 

 

 

 

「カリバー…さん…」

 

 

 

 

 

 

 

「カリバーの言う通りよ…それはあなたの力…だから…目を背けるな!」

 

「目を…背けるな…」

 

マリアは響の腕を掴んで目を背けるなと言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、キャロルの元にガリィが帰投していた。

 

「ガリィ…」

 

ガリィを睨みつけるキャロル。

 

「そんな顔しないでくださいよ〜。カリバー以外ろくに歌えないのと、歌っても大した事ない相手だったんですから〜。あんな歌を毟り取った所で役に立ちませんって。」

 

ガリィはあざとい表情の後に悪そうな顔をして言った。

 

「お前が作られた目的を忘れていないのならそれで良い。」

 

キャロルの脳裏に響の言葉が思い浮かぶ。

 

『人助けの力で…戦うのは嫌だよ…。』

 

『人助けをして殺させる口なのか!!』

 

 

 

 

「だが次こそはあいつの歌を叩き折って砕け。そしてカリバーの本と闇黒剣月闇を持ってこい。これ以上の遅延は計画が滞る。」

 

レイラインの解放…分かってますとも。ガリィにお任せです☆」

 

ガリィは明るい表情を見せた。

 

「お前に戦闘特化のミカを付ける。いいな?」

 

「いいゾ!」

 

ミカは元気よく返事をするが、自分の定位置にいた。

 

「そっちに行ってんじゃねーよ!」

 

思わず言葉使いが乱暴になってツッコむガリィ。

 

(チッ…せめてカリバーが邪魔せずにあのハズレ装者のギアが解除されてなければ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

一方、ガリィとアルカ・ノイズとの戦いの後、自宅に戻った隼人は寝室で自分の右手を見つめていた。そして、響の行動に怒り、殴ってしまった事を思い出していた。

 

『愚か者めッ!!』

 

そして自分に見せたあの顔。

 

「何で怒鳴っちまったんだよ…何で殴っちまったんだよ…」

 

隼人は感情的になって響を怒鳴りつけて殴ってしまった事を悔やんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、響は眠れずにいた。今日起きた事を思い出していたのだ。

 

「眠れないの?」

 

未来が心配して話しかける。

 

「ごめん…気を使わせちゃった…」

 

「今日の事…カリバーさんに言われた事を考えてるんだよね? 」

 

「……戦えないんだ…歌を歌って…この手で誰かを傷つける事が…とっても怖くて…私の弱さがみんなを危険に巻き込んだ…なのに…」

 

響が誰かを傷つける事を恐れて戦えない中、拳を握りしめると、未来が手を添える。

 

「っ!」

 

「私は知ってるよ? 響の歌が誰かを傷つける歌じゃない事を。」

 

そして両手で響の拳を包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、マリアと調と切歌はナスターシャの墓参りをしていた。

 

「ごめんねマム。遅くなっちゃった。」

 

ナスターシャの墓標に花束を手向けるマリア。

 

「マムの大好きな日本の味デス!」

 

「私は反対したんだけど、常識人の切ちゃんがどうしてもって…」

 

切歌がお供えしたのは、何と醤油だった。

 

「マムと一緒に帰って来たフロンティアの一部や、月遺跡に関するデータは、各国機関が調査してる途中だって。」

 

「みんなで一緒に研究して、みんなの為に役立てようとしてるデス!」

 

「ゆっくりだけど、ちょっとずつ世界は変わろうとしているみたい。」

 

3人は今どんな事が起きているのか、ナスターシャの墓標に話しかけていた。

 

(変わろうとしているのは世界だけじゃない…なのに…私だけは…ネフィリムと対決したアガートラームも、再び纏ったガングニールも、窮地を切り抜けるのはいつも、自分の物ではない力…)

 

マリアは自分も変わりたいと思っていた。偽りの自分ではなく、ありのままの自分に変わる為に。

 

「…私も変わりたい。本当の意味で強くなりたい。」

 

マリアの言葉に調と切歌が口を開く。

 

「それはマリアだけじゃないよ…」

 

「アタシ達だって同じデス…」

 

すると、雨が降り出す。

 

「昔の様に、叱ってくれないんだね…大丈夫よマム。答えは自分で探すわ。」

 

「ここはマムが残してくれた世界デス。」

 

「答えは全部あるはずだもの。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、リディアンでは未来と板場達が昼食を取っている中、そこに響の姿はなかった。課題を終わらせなければいけない事を理由に、未来達と食べなかったのだ。そんな中、安藤は響が歌えないのは、歌う理由を忘れたのではと推測する。それを思い出せればまた歌えると安藤は言った。それを聞いた未来は何かを決心したかの様な表情をした。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、港に停泊中のS.O.N.G.本部では…

 

「先日響さんを強襲したガリィと、クリスさんと対決したレイア、これに、翼さんがロンドンで戦ったファラと、未だ姿を見せないミカの4体が、キャロルの率いるオートスコアラーになります。」

 

スクリーンに映し出されるオートスコアラー達の映像が流れる中、エルフナインは解説した。

 

「人形遊びに付き合わされてこの体たらくかよ…!」

 

クリスは悔しそうに言う。

 

「その機械人形は、お姫様を取り巻く護衛の騎士といった所でしょうか。」.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やはり奴らは人間ではなかったか。どうりであんな人間離れした力が使える訳だ。」

 

隼人はエルフナインの解説をシャボン玉を通して見ていた。あんな氷を操る能力や人間離れした動き。ガリィとレイアと対峙した時も薄々感じていたのだ。

 

 

 

 

 

「スペックを初めとする詳細な情報はボクに記録されていません。ですが…」

 

「シンフォギアを凌駕する戦闘力からして、間違い無いだろう。」

 

「超常脅威への対抗こそ俺達の使命。この現状を打開するため、エルフナイン君より計画の立案があった。」

 

「「「「っ!?」」」」

 

翼達が反応する。そしてモニターに大きな赤い文字で映し出される名前は…

 

 

PROJECT

 

 

 

IGNITE

 

 

Project・ IGNITE(プロジェクト・イグナイト)だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨が降る中、響と未来は相合い傘で帰り道を歩いていた。

 

「やっぱりまだ、歌うのは怖いの?」

 

「え?…うん…誰かを傷つけちゃうんじゃないかって思うと…ね。」

 

響の中にはまだ誰かを傷つけてしまうという思いが残っていた。だからまだ歌えない。

 

「響は、初めてシンフォギアを纏った時の事って、覚えてる?」

 

「どうだったかな…無我夢中だったし…」

 

「その時の響は、誰かを傷つけたいと思って、歌ったのかな?」

 

響は未来の言葉に反応した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イグナイトモジュール…こんな事が、本当に可能なんですか?」

 

緒川がエルフナインに問う。

 

「錬金術を応用する事で、理論上不可能ではありません。リスクを背負う事で対価を勝ち取る…その為の魔剣ダインスレイフです。」

 

 

 

 

「要するに…力に溺れる危険があると言う事か。」

 

隼人が口を開いたその時、ガトライクフォンから電子音声が鳴る。そして指令室に響き渡る警報。アルカ・ノイズだ。

 

「アルカ・ノイズの反応を検知!」

 

「位置特定! モニターに出します!」

 

友里の声と共にモニターにはミカと逃げる響と未来の姿が映し出された。

 

「遂に…ミカまでも…」

 

エルフナインは恐れていた事が起きたかの様に声を漏らした。

 

 

 

「あいつも奴らの…!」

 

隼人はシャボン玉から見えるミカの映像を見て、闇黒剣月闇を持って寝室を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

降りしきる雨の中、響と未来は逃げていた。そしてアルカ・ノイズと共に追いかけてくるのは、ミカだ。

 

「逃げないで歌って欲しいゾ! それとも、歌いやすい所に誘ってるのか?」

 

何か考え事をすると、ミカは閃いた。

 

「それならそうと言って欲しいゾ!それ!」

 

ミカはアルカ・ノイズを2人にけしかける。

 

 

 

 

 

 

 

「敵の襲撃!?」

 

勿論マリア達の耳にも入っていた。しかし、響達の元へはマリア達がいる霊園からは遠い。間に合わないのだ。

 

 

 

 

廃ビルの中に逃げる響と未来をミカとアルカ・ノイズ達が追い詰める。そんな中、響が階段から落ちてしまう。

 

「響!」

 

響の顔をミカが覗き込む。

 

「いい加減戦ってくれないと、君の大切な物解剖しちゃうゾ? 友達バラバラでも戦わなければ、この街の人間も、犬も猫もみ〜んな解剖だゾ〜!!」

 

大きな獣の様な手の指を動かしながら笑うミカ。響はペンダントを取り出して聖詠を唱えようとするも、歌えない。

 

 

「解剖されるのは、お前だ。」

 

声のする方向を見ると、カリバーが立っていた。

 

「カリバー…さん…!」

 

「お前かマスターの言ってたカリバーか〜!探す手間が省けたゾ〜!!」

 

ミカは目当ての物を見つけたかの様に嬉しそうに言う。

 

「戦う事から逃げた者に戦う資格は無い。とっとと失せろ。」

 

「っ…!」

 

響はカリバーの言葉に怯んだ。やはりあの時の説教がまだ聞いている様だ。

 

(立花響…例え分かり合いたくても分かり合えない奴はいくらでもいる…時には戦わなければならない…それを受け入れなければお前は2度と立ち上がれない…!)

 

カリバーは響に失望したと言っておきながら、内心は怒鳴りつけて殴った事を悔やみながらも響をもう一度立ち上がらせなければならないと思っていたのだ。

 

「こいつら解剖する前にお前の本と剣を頂くゾ!」

 

ミカはカリバーに向けてアルカ・ノイズの群れを召喚する。

 

「おのれ…!」

 

カリバーは怒り混じりの声を出しながらアルカ・ノイズ達を斬っていく。

 

「マスターの言う通り、本当にカリバーは分解されないゾ!」

 

いちいち嬉しそうに反応するミカを尻目にカリバーはアルカ・ノイズを斬りながら、もう一度響を立ち上がらせる為にはどうすれば考えていた。

 

響は再び聖詠を唱えようとするも、やはり歌えない。

 

「本気にしてもらえないなら…」

 

ミカは未来に狙いを定め、アルカ・ノイズを向かわせる。それを見たカリバーは一か八かの賭けに出た。

 

(今俺が言ってもあいつは余計に閉じこもってしまう…!こうなったら…ッ!!)

 

 

 

「小日向未来ッ!」

 

「!?」

 

カリバーは未来に叫んだ。

 

「立花響の歌は何の為の歌なのか!伸ばし続けたその手は何の為の手なのか!それらが何を作ってきたのか!ずっと側で見てきたお前なら分かるはずだ!! 」

 

「っ!!」

 

カリバーの叫びにハッとする未来。

 

「伝えろ! 忘れかけている胸の歌を呼び覚ます為に!!」

 

 

 

カリバーにそう言われると、未来は叫ぶ。

 

「あのね!響!響の歌は、誰かを傷つける歌じゃないよ!」

 

 

「!?」

 

喉を押さえながらも未来を向く響。  

 

「伸ばしたその手も、誰かを傷つける手じゃないって私は知ってる!私だから知ってる!だって私は…響と戦って!救われたんだよ!!」

 

未来の救われたという言葉にハッとする響。

 

「私だけじゃない! 響の歌に救われて、響の手で今日に繋がっている人、沢山いるよ! だから怖がらないで!」

 

「バイナラ〜!!」

 

ミカとアルカ・ノイズ達が未来に一斉に飛びかかる。カリバーは向かおうとするが、アルカ・ノイズが妨害する。そして、未来がいた足場が、崩された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

響は叫びながら未来の元へ駆け出す。そして…

 

 

「Balwisyall Nescell gungnir trooooon!!!」

 

響の力強い聖詠が響き渡った。未来はこれまで響が歌って戦ってきた数々の戦いを思い出していた。

 

(私の大好きな…響の歌を…みんなの為に…歌って…)

 

 

 

 

 

その時、ガングニールを纏った響が未来を姫抱きして、着地した。

 

 

「やっと思い出したか…! 胸の歌を…!」

 

その様子を見たカリバーは何処か嬉しそうに言った。

 

「ごめん。私、カリバーさんの言った通りこの力と責任から逃げ出していた。だけどもう迷わない。だから聞いて!私の歌を!」

 

 

 

その様子は勿論司令室に映し出されていた。

 

「どうしようもねぇバカだな!」

 

クリスは嬉しそうに言った。

 

 

 

そしてミカと対峙した響は未来を降ろした。

 

「行ってくる。」

 

「私を忘れてはいけないな。」

 

響と未来が振り返ると、後ろからカリバーがやって来たのだ。

 

「カリバーさん…」

 

「全く…ようやく歌える様になったか…。」

 

「カリバーさん…ごめんなさい…私…自分に言い訳して逃げていました…でも、未来とカリバーさんのお陰で、忘れかけていた胸を歌を思い出せました。」

 

「私は何もしていない。礼を言うなら小日向未来に言え。それにまずは、倒すべき敵を倒すぞ。」

 

カリバーは自分は何もしていないと言い、そして響にミカを倒すと言った。

 

「一緒に戦ってくれるんですか?」

 

「別に手を貸す訳ではないが、手伝ってやる。」

 

カリバーは闇黒剣月闇の刀身を撫でながら話した。響は嬉しそうな表情をする。

 

「行けるか?」

 

「いつでも行けます!」

 

そして2人はミカの元へ駆け出す。ミカはアルカ・ノイズの群れを召喚した。しかし2人は怯まず、カリバーは闇黒剣月闇で、響は己の拳と脚でアルカ・ノイズ達を倒していく。そしてカリバーは闇黒剣月闇を納刀してトリガーを押す。

 

【月闇居合!読後一閃!】

 

抜刀した闇黒剣月闇から斬撃波を繰り出し、ノイズを斬り裂く。響は腕のギアをスライドさせ、地面を殴り、衝撃波でノイズを倒す。そして2人はミカに接近。響は勢いをつけ拳を繰り出す。ミカは掌から剣型のエネルギーを出して受け止める。そこへカリバーが加わり、闇黒剣月闇を突き立て、2人はミカを勢いで押していく。

 

「これこれ!へし折りがいがあるゾ〜!!」

 

ミカは何処か嬉しそうだ。その映像は司令室でも流れていた。

 

 

「これが、戦闘特化したオートスコアラーのスペック…!」

 

「それがどうした。相手が戦闘特化だとしても、立花が遅れを取る事などありえない。カリバーもいるからな。」

 

驚くエルフナインに対して翼は響は負けないと豪語した。

 

 

 

 

押されるミカも髪に搭載されたブースターを起動して押し返すが、カリバーと響はすぐに距離を取る。そしてすかさず加速して突っ込んでいき、響が拳で一撃を浴びせ、カリバーが蹴りを浴びせて吹っ飛ばす。そこへ響が追撃に鳩尾目掛けて拳を繰り出そうとした瞬間…

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

「何…!?」

 

ミカの身体が水泡に変わり、弾けた。響の視線の先には…

 

 

「ざ〜んねん。それは水に映った…」

 

ガリィだ。そう。2人はガリィが作り出した偽物と戦っていたのだ。

 

「囮だと!?」

 

そして響の下には、本物のミカが笑いながら掌からエネルギーの剣を伸ばし、響の胸目掛けて突き立てた。  

 

「あああああああああああああああああああああ!!」

 

悲鳴と共にそして天へとエネルギーの柱が伸び…響のペンダントが破壊された。その光景を呆然と見る未来。

 

「立花響!!」

 

「響!!」

 

ギアが分解されながら響は未来の目の前に落下した。

 

「響!響!嫌!響!お願い!しっかりして!響!」

 

響は目を開いたまま反応しない。未来の叫び声と共に雨が降り出す。

 

 

「響ーーーーーー!!」

 

未来の叫び声が、雨の中こだました。

 

 

 




いかがだったでしょうか? 今回は響推しの読者の方に申し訳ない事をしたかなと思っています。流石に殴るのはやりすぎかなと思っていたんですが、カリバーの性格からしたらこんな風に響に説教をするのかなと思って書きました。後半部分は読者の皆様が納得いかない部分が目立ってしまったかもしれません…。

余談ですが響に説教をしたカリバーの台詞の一部は「リーガル・ハイ 」の古美門研介の受け売りです。

今回はここまでです。感想お待ちしています。
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