【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

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コレクタブルワンダーライドブックGP15を回したらカリバーが4つ出ました笑 ワンダーワールド物語ストーリーオブ闇黒剣月闇もこの小説で出したいと思います。



第45話 自分らしく、ありのままの私で。

キャロルとの戦いで響達はイグナイトモジュールの制御に成功し、カリバーと共にキャロルを退けるが、彼女は自ら命を絶ってしまう。しかし、それは本当の戦いへの序章に過ぎなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(強くなりたい…翻弄する運命にも、立ちはだかる脅威にも負けない力が欲しくて、ずっと…もがいてきた…)

 

 

 

マリアは強さを欲していた。脳裏に蘇る、フロンティア事変の出来事。世界の前で革命を起こした事、ウェルのやり方で世界を救うと決めた事、響にガングニールを奪われた事。しかしそれは、全て偽りの自分。本当の自分が強くなる為に、力が欲しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい!マリアー!」

 

「何をやってるデスかー?」

 

青い空。白い雲にどこまでも続く海。水着姿の調とビーチパラソルを持つ水着姿の切歌。

     

(求めた強さを手に入れる為、私は…ここにきた!)

 

サングラスを外す水着姿のマリア。ここは海だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「壊されたイガリマと…」

 

「シュルシャガナも改修完了デス!」

 

ミカとの戦いによって破壊された調と切歌のペンダントはエルフナインによって修復され、2人の元に帰ってきた。

 

「機能向上に加え、イグナイトモジュールも組み込んでいます。そして勿論…」

 

「復活の…アガートラーム。」

 

「改修ではなく、コンバーター部分を新造しました。一度神経パスを通わせているので、身に纏えるはずです。」

 

エルフナインがペンダントを手渡す。亡きセレナが残した形見であり、フロンティア事変の最終決戦でマリアが纏ったアガートラームも2人のギア同様、蘇ったのだ。

 

「セレナのギアをもう一度…この輝きで、私は強くなりたい。」

 

マリアはこの力で強くなりたいと決心した。

 

「うん。新たな力の投入に伴い、ここらで1つ特訓だな!」

 

「「「「「「特訓?」」」」」」

 

装者達が口を揃える。

 

 

「オートスコアラーの再戦で、強化型シンフォギアとイグナイトモジュールを使いこなす事は、急務である。近く、筑波の異端技術研究機構で、調査結果の受領任務である。諸君らはそこで、心身の鍛錬に励むといいだろう。」

 

「特訓と言えばこの私。任せて下さい!」

 

 

弦十郎の言う特訓とは、海で思いっきり遊ぶ事だった。季節は夏に入り、絶好の海水浴日和。装者達にとっては束の間の安らぎだ。勿論その中には未来と、エルフナインもいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、異端技術研究機関では、緒川と藤尭は謎の光の球体を目にしていた。それは、ナスターシャがフロンティアから残したデータから構築した物らしい。まるで地球の大陸の様な模様が出ている。便宜上フォトスフィアと呼んでおり、実際の大きさよりは4000万分の1の大きさとの事。

 

「フォトスフィアとは一体…?」

 

藤尭が謎めいたこのフォトスフィアが何なのか疑問の声を出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「青い空、白い雲、どこまでも続く海は良いねぇ。」

 

響達が来ているとも知らず海を道路からライドガトライカーに乗って見ているのはおしゃじぞうさんの力で釣り人姿に変えた隼人だ。今日は気分転換に海釣りに来たのだ。ただ釣りの知識は無いが。

 

「最後に海に来たのは…中1か…」

 

隼人は自分が海に最後に来たのは中学1年生の時だと思い出していた。

 

『隼人!早く早くー!』

 

ふと思い出す。瑠奈が自分を砂浜で呼ぶ光景が。

 

「そういえばあの時、瑠奈とツレで行ったんだっけ…懐かしいな…………って、また思い出しちゃったよ…」

 

そんな思い出に浸りながらも隼人は砂浜を目指してライドガトライカーを発進させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃響達はビーチバレーを楽しんでいた。翼とクリス対マリアとエルフナインのタッグだ。響と未来、調と切歌は応援だ。エルフナインがジャンプしてサーブを打とうとするが、空ぶってしまう。

 

「何でだろう…強いサーブを打つための知識はあるのですが…実際やってみると全然違うんですね。」

 

サーブが打てなかったエルフナインにマリアが答える。

 

「背伸びをして誰かの真似をしなくても大丈夫。下からこう…こんな感じに。」

 

マリアがエルフナインにサーブの打ち方を教えた。

 

「弱く打っても大丈夫。大事なのは自分らしく打つ事だから。」

 

「はい!頑張ります!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響達から離れた場所の砂浜に隼人は来た。そしてふと右を見ると遠くにビーチバレーを楽しむ響達の姿が。

 

「お、立花響達がビーチバレーやってる………………え!?」

 

思わず2度見する隼人。

 

(嘘だろ!?立花響達と同じ海に来ていたなんて!こんな偶然あるか!?いやしかし顔と名前は知られてないから話しかけられる事は無いのが幸いだ…!)

 

何と隼人は響達と同じ砂浜に来ていた事に驚いた。こんな偶然あるのか。いや、そんな事はどうだって良い。今日は気分展開に釣りに来ている。気にする事ないと思い、背を向けて釣りのポイントを探そうとした時、足にコツンとボールが当たる。

 

「ん?」

 

隼人はボールを拾い上げる。

 

「すみませーん!」

 

そこへ隼人の元へ響が走って来る。クリスのアタックでボールが隼人の所まで転がってきたのだ。

 

「あぁ、はい。」

 

隼人は響にボールを渡した。

 

「ありがとうございます!お兄さんは何しに海に来たんですか?」

 

(ストレートに聞くなおい!)

 

「いい天気だからね。気分転換に釣りに来たんだ。」

 

心の中でツッコみながらも隼人は響の質問に答えた。

 

「そうなんですか!大物釣れるといいですね!」

 

「そうだね。」

 

「おーい! 何やってんだよー!」

 

隼人と響が話していると、クリスが遠くで叫んだ。

 

「友達が待ってるよ。」

 

「はい!それじゃあ! 今行くよー!」

 

ボールを持って走っていく響の背中を見つめて隼人は再び背を向けて歩き出した。

 

「……そういえばあいつと素顔で話したのってこれが初めてだな…」

 

そう。隼人は響と素顔で接触したのは初めてなのだ。これまで接触はほぼ変身していた状態だったが、変身せずに話したのはこれが初めてだ。

 

「ま、正体知られてないからそこまで問題じゃないけど……顔覚えられたらそれはそれで嫌だな………」

 

そんな事を言いながらも隼人は釣りのポイントを探しに歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

そしてビーチバレーを終えた響達は砂浜で休んでいた。

 

「気が付いたら特訓になっていた…」

 

「どこのどいつだ…?途中から本気になったのは…」

 

すると、エルフナインが太陽を見る。

 

「晴れて良かったですね。」

 

「昨日台風が通り過ぎたおかげだよ。」

 

未来の言う通り、昨日は大型の台風が関東地方に上陸し、そのまま北上して行ったのだ。そして絶好の海日和になったのだ。

 

「日頃の行いデス!」

 

「ところでみんな、お腹が空きません?」

 

響が翼達に話しかける。

 

「だがここは、政府保有のビーチ故…」

 

「一般の海水浴客がいないと、必然売店の類いも見当たらない…」

 

そう。普通のビーチと比べて海の家が無ければ、コンビニも無いのだ。そこで、買い出しを巡ってジャンケンが行われた。

 

「「「「「「「「コンビニ買い出しジャンケンポン!!」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調と切歌はチョキ。翼もチョキだが、親指と人差し指の田舎チョキだ。響、未来、クリス、マリア、エルフナインはグー。

 

「なははははは!! 翼さん変なチョキ出して負けてるし!!」

 

「変ではない!カッコいいチョキだ!」

 

響は翼が変なチョキを出して負けた事に大笑いした。顔を赤くする翼にとってはカッコいいチョキなのだ。

 

「斬撃武器が…」

 

「軒並み負けたデス!」

 

 

「好きなものばかりじゃなくて、塩分とミネラルを補給出来る物もね。」

 

「……。」

 

自分のカッコいいチョキが負けた事に残念がる翼にマリアがサングラスをかけた。

 

「人気者なんだから、これかけていきなさい。」

 

そう。翼は日本におけるトップアーティストでありスーパースター。そんな人物が変装せずに買い出しに行けば大騒ぎだ。

 

「母親の様な顔になっているぞ。マリア。」

 

そんなマリアが翼は母親みたいに見えた。

 

 

 

 

 

 

 

「腹減ったなぁ…ちょっと遠いけど飯でも買って来るか。」

 

大剣豪浦島二郎の力で釣竿を召喚して釣りをしていた隼人は昼食を買いにコンビニに向かった。ちなみにまだ1匹も釣れていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃翼達はコンビニで買い出しを終えた。翼はスイカを抱えている。

 

「切ちゃん自分の好きなのばっかり…」

 

切歌の持つレジ袋にはコーラやポテトチップスやチョコレートといったお菓子の類がぎっしり入っていた。

 

「こういうのを役得と言うのデス!」

 

そんな切歌をほほえましく翼は見ていた。すると、とある神社が台風の爪痕なのか、変わり果てた姿になっていた。お社が破壊され鳥居が凍りついていたのだ。それは、安らぎの終わりの前兆だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、留守番をしている響と未来は海を眺めていた。そこへエルフナインが特訓はしなくて平気なのかと呼びかけてきた。

 

「真面目だなぁエルフナインちゃんは。」

 

「暴走のメカニズムを応用したイグナイトモジュールは、3段階のセーフティーにて制御される危険な機能でもあります!だから、自我を保つ為の特訓を…!」

 

呑気に言う響に対して危機感を募らせて言った、その時、突如海中から水柱を上げてガリィが飛び出してきた。

 

「ガリィ!?」

 

エルフナインが驚きの声を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜コンビニ遠かったな……ん? あいつは…!!」

 

その様子を翼達と入れ違いでコンビニから帰って来た隼人は道路から見ていた。すぐさま物陰に隠れる。

 

【ジャアクドラゴン!】

 

【ジャアクリード!】

 

【闇黒剣月闇!】

 

「変身。」

 

【Get go under conquer than get keen.(月光!暗黒!斬撃!) ジャアクドラゴン!】

 

【月闇翻訳!光を奪いし、漆黒の剣が冷酷無情に暗黒竜を支配する!】

 

紫のオーラと共に隼人はカリバーに変身して、ガリィが現れた所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夏の想い出作りは十分かしら?」

 

「んな訳ねぇだろ!」

 

そこへクリスが割ってやって来た。そして…

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron」

 

「Killter Ichaival tron」

 

2人は聖詠を唱え、響とクリスはギアを纏う。挨拶代わりにクロスボウでガリィを撃ち抜くが、全てすり抜ける。それはガリィが作り出した幻だ。そして2人の背後に現れ、ニヤリと笑った瞬間、突如ガリィを背後から何者かが蹴り飛ばす。

 

「誰かしら?」

 

ガリィが飛ばされながらも受け身を取って自分を蹴飛ばした者を見る。

 

「私だ。」

 

ガリィを蹴飛ばしたのは、カリバーだ。

 

「カリバーさん!」

 

「カリバー!お前も海に来てたのか!?」

 

「偶然奴を見かけただけだ。」

 

「カリバーも来たか…」

 

カリバーは響とクリスに対して素っ気なく言う。響はすぐに冷静になり、マリアに未来とエルフナインを遠ざける様言った。

 

「マリアさん!2人をお願いします!」

 

マリアは未来とエルフナインと共にビーチから離れた。

 

「キャロル・マールス・ディーンハイムは死んだが、今のお前達は何が目的だ?」

 

「キャロルちゃんからの命令も無く動いてるの!?」

 

「さぁねぇ〜。」

 

ガリィは意地悪そうな笑みを浮かべるとアルカ・ノイズを召喚した。

 

「こしゃくな…!」

 

カリバーは闇黒剣月闇、響は己の拳と脚、クリスはクロスボウでアルカ・ノイズ達を倒していく。そしてクリスは上空のノイズにMEGA DETH PARTYを放ち、爆発四散させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その爆発を神社にいた中学生達と、翼達、そしてガソリンスタンドの店員であろう男性が見ていた。

 

「あれは…!」

 

「もしかして…もしかするデスか!?」

 

「行かなきゃ…!」

 

響達がオートスコアラーとアルカ・ノイズと戦っている事を悟った翼は男性に子供達を連れて避難する様呼びかけるが…

 

「冗談じゃない!どうして俺がそんな事を…!」

 

1人で逃げだしてしまった。

 

「大丈夫。慌てなければ危険は無い。」

 

翼は子供達に言った。

 

 

 

 

アルカ・ノイズを倒していく中、カリバーはガリィがいない事に気づく。

 

(奴がいない…! まさか…!小日向未来達の方か!)

 

カリバーはこぶた3兄弟を取り出して起動、闇黒剣月闇に1回スキャンした。

 

【こぶた3兄弟!】

 

【ジャアクリード!ジャアクぶた3!】

 

カリバーは分身カリバー2体を召喚して、マリア達が逃げた方へ向かった。

 

 

「てやああああああ!」

 

アルカ・ノイズを殴り倒した響はカリバーがマリア達が逃げた方向に向かった所を見た。

 

(カリバーさん、分身を出して何処に………っ!!)

 

響はカリバーが何故分身を出して離れたのか気付いた。

 

(オートスコアラーが…いない…!まさか……マリアさんの方に!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マリアと未来とエルフナインが逃げている途中、カリバーと響の読み通りガリィが3人を前に立ち塞がった。

 

「見つけたよ。ハズレ装者。」

 

「っ!!」

 

マリアは顔を険しくする。ガリィは左腕に氷の針を纏わせる。

 

「さぁ、いつまでも逃げ回ってないで…!」

 

ガリィが動き出したその時…

 

「Seilien coffin airget-lamh tron」

 

聖詠を唱え、ガリィを氷の針を髪が掠るギリギリで避けると、ガリィを左腕で殴り飛ばした。そして左腕からギアが装着され、銀腕・アガートラームは復活したのだった。

 

「銀の…左腕…!」

 

殴り飛ばされながらもガリィはマリアのギアを見る。

 

 

「マリアさん!それは…!」

 

「新生アガートラームです!」

 

「あの時見たく、失望させないでよ?」

 

ガリィは意地悪そうに笑うと、アルカ・ノイズの群れを召喚した。マリアは左腕のガントレットから無数の小太刀を召喚し、アルカ・ノイズ目掛けてINFINITE†CRIMEを放つ。さらにダガーを引き抜き、突っ込んでくるアルカ・ノイズを走りながら斬っていく。さらに2体はマリアを挟み撃ちにするも、難なく斬り裂く。

 

(特訓用のLiNKERが効いている…今のうちに…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

「奴は……っ! 見つけた!」

 

後を追っていたカリバーはマリアがアルカ・ノイズとガリィと戦っている所まで見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オートスコアラーの強襲だと!?」

 

勿論その様子はS.O.N.G.の指令室でもすぐに報告された。

 

「はい。装者は分断され、マリアさん1人がガリィに対応しており、カリバーもこちらに現れました。」

 

通信の相手は緒川だ。

 

「慣らしも無しに…! イグナイトは諸刃の剣…!あまり無茶はしてくれるなよ…!!」

 

イグナイトの自我を保つ訓練も無しに戦うマリアを弦十郎は心配していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

さらにマリアはダガーを蛇腹状に変形させてアルカ・ノイズにEMPRESS†REBELLIONを繰り出す。

 

 

 

「うわ〜私負けちゃうかも〜。エッヘへへ〜!!」

 

ガリィはわざとらしく弱気になりながらも笑う。マリアが斬りかかろうとするも…

 

「なんてね。」

 

マリアの斬撃を避け、右腕を氷の針に変換させ、さっきのお返しと言わんばかりに殴りつけた。

 

「うわああぁ!」

 

殴られたマリアは倒れ、ダガーを手放してしまう。

 

「どうしたの〜? もう終わり〜?」

 

マリアを挑発するガリィ。すると…

 

「相変わらず性根が腐っているな。」

 

そこへカリバーがやって来た。

 

「カリバー…!」

 

「カリバーさん!」

 

「遅かったね〜カリバー。てっきり逃げたかと思っちゃった。でも久しぶりに楽しめそう。だってあいつだけだとつまらないんだも〜ん。」

 

マリアを顎で指して見下し、カリバーを挑発するガリィ。すると…

 

「だったら…!」

 

マリアな立ち上がり、ペンダントマイクに手を重ねる。

 

「聞かせてもらおうか…」

 

ガリィは意地悪そうに笑みを浮かべる。

 

「この力で決めてみせる!」

 

「お前…まさか…!」

 

そのまさかだ。

 

「イグナイトモジュール!抜剣!」

 

マリアはペンダントマイクを起動し、天へ掲げた。

 

【Dáinsleif.】

 

ペンダントマイクが変形して赤い稲妻を纏い、マリアの胸に突き刺さる。

 

「ぐぅ……うう………うああああ……あああああああああ!!」

 

禍々しいオーラと共にマリアの体に激痛と破壊衝動が襲いかかる。

 

「弱い自分を……殺す……!! 強くなる為に…!!」

 

「よせ!今のお前では使いこなせん!!」

 

カリバーの叫びも虚しく、マリアの体は真っ黒に染まった。その姿はかつての暴走した響と同じ姿だ。

 

「あれれ。」

 

獣の様な雄叫びを上げ、マリアはガリィに襲いかかるも、ガリィはそれをバレエの動きを混ぜて避ける。

 

「獣と堕ちやがった。」

 

その様子は文字通り獣だ。

 

「立花響と同じガングニールを纏った事のあるマリア・カデンツァヴナ・イヴが魔剣の呪いに飲み込まれるとは…!!」

 

カリバーはかつてルナアタックで見た暴走した響と同じ事が起きたと悟った。

 

そこへ響とクリスが合流する。

 

「あれは…暴走!?」

 

「魔剣の呪いに飲み込まれて…!」

 

暴走したマリアは雄叫びを上げ飛び上がり、ガリィを左腕で殴ろうとするが、ガリィはまた避け、アラベスクを決める。

 

「ケダモノの後処理は任せたよ〜。」

 

ガリィはそう言うと、テレポートジェムを地面に落として姿を消した。

 

「くっ…!」

 

仮面の下で顔を歪めるカリバーにマリアが襲いかかる。

 

(奴は強くなると言っていた…暴走の危険のあるイグナイトを躊躇いも無く…!)

 

カリバーはマリアの攻撃を闇黒剣月闇でガードしつつ、肘鉄を腹にくらわせ蹴り飛ばして吹っ飛ばした。

 

「やむを得ん…!」

 

カリバーは邪剣カリバードライバーからジャアクドラゴンを引き抜き、闇黒剣月闇に1回スキャンした。

 

【必殺リード!ジャアクドラゴン!】

 

【月闇必殺撃!】

 

カリバーは闇黒剣月闇から邪悪なオーラを放って起き上がったマリアの動きを封じた。

 

【習得一閃!】 

 

「ハァァァァ!!」

 

そして、マリアに接近して闇黒剣月闇で斬撃を浴びせた。勿論威力は抑えてある。

 

「がああああぁぁぁぁ!!」

 

叫びと共にマリアは倒れ、白い閃光と共にギアは解除された。そこへ響達がマリアの元へ向かう。

 

「おい!しっかりしろ!」

 

「マリアさん!マリアさん!」

 

クリスとエルフナインの呼びかけにマリアは目を覚ます。

 

「勝てなかった…私は…何に負けたのだ…?」

 

「何か大切な事を忘れているんじゃ無いのか?」

 

そこへカリバーが闇黒剣月闇を納刀しながらやって来る。

 

「大切な…事…?」

 

「お前の中の強くなりたいという気持ちが焦りを生み出し成長を妨げている。お前の中の忘れた物が分かれば、イグナイトを使いこなせるだろう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ガリィは仲間のオートスコアラーの元へ帰投していた。

 

「派手に立ち回ったな。」

 

「目的ついでにちょっと寄り道よ。」

 

「自分だけペンダントを壊せなかったのを引きずってる見たいだゾ?」

 

そう。4体の中ではガリィのみカリバーに妨害されてマリアのペンダントを破壊出来なかったのだ。

 

「うるっさい!だからあのハズレ装者から毟り取るって決めたのよ!」

 

途端に口が悪くなるガリィ。

 

「ホント…頑張り屋さんなんだから。私もそろそろ動かないとね…」

 

「1番乗りは譲れない…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃装者達は会議室でキャロルが死んだ後も装者に襲いかかるオートスコアラーに付いて疑問を抱いていた。

 

「主人を失ってなお襲いかかる人形…」

 

「どうして優位に事を運んでも、とどめを刺さずに撤退を繰り返してるのだろう?」

 

「あー言われてみれば、とんだアハ体験デス!」

 

「いちいち盆が暗すぎるんだよな…」

 

彼女達の中で思考が渦巻く。

 

「気になるのは…マリアさんの様子も…」

 

「力の暴走に飲み込まれると、頭の中まで黒く塗り潰されて何もかも分からなくなってしまうんだ…」

 

かつて暴走を体験した響の言葉に一同は表情を暗くする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、治療を終えたマリアは1人夕日を眺めながら黄昏ていた。

 

(かつて敵だったカリバーに救われるとは情けない…私が弱いばかりに…魔剣の呪いに抗えないなんて…強くなりたい…!)

 

そんな気持ちが溢れる。すると…

 

「何を黄昏ている。」

 

声のする方向を見ると、カリバーが歩いて来たのだ。

 

「カリバー…」

 

「まだイグナイトを使いこなせなかった事を引きずっているのか?」

 

暴走した自分を助けたカリバーの言葉にマリアは顔を暗くした。

 

「まさか敵だったあなたに助けられるとはね…悔しいわ。どうしたら私は強くなれるんだろう…」

 

すると、カリバーが口を開く。

 

「その強くなりたいと言う思いが、お前を焦らせる。私が言った言葉の意味をよく考えてみろ。」

 

この時のカリバーの口調は少し優しくなっていた。

 

『何か大切な事を忘れているんじゃ無いのか?』

 

カリバーの言った、大切な事を忘れているという事。

 

「大切な…事…」 

 

「お前なら分かる筈だ。自分が忘れている大切な物が何なのか。」

 

すると、2人の前にボールが転がってくる。

 

「ごめんなさい。皆さんの邪魔をしない様に思ってたのに…」

 

エルフナインだ。

 

「私はこれで失礼しよう。」

 

カリバーはその場を去って行った。

 

「邪魔だなんて。練習、私も付き合うわ。」

 

「はい。」

 

マリアは、エルフナインにビーチバレーの練習に付き合う事にした。サーブの練習をしているが、上手くいかない。

 

「おかしいなぁ…やっぱり上手くいかないなぁ…やっぱり…」

 

「色々な知識に通じているエルフナインなら、分かるのかな…」

 

「?」

 

マリアの言葉にエルフナインは疑問を持つ。

 

「だとしたら教えて欲しい。強いって、どういう事かしら?」

 

「それは…マリアさんがボクに教えてくれたじゃないですか。」

 

「え?」

 

しかし、その疑問を掻き消させる。突如、水柱が上がり、ガリィが現れたのだ。

 

 

「おまたせ。ハズレ装者。」

 

怯えるエルフナインにマリアが立ち塞がる。

 

「マリアさん…」

 

 

 

 

 

「ん……っ!? また来たか!」

 

その様子を変身解除した隼人は遠くから見つけた。

 

 

 

 

マリアは頭に巻いていた包帯を解いて捨てる。

 

「今度こそ歌ってもらえるんでしょうね?」

 

「大丈夫です!マリアさんなら出来ます!」

 

エルフナインはマリアになら出来ると言う。そして…

 

 

「Seilien coffin airget-lamh tron」

 

日が沈む海岸に聖詠が響き渡る。そしてマリアはギアを纏った。

 

「ハズレで無いのなら、戦いの中で示して見せてよ!!」

 

ガリィはアルカ・ノイズの群れを召喚した。すると、突然紫色の斬撃波が4体纏めてアルカ・ノイズを斬り裂いた。

 

「っ!?」

 

3人が斬撃波が飛んできた方向を見ると、カリバーが歩いて来たのだ。

 

「カリバー!」

 

「チッ!」

 

カリバーが現れた事に舌打ちをするガリィ。

 

「まさか、一緒に戦ってくれるの?」

 

「それは違うな。あの性根の腐った人形にはコケにされたからな。その礼をしに来ただけだ。ついでにお前が忘れている事を思い出させるのに丁度良い。せいぜい私の邪魔はするなよ。」

 

カリバーは闇黒剣月闇の刀身を撫でながら言った。

 

「あなたこそ、張り切り過ぎない事ね!」

 

マリアもダガーを構えた。

 

「あの時の即席コンビに何が出来るのよ!!」

 

ガリィはアルカ・ノイズの群れをけしかけた。そして2人はアルカ・ノイズを斬り裂く。マリアはダガーを蛇腹状にして貫き、カリバーは闇黒剣月闇を納刀してトリガーを押す。

 

【月闇居合!読後一閃!】

 

エネルギーを闇黒剣月闇の刀身に纏わせ、突っ込んできたアルカ・ノイズを纏めて斬り裂いた。その様子を薔薇を口に咥えたファラが花弁を散らせながら姿を透明にした。

 

 

 

 

「アルカ・ノイズの反応を検知!」

 

藤尭の言葉に装者達が一斉に部屋を飛び出す。すると、姿を消したファラが廊下を走る気配を緒川は感じた。しかし、廊下に出ても誰もいない。

 

「風…?」

 

「どうかしたんですか?」

 

未来が緒川に聞く。

 

「いえ、大丈夫です。きっと…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァァァァ!!」

 

カリバーは闇黒剣月闇で斬り裂き、マリアは小太刀を投擲してアルカ・ノイズを貫いて全滅させた。ガリィは陣から水流を2人目掛けて発射する。マリアはバリアを張って防ぎ、カリバーは闇黒剣月闇を納刀してトリガーを押す。

 

【月闇居合!読後一閃!】

 

抜刀して水流を受け止め、吸収する。それを見たガリィは舌打ちをし、今度はマリアに発射する。再びバリアで受け止めるも、マリアの身体が凍っていく。

 

(強く…強くならねば…!!)

 

「マリアさん!!」

 

エルフナインが叫ぶも、マリアの体から完全に凍ってしまう。しかし、気力で氷を砕いたが、膝を突いてしまう。

 

「てんで弱すぎる!」

 

不満げに言うガリィの声を聞き、ペンダントマイクに手を伸ばそうとすると…

 

「その力、弱いあんたに使えるの?」

 

「!!」

 

ガリィの言葉にハッとする翼。

 

「私はまだ弱いまま…どうしたら強く…!?」

 

すると、カリバーとエルフナインが言っていた言葉が脳裏をよぎった。

 

『お前なら分かる筈だ。自分が忘れている大切な物が何なのか。』

 

「それは…マリアさんが僕に教えてくれたじゃないですか。」

 

「私が…」

 

「マリアさん!大事なのは自分らしくある事です!」

 

それは、午前中エルフナインに言った言葉だった。

 

『弱く打っても大丈夫。大事なのは自分らしく打つ事だから。』

 

 

 

 

 

 

 

 

マリアは立ち上がった。

 

「弱い…そうだ。強くなれない私に…カリバーとエルフナインが気付かせてくれた。弱くても、自分らしくある事。それが強さ。カリバーは、かつて敵対し、ぶつかった存在でありながらも、強くなろうと焦っていた私を助け、忘れていた大切な事を思い出す様言ってくれた。エルフナインは戦えない身でありながらも危険を顧みず勇気を持って行動を起こし、私達に希望を届けてくれた。」

 

マリアの言葉にガリィはニヤリと笑う。

 

「カリバー!エルフナイン!聞いていて欲しい!2人に答える、私の歌を!!」

 

「思い出したか…大切な物が何なのか。」

 

 

 

 

「イグナイトモジュール!抜剣!」

 

マリアはペンダントマイクを起動し、天へ掲げる。

 

【Dáinsleif.】

 

そしてペンダントマイクが変形し、赤い稲妻を纏いながらマリアの胸に突き刺さった。再び禍々しいオーラと共に激痛と破壊衝動が襲いかかる。

 

 

(狼狽える度、偽りに下がっていた昨日までの私…そうだ……!!らしくある事が強さであるなら!!)

 

蝕まれながらも目を見開くマリア。

 

「マリアさん!!」

 

「今こそ、ありのままの自分で呪いを斬り裂く魔剣を引き抜け!!」

 

エルフナインとカリバーがマリアに叫ぶ。

 

「私は弱いまま……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この呪いに叛逆してみせるッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弱くても、自分らしく、ありのままでいる事。マリアの気持ちにイグナイトが答え、アガートラームが黒く鋭利となり、マリアはイグナイトモジュールを習得した。

 

 

「覚醒したか…!ならば私も行かせてもらおうか。」

 

カリバーは少し嬉しそうに答え、ジャオウドラゴンを取り出して起動した。

 

【ジャオウドラゴン!】

 

【ジャオウリード!】

 

【闇黒剣月闇!】

 

【Jump out the book. open it and burst.

 The fear of the darkness.

 You make right a just,no matter

 dark joke. Fury in the dark.

 ジャオウドラゴン!】

 

 

【誰も逃れられない…】

 

禍々しいオーラと5匹の竜がカリバーを包み込み、ジャオウドラゴンへと姿を変えた。

 

「うわっ趣味悪。」

 

ガリィはジャオウドラゴンの姿をさりげなくディスった。

 

「久しぶりにその姿見たけど、相変わらず禍々しいわね。」

 

「ほっとけ。それよりも奴を倒す事を専念しろ。」

 

カリバーは闇黒剣月闇をガリィに向ける。

 

 

「弱さが強さだなんてとんちを効かせすぎだっつーの!」

 

口調が乱暴になったガリィはアルカ・ノイズの群れを召喚した。しかし、カリバーは闇黒剣月闇から斬撃波を、マリアはガントレットにダガーを装着して光の刃を放って全滅させた。

 

「良いね良いね!」

 

ガリィは砂浜を滑り、マリアも走り出す。ガリィを斬り裂くも水泡と化す。これは偽物だ。マリアは水泡を全て撃ち抜く。すると、背後に本物が現れる。

 

「私が1番乗りなんだから。」

 

すると、マリアは走り出し、右手で殴ろうとすると、バリアで防がれる。ガリィがニヤリと笑うと、カリバーが闇黒剣月闇を振り下ろしてバリアを闇の力で消滅させた。そこへマリアがアッパーカットでガリィを空中へ吹っ飛ばす。マリアは飛び上り、上にマリア、地上にカリバーが挟み撃ちにする。マリアはガントレットから刃を伸ばしてブースターで加速。カリバーも闇黒剣月闇を手に飛行し、すれ違い様にガリィの体を斬り裂いた。

 

「1番乗りなんだからーーーーッ!!」

 

断末魔を上げ、ガリィは爆発を起こした。カリバーの斬撃とマリアの技SERE†NADEが決まったのだ。

 

そしてカリバーは地上に降りて来た。

 

「マリアさん!」

 

そこへ響達がやって来た。

 

 

 

 

「オートスコアラーを倒したのか?」

 

「カリバーの助けもあって、どうにかこうにかね…」

 

翼に答えるマリア。

 

「これがマリアさんの強さ…」

 

「弱さかもしれない。でもそれは、私らしくある力だ。気づかせてくれてありがとう。」

 

マリアに向けてエルフナインに礼を言うマリア。エルフナインも微笑んだ。

 

「そういえばカリバーは?彼にも…」

 

「そういえばいないな。」

 

「あいつの事だし、もう帰ったんじゃねーの?」

 

 

 

 

 

そのやりとりをファラは建物の上から見ていた。

 

「お疲れ様。ガリィ。無事に私は目的は果たせました。」

 

彼女が伸ばした舌にはSDカードが貼り付いていた。

 

 

 

 

 

 

そしてキャロルのアジトでガリィがいた台から青い光が伸びる。そして壁のラインが照らし出され、化学記号が浮かび上がった。それを見つめるミカとレイア。

 

 

 

 

そして響達は夜砂浜で花火を楽しんでいた。お腹を空かせてコンビニで買い出しのじゃんけんで響1人が負けるも、未来と買い出しに言った。

 

 

「あれ?確か君は…未来ちゃん…じゃなかったっけ?」

 

入り口に現れたのは、午前中に1人で逃げ出したガソリンスタンドの店員の男性だった。服には守崎洸と書かれている。

 

「え?」

 

「ほら、昔うちの子と遊んでくれていた…」

 

「どうしたの?未来。」

 

そこへ響が来る。その姿を見た男性は目を見開く。

 

「響…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お父……さん……」

 

響はそのまま夜の住宅街へと走っていった。

 

「響!!」

 

そう。彼こそ、響と家族を置いて逃げ出した彼女の父親、立花洸なのだから…

 

 

 




いかがだったでしょうか?今回とある人物の父親が少しだけ登場しましたが、家族に裏切られた隼人が出会ったら一体どんな反応をするのか想像してみて下さい。そして最近隼人は装者達と何やかんや共闘していますが、これはとある章にて鳴りを潜めていた人間不信と組織への不信がぶり返す事になる前触れにしようとしています。

今回はここまでです。感想お待ちしています。
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