【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

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Twitteでプリミティブドラゴンの物語を解読した人のツイートを見ましたが、内容に震えました…そして3月1日に制御アイテムであるエレメンタルドラゴンが発表されましたね。見たら握手してるじゃん!と思いました。この小説で出したら暴走するプリミティブがカリバーで手を繋ぐエレメンタルを響に置き換えればエモいと思うのは自分だけでしょうか?




第49話 世界は残酷でも、大切なモノをくれる。

風鳴邸にてカリバーと翼がファラを撃破した同時刻、深淵の竜宮にてキャロルとレイアと対峙した分身カリバーとクリス達はフロンティア事変の関係者、ウェルと邂逅した。剣士と歌姫対錬金術師の構図を引っ掻き回す不確定要素は何をもたらすのか?

 

 

 

 

 

 

深淵の竜宮の中の牢獄。中には様々な数式が書き殴られている。

 

「花火は上がった…フヘヘヘヘヘヘヘ…!」

 

銀髪の男は下劣な笑い声を出す。

 

「騒乱が近い。ならば、求められるのは、英雄だ!」

 

鉄格子をぶち破り、クリスの放ったミサイルを異形の左腕で吸収した男、そう。ウェルが帰って来たのだ。

 

 

 

 

「へへーん! 旧世代のLiNKERぶっ込んで、騙し騙しのギア運用という訳ね!」

 

ウェルは奏が使用していたモデルKを投与した調と切歌を見下す。そんなウェルにクリスは睨みつけ、調と切歌は呆れ顔で、分身カリバーは仮面の下で苛立ちを隠せない顔でウェルを見ていた。

 

「優しさで出来たLiNKERは、僕が作った物だけ!そんなので戦わされてるなんて、不憫過ぎて笑いが止まら〜ん!!」

 

「不憫の一等賞が何を言うデス!」

 

切歌が言い返す。

 

「あたしの1発を止めてくれたな…!」

 

そんなクリスを嘲りの表情で見下すウェル。

 

(後輩の前でかかされた恥は、100万倍にして返してくれる!)

 

身構える分身カリバーとクリスを調と切歌が止める。

 

「待つデスよ!」

 

「ドクターを傷つけるのは…」

 

「何言ってやがる!」

 

「そんな事を言ってる場合か?」 

 

2人に分身カリバーとクリスが声を上げる。

 

「だって、LiNKERを作れるのは…」

 

「そうとも!僕に何かあったら、LiNKERは永遠に失われてしまうぞ!」

 

分身カリバーとクリス達に指を指して叫ぶウェル。

 

「ポット出が、話を勝手に進めるな。」

 

キャロルはアルカ・ノイズの群れを召喚した。

 

「2人が戦えなくても、あたしは!」

 

「しょうがない。」

 

分身カリバーは闇黒剣月闇で、クリスはガトリングでアルカ・ノイズ達を倒す。

 

ウェルは情けない悲鳴を上げながらバリアを出したキャロルの後ろにくっついた。すると、レイアが口を開く。

 

「その男は識別不能。マスター、指示をお願いします。」

 

「敵でも味方でもない!英雄だ!」

 

ウェルは自分が英雄だと言い張る。

 

「戯言を!」

 

分身カリバーは苛立ちながら叫ぶ。

 

「だったら英雄様に、さっきよりデカいのまとめてくれてやる!」

 

クリスはミサイルポッドと大型ミサイルの発射準備に入る。

 

「このおっちょこちょい!何のつもりか知らないが、そんなの使えば、施設も、僕も、海の藻屑だぞ!な〜んてね!」

 

「レイア、この埒を開けてみろ。」 

 

「即時、遂行。」

 

キャロルがレイアに命令する。分身カリバーは闇黒剣月闇で斬り裂き、クリスはガトリングでアルカ・ノイズ達を撃ちまくる。

 

「後輩なんかに任せてられるか!ここは先輩のあたしが!」

 

クリスは、冷静さを失っており、レイアの動きに付いていけていなかった。

 

「あの動きでは捉えられない…!」

 

「落ち着くデスよ!」

 

調と切歌はクリスに言うが、聞く耳を持たない。その隙を付いて分身カリバーがキャロルに斬りかかろうと走る。それを見たキャロルは魔法陣を展開し、光弾を発射する。分身カリバーは光弾を弾きながら接近するが、直前にキャロルがさらに召喚したアルカ・ノイズの群れがが行手を塞ぐ。やむを得ず戦闘に入るが、分身カリバーの目にクリスのガトリングが調の目の前に来る。

 

「待てッ!!」

 

分身カリバーが叫ぶと、切歌が鎌でクリスのガトリングを受け止めた。

 

「諸共に、巻き込むつもりデスか?」

 

ハッとするクリス。

 

「あいつらは、何処に消えた!?」

 

気がつくと、キャロルとレイア、そしてウェルがいない。

 

「きっと、ここから…」

 

調の目の前には巨大な穴が空いていた。

 

「逃がしちまったか…!」

 

「奴等め…ふざけた真似を…!」

 

クリスに続き分身カリバーが悔しそうに言いながら闇黒剣月闇を納刀した。

 

 

「ごめんなさい…ドクターに何かあると、LiNKERが作れなくなると思って…」

 

「でも、もう惑わされないデス!カリバーとアタシ達3人が力を合わせれば今度こそ…!」

 

「何故私が入っている…」

 

力を合わせれば勝てると言おうとした切歌を押すクリス。

 

「後輩の力なんか当てにしない!お手々繋いで仲良しごっこじゃねぇんだ!あたし一人でやってみせる!カリバー!お前の力も要らない!」

 

自ら1人でキャロル達を止めようとクリスは言う。

 

「何をそんなに焦っている。」

 

「焦ってなんかいねぇよ!」

 

分身カリバーの言葉に噛み付くクリス。

 

(1人でやり遂げなければ…先輩として後輩に示しがつかねぇんだよ…!)

 

クリスは焦っていた。かつて自分を斬る気にならないと言ったカリバーに、かつて助けられた後輩に助けられるのはもうごめんだ。1人でやり遂げなければ。そんな気持ちが彼女の心に芽生えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「侵入者ロスト。大きな動きが無い限り、ここからでは細く出来ません。」

 

藤尭の言葉に腕を組んで黙り込む弦十郎。

 

「ドクターウェル…隔離情報が公開されていれば、こんな事には…」

 

「ネフィリムの力も健在…厄介だな…」

 

「追跡の再会、急げ!」

 

画面にはLOSTの文字と真っ二つになったヤントラ・サルヴァスパが映し出されている。

 

「最後のパーツ、ヤントラ・サルヴァスパが失われた事で、チフォージュ・シャトーの完成は阻止出来ました。なのに、キャロルはまだ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エルフナインがキャロルの元から脱走する前…

 

『説明して下さい! 僕が建造に携わったチフォージュ・シャトーは僕達のパパの意思を継ぐ事だったはず! 世界をバラバラにするなんて聞いていません!』

 

玉座に太々しく座るキャロルにエルフナインはチフォージュ・シャトーは亡き父イザークの意思を継ぐ為の物と訴えた。

 

『いかにも。チフォージュ・シャトーは錬金技術の最を集めたワールドデストラクターにして、巨大なフラスコだ。』

 

『僕を騙すつもりで…」

 

騙されていた事に愕然とするエルフナイン。

 

『さて、そうと知ってどうする? 力の無いお前がオレを止めてみせるのか?』

 

握り拳を作るエルフナイン。

 

『それでも…それでもボクが想い出の向こうのパパを大好きな様に、あなたも、パパの事が大好きなはずです。』

 

エルフナインの言葉にハッとするキャロル。

 

『お前、何を…!?』

 

『パパは世界をバラバラにする事なんて望んでいなかった!望んでない事をボクはあなたにさせたくない!』

 

その言葉が、キャロルの逆鱗に触れた。

 

『想い出を複写されただけの廃棄躯体風情が!出来損ないの娘が語る事では無い事を覚えよ!!』

 

エルフナインはキャロルの怒鳴り声に目を瞑る。

 

『お前をシャトー建造の任より解く。後はどうとでも好きにするが良い。』

 

キャロルはエルフナインを切り捨てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると、キャロルはレイアに寝かされていた。

 

「あれは…落ちていたのか。」

 

キャロルは天井に空いた大きな穴を見る。

 

「またしても拒絶反応です。撤退の途中で意識を。高レベルフォニックゲイナーが複数揃う僥倖に逸るのは理解出来ますが。」

 

キャロルは立ち上がり、手の指を動かす。

 

「杞憂だ。知っているぞ。ドクターウェル。フロンティア事変関係者の1人。そんなお前が何故ここに?」

 

「我が身可愛さの連中が、フロンティア事変も、僕の活躍も、寄ってたかって無かったことにしてくれたぁッ!人権も存在も失った僕は、ではなく。回収されたネフィリムの一部として、放り込まれていたのさ!」

 

不満げに言いながらネフィリムと融合した腕を異形の姿に変えて、元に戻す。

 

「その左腕が……」

 

「イチイバルの砲撃も、腕の力で受け止めたんじゃない。接触の一瞬にネフィリムが喰らって同化!体の一部として推進力を制御したまでの事!」

 

つまり、受け止めたのはパフォーマンスであり、本当はネフィリムの力だったのだ。

 

「面白い男だ、よし、付いてこい。」

 

「ここから僕を連れ出すつもりかぁい?だったら騒乱の只中に案内してくれぇ…!」

 

「騒乱の只中?」

 

ウェルは両手を広げて言う。

 

「英雄の立つところだァ……ん?」

 

そう言うキャロルはウェルに左手を差し出し、ウェルは白衣で左手を拭ってキャロルの手を取った。

 

「ネフィリムの左腕、その力の詳細は、追っ手をまきつつ聞かせてもらおう。」

 

「脱出を急がなくてもいいのかい?」

 

「奴らの動きは把握済み、時間稼ぎなど造作もない。」

 

慢心か、キャロルは不敵に笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、サブモニタールームでは…

 

 

 

「力を使うなと言ってるんじゃないッ!その使い方を考えろと言っているんだッ!」

 

指令室に弦十郎の怒鳴り声が響き渡り、藤尭と友里が肩を竦める。

 

「新しくなったシンフォギアは、キャロルの錬金術に対抗する力だッ!使いどころは今を置いて他にねぇッ!眠てぇぞおっさんッ!」

 

「……」

 

怒鳴るクリスを分身カリバーが呆れながら見ていた。クリスの中の先輩としての見栄と、敵であるキャロルを倒せる好機が彼女を焦らせていた。

 

「ここが深海の施設だと忘れるなと言っているッ!」

 

そう。深淵の竜宮は海の底。弾丸やミサイルを放つイチイバルで破壊すればどうなるか言うまでも無い。分身カリバーもここでジャオウドラゴンや必殺技を使えばどうなるのか分かっていた。クリスは悔しさのせいか壁を蹴る。

 

「正論で超常と渡り合えるかッ?!」

 

「念の為、各ブロックの隔壁やパージスイッチの確認をお願い。」

 

友里から情報が送られるが、その数は膨大だ。

 

「こ、こんないっぺんに覚えられないデスよ…」

 

「じゃあ切ちゃん。覚えるのは2人で半分こにしよう。」

 

調が提案した。

 

そこへ藤尭から通信が入る。

 

「セキュリティシステムに侵入者の痕跡発見!」

 

「そう言う知らせを待っていた!」

 

待ってましたと言わんばかりにクリスは声を出す。それを分身カリバーは何も言わずに見ていた。

 

(雪音クリス…何故そこまで先輩としての意地を張る…!何故焦る…今のお前ではあいつらには勝てない…!いい加減それに気づけ…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、風鳴邸では、緒川と翼とマリアがある物を見ていた。

 

「これは、先程の…」

 

「ええ。カリバーと翼さんが退けたオートスコアラーの残骸です。」

 

両手と下半身を失い、白目を剥くファラの残骸が目の前に。

 

「この状態で…稼働するの?」

 

マリアがそう言うと、ファラの瞳が戻る。

 

「いつか…ショボイだなんて…言ってごめんなさい…剣ちゃんの歌…本当に素晴らしかったわ…」

 

「私の…歌…?」

 

翼の歌を称賛するファラ。その時、狂った様に笑い出した。

 

「まるで身体がバッサリ2つになるくらい!素晴らしく呪われた旋律だったわー!!」

 

その言葉を聞いて、ハッとする3人。

 

「呪われた旋律…確か以前にキャロルも言っていた…」

 

その時、ハッとするマリア。

 

「気付き始めた様だな。」

 

3人が振り向くと、カリバーが口を開いた。

 

「この一連の流れが、奴の計画の内という事がな。」

 

「計画の内………?っ!! まさか!答えてもらうわ!」

 

カリバーの言葉で何かに気づいたマリアはファラに言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、分身カリバーとクリス達はキャロル達を追っていたが、一向に追いつかない。

  

「何処まで行けばいいデスか?」

 

「いい加減追いついても良いのに…!」

 

「どうにも腑に落ちない気がするな。」

 

ちなみに分身カリバーは西遊ジャーニーの力で召喚した紫色の筋斗雲に乗ってクリス達に合わせて移動している。

 

「な、何デスかそれ!?」

 

「1人だけずるい…!」

 

「んなもん乗らずにお前も走れよ!この道で間違いないんだろうな!?」

 

分身カリバーに突っ込みながらもクリスは通信機で声を荒げる。

 

「あぁ。だが向こうも巧みに追跡をかわして進行している!」

 

指令室のモニターには赤丸のポイントが2つ表示されている。

 

「まるで、こちらの位置や選択ルートを把握しているみたいに…」

 

友里がそう言う。確かに敵はまるで分身カリバーとクリス達の動きを知っているかの様に移動している。

 

「どうやら私達の行動は奴等に筒抜けの様だ。」

 

突然指令室に分身カリバーの声が聞こえた。友里の声を聞いた分身カリバーがクリスから通信機を取り上げて話しているのだ。

 

「カリバー!どういう事だ!?」

 

弦十郎の問いに分身カリバーは答えた。

 

灯台下暗しと言ってな…」

 

その言葉に指令室の全員が気づく。

 

「まさか、本部へのハッキング!?」

 

「知らず…毒を仕込まれていたのか…!? 誰だ!? 何処にいる!?」

 

弦十郎は絶句しながらも分身カリバーに聞く。

 

「案外近くに仕込まれているんじゃないのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、検査入院している響は未来と通話していた。

 

「ごめんね。こんな夜中に。色々考えてたら眠れなくなっちゃって…」

 

「ううん。気にしないで。」

 

「ありがとう。未来が聞いてくれたおかげで、もう一度だけお父さんと話をしてみる決心が付いた。」

 

響の言葉に頷く未来。

 

「だけどね、本当はまだ少し怖い。どうなるのか不安でしょうがないよ。」

 

「響。へいき、へっちゃら。響の口癖だよ?」

 

「いつから口癖になったのかは忘れたけど、どんな辛い事があっても何とかなりそうになる魔法の言葉なんだ。」

 

「本当単純なんだから。」

 

「前向きだと言ってくれたまえよ。」

 

可愛らしく反論する響。そして2人は通話しながら笑った。響に笑顔が戻ったのだ。

 

「おっかしいなぁ。」

 

「元気出たね。魔法の言葉に感謝しないと。」

 

「うん。そうだね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、風鳴邸では…

 

「知らずは仕込まれて…知る頃には手の施し様が無いまま…確実な死を齎しますわ…」

 

ファラはカリバー達を嘲笑う。

 

 

 

 

「俺達の追跡を的確にかわすこの現状…聖遺物の管理区域を特定したのも、まさか、こちらの情報を出歯亀して…!!」

 

「それが仕込まれた毒…カリバーの言う灯台下暗し…内通者の手引きだとしたら…」

 

「ち、違います! ボクは何も! ボクじゃありません!!」

 

藤尭の言葉に反応したエルフナインが否定する。

 

「いいや、お前だよエルフナイン。」

 

突然キャロルの声が響く。すると、キャロルの残像がエルフナインの体から出てくる。

 

「こ、これは一体…!」

 

「キャロル…! そんな…ボクが…毒…!?」

 

自分が仕込まれた毒だと知り愕然とするエルフナイン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたの言う毒とは、一体何を意味しているのですか!?」

 

ファラに追及する緒川。

 

「マスターが世界を分解する為に、どうしても必要な物が幾つかありましたの…」

 

右目をギョロギョロと動かしながら話すファラ。

 

「その1つが、魔剣のカケラが奏でる呪われた旋律…それを装者に歌わせ、身体に刻んで収集させる事が、私達オートスコアラーの使命…!!」

 

「やはり敢えて装者達にイグナイトを習得させたか。」

 

「では、イグナイトモジュールが…!!」

 

「バカな!エルフナインを疑えるものか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

一方キャロルは錬金術で指令室に自身の姿を投影して話していた。

 

「とはいえ、エルフナイン自身、自分が仕組まれた毒とは知る由もない…オレがこやつのを、を、感覚器官の全てを一方的にジャックしてきたのだからな。」

 

そう。エルフナインはキャロルに操られていたという訳だ。

 

「ボクの感覚器官が…勝手に…!?」

 

自覚も無しに自分が利用された事にショックを受けるエルフナイン。

 

「同じ素体から作られたホムンクルス躯体だからこそ出来る事だ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最初にマスターが呪われた旋律を身に受ける事で、譜面が作成されますの。後はあなた達にイグナイトモジュールを使わせるだけの簡単なお仕事。」

 

「つまりキャロル・マールス・ディーンハイムが譜面ならば、お前達オートスコアラーはイグナイトを使用した装者達によって刻まれる音符…そして全てのオートスコアラーが倒れれば完成…。そうとも知らず装者達はまんまと奴の手のひらの上で踊らされ、歌わされていたという訳か…」

 

「全てが最初から仕組まれていたのか!?」

 

カリバーと翼の言葉に笑みを浮かべたファラの瞳が光り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お願いです…ボクを拘束して下さい…誰も接触出来ない様…独房にでも閉じ込めて…!カリバーに頼んで闇黒剣月闇の力で消してもらっても構いません!」

 

罪悪感からエルフナインは涙目になって弦十郎に自身の身柄を拘束する様懇願した。

 

「いえ、キャロルの企みを知らしめるという…ボクの目的は果たされています…だからいっそ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして風鳴邸では天へ緑の光が伸び、ファラは爆発を起こした。

 

「呪われた旋律を手に入れれば、装者を生かす道理が無くなったというの!? だから、こちらの気を引く事を滑らかに…!」

 

「っ! 緒川さん!すぐに本部に連絡を!イグナイトモジュールの使用を控えさせなければっ!!」

 

翼は緒川に連絡する様伝えるが、緒川の通信機からは砂嵐の音が。

 

「ダメです!恐らくこの粉塵が…!!」

 

チャフをばら撒いたか…!」

 

カリバーはこの粉塵が電波を反射する物体を空中にばら撒く事で通信を妨害するパッシブ・デコイ、チャフである事を悔しそうに言った。自信が倒された事を伝えられぬ様にしたのだろう。

 

「付近一帯の通信撹乱…!周到な…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから…だから…いっそボクを…」

 

弦十郎は泣き顔になるエルフナインの頭にポンと手を乗せた。

 

「なら良かった。エルフナインちゃんが悪い子じゃなくて。」

 

「敵に利用されただけだもんな。」

 

藤尭と友里はエルフナインを責めずに安心した。

 

「友里さん…? 藤尭さん…?」

 

エルフナインの頭を撫でる弦十郎。

 

「君の目的は、キャロルの企みを止める事。そいつを最後まで見届ける事。」

 

「弦十郎さん…」

 

「だからここにいろ。だれに覗き見されようと、構うものか。」

 

「は、はいっ…!」

 

優しく言う弦十郎にエルフナインは涙を流しながらも返事をし、キャロルは舌打ちをして姿を消した。

 

「使われるだけの分際で…」

 

エルフナインを蔑むキャロル。

 

「見つけたぞ!」

 

そこへ分身カリバーとクリス達がやってくる。

 

「ここまでよ!キャロル!ドクター!」

 

「さっきみたいには行くもんかデス!」

   

調と切歌が言う。

 

「だが既に、シャトー完成に必要な最後のパーツの代わりは入手している。」

 

キャロルはアルカ・ノイズの群れを召喚した。

 

「子供に好かれる英雄ってのも悪くないが、生憎ボクはケツカッティンでね!」

 

「誰がお前なんか!」

 

「……っ!!」

 

分身カリバーは仮面の下で顔を歪めた。

 

そして魔法陣からアルカ・ノイズの群れが現れる。

 

「Killter Ichaival tron」

 

「Various shul shagana torn」

 

「Zeios igalima raizen tron」

 

聖詠が響き渡り、3人はギアを纏い、分身カリバーも筋斗雲から降りて闇黒剣月闇を抜刀し、4人は戦闘に入った。

 

 

 

「エンゲージ、スタート!」

 

「戦闘管制に全力します!」

 

 

調はアルカ・ノイズの群れにα式 百輪廻を繰り出す。クリスは2丁拳銃で撃ち抜き、分身カリバーも闇黒剣月闇で斬っていく。するとレイアが数十枚のコインを2つのトンファーに錬成してクリスに突っ込む。クリスも攻撃を交わして応戦するが銃弾は避けられてしまう。さらにコインを床に放ち黄金の鉱石を出現させてクリスを吹っ飛ばした。

 

「後は私と、まもなく到着する妹が対処します。」

 

「オートスコアラーの務めを…」

 

「派手にはたして見せましょう。」

 

キャロルはテレポートジェムを床に落とした。

 

「バッハハーイ!」

 

嘲りの表情を浮かべながらウェルは手を振る。

 

「逃がすか!」

 

分身カリバーがキャロルの元へ向かおうとすると、レイアが分身カリバーに向かってトンファーを振り下ろすが、それを闇黒剣月闇で受け止めた。

 

「地味に脅威…邪魔はさせない…!」

 

レイアは蹴りを浴びせようとするが、分身カリバーは後ろにジャンプしてそのまま距離を取る。

 

「この野郎!」

 

そこへクリスが突っ込むがレイアがトンファーでクリスを殴り付けた。

 

「不味いデス!大火力が使えないから飛び出すなんて!」

 

「ダメ!流れが澱む!」

 

調と切歌が向かおうとすると、レイアが2人に無数のコインを銃弾の様に飛ばす。分身カリバーも闇黒剣月闇で弾くので手一杯だった。更に2枚のコインを大型化させ、調と切歌を挟み、押し潰した。

 

「お前達!」

 

弦十郎が叫ぶ。

 

 

コインが開くと調と切歌が倒れた。

 

「っ!!」

 

分身カリバーと起き上がったクリスが絶句した。自分が倒れた時に2人が倒れてしまったのだ。クリスの目に涙が溢れる。

 

(独りぼっちが…仲間とか…友達とか…先輩とか後輩なんて求めちゃいけないんだ…!)

 

かつてイグナイトの呪いで自分が見た事が現実になってしまったとクリスは絶望した。

 

(じゃないと…じゃないと…!!)

 

「残酷な世界をみんなが殺しちまって、本当の独りぼっちになってしまう!! 何で、世界はこんなにも残酷なのに、パパとママは歌で救おうとしたんだ…!」

 

「……っ!!」

 

何故自分の両親がこんな残酷な世界を歌で救おうとしたのか泣き叫ぶクリスを分身カリバーは見ていた。

 

 

「滂沱の暇があれば歌え!」

 

戦意を喪失してしまったクリスにトンファーが迫る。

 

「っ!!」

 

分身カリバーが向かおうとすると、レイアのトンファーを調と切歌が受け止める。クリスは目を見開く。

 

「驚かせるな全く…」

 

分身カリバーは安心した声を出した。

 

「独りじゃ…ないデスよ…」

 

「未熟者で、半人前の私達だけど…側にいれば誰かを独りぼっちにさせない位は…!!」

 

しかし、隙を突いてレイアが2人を吹っ飛ばし、調と切歌を倒した。

 

「2人とも…」

 

「後輩を求めちゃいけないとか言われたら、ちょっとショックデスよ…!」

 

「私達は…先輩が先輩でいてくれる事…頼りにしてるのに…!」

 

2人の言葉にポカンとするクリス。

 

「分かっただろう。お前が意地を張る必要なんかない。2人はお前の事を頼りにしている。」

 

「そうか…あたしみたいのでも先輩やれるとするならば、お前達みたいな後輩がいてくれるからなんだな!」

 

クリスの顔に闘志が戻った。

 

「確かにこの世界は残酷だ。だが、残酷だけではない。お前には信頼出来る友も、支えてくれる先輩や大人も、お前を頼りにしてくれる後輩もいる。この世界も、捨てたものじゃない。」

 

分身カリバーの言葉にクリスは立ち上がる。

 

「もう怖くない!」

 

そして…

 

「イグナイトモジュール!抜剣!」

 

クリスはペンダントマイクを起動し、構えた。

 

【Dáinsleif.】

 

ペンダントマイクが変形し、クリスの胸に突き刺さり禍々しいオーラを放つ。

 

「うああああああああああ!!!」

 

激痛と共に破壊衝動が襲いかかり、悲鳴が響き渡る。

 

「あいつらが…あたしを…ギリギリ先輩にしてくれる…!! そいつに答えられないなんて……他の誰かが許しても…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたし様が許せないってんだぁぁッ!!!」

 

 

そしてイチイバルはイグナイト形態へと発現した。しかし、それがカリバーと翼達が恐れていた事が起きる前触れだという事は、クリス達は知らなかった。

 

 

クリスはクロスボウから矢から無数の矢を放ち、レイアはトンファーを回転させて弾く。そこへ分身カリバーが斬りかかって防御を中断させる。その隙にクリスはクロスボウから拳銃に変化させるとレイアに撃ちまくり、分身カリバーも闇黒剣月闇で斬りかかる。レイアがトンファーで攻撃すれば分身カリバーが防御しつつ斬りかかり、そこへクリスが撃つ。

 

(失う事の怖さから、せっかく掴んだ強さも温かさも全部、手放そうとしていたあたしを止めてくれたのは…)

 

クリスはふと後ろにいる調と切歌を見る。そしてレイアの攻撃を空中で避けると、拳銃をライフルに変化させる。

 

「カリバー!どけ!」

 

クリスの声に分身カリバーがレイアから離れる。

 

「ライフルで…」

 

「何をするつもりだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殴るんだよッ!」

 

クリスはライフルを振り下ろしRED HOT BLAZEを放つ。

 

「やるな。」

 

クリスの攻撃に分身カリバーは仮面の下で笑みを浮かべた。

 

(先輩も後輩も、この絆は、世界がくれたモノ!世界は大切なモノを奪うけれど、大切なモノをくれたりもする!)  

 

そしてクリスは気付いた。亡き両親が何故残酷な世界を歌で救おうとしたのか。

 

(そうか…!パパとママは、少しでも貰えるモノを多くする為、歌で平和を…!!)

 

 

そしてクリスはレイア目掛けて強化されたMEGA DETH FUGAを放つが、1発のミサイルをレイアが破壊する。

 

「諸共に巻き込むつもりか!?」

 

「違うな!お前だけ散れ!」

 

分身カリバーの声と共にクリスがミサイルに乗ってレイアに迫る。その瞬間、切歌のワイヤーがクリスのヘッドギアに巻き付いて離脱させる。ミサイルが直撃する瞬間、レイアがニヤリと笑った。そしてレイアは爆発と共に空間から奥へ飛ばされる。

 

「スイッチの位置は、覚えてる!」

 

調はヘッドギアから丸鋸を飛ばして隔壁のスイッチを押した。そして扉の開閉を示す文字はOPENからLOCKの文字に。爆風と共にシャッターが閉まり、爆発を閉じ込めたのだ。こうしてオートスコアラーは全滅した。しかしそれは…

 

「やったデス!」

 

「即興のコンビネーションで全くもって無茶苦茶…」

 

「その無茶は、頼もしい後輩がいてくれてこそだ。」

 

クリスは2人の手を取り、ありがとなと感謝の言葉を告げた。調と切歌は笑みを浮かべる。すると、突然大きな揺れが起こる。

 

「長居が過ぎたようだな…」

 

 

 

「深淵の竜宮の被害拡大!カリバーとクリスちゃんの位置付近より、圧壊しつつあります!」

 

「この海域に急速接近する巨大な物体を確認!っ!!これは…!!」

 

モニターに映し出されたのは包帯で巻かれた人型の物体だった。

 

「いつかの人型兵器か!?」

 

「装者達の脱出状況は!?」

 

 

 

 

その頃、分身カリバーがランプドアランジーナの力で召喚した絨毯にクリス達が乗りながら脱出をしていた。

 

「ダメ…!間に合わない…!!」

 

「さっきの連携は…無駄だったデスか…!?」

 

「まだだ!諦めんな!」

 

クリス達は絨毯から降りると、潜航艇に乗り込む。分身カリバーは大剣豪新島二郎を取り出して起動し、闇黒剣月闇にスキャンした。

 

【大剣豪浦島二郎!】

 

【ジャアクリード!ジャアク浦島太郎!】

 

紫色の巨大な亀型エネルギーを召喚すると、それに乗って分身カリバーも脱出した。

 

 

 

「潜航艇の着艦を確認!」

 

「緊急浮上!油圧を切り出せ!振り切るんだ!」

 

その間にもレイアに似た巨人は本部に迫る。

 

「総員をブリッジに集め、衝撃に備えろ!急げ友里!」

 

弦十郎の声に友里が慌ただしくキーボードを操作し、本部は浮上していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、世が明けて朝日が登っていた。それを窓から見つめる響。

 

「決戦の朝だ。」

 

 

 

 

 

 

S.O.N.G.本部浮上した時、分身カリバーも海上に浮上し、ストームイーグルを取り出して起動し、闇黒剣月闇にスキャンした。

 

【ストームイーグル!】

 

【ジャアクリード!ジャアクイーグル!】

 

そして分身カリバーは飛び立つ。その瞬間、レイアに似た包帯だらけの巨人が飛び出し、本部目掛けて手刀を振り下ろし、艦橋を爆発させた。

 

「何だアレは…!?」

 

分身カリバーが驚愕の表情を浮かべる。この巨人こそ、レイアが言っていただ。

 

 

 




いかがだったでしょうか?次回でプロローグと設定を除けば通算50話になります。今回も納得のいかない展開が多かったかもしれません。次回父親と向き合う回ですが、カリバーは話し合う後押しだけさせて下手に介入しない事にさせるつもりです。

今回はここまでです。感想お待ちしています。
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