【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

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第3章もクライマックスまで来ました。このまま完結までいきたいと思います。ただ展開上納得のいかない話かもしれません…。

余談 そしてカリバーの正体はあの人物でしたね…!




第51話 歌を重ね、奇跡をその手に。

洸から大切なものを受け取っていた事に気づき、響はカリバーと共にキャロルと戦う。そして洸自身ももう逃げないと誓った。装者集結でキャロルはダウルダブラのファウストローブを纏い、バックファイア無しの絶唱の力を見せつける。そこでキャロルとチカラを増幅されるシャトー攻略の為2手に分かれた。これが最後の戦いの幕開けだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、シャトー内ではマリア達が倒れている中、分身カリバーが機械に乗ったある人物の後ろ姿を見ていた。

 

「お前は…」

 

その機械は自動変形し、車椅子の形になって振り向き、体を起こしたマリアが驚愕する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マム…」

 

その人物とは、マリア達の母親的存在、ナスターシャだった。

 

「思い出しなさい。血に汚れたあなたの手を、どうして世界を救えるなんて夢想出来ますか?」

 

ナスターシャの言葉が重くのしかかる。

 

「それでも…私は…!」

 

「そう。あなたが世界を救いたいと願うのは、自分が救われたいが為…」

 

ナスターシャの言葉にハッとするマリア。

 

「惑わされるな。そのナスターシャは幻だ。」

 

「マリア! アレはマムじゃないデス!」

 

「私達は、マムが今どこで眠っているのか知っている!きっとこの城塞の…!」

 

分身カリバー、切歌、調がマリアに呼びかける。そうだ。本当のナスターシャはウェルによって月に飛ばされ、未来を託して息を引き取った。そしてその遺体は地球に帰って来た。生きている訳じゃない。静かに眠っているのだ。

 

「そんなの分かっている! アレは偽りのマム…だけど、語った言葉は真実だわ!」

 

マリアも目の前のナスターシャが偽物だと分かっていた。アレは本物じゃない。でも言葉は本物。彼女の言葉は重い。

 

「救われたいのですね?眩しすぎる銀の輝きからも…」

 

その時、命を散らした亡きセレナのボロボロの姿が思い浮かぶ。その時、突如天井から石が落下して来た。

 

「引くぞ。マリア・カデンツァヴナ・イヴを連れて来い。」

 

分身カリバーはランプドアランジーナを取り出して起動、闇黒剣月闇にスキャンした。

【ランプドアランジーナ!】

 

【ジャアクリード!ジャアクアランジーナ!】

 

 

分身カリバーに言われ調はマリアの手を取る。

 

「切ちゃん! マリア! カリバー!ここは急ごう!」

 

「乗れ。」

 

分身カリバーが召喚した絨毯に乗って4人は長い廊下を進んだ。

 

「どうなってるデスか!?」

 

「分からない! でも、今はこうするしか…!」

 

「とてもとても、罠っぽいデスよ!」

 

「どう考えても罠に決まってるだろ!」

 

分身カリバーは罠と断言しながらもマリア達と共に絨毯に乗って廊下を進んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃海上では、シャドーが放った世界の分解の光を海上自衛隊が何事かと集まって双眼鏡で見ていた。

 

「世界の分解現象、以前拡大中!」

 

「間も無く都市部へと到達します!」

 

一刻の猶予も許されない状況。このままでは世界はバラバラになってしまう。藤尭と友里の報告に弦十郎は顔を険しくする。

 

「これが…計画の最終段階…!」

 

エルフナインはモニターに映る光を見て戦慄し、ふらついてしまうが、洸が受け止める。

 

「ひどい怪我じゃないか!」

 

「キャロルを止めるのはボクの戦い…! 見届けなくちゃいけないんです…!」

 

 

都市部に伸びた十時の光を見ながら見届ける事を洸に伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、カリバーと響、立ち上がった翼とクリスは空中にいるキャロルを見ていた。

 

「何で…錬金術師が歌ってやがる…!」

 

「7つの惑星と7つの音階…錬金術の深奥たる宇宙の調和は音楽の調和…ハーモニーより通じる絶対真理…」

 

「どういう事だ!?」

 

キャロルの言う真理に問う翼。

 

「その成り立ちが同じである以上、おかしな事ではないと言っている!先史文明期、バラルの呪詛が引き起こした相互理解の不全を克服するため、人類は新たな手段を探し求めたという… 万象を識ることで通じ、世界と調和するの錬金術ならば…言葉を超えて、世界と繋がろうと試みたのが…」

 

「歌…」

 

かつてフィーネが言っていたバラルの呪詛。世界と調和するのが錬金術なら、繋ぐ事で作られたのが歌という事だ。

 

「錬金術も歌も、失われた統一言語を取り戻すために創造されたのだッ!」

 

「「「まさか!」」」

 

「その起源は明らかにされてないが、お前たちなら推察することも容易かろう?」

 

4人はハッとする。そう。フィーネだ。

 

「フィーネか…!」

 

カリバーは静かにフィーネの名を呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、分身カリバーとマリア達は長い廊下を空飛ぶ絨毯に乗りながら移動していた。

 

「罠なら、仕掛けて来てもおかしくない頃合いなのデスが…!」

 

「もしかしたら敢えて我々を誘導したとも考えるな。」

 

廊下を進んでいく中、4人はとある人物に出会う。

 

「罠以下の罠…」

 

「まさか奴だったとはな。」

 

「もしかして…アタシ達を誘導していたのは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドクター…ウェル…!」

 

目の前には壁にもたれかけ、ボロボロになって紅に染まる腹を右手で押さえるウェルがいたのだ。

 

「ご覧の有様でね…血が足りずシャトーの機能を完全掌握する事もままならないから難儀したよ…!さて、戦場で僕と取引だよ!」

 

ウェルはどす黒い左手を見せながら4人に言い放った。

 

 

 

 

 

 

そして4人はウェルを連れてキャロルの玉座とオートスコアラー達の台座がある場所へ到着した。中央には青い球体がある。切歌はウェルを無造作に床に放り投げた。

 

「チフォージュ・シャトーの制御装置…つまり、これを破壊すれば…!」

 

「そう簡単に止まる代物では無いはずだ。」

 

制御装置を破壊すれば止まると言うマリアに分身カリバーは言う。

 

「その通り。おつむのプロセッサは何世代までなんだい!? そんな事をすれば制御不能になるだけさ!」

 

「じゃあどうすれば…?」

 

マリアをバカにするウェルに調が問うと、突如鐘の音が鳴り響き、床に魔法陣が生成され、アルカ・ノイズが召喚された。

 

「君達がむずがる間にも、世界の分解が進んでいる事を忘れるなよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、各地ではシャトーが放った光が世界のあらゆる場所で分解が進んでいる。刻一刻と世界は終焉へと近づいている。

 

「歌…歌が世界を壊すなんて…」

 

「東京の中心とは、張り巡らされたレイラインの終着点…逆に考えればここを起点に全世界に歌を伝播させられるという事だ。」

 

「その為に、安全弁である要石の破壊を…!」

 

「どこまでも用意周到な奴だ…全てを計算し尽くして計画に加えるとはな…!」

 

カリバーと翼は悔しそうに答える。

 

「もうどうしようも無いのか…!」

 

クリスが諦めかけたその時…

 

「無い事など無い!」

 

クリスの通信機にマリアの声が聞こえる。マリア達はシャトー内でアルカ・ノイズと戦闘中だった。

 

「例え万策尽きたとしても、1万と1つ目の手立てがきっとある!」

 

 

 

 

 

その様子をエルフナインは指令室で見ていた。

 

「マリアさん…」

 

 

 

「私達が食い止めてる内に!」

 

「ちゃっちゃと済ませるデス!」

 

「とっととやれこの英雄失格人間!!」

 

分身カリバーが罵声を浴びせる先には、ウェルがいた。

 

「うるさい!僕は英雄だ!それに血が足りないから踏ん張れないって言っただろ!お前も子供もいつも勝手だ!」

 

今のウェルは失血状態。倒れてもおかしくない状態だ。すると、目の前にキャロルの姿が映し出される。

 

「生きていたのか!ドクターウェル! 何をしている!」

 

ウェルが生きていた事に驚くキャロル。

 

「シャトーのプログラムを書き換えているのさ…錬金術の工程は分解と解析…そしてぇ…!!」

 

ウェルの企みに気付いたキャロルは顔を歪ませる。

 

「機能を反転し、分解した世界を再構築するつもりなのか!? バカなな! そんな運用にシャトーの構造が耐えられるものか!お前達丸ごと飲み込んで…!!」

 

「そう!爆散する!!」

 

「正気か貴様!」

 

ウェルの言葉に反応する調と切歌と叫ぶ分身カリバー。

 

「どっちにしても分解は阻止出来る…!! ホンット嫌がらせってのは最高だァァァ!!」

 

目を見開いて叫ぶウェル。やはりこの男は英雄の器では無い。ただのバカだ。分身カリバーは心の中で自信を持ってそう思った。そしてアルカ・ノイズを全滅させマリアは呟く。

 

「ドクターウェル…」

 

「「うわあああああ!!」」

 

すると、調と切歌が何者かの攻撃を受けて吹き飛ばされる。その先に現れたのは、ナスターシャだった。

 

「マム…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マリア達がナスターシャと対峙している中、キャロルは空中から静かに舞い降りた。

 

「世界の分解は止まらない…匙で止めさせてなるものか…!」

 

「まだそんな事を…!」

 

「止めてみせる! エルフナインちゃんの思いで!」

 

止めてみせると言いイグナイトを使用しようとする響を翼とクリスが止める。

 

「よせ!」

 

「イグナイトモジュールの起動は、キャロルに利される恐れがある!」

 

翼の声に響が反応すると、突然アスファルトがキャロルの弦によって崩され、反動で響達とカリバーも一瞬油断したのか吹き飛ばされてしまう。さらに背中の琴が変形し、稲妻が走り出す。

 

「極太の止めを…ぶっ刺してやる!」

 

そして巨大な魔法陣から光線と共に閃光が4人を包み込んだ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前がマムであるものか!」

 

マリアは叫ぶ。目の前にいるのは偽物。それは分かっている。すると、ナスターシャの体が変化していき、黒いガングニールを纏ったマリアの姿に変化した。そしてアームドギアの槍から紫色の光線を放つ。マリアはそれを受け止めるが、受けきれずに吹き飛ばされてしまう。

 

「私はフィーネ。そう。終わりの名を持つ者だ。」

 

槍を突き立て、エコーのかかった声で宣言した。マリアも床を拳で殴り立ち上がる。

 

「そうか…お前は私…過ちのまま行き着いた私達の成れの果て…!」

 

「だけど、黒歴史は塗り替えてナンボデス!」

 

「シャトーが爆発する前に、この罪を乗り越えて脱出しよう!」

 

3人は偽マリアと対峙する。自分達の過去に引導を渡す為に。そして3人は身構え、先陣を切って調が丸鋸2枚で迫る。偽マリアがそれを受け止めると、今度は上から切歌が鎌を振り下ろす。そこへマリアが突撃する。偽マリアはマントを使いマリアの攻撃を防御する。

 

「ここは奴等の贖罪に私が出る幕では無いな…」

 

マリア達の戦いに自分が出る幕では無いと判断した分身カリバーの目の前に、どういう訳か再びアルカ・ノイズの群れが召喚される。

 

「おいカリバー!僕を守れぇ!」

 

命令するウェルを無視して分身カリバーはこぶた3兄弟を取り出して起動、闇黒剣月闇にスキャンした。

 

【こぶた3兄弟!】

 

【ジャアクリード!ジャアクぶた3!】

 

分身カリバーから分身カリバーが2人増え、アルカ・ノイズの群れと戦闘に入った。

 

 

「マリアさん!」

 

偽マリアと戦うマリアにエルフナインから通信が入る。

 

「通信機をウェル博士に預けてもらえますか?!」

 

「何?」

 

「自分らしく戦います!」

 

「ドクター!」

 

マリアはウェルに通信機を投げ、ウェルは通信機をキャッチする。一体何が考えがあるのかとウェルは分身カリバー達が戦っている中疑問に思った。

 

「この端末をシャトーに繋いで下さい! サポートします!」

 

「胸が躍る!だけど出来るのかい!?」

 

テンションが上がりながらもウェルは目の前のディスプレイに通信機をセットした。すると画面にフォトスフィアが表示される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか…フォトスフィアで!」

 

「レイラインのモデルデータを元に処理すれば、ここからでも!」

 

そう。世界の再構築が出来るという訳だ。

 

「藤尭!」

 

弦十郎が藤尭に叫ぶ。

 

「ナスターシャ教授の忘れ形見…使われるばかりか尺ですからね!やり返してみせますよ!」

 

藤尭もキーボードに指を走らせ、操作する。

 

「演算をこちらで肩代わりして、負荷を抑えます!掌握しているシャトーの機能を再構築に全て当てて下さい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、そうしている間にも世界の分解は進んでいく。シャトー全体に稲妻が走る。マリアは重ねた罪は自分1人で背負うと決める。自分が時間を稼ぐ間に響達に加勢する様言うが、偽マリアが槍を投擲する。当たる寸前、調の丸鋸と鎌が槍を受け止める。

 

「この罪を乗り越えるのは…」

 

「3人一緒じゃなきゃいけないのデス!」

 

2人の言葉にありがとうと答えるマリア。

 

「ドクター!私達の命に代えても守ってみせる!だから、ドクターは世界を!」

 

不敵に笑うウェル。内部の歯車が動き出し、シャトーの上部に光が伸びる。そしてシャトーに稲妻が走る。

 

 

 

 

「止めろ…オレの邪魔をするのは止めろ!止めろぉぁ!!」

 

そのままキャロルは背中に魔法陣を生成してシャトーへ飛び立って行った。内部ではマリアのダガーと偽マリアの槍が打ち合う音が響き、鍔迫り合いになる。

 

「翼と立つステージは楽しかった…次があるならその時は…朝まであなたと歌い明かしてみたいわね…」

 

「マリア…何を…」

 

「命懸けで戦った相手とも仲良くなれるクリス先輩は凄いなって!憧れてたデスよ!」

 

「お前にだって出来る…!出来てる!」

 

「ごめんなさい。あの日、何も知らずに偽善と言った事…本望は直接謝らないといけないのに…」

 

「そんなの気にして無い!だからっ…!」

 

突如遺言のような言葉を聞いて戸惑う響達。3人の声は変身しているカリバーにも聞こえていた。すると…

 

「カリバー…あなたにも感謝してる。」

 

「いけすかない奴デスけど…敵だったアタシ達と戦ってくれて…大切な事を教えてくれて…」

 

「あなたのお陰で私達は変われた…」

 

「「「ありがとう…(デス…)」」」

 

響達の通信機を通じて感謝の言葉が聞こえて来たのだ。

 

「お前達…」

 

いきなり遺言じみた感謝の言葉に仮面の下で目を見開いていた。そしてシャトーを閃光がぶち破り、稲妻が走りながらあちこちから閃光が溢れ出す。

 

「お願い!止めて!私とパパの邪魔をしないで!」

 

キャロルは悲痛な思いで叫ぶ。この時彼女の声はドスの効いた声では無く、少女の声になり、一人称もオレでは無く私になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボクは…ボクの錬金術で世界を守る…! キャロルに世界を壊させない!」

 

身体から血が滴りながらも世界を守る為にキーボードを操作するエルフナインを洸は見守っていた。その目は娘を見守る父親の目だった。

 

 

 

 

 

 

分身カリバーはアルカ・ノイズの群れを全て倒し、2体の分身は役目を終えたと判断して消滅した。シャトー内て3人の歌声が1つとなり、調と切歌が偽マリアの槍を弾き、マリアはダガーをガントレットに装着して伸ばして突っ込む。すると、最後の悪あがきか姿を亡きセレナに変えるが、もうマリアは止まらない。

 

 

「セレナァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

叫びと共にマリア渾身のSERE†NADEが偽セレナを斬り裂いた。

  

「止めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

そして、キャロルの叫びと共に放った巨大なエネルギー光線を受け、チフォージュ・シャトーは大爆発を起こし、爆炎を上げて落ちて行った。世界の分解は収まり、全て再構築され放たれた光は消え去って行った。

 

 

「分解領域の修復を観測!」

 

「ですが…マリアさん達が…!」

 

「俺達は、対価無しに明日を繋ぎ止められないのか…!!」

 

マリア達が巻き込まれた事に嘆く緒川と弦十郎。外では破壊されたチフォージュ・シャトーが落ちていき、ただの鉄の塊と化した。

 

 

「シャトーが…託された命題が…」

 

呆然とするキャロル。父親から託された命題が目の前で崩れ去った。

 

「みんな…」

 

「何でだ!?クソッタレ!」

 

涙を流す響達。カリバーも仮面の下で涙を流していた。

 

「キャロル・マールス・ディーンハイムッ!世界の分解も、父親の命題も、幻と化したッ!!」

 

「投降の勧告だッ!! 貴様が描いた未来は、もう瓦礫と果てて崩れ落ちたッ!!」

 

涙を流しながらもカリバーと翼がキャロルに向けて叫ぶ。

 

「……未来?」

 

涙を流しながら答えるキャロルにエルフナインの声が聞こえた。

 

「お願い…キャロル…こんな事…ボク達のパパは望んでいない…火炙りにされながら…世界を知れと言ったのは…ボク達にこんな事をさせるつもりじゃない…」

 

「そんなの分かっている!だけど、殺されたパパの無念はどう晴らせばいい!? パパを殺された私達の悲しみはどう晴らせば良いんだ!! パパは命題を出しただけで、その答えは教えてくれなかったじゃ無いか!!」

 

(殺された…?)

 

涙を流しながらエルフナインの声に叫ぶキャロル。火炙りの刑に処されたイザークの悲しみをどう晴らせば良いか分からない。永遠に分からない命題を出してこの世を去った父親に聞きたい。一体何だったのか。それを知りたい。そんな気持ちが胸いっぱいだった。

 

「それは…」

 

すると、洸が口を開いた。

 

「君達のお父さんは、何か大事な事を伝えたかったんじゃないのか?命懸けの瞬間に出るのは、1番伝えたい言葉だと思うんだが…」

 

するとエルフナインが身体を起こす。

 

「錬金術師のパパが…1番伝えたかった事…」

 

すると、エルフナインからキャロルのエネルギー体が幽体離脱の様に現れる。

 

「ならば真理以外に現れない。」

 

「錬金術の到達点は…万象を通じる事で知り、世界と…調和…する事…」

 

傷を押さえて言うエルフナインの言葉にキャロルは信じたくなかった。

 

「調和だと? パパを拒絶した世界を受け入れろと言うのか!? 言ってない!パパがそんな事言うものか!」

 

イザークが言うはずがないと言うキャロルにエルフナインが答える。

 

「だったら代わりに回答する…命題の答えは…許し…」

 

「っ!?」

 

許しと答えたエルフナインに驚愕の表情を浮かべるキャロル。

 

「世界の羞恥を許せと…パパはボク達に伝えていたんだ…!」

 

すると、とうとう限界が来てエルフナインは吐血してしまう。

 

「君!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チフォージュ・シャトーは大破し…万象黙示録の完成という未来は潰えた…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ならばっ…!過去を捨て!今を蹂躙してくれるっ!!」

 

 

「何ッ!?」

 

カリバーの驚きと共にキャロルに黄金のオーラが溢れる。

 

 

 

 

「ダメだよ!そんな事したらパパとの想い出までも燃え尽きてしまう!」

 

エルフナインは涙を浮かべながら叫ぶ。最後の希望…イザークの想い出までも犠牲にするとは、エルフナインからしてみれば全てを捨てる事になる。

 

「ありったけの想い出を焼却し、戦う力へと錬成しようというのか!?」

 

全てを捨ててまで戦おうとする弦十郎は戦慄した。唸り声を出すキャロルに黄金の魔法陣が生成され、力がみなぎる。全てを破壊する。全てを捨ててまで今を蹂躙しようとオーラを放つキャロル。

 

「キャロルちゃん何を!?」

 

復讐だ!!」

 

「とうとう復讐するまで堕ちたか!」

 

カリバーが叫ぶと、指から黄金の弦を伸ばしてアスファルトへ勢いよく伸ばして4人を吹き飛ばし、辺り一帯を蹂躙した。

 

「もはや復讐しかありえない…」

 

涙を流しながら悲しそうな声を出して言うキャロル。

 

「復讐の炎は…全ての想い出を燃やすまで消えないのか!?」

 

「エルフナインは…復讐なんか望んじゃいねぇ…!!」

 

クリスの言葉に響は頷く。

 

「エルフナインちゃんの望みは…」

 

響はペンダントマイクを掴む。イグナイトを使用するつもりだ。

 

「イグナイトって…本気か!?」

 

響は決意を固めた表情をしている。

 

「響さん…!!」

 

「随分と分が悪ぃ掛けじゃねぇか…!」

 

「だが嫌ではない…! この状況では尚の事…!」

 

「使うつもりか…魔剣を…!」

 

そして3人はキャロルを見る。エルフナインの為にも、キャロルを止める。3人の決意が1つとなった。

 

「この力は…エルフナインちゃんがくれた力だ…!だから疑うものか!!」

 

そして…

 

「イグナイトをモジュール!」

 

「「「ダブル抜剣!」」」

 

【Dáin Dáinsleif.】

 

響達はイグナイトのセーフティーの2段階目を起動し、イグナイト形態へ移行した。3人からは白いエネルギーのオーラが出ている。カリバーは響達がキャロルを止める為にエルフナインが託した力で戦う3人の意見を優先し、ストームイーグルを取り出して起動し、闇黒剣月闇にスキャンした。

 

【ストームイーグル!】

 

【ジャアクリード!ジャアクイーグル!】

 

カリバーは背中に翼を生成する。先陣を切って響がキャロルにパンチを繰り出すが、片手でバリアを生成して受け止め、受け流す。そこへクリスがガトリングを撃ち込むが、今度は弦で弾丸を弾く。そこへ後ろから翼が斬りかかるが、またしてもバリアで防ぐ。そこへカリバーが突っ込み、斬撃波を飛ばす。キャロルも魔法陣から光線をを発射して応戦。空中を飛び回るカリバーと空中に立つキャロルの斬撃波と光線の応酬だ。その光景を指令室で弦十郎と緒川は口を開けて見ていた。

 

「イグナイトモジュールの3つあるセーフティーの内2つを連続して解除!」

 

「フェーズニグレドからアルベドへとシフト!」

 

友里の声と共に999のカウントダウンが始まった。

 

「出力に伴って跳ね上がるリスク…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

キャロルはバリアで3人の攻撃をバリアで防ぎながら斬撃波を放つカリバーに光線を放つ。しかも余裕の笑みを浮かべてだ。

 

「フッ…力押し…実に浅はかで、可愛らしい…が!」

 

キャロルはバリアで3人を吹き飛ばすが、カリバーと3人は着地する。

 

「イグナイトの2段階でもダメだと…!?」

 

クリスは驚愕する。

 

「フンッ。次はこちらで歌うぞ!」

 

そしてキャロルは力強い歌声と共に黄金の魔法陣が生成され、辺りに風が吹き荒れる。

 

「さらに出力を…!?」

 

「一体どれだけのフォニックゲインだよ…!?」

 

「でも、待っていたのはこの瞬間!」

 

響が狙っていたかの様に動く。

 

「抜剣!オールセーフティ!」「「「リリース!!」」」

 

 

【Dáinsleif.】

 

カリバーもブレーメンのロックバンドを取り出して起動し、闇黒剣月闇にスキャンした。

 

【ブレーメンのロックバンド!】

 

【ジャアクリード!ジャアクブレーメン!】

 

 

遂にイグナイト全てのリミッターを外してペンダントマイクが光り出す。カリバーも闇黒剣月闇から紫のエネルギーで3人のフォニックゲインを高める。4色の閃光が放たれる。指令室では警告音と共にカウントダウンが進んでいく。

 

「最終フェーズ、ルベドへとシフト!」

 

藤尭の声に顔を険しくする弦十郎。東京の中心で2つのエネルギー光球がぶつかり合う。吹き荒れる傘の中、キャロルの放つエネルギーと、カリバーと響達の放つ7色の光球だ。

 

「ブレーメンのロックバンドでも…エネルギーの上昇が…追いつかないだと……!?………だが……!!」

 

「イグナイトの出力でねじ伏せて…!!」

 

「吹き荒れるこのフォニックゲインを束ねて、撃ち放つ!」

 

「S2CA!トライバーストォォォォォ!!」

 

3人からは禍々しいオーラが放っている。しかし、キャロルの放つエネルギーの前にじりじりと押されていく。カリバーの放つエネルギーでも、追いつかないのだ。

 

 

「このままじゃ…!」

 

「イグナイトの最大出力は知っている!だからこそそのまま捨て置いたと分からなかったのか!?」

 

全て知り尽くしていたキャロルだからこそ言える言葉だ。

 

「オレの歌は、ただの1人で70億の絶唱を凌駕する、フォニックゲインだッ!!」

 

「「「「うわああああああああああ!!!!」」」」

 

そしてとうとう、響達が勿論、カリバーも吹き飛ばされてしまった。エネルギー光球が通り過ぎだ場所は大爆発を起こした。

 

「たわいも無い。さぁ、お前の本と闇黒剣月闇を渡してもらおうか。」

 

吹き飛ばされた4人を嘲りの表情を浮かべるキャロル。翼とクリスが倒れる中、カリバーと響は立ち上がる。

 

「まだだ…ここで…終われるか…!!」

 

「例え万策尽きたとしても…1万と1つ目の手立てはきっと…!」

 

その時…

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal」

 

 

突如、絶唱が聞こえて来た。煙が晴れると、イグナイト形態に以降したマリア達と、ジャオウドラゴンになった分身カリバーが紫色のエネルギーを纏わせた闇黒剣月闇を天へ掲げていた。

 

「Emustolronzen fine el zizzl」

 

3人の絶唱を聴いて翼とクリスが目を覚ます。

 

「お前達…!」

 

マリア達が生きていた事を嬉しそうに呟いたカリバーは再びブレーメンのロックバンドを取り出して起動し、闇黒剣月闇にスキャンした。

 

【ブレーメンのロックバンド!】

 

【ジャアクリード!ジャアクブレーメン!】

 

そして立ち上がり、エネルギーを纏わせた闇黒剣月闇を天へ掲げた。

 

「マリアさん…!」

 

3人は立ち上がる。何故助かったのか。それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャトー崩壊の中、ウェルは瓦礫に挟まって動けなくなっていた。

 

『ドクターウェル!』

 

調と切歌が見ている中、ウェルに駆け寄るマリアと歩み寄る分身カリバー。

 

『僕が守った…何もかも…』

 

『まさか…』

 

そのまさかだ。

 

『君を助けたのは…僕の英雄的行動を世に知らしめる為…』

 

そう。マリア達を助けたのはウェルだったのだ。やはり英雄と言い張ってはいたが。

 

 

『さっさと行って…死に損なった恥を晒して来い…!それとも君は…あの時と変わらないダメな女のままなのかい…?』

 

満身創痍ながらもマリアに言うウェルはSDカードを取り出した。

 

ですよ…』

 

「「何故そこで愛ッ!?」」

 

思わずウェルに突っ込む分身カリバーとマリア。

 

『シンフォギアの適合に奇跡などは介在しない…!!その力…自分の物としたいなら…手を伸ばし続けるが良い…!!』

 

ウェルからSDカードを受け取ったマリア。その時ウェルの手が力無く落ちる。

 

『マリア…僕は英雄になれたかな…?』 

 

その言葉を最後にウェルは息を引き取った。こうして、英雄を目指し、フロンティア事変を起こして最後までぶれなかった男は皮肉にも英雄となって生涯を閉じたのだった。

 

『良かったじゃないか。英雄になれて。』

 

『あぁ。お前は最低の…』

 

分身カリバーとマリアはそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal」

 

「Emustolronzen fine el zizzl」

 

調と翼、クリスと切歌、響とマリアが手を繋ぎ絶唱を歌う。中央にはジャアクドラゴンのカリバーとジャオウドラゴンの分身カリバーがブレーメンのロックバンドの力を使い、闇黒剣月闇を天へ掲げ、絶唱のエネルギーを増幅させる。

 

「オレを止められるなどと、自惚れるな!」

 

キャロルが再びエネルギー光球を放つ。

 

「「「「「「「「はああああああああああ!!!」」」」」」」」

 

雄叫びを上げながら光球を受け止める響達とエネルギーを増幅する2人のカリバー。

 

「S2CAッ!!ヘキサコンバージョン!!」

 

「今度こそ!ガングニールで束ね!」

 

「アガートラームで制御・再配置するッ!」

 

そして響の両腕のギアが巨大化し、マフラーが7色に輝く。指令室ではカウントダウンが160を切った。

 

「まさか…オレのぶっ放したフォニックゲインを使って…!!」

 

自身のフォニックゲインを利用された事に驚くキャロル。その輝きは、その大きさはみるみる増していく。

 

「うおおおおおおおお!!!!」

 

 

「ジェネレーション!!」

 

 

「エクスドラァァァァァァイブッ!!!!」

 

そしてその巨大なフォニックゲインのエネルギーは7色の竜巻と化し、天へ伸びた。

 

「そ、そんな…!!」

 

ありえない。こんな馬鹿な事が起きるなんて信じられない。キャロルは絶句していた。そして今竜巻が無くなり、雲までから太陽の光が差し込む。そこから降りてきたのは、エクスドライブモードへ移行した響達。

 

「これが…奇跡の形…」

 

そう呟くとエルフナインは目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

「後は任せたぞ。」

 

「あぁ。存分に暴れてやる。」

 

分身カリバーは役目を終えたと判断して消滅。カリバーはジャオウドラゴンを起動した。

 

【ジャオウドラゴン!】

 

【ジャオウリード!】

 

【闇黒剣月闇!】

 

【Jump out the book. open it and burst.

 The fear of the darkness.

 You make right a just,no matter

 dark joke. Fury in the dark.

 ジャオウドラゴン!】

 

 

【誰も逃れられない…】

 

5匹の竜が身体を高速回転して包み込み、カリバーはジャオウドラゴンへと姿を変えた。

 

「さぁ、決着を付けるぞ。」

 

 

 

 

これが最後の戦いだ。




いかがだったでしょうか?話の展開上今回も納得のいかない部分が結構あったかもしれません。やっぱり名シーンだと介入していいのかどうか迷ってしまうんですね。ここまで読んでくださった読者の皆様には感謝です。ブレーメンのロックバンドってシンフォギアの世界では凄い便利じゃないかなと思います。歌声も音ですから。

次回で第3章完結します!今回はここまでです。感想お待ちしています。
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