【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

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今回で第3章は完結となります!これで本編全5部の中の半分が終わります!鬼門と言われるGX編も何とか書き切る事が出来たのは読者の皆様のおかげです!本当にありがとうございます!これからもどうぞよろしくお願いします!

お気に入りが900を超えました!ありがとうございます!



第52話 正義をその手に、握り締めて。

世界の分解が始まる中、マリア達とウェルの手でチフォージュ・シャトーは破壊され世界は再構築された。キャロルの放つフォニックゲインの力に一時は押されるも、それを利用して束ね、分解・再構築で響達はエクスドライブモードへ移行、カリバーもジャオウドラゴンへと姿を変えた。今、最後の戦いが幕を開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

エクスドライブモードとなった響達を見ていたエルフナインは目を閉じ洸に介抱されながら過呼吸を起こしていた。

 

「君!大丈夫か!?」

 

すると、エルフナインの目から涙がこぼれ落ちた。

 

「涙…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エクスドライブへと移行した響達の元へカリバーとキャロルが飛び上がり、お互いに対峙した。最後の戦いに挑む為に。

 

「単機対6機…」

 

「いや、7機だ。私を忘れてもらってはいけないな。」

 

響の横にカリバーが並ぶ。

 

「錬金術師であるならば… 彼我の戦力差を指折る必要もなかろう。」

 

「おまけに止めのエクスドライブにチートなカリバーもいる!これ以上はもうしまいだ!」

 

「ふん、奇跡を身に纏ったくらいでオレをどうにかできるつもりか?」

 

エクスドライブを纏った響達を奇跡と言いながら嘲笑うキャロル。どうやら自分の力に絶対の自信がある様だ。

 

「みんなで紡いだこの力を!」

 

「奇跡の一言で片付けるデスか!」

 

「片付けるとも!奇跡など…!」

 

そして、キャロルは自分の中の悲しい過去を語り始めた。

 

「あの日、蔓延する疫病より村を救ったオレの父親は中部によって研鑚を奇跡へとすり替えられた!そればかりか資格なき奇跡の代行者として焚刑の煤とされたのだ!」

 

「お父さんを…」

 

「要するにありもしない罪を着せられて殺されたという訳か。」

 

父イザークは悪意を持った人間達によって罪を着せられ、火炙りの刑に処された。キャロルも彼女の父も、悪意の被害者だったのだ。

 

「万象に存在する摂理と術理、それらを隠す桜蔭を外し、 チフォージュ・シャトーに記すことがオレの使命…すなわち、万象黙次録の完成だった、だったのに…」

 

キャロルが悔しそうに、悲しそうに言う。

 

「キャロルちゃん…泣いて…?」

 

「奇跡とは!蔓延る病魔に似た害悪だ!故にオレは殺すと誓った! だからオレは奇跡を纏うものだけには負けられんのだ!!」

 

キャロルは目に涙を浮かべながらも巨大なアルカ・ノイズと地上にアルカ・ノイズの大群を召喚した。空中には飛行型アルカ・ノイズも現れる。

 

「お前…!」

 

「何をしようと!?」

 

指令室のマップにはアルカ・ノイズの反応を示す赤い点が無数に現れた。

 

「まだ…キャロルは…」

 

「これ程までのアルカ・ノイズを…!」

 

「チフォージュ・シャトーを失ったとしても世界を分解するだけなら不足は無いということか!」

 

世界を分解する為に悪あがきとして大量のアルカ・ノイズを放つキゃロルに叫ぶ弦十郎。

 

「この状況で僕たちに出来るのは…」

 

「うう…」

 

涙を浮かべ泣いているエルフナインを見て洸は叫んだ。

 

「響、響!」

 

響の通信機に洸の声が聞こえてきた。

 

「その声、お父さん!?」

 

「響!泣いている子が、ここにいる!」

 

洸の声を聞いてハッとする。目の前には涙を浮かべるキャロルが。そして決意する。

 

「立花響。やるべき事は分かっているな?」

 

カリバーの問いに響は頷き、洸に答えた。

 

「…泣いている子には手を差し伸べなくちゃね!」

 

「フッ…付き合ってやるとするか。」

 

決意をした響にカリバー仮面の下で笑みを浮かべ答える。ここまで来たから、最後まで付き合う。そう誓ったのだ。

 

「何もかも壊れてしまえば!!」

 

キャロルの叫びと共にアルカ・ノイズ達が一斉に破壊活動を始めた。

 

「翼さん!」

 

「分かってる、立花。」

 

翼は鞘から刀を抜刀した。

 

「スクリューボールに付き合うのは初めてじゃねぇからな!」

 

クリスもアームドギアを大型化させる。

 

「その為に散開しつつ、アルカ・ノイズを各個に打ち破る!」

 

マリアも剣を抜刀して構えた。

 

「準備運動には丁度いい。暴れさせてもらおう。」

 

カリバーも闇黒剣月闇を構え、ジャオウドラゴンと4匹の黄金の竜を召喚し、更にジャアクドラゴン、ブレイブドラゴンを起動した。

 

【ジャアクドラゴン!】

 

【ブレイブドラゴン!】

 

「お前達も、世界を救う為に力を貸せ!」

 

カリバーの声にジャオウドラゴン達は咆哮を上げ、アルカ・ノイズの群れへと向かった。

 

カリバーの闇黒剣月闇が、響の巨大な手槍が、 調と切歌の合体ギアが、 マリアの鞭が、 クリスのイチイバルのレーザー光線が、 翼の二刀流の剣が、次々にアルカ・ノイズを倒していく。ジャオウドラゴン、ジャアクドラゴン、ブレイブドラゴンと黄金の竜達も響達に続く。

 

 

(あの子も私達と同じだったんデスね…)

 

(踏み躙られ、翻弄されて、それでも何とかしようともがき続けた…)

 

人間の悪意に晒されて、気持ちを踏み躙られ、それでも自分の力でやり遂げようとしたキャロル。

 

(違うのは、独りぼっちだったこと。ただ、それだけ!)

 

キャロルには仲間がいなかった。ずっと孤独だった。

 

(救ってあげなきゃな、なんせアタシも救われた身だ!)

 

自分が救われたこの命で今度は自分があいつは救ってやる。

 

(その為であれば、奇跡を纏って、何度だって立ち上がってみせる!)

 

例え倒れても、何度でも立ち上がる。

 

(そのために私達はこの戦いの空に歌を歌う!)

 

私達の力は、歌は、奇跡は、決して壊れない。壊させない。だから歌い続ける。

 

(今なら分かる…父親が何故奴に世界を知れと言った事が…世界を知って、悪意に屈する事なく、強く、誰かと手を繋げる優しさを持って欲しかったんだろう…でも奴はやり方を間違えてしまった…道を踏み外してしまった…ずっと苦しんでいた…だったら、救ってやるしかない…!付き合ってやるよ…!お前達の歌に!)

 

奴と自分は似ているようで違う。同じ悪意によって失った物がある。でも、これ以上罪を重ねるのはもうやめて欲しい。罪を背負うのは自分だけでいい。だから救ってやる。お前を呪縛から。

 

【ジャアクドラゴン!】

 

【ブレイブドラゴン!】

 

【必殺リード!ジャオウドラゴン!必殺リード!ジャアクドラゴン!必殺リード!ジャアクブレイブドラゴン!】

 

カリバーはジャオウドラゴンを引き抜き、更にジャアクドラゴンとブレイブドラゴンを起動して闇黒剣月闇にスキャンする。

 

【月闇必殺撃!習得三閃!】

 

闇黒剣月闇から放たれた紫と赤色の巨大な斬撃波が上空のアルカ・ノイズを纏めて斬り裂き、更に地上のアルカ・ノイズの群れを一掃した。やがて7人によってアルカ・ノイズ達は大爆発と共に全滅した。東京一帯をピンク色の閃光が煌びやかに照らした。その様子は勿論指令室に映し出されていた。

 

 

 

「エクスドライブのパワーであれば!」

 

「だが、同等のフォニックゲインを備えているのがキャロルだ!」

 

緒川が行けますと言おうとするが、弦十郎は冷静に言う。

 

 

キャロルは空中で、周りに4色の六角形のエネルギーと黄金の魔法陣を展開していた。

 

「さっきのアルカ・ノイズは時間稼ぎ!?」

 

「残った思い出をまるごと焼却するつもりなのか!?」

 

「とうとう全てを捨ててまでか…!?」

 

「何もかも壊れてしまえ…世界も…奇跡も…オレの思い出もッ!!」

 

キャロルは目から血涙を流していた。 その魔法陣からの衝撃波がカリバーと響達を襲うが、カリバーはジャオウドラゴンと黄金の竜、ジャアクドラゴンとブレイブドラゴンを呼び寄せ、自分を含めて響達を守った。

 

「壊させはしない!世界も!奇跡も!お前も!」

 

カリバーはキャロルに向けて叫ぶ。

 

「そうだ!救うと誓った!」

 

「おおとも!共に駆けるぞ、マリア!」

 

翼とマリアは飛び上がり、互いの体を合わせ、手にした剣と刀を合わせて回転しながらキャロルに突っ込む。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

キャロルはそれを防御壁で受け止めた。

 

「死ねぇ!!」

 

「「うわあああああああ!!」」

 

キャロルは弾き返し、翼とマリアを吹き飛ばした。

 

「先輩!」

 

「マリア!」

 

するとキャロルは、自分自身を弦で包み込み、自らの姿を変化させる。すると、黄金の角が現れる。

 

「何だあれ!?」

 

そしてその姿は緑色のライオンの様な姿となる。やがて四つ脚が生成され、キャロルの姿はダウルブラの糸に包まれ、碧色の獅子機となり、眼が赤く光り、咆哮を上げる。そして中にはキャロルが。

 

(全てを無に帰す…何だかどうでも良くなってきたが…そうでもしなければ臍の下の疼きが治らん…!!)

 

チフォージュ・シャトーを失い、命題の答えも許しだと言われ、キャロルはやけくそになっていた。そして雷鳴が響き渡る。落雷が碧色の獅子機の角に落ちる。

 

「仕掛けてくるぞ!」

 

クリスの声に身構える。そして口から巨大な炎を吐いた。その炎はビルを木っ端微塵に吹き飛ばし、大爆発を起こした。

 

「何だと…!?」

 

「あの威力…何処まで…!」

 

海にまで到達する威力にカリバーとクリスは驚愕した。

 

「だったらやられる前に…」

 

「やるまでデース!!」

 

「おい!」

 

「よせ!闇雲に突っ込むな!」

 

カリバーとクリスの調と切歌が獅子機に挑むも、弾き飛ばされてしまう。

 

「あの鉄壁は金城!散発を繰り返すばかりでは突破できない!」

 

「簡単な事だ。力を一点に集中して、奴にぶつければ良い!」

 

「ならばアームドギアにエクスドライブの全エネルギーを収束し、よろい通すまで!」

 

カリバーの案に翼が答え、クリス、マリア、調、切歌が着地する。そこへカリバーがこぶた3兄弟を取り出して起動し、闇黒剣月闇にスキャンした。

 

【こぶた3兄弟!】

 

【ジャアクリード!ジャアクぶた3!】

 

翼達の元に分身カリバー2人が着地した。

 

「身を捨てて拾う、瞬間最大火力!」

 

「ついでにその攻撃も同時収束デース!」

 

「御託は後だ!マシマシが来るぞ!」

 

獅子機から放たれる光線に身構える翼達。そこへカリバーと響が立ち塞がり、光線を闇黒剣月闇と手槍で受け止めた。

 

「カリバーさん…!」

 

「お前1人にやらせるものか!」

 

受け止めながらも翼達と分身カリバーにカリバーは叫んだ。

 

「何をしている!早くやれ!」

 

「カリバーさんと私が受け止めている間に!」

 

「やるぞ!」

 

マリアの声と共に翼達は一斉にアームドギアを解除して、巨大なエネルギー光球に変える。そこへ2人の分身カリバーが闇黒剣月闇を納刀してトリガーを押した。

 

【【月闇居合!読後一閃!】】

 

そして抜刀し、翼達の放ったエネルギー光球と共に斬撃波を放った、それを受けた獅子機の一部が大爆発と共に破壊され、内部のキャロルの姿が露わになった。

 

「アームドギアが一振り足りなかったな…っ!?」

 

キャロルの目の前には弾かれたエネルギーにカリバーが天空のペガサス、ニードルヘッジホッグ、西遊ジャーニーを闇黒剣月闇にスキャンしてエネルギーを更に送り込み、響がそれを収束している。

 

「奇跡は殺す!皆殺す!オレは奇跡の殺戮者に!!」

 

獅子機がカリバーと響へ熱線を撃ち、勝ったとほくそ笑むキャロル。

  

響は右腕を巨大なアームドギアとして展開し熱線を受け止め、更にカリバーが闇黒剣月闇にエネルギーを纏わせ、2人で同時に振り払った。

 

「お前に教えてやる…!立花響のアームドギアを!!」

 

「繋ぐこの手が私のアームドギアだ!」

 

「当たると痛いこの拳、だけどカリバーさんと未来は傷つけるだけじゃないと教えてくれた!」

 

「この拳は、人と人を繋ぐ希望!人々の明日を創る為の歌だ!お前の歌が世界を壊す歌ならば、立花響の歌は人を、世界を繋ぐ歌だ!」

 

「おのれ…潰す…!こんな時に拒絶反応…!!」

 

キャロルの脳裏に父、イザークの想い出が脳裏に浮かぶ。

 

(違う…これはオレを止めようとするパパの思い出…)

 

(認めるか!認めるのものか!!オレを否定する想い出など要らぬッ!!)

 

(全部燃やして力と変われッ!!)

 

そして遂に、イザークの想い出が燃やし尽くされる。響のアームドギアが分解され、包み込む様に再合体。その姿は白く、7色の光を放つ巨大なだ。カリバーもジャオウドラゴンを呼び出して乗り、響と共にキャロルに向かって突っ込んだ。

 

響のアームドギアとカリバーのジャオウドラゴンと獅子機の熱線が激しくぶつかり合う。

 

「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

 

「立花に力を!天羽々斬!」

 

「イチイバル!」

 

「シェルシャガナ!」

 

「イガリマ!」

 

「アガートラーム!」

 

翼達がエネルギーを響へ送り出す。全てを束ね、繋げる力を、奇跡を乗せて。そのエネルギーを受けた響のアームドギアが獅子機の光線をじりじりと押し出す。

 

「我々も行くぞ。」

 

分身カリバーともう1人に言うと頷く。

 

「お前達も力を貸せ!」

 

分身カリバーはジャアクドラゴンとブレイブドラゴンを取り出して起動した。

 

【ジャアクドラゴン!】

 

【ブレイブドラゴン!】

 

響へ2人の分身カリバーが闇黒剣月闇で響にエネルギーを送り込み、更に勢いを増大させる。そして響の元へジャアクドラゴン、ブレイブドラゴン、4匹の黄金の竜も加わる。

 

「決めるぞ!!」

 

「はい!!」

 

カリバーは響に叫ぶと、響も返事をした。カリバーはジャオウドラゴンのページを閉じる。

 

【ジャオウ必殺読破!】

 

そして、闇黒剣月闇のグリップエンドでボタンを押した。

 

【ジャオウ必殺撃!】

 

カリバーは全身から禍々しい紫のオーラを放ち、闇黒剣月闇から巨大なジャオウドラゴンの形をしたエネルギーを体に纏ってジャオウドラゴンから飛び出し、響と共にキャロルへ突っ込む。

 

「ハァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

「うおおおおおおおおおおお!!ガングニィィィィィィィィルッ!!!!」

 

獅子機の口にジャオウ必殺撃と6人の装者とカリバーの力、奇跡を乗せて放った響の必殺技、Glorious Breakがねじ込まれた。

 

【You are over.】

 

そしてカリバーと響はキャロルと対峙する。キャロルは泣きながらも笑っていた。獅子機にヒビが入っていく。そして静かに上昇していく。

 

「ふ、ふふ・・・」

 

獅子機がゆっくりと上昇していき、強い光が溢れ出す。

 

「行き場を失ったエネルギーが暴走しています!」

 

「被害予測!算出します!」

 

「エネルギー臨界点到達点まで後60秒!」

 

「このままでは半径12kmが爆心地となり、3kmまでの建造物は深刻な被害に見舞われます!」

 

藤尭と友里の声に顔を険しくする弦十郎。

 

「まるで小型の太陽・・・」

 

緒川その様子を小型の太陽と表現した。

 

 

 

 

「ふふ…お前達に見せて、刻んでやろう…歌では何も救えない世界の真理を…」

 

キャロルは笑いながらもカリバーと響に歌では何も救えないと言う。しかし…

 

「そんな真理は変えられる!」

 

「諦めない!奇跡だって手繰ってみせる!」

 

「奇跡は呪いだ…縋る者をとり殺す…」 

 

そして、爆発が起こり、閃光が放たれる。

 

「後20秒!」

 

獅子機が大爆発を起こし、大人の体から元の少女の体に戻ったキャロルが空中へ投げ出される。

 

「キャロルちゃん!」

 

響とカリバーはキャロルの元へ向かう。響の体にダウルダブラの糸に絡まるが、それでも響がキャロルへ手を伸ばす。

 

「手を伸ばせ!」

 

「手を取るんだ!」

 

響はキャロルに手を伸ばし、カリバーも手を取る様叫ぶが、キャロルは笑いながら響を否定する。

 

「ふふ…お前の歌で救えるものか…何も救えるものかよ!!」

 

「それでも救う!抜剣!」 

 

【ダインスレイフ!】

 

響はイグナイトモジュールを発動させる。起動音はいつもの無機質な音声でなく、エルフナインの声だった。手を伸ばす。 その時響の姿にエルフナインとイザークが重なる。

 

(キャロル…!世界を知るんだ…!)

 

「パパ!」

 

(いつか人と人が分かり合う事こそが僕達に与えられた命題なんだ。 賢いキャロルには分かるよね…そしてその為にどうすれば良いのかを…)

 

「パパ―――!!!」

 

泣き叫びながらキャロルは響の手を取った。 そして獅子機が爆発を起こし、 響はエネルギーを収束。そこへカリバーがジャオウドラゴンと黄金の竜を呼び出し、響とキャロルを守らせた。そして眩い閃光が指令室を包み込んだ。そして大爆発を起こし、巨大なキノコ雲が登った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日後…東京は変わり果てた姿となっていた。辺り一帯のビルは廃墟となりアスファルトは崩れ地表は剥き出し。東京都庁も鉄の塊と化し、巨大なクレーターが出来ていた。

 

「そうか… そうか、未だキャロルの行方は知れないままか。」

 

「既に決着から72時間が経過しています。」

 

「捜索を捜索を打ち切り、帰投してくれ。」

 

「了解しました。」

 

弦十郎は緒川に帰投する様命じた。実はあの後、キャロルの姿が消えたのだ。一体何処へ行ったのか。それは分からない。

 

「保護された響ちゃんが無事だったことから、生存していると考えられますが…」

 

「気がかりなのは、キャロルの行方ばかりではありません。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来てくれたんですね…毎日すみません…」

 

エルフナインのお見舞いに響達装者と、未来が来ていた。夏休みに入ったのだ。響は夜更かしし放題や早起きしなくて良いと言うが、それは響のライフスタイルだ。あんまり変な事を吹き込むなとクリスは言う。それからエルフナインはもっと響達や世界を知れば仲良くなれるかと問うと、響はエルフナインの手を握り、早く元気になってと励ましの言葉を送るのだった。そしてたわいもない話で時間は過ぎて行き、面会終了時間になると、響はトイレに行くと言った。切歌は待たなくて良いのかと言うが、クリスやマリア達は察して帰って行った。未来を除いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、トイレの水を洗面台に溜めて響は泣いていた。

 

 

「ごめん…私が泣いていたら、元気になるはずのエルフナインちゃんも元気になれないよね…世の中、拳でどうにかなる事って簡単な問題ばかりだ…自分に出来るのが些細な事ばかりで…ホントに悔しい…」

 

理解しあうよりも戦った方が分かりやすい。そんな問題ばかりのこの世界。悔しくてたまらなかった。

 

「そうかもしれない。だけどね、響が正しいと思って握った拳は特別だよ。」

 

泣く響の手に自分の手を添える未来。

 

「特別…」

 

「世界で一番優しい拳だもの。いつかきっと嫌なことを全部解決してくれるんだから。」

 

「未来…」

 

未来の言葉に響は抱きついた。

 

「ありがとう…やっぱり未来は私の陽だまりだ…」

 

そんな響の背中に未来は何も言わず手を回すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、エルフナインの病室にいなくなったはずのキャロルが入って来た。目を覚ましたエルフナインはキャロルを見る。

 

「キャロル…」

 

「キャロル…それがオレの名前…」

 

「記憶障害…思い出の殆どを焼却したばっかりに…」

 

「全てが断片的で霞がかった様に輪郭が定まらない。 オレは一体何者なのだ?目を閉じると瞼に浮かぶお前なら知ってると思い、ここに来た。」

 

自分は一体誰なのか。何故いるのか。その答えを探す為に断片的な記憶を頼りにここへ来たのだ。」

 

「君は…もう一人のボク…」

 

「お前は…もう一人のオレ…」

 

「ええ…2人でパパの残した言葉を追いかけてきたんです…」

 

「パパの言葉…そんな大切なことも、オレは忘れて…教えてくれ!こうしている間にもオレはどんどん…」

 

手を組んでいる頼むキャロル。すると、エルフナインが咳き込み、吐血した。

 

「お前!」

 

「順を追うとね…一言で伝えられない…ボクの体もこんなだから…」

 

「オレだけでなく、お前も消えかかってるのだな…」

 

お互いの体はもうボロボロだ。2人ともそれを分かっている。

 

「うん…世界を守れるなら、消えてもいいと思ってた…」

 

すると、エルフナインの目から涙がこぼれた。

 

「でも…今はここから消えたくありません…!」

 

そうだ。せっかく響達と仲良くなれたのに。もっと生きたい。もっと世界を知りたい。死にたくない。そんな気持ちがエルフナインの中で溢れていた。

 

「なら、もう一度2人で…!」

 

キャロルはエルフナインに唇をあわせ、手を繋いだ。その時、不思議な事が起こった。キャロルとエルフナインが光り出し、心電図が0になったのだ。響達が病室に駆けつけると、ベッドにエルフナインの姿は無く、キャロルだけが立っていた。

 

「キャロル…ちゃん…?」

 

キャロルは首を横に振り、響達に振り返る。その顔立ちはエルフナインのものだった。

 

「ボクは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数日後、響は洸と共に故郷へ来ていた。

 

「この町にはいい思い出なんて無いはずなのにね、 今じゃとても懐かしく感じちゃう。」

 

「それは、あの頃よりも響が強くなったからじゃないかな。」

 

「え?」

 

「そういえば言おうと思ってたんだけど、俺が勇気を出せる決意が出来たのは、あの人のおかげなんだ。」

 

「あの人?」

 

「響なら、知ってるはずさ。」

 

洸の言葉を聞いて、響もそうだねと返し、誰なのかは悟った。

 

「さて俺も頑張らなくちゃ、な?」

 

洸は背伸びをして、これから何をするべきなのか、響の顔を見る。

 

「うん、お父さん!」

 

2人はどんな辛い事があっても乗り越えられる魔法の言葉を言い、ハイタッチをした。

 

「「へいき、へっちゃらだ!」」

 

その様子を遠くから誰かが見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、調と切歌はクリスの部屋で夏休みの宿題をやっていた。

 

「楽しいはずの夏休みはどこへ…」

 

「だけど、どうしてクリス先輩は余裕なんデスか?」

 

クリスはアイス片手にソファに寝転んでた。

 

「いい機会だから教えてやる。こう見えて学校の成績は悪くない私だ!」

 

クリスは2人に成績表を見せる。実はクリスは学校の成績は上位に入っている。人は見かけに依らずとはこういう事か。

 

「嘘!」

 

「っ!?」

 

調の声に2人を睨みつけるクリス。

 

「い、今言ったのは調デス!」

 

「私を守ってくれる切ちゃんはどこへ行っちゃたの…!?」

 

「ちゃっちゃと宿題片付けろ!!」

 

そして2人に宿題を終わらせる様クリスは叫ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翼と緒川は成田空港に来ていた。

 

「翼さん…」

 

そこでマリアがガラスにもたれかけ、待っていた。

 

「たまさか私もイギリス行きなのよね。」

 

「…たまさかね」

 

それを聞いた翼は吹き出して笑い、ウインクをする。

 

「っ! やっぱりこの剣、可愛くない…」

 

マリアは顔を赤くした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

成田空港の駐車場には、空を飛ぶ旅客機を眺める弦十郎と車内に八紘がいた。

 

「見送りに行かないとは父親失格じゃないか?」

 

「私達はこれで充分だ。それより弦、今回の魔法少女事変、どう思う?」

 

キャロルが起こしたこの事件は、魔法少女事変と呼ばれる事となった。

 

「米国の失墜に応じた欧州の台頭…」

 

「あるいは…」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、エルフナインがS.O.N.G.の指令室に駆け込む。

 

「遅くなりました!」

 

「遅刻だぞ。」

 

藤尭はキーボードを操作しながら言う。

 

「すみません!」

 

エルフナインと友里は互いに顔を合わせて微笑んだ。

 

「早速解析の続きを始めましょうか。」

 

オペレーター達が解析しているのは、ウェルの残したSDカードだ。一体この中にはどんなデータが入っているのか。それは分からない。きっと世界を救う鍵になる物がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして洸は、かつて飛び出した家に帰り、 響の母と顔を合わせていた。

 

「やり直したいんだ!みんなで!もう一度、だから!」

 

勇気を出し、洸が頭を下げ、手を差し出すが、響の母は玄関から顔を覗かせる祖母の顔を見る。一度その手を取ろうとするが、手を下げてしまった。

 

「勢いなんかで手を繋げないって…」

 

すると、響が両手で2人の手を取った。

 

「こうするのが正しいって信じて握ってる…だから…簡単には離さないよ!」

 

響はいつもの笑顔を2人に見せた。止まっていた家族の時計の針が、進み始めたのだ。

 

そしてその様子を影からとある人物が見ていた。響が2人の手を取った所を見て、笑みを浮かべると、その場を去って呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようやく…平穏に過ごせる。」

 

 

 

 

月闇絶唱シンフォギア 第3章




いかがだったでしょうか?思えばここまで長かったです。誤字報告や高評価、厳しい評価を出して下さった読者の方々には感謝しています。最後の響達を見ていたのは誰なのかはご想像にお任せします。
次回からはXDにあたる断章を書いていこうと思いますのでよろしくお願いします。
第4章については公式サイトに闇黒剣に秘められた力と宿命という文字がありましたのでセイバー本編を視聴した後に書いていきたいと思います。

これで第3章は完結。今回はここまでです。感想お待ちしています。
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