今回の話は主人公に対する不平不満が沢山来る覚悟で書きました。
「父さん…」
ファルシオンとの戦いの後、カリバーにもう父親じゃないと言われ、ノーザンベースに戻って来た賢人は意気消沈していた。
「賢人…」
「賢人さん…」
意気消沈する賢人を飛羽真達と響は声をかける事が出来ずにただ見ているだけしか出来なかった。
「相当俺達の事恨んでるな…」
尾上も申し訳ないという表情をしながら、溜息をつく。今の彼にファルシオンを倒す為に力を貸して欲しいと頼んでも協力はしてくれないだろう。どうすればいいものかと考えている中、大秦寺だけは別の事を考えていた。
(カリバーと再会した時、闇黒剣から感じた…富加宮さんとは違う、私達への怒りと、かすかな罪悪感…それに先程見たファルシオンとの戦いでライドブックの力を多用していた…だが富加宮さんはライドブックの力を極力使わず自分自身の剣技で相手を倒す…もしかしたら…あのカリバーは、富加宮さんじゃない…!? )
大秦寺は芽依の本からファルシオンとカリバーの戦いを見て戦法と剣からカリバーは富加宮ではない事に薄々気づいていた。
「私…カリバーさんとお話ししてみます。」
響が口を開いた。
「響ちゃん?」
「私も、過去にすごく辛い事があったんです。でもその時に助けてくれたのがカリバーさんでした。だから、何となくカリバーさんの気持ちが分かるんです。もしかしたら私も未来や家族に裏切られていたら、カリバーさんみたいになっていたかも知れません…」
響の言葉に一同は注目する。
「響…」
賢人は響を見る。
「それに、カリバーさんは私達に協力しないって言っておきながらいつも助けてくれるんです。もしかしたら素直になれないだけかも知れません。だから…もう一度、倫太郎さん達と向き合ってくれる様に頼んでみます!」
「立花がそう言うなら、私も行こう。」
「あたしもだ。何だかんだあいつとは一緒に戦って来たからな。」
翼とクリスも響の考えに賛成した。ルナアタックからどんな形であれ戦って来た仲だ。
「なら私も行くわ。彼にはいろいろと聞きたい事があるわ。」
「いけすかない奴デスけど、頼りになるのは分かってるデス!」
「うん。私達もカリバーのおかげで危ない所を助けてもらったり大切な事を教わったから。」
翼とクリスが賛成するならもちろんマリア達も賛成だ。フロンティア事変で敵対したものの、魔法少女事変では形はどうであれ戦った仲なのだ。
「みんな…!」
「すまないな…俺達の為に…」
「気にしないで下さい!だって人間は助け合いでしょう?」
響は飛羽真達に笑顔を見せた。そしていざ部屋を出ようとした時、
「ちょっと待て!父さんの居場所…分かるのか?」
「あっ…」
賢人に言われて立ち止まる響。居場所は何処かまでは、考えていなかった。すると、大秦寺が口を開く。
「私に心当たりがある。」
一方、賢人達の前から姿を消したカリバーは海岸で海を見ていた。
(俺は一体何をやってるんだ…こんな事をしても余計に取り返しのつかない方向へ傾いていく…富加宮さんの無念を晴らしてやろうとする気になっているだけじゃないか…俺がやっている事は逆に富加宮さんを失望させているだけだ…どうして俺は…あんな事をしてしまったんだろう…赤の他人の俺が首を突っ込む問題じゃないのに…どうして俺は…後先考えずに感情的になってしまうんだろう…自分で自分が嫌になってくる…)
カリバーは、初めてこの世界に来て尾上達や倫太郎達と接触して攻撃してから罪悪感に陥っていた。自分は彼らとは全く無関係。そんな自分が富加宮になりすまして首を突っ込んで彼等に八つ当たりに等しい恨言を吐き捨てている。そんな事をしても何も解決しないのに動いてしまう。どうして自分はいつもこうなのか。何でこんな行動ばかり起こすのか。情けないったらありゃしない。自分に比べれば、響達の方が心の強さも信念も何もかも断然勝っている。自分が勝てる物なんて、何一つない。彼の中には、自分に対する自己嫌悪の気持ちが大きくなっていた。今思えば自分は一体何がしたいのか。それすら分からないとなると、存在する意味がないんじゃないのかと考えていた。あの世界に転生しても自分は本当は必要ない存在だと思えてくる。自分が嫌いになってくる。そんな自己嫌悪を拗らせていると…
「カリバーさん!」
声をする方向を向くと、響達がブックゲートを使ってやって来た。
「何故私の場所が分かった?」
「大秦寺さんから聞いた。お前が悩んでいる時はここに来て海を眺めていると。」
実は、カリバーが来ていた海岸と富加宮が悩んでいる時に来ている海岸は同じ場所でありカリバーが来たのは全くの偶然だったのだ。そして響達の前でまた演じなければならなくなった。
「お前達が何を言おうと私は奴等に手を貸さない。」
「世界が無に帰されそうになっている今そんな事言っている場合じゃないだろ!」
「いつまでへそを曲げてるつもりだよ!」
カリバーの言葉に翼とクリスはつい声を荒げてしまう。
「考えても見ろ。組織の言葉を鵜呑みにして私を斬り、いざ再会したら掌を返して詫びの言葉を吐く奴等など信用する訳ないだろう?」
カリバーは自分を攻撃した倫太郎達が再開したら掌を返して自分達に謝罪の言葉を言って協力して欲しいと言う言い分は信用出来ないと言い、背を向けて歩き出した。
「どうして…? どうしてそんな事言うんですか?」
「…?」
カリバーの言葉に反論したのは響だった。響の言葉に立ち止まるカリバー。
「倫太郎さん達は…世界の平和の為に一緒に戦って来た仲間なんでしょう…?」
「その仲間に私は裏切られた。心から信頼していたのに話を聞いてくれなかった。誰も信じてくれなかった。」
「確かにお前は組織に騙され、裏切りの罪を着せられて誰にも信じて貰えずに裏切られた過去がある。」
「そうだ。人は裏切るもの。信用するに値しない。私はそれを過去から学んだ「だからとてッ!」」
「何も信じず全てを拒絶したままだと、過去と何も変わらないだろう!?」
「お前だけじゃねぇよ。あたし達だって辛い過去の1つや2つはある。でも、それを乗り越えて今を生きてんだよ。」
「あなたが思っているほど、人間はそんな簡単に騙したり裏切る生き物じゃないわ。」
翼、クリス、マリアが倫太郎達を頑なに信用しようとせず、背を向けるカリバーに自分達の思いを伝える。
「それがどうした。仲間など、少し気に入らない事があればすぐに牙を剥く。」
「時には喧嘩だってするよ!でも、喧嘩した後仲直りしたら、前よりもずっと仲良くなれるんだよ!」
「そうデス!雨降って地固まるって言うじゃないデスか!」
切歌はもちろん珍しく調も感情的になってカリバーに訴える。
「倫太郎さん達は、カリバーさんに対して謝ってました…だから…倫太郎さん達の事、許してあげて下さい…」
響もカリバーに倫太郎達を許すよう懇願した。しかし、彼の中には逆に罪悪感が湧き出ていた。
「…………!」
(止めろ…! 本当に謝るべきなのは俺なんだよ…! 富加宮さんに成りすましてあいつらを騙してるんだ…! 結局俺もマスターロゴスと同じ嘘つきで卑怯者なんだよ…!!)
カリバーの中で賢人を、倫太郎達を騙している罪悪感が強くなる。富加宮の無念を晴らしている気になり後先考えずに感情的に行動して終わってみれば取り返しのつかない方に転がっていく。今彼の中では人間不信の気持ちよりも人に騙された自分が逆に人を騙しているという罪悪感、どうなるのか分かっているはずなのに幼稚な行動を繰り返す自分への自己嫌悪の気持ちが大きくなっていた。すると…
「父さん!」
ブックゲートを通って飛羽真達がやって来た。カリバーと向き合う為にやって来たのだ。
「………!」
いかがだったでしょうか? 大秦寺さんがカリバーが富加宮さんではない事に気づき始めましたね。次回はカリバーと剣士達が正面から話し合う予定ですが、修羅場になるのは間違いありません。もしかしたら本編の上條さんと賢人の対決みたいになりそうです。もし別人だと分かれば転生して見た目も性格も変わったって思うのは自分だけでしょうか?
富加宮さんが死んだ事は賢人達に明かすべきか否か…憎まれ役を買って出るか…断章の話数はシンフォギアのエピソードと同じ13話を予定しています。ファルシオンの無銘剣虚無の力を見せれないまま終わってしまうかも知れません…判明すればカリバーが戦利品としてパクって第4章で書くかも知れません。
隼人の行動を書いてると、実に滑稽だなぁと思ってます。遊びの時間は終わりです。そろそろ悪ガキ(隼人)には、現実と向き合ってもらいましょう。
余談ですが、隼人の自己嫌悪は第4章で精神摩耗の影響で本当の性格が露わになる形で出したいと思ってます。
今回はここまでです。感想お待ちしています。
次回ついに…
「もう、富加宮さんのフリをするのはやめろ。」