倒れた響にファルシオンが無銘剣虚無を振り下ろす。翼とセイバーの叫びが響き渡る。
「立花ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
「止めろおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」
ブレイズにクリス、エスパーダが絶望に満ちた表情を浮かべ、響は目を閉じ、顔を腕で塞ぎ込む。その時、金属がぶつかり合う大きな音がした。塞ぎ込む響はハッとし、ゆっくりと顔を上げる。その前には、自分が何度も見た背中。助けてもらった時から、幾度となく戦って来た時から見てきた背中。ファルシオンも仮面の下で邪魔が入ったかと顔を歪める。翼とクリスは勿論誰なのかは知っている。セイバー、ブレイズ、エスパーダも知っている。響を危機から救ったのは…
「……………!!」
「カリバー…さん…!」
ファルシオンが振り下ろした無銘剣虚無を、唸り声を上げながらエネルギーを纏わせた闇黒剣月闇の刀身で受け止めたカリバーだ。そしてそのまま力任せに闇黒剣月闇を90度立て、鍔迫り合いに持ち込んだ。
「死なせるものか…!絶対に…!」
カリバーは響にだけ聞こえるように声を発した。実は、バスター達とマリア達と共に街でシミーの大群と戦っていたカリバーは何かを察知すると、闇への空間移動を行い、セイバー達と響達、そしてファルシオンの元へ来たという訳だ。
「お前…!」
エスパーダは思わず声を漏らしてしまう。自分の父になりすまして騙していた人間が協力を拒んだのに斬られそうになった響を助けるなんて。セイバー達は目を見開き、翼とクリスは彼の事を知っている為が安堵の表情を浮かべた。カリバーはそのまま鍔迫り合いの状態でファルシオンを響から引き剥がし、蹴り飛ばすとブックゲートを起動してファルシオンを捕まえてゲートの中へ入って行った。
「あっ!待ってください!」
響は追いかけようとするが、ブックゲートは閉じてしまう。
「立花!賢人さん!」
「大丈夫ですか!?」
響とエスパーダの元へ翼とブレイズが駆け寄り、2人を抱き起こした。
「ありがとうございます…私は…」
「あいつ…俺達を助けに…」
エスパーダは協力を拒んだカリバーが助けに来た事に信じられない表情を浮かべていた。
そしてブックゲートを通じてやって来た別の採石場跡にてカリバーとファルシオンはお互い聖剣を打ち合い、鍔迫り合いとなる。
「私は知っている。お前がクソロン毛野郎じゃなくてクソガキだという事をなぁ!」
「!?」
動揺したカリバーの隙をついてファルシオンがカリバーに連続で斬撃を浴びせた。後退りするカリバーは動揺を隠せなかった。何故気づいているのか。
「クソロン毛野郎ごっこは楽しかったかァ?」
「気づかれてたか…!」
ファルシオンが斬りかかり、カリバーも応戦する。しかし戦闘経験ではファルシオンが上回り、カリバーも動揺して冷静になれていないのも重なってかカリバーは防戦一方となっていた。
「そういえばお前、あのメスガキに死なせるものか絶対にって言ってたがもしかしてお前、あいつの事好きなのかァ? うわ〜!マジないわ〜!! 存在の真理も知らずに話し合おうとするとかあのメスガキ頭おかしいだろ!新世界の神たる私にやめろとかほざくクソ生意気なクズだぁ!ゴミだぁ!下等な猿だぁ!この世界であんな事が平気で言える奴こそ無用!あのメスガキにお前の死体を見せたらどうなるのかなぁ? ギャハハハハハハハ!!」
誰かと分かり合おうと手を伸ばす響をこれ見よがしに侮辱するファルシオンにカリバーは怒りを抑えられなかった。
「ふざけるなぁッ!あいつがどんな思いで手を伸ばしている事も知らずに!」
怒りをぶちまけながらカリバーはファルシオンに斬りかかり、ファルシオンも応戦する。お互いの装甲を斬り裂き火花が飛び散る。しかし、やはり実力ではファルシオンが上。次第に防戦一方となっていき、ファルシオンに何度も斬りつけられ、さらに追い討ちにオレンジ色の羽根を飛び散らせ、カリバーの装甲や腕に触れ爆発を起こす。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
カリバーの絶叫が暗闇の中採石場跡に響き渡る。そこへファルシオンが無銘剣虚無を納刀してトリガーを押し、抜刀した。
【虚無居合!黙読一閃…!】
無銘剣虚無からオレンジ色の斬撃波を飛ばす。それを見たカリバーも闇黒剣月闇を納刀してトリガーを押し、抜刀する。
【月闇居合!読後一閃!】
ファルシオンが放った斬撃波を闇黒剣月闇で受け止め吸収するも、その隙を突かれ腹筋にエネルギーを纏わせた無銘剣虚無を突き立てられ、じわじわと痛みが伝わっていく。いくらジャアクドラゴンの装甲が相手の攻撃を最小限に押し留めても、じわじわとダメージが与えられたら蓄積された分のダメージが自分の身に降りかかる。ファルシオンは仮面の下で醜悪な笑みを浮かべてカリバーを蹴り飛ばし、斬撃を浴びせて後退りさせた。
「まもなく世界が無に帰る…!その時、神が降臨するゥ…!」
ファルシオンは無銘剣虚無をブレードライバーに戻してトリガーを押し、再び抜刀した。
【必殺黙読!…抜刀!】
【不死鳥…!無双斬り…!】
無銘剣虚無から放たれた不死鳥を模した強力な衝撃波がカリバーに直撃し、爆発した。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
絶叫と共にカリバーの姿から傷だらけの隼人の姿に戻った。彼にとって初の敗北だった。ファルシオンは隼人の姿を確認すると、何故か無銘剣虚無をブレードライバーに戻し、エターナルフェニックスを引き抜いて変身を解除した。これは鳳が変身しなくても倒せるという慢心と、仮面に隠れていた顔芸で相手を徹底的に侮辱、嘲笑う為である。
「お前は人を騙してクソロン毛野郎のフリしてただけのクズなんだよぉ!他人になりすまして人を騙す事は、人として最低な事なんだぞ〜? そんな事も分からないなら幼稚園からやり直して下しゃぁぁいッ!!」
自分の事を棚に上げ子供じみた鳳の挑発を聞いた隼人は鳳を怒りに満ちた表情で睨みつけた。
「あれー?ホントの事言われて怒っちゃったー? でも仕方ないよなぁ〜!ホントの事だもんなぁ〜!! クソロン毛野郎のクソ息子に一生恨まれるんだろうなぁ〜!!」
鳳の言葉に隼人は顔を険しくする。それは紛れもない正論。反論出来なかった。そんな顔を見た鳳は恍惚な表情をしながら無銘剣虚無をブレードライバーから抜刀して隼人に振り下ろす。隼人は闇黒剣月闇で受け止め、鍔迫り合いとなる。
「その顔が見たかった…! 正論言われて反論出来ないその顔が〜!! ヒャハハハハハハハハ!!」
鳳は馬鹿笑いをしながら顔芸で嘲笑い、殴りつけると執拗に隼人を痛めつけ始めた。しかし、隼人は鳳に対する怒りよりも飛羽真達を騙していた罪悪感が重なりまともに反撃出来ずただ痛めつけられるだけだった。倒れた隼人の喉を踏み付け、隼人の苦しそうな顔を見ながらそこへ体重をかけて狂った笑い声をあげながらさらに顔を踏み付けた後に腹を蹴飛ばす。それでも隼人は闇黒剣月闇を手放さなかった。
「クズの分際で新世界の神たる私に楯突くお前は死刑ィ! 最もあのメスガキ共にクソ剣士共もなァ!私に楯突くクズ人間などこの世界にいらねぇんだよ!!」
「ゲホッ…ゲホッ…てめぇ…! 本当に人間か「うるせぇよクズ。」」
鳳は隼人の罵倒を遮り更に蹴飛ばし、隼人の髪を掴み上げて顔に手に持った尖った石で額の皮膚を引き裂き、そのまま蹴飛ばした。苦痛な叫び声を上げ痛みに悶絶しながらも隼人は闇黒剣月闇を手放そうとしなかった。
「ヒャハハハハハハハハハハハハハハ!! お前頭から血が出てるー!キモーい!クズがキモくなったー!! 他人になりすまして人を騙したお前にキング・オブ・クズの異名を差し上げましょーう!ギャハハハハハハハハハハハ!!」
鳳は狂った馬鹿笑いをしながらわざとらしく隼人から距離をとって嘲笑った。鳳の言葉に隼人は傷だらけになってもゆっくり立ち上がった。
「あぁそうだよ…!俺は確かにあいつらを騙した…!過ちを犯した…!お前の言う通り、どうしようもないクズだ…!!ただ平穏に生きていただけなのに人間の身勝手な悪意に晒されて、大切な存在も失い…全てに裏切られて、人間に絶望した…!過ちを犯してから後戻り出来なくなった…!」
「ひょっとしてお前、人を殺したのかぁ〜? どうしようもないクズだなぁ「だから俺は覚悟を決めたッ!孤独になって!自分の犯した全ての罪を背負い!全てを敵に回してでも!今を生きこれから未来へ進んでいく人達が!お前の様な身勝手な悪意を垂れ流す奴等の犠牲になるのを!二度と見たくないから戦い続けるとッ!!」」
それは、隼人が一線を超えた時から変わらない信念だった。かつて悪意を持つ者によって大切な存在を失い、そして悪意を持つ者達の毒牙にかかり、自ら命を絶ち、今響達のいる世界にも悪意を持つ者達がいる中戦って来た。響や未来の様な未来へ進む者達が犠牲になるのは二度と見たくない。自分には誰かと繋がる事も、今を、未来を見る資格が無くても、今を生きる人達の未来への物語を絶対に失わせないと決心したのだ。
「クズの分際でヒーロー気取りでちゅかー? 痛いでちゅねー!とっととクズは死んでくだちゃぁぁぁい!」
【エターナルフェニックス!】
【抜刀…!】
【エターナルフェニックス!】
赤ちゃん言葉で隼人をなおクズ呼ばわりした鳳はファルシオンに変身した。そして隼人も意を決してジャオウドラゴンを取り出した。
「…何だあれ。」
ジャオウドラゴンのライドブックを見たファルシオンは間抜けそうな声を出した。
『人間に使いこなせるかどうか分からない代物らしいが…』
隼人の脳裏に富加宮の言葉が思い浮かぶ。しかし、迷っていられない。
「お互いクズ同士…ここで終わらせようか…!」
隼人は闇黒剣月闇を地面に突き刺し、ジャオウドラゴンを起動してページを開いた。
【ジャオウドラゴン!】
【邪道を極めた暗闇を纏い数多の竜が秘めた力を解放する…。】
ライドスペルによる朗読が流れ、ページを閉じると闇黒剣月闇を地面から引き抜き、スキャンした。
【ジャオウリード!】
荘厳な待機音が流れ、隼人はジャオウドラゴンを邪剣カリバードライバーに装填。両手で闇黒剣月闇を目の前に掲げる。その様子をファルシオンはクズの癖に一体何をするのかと余裕な態度を見せて見ていた。そしてグリップエンドでボタンを押した。
【闇黒剣月闇!】
「変身!」
そして、右手に持つ闇黒剣月闇で右斜め上、2時の方向へ斬り上げた。
【Jump out the book. open it and burst.
The fear of the darkness.
You make right a just,no matter
dark joke. Fury in the dark.
ジャオウドラゴン!】
【誰も逃れられない…】
暗闇の中隼人の身体をジャオウドラゴンと4匹の黄金の竜が高速回転しながら包み込み、禍々しいオーラと共に隼人はカリバー ジャオウドラゴンに変身した。
いかがだったでしょうか? 前回コラボギアを登場させたんですが感想がファルシオンに対してばっかりだったのでちょっと残念でした。いよいよファルシオンと最終決戦になります。今回は珍しく主人公が痛めつけられると初の強制変身解除、ヒーローっぽい台詞を書いてみました。なお鳳については1番屈辱的な最期にするつもりです。どんな最期になるか予想してみて下さい。あと無銘剣虚無とエターナルフェニックスについてはアンケートを取りましたがやはり持ち帰るが多いですね…でも持ってっちゃうのは流石に不味いかなと思うので少しホラーな感じにしようかなと思っています。
次回断章完結です!その後はいよいよ第4章のAXZ編に入っていきます。この小説も折り返しで後半戦に突入です。
今回はここまでです。感想お待ちしています。