【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

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いよいよ折り返し第4章、本格的にスタートさせます!まずは今回どうしてもやりたいと思っている事が1つあります。










第55話 戦火の鐘は、晩夏に響く。

夏休み…それは、全ての学生にとって夏のメインイベント。

友人や家族と共に旅行などの思い出作りに必要不可欠な物。そして忘れていけない夏休みの宿題。絶対に逃れられない宿命。遊び呆けて始業式前に慌ててやる人も多いだろう。

そして夏も終わりに近づいている中、1人の少女がある危機に直面する事になる。

 

 

 

 

 

 

「夏休みの登校日って…もっとこう…適当だった筈だよねぇ…」

 

日にちは8月21日。黒板に大きく書かれた夏休みの宿題9月1日始業式 提出厳守の文字。黄昏のリディアンの教室で突っ伏しているのは響だ。

 

「なのにこの疲労感…お説教の満貫全席とは思わなかったよ…」

 

そこへ未来が机に突っ伏す響の額に缶ジュースを添え、冷んやりとした感触が額に伝わり、顔をニヤけさせる響。

 

「あへ〜気持ちいい〜」

 

「全く…今日が期限の課題が終わってないから当たり前でしょ?」

 

そう。未来の言う通り響は登校日の今日提出予定の課題を終わらせていなかったのだ。

 

「何とか提出日を始業式までに伸ばした貰ったけど…お願い未来手伝って!でないと終わらない!間に合わない!」

 

両手を合わせ、頭を下げる響。このままでは気持ちよく始業式を迎えられない。

 

「確かにこのままだと、始業式も通り越して響の誕生日にもずれ込みそうだもんね。仕方ない。良いよ。手伝うよ。」

 

「本当!? やっぱ未来は心のアミーゴだよ〜!」

 

嬉しくなって未来に抱きつく響。ちなみにアミーゴとはスペイン語で友という意味だ。すると、突然窓からヘリコプターのローターの音が響き、ドアからクリス、調、切歌が現れる。

 

「続きは家でやれ!」

 

「本部から緊急指令!」

 

しかし、ローターの回転音と突風の音で何を言っているのか響には聞こえない。

 

「デスデスデースッ!」

 

「言ってる事全然分からないよ!」

 

その瞬間、クリスの靴が響の顔に命中。響は倒れてしまう。どうやらS.O.N.G.から指令が出た様だ。

 

「未来、ちょっと言ってくるけど、心配しないで!課題も任務も、どっちも頑張る!」

 

「うん。分かってる。」

 

未来にウインクをして響はヘリに乗り込み、未来はヘリを見送るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

南米の熱帯のジャングルにて爆煙が立ち込める。

 

「高速で接近する車両を確認!」

 

とある軍の前線基地にて兵士がモニターを見ている。

 

「対空砲を避ける為に陸路を強行して来た? だが浅薄だ。通常兵装で我々に太刀打ち出来るものか!」

 

サングラスをかけ、軍服姿の指揮官の男が腕を組んで言う。すると、地面に仕掛けられている装置が作動。結晶状の物をばら撒く。すると、魔法陣が展開してアルカ・ノイズが現れたのだ。密林の中に一台のバイクが駆け抜ける。

 

「接近車両をモニターで捕捉!」

 

「コイツは…!」

 

「敵は…シンフォギアです!」

 

驚く指揮官と兵士。バイクに乗っているのは翼だ。しかし…

 

「前線基地に謎の反応が多数接近中!映像出ます!」

 

「っ!? こ、これは!?」

 

指揮官は絶句した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翼はバイクで走行しながらアルカ・ノイズを蹴散し、対空砲へ近づいていく。

 

「対空砲には近づけるなッ!」

 

指揮官の叫びも虚しく、アルカ・ノイズは蹴散らされ、翼はバイクで加速し、騎刃一閃旋で対空砲を次々に破壊していく。

 

「緒川さん!」

 

翼が空へ叫ぶと、緒川がギアを纏った響とクリスと共に巨大な凧で大空を舞っている。戦車兵が地上なら機銃を撃つと、緒川が煙幕を撒いて3人は飛び降り、着地した。その時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────────────────ッ!!」

 

突如、後方から雄叫びと大勢で走る音が聞こえて来たのだ。

 

「え!?」

 

「何だ!?」

 

響とクリスは一体何が起こっているのか分からない。緒川が背後を見る。すると…

 

「響さん! クリスさん! あれを!」

 

「…? えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

「…? はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

驚愕の声を上げる2人。そこで3人が見た物とは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「討ち取れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

雄叫びを上げながら無数のカリバー達が突撃して来たのだ。

 

「カリバー!?」

 

「えぇぇ!? カリバーさんがいっぱい!?」

 

「どんだけいんだよアイツ!?」

 

余りの多さに響とクリスは勿論、緒川も驚きを隠せない。

敵兵士もアサルトライフルを撃つのをやめ、ただ呆然とカリバー達を見ていた。

 

「隊長!!」

 

「仮面ライダー…カリバー…!!」

 

隊長は絶句していた。この世界に置いて最強の抑止力と言われているカリバーが無数に現れた事に。

実はこのカリバー達、本物のカリバーが猿飛忍者伝、こぶた3兄弟の力で分身を作り、さらにジャッ君と土豆の木の力で豆の様に増やしに増やした分身カリバー軍団だ。

 

分身カリバー達は響とクリスを無視してアルカ・ノイズ達を斬り裂いていき、兵士達は斬らずに気を失わせる。

 

「なっ!? カリバー!おい! まさか…分身!?」

 

アルカ・ノイズを斬っていた翼も無視して分身カリバー達はアルカ・ノイズ達をひたすら斬り裂く。

前方には戦車1両と小隊が待ち構えている。

アサルトライフルの弾丸も諸共せずに分身カリバーは突っ込んで来た所に戦車が砲撃するが、分身カリバーの1体が砲弾を斬り裂く。

そして戦車1両に対して約10人の分身カリバーが虫の如く群がり、戦車兵を引き摺り出し戦車を次々に破壊していく。兵士達は戦意を損失し、逃げていく。

 

その様子はオーバーキルに等しいだろう。緒川と響はこのオーバーキルをポカンと見つめ、クリスは「もうあいつひとりでいいんじゃねぇか?」と思っていた。

 

「一斉射撃!」

 

指揮官の声と共にクリス目掛けてアサルトライフルとロケットランチャーを放つ。

すると、クリスの目の前にライオンセンキに乗った本物のカリバーが現れ、ロケットランチャーの弾を弾いた。

 

「青いライオン!?」

 

兵士達はライオンセンキを目の前に驚愕を隠せない。

その隙をついて兵士達の後ろに分身カリバー達が現れ、捕まえるとアサルトライフルをへし折るか、あるいは闇黒剣月闇で斬り裂いた。

 

「撤退だッ!」

 

兵士達は一目散に逃げ出す。それを見たカリバーは鼻で笑い、クリスが呟く。

 

「えげつねぇなお前…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別の場所では2両の戦車が響に砲撃するが、響は力強く歌いながら歩みを進めながら砲弾を弾き返していく。

すると、その後ろから分身カリバー達が雄叫びを挙げながら突撃し、後退する戦車に20人ほど群がると、戦車兵を引きずり出して戦車を徹底的に破壊。

その光景を見た他の兵士は恐怖に震え逃げ出し、響は頭の中の歌詞も吹っ飛びただ呆然と見ていた。

悪あがきに1両が砲撃しようと砲塔を回転させようとすると、20人ほどの分身カリバーが砲塔を斬り裂き、中の戦車兵とご対面。戦車兵2人は一目散に逃げていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

分身カリバー軍団の蹂躙はもちろんS.O.N.G.の指令室にも映し出されいた。

 

「司令…敵の方が可哀想になってくるのは私だけでしょうか…?」

 

「オーバーキルですよ…」

 

友里と藤尭は苦笑いを浮かべる。

 

「そ、そうだな……」

 

弦十郎もこれには若干苦笑いを浮かべるが、気を取り直して響達を指揮する。

 

「国連軍の到着は15分後!それまでに迎撃施設を無力化するんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

アルカ・ノイズの群れをクリスはガトリングで撃ち抜いていく。その隙をついて装甲車がクリス目掛けて砲弾を発射した。クリス目掛けて放たれた砲弾はそのまま命中するかと思いきや…

 

【一寸武士!】

 

【ジャアクリード!ジャアク一寸!】

 

カリバーが一寸武士の力で砲弾を小さくし、踏み潰した。

そしてクリスを狙った装甲車はライオンセンキが弄び、乗っていた兵士達は逃げ出す。

 

 

 

 

 

「防衛ラインが瓦解します!このままでは!」

 

「隊長!?」

 

兵士の言葉に指揮官は突然逃げ出した。

そしてあらかた制圧出来た所で分身カリバー達は役目を終えたかの様に消滅し、4人が揃う。

 

「久々に身体を動かすのは良いな。この日の為に分身を大量生成しておいて正解だった。」

 

実はカリバーは響達がこの地で制圧作戦を行う事を知っており、その前日の日に分身を大量に生成してこの日に備えたのだ。何という時間の無駄遣いだろう。

 

「カリバーさんは相変わらず凄いな…」

 

「人海戦術とは…なかなか古い戦術を使うんだな…」

 

「人海戦術っつーか数の暴力だろ…」

 

そんなカリバーに思い思いの言葉を呟くと、突然天に光が伸びる。

 

「何だ?」

 

「どうやらまだ終わりではない様だ。」

 

そして上空から魔法陣が展開。雲を切り裂き巨大な空中戦艦が現れたのだ。

 

「空に…あんなのが!?」

 

「いわゆる空中戦艦という奴か。」

 

「本丸のお出ましか!」

 

すると、ローターの回転が起こす突風と共にS.O.N.G.のヘリが3機やってきた。

 

「あなた達! グズグズしないで追うわよ!」

 

ヘリから聞こえて来たのはマリアの声だ。その頃、空中戦艦のレーダーは3機のヘリを捕捉していた。

 

「ヘリか? ならば直上からの攻撃は凌げまい!」

 

隊長がボタンを押すと、戦艦から5つの爆弾を投下し、ヘリの上で爆発させた。

 

「やったぜ狂い咲き!」

 

隊長は響達を殺したと思い喜ぶが、それはぬか喜びだ。レーダーにはヘリは全機健在。響達が爆弾を全て防いだのだ。

 

「シンフォギアで迎え撃っただと!? なら、非常識には非常識だ!」

 

隊長はボタンを押すと、左右からミサイルを発射。

クリスがガトリングで撃ち抜き、マリアは回避する。その隙を見て響と翼がミサイルの弾幕を駆け抜ける。

 

「こっちで抑えてる間に、他の2機はさっさと戦線離脱してくれ!」

 

ミサイルはクリスに次々撃墜されていく。しかし、その内の1発が追尾で迫る。

 

「ダメだ! 間に合わない!」

 

操縦士が叫ぶ。

 

「行くよ!切ちゃん!」

 

「ガッテンデス!」

 

調と切歌がヘリのドアを開けてミサイルを通過させ、通り過ぎていった後に爆発を起こした。

 

「やれば出来る!」

 

「アタシ達デス!」

 

2人は互いにサムズアップを交わした。ミサイルの弾幕を駆け抜ける響と翼に巨大な絨毯に乗ったカリバーが現れ、絨毯に乗る様言う。

 

「乗れ!」

 

カリバーの声に響と翼は絨毯に飛び乗る。

 

 

 

 

「くそッ…! まだだ!」

 

苦虫を噛み潰した顔をしながら迫るカリバーと響、翼を睨みつけると、突然、大きな衝撃と共に空中戦艦が大きく揺れる。

 

「っ!? な、何だ!?」

 

一体何が起こったのかも知らずに慌てる隊長。その頃、外でも何が起きたのかカリバー以外は呆然と見ていた。

 

「おい、カリバー…あれは…」

 

「フッ。」

 

「あれって…あの時…!」

 

響と翼も驚きを隠せない。そこで2人が見た物とは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【剣が変形!巨大な剣士が目を覚ます!キングオブアーサー!】

 

空中戦艦にキングオブアーサーが立っていたのだ。

 

「あん時のデカブツじゃねぇか!」

 

「何あれ…カリバーが出したの!?」

 

「凄く大きい…」

 

「デッカいデス!」

 

かつてスペースシャトルの救助任務でキンブオブアーサーを見たクリス達も久しぶりに見たのか驚きを隠せなかった。

実は密かに生成した分身カリバーがキングオブアーサーを召喚していたのだ。キングオブアーサーは腕を振り上げ、空中戦艦の艦上に穴を開けた。

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

突如自身の背後にキングオブアーサーが穴を開けた事に驚く隊長。

ちょうどコックピットのある場所に開けたのだ。その穴から召喚した分身カリバーが乗り込み、隊長に迫る。

 

「もう逃げ場は無いぞ。」

 

「待て! 待つんだ! 落ち着け! やめろ! やめっ!?」

 

分身カリバーは隊長の首に手刀を浴びせ気絶させると、そのまま艦上につまみ出す。

そこへ本物のカリバーと響、翼がやって来て分身カリバーは隊長の身柄を引き渡す。

 

「離脱するぞ。」

 

「はい!」

 

響は隊長を抱え、カリバーと翼と共に地上へと降り、キングオブアーサーは役目を終えたかの様に消滅。

 

【ジャアクドラゴン!】

 

分身カリバーはジャアクドラゴンを召喚して空中戦艦から離脱。

 

「後はあたしが片付ける!」

 

「いや、その必要はない。」

 

「はぁ!? 何でだよ!」

 

クリスは空中戦艦をミサイルで爆破しようとするが、分身カリバーがジャアクドラゴンと共にクリスを静止した。

 

「面白いものを見せてやる。」

 

分身カリバーは一寸武士を取り出して起動し、闇黒剣月闇にスキャンした。

 

【一寸武士!】

 

【ジャアクリード!ジャアク一寸!】

 

分身カリバーは水色のエネルギーを空中戦艦に向けて放つと、空中戦艦はみるみる小さくなっていき、手のひらサイズまで小さくなった。

 

「マジかよ…」

 

クリスが呟く中分身カリバーは手のひらサイズになった空中戦艦を手に取って粉々に握りつぶし、役目を終えたと判断して消滅した。

 

「何でもありじゃねぇか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてカリバー達も地上へと降りた。

 

「ひとまず任務は完了ですね。」

 

「あぁ。後は彼らに任せよう。」

 

「さて、私はこれでお暇するとしよう。私もやる事があるんでね。」

 

「お前は普段一体どこで何をしているんだ…?」

 

カリバーに対する翼の疑問と共に上空にはUNと書かれた国連軍の白いヘリがやって来た。

そして国連軍の兵士が民間人に食糧を提供したり、怪我の治療をしている。

その様子を響、翼、クリスはフェンスの外から見ていた。

 

「良かった…国連軍の対応が早くて…」

 

「そうだな…」

 

安心する響と翼とは裏腹にクリスはその光景を睨みつけている。

 

「クリスちゃん…? どしたの?」

 

「いや…なんでもねぇよ…」

 

そこへ、一台のトラックがやって来た。運転しているのはマリアで荷台に乗っているのは調と切歌だ。

 

「市街の巡回、完了デース!」

 

元気よく敬礼をする切歌。

 

「乗って。本部に戻るわよ。」

 

本部に戻る道中、荷台の上で調が口を開く。

 

「私達を苦しめた、アルカ・ノイズ…錬金術の断片が、武器として軍事政権に渡っているなんて…」

 

そう。アルカ・ノイズがこの地で軍事兵器として利用されていたのだ。響は荒廃した町を見つめる。

 

パヴァリア光明結社…

 

響がある組織の名を呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作戦開始前、指令室に響、クリス、調、切歌が駆け込む。

 

『遅くなりました!』

 

『揃ったな。早速ブリーフィングを始めるぞ!』

 

指令室のモニターに緒川、翼、マリアが映し出される。

 

『先輩!』

 

『マリア、そっちで何かあったの?』

 

『翼のパパさんからの特命でね。S.O.N.G.のエージェントとして、魔法少女事変のバックグラウンドを探っていたの。

 

『私も知らされていなかったので、てっきり寂しくなったマリアが勝手に英国までついてきたとばかり『だからッ!そんな訳ないでしょっ!』

 

翼に突如声を荒げるマリア。気を取り直して緒川が口を開く。

 

『マリアさんの操作で、1つの組織の名が浮上してきました。それが、パヴァリア光明結社です。』

 

『チフォージュ・シャトーの建造にあたり、キャロルに支援していた組織だった様です。』

 

エルフナインが、キャロル・マールス・ディーハイムとパヴァリア光明結社と繋がっていた事を打ち明けた。そして画面に、飛行機の残骸や炎上するトラックなどの写真と、蛇が描かれたマークが映し出された。

 

『裏歴史に暗躍し、一部に今の欧州を暗黒大陸とまで言わしめる要因とも囁かれています。』

 

『あのマーク…! 見た事あるデスよ!』

 

『確か、あれって…!』

 

調と切歌が蛇のマークを見たことあると言った。

 

『そうね…マムやドクターと通じ、F.I.S.を武装蜂起させた謎の組織…私達にとっても、向き合い続けなければならない相手…闇の奥底だわ。』

 

つまり、このパヴァリア光明結社は、F.I.S.とも通じ、フロンティア事変を起こすきっかけとなった組織でもあるのだ。

 

『フロンティア事変と、魔法少女事変の双方に関わっていた組織…パヴァリア光明結社…』

 

『これを機会に、知られざる結社の実体へと至る事が出来るかもしれません。』

 

『存在を窺わせつつも、なかなか尻尾を掴ませてもらえなかったのですが、マリアさんからの情報を元に、調査部でも動いてみた所…』

 

緒川が1枚の写真を写す。そこには、アルカ・ノイズが写っていた。

 

『アルカ・ノイズ!』

 

響が声を上げた。

 

『撮影されたのは、政情不安な南米の軍事政権国家────』

 

緒川が国の名前を言おうとすると…

 

バルベルデかよッ!』

 

クリスが大きく反応した。そう。バルベルデ共和国はクリスにとって因縁の場所なのだ。

 

『装者達は現地合流後、作戦行動に移ってもらう! 忙しくなるぞ!』

 

指令室に弦十郎の声が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『まさかアルカ・ノイズを軍事兵器として利用しているとは…パヴァリア光明結社…どうやら安らぎの時間も終わりの様だな。』

 

その様子を暇潰しとしてシャボン玉を通じて見ていた隼人は、新たな戦いの幕開けを悟り、猿飛忍者伝、こぶた3兄弟、ジャッ君と土豆の木を手にしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、一連の件があり、今に至るという訳だ。

マリアが運転するトラックは、港に停泊中の紫色の潜水艦…S.O.N.G.2代目本部へと向かっていた。

魔法少女事変で沈没した初代本部に変わって新たな基地になったのだ。

 

 

 

 

そして響達は疲れを流す為にシャワールームでシャワーを浴びていた。

 

「S.O.N.G.が国連直轄の組織だとしても、本来であれば武力での干渉は許されない。」

 

「だが、異端技術を行使する相手であれば、見過ごすわけにはいかないからな。」

 

本来S.O.N.G.は聖遺物に関連した二度に渡る大規模な超常脅威に対し、 広範囲で即応するためというのが表向きの理由として設立されたのだが、異端技術を使う相手であれば別だ。

 

「アルカ・ノイズの軍事利用…!」

 

響達が派遣されたのはバルベルデにてアルカ・ノイズを軍事利用するバルベルデ軍を制圧する為なのだ。

 

「LiNKERの数さえ十分にあれば、私達だってもっと…」

 

「ラスト1発の虎の合流デス…そう簡単に使うわけには…」

 

マリアと調と切歌がギアを纏っていなかったのは、LiNKERが足りておらず、作ることも出来ないのだ。

切歌が頭をタオルで拭きながらシャワーから出ると、突然響が切歌の手を握る。

 

「デデデース!?」

 

「大丈夫だよ! 何かをするのにLiNKERやギアが不可欠なわけじゃないんだよ! カリバーさんだっているんだから! さっきだってヘリを護ってくれた。ありがとう!」

 

「何だか照れ臭いデスよ…」

 

いきなり手を掴まれた事に困惑しながらも照れる切歌。すると…

 

「じーっ…」

 

調がジト目でヤキモチを焼いているかの様に切歌を見つめていた。

 

「め、目のやり場に困るくらいデス…」

 

そんな3人をよそにクリスはシャワーを浴び続けていた。

 

『パパ!ママ! 離して! ソーニャ!』

 

『ダメよ!危ないわ!』

 

幼き日の忌々しい過去が甦る。

 

「クソッタレな思い出ばかりが、領空侵犯してきやがる…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、指令室にて、響、翼、クリスが弦十郎と緒川の前に立っていた。

 

「新たな軍事拠点が判明した。次の任務を通達するぞ。」

 

モニターに進行ルートと建物、ドラム缶を運ぶ人が映し出された。

 

「目標は、化学兵器を製造するプラント。川を遡上して上流の軍事施設に侵攻する!周辺への被害拡大を抑えつつ、制圧を行うんだ!」

 

「「「了解!」」」

 

そして、装者3人と緒川は小型艇にて川を遡上し、制圧作戦を開始した。そんな中、クリスの記憶にまたあの過去が甦る。

 

『パパ!ママ!パパ!ママ!離して!ソーニャ!』

 

『ダメよ!危ないわ!』

 

火の海と化したこの地にて、倒れている2人の亡骸…クリスの両親に泣きながら駆け寄ろうとする幼き日のクリスとそれを止めるソーニャという女性。

 

『ソーニャのせいだ!』

 

クリスは涙を浮かべソーニャを憎悪の目で睨みつける。その言葉にショックを浮かべ、涙が流れる。

 

「昔の事か?」

 

翼がクリスに話しかける。

 

「あぁ。昔の事だ。だから気にすんな。」

 

「詮索はしない。だが今は前を見ろ。でないと…」

 

その時、横から照明が当てられ、装甲車に乗っていた兵士が機銃を撃ってきた。

 

「状況、開始!」

 

緒川は小型艇のスピードを上げて銃撃を回避する。

 

「一番槍、吶喊します!」

 

響はペンダントを取り出して跳躍。そして…

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron」

 

夜の密林に響の聖詠が響き渡る。そして響はギアを纏い、歌いながら装甲車に拳を浴びせ、吹き飛ばした。

すると、警報と共に地面からアルカ・ノイズが出現した。

そこへアルカ・ノイズの反応を検知したカリバーも現れた。

 

「さてと、運動でもするか。」

 

カリバーは闇黒剣月闇を抜刀し、アルカ・ノイズの元へ突っ込み、斬り裂く。

同じ頃、翼も刀を抜刀して次々にアルカ・ノイズを斬り裂き、クリスもガトリングを乱射し、粉微塵にする。辺り一帯はパニックになり人々が逃げ惑う。

響も空中でアルカ・ノイズを次々駆逐していく。

兵士達がカリバーに向けてアサルトライフルを乱射するが、カリバーが闇黒剣月闇から闇を放ち、アサルトライフルを消滅させると、兵士達は一目散に逃げる。

さらにクリスが大型の弓で矢を放ちバナナ型のアルカ・ノイズ3体纏めて撃ち抜く。

その爆発で建物が倒れ、少年が下敷きになりそうになるが、間一髪響が救い出した。

 

さらにカリバーは闇黒剣月闇を納刀してトリガーを押す。

 

【月闇居合!読後一閃!】

 

斬撃波を飛ばし、アルカ・ノイズの群れを斬り裂いた。

 

「我が軍が押されているだと!? こうなったら諸共に吹き飛ばしてくれる!」

 

指揮官らしき男がライオンの頭部を模した飾りを起動させる。

すると、巨大などこかで見た様な形のアルカ・ノイズが現れた。

 

「デカブツまで出すなんて!」

 

さらに地上に大量のアルカ・ノイズが出現。

 

「みんな頑張れば作戦じゃない!」

 

アルカ・ノイズは無慈悲にも解剖器官を伸ばし、施設を分解する。

すると、何やら放射能マークが描かれた化学薬品らしきものが3つ現れた。

兵士達の抵抗も虚しく次々消滅していく。

 

「手当たり次第に…!」

 

「誰でも良いのかよ!」

 

カリバーは巨大なアルカ・ノイズを見ると、キングオブアーサーを取り出して起動し、闇黒剣月闇に3回スキャンした。

 

【キングオブアーサー!】

 

【必殺リード!必殺リード!必殺リード!ジャアクアーサー!】

 

そして、クリスが放ったARTHEMIS CAPTUREと、翼が放つ炎鳥極翔斬がアルカ・ノイズを斬り裂き、

 

【月闇必殺撃!習得三閃!】

 

カリバーが振り下ろす巨大な剣型エネルギーが真っ二つに斬り裂くオーバーキルを披露した。

 

「おい!あれ!」

 

兵士が空を指さすと、上空に巨大な円盤型のアルカ・ノイズが現れた。

 

「プラントに突っ込まれたら、辺り一面汚染されちまうぞ!」

 

「何とかしないと!」

 

響は腕のギアをスライドさせてアルカ・ノイズの群れを一掃。

上空から迫るアルカ・ノイズを見上げる。すると…

 

【ブレイブドラゴン!】

 

何処からかブレイブドラゴンが響の元へやって来て、着地した。

 

「ブレイブドラゴン…!」

 

「乗れ。」

 

横にはジャアクドラゴンに乗ったカリバーがいた。

 

「はい!」

 

響はブレイブドラゴンに乗り、カリバーと共にアルカ・ノイズの元へ向かう。

そして挟み撃ちにし、カリバーがジャアクドラゴンを邪剣カリバードライバーから引き抜き、闇黒剣月闇に3回スキャンした。

 

【必殺リード!必殺リード!必殺リード!ジャアクドラゴン!】

 

響も右腕のギアの出力を最大までブーストし、ブレイブドラゴンと共に加速する。そしてプラントに突っ込むアルカ・ノイズにカリバーとジャアクドラゴンが加速する。

 

【月闇必殺撃!習得三閃!】

 

「ぶっ飛べぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

すれ違い様にカリバーの闇黒剣月闇と響の拳がアルカ・ノイズを斬り裂き、風穴を開けられ大爆発を起こした。そして2人はジャアクドラゴンとブレイブドラゴンから飛び降りて着地、2匹の竜は飛び去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてバルベルデのとある場所…

 

「閣下。念の為エスカロン空港にダミーの特別機を手配しておきました。」

 

将校らしき男が大統領に話している。

 

「無用だ。ディー・シュピネの結界が起動している以上、この地こそが一番安全なのだ。」

 

そう話すが、1番安全であると思っている所が1番危険であるという事を知らない。

 

 

 

 

 

「つまり、本当に守るべきものはここに隠されている。」

 

突然、女性の声が聞こえた。

 

「何者だ!?」

 

窓の外には、光に照らされ3人の女性が立っていた。

 

 

「主だった軍事施設を探っても見つけられなかったけど…」

 

1人は白い白衣に薄い緑のロングヘアーの女性。

 

「S.O.N.G.を誘導し、秘密の花園を見つける作戦は上手くいったワケダ」

 

1人はメガネを掛けてカエルのぬいぐるみを抱えている少女。

 

「ウフフフ…慌てふためいて自分達で案内してくれるなんて可愛い大統領♪」

 

そして1人は水色の髪に豊満な胸を持つ女性。

 

サンジェルマン、プレラーティ、カリオストロ!?」

 

「せっかくだから、最後にもう一仕事してもらうワケダね。」

 

すると、サンジェルマンが歌い出した。そしてカリオストロも歌い始めた。

 

「あの者達は?」

 

「パヴァリア光明結社が遣わしてた錬金術師…」

 

そしてプレラーティも歌い始めた。

 

「あれが異端技術の提供者達…!」

 

「同盟の証がある者には、手を貸す約定となっている! 国連軍がすぐそこまで迫っているのだ!奴等を撃退してくれ! そしてこの地に現れたカリバーを捕獲してくれ!」

 

大統領は軍服の襟にあるピンバッジを見せた。

それは、パヴァリア光明結社のマークに酷似しているものだった。

大統領は3人に国連軍の撃退とカリバー捕獲を頼んだ。

しかし、大統領の頼みを無視してサンジェルマン達は歌う。

そして歌い終わると、ピンバッジが光り出すと、将校の身体が光出す。

そして苦しみ始め、消滅した。

それだけじゃない。他の者達も苦しみ出し、光の粒子となって消滅していく。そして粒子が1つになっていく。

 

「あっ…あぁっ…!痒い!痒い!体が痒い!…でもちょっと気持ちいい…!」

 

何故か最後快楽に満ちた声を出すと大統領も消滅し、粒子は光の球と化してサンジェルマンの手の中に。

 

「73788。」

 

球を見てサンジェルマンはそう呟いた。

 

 

 

 

 

(調査部からの報告通り、このオペラハウスを中心に衛星からの捕捉が不可能だ…この結界のようものは指向性の信号波形を妨害しているのか?)

 

その頃、ノートパソコンでオペラハウスに張り巡らされたディー・シュピネの結界を調べる藤尭。

その中には拳銃を待った友里と黒服にサングラスをかけた男性達がいた。

 

(プラント制圧を陽動に潜り込んでみたらとんだ拠点のようだ…)

 

実は、プラント制圧は陽動。

もう1つの作戦としてサンジェルマン達と大統領達がいたオペラハウス制圧を行っていたのだ。

 

そしてサンジェルマン達はオペラハウスに地下へ続く階段を降りて行った。そして友里のサインを合図に突入を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、制圧したプラントはもぬけの殻となり、指揮官らしき男も姿を消していた。

 

「どうやら指揮官には、逐電されてしまった様だな…」

 

翼がいる部屋にはもう誰もいない。

 

「翼さん!この子が!」

 

響とクリスの隣には、先程響が助けた少年がいた。

 

「俺見たんだ!工場長が車で逃げていくのを!もしかしたら、この先の村に身を潜めたのかも!」

 

「君は?」

 

情報を提供した少年に翼が名前を聞く。

 

「俺はステファン。俺達は無理矢理、村からこのプラントに連れて来られたんだ。」

 

ステファンの言葉にクリスが手のひらに拳を打つ。

 

「七面倒なことになる前にとっ捕まえるなきゃな…!」

 

「なら、こんな所で油を売っている訳にはいかんな。」

 

クリスの後ろからカリバーが現れたのだ。

 

「カリバー!? 」

 

「あいつがカリバー…!初めて見た…!」

 

ステファンは生で見たカリバーに驚きを隠せないでいた。

 

「ていうかお前何しに来たんだよ?」

 

「暇潰しだ。」

 

「お前また暇潰しで来たのかよ!? 」

 

「他にする事が無いからな。どの道新たな敵が来るのは分かっていたがな。」

 

「お前普段どこで何してるんだよ!」

 

目の前で繰り広げられているカリバーとクリスの漫才に響と翼、ステファンは苦笑いをしていた。

 

「あのー…漫才してる場合じゃないんですけど…」

 

「相変わらず自由な奴だ…」

 

「カリバーって…暇人なのか…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、オペラハウスの地下にてサンジェルマン達は布が被さった結晶らしき物を見ていた。

その後ろから友里がカメラを持ってサンジェルマン達を捕捉している。

結晶の中には少女が閉じ込められていた。

息を殺し、拳銃を構える黒服のエージェント達。しかし、藤尭のパソコンからアラームが鳴り響く。

 

その後に一斉に気づいた。

 

「撤収準備!」

 

友里とエージェント達は一斉に拳銃を撃つ。

サンジェルマンは魔法陣を展開して銃弾を防ぐ。そして友里達は撤退していった。

 

「会ってすぐとはせっかちね。それならこちらも…」

 

カリオストロが手のひらから何かを出そうとするが、サンジェルマンがそれを止める。

 

「実験には丁度いい。ついでに、大統領閣下の願いも叶えましょう。」

 

サンジェルマンは手のひらから光の球を呼び出した。

 

「生贄より抽出されたエネルギーに、荒魂の概念を付与させる…」

 

すると、光球から龍の様なエネルギー体が出現。地面をぶち破り、巨大な龍が現れた。

 

「何なのアレ!?」

 

撤退中車のバックミラーに写る龍に驚く友里。

 

「本部!応答して下さい!本部!」

 

エージェントの叫びも虚しく1台の車が噛み砕かれて爆発した。

 

「友里さん!藤尭さん!」

 

指令室にエルフナインの叫びが響いた。

 

「装者は作戦行動中だ!死んでも振り切れ!」

 

「死んでも振り切れません!」

 

藤尭の叫びと共にもう1台が噛み砕かれてしまう。しかし、友里と藤尭は必死に逃げ回る。しかし、ついに龍に弾き飛ばされ車は横転してしまう。そして崖の上にはサンジェルマン達が立っていた。

 

「あなた達で73794…その命、世界革命の礎と使わせて頂きます。」

 

「革命…?」

 

友里と藤尭は車から何とか抜け出す。

 

「随分と勝手な事をしてくれるな。」

 

声のする方向を見ると、カリバーが歩いて来た。実はこのカリバーは本物のカリバーが念の為に召喚しておいた分身カリバーであり、プラント制圧の前に別行動を取らせていたのだ。

 

「カリバー…!」

 

「現れましたね…仮面ライダーカリバー…!」

 

サンジェルマンは僅かに笑みを浮かべた。すると…

 

「Seilien coffin airget-lamh tron」

 

「Various shul shagana torn」

 

「Zeios igalima raizen tron」

 

月が照らす夜空に3つの聖詠が響き渡る。

 

「歌?」

 

「何処から?」

 

「来たか…!」

 

サンジェルマン達が振り返ると、1台のトラックが龍に特攻し、爆発を起こす。龍が咆哮を上げると、ギアを纏ったマリア、調、切歌が颯爽と参上。そして今、平和の代償とも言える新たな戦いが、幕を開けたのだった。

 

そんな中、分身カリバーは心の中で呟く。

 

(いつになったら平穏に暮らせるんだ…)

 

 

 




いかがだったでしょうか?第4章を本格的にスタートします。まず今回どうしてもやりたい事として最初の制圧作戦は分身カリバー軍団で蹂躙させるという物でした。読者の皆さんは納得してもらえないかもしれません。それについて申し訳ありません。次回もどうしてもやりたい事が1つあります。

ヒントは害鳥野郎のアレを使います。第2話を展開を知っている人なら大体予想がつくかもしれません。今回はここまでです。感想お待ちしています。
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