【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

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ファルシオン復活と聞いてスペック確認したらめちゃ強くて驚きました…!そりゃクリムゾンドラゴンも負ける…でもこの小説の時はまだスペックが分からなかったのでもう少し強く書いた方が良かったかなぁと思ってます。





第59話 魔剣を砕く、賢者の装束。

『お母さんを助けて下さい!ずっと熱が下がらなくて凄く苦しそうで…お願いです助けて!お父さん!』

 

父と呼ぶ人物に病に倒れる母を助けてと願う。1人の少女…しかし、奴隷と蔑まれ殴られる少女。食料が手に入らなかった事を母に詫びる少女。しかし、すでに母は…

 

 

 

 

 

 

 

そして現在。あの少女は、幼少期のサンジェルマンだった。研究室の中の彼女の目の前にあるのは、ハートの形をした3つの石。

 

ラピス…錬金の技術は、支配に満ちた世の傍を正すために…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「退屈ったら退屈〜!いい加減アダムが来てくれないと〜あたし退屈に縊り殺されちゃうかも〜!かもかも〜!」

 

場所は変わり都内某所のホテルにて、アダムが来ない事を不満に言いながら「快傑☆うたずきん!」の単行本を読むティキをプレラーティが紅茶を飲みながら見つめていた。

 

「ねぇ、サンジェルマンは?」

 

窓から外を眺めていたカリオストロがプレラーティに聞く。

 

「私達のファウストローブの最終調整中なワケダ。踊るキャロルのお陰で、随分と捗らせてもらったワケダ。」

 

プレラーティが話している途中にカリオストロは部屋を後にしようとする。

 

「どこに行こうとしているワケダ?」

 

「もしかしてもしかしたら、まさかの抜け駆け?」

 

「ファウストローブ完成まで待機出来ないワケダ…」

 

「ローブ越しってのがもどかしいのね。カリバーとあの子達は直接触れて組み敷きたいの。」

 

「直接触れたいって…まるで恋の様な執心じゃない!あぁ〜ん!あたしもアダムに触れてみたい!むしろさんざっはら触れ倒されたいッ!」

 

カリオストロの発言に興奮したティキはベッドに大の字になって寝転がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、長野県松代市にて、人々が溢れる中装甲車が一列となって走っていく。乗っているのは弦十郎を始め装者達S.O.N.G.の一員だ。

 

「先の大戦末期、旧陸軍が大本営移設の為に選んだここ松代には、特異災害対策機動部の前身となる非公開組織、風鳴機関の本部も置かれていたのだ。」

 

「風鳴機関…」

 

「資源や物資の乏しい日本の戦局を覆すべく、早くから聖遺物の研究が行われてきたと言われている。」

 

響にとっても初めて二課に来た時に聞かされた組織。その本部がかつて置かれていたここ松代。響達は翼とマリアがバルベルデから持ち帰った機密資料を解読するために来たのだ。

 

「それが天羽々斬と、同盟国ドイツからもたらされたネフシュタンやイチイバル…そしてガングニール…」

 

翼の言葉にハッとするマリア、調、切歌。そしめ装甲車は聳え立つ山に設置されたゲートを通る。

 

「バルベルデで入手した資料は、かつてドイツ軍が採用した方式で暗号化されていました。その為、ここに備わっている解読機にかける必要が出て来たのです。」

 

「暗号解読機の使用にあたり、最高レベルの警備体制を周辺に仕組むのは理解出来ます。ですが、退去命令でこの地に暮らす人々に無理を強いるというのは…」

 

翼が解せないのは、この地に暮らす人々を退去命令で遠ざけるというものだ。その事に弦十郎が口を開く。

 

「護るべきは人ではなく…」

 

「人ではなく…?」

 

「…少なくとも「鎌倉」の意志はそういう事らしい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、資料は大型の暗号解読機によってかけられ、研究員達が解読に向けてきびきび動いている。

 

「難度の高い複雑な暗号だ。その解析にはそれなりの時間を要するだろう。翼。」

 

「ブリーフィング後、雪音、立花を伴って周辺地区に待機、警戒任務に当ります。」

 

「あの、私達は何をすれば?」

 

調が弦十郎に問いかける。LiNKERが無い以上マリア達はギアを纏って長時間戦う事が出来ない。しかし、何もしない訳にまでにもいかないのだ。そこで弦十郎はある事を頼んだ。それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「9時方向異常無し。」

 

「12時方向も異常…あぁぁぁぁぁーっ!」

 

人里離れた場所を歩くマリア、調、切歌。突如、双眼鏡で遠くを見ていた切歌が声を上げる。

 

「あそこにいるデス!252!レッツラゴーデス!」

 

切歌が指差す方向にはトマト畑と、かかしだ。一心不乱に駆け出す切歌。

 

「真似してみたいのは分かるけど切ちゃん、それは…」

 

「早くここから離れ…怖っ!人じゃないデスよ!」

 

「最近のかかしはよく出来てるから…」

 

かかしに驚く切歌。どうやらかかしを人だと勘違いしていた様だ。そんな切歌に呆れながらも彼女の元へ行く調。

 

「LiNKERの補助が無い私達に出来る仕事はこのくらい…」

 

「今は住民が残ってないか全力で見回るのデス!」

 

弦十郎がマリア達に頼んだのは残っている住民がいないのか見回りだったのだ。

 

「でも、力みすぎて空回りしてるわよ?」

 

「正直…何かやってないと焦ってわちゃわちゃするデスよ……」

 

「うん…」

 

「にゃっ!にゃっ!よーし!任務再開するデス!」

 

切歌は頬を手で叩き任務を再開するべく駆け出す。しかし、その直後にトマト畑から人が出てくる事に気づかなかった。

 

「!」

 

「切ちゃん!後ろ!」

 

調が注意するも間に合わずぶつかってしまった。地面にトマトが転がる。そこへマリアが駆け寄る。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「ごめんなさいデス!」

 

慌ててぶつかった事を謝罪する切歌。

 

「いやいや、こっちこそすまないね。」

 

飛び出して来たのは、トマト農家の女性だった。

 

「政府からの退去指示が出ています。急いでここを離れて下さい。」

 

「はいはいそうじゃねぇ。けど、トマトが最後の収穫の時期を迎えててね。」

 

「美味しそうデス!」

 

マリアが女性に避難する様に呼びかける。どうやらこの時期はトマトが収穫の時期を迎えていたらしい。真っ赤に熟れたトマトを見て嬉々とした表情を見せる調と切歌。

 

「美味しいよ。食べてごらん。」

 

「美味しいデス!調も食べるデスよ!」

 

女性に言われてトマトを丸齧りする切歌。甘く美味しいトマトに舌鼓を打つ切歌。調も一口食べて見ると、口の中に甘い風味が広がる。

 

「ホントだ!近所のスーパーとのは違う!」

 

「そうじゃろう?丹誠込めて育てたトマトじゃからのう。」

 

お互いに微笑み合う調と切歌。農家の女性も誇らしげだ。

 

「あ、あのねお母さん…」

 

「きゃは〜ん♪」

 

すると、どこからか色っぽい女性の声が聞こえる。現れたのはカリオストロだ。

 

「見〜つけた!」

 

「あらら。じゃない方。色々残念な三色団子ちゃん達か。」

 

カリオストロは目当ての響、翼、クリスの3人ではなくマリア、調、切歌達を三色団子と小馬鹿にする。

 

「三ッ!?」

 

「色ッ!?」

 

「団子とはどういう事デスか!?」

 

憤慨する3人。三色団子とは、3人のギアの色から取ったものだろう。

 

「見た感じよ。怒った? でも、がっかり団子三姉妹を相手にしてもねぇ…それとも、ギアを纏えるのかしら?」

 

「そんなに言うのなら!」

 

「目に物見せてやるデスよ!」

 

カリオストロの挑発に調と切歌はペンダントを取り出して構えた。それを見て不敵に笑うカリオストロ。

 

「挑発に乗らない! 今日は私達のやる事を全力でやるんでしょ!」

 

マリアが調と切歌に叫ぶ。マリアの目を見て調と切歌は踏みとどまった。

 

「やっぱりLiNKER(お薬)を使い切って戦えないのね。それならそれで、邪悪な竜が現れ信号機が点滅前に…片付けてあげちゃう!」

 

カリオストロは結晶を空高く投げアルカ・ノイズの群れを召喚した。その頃、松代に偶然来ていた隼人が喫茶店で自身のリングノートを開き古文書を読んでいると、ガトライクフォンでアルカ・ノイズの反応を検知していた。

 

「奴等か…!」

 

すぐ様古文書とノートをカバンに詰め込み支払いを済ませて向かう。同時に風鳴機関本部でも反応を検知していた。

 

 

「アルカ・ノイズの反応を検知!」

 

藤尭の言葉に表示を険しくする弦十郎。もう嗅ぎ付けられたかと言わんばかりだ。

 

「出現ポイント、S-16!数およそ50!」

 

「了解です!すぐに向かい「あたしに任せなッ!」

 

響の応答を遮ったのはクリスだ。偶然彼女がいた場所から、マリア達がいる場所に近いのだ。駆け出し、ジャンプするクリス。そして…

 

「Killter Ichaival tron」

 

聖詠を唱えギアを纏うクリス。召喚したミサイルに飛び乗りサーフィンで向かっていった。その頃マリア達は農家の女性を背負ってアルカ・ノイズの群れから逃げていた。

 

「マリア!もっと急ぐデス!こんな奴らに背中を見せるなんて…!」

 

本当は戦いたい。でもそれが出来ない。今出来る事はこの女性を安全な場所に避難させる事だ。すると…

 

【ライオン戦記!】

 

突如、前方からライオンセンキに乗ったカリバーが現れ、アルカ・ノイズを蹴散らす。

 

「カリバー!?」

 

「何デスかソイツは!?」

 

「青いライオン…!?」

 

「乗れ。」

 

突如現れたライオンセンキに驚く3人。カリバーはライオンセンキから降り、マリア達にライオンセンキに乗る様言う。さらに上空からクリスが縦横無尽に飛び放った矢が降り注ぎアルカ・ノイズを粉微塵にする。

 

「助かったデス!憧れるデス!」

 

「後はお願い!」

 

「早く乗れ!」

 

はしゃぐ切歌とクリスを見るマリアと調に対して早くライオンセンキに乗れと言うカリバー。

 

「行きましょう!」

 

カリバーに言われてマリア達と農家の女性を乗せたライオンセンキは現場から離脱していった。そしてカリバーも闇黒剣月闇を手にアルカ・ノイズを斬り裂く。

 

 

 

風鳴機関の指令室でもカリバーとクリスの光線状況が映し出され、弦十郎、友里、藤尭、エルフナインがモニターで見ていた。

 

「クリスちゃん現着!」

 

「そのまま交戦状態へ移行!カリバーも出現しました!」

 

「錬金術師は破格の脅威だ!まずは翼達の到着を待って──」

 

「そうも、言ってられなさそうだ!」

 

現在の状況は、クリスに向けてカリオストロがミサイルをクリス事撃墜しようと光弾を放っている。クリスも負けじとクロスボウから矢を放つ。

 

「会いたかったわッ!あぁ、もう巡る女性ホロモンが煮え滾りそうよッ!」

 

そこへカリバーが斬りかかる。

 

「あら、邪悪な竜も来たわねッ!」

 

カリバーの相手をしながら2人に光弾を放つカリオストロと、闇黒剣月闇で光弾を弾くカリバーと矢を放ち相殺するクリス。

その中カリオストロが放った光弾がミサイルを撃墜、爆発を起こした。そしてまずは着地したクリスに向けて魔法陣を展開して光線を放つ。

後ろに移動しながら避けるクリスの周辺に炸裂し土煙が立ち込める。するとクリスはアームドギアを変形させ、ARTHEMIS SPIRALを放とうとする。

 

「焦って大技…その隙が…」

 

カリオストロはクリスに隙が出来たと判断。素早く目の前に接近。攻撃を仕掛けようとするが…

 

「命とあぁっ!?」

 

突如、横からカリオストロの脇腹に蹴りが命中し、クリスから引き剥がされる。カリオストロを蹴り飛ばしたのは、カリバーだ。

 

「う……嘘……っ!?」

 

「こういう言葉を知っているか? 油断大敵と。」

 

「えぇ!?」

 

カリバーの言葉と共にカリオストロのすぐ後ろには響が待ち構えていた。

 

「せやぁぁぁッ!」

 

カリオストロの腹に響の一撃が炸裂。吹っ飛ばされた所に追い討ちをかけてカリバーがさらに蹴りを浴びせ吹っ飛ばす。

 

「内なる三合、外三合より頸を発すッ!これなる拳は六合大槍ッ!映画は何でも教えてくれる!」

 

(な、何を言ってるんだアイツ…まさか、アクション映画を見て武術を身につけたんじゃ…)

 

響の映画の様な格言を聞いてカリバーは響は絶対アクション映画の戦闘シーンを見て武術を身につけたと予想した。

ちなみに香港映画などのNGシーンは危険だから絶対に真似するなの意味があるのだ。立ち上がったカリオストロの背後に何か壁の様な物がある。

 

「壁?」

 

いや、壁では無い。その上に立つのはアームドギアを巨大な剣に変形した翼だ。

 

「壁呼ばわりとは不躾な。剣だ!」

 

「邪悪な竜が現れ信号機共がチカチカと…!」

 

カリバーがカリオストロに向けて闇黒剣月闇を向ける。

 

「四面楚歌とはまさにこの事だな。」

 

すると、カリオストロにサンジェルマンがテレパシーで呼びかける。

 

(私の指示を無視して遊ぶのはここまでよ。)

 

サンジェルマンの言葉を聞いて舌打ちをするカリオストロ。状況的には彼女が不利だ。今はこんな所と判断したカリオストロはテレポートジェムを落とした。

 

「次の舞踏会は、新調したおべべで参加するわ。楽しみにしてなさい。バーイ!」

 

そのままカリオストロは姿を消した。

 

「おのれ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方、自衛隊が守備する避難所になっている小学校の体育館で農家の女性とマリア、調、切歌がいた。

 

「ありがとね。」

 

「いえ。」

 

「お水貰ってくるデス!」

 

「待って切ちゃん!私も!」

 

自衛隊から水を貰いに走っていく調と切歌を後ろから見つめるマリアと女性。

 

「元気じゃのう。」

 

「お母さん。お怪我はありませんか?」

 

「大丈夫じゃよ。むしろあんたらの方が疲れたじゃろうに。わしがグズグズしていたせいで迷惑をかけてしまったねぇ…」

 

農家の女性は迷惑をかけてしまったと言うが、マリアは逆に顔を暗くする。

 

「いえ…私達に守る力があれば…お母さんをこんな目には…」

 

LiNKERさえあれば私達も戦えていた。カリバーや響達が戦っている中自分達だけ何も出来ない。無力感がマリアの中に芽生えつつあった。

 

「そうじゃ。せっかくだから、このトマトあんたも食べておくれ。」

 

トマトを1つ籠から取り出しマリアに差し出す。

 

「わ、私…トマトはあんまり…」

 

実はマリア、トマトが苦手なのだ。しかし女性の微笑む中断る訳にはいかない。受け取って一口食べる。すると…

 

「甘い…!フルーツみたい!」

 

マリアは驚いた。口の中に広がる甘さ。これが自分の苦手なトマトとは思えない。まるでフルーツだ。

 

「トマトを美味しくするコツは、厳しい環境に置いてあげる事。ギリギリまで水を与えずにおくと、自然と甘みを蓄えてくるもんじゃよ。」

 

「……厳しさに、枯れたりしないんですか?」

 

そんな事をすれば枯れてしまうはず。しかし何故こんなにも甘くて美味しいのか疑問に思うと、思いもよらない答えが返ってきた。

 

「むしろ甘やかしすぎるとダメになってしまう。大いなる実りは、厳しさを耐えた先にこそじゃよ。」

 

「厳しさを耐えた先にこそ……」

 

そんなマリアを見つめる農家の女性。

 

「トマトも人間も、きっと同じじゃ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、本部では未だに暗号の解析が進んでおらず、難航していた。

 

「解析は難航していますね。」

 

「司令。鎌倉から入電です。」

 

友里が鎌倉から風鳴機関への入電を報告する。

 

「直接来たか…!繋いでくれ。」

 

「…はい。出します。」

 

顔を険しくする弦十郎にエルフナインは疑問に満ちた表情を浮かべる。そして友里によってモニターに背を向ける長い白髪の男性の姿が映し出された。

 

「無様な…閉鎖区域の侵入を許すばかりか、仕留め損なうとは…」

 

「いずれもこちらの詰めの甘さ。申し開きでは出来ません。」

 

男性に対して謝罪をする弦十郎。

 

「機関本部の使用は、国連への貸しを作るための特措だ。だが、その為に国土安全保障の要を危険に晒すなどまかりならん…!」

 

「無論です。」

 

「これ以上夷狄に、八州を踏み荒らさせるな。その為にも宵闇の剣士を物としろ。」

 

最後に言い放つと通信を切った。実は背を向けるこの老齢の男性こそ、翼の祖父であり弦十郎の父親である風鳴訃堂だ。

 

「流石にお冠だったな…」

 

「それにしても司令…ここ、松代まで追ってきた敵の狙いは一体…」

 

「狙いは、バルベルデドキュメント、またはカリバーの持つ本と闇黒剣月闇。装者との決着、あるいは─」

 

パヴァリア光明結社の狙いは一体。カリバーの持つ闇黒剣月闇とワンダーライドブック、バルベルデから持ち帰った資料か、装者との決着か。それとも…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「友里さん。あったかい物どうぞ。」 

 

「デース!」

 

その夜、装甲車の指令室にて中でキーボードに指を走らせる友里に調がコーヒーを差し出す。

 

「あったかい物どうも。何だかいつもとあべこべね。」

 

「あなたにも。」

 

マリアがエルフナインにもコーヒーを差し出す。

 

「ありがとうございます。」

 

「調べもの、順調かしら?」

 

マリアがモニターを見ると、そこに映っていた物は少女達のデータや顔写真。

 

「これ…もしかして…」

 

「はい。少しでも早くLiNKERの完成が求められている今、必要だと思って…」

 

それは、マリア、調、切歌が忘れたくても絶対に忘れられない思い出だ。

 

「私達の忌まわしい思い出ね。フィーネの器と認定されなかったばかりに…適合係数の上昇実験にあてがわれた孤児達の記録…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『うああああぁぁぁッ!』

 

かつてガングニールを纏っていたマリア。その実験にて全身に紫電が走りもがき苦しみ、膝を突き倒れギアが解除させる。その様子を亡きナスターシャが見ていた。

 

『無理よ…マム…!やっぱり私は…セレナみたいになれやしない…!』

 

『マリア。ここで諦めるのは許されません。悪を背負い悪を貫くと決めたあなたは苦しくとも、耐えなければならないのです。』

 

かつてフロンティア事変に起きて世界にフィーネを名乗り革命を起こすまで彼女はひたすらガングニールをものにしようとした過去。忘れるなんて出来やしない。

 

(マム…)

 

その時、指令室にアラームが響き渡る。

 

「多数のアルカ・ノイズ反応!場所は、松代第三小学校付近から風鳴機関本部に侵攻中!」

 

「トマトおばあちゃんを連れて行った場所デス!」

 

そう。農家の女性を避難させたあの場所だ。

 

「マリア!」

 

「えぇ!」

 

すかさず指令室を飛び出していく3人。

 

「いけません!皆さんにはLiNKERがありません!」

 

エルフナインの言う通り、LiNKERが無い今マリア達は長時間戦えない。そこへ弦十郎が戻って来る。

 

「どこへ行く?」

 

「敵は翼達に任せるわ。私達は民間人の避難誘導を。」

 

「分かった。無茶はするなよ。」

 

弦十郎は弦十郎は承諾し、マリア達は避難誘導へと向かって行った。そして響達の目の前にはアルカ・ノイズの群れがそこへカリバーもブックゲートを使ってやって来た。

 

「これだけの数…!」

 

「先に行かせてたまるかよ!」

 

「猶予は無い。刹那に薙ぎ払うぞ!」

 

「「了解!」」

 

(何だ…嫌な予感がする…杞憂であればいいんだけどな…)

 

しかし、このカリバーの杞憂が後に現実の元となるとはまだ誰も思っていなかった。そして…

 

「イグナイトモジュール!」

 

「「「抜剣!」」」

 

3人はペンダントマイクを起動して掲げた。

 

【Dáinsleif.】

 

3人のギアが黒く変色、鋭利に変化しイグナイト形態へ移行したそこから4人は止まらない。塵芥の如くアルカ・ノイズを蹴散らしていく。

 

「抜剣、待ってました♪」

 

「流石イグナイト…すごいワケダ。」

 

「そうね。だからこそこの手には、赤く輝く勝機がある。」

 

月を後ろにサンジェルマンは拳銃、プレラーティはけん玉、カリオストロは指輪を出す。それぞれ赤いハート型の石が埋め込まれている。それを見た翼は空高く飛び上がり炎鳥極翔斬を放つ。

 

「推して参るは風鳴る翼ッ!この羽撃きは何人なりとも止められまいッ!」

 

サンジェルマン達は赤黒いバリアを張り受け止める。その時、思いもよらない事が起きる。

 

「うっ…ぐっ…!? ギアが!?」

 

「何が起きている!?」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

そして大きく吹き飛ばされる翼。叩きつけられて時にはイグナイト形態は強制的に解除されていた。

 

「翼さん!」

 

「イグナイトが解除されただと…!?……っあれを見ろ!」

 

「まさか…ファウストローブ…!」

 

カリバーの見る方向には月を後ろにファウストローブを纏うサンジェルマン達が立っていたのだ。プレラーティらワインレッドを基調とし、カリオストロは水着の様な、そしてサンジェルマンは騎士の様な見た目だ。

 

「よくも先輩を!」

 

怒ったクリスは3人にMEGA DETH PARTYを放つ。しかし、プレラーティが持っていたけん玉を巨大化させ光を放ちミサイルを全て防いだのだ。そこへカリオストロが光線を放つ。クリスはイチイバルのリフレクターで防ぐも、イグナイトが強制解除され吹き飛ばされる。

 

「クリスちゃん!」

 

カリバーと響の元にサンジェルマンがやって来る。2人に向けて拳銃を発砲する。

2人は避けるが、光球は響の背後で静止し、爆発を起こす。気がつけば響もイグナイト形態が解除される。

そしてカリバーにもカリオストロが放った光線が放たれるが腕で防ぐ。しかしその時、カリバーの身体から稲妻が走り出す。

 

「ぐぅぅぅぅぅぅ…!」

 

(頭の奥に…!痛みが走る…!何だこれは…!?まるで…全身が焼ける様だ…!)

 

カリバーは仮面の中で痛みに顔を歪ませる。変身こそは解除されないものの、強烈な頭痛が走り全身が熱くなり激痛が走る。そして膝を突く。身体に稲妻が走る。何なんだこれは。一体何が起きているのか全く分からなかった。

 

「カリバーさん…!?」

 

「カリバーでもダメなのか…!?」

 

「闇黒剣月闇の力でも…!?」

 

これまで苦戦らしい苦戦をした事が無いカリバーが苦しんでいる光景に響達は驚きを隠せなかった。

 

「何故…イグナイトが…!?」

 

この光景にエルフナインは呆然としていた。何故イグナイトがこんなあっさりと敗れたのか全く分からなかった。

 

ラピス・フィソロカスのファウストローブ…錬金技術の秘奥、賢者の石と、人は言う…」

 

「その錬成にはチフォージュ・シャトーにて解析した世界構造のデータを利用……もとい応用させてもらったワケダ。」

 

つまりキャロルが作った世界分解の力を利用してこのファウストローブを作り出したと言う訳だ。

 

「あなた達がその力で、誰かを苦しめると言うのなら、私は…」

 

「誰かを苦しめる? 盧外な。積年の大願は人類の解放。支配の軛から解き放つ事に他ならない。」

 

「人類の解放…?だったら、ちゃんと理由を聞かせてよ…それが誰かの為ならば、私達きっと、手を取り合える…」

 

「手を取り合う…?」

 

響の手を取り合えるという発言にサンジェルマンは何故敵と手を取り合う必要があるのかと疑問に思った。すると…

 

「何が人類の解放だ…!」

 

サンジェルマンがそう言うと、カリバーが身体に紫電を走らせながら怒りを震わせ立ち上がる。

 

「そんなくだらない事の為に大勢の人間を殺すのか…! 貴様等の様な身勝手な正義を振りかざし、悪意を垂れ流す奴等にこの世界を好きにはさせん…!!」

 

カリバーはふらつきながらもサンジェルマン達に闇黒剣月闇を向ける。またしても身勝手な正義を持つ者達。これ以上この世界を滅茶苦茶にさせる訳にはいかない。故に倒すと決めた。

 

「闇黒剣月闇は邪悪な闇を生み出す邪剣であり不浄の力…」

 

「故にラピスの力は効果抜群なワケダ。」

 

「さ、このままカリバー倒して、闇黒剣月闇と本をゲットよ♪」

 

サンジェルマンが拳銃を発砲、カリオストロとプレラーティがカリバーに向けて光線を放つ。その時、隼人の部屋にあった禁書が突如消えた。そして爆発が起こる。

 

「カリバーさんッ!!」

 

「カリバーッ!!」

 

「勝負ありね♪」

 

「いや、まだよ。」

 

響と翼が叫ぶ。カリオストロは決まったと思うがサンジェルマンは何か起きたと悟った。それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………っ!?」

 

(禁書…!? 何故ここに!?)

 

何と、あの禁書がサンジェルマン達の攻撃を防いだのだ。カリバーは驚いた。しかし、部屋に置いてあった禁書が何故ここにあるのか全く分からない。何故本が攻撃を防いだのか。それは勿論響達やサンジェルマン達もだ。

 

「本…?」

 

「何だ…?あの本は…?」

 

すると、勝手に表紙が開き、そこから骨の手が伸びサンジェルマン達を攻撃。3人は一旦距離を取る。さらに思いもよらない事が起こる。突如カリバーの手に収まりページが開き文字が浮かび上がった。

 

「!?っぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァァッ!!」

 

全身に骨が巻きつき身体に稲妻が、激痛が走る。カリバーの絶叫が響き渡る。

その光景は響達もサンジェルマン達も一体何が起こってるんだという表情を浮かべる。そして禁書は禍々しいオーラを放ち、ワンダーライドブックへと変化した。

 

【プリミティブドラゴン!】

 

ジャオウドラゴンと同じく大きく分厚い。表紙には骨の竜が描かれている。

 

「プリミティブドラゴン…?」

 

サンジェルマンが疑問の声と共に呟いた。

 

「ア………ガァァ………!グゥゥゥゥ…!!」

 

唸り声と共に立ち上がり、カリバーが顔を上げると仮面のスリットが青黒く光る。

 

「…………?」

 

「何何?」

 

「何が起きたワケダ?」

 

カリバーは立ち上がり闇黒剣月闇を地面に刺すと、プリミティブドラゴンの表紙を開いた。

 

【プリミティブドラゴン!】

 

表紙を開くと重々しい音と骨が砕ける様な音が流れ始めた。カリバーはプリミティブドラゴンのスロットに引き抜いたジャアクドラゴンを装填する。

 

【ジャアクドラゴン!】

 

【ゲット!】

 

そしてカリバーは闇黒剣月闇の刀身を掴んで持ち、プリミティブドラゴンをスキャンした。

 

【ジャアクリード!】

 

荘厳な待機音が流れる中、そのままプリミティブドラゴンを邪剣カリバードライバーにセットする。

すると、その待機音を掻き消すサイバー調の軽快さと禍々しさを醸し出す待機音が流れ出す。

カリバーの背後にジャアクドラゴンが装填されたプリミティブドラゴンが降りて来た。そして中から頭と腕だけの神獣プリミティブドラゴンが現れる。

 

「カ、カリバーさん…?」

 

「何が起きている…?」

 

「おい…どうしたんだよ…!?」

 

彼の身に一体何が起きているのか、全く分からなかった。響達の声も無視して首を鳴らしながら闇黒剣月闇で邪剣カリバードライバーのボタンを押した。

 

【闇黒剣月闇!】

 

グリップエンドでボタンを押したと同時にプリミティブハンドがジャアクドラゴンを押さえた。

 

【バキッ!ボキッ!ボーン!

 ガキッ!ゴキッ!ボーン!

  プリミティブドラゴン!】

 

闇のオーラがカリバーの身体から溢れさらにプリミティブドラゴンが両腕が身体を包み込みそのまま装甲となり姿を変えた。

黒い身体と青白い骨の様な装甲に右肩にはプリミティブドラゴンの頭、左肩と身体にはジャアクドラゴンの表紙。

顔は左右対象だが赤い複眼が剥き出しとなり涙を流している様に見え、そして口元には剥き出しの牙。

元のカリバーの面影はほぼない。あるとしたなら頭部のソードクラウンと邪剣カリバードライバーと闇黒剣月闇。

 

そして変身完了の衝撃波でサンジェルマン達が怯む。

 

「グゥゥゥゥゥゥ……グオオオアアアァァァァァァァァァァァ!!」

 

月が浮かぶ宵闇の空にカリバーの咆哮が響き渡る。今ここに、禁断の書より現れし原始の竜の力を宿した蒼闇の骸骨竜…

 

仮面ライダーカリバー プリミティブドラゴンが誕生したのだった。

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?少し早いですがプリミティブドラゴンの登場です。カリバーのプリミティブドラゴンはセイバーと比べて少しアレンジしてあります。玩具ではジャイアントモンスターという音声でしたが今回は「ジャアクリード!」だけにしています。後はラピスに対抗出来る理屈ですね。1つはプリミティブドラゴンが不完全な為不浄なのかどうか判別出来ない、2つは純粋な力として形になっているか。今回カリバーへのラピス効果は変身は解除されないものの、頭に強烈な頭痛が起き、不浄を燃やす力の通り全身が燃える様に身体が熱くなり激痛が走るというものにしてみました。

この時はジャアクドラゴンになっている時ですが、ジャオウドラゴンならどうしようかと思ってます。ジャオウドラゴンなら賢者の石に対抗出来ますかね? 相手の攻撃を極小側に抑える力があるので。後はいよいよ次回…!


そして来週のセイバーにファルシオンが登場!これで無銘剣虚無の力が分かるのでいよいよ使わせる事が出来ます!どんな力を持っているのか…


今回はここまでです。感想お待ちしています。

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