【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

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前回のお話でプリミティブドラゴンの反響がジャオウドラゴン登場と同じくらいでビックリしました。少し早いですが、今回遂に…
後、神の力はガングニールしか倒せないらしいですが、カリバーが対抗するにはどうしようか迷ってます。マシマシは出すのは前提で読者の皆様に怒られる覚悟でオムニフォースを…何気にソロモンの色合いはゲムデウスクロノスを連想させますね。




第60話 荒れ狂う、蒼闇の竜骨。

パヴァリア光明結社の錬金術師達のラピス・フィソロカスのファウストローブの力でイグナイトが強制解除され、装者達は叩きのめされカリバーも地に膝を付く。そんな中禁書の力によってカリバーはプリミティブドラゴンへと姿を変えた。 

 

「グゥゥゥゥゥゥゥ……!!」

 

 

「カ、カリバーさん…!?」

 

「何だあの姿は…!?」

 

「プリミティブ…ドラゴン…?」

 

 

 

 

「カリバーの姿が変化しました!」

 

「司令!これは…!」

 

「カリバーの第3の姿…だと!?」

 

腰を落とし獣の様な唸り声を出しサンジェルマン達を睨み付けるカリバー。今にも飛び掛からんとしている。彼のその姿に響達も、サンジェルマン達も、指令室の弦十郎、友里、藤尭、エルフナインも驚いている。

 

「プリミティブドラゴン…原初の竜…どういう事?」

 

「宵闇の剣士がケダモノに成り下がったワケダ。」

 

「どんな姿になろうともラピスの前では無力─「グォォォォォォァァァァァ!!」

 

雄叫びを上げながら一心不乱にサンジェルマン達に突っ込んでいく。あわててカリオストロが光弾を撃つが、身体に直撃してもお構い無しに突っ込むカリバーの姿に怯む。

そこへプレラーディが立ち塞がり剣玉を横へスイングして弾き飛ばそうとするが、それをしゃがんで避け、プレラーティの身体に自身のソードクラウンで掬い上げる様に斬り裂き、更に刀身を掴んで持つ闇黒剣月闇で斬撃を浴びせる。

 

「ぐぅぅぅッ!!」

 

「グガァァァァァァァァァァッ!!!」

 

怯んで飛ばされたプレラーティが苦痛の声を出す。するとカリバーの背中に光弾が当たる。カリオストロだ。

すぐ様振り返り跳躍して飛び掛かり捕まえると、腹這いになって左手で首を絞めて闇黒剣月闇のグリップエンドで怒りや悲しみとも取れる咆哮を上げながら何度も殴り付け、更に投げ飛ばし地面に叩きつけた。

 

「ああぁぁぁッ!!」

 

「カリオストロッ!」

 

サンジェルマンはカリオストロが投げ飛ばされるのを見て、カリバーを睨み付ける。そして自身の拳銃を剣へ変形させようとすると、カリバーから巨大な伸びる骨の手ボイドタロンがサンジェルマンを捕らえる。

 

「何!?」

 

そして自身に引き寄せ、腕で掴むとコンクリートに引き摺り回し、浮かび上がった所に連続で荒々しい蹴りや斬撃を連続で浴びせる。

不意打ちを浴びせようとしたプレラーティをボイドタロンで捕らえ、サンジェルマンとカリオストロが一箇所に集まる様に投げ付けた。

その本能のまま動く野生的で狂気的な戦闘スタイルに響達は勿論指令室の弦十郎達も戦慄していた。

 

「カリバー…錬金術師達を圧倒しています!」

 

「司令…!これはかつて響ちゃんの様な…!」

 

「暴走…だと…!?」

 

「破壊本能が高められて、暴走していると思います!恐らく原因はあのワンダーライドブックです!」

 

 

 

 

「カリバーさん…!?どうしちゃったの…!?」

 

「分からない…だが言えるのはあれは…まるで立花が暴走した時と似ている…!」

 

「イグナイトを制御出来なかったマリアみてぇだ…!いや、それ以上か…!? 闇黒剣月闇の持ち方が普通じゃねぇ…!」

 

疲労しながらも響達はカリバーの様子がかつて暴走した響やマリアと同じかそれ以上のものと判断していた。その1つに闇黒剣月闇の刀身を掴んでいる事だ。明らかに普通じゃない。

 

「ヴァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

カリバーは雄叫びを上げプリミティブドラゴンのページを闇黒剣月闇のグリップエンドで押した。

 

【グラップ必殺読破!】

 

更に邪剣カリバードライバーのボタンを押す。

 

【クラッシュ必殺斬り!】

 

伸ばしたボイドタロンで3人を纏めて拘束して引き寄せ、闇黒剣月闇を逆手に持ち替えて竜の爪を思わせる3つの斬撃でサンジェルマン達を斬り裂いた。

 

「「「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」」」

 

サンジェルマン達は響達の方へ大きく吹き飛ばされ、地面を転がる。身体に稲妻が走り、顔を歪める。響達は驚きを隠せなかった。

イグナイトを寄せ付けないファウストローブを纏うサンジェルマン達をここまで追い詰めるとは。そして、一歩、また一歩と近づく。その時…

 

「グゥゥッ…!? ガ…グォォ…!! ガァァァァ…!!」

 

【グッバイ!】

 

突如カリバーが苦しみ出し、身体に稲妻が走る。そして膝から崩れ落ち…変身が解け、地面に伏す。

そして唸り声を上げながら落とした闇黒剣月闇を掴み、身体をゆっくり起こす。息を荒げ、闇黒剣月闇を支えに膝を立てて身体を起こし、顔を上げる。

 

「カ、カリバーさ……ッ!!」

 

「ッ!!」

 

「あいつが…!!」

 

響達は驚愕の表情を浮かべた。そう。彼女達の目線には、顔は汗だく、疲労し切った表情を全面に出した隼人の顔が見えているのだ。

とうとうその素顔を、響達と敵に明らかにしたのだ。

 

 

「あ、あれは…!」

 

「し、司令!これを!」

 

「そんな…!まさか!」

 

「あの青年が、カリバー…!?」

 

カリバーの素顔は勿論指令室にも映し出されていた。今まで声色と口調で4、50代の男性と予想していたカリバーの正体がまさか20代の青年だとは思わなかったからだ。

 

(あの人…海で会った人だ…!)

 

響は筑波の海に行った時に釣り人姿の隼人の顔を覚えていた。まさかあの釣り人がカリバーだとは思ってもいなかったからだ。

 

「あれが宵闇の剣士の素顔…」

 

「サンジェルマン! この隙に…っ!?」

 

カリオストロがこの隙に闇黒剣月闇を奪おうと言おうとしたその時、突如、オレンジ色の光が暗闇を照らし出す。カリオストロの目の先には光球が空に浮かんでいた。

 

「あの光!」

 

その頃、ホテルで「快傑☆うたずきん!」を読んでいたティキが何かを察知していた。

 

「ドキドキがやって来る!」

 

 

 

 

そして、宵闇の空に手のひらから光球を出す白い帽子に白いスーツを着た男性が浮かんでいる。この男こそ、パヴァリア光明結社を率いる統制局長…アダム・ヴァイスハウプトだ。

 

 

 

「降臨、満を持して…」

 

アダムの姿を見てサンジェルマンか睨みつける。

 

「統制局長アダム・ヴァイスハウプト…!どうしてここに!?」

 

アダムは帽子を脱ぎ捨て、不敵に笑うと手のひらの光球が大きくなり彼の服が燃え、全裸となった。

 

「何を見せてくれるワケダ!?」

 

突然全裸になったアダムが一体何をしでかそうとするのかプレラーティも予想がつかない。

 

「金を錬成するんだ。決まってるだろう。錬金術師だからね。僕達は!」

 

アダムがそう言うと光球はさらに巨大化する。地上にいたS.O.N.G.の隊員達は慌てふためく。その光は指令室内に強烈な光を浴びせるほどだ。藤尭とエルフナインがキーボードに指を走らせる。

 

「まさか、錬金術を用いて、常温下での核融合をッ!?」

 

「新たな敵性体に加え、光線地点にて、アガートラーム、シュルシャガナ、そしてイガリマの反応を確認ッ!」

 

「マリアさん達がッ!?」

 

緒川が驚愕の声を出す。マリア達がギアを纏っているという事だ。予想通り3人が歌いながらイグナイト形態に移行したギアを纏い身体に稲妻を走らせながらアルカ・ノイズを蹴散らす。

 

「LiNKERを介さずの運用ですッ!このままでは、負荷に体が引き裂かれますッ!」

 

友里の言う通りこのままでは負荷に体が耐えきれなくなり強制解除されてしまう。それでもマリア達は走る。響達の元へ。

 

「2人とも!局長の黄金錬成に巻き込まれる前に!」

 

今の状況は危険と判断したサンジェルマン達はテレポートジェムで姿を消した。そうこうしている内にアダムが作り出す光球はみるみる巨大化していく。まるで太陽の様に熱く、大きく。

 

「膨張し続けるエネルギーの推定破壊力、10メガトン超ッ!!」

 

「ツングースカ級だとぉッ!?」

 

弦十郎の声が指令室に響き渡った。

 

 

隼人もこの状況がどういう事なのかは理解出来ていた。

あれを食らったら間違いなくお陀仏。今は退くしかない。体は既に限界を迎えていて気を失いそうだ。しかし、倒れる訳にはいかない。力を振り絞ってブックゲートを開いて退却。

そしてマリア達は疲労した響達を背負う。そしてアダムが光球を山に勢いよく投げつけた。大爆発が起きエネルギーが響達に迫る。マリア達は稲妻を走らせながらも走る。

 

「例えこの身が、砕けてもぉぉぉぉぉ──!!」

 

その時、マリアの体から青いオーラが出ていた。

 

 

 

 

 

 

光球が放つ閃光を小学校で見ていた農家の女性が顔を覆い隠す。やがて光球は小さくなっていき、消滅した。

アダムが放った光球の下は深く巨大なクレーターが出来、マグマが見える。そしてアダムの手のひらには小さな金の塊が。

 

「ほう……はははははははッ!ビタイチかッ!安いものだなッ!命の価値はッ!ふははははははははははははッ!!」

 

宵闇の空にアダムの高笑いが響いた。そして巨大なクレーターが出来た中、直撃を避けた響、翼、クリスが起き上がる。

 

「何が…一体どうなって…!?」

 

「風鳴機関本部が…跡形もなく…!」

 

アダムが放った一撃で風鳴機関本部は木っ端微塵に吹き飛び無くなっていた。

 

「マリアさん達は!?」

 

辺りを見回してもマリア達の姿がいない。すると、瓦礫の下から切歌が姿を現した。

 

 

「切歌ちゃん!」

 

「しっかりするデスよ…マリア…!」

 

「マリア!」

 

マリアと調も無事だ。そして空から照明が照らされる。やって来たのはS.O.N.G.のヘリだ。

 

「生き…てる…」

 

すると、響が辺りを見回す。カリバーを探している様だが、見当たらない。

 

「カリバーさん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜が明け、装甲車内の指令室にて弦十郎達が集まっていた。

 

「敗北だ。徹底的にして、完膚なきまでに。」

 

弦十郎の言う通り、装者達はアダム率いる錬金術師達に完全なる敗北を喫したのだ。

 

「遂に現れたパヴァリア光明結社統制局長、アダム・ヴァイスハウプト…そして…」

 

指令室のモニターに全裸のアダムが魔法陣を後ろに巨大な光球を構える写真が映される。次に、ファウストローブを纏うサンジェルマン、プレラーティ、カリオストロの3人。

 

「錬金術師共のファウストローブ…!」

 

そして3人の脳裏によぎるイグナイトが全く通用せずに敗れたあの瞬間を。

 

「打ち合った瞬間にイグナイトの力を無理矢理引き剥がされたような、あの衝撃は……」

 

「ラピス・フィソロカス……、賢者の石の力だと思われます。」

 

「賢者の石…確かに言っていた…」

 

「完全を追い求める錬金思想の到達点にして、その結晶体…病をはじめのする不浄を正し、焼き尽くす作用を持って浄化する特性にイグナイトモジュールのコアとなるダインスレイフの魔力はなす術もありませんでした。」

 

エルフナインの説明によればこの力はダインスレイフの不浄の力は焼き尽くされ浄化、強制解除された。つまりイグナイトとラピスは最悪の相性という事だ。

 

「とどの詰まりは、イグナイトの天敵…この身を引き裂かんとばかりの衝撃は、強制解除によるもの…邪剣である闇黒剣月闇を持つカリバーでさえ…」

 

「決戦仕様であるはずが、こっちが泣き所になっちまうのか!? カリバーでも厳しかったんだぞ!」

 

クリスは悔しそうに言った。決戦仕様に特効を持つラピス。これまでのほとんどの戦いで苦戦しなかった頼みのカリバーでさえ厳しい。悔しくてたまらない。それは響や翼も同じだ。

 

「東京に搬送されたマリアさん達は、大丈夫でしょうか?」

 

「精密検査の結果次第だけど、奇跡的に大きなダメージは受けていないそうよ。」

 

東京の病院に緊急搬送されたマリア達は幸いな事に命に別状はないと言う事だ。

 

「きっと、無事です。」

 

「うん。そうだね…大丈夫…絶対。」

 

しかし、エルフナインの頭の中にある事が引っかかっていた。

 

(LiNKERを介さないギアの運用。ましてやイグナイトによる身体への負荷…絶唱級のバックファイアを受けてもおかしくなかったはず…なのに…)

 

本来ならばバックファイアで身体はボロボロになるはず。しかし、ダメージは軽傷。それがどうしても気になる。その時、脳裏にマリアから青いオーラが出ていた事を思い出した。

 

「そしてもう1つ。藤尭。」

 

「はい。」

 

藤尭がキーボードを操作すると、画面に隼人の素顔と、プリミティブドラゴンの姿が映し出された。

 

「カリバーさん…!」

 

「それに…プリミティブドラゴン…!」

 

「パヴァリア光明結社の錬金術師との戦いで、カリバーがこのプリミティブドラゴンという姿になった時に暴走、変身が解除された時に素顔が明らかになった。」

 

「声色から4、50代の男性と僕達は予想していましたが、まさか青年だとは…見た目からして20代でしょう。」

 

弦十郎と緒川がこれまで予想していたカリバーの正体がまさか若者だとは思わなかった事は指令室の誰もが思っていた。声色や言葉遣い、一人称からすれば誰だって4、50代の男性だと思うのは当たり前だ。

 

「私…筑波で会った事あります…」

 

「何!? それは本当か!?」

 

「はい。筑波の海に行った時に会った釣り人でした。まさかあの人がカリバーさんだったなんて…」

 

響も当然筑波の海に出会ったあの釣り人姿の青年がまさか幾多の戦いを共にした冷酷無情な闇の剣士 仮面ライダーカリバーだとは思ってもいなかったからだ。

 

「私達と同じ若者のこの青年が、あの冷酷無情な闇の剣士…」

 

「あぁ…それにしても、暴走したあのプリミティブドラゴンって奴になった時にカリバーの攻撃が効いていたのは何でなんだ?あたし達の攻撃は効かなかったのに…」

 

クリスの疑問は確かだ。不浄の力を燃やすラピスに対してカリバーでさえ厳しかったが、プリミティブドラゴンになった時に攻撃が効くようになった事だ。一体何故なのか。クリスの疑問にエルフナインが答える。

 

「恐らく、このプリミティブドラゴンはカリバーの動きを分析した結果、2つの推測が生まれました。1つは、このワンダーライドブックに意識を乗っ取られて、能力等を使用せずに不浄の力ではなく、純粋な力として作用していたと思われます。」

 

「純粋な…力…」

 

「もう1つは、この力が不完全な物であり、不浄なのかどうかがはっきりしていないというのがボクの予想です。」

 

エルフナインはカリバーの攻撃がラピスのファウストローブを纏うサンジェルマン達に聞いたのは、プリミティブドラゴンが純粋な力か、不浄なのかどうかがはっきりせず不完全な力だと推測した。

 

「その時のカリバーは暴走状態で、ルナアタックやフロンティア事変で暴走した立花と似ていた…」

 

「マリアがイグナイトを使えずに暴走していた時…いや、それ以上かもしれねぇ…」

 

「……。」

 

翼とクリスがカリバーの暴走が響やマリアが暴走した時と似ていると言う中、響は暴走していたカリバーの様子を見て思い出していた。

 

『ヴァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!』

 

(あの時のカリバーさん……まるで、泣き叫んでいる様で……悲しそうだった……どうして……?)

 

響は暴走していたカリバーの咆哮が泣き叫んでいる様で、悲しそうだったと考えていた。

 

「風鳴機関本部は現時点をもって破棄が決定した。各自、撤収準備に入ってくれ。」

 

壊滅した風鳴機関本部は機関としての地位を完成に失った。故にここにいる意味も無くなったのだ。

 

「オッサン。カリバーについてはどうすんだ?暴走したとはいえ今の所奴等に対抗する力を持ってるのはアイツだけなんだぞ?」

 

「こちらで彼を捜索し、コンタクトを試みる。」

 

弦十郎は隼人を探してコンタクトを試みると答えた。

 

「バルベルデドキュメントが解析出来ていれば、状況打開の手がかりがあったのかな…」

 

藤尭が悔やむ様に呟く。解析が出来ていれば対抗策も出来たはず。しかし、肝心の暗号も風鳴機関も跡形もなく無くなってしまったのだ。

すると、緒川の通信機から電子音が鳴り響く。それを見て真剣な表情になる緒川を翼が見る。

 

「司令。鎌倉から招致がかかりました。」

 

「絞られる所じゃ済まされなさそうだ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「不浄を浄化する力…これまでの敵とは…根本的に違う…」

 

その様子をシャボン玉を通して寝室で息を荒げながら隼人は見ていた。賢者の石は不浄を浄化し、焼き尽くし力。イグナイトは全く歯が立たず、闇黒剣月闇の力でさえあの有り様だ。いや、それ以前に…

 

「見られた…! 知られた…!俺の顔…!」

 

長年隠してきた自身の素顔。プリミティブドラゴンになった後に暴走して強制的に変身が解除されたあの時。彼が1番恐れていた事が遂に起きてしまったのだ。

 

「それに…アレは何だったんだ…!」

 

プリミティブドラゴンに変身した時、隼人はある物を見たのだ。

 

 

 

 

 

『ここは…!?』

 

意識の中、彼は真っ暗闇の中にいた。そして見えるのは、1匹のはじまりを知る竜。心優しい竜は人間を気に入り、見守り、時に助け、友達となった。そして人間と竜達が共存して生きる世界。人間達は笑顔で楽しそう。竜達も彼らを見守っていた。

 

『これは確か…』

 

古文書に書かれていた人間と竜達が共存している話。そしてはじまりの竜が眠りにつく頃、人間は増え、別々の場所へ向かった。

そして竜達は少し哀しそうだったが、彼らの幸せを願って送り出した。

すると辺りは暗転。今度は何かを討ち取ってはしゃぐ人間の声と今度は竜の哀しみの声が聞こえてきた。

そして見える光景は火の海となった世界と人間達が次々に竜達を狩る光景だ。人間達は竜達と再会した途端、竜達を裏切り、攻撃した。

 

『死ね!化け物!』

 

『平和を乱す怪物共め!』

 

『人間様を怒らせたらどうなるか教えてやる!』

 

『やったぞ!大物を仕留めた!』

 

『皆殺しだ!』

 

 

 

『これはまるで…!』

 

竜達を次々殺し、はしゃぐ人間達。しかし、竜達は一切抵抗せずに次々倒れていく。

 

『やめて!やめてよ!』

 

『僕達は友達なのに!』

 

『何故裏切った!?』

 

『どうして!僕達の事を忘れたの!?』

 

どう言う訳か人間に裏切られた竜達の悲痛な声が人間の言葉で聞こえてくる。

1匹、また1匹と倒れ、最後の1匹が力尽きる頃、眠りから目覚めたはじまりの竜は絶望し、仲間も友達も失って哀しみの咆哮を上げている。

それから仲間を求めて彷徨う。世界中、何年も何十年も何百年も彷徨い、やがて肉体が朽ち果て、骨となり、魂だけになっても、いるはずのない仲間を求めて彷徨い続けた。

 

『何だろう…俺と似ている…友達を無くし、裏切られて…』

 

大切な存在を無くし、人に騙され裏切られた隼人はこの竜と自身が似ているのではないかと呟いた。その時…

 

『っ!!』

 

暗闇の中から突如巨大な竜の手の骨が現れ、隼人の身体を掴んだ。

 

『ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』

 

全身に稲妻が、激痛が走る。これは一体何なんだ。自分とこの竜が何か関係しているのか。激痛に悶絶する中、彼は強制変身解除されるまで意識の中、思考を張り巡らせていた。

 

 

 

 

 

 

 

「何だったんだよ…あれは…」

 

自分が暴走している中、意識の中で起きたあれは一体。そして、開かれた禁書に書かれていたあの文字が気になっていた。

 

忘却の果てには哀しみが…それは破滅を求める手…

 

隼人はあの時見た文字をリングノートへ解読して書いた哀しみの物語の下に書き、疲労しきった身体をベッドに預けて横になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして都内某所のビルにて。ベッドの上で本を読むアダムの膝で猫の様に甘えるティキ。アダムに頭を撫でられてとても嬉しそうだ。

 

「ラピスの輝きはイグナイトの闇を圧倒。カリバーにも膝を付かせ、勝利は約束されていた。でもあの時、原初の竜となったカリバーには効かずに形勢を逆転された。そこへ…」

 

その様子を見ていたサンジェルマンが不満げに言う。

 

「下手こいちゃうとあーし達、こんがり。サクッ!ジュワ〜だったわよ。」

 

「しかもその上、仕留め損なっていたと言うワケダ。」

 

プレラーティが魔法陣に映し出される響、翼、クリスを見る。それは、プレラーティが連れていたカエルの目から映っている光景だった。

 

「みんな!せっかくアダムが来てくれたんだよ!ギスギスするより、キラキラしようよ!」

 

元気に振る舞うティキを見つめるサンジェルマン達。

 

「みんな!」

 

ティキの頭を撫でながら宥めるアダム。

 

「どうどうティキ。だけど最もだねぇ。サンジェルマン達の言い分は。いいとこ見せようと加勢したつもりだったんだ。出てきたついでにね。」

 

いい所と言っているが、実際あの場所で突然全裸になられたら何と言っていいのか分からなくなるのも当然だ。アダムは帽子を被る。

 

「でもやっぱり…君達に任せるとしよう。カリバーとシンフォギア共の相手…そして闇黒剣月闇と本の入手を。」

 

アダムはティキと共に部屋を後にする。ティキはアダムの左腕に抱きついている。

 

「統制局長、どちらへ?」

 

「教えてくれたのさ。星の巡りを読んだティキが。ね?」

 

「うん!」

 

アダムに言われ嬉しそうに返事するティキ。

 

「成功したんだろう実験は?なら次は本格的に行こうじゃないか。神の力の具現化を。」

 

そういう時アダムはティキと共に部屋を後にし部屋にはサンジェルマン達が残った。

 

「さて、私も行くとする。カリバーの闇黒剣月闇と本を手に入れに。」

 

「あーし達も手伝おっか?」

 

「あなた達は休んでなさい。私1人で十分よ。あの力は使わせない。」

 

サンジェルマンは単独でカリバーの持つ闇黒剣月闇とワンダーライドブックを手に入れるとカリオストロとプレラーティに言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、S.O.N.G.の本部にて。シュミレーションルームで作り出されたアルカ・ノイズの群れと対峙する調と切歌。そして…

 

「Various shul shagana torn」

 

「Zeios igalima raizen tron」

 

2人は聖詠を唱えてギアを纏う。そして切歌が先手必勝、切・呪りeッTぉでアルカ・ノイズを斬り裂く。追い討ちに対鎌・螺Pぅn痛ェるを繰り出す。

 

(シュルシャガナの刃は、全てを切り開く無限軌道!)

 

「目の前の障害も!私達の明日も!」

 

巨大丸鋸でアルカ・ノイズを斬り裂き、縦横無尽に駆け回りΔ式 艶殺アクセルでバラバラに斬り刻む。しかし、ギアに稲妻が走る。

 

「絶対鋭利のイガリマはその気になったら、幽霊だって!神様だって!真っ二つデス!」

 

鎌を振りまわしアルカ・ノイズを真っ二つにする切歌。しかし、調と同じくギアから稲妻が走る。しかし、2人は歌う事をやめない。

目の前の巨大バナナ型アルカ・ノイズと対峙する。その頃、廊下を病院服姿のマリアが走っていた。

 

「あの子達…無茶を重ねて!」

 

「マリアさん!」

 

マリアをエルフナインが呼び止める。一緒に走っているのは響と切歌だ。

 

「もう良いのか!? そっちだって大変だったんだろ!?」

 

 

 

そうこうしている内にアルカ・ノイズをイガリマのワイヤーで拘束、切歌が断殺・邪刃ウォttKKKでとどめをさそうとするが、突然ギロチンが割れて消滅。地面に叩きつけられてしまう。

 

「切ちゃん!」

 

そして街を移していたシュミレーターはオフとなりS.O.N.G.内のトレーニングルームへ戻った。倒れた切歌に駆け寄る調。2人のギアが解除される。

 

そこへ、響、クリス、マリア、エルフナインが駆け込んでくる。

 

「調ちゃん!切歌ちゃん!」

 

「LiNKERも無いのに、どうして…!」

 

「私達が、LiNKERに頼らなくても戦えていれば…あんな…」

 

LiNKERも無い今、彼女達は長時間戦う事が出来ない。そして思い出すアダムと錬金術師達の圧倒的な力。悔しい。悔しくてたまらない。

 

「だからって!」

 

声を荒げるクリスに平気と答える調。

 

「それより、訓練の続行を…」

 

「LiNKERに頼らなくても良い様に、適合係数を上昇させなきゃデス…」

 

「ダメだよこんな無茶!一歩間違えたら死んじゃうかもしれないんだよ!?」

 

響の言う通り、身体への負荷が積み重なり、最悪の場合死に至る可能性もある。しかし…

 

「経緯もよく分からないままに、十分な適合係数を物にした響さんには分からない!」

 

「いつまでもみそっかす扱いは、死ななくたって、死ぬほど辛くて…死にそうデス!」

 

融合症例となって装者となり高い適合係数も持つ響に言われる事は2人にとっては屈辱だった。そんな2人を見つめる4人。すると…

 

「やらせてあげて。」

 

「マリアさん!?」

 

何とマリアが調と切歌の訓練を続けさせる様に言った。

 

「2人がやりすぎない様に、私も一緒に訓練に付き合うから。」

 

「適合係数じゃなく、この場のバカ率を引き上げてどうする!?」

 

「…いつかきっとLiNKERは完成する。」

 

マリアの言葉にエルフナインがハッとする。まだ完成に至っていないのだ。

 

「だけど、その「いつか」を待ち続ける程、私達の盤面に余裕は無いわ。」

 

一刻の猶予も許されない状況。完成させなければ勝ち目はない。しかし、エルフナインの口から突破口が飛び出す。

 

「方法はあります。」

 

「LiNKERの完成を手繰り寄せる、最後のピースを埋めるかもしれない方法が。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、気分転換に誰もいない日の出埠頭に来ていた隼人は海を見ながらリングノートを見ていた。

 

「忘却の果てには哀しみが…それは破滅を求める手…」

 

禁書に書かれていた言葉を呟く。これは一体何なのか。そしてもう1つ気になる事があった。

それは、朝起きた時に無銘剣虚無が僅かに光った事だった。隼人が手にすると、突然光り頭の中に情報が入り込んでいく。無銘剣虚無に秘められた力。すぐさまノートを取り、書き留める。

 

「もしかしたら…使えって事か? ラピスの力に対抗する為に…俺を見つめているあの女に使えって事か…?」

 

隼人の後ろには、離れてはいるがサンジェルマンが立っていた。この時彼はサンジェルマンの気配に気づいていた。リングノートを鞄にしまい、振り向く。

 

「何の用だ?」

 

「あなたの本と闇黒剣月闇を頂きに。」

 

 

 

 

 

 

 

一方、エルフナインの口からウェルから手渡されたLiNKERのレシピで唯一解析出来ていない部分、LiNKERがシンフォギアを、装者の脳のどの領域に接続し、負荷を抑制しているかと言う説明が出た。

 

「あ、あの…難しい話は早送りにして、最後のピースのとこまで飛ばしてよ。」

 

響はこの難しい部分には付いていけない様子だ。

 

「鍵は、マリアさんが纏うアガートラームです。」

 

「白銀の…私のギアに!?」

 

まさか自分のギアが突破口だとは思ってもいなかったマリア。

 

「アガートラームの特製の1つに、エネルギーベクトルの制御があります。土壇場に度々見られた発光現象…あれは、脳とシンフォギアを行き来する電気信号がアガートラームの特性によって可視化…そればかりかギアからの負荷をも緩和したのではないかとボクは推論します。これまでずっと、任務の合間に繰り返してきた訓練によって、マリアさん達の適合係数は少しずつ上昇して来ました。恐らくはその結果だと思われます。」

 

アガートラームが度々青く光っていた事。任務と訓練の合間の訓練で適合係数の上昇により、特性が発現。危機の時にマリア達を救ってきた。エルフナインがの説明に4人も納得。

 

「マリアの適合係数は、私達の中でも1番高い数値…それが…!」

 

「今までの頑張り!無駄ではなかったわけデスか!?」

 

皆の中に希望が生まれる。この状況を打破する突破口。後はその方法だ。

 

「えぇ。マリアさんの脳内に残された電気信号の痕跡を辿っていけば…」

 

「LiNKERの作用している場所が解明する…だけど、そんなのどうやって?」

 

「それこそウェルの野郎に頭下げない限りは…」

 

問題は方法だ。ウェルがもうこの世にいない中聞き出す事は出来ない。すると、エルフナインが皆にある場所について来る様言った。

 

 

 

 

「これは…?」

 

そしてエルフナインの研究部屋にて。4人の前にあるヘッドギア。一体どういう方法なのか。

 

「ウェル博士の置き土産、ダイレクトフィードバックシステムを錬金術を応用し、再現してみました。対象の脳内に電気信号化した他者の意識を割り込ませることで、観測を行います。」

 

「つまりそいつで頭ん中を覗けるってことか?」

 

「理論上は。ですが、人の脳内は意識が複雑に入り組んだ迷宮…最悪の場合、観測者かと被験者の意識は溶け合い、廃人となる恐れも…」

 

やはりリスクがある方法だ。それも廃人になるハイリスク。しかし…

 

「やるわ。」

 

マリアは危険を承知で行う事を決意。

 

「ようやくLiNKER完成の目処が立ちそうなのに見逃す理由は無いでしょ。」

 

「でも…危険すぎる…」

 

「やけっぱちのマリアデスッ!」

 

「あなた達がそれを言う!?」

 

ごもっともだ。無茶をし続けてきた調と切歌には言われたく無いだろう。そしてエルフナインを見つめるマリア。

 

「観測者。つまり、あなたにもその危険は及ぶのね?」

 

「それがボクに出来る戦いです。ボクと一緒に戦って下さい!マリアさん!」

 

真剣な表情をして戦って欲しいと言うエルフナインにマリアは笑みを浮かべた。すると、艦内に警報が響き渡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前らは何も感じないのか! 大勢の人間を殺戮しても!」

 

その頃隼人はサンジェルマンに大勢の人間の命を奪ってもなお目的遂行をしようとする事に憤慨した。彼女は既に7万人以上もの命を奪っている。

 

「全ては人類の解放…バラルの呪詛を解く為に神の力を完成させる為。誰にも邪魔はさせない。その為にもあなたの剣と本を頂く。」

 

「何が人類の解放だッ!俺はな、お前らの様な身勝手な正義を振りかざしてくだらん悪事を正当化する奴が1番嫌いなんだよッ!!」

 

隼人はサンジェルマンに対して怒りを見せ、実験も兼ねてジャオウドラゴンを取り出して起動した。

 

【ジャオウドラゴン!】

 

【ジャオウリード!】

 

【闇黒剣月闇!】

 

「変身!」

 

【ジャオウドラゴン!誰も逃れられない…】

 

ジャオウドラゴンと4匹の黄金の竜を隼人が包み込み、隼人はカリバーに変身した。そしてサンジェルマンもスペルキャスターを空中に打ち、ファウストローブを纏った。そしてお手並み拝見と言わんばかりにアルカ・ノイズを召喚した。

 

 

 

 

「日の出埠頭付近にて、アルカ・ノイズの反応を検知!映像出ます!」

 

「カリバーとパヴァリア光明結社の錬金術師が交戦中!」

 

藤尭と友里の声と共に指令室のモニターにアルカ・ノイズを斬り裂きながらサンジェルマンとお互いの剣の打ち合いをするカリバーの姿が映し出された。

 

「カリバーさん…!」

 

「先輩はオッサンと共に鎌倉に向かってる!あたし達で行くぞ!」

 

翼は弦十郎と共に鎌倉に向かってるので不在。マリア達も長時間戦えない。故に響とクリスが向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァッ!フンッ!」

 

カリバーとサンジェルマンは闇黒剣月闇と剣状態のスペルキャスターで打ち合う。距離を取って銃に変形してカリバーの装甲目掛けて撃つ。黄金の装甲に火花が飛散し、僅かに稲妻が走る。

 

「!?」

 

サンジェルマンは不浄を浄化する力を待つラピスの力を持つ弾丸があまり効いていない事に表情を険しくした。この時カリバーにはジャアクドラゴンの時よりはダメージは非常に少なくなっている。

ジャオウドラゴンの装甲は受けた相手の攻撃を極小限に抑える作用があるのだが、これがかえってカリバーを恐怖に陥れる事になる。

 

(おいおい嘘だろ…!? よりによってこの姿の方がダメージが少ない…! この姿にはあまりなりたくないのに…!)

 

自身の装甲を手で抑えるカリバー。彼はジャオウドラゴンは極力使わない事にしているのだが、人間に使いこなせるかどうか分からない代物と言われた時から警戒しているのだ。

今回は実験も兼ねて使用したが、ジャアクドラゴン以上にダメージが増すと予想していたが、全くハズレだ。使いたくない姿の方がダメージが少なくなった。

 

「余所見をするなッ!」

 

そこへサンジェルマンが斬りかかる。カリバーは闇黒剣月闇で受け止め、サンジェルマンを蹴り飛ばし、斬りつける。そこへ…

 

「どおりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

響がサンジェルマンに向かって渾身の一撃を繰り出そうと彼方から迫る。サンジェルマンはギリギリで交わすが、響の拳はアスファルトにクレーターを作り出す。

そこへクリスが追撃にガトリングを連射し、辺りに火花が飛び散る。その隙をついてカリバーがサンジェルマンに斬りかかり、響とクリスも向かおうとするが、サンジェルマンがそれに気づく。

 

「邪魔をするなッ!」

 

サンジェルマンは響とクリスに再びアルカ・ノイズを召喚。やむを得ず、アルカ・ノイズと交戦に入る響とクリス。サンジェルマンは弾を1発当たりの威力の高い球に切り替えこれならどうだとカリバーに撃つ。

それを見たカリバーは試してみるかと言わんばかりに左手に持つもう1本の聖剣で弾を受け止める。刀身が赤いエネルギーを纏い、弾が消滅した。その聖剣は…

 

【無銘剣虚無!】

 

並行世界の戦いの後、何故か手に入れた無の聖剣、無銘剣虚無だ。

 

「あの剣…!」

 

「あの害鳥野郎の剣…!」

 

響もクリスもその剣を知っている。害鳥野郎とは、ファルシオンに変身していた鳳の事だ。

 

「何だその剣は…!」

 

サンジェルマンの問いかけを無視してカリバーは斬りかかる。彼女もスペルキャスターを剣に変形して応戦。カリバーは闇黒剣月闇を納刀し、無銘剣虚無で攻め、エターナルフェニックスを取り出して起動し、無銘剣虚無にスキャンした。 

 

【エターナルフェニックス!】

 

【永久の不死鳥!無限一突…!】

 

無銘剣虚無から不死鳥を模したエネルギーと斬撃波を発射し、サンジェルマンはそれを受け止めるが、受けきれずに大きく吹っ飛ばされる。

 

「ぬぅぅぅぅッ!」

 

サンジェルマンは吹っ飛ばされながらも体勢を立て直して立ち上がる。煙に紛れカリバーが無銘剣虚無で斬りかかり、受け止めた。

 

「その剣は一体何だ…? 何故ラピスの力を…!」

 

サンジェルマンはラピスの力を持つ弾丸を無力化した無銘剣虚無に驚いていた。無銘剣虚無には聖なる力を無に帰す力によって他の聖剣の力を無効化する力を持つ。カリバーはこの力を応用してラピスの力を無に帰したのだ。接触する全ての属性を無に帰してしまうのが難点か。

 

「ラピスの力も、お前達も計画も全て無に帰す…!」

 

カリバーが言ったその時、闇黒剣月闇が光り出す。そしてカリバーは見た。自分がいるのにも関わらず、サンジェルマンによって響とクリスが命を落とす最悪の未来を。

 

(止めろ!嫌だ!失いたくない!死なせたくない!あいつらは絶対に!俺が助けられずに!瑠奈の時みたいに…!)

 

死なせたくない。この世界の希望である彼女達装者を。身勝手な正義を振りかざす者達、悪意のを持つ者達の犠牲にさせたくない。

かつて大切な存在を失った哀しみが溢れ出す。隼人の中に響とクリスが命を落とす場面が見え、哀しみの感情が強くなる。

その時、隼人の部屋に置いてきたプリミティブドラゴンが光り出し、割れる様に消滅。

サンジェルマンは距離を取ってスペルキャスターを銃に変形させ、弾丸をライフル弾の様な形にして撃つ。すると、プリミティブドラゴンが目の前に突然現れた。

 

(何で…これが…!? うっ!?)

 

突然現れた事に驚愕の表情を浮かべるカリバー。弾を彼の目の前で防ぐと、意識を乗っ取る。

 

「カリバーさん!」

 

「またかよ!」

 

「ガ……ウゥ………ヴゥッ!」

 

獣の様な声を出して闇黒剣月闇を抜刀、無銘剣虚無を納刀し、アスファルトに突き刺してプリミティブドラゴンを掴むと、ページを開いた。

 

【プリミティブドラゴン!】

 

【ジャアクドラゴン!】

 

【ゲット!】

 

【ジャアクリード!】

 

【闇黒剣月闇!】

 

サンジェルマンはスペルキャスターをカリバーに向かって連射する。

 

【バキッ!ボキッ!ボーン!

 ガキッ!ゴキッ!ボーン!

 プリミティブドラゴン!】

 

弾を弾き飛ばしてプリミティブドラゴンの腕がカリバーを包み込み、カリバーは再びプリミティブドラゴンへ変わった。

 

「グァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

哀しみともいえる咆哮をあげ、右手に闇黒剣月闇を順手で、左手に無銘剣虚無を逆手で刀身を掴む形で持ち、サンジェルマンに襲いかかる。

再びプリミティブドラゴンになったカリバーは本能のままに暴れる。

サンジェルマンの銃撃が当たろうが斬り裂かれようがお構い無しに荒々しい蹴りや斬撃、ソードクラウンで一撃を浴びせる。

 

「原初の竜…いや、ただの獣か…っ!」

 

「グォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!」

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

雄叫びを上げ、再び突っ込んでは飛びつき、闇黒剣月闇のグリップエンドで殴り付け、無銘剣虚無で一撃を浴びせて吹き飛ばす。

カリバーの意識の中では再び暗闇の中で隼人が骨の手に拘束されて全身に稲妻と激痛が走っていた。

 

「くっ…!」

 

「カリバーさん!」

 

突如、その様子を見た響が呼び止める。唸り声をあげて響とクリスの方を向く。すると…

 

「グガァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

「!?」

 

「おい!あたし達は敵じゃねぇ!」

 

何と、雄叫びを上げて響とクリスに襲いかかってきたのだ。その光景に当然、息を荒げるサンジェルマンも驚きだ。

 

「邪竜を支配した原初の竜は、本能のまま破滅へ向かい全てを無に帰す…」

 

サンジェルマンはそう呟くとテレポートジェムを落として撤退した。

アルカ・ノイズを全て倒した響とクリスは暴走したカリバーを止めようと悪戦苦闘、やたらむやみに攻撃できずに逆に攻撃を受ける始末だ。

 

「どうしちゃったんですか!? 目を覚まして下さい!」

 

「全然聞こえてねぇ!どうすりゃいいんだ!?」

 

「ヴァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

哀しみとも怒りともいえる雄叫びを上げるカリバーが2人を吹っ飛ばし、2本の聖剣を手に迫る。

そして右手の闇黒剣月闇を振り下ろした瞬間、響がカリバーの右手を両手で受け止める。

その時、不思議な事が起こった。カリバーの右手を受け止めた響の手が光ったのだ。その時響は何かを見た。

 

「!?」

 

「グッ……!? ヴゥゥ…!!ガァァァァ…!!」

 

「止まった…!?」

 

すると、さっきまでの暴走が止まり、カリバーが膝から崩れ落ち持っていた闇黒剣月闇と無銘剣虚無を落として変身が解けていく。

 

【グッバイ!】

 

そして、完全に変身が解け、ショルダーバッグを掛けた疲労仕切った表情を出した汗だくの隼人の姿に戻ったのだ。そして、虚ろな目で響を見ると、そのまま気を失って仰向けに倒れた。

 

「カリバーさん!」

 

「おい!大丈夫か!?」

 

その様子は指令室にも映し出されている。そしてそこには調と切歌、そして偶然マリアもいた。

 

「あの人が…カリバーの正体デスか!?」

 

「マリアと同じくらい若い…!」

 

「あの冷酷無情な闇の剣士が、私達と同じ年代の若者なの…!?」

 

マリア達もカリバーの正体である隼人の顔を見るのは初めて、まさかあんな若者だとは思ってもいなかったからだ。

 

 

「カリバーさんッ!カリバーさんッ!!カリバーさんっ!!」

 

誰もいない日の出埠頭に響の必死の叫びが響き渡った。




いかがだったでしょうか? プリミティブドラゴンの初陣です。自分が思った通りに書いてみました。そして主人公の顔バレ。これからどうなることやら…装者達の隼人の呼び方とかどうしよう…ちなみに暴走はたださせるとワンパターンなので彼の怒りや哀しみの感情が高まってそれが同調して暴走させようかなと思います。ラピスについてはジャオウドラゴンはジャアクドラゴンよりも大分マシと言う形になりましたが、逆に主人公が恐怖する事に。無銘剣虚無の力はファルシオンは永遠の灯という力で無限属性を得て流転を断ち切ってますが、カリバーはどうしましょう…

アダムが全裸って事は彼の聖剣は丸出しって事ですよね?ジークと同じ声優さんと知って「降臨、満を持して」はどうしても言わせたかったので書きました。あと無銘剣虚無の能力も判明!この力を応用して自分に来るラピスの力を無力化という形になりました。来週のマスターロゴスはどっかの神を連想させますね。まさかこの小説の鳳と被ったとは…


今回はここまでです。感想お待ちしています。
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