【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

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お待たせしました!今回いよいよ…!
あれの登場です!
ただちょっと文章に自信はありませんが…
来週から仕事が忙しくなるので更新に間が空くかもしれないのでご了承下さい。




第68話 手を繋ぎ、悲しみを、絆に変えて。

「73800…73801…」

 

夜、ビルの屋上にて弔いの2輪の百合の花を落とすサンジェルマン。

73801人。この戦いで犠牲になった人間の数だ。

その中にカリオストロ、プレラーティもいる。

 

「母を亡くしたあの日から、置いていかれるのは慣れている…それでもすぐにまた会える…私の命も…その為にあるのだから…」

 

死を背負って戦うサンジェルマンの耳に拍手の音が入る。

振り返ると、アダムとティキが立っていた。

 

「ありゃま。死ぬのが怖くないのかな?」

 

「理想に準じる覚悟など済ませている。それに、誰かを犠牲にするよりずっと。」

 

「キャハハハッ!何? それが本心?」

 

全ての罪を背負い、自分の意思を貫くサンジェルマンを笑うティキ。

 

「だから君は数えてきたのか。自分が背負うべき罪の数を。おためごかしだな…」

 

「人でなしには分かるまい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…」

 

暗い寝室で息を荒げながら隼人はベッドの上で横になっていた。

プリミティブドラゴンになってから、彼の身体も限界に近づこうとしている。

変身してから解除までの時間が短くなっている。

このまま行けば身体も心もボロボロになって壊れてしまう。

でもどうする事も出来ない。 

行き着く先は、死、さもなくば破滅だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わったー!」

 

夕方のリディアン。全てから解放感のある声を出して机に突っ伏しているのは響。

遂に最大の宿敵、夏休みの宿題を終わらせたのだ。

 

「終わるとは思っていなかった…」

 

「お疲れ様。……ありがとう、響。」

 

労いの言葉をかけた未来は突然響に礼を言った。

 

「んあ? ありがとうは課題を手伝ってくれたこっちだよ…何で?」

 

「課題も任務も頑張るって約束……守ってくれた。」

 

「私はきっと…、楽ちんな方に流されてるだけ。賢くどちらかを選択するなんて出来ないから…結局、わがままなんだよね。」

 

「うん。響らしいかも。」

 

「らしい?」

 

「そうなんデス!どうやら近いらしいのデス!」

 

「そう、あと2日!」

 

突然、9.13と書かれた黒板を叩く切歌。そう。今日は9月11日。

もうすぐ響の誕生日だ。

 

「あと2日で、響さんの誕生日──」

 

切歌の頭に黒板消しが当たる。投げたのは、クリスだ。

 

 

「ど、どうしたのみんな?」

 

「クリスさんから聞いたのデース!」

 

「響の誕生日を?」

 

「クリスちゃんが私の誕生日を?」

 

クリスの頬が赤くなっている。これがツンデレというものか。

 

「覚えててくれたんだ!」

 

「たまたまだッ!たまたまッ!」

 

「それにしても、そわそわしてた。」

 

「そうそう。分かりやすさが爆発してたデス!」

 

2人に指摘され、クリスは余計に恥ずかしい気分になってしまった。

 

「くッ…はしゃぐな2人ともッ!もうすぐ本部にいかないといけない時間だぞッ!」

 

クリスに言われ、響達は本部へと向かっていった。

しかし、響の頭の中である事を考えていた。

 

(宿題は終わった…後は、隼人さんを助けないと…!今度は…私の番だから!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夕方、響達はS.O.N.G.本部へ向かい、指令室にて弦十郎の元ブリーフィングを始めた。

 

「来たな。では、放課後ブリーフィングを始める。映像を頼む。」

 

「はい。」

 

友里の操作で、モニターに古地図に記された鏡写しのオリオン座が映し出された。

 

「調神社所蔵の家文書の伝承、錬金術師との交戦から、敵の次なる作戦は、大地に描かれた鏡写しのオリオン座…神いずる門より、神の力を創造する事と推測して間違いないだろう。」

 

「現在、神社本庁と連携し、拠点の警備を強化すると共に周辺地域の疎開を急がせています。」 

 

「うむ。」

 

現在、道路では疎開する人達が乗る車で大渋滞を起こしている。

 

 

「レイラインを使った、更に大規模な儀式…」

 

マリアの脳裏に浮かぶ、バルベルデで戦ったヨナルデパズトーリ。

それを遥かに凌駕する神の力とは。

 

「一体どれだけの怪物を作り上げるつもりなの…!?」

 

「門からいずるは、怪物を超えた神…」

 

「どうにかなる相手なのか?」

 

「でも、どうにかしないと…」

 

どうにかなってもならなくてもどうにかしなくてはならない。

全力で野望を阻止しないと。

 

「…どうにか出来るとすれば、それは神殺しの力だな…」

 

「神殺し…」

 

「…デスか?」

 

神殺し。対抗出来るとする力ならそれだ。

 

「神と謳われた存在の死にまつわる伝承は、世界の各地に残されている。」

 

「前大戦期のドイツでは、優生学の最果てに、神の死にまつわる力を蒐集したと記録にあります。」

 

「だったら…」

 

「残念ながら、それは…手がかりとなるかもしれないバルベルデドキュメント、および戦時中の資料を保管した旧風鳴機関本部は、統制局長アダム・ヴァイスハウプトによって消失しました…」

 

そう。その手がかりは全てアダムの金の錬成によって風鳴機関が壊滅、資料やバルベルデドキュメントは全て失ってしまったのだ。

 

「…だが、あまりに周到な一連の動きは…考えようによっては誰にも悟られぬ様、神殺しの力を隠蔽してきたとも言い換えられないだろうか?」

 

「…つまり、切り札の実在を証明しているかもしれない?」

 

「うむ。」

 

「神殺しが…」

 

「存在する…」

 

希望が見えてきた。勝利への道筋。突破口。

 

「緒川ッ!」

 

「了解です。調査部のみならず、各国機関とも連携し、情報収集に務めます。」

 

緒川は指令室を飛び出して行った。

 

「頼んだぞ…!」

 

神の力に対抗する為に、神殺しを探る為、パヴァリア光明結社の野望を打ち砕く為、全員が力を合わせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブリーフィング後、食堂では響達が夕食を取っていた。

 

「神の力に対抗する、神殺しの力…」

 

マリアの脳裏によぎる響がヨナルデパズトーリを一撃で粉砕したあの光景。

 

「…まさか、ガングニールに…?」

 

「その可能性は私も考えた…が、ドイツ由来とはいえ、ガングニールに神殺しの逸話は聞いた事が無い…」

 

「今のとこ、あたしらに出来るのは待つ事だけ…ギアの反動汚染が除去されるまでは…」

 

その頃、エルフナインがラボでギアの反動汚染を除去する作業を行なっていた。

 

「デース!」

 

「おわッ!?」

 

突然切歌がクリスの顔スレスレに顔を出してきた。

 

「皆さんに提案デスッ!2日後の13日、響さんのお誕生日会を開きませんかッ!?」

 

「うわああ、今言う? 今言うの!?」

 

突然切歌が、響の誕生日会を開かないかと提案して来た。

これには勿論響が驚く。

 

「もしかして迷惑だった?」

 

「いやいやいや!嬉しいよ!?だけど、今はこんな状況で…戦えるのは私と切歌ちゃんだけだから…」

 

「せっかくの誕生日デスよ?」

 

「そうだけど…」

 

「ちゃんとした誕生日だから、お祝いしないとデスね…」

 

もうすぐ17歳になる響を祝いたい切歌。

すると、響は夕食をテーブルに置いて口を開く。

 

「ありがとう切歌ちゃん。でも、今はもっと大切な事をやらなきゃいけないんだ。」

 

「大切な…事…デスか?」

 

「うん……隼人さんを、助ける事。」

 

響の言葉に一同が反応する。

プリミティブドラゴンの力で暴走し、更に闇黒剣月闇に最悪な未来を見せられ続けている隼人は身体的にも、精神的にも追い詰められた状況だからだ。故に響は彼の事を放っておけないのだ。

 

「翼。昨晩彼に会ったんでしょ? やっぱり暴走してたんじゃない?」

 

「あぁ。幸い暴走はすぐに解けたが、あれは、身体が限界を迎えつつあると言う証拠…上條は今、身も心も擦り切れた状態…このまま行けば壊れてしまうだろう…」

 

「隼人さんが壊れる!? だったら早く助けないとッ!」

 

翼の言葉に大きく反応する響。

 

「おい待て。闇雲に突っ走っても無茶だろ。それにいくらあいつに言っても未来は変わらないの一点張りで聞く耳持たねぇからな。」

 

「だとしても……だとしても私は、隼人さんを助けたい!」

 

クリスの言い分に納得しながらも、響は隼人を助けたいと言った。

 

「どうしてそこまで、響さんは隼人さんを助けたいんですか?」

 

調の質問に響は口を開く。

 

「……私の番だから。」

 

「……?」

 

「……3年前に隼人さんは、私をはじめとした人達を助ける為に全てを敵に回しました…。それからも隼人さんは協力しないと言っておきながら私を助けてくれました。涙を仮面で隠しながら。そんな隼人さんが今、独りで苦しんでる。本当は助けを求めるんです。私が、隼人さんの光になるって決めたんです。」

 

「立花…」

 

「今まで沢山助けてくれた……だから、今度は私の………っ?」

 

すると、突然話している響の左手に自分の手を添える翼。

 

「私達の番……だろう?」

 

「翼さん…」

 

「私達も上條に幾度となく助けられた。彼が助けを求めてるのなら、壊れる前に助ける。それが今、私達の出来る事だ。」

 

すると、クリスも響の右手に手を添える。

 

「その話、乗らないわけにはいかねぇな。いつまでもうじうじしてるあいつの顔は見たくねぇからな!」

 

翼とクリスの言葉を聞いて、マリアが両手を、切歌と調が響の右手に手を添えた。

 

「私達を繋いできたこの手で、暗闇を彷徨い続ける闇の剣士に手を差し伸べてあげて。」

 

「アタシ達のパワーを送るデス!」

 

「これが、私達が隼人さんにする恩返し。」

 

「みんな…」

 

翼達の言葉で、表情が緩む響。

 

「ま、誕生日会は後回しだな。お前、ちょっとお気楽だぞ。」

 

この時クリスは何気なく切歌に言った。すると…

 

「お気楽…」

 

その時脳裏によぎる、カリオストロにお気楽と言われて自分のせいで職員が犠牲になってしまった事。

 

「アタシの提案…お気楽だったデスか…?」

 

切歌が少し悲しげな表情を浮かべる。

 

「え? そんな事ないよ!ありがとう!」

 

「ところで、どうやって上條を助けるんだ?」

 

「あ、そ、そうデスよ!どうやって助けるんデスか?」

 

響が切歌をフォローする。すると、翼がどうやって隼人を助けるのか聞き、切歌も表情を作って聞いた。

 

「隼人さんを助けるにはまず、プリミティブドラゴンの物語を完結させるんです!」

 

「物語を…」

 

「完結させる…?」

 

響は頷くと、食堂を飛び出し、少し経ってから戻ってくると、数枚の紙と筆記用具を手にしていた。

 

「何をするつもり?」

 

「プリミティブドラゴンの物語を私達で完成させるんです。あの悲しみの物語は、まだ未完成なんです!」

 

「あのバッドエンドの物語をか?それとあいつとどう関係あるんだ?」

 

「プリミティブドラゴンは恐らく、隼人さんの心だと思うんです。隼人さんの意識の中に一瞬入った時、骨だけの竜…プリミティブドラゴンが隼人さんと重なったのを見たんです。」

 

実は、響が隼人の意識…言い換えれば心の中に入った時、ボイドタロンに縛られて絶叫している隼人と、プリミティブドラゴンが重なって見えたのだという。

 

「あのノートに書かれていたのは、失った仲間や友を求めて彷徨う始まりの竜の話…だとすれば…!」

 

「この物語でプリミティブドラゴンの友達を作ればいいって事だな?」

 

「ならば、完成させましょう。悲しみの物語を、ハッピーエンドに変える為に。」

 

「そして隼人さんに、未来を変えられる事を教える。」

 

「俄然やる気が出てきたデス!」

 

響達は、隼人を、プリミティブドラゴンを救う為、響と作詞の経験もある翼とマリアを主軸にハッピーエンドの物語を考えて、書き始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、とある神社警備を行っていた警備員が4人、光弾で撃たれ消滅した。

 

「ブルー、ブルー2!どうした!?ブルー2、応答せよッ!ぐぁッ!?」

 

無線機で応答を呼びかけた警備員も撃たれた。

 

「73808…73809…73810…73811…」

 

森に隠れる警備員を次々撃ち、全滅させて神社にやって来たのは素足のサンジェルマンだ。鳥居にはティキが持たれかけている。

 

「有象無象が芋洗いって事は、こっちの計画がモロバレってことじゃないッ!どうするのよッ!サンジェルマンッ!」

 

「どうもこうもない。今日までに収集した生体エネルギーで中枢制御の大祭壇を設置する。」

 

サンジェルマンは白衣を脱ぎ、拝殿の前に立つ。

そして、立つ所から魔法陣と現れ、天へ光の軌跡が伸びていく。

その様子はS.O.N.G.指令室でも確認されていた。

 

「司令ッ!これはッ!」

 

「各員に通達急げッ!」

 

弦十郎の叫び声が響く。

伸びた光は神社のある場所に到達する。

 

「それでも、門の開闢に足りないエネルギーは…第七光の達人たる私の命を燃やして…」

 

サンジェルマンは、万が一の保険として自分の命を捧げるつもりで大祭壇を設置するつもりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい。はい。はい。分かりました。」

 

「響?」

 

響は弦十郎の指令を聞き、スマートフォンの通話を切った。

 

「行かなきゃ。」

 

響は2段ベッドを降りる。

 

「あ、待っ──。…ごめん。」

 

響は呼び止めた未来の腕を握る。

 

「大丈夫。誕生日だって近いから、すぐに帰ってくる。」

 

「…うん。」

 

 

 

 

 

 

 

そして響は走り出す。

暗雲が立ち込め、雷鳴が轟く中、響は走る。

その頃、大祭壇設置を行なっているサンジェルマンが苦しんでいるかの様にうめき声を上げていた。

その様子をティキは見ながらほくそ笑む。

すると、何故か設置されていた電話のベルが鳴り出し、ティキは受話器を取る。

 

「ぐぅぅぅ…あぁぁ…!」

 

「アダム? 」

 

「順調のようだね…全てが。」

 

電話の相手はアダムだ。

 

「ホント、サンジェルマンのおかげだよねッ!」

 

「天地のオリオン座が、儀式に定められたアスペクトで向かい合う時、ホロスコープに門が描かれる…その時と位置を割り出すのが、私の役目…そして…」

 

夜空に輝くオリオン座が見上げるティキの瞳に映り、瞳孔が動いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

S.O.N.G.指令室のモニターには、6つの緑の矢印が一箇所に集中している地図が映し出されていた。

 

「これは…」

 

すると、通信が入る。相手は八紘だ。

 

「お父様ッ!?」

 

『こちらの準備は出来ている。いつでも行けるぞ。』

 

 

 

 

「急がないと…パヴァリア光明結社の作戦に、ボクの手が追いついていないッ!」

 

一方、エルフナインはまだギアの反動汚染の除去をしていた。

このままでは間に合わない。急がなければ。

 

 

 

そしてサンジェルマンとティキのいる神社。

サンジェルマンが苦しむ中、散っていった2人に思いを伝えていた。

 

(カリオストロ…プレラーティ…2人の犠牲は無駄にしない…そしてお母さん…全ての支配を革命する為に…私は…私はッ!!)

 

そしてサンジェルマンがいる場所へ緑色のレイラインが集まり、光の輪が広がる。

 

「開いた!神いずる門!」

 

ティキがはしゃぐ中、サンジェルマンは夜空に両手をかざし、光球が生成される。

 

(レイラインゆり抽出された星の生命に、従順にして盲目なる恋乙女の概念を付与させる…ッ!)

 

空へティキが光の柱と共に浮かび、目と口の中にエネルギーが流れ始める。

 

(ア、アアアアーッ!バイッデグルゥウウーッ!)

 

そしてその場所へ響と切り歌を乗せたヘリが飛来する。

 

「見るデスよ!凄い事になってるデスッ!」

 

「あ、あれが…」

 

7つの光を繋ぎ、天へ伸びる光の柱と狩人の星座。

 

「鏡写しの、オリオン座デス!」

 

鏡写しのオリオン座が宵闇の空の下、煌びやかに現れたのだ。

 

 

 

 

 

 

「レイラインを通じて、観測地点にエネルギーが収束中ッ!」

 

「このままでは、門を越えて神の力が顕現します!」

 

このままではパヴァリア光明結社の野望が果たされてしまう。

しかし、八紘と弦十郎には起死回生の手が残っている。

 

『合わせろ弦ッ!』

 

「おうとも兄貴ッ!」

 

2人は鍵らしきものを手にしている。

そして、鍵穴に挿し、同時に回した。

 

『決議…』

 

『「執行ッ!」』

 

その時、要石が起動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7人の男性が要石の縄を同時に刀で斬った。

すると、要石は赤く光り出す。これが八紘の狙いだった。

 

 

「各地のレイポイント上に配置された要石の一斉起動を確認ッ!」

 

「レイライン遮断作戦…成功ですッ!」

 

そう。パヴァリア光明結社が神の門を開き、神の力が現れるギリギリで要石を起動、レイラインを遮断するものだ。

まさに、紙一重の作戦だ。

 

「手の内を見せすぎたな、錬金術師…お役所仕事も馬鹿にできまいッ!」

 

起動した要石は赤く光り、レイラインを遮断した。

 

 

 

「ア…アウ…ナイ…ナイ…」

 

エネルギーが流れなくなったティキは糸が切れた人形の様になり、地面へと落下した。

それを見て驚愕するサンジェルマン。

 

「ティキッ!? ───ハッ!?」

 

そして響くヘリのローター音。そして…

 

 

「Balwisyall nescell gungnir tron」

 

「Zeios igalima raizen tron」

 

オリオン座が覗く宵闇の空に聖詠が響き渡り、響と切歌はギアを纏い着地した。

 

「そこまでデスッ!」

 

「シンフォギア…どこまでもぉぉぉぉッ!」

 

サンジェルマンはスペルキャスターを取り出してファウストローブを纏う。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

「でやぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

サンジェルマンの剣と、響の拳がぶつかるその時…

 

「「!?」」

 

大きな着地音と共に、何かが降りて来た。それは…

 

「グァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

プリミティブドラゴンになったカリバーだ。

しかし、無銘剣虚無は持っていない。

またしても遅い登場だが、彼の身体と精神が限界を迎え、壊れかけている事を考えると、当然だろう。

この時カリバーは、「神の力が顕現し、響と切歌がサンジェルマンによって敗れて命を落とす」と言う未来を見てしまい、この場所の近くで変身してしまったのだ。

 

「隼人さん…」

 

「不味いデス…!」

 

カリバーの赤い複眼が光る。

 

「カリバー…!邪魔をするなぁぁぁぁッ!」

 

サンジェルマンがスペルキャスターで斬りつけようとすると、カリバーはボイドタロンで締め付け、サンジェルマンを左手で持ち闇黒剣月闇で数回斬りつけると、地面に勢いよく投げ飛ばし、叩きつけて黙らせた。

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁッ!!……くっ…!!」

 

「隼人さん!」

 

「ヴゥゥッ…!ガァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

 

カリバーは2人に雄叫びを上げながら襲いかかり、響を殴りつけ、切歌を斬りつけて蹴飛ばした。

 

「うわぁぁぁぁッ!」

 

「あぁぁぁぁぁッ!」

 

しかし、響は立ち上がり襲いかかってきたカリバーの右手を掴む。すると、カリバーからとてつもない闇が溢れ出した。

 

「くッ……ッ!? 何だあれは…!?」

 

「何デスか…!?」

 

その光景に切歌とサンジェルマンは驚愕の表情を浮かべて、ただ見ていた。

 

 

 

 

 

 

「…ッ!! ここは…!」

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!あぁぁぁぁぁぁッ!」

 

再び隼人の心の中に入った。

そこにいたのは、暗闇の中ボイドタロンに縛られて身体に激痛が走る隼人の姿が。

 

「隼人さんッ!」

 

「………!? 何で来たんだよ…!!」

 

「決まってるじゃないですかッ!隼人さんを助けに来たんですよッ!」

 

響が向かい、手を隼人に伸ばすと、闇のオーラが響を包もうとするが振り払いながら進む。

 

「俺を助けるだと…!? 暴走も止められていないのにかッ!?」

 

響の目に、隼人とプリミティブドラゴンが現れ、重なる。

 

「あの物語には続きがあるんですッ!」

 

そして響は、皆で考えたハッピーエンドの物語を語り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

骨となり魂だけになった始まりの竜が暗い森を彷徨う中、1人の少女が竜を見つけました。

 

「どうしたの? 何で泣いているの?」

 

少女の問いかけに始まりの竜は答えませんでした。

大好きだった人間に裏切られた事で、人間を信じられなくなっていたのです。

しかし、少女は何度も何度も話しかけ、手を差し伸べしましたが、始まりの竜は話さず、手を取りませんでした。

そんな中、暗い森を独りで彷徨い続けると、自分が話しかけてきた少女が魔物に襲われている所を見つけました。

始まりの竜はどういう訳か人間を信じられなくなったはずなのに魔物を退けて少女を助けました。

少女は、始まりの竜が聞かされていた話と違う事に気付きました。

怒りと哀しみ、憎しみのまま暴れ恐れられていると言われていましたが、本当は心優しい事に気づいたのです。

 

「助けてくれてありがとう。君って優しいね!」

 

突然お礼を言われた始まりの竜は複雑な気持ちでしたが、自分でも何故助けたのか分かりませんでした。  

少女は始まりの竜にもう一度聞きました。

そして、仲間と友達を失った事が悲しく、仲間を求めている事を打ち明けました。

すると少女は、始まりの竜を連れてある場所へ向かいました。

暗い森を抜けると、そこは美しい大自然が広がっていました。

 

「君は独りじゃないよ。だって、友達はすぐそばにいるから。」

 

少女は広がる自然を指しながら始まりの竜に伝えました。

 

燃えるの様に温かい太陽は誰にでも光をくれる。

清らかなは生きとし生ける物達を潤してくれる。

吹きゆくが奏でるメロディーに草木は踊っている。

母なる大地のは全てを受け止めてくれる。

暗いでも、夜空に浮かぶ月と星のが見守ってくれる。

 

「この自然みんなが君の友達なんだよ!勿論私も!」

 

少女の言葉に始まりの竜は気づきました。

自分は1人じゃなかった事を。進む道を、大自然が見守っていた事を。

そして、大自然は竜となり始まりの竜と少女の元へ来て寄り添いました。

 

「ありがとう。友達を見つけてくれて。」

 

「私達はもう、友達だよ!」

 

少女の言葉に始まりの竜は喜び、涙を流しました。

その涙は悲しみの涙ではなく、喜びの涙でした。

始まりの竜は、ようやく失った仲間と友達に出会えたのです。

吟遊詩人達も詠っている。長い悲しみから救われ、仲間と友達に出会えた竜の歌を。

 

 

 

 

 

 

「俺とあの竜を重ねたのか…!でも、俺は仲間も友も求めていないッ!そんな事をしても最悪な未来は変わらないッ!」

 

「嘘ですよッ!素直になれないだけで本当は誰かと繋がりたいはずですッ!私達と繋がれば、きっと未来は変わりますッ!可能性は無限にあるんですからッ!」

 

暗闇の中で隼人と響はお互い叫ぶ。自分が誰かと繋がれば滅亡する未来が来る。だから誰とも繋がらない。

このまま破滅へと向かう目の前の隼人を助けたい。繋がりたい。お互いの思いがぶつかる。

 

「俺は人を斬った人殺しなんだぞッ!そんな俺が、今更誰かと繋がるなんて、未来を生きるなんて、そんな事許される筈がないだろうッ!!」

 

「今の自分が許せないなら、新しい自分に変われば良いんですッ!それが未来への一歩になりますッ!」

 

自身の事を涙を流しながら人殺しと言い、誰かと繋がり未来を生きる事は許せないと叫ぶ隼人に、新しい自分に変われば良いと言う響。

 

「俺に…そんな資格があるって言うのかッ!?俺にそんな資格は「あるッ!」

 

「ッ!?」

 

突如俺にそんな資格は無いという自分の言葉を掻き消して、あると言う声が聞こえた。響の元に何故かいるはずの無い翼達が現れたのだ。

あの時、翼達が響の手を繋いだ時に、力を貰ったのだろうか。

 

 

「同じ(つるぎ)を持つ者として断言するッ!お前にだって、変わる資格も、未来を生きる資格はあるッ!」

 

「お前に救われた奴は沢山いんだ!いつまでも変わんねえ過去引き摺ってないでいつもの自由なお前に戻れッ!」

 

「たとえ罪を犯したとしても、あなたなら何度だって立ち上がれるッ!前に進めるッ!」

 

「過去なんて生ゴミデスッ! 自分を育てる堆肥にしちゃえばいいんデスッ!」

 

「だから未来を恐れないでッ!あなたなら未来を変えれるッ!」

 

今までの戦いで彼女達を助け、背中を押して来た隼人。

その彼女達が今、彼の心の中に現れ、自分を助けようとしている。

 

「覚悟を超えた先にッ!」

 

「「「「「「希望はあるッ!」」」」」」

 

「ッ!!」

 

それは、戦いの中で幾度となく彼が言ってきた言葉だった。

 

「俺は……変わる……変われる……変わりたいッ!誰かと繋がり、未来を生きたいッ! うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

「隼人さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんッ!」

 

隼人は叫びながら、ボイドタロンの隙間から手を伸ばす響に右手を伸ばした。

それは、彼の心の闇の中の片隅に残っていた本心…魂の叫びだった。

そして2人の手が重なった時…暗闇の中に光が満ち溢れた。

 

 

 

 

 

 

「何デスか…?」

 

「何が起きている…!?」

 

その時、切歌とサンジェルマンは異様な光景を見ていた。

カリバーと響から黄色の閃光が放たれている。

そして光は徐々に消えていき、変身解除して涙を流している隼人と、彼の手を繋いでいる響が座り込んでいた。

 

「俺は……未来から……逃げ続けていた……手を差し伸ばされても……恐れていて……」

 

「ずっと、辛かったんですよね……でも、もういいんですよ……1人で全部背負い込まなくても……だって隼人さんは……独りじゃないんですから……」

 

響の両手は泣いている隼人の右手を優しくかつしっかり包んでいた。

その時、不思議な事が起こった。

響の両手のギアが光り出し、光が隼人の手に流れていく。

そして、光は新たな力を生み出す。

 

【エレメンタルドラゴン!】

 

響の隼人を助けたいと言う思いが生み出した光は、竜の表紙に紫と黄色のグラデーションが入った新たなワンダーライドブックとなった。

 

「これは…!」

 

「響さんから…ライドブックが生まれたデス…!」

 

駆け寄ってきた切歌も驚きだ。

隼人は涙を拭って闇黒剣月闇を手にして立ち上がる。

 

「俺に変われる資格が…未来を生きる資格があるなら…俺はもう逃げない!変えてやるよ!最悪な未来をッ!

 

その言葉に答えるかの様に、闇黒剣月闇が光りだし、邪悪なオーラを破り、鮮やかな紫色の光が溢れ、弾けた。

隼人はこの時、自覚が無いが闇黒剣月闇を邪剣から聖剣へと覚醒させていた。

 

「カリバー…!シンフォギア…!邪魔はさせないッ!」

 

気を取り戻したサンジェルマンは剣の状態にしたスペルキャスターを構える。

 

「いいや、とことん邪魔してやるよ。お前らの下らん野望を打ち砕く為にな。」

 

隼人は闇黒剣月闇を地面に刺し、邪剣カリバードライバーからプリミティブドラゴンを引き抜き、エレメンタルドラゴンのページを開いた。

 

【そして太古の力と手を結び全てを救う神獣となる!】

 

隼人はエレメンタルドラゴンのページを閉じ、プリミティブドラゴンのページを開いてスロットにエレメンタルドラゴンをセットした。

 

【プリミティブドラゴン!】

 

【エレメンタルドラゴン!】

 

【ゲット!】

 

そして闇黒剣月闇を引き抜き、スキャンした。

 

【ジャアクリード!】

 

そのまま勢いよく邪剣カリバードライバーにセット。

すると、いつもの待機音をかき消すエレキギターのロック調の待機音が流れ出す。背後にエレメンタルドラゴンが装填されたプリミティブドラゴンが降下し、そこから紫と黄色の体をした元素竜エレメンタルドラゴンが現れる。

響と切歌も、サンジェルマンも一体何が起こるんだと驚きの表情を浮かべている。

そんな3人をお構いなしに隼人は左手から右手に闇黒剣月闇を持ち替え、自身の前で掲げる。

今なら、戦える。響が編み出したこの力が絶望を希望へと変える。

そして勢いよくグリップエンドで邪剣カリバードライバーのボタンを押した。

 

【闇黒剣月闇!】

 

押したと同時にプリミティブドラゴンのプリミティブハンドと、エレメンタルドラゴンのページに描かれたエレメンタルドラゴンの手が手を取り合う様に重なり、プリミティブドラゴンの顔も紫色のカリバーの顔に重なった。

 

そしてゆっくり闇黒剣月闇を横に一の字に振り、手首をかえす。

 

「変身!」

 

そして上から縦に振り下ろす。

すると、闇のオーラを隼人が包み込み、そこへプリミティブドラゴンとエレメンタルドラゴンが手を繋ぎ、隼人の身体に重なって新たな姿に変化した。

 

 

【バキッ!ボキッ!ボーン!

  メラ!メラ!バーン!

  シェイクハンズ!

  エレメンタルドラゴン!】

 

【エレメントマシマシ!キズナカタメ!】

 

紫と黄色のローブに、手を繋ぐプリミティブドラゴンとエレメンタルドラゴンと紫色の増加装甲が追加され、ジャアクドラゴンに似たマスクは紫色となり左右対称、メタリックパープルとメタリックイエローのグラデーションが施されたソードクラウン。

ジャアクドラゴンのマスクに付けられた銀の仮面はメタリックパープルとなり、ネジの装飾も「マイナス」から「プラス」に。

そして響と繋いだ右手は黄色に変化している。

 

今、悲しみを乗り越えて、手を繋ぎ、四大元素の力と相反する光と闇の力を持つ誇り高き宵闇の剣士、仮面ライダーカリバー エレメンタルプリミティブドラゴンが誕生した。

 

「キズナカタメ…? 何かラーメンみたい…!」

 

「マシマシ…何デスかそれ…!?」

 

エレメンタルプリミティブドラゴンとなったカリバーの姿に驚く響と切歌だが、すぐに落ち着く。

 

「そんな事を言ってる場合か? 今するべき事をやるぞ。」

 

「やっぱり、戦うしかないんですね…」

 

「私もお前達…互いが正義を握りしめている以上、他に道などありはしないッ!」

 

サンジェルマンはスペルキャスターを向ける。

 

「だから俺は正義じゃないって言ってるんだがなぁ、行くぞッ!」

 

「「はいッ/デスッ!」」

 

「「「ハァァァァァァァァァァァァァァッ!」」」

 

走るカリバーに続き響と切歌は走り出し、イグナイト形態へ移行。

サンジェルマンも斬りかかり、カリバーも闇黒剣月闇で応戦。

そこへ切歌が鎌で攻撃、サンジェルマンが銃撃すると、カリバーが銃弾を水流で防ぎ、炎を浴びせて怯ませる。

 

「くぅぅッ!」

 

怯んだ隙にカリバーがサンジェルマンを闇黒剣月闇で数回斬りつけ、火花が飛び散る。

 

「何故だ!? 邪剣である闇黒剣月闇が賢者の石の力を…!」

 

「そんな事俺が知るかッ!」

 

【月闇居合!読後一閃!】

 

サンジェルマンの疑問を無視してカリバーは風の力で高速移動からの斬撃を浴びせ、そこへ響がパンチを繰り出し、切歌が鎌で斬りつける。

 

邪悪な力を持つ闇黒剣月闇が賢者の石の力をもろともせず、攻撃が効いてるのか。

それは、エレメンタルプリミティブドラゴンになっている影響のみならず、カリバーの思いに応えて、闇黒剣月闇が邪剣から聖剣へと覚醒しているからだ。

 

 

「カリバー、ガングニール、イガリマ、交戦ッ!」

 

「ユニゾン数値、安定していますッ! カリバーも暴走していませんッ!」

 

「あれが、新たなカリバー…!」

 

その様子はS.O.N.G.指令室にも映し出されていた。

 

 

 

 

2人の歌声は重なり、ユニゾンの力が溢れていく。

カリバーが闇黒剣月闇を手に、切歌は双斬・死nデRぇラで、響が突っ込む。

サンジェルマンは地面に黄金の結晶を放ち、空へ避けて銃弾の雨を降らすが、そこへカリバーが炎と風の力を組み合わせて響と切歌を銃弾の雨から守ると、風の力で飛び上がり、サンジェルマンを斬りつける。

そこへ響がパンチを、切歌が鎌で攻撃するが、バリアで防がれる。

 

二人サンジェルマンが3人を銃撃するが、突然水流が3人を襲う。

 

「「ああああぁぁぁぁッ!」」

 

カリバーは自らの身体も水流に変え、響と切歌を水流から脱出させて森へ着地した。

 

「信念の重さ無き者に!神の力を持ってして、月遺跡の管理者権限を掌握するッ!これによりバラルの呪詛より人類を解放し、支配の歴史に終止符を打つッ!」

 

サンジェルマンはスペルキャスターを手にカリバーと切歌に連続で斬りかかり、銃に変形させ、狼型のエネルギーを放つ。

カリバーは真っ先に切歌を射程から遠ざける。

 

「だとしても!誰かを犠牲にするやり方はッ!」

 

「人の事は言えないがそんな事が許されると思っているのかッ!新たな闘争を生み出すだけだッ!」

 

カリバーと響が闇黒剣月闇の斬撃波とドリル状のパンチでエネルギーを打ち消した。

 

「そうッ!32831の生贄と、40977の犠牲、背負った罪とその重さッ!心変わりなどもはや許さないわッ!」

 

背負った罪と重さ。だからこそ信念を貫こうとするサンジェルマン。

カリバーの目には彼女についさっきまでの自分が重なっていた。

 

「説教じみた事を俺が言うのは無粋だが、世界を変える気骨があるなら、その前にお前自身を変えろッ!

 

カリバーの言葉にサンジェルマンは2人を銃撃する。

2人は身構えると、銃弾は突然現れた魔法陣にあたり消えた。

しかし、2人の死角から魔法陣が現れカリバーは無意識に身体が炎と化し避けるが、響は直撃してしまい、吹っ飛ばされてしまう。

 

「ハァァァァァ!」

 

そこへサンジェルマンが飛びかかり、スペルキャスターを突き立てようとする。

 

「響さんッ!」

 

カリバーは響の元へ急ぎ、身体を起こそうとするが、そこへサンジェルマンがスペルキャスターを突き立てる。

 

 

「「ッ!!」」

 

「嘘だろッ!?」

 

その様子を指令室で見ていた弦十郎達は、カリバーと響が刺されてしまったのでは無いかと感じた。だが…

 

 

 

「くッ………!」

 

「隼人…さん…ッ!!」

 

ギリギリカリバーが間に合い、すんでの所でスペルキャスターの刀身を左手で掴んで響に刺さるのを防ぐと、闇黒剣月闇を納刀してサンジェルマンの左腕を掴んだ。

 

「捕まえたぞ……ッ! 今だッ!」

 

「……ッ!」

 

カリバーの言葉に反応した響は再び歌い、拳をサンジェルマンの腹にバーニアを点火。身体を浮かしてサンジェルマンを勢いよく押していき、カリバーも脇腹に右足を当てる。

 

「決めるぞッ!」

 

「「はいッ!/デスッ!」」

 

カリバーは響と切歌に叫び、プリミティブドラゴンのページを2回押した。

 

【必殺読破マシマシ!】

 

カリバーの右足に火、水、風、土、そして闇と光のエネルギーが集まり始め、加速していく。

そこへ切歌もバーニアで加速し、響の足と自身の足を1つにして更に加速。

 

【エレメンタル合冊撃!】

 

カリバーのエレメンタル合冊撃と響と切歌のユニゾン技、必愛デュオシャウトがサンジェルマンに炸裂した。

 

「これで話は終わりだ。」

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

カリバーの台詞と共に3人の必殺技にサンジェルマンは地面を削るほどの威力で押され、倒れた。

着地と同時に響と切歌のイグナイト形態が解除された。

しかし、サンジェルマンは身体に稲妻が走り、装甲のあちこちにひびが入っていながらも、痛みを堪えながら立とうとする。

 

「くっ……うぅ……!この星の明日の為に…!誰の胸にももう二度と…!」

 

 

そして脳裏に蘇る忌々しい記憶。

 

『奴隷が私に擦り寄るなッ!』

 

父親に見捨てられ、母親が衰弱死した幼き日の記憶。

その日から誓った。支配を革命する為に。

 

「あの様な辱めを刻まない為に…!私は支配を…革命する…!」

 

「まだそんな事を…!」

 

フラフラになりながらも立ち上がるサンジェルマンに闇黒剣月闇を向けるカリバー。

しかし、身体が限界を迎えたのか倒れてしまう。

 

「私もずっと正義を信じて握り締めてきた。だけど…」

 

響がサンジェルマンの元へ歩み寄る。

 

「拳ばかりでは変えられない事がある事も知っている…だから…」

 

そう言うと響は、サンジェルマンに手を差し伸べる。

 

「握った拳を開くのを恐れない。神様が仕掛けた呪いを解くのに、神様みたいな力を使うのは間違ってます。人は人のまま変わっていかなきゃいけないんです。」

 

「人は、人でなければならない。神の力など、その力は人類が持つには大きすぎる。だからこそ、人は人の力で前に進むべきだ。先人達も、そうやって今の世界を創ってきた。たとえこの世界に欲望と悪意が溢れていても。希望を持ってな。」

 

「だとしても…」

 

カリバーと響の言葉に反論しようとしても、言葉が詰まってしまう。

 

「いつだって、何かを変えていく力は「だとしても」という、不撓不屈の想いなのかもしれない…」

 

「……ッ!? 来る…奴が…!」

 

「え?」

 

サンジェルマンが響の手を取ろうとする時、招かれざる客が訪れる。

 

「そこまでにしてもらうよ。茶番は。」 

 

「アダム・ヴァイスハウプト…!!」

 

4人が空を見上げると、空中にアダムが立っていた。

そして、アダムの上に5つの魔法陣が現れ、赤いエネルギーが集まっていく。

 

「あれは一体…!」

 

「何が起きてるデスか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは……天を巡るレイライン!?」

 

エルフナインがラボでその様子を見ていた。

新たなレイラインの元、神の力が再誕しようとしているのだ。

 

「アダムはこの星からでは無く、天の星々から命を集める為、オリオン座そのものを神いずる門に見立ててッ!? マクロコスモスとミクロコスモスの照応は、錬金思想の基礎中の基礎だというのに、ボクは…」

 

アダムの手口…思わぬ落とし穴に気づかなかった事をエルフナインは悔やんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アダム、アダムガギデグレダア…」

 

力なく大の字に寝て言うティキの身体が光り出し、浮遊し始め、天へも運ばれた。

 

 

 

レイラインが集まっていく様子は弦十郎達と八紘も見ていた。

 

「星の海にて開かれる…」

 

「もう一つの、神いずる門…」

 

「超高レベルのエネルギー、来ますッ!」

 

 

そして宵闇の空に浮かぶ魔法陣から放たれる光がティキを包み込んだ。

 

「遮断出来まいよ。彼方にあってはッ!」

 

アダムがそう言うと、響が走り出す。

 

「止めてみせるッ!」

 

「待て!迂闊に突っ込むなッ!」

 

「フンッ!」

 

「あぁぁッ!?」

 

カリバーの静止も虚しく、響は突っ込むが、アダムが投げた帽子に当たり、地面に叩きつけられてしまう。

 

「おいお前ッ!」

 

「大丈夫かッ!?」

 

カリバーとサンジェルマンが響の元へ駆け寄る。

 

「教えてください統制局長ッ!…この力で本当に、人類は支配の軛より解き放たれるのですかッ!?」

 

「いや待て!奴はそんなつもりは最初から無いッ!」

 

するとアダムは答える。

 

「出来る……んじゃないかな? ただ、僕にはそうするつもりがないのさ。最初からね。」

 

カリバーの予想通り。

返ってきた帽子をかぶって答えたアダムはそのつもりは最初から無い。

 

「やはりな…!」

 

「──ッ、謀ったのか? カリオストロを、プレラーティを、革命の礎になった全ての命をッ!」

 

ここで伝えられる残酷な真実。

今までしてきた事が、全てが幻。彼女の中で信念が崩れ去った。

 

「あの錬金術師達もこいつも、全て使い捨ての手駒って事かッ!」

 

「用済みだな。君は。」

 

アダムが指を鳴らすと、ティキが動き出す。

そして、ここに来て闇黒剣月闇の未来予知が発動する。

 

「……ッ!!不味いッ! すぐにここから離れ…ッ!!」

 

カリバーが叫んだその時、ティキが口から光線を放った。

その威力は凄まじく、爆音が轟き、周囲が壊滅状態になる。

 

「この威力…!」

 

放たれた場所に爆炎が立ち込め、キノコ雲があがる。それだけじゃない…

 

「…edenal Emustolronzen fine el zizzl」

 

何と切歌が、絶唱で鎌を大型化させ、光線から3人を守っていたのだ。

 

「確かにアタシはお気楽デス…!だけど、誰か1人くらい何も背負っていないお気楽者がいないと、もしもの時に重荷を肩代わり出来ないじゃないデスかッ!」

 

何も背負っていないお気楽者だからこそ、誰かの痛みや苦しみを一緒に背負える。

それが彼女なりの考えだった。

 

「絶唱…!?」

 

「やめろッ!お前の身体が保たないッ!」

 

 

 

「ダメェェェェェェェェェェェェッ!」

 

指令室に調の悲痛な叫びが響き渡った。

 

 

「ぐ……ぐ……ぐぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

そして爆発の衝撃で鎌はへし折れ、切歌は地面へ叩きつけられた。

そこへカリバーと響が駆け寄る。

 

「お前……!何やってんだよ……!」

 

「切歌ちゃんッ!絶唱で受け止めるなんて無茶を……」

 

2人からしたら何で無茶をしたと言いたいだろう。

しかし、切歌は目から血を流しながら言う。

 

「響さんはもうすぐお誕生日デス……誕生日は、重ねていく事が大事なのデス……隼人さんは…何度も助けてくれたデス……だから……今度はアタシが……」

 

「こんな時にそんな事はッ!」

 

「もういいッ!話すなッ!」

 

「アタシは本当の誕生日を知らないから…お気楽者だから…」

 

「ッ!?」

 

「何…!?」

 

ここで知る切歌の秘密。2人からしたら驚愕だ。

まさか自分の生年月日を知らないなんて。

 

「誰かの誕生日と、誰かの命は、大切にしたいのデス…」

 

すると、切歌から薬瓶が3つ転がる。LiNKERだ。

 

「LiNKER!?」

 

「お前、過剰投与したのか!? それだけの量を打ち込んだらどうなるか分かっている筈だッ!」

 

 

 

 

 

 

ラボでその様子を見ていたエルフナインも驚愕していた。

 

「過剰投与で絶唱の負荷を最小限に……だけど身体への薬害がッ!」

 

切歌の身体は今、LiNKERによって汚染されている。

すぐに除去作業を行わなければ命が危ない。後遺症も残る可能性もある。

 

 

 

 

 

「切ちゃんッ!切ちゃんッ!切ちゃん聞こえるッ!?切ちゃんッ!?」

 

指令室では調が悲痛な叫び声で切歌に必死に呼びかける。

彼女にとって切歌は最高のパートナー。かけがえない存在だからだ。

 

「ただちに切歌くんを回収するんだッ!救護班の手配を急げッ!体内洗浄の準備もだッ!」

 

「はいッ!」

 

 

 

 

 

 

「これ以上勝手な真似をするのなら、お前を斬るッ!」

 

「2人には手を出させないッ!」

 

カリバーとサンジェルマンがアダムに向けて言い放つ。

 

「ほう。それが答えかな? 君達が選択した。」

 

「神の力……その占有を求めるのであれば、貴様こそが私の前に立ちはだかる支配者だ。」

 

「貴様を支配者の座から引き摺り下ろす。覚悟しろ。」

 

カリバーとサンジェルマンは闇黒剣月闇とスペルキャスターをアダムに向ける。

 

「実に頑なだね、君達は…忌々しいのはだからこそ…しかし間も無く完成する。神の力はッ!そうなると叶わないよ。君達に止めることなど。」

 

「いいや止めるさ。必ず。」

 

そこへ、響も2人の元へ歩み寄る。

 

「私達は、互いに正義を握り合い、終生分かり合えぬ仇同士だ。」

 

「だけど今は、同じ方向を見て、同じ相手を見ていますッ!」

 

「俺達の目的は1つ。そうだろう?」

 

「えぇ。敵は強大。圧倒的。ならばどうする? カリバーッ!立花響ッ!」

 

サンジェルマンの問いかけにカリバーと響は答えを出していた。

 

「簡単な事だ。答えは出ている。己の信念の持ち…」

 

「いつだって、貫き抗う言葉は1つッ!」

 

3人の答えは1つ。

 

 

 

 

 

 

 

「「「だとしてもッ!」」」

 

 

3人は立ち向かう。目の前の支配者を倒す為に。

しかし、この時カリバーは気づいていなかった。

プリミティブドラゴンとエレメンタルドラゴン、そしてホルダーにセットされたジャアクドラゴンが僅かに光っていた事を。

 

そして隼人の自宅の寝室では、ジャオウドラゴンとライドブックホンダナーに収納されているワンダーライドブックが、光っていた。

 

 




いかがだったでしょうか? 遂に手を繋ぐ事が出来ました。読者の皆様はどんな物語か当たりましたか?
響は心の中の隼人に手を伸ばすと言う形にしてみました。
作者の足りない頭を何とかしながら書いた結果こうなりました。
納得出来なかったら申し訳ありません。
エレメンタルドラゴンの変身音がセイバーと同じなのは、作者の足りない頭ではオリジナルの変身音を考えるのが出来なかったのと、斬月のシン・カチドキと同じ要領と、信念を燃やすと言う意味です。 
何か響から隼人へのいいテーマソングがあったら教えて下さい。
後隼人の決め台詞は賢人をパクって「これで話は終わりだ」に決定しました。


これでまた1つノルマ達成です。
残りは隼人への誕プレですね。とっくに過ぎてますが。
ちなみに響と手を繋いだここが、分岐点です。
第4章の最終決戦で隼人があの姿に変身する為に。
出したい思いが抑えきれないので…

ヒントはセイバー本編の寿司屋のアレです。

繋いだからカリバー ◯ム◯◯◯◯ス
繋がなかったら…◯◯◯◯ になってます。

今回はここまでです。感想お待ちしています。




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