【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

89 / 111
今回と次の次のクリスマスの回で第4章は完結の予定です。
新しい仮面ライダー、どんなライダーなんでしょうね?もしかしたらもしかするとこの小説の最終話に…


闇黒剣月闇「触らないでよ…! 闇に消えたいの…? 私に触れていいのは隼人だけなんだから…」
無銘剣虚無「害鳥から引き離してくれてありがとう…無に帰したいほど好き…」
プリミティブドラゴン「あなたの力…もちろん隼人を守る為に使うよね…?」
オムニフォース「あんなクズに力は使わせない…隼人が私の運命の人…」←NEW!

彼女達?らの愛はさらにエスカレートしていきます。
個人的に闇黒剣月闇が擬人化したら皮肉にも絶対響か瑠奈と同じ姿と声になりそう。




第73話 あなたを、もっと知りたい。

10月上旬、季節は哀愁漂う秋。少しずつ涼しくなって来た頃、隼人は街を1人歩いていた。

あれから1ヶ月が経ったが、アルカ・ノイズの出現やパヴァリア光明結社の残党が現れた事は無い。仮に現れたとしたら即刻永遠の闇に葬り去るだけだが。

もう直ぐこの世界に転生して4年になろうとする。ようやく自分も少しは前に進めたのだろうか。ついこの間まで心の闇や闇黒剣月闇の未来予知にプリミティブドラゴンの暴走で身も心も擦り切れていた自分が、前に進もうとしている。

過去の自分が今の自分を見たら一体何を思うのか。

自身の大切な人…瑠奈にそっくりな立花響と会ってから、自分の中で何かが変わった気がする。一体何なのか考えていると…

 

「あッ!隼人さんッ! 探しましたよッ!」

 

「?」

 

噂をすれば聞こえて来た。後ろを振り返ると、響と未来がやって来た。2人の後ろには何やら怪しげな黒い車が止まっている。

 

「どうした? 2人揃って。」

 

''探した''とはどういう事なのか。すると、響が思わぬ事を口にする。

 

「ちょーっと付き合ってくれませんか?」

 

「何だよ薮から棒に。」

 

付き合う? 付き合うとはどういう事だ。何に? 何の為に? 目的を聞かせて欲しいが、さっきからあの黒い車が気になって仕方がない。嫌な予感がする。

 

「すみません。少し響のわがままに付き合ってくれませんか?」

 

「わがまま?」

 

申し訳無さそうな笑みを浮かべる未来。すると、響が隼人の手を掴んだ。

 

「行きますよッ!さ、早く早くッ!」

 

突如響は隼人を引っ張り、小走りで黒い車の方へ少々強引に案内していく。

 

「お、おいッ! 引っ張るなッ!何に付き合うんだよッ!? 説明しろ説明をッ!」

 

装者の事もあってか年頃の少女とは思えないほど引っ張る力が強い。そのまま隼人は車の後部座席に押し込まれてしまい、そこへ響と未来が入りドアが閉められて車は出発。

一体何処へ向かうのか全く分からなかった。

 

「おい。何処へ連れて行く気だ?」

 

「すぐ分かりますよッ!」

 

「目的を言え目的をッ!」

 

そんなやりとりをしている内に車はある場所へと向かっていった。そして数分後、隼人は自身が連れてこられた場所が明らかとなる。そこは…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「師匠ッ!連れて来ましたよッ!」

 

「お? 来たか。」

 

響と未来に連れて来られたのは、S.O.N.G.の本部…いつもの指令室だった。

中には、翼とマリア、そして緒川を除いた弦十郎を初めとしたいつものメンバー達が勢揃いしていた。

 

「何だよ急に連れてきてッ!」

 

「少々強引なのは謝る。少し響君のわがままに付き合って欲しくてな。」

 

「お前らも付き合わされてたのかよ…ていうかわがままってなんだよ…」

 

だからわがままって何なんだ。それを教えて欲しい。何の為に自分をここに連れて来たのか。隼人の頭の中にはその事で頭がいっぱいだ。

 

「すぐに分かるぞ。このバカがお前としたい事なんて1つや2つだ。」

 

「隼人さんを探したのも苦労したんデスよ!」

 

「藤尭さんも友里さんも血眼になって探したの。」

 

「隼人さんってどこにいるのか分からなくて…やっと見つけてこうして連れて来たんです。」

 

「は、はぁ……ん?……ちょっと待て。お前何で俺の名前知ってんの……?」

 

隼人は、未来が自分の名前を口にした事に疑問を抱いた。何故知っているのか。教えていないのに。というか自分の顔を知っている事が引っかかる。一体どういう事なのか大体予想はつくが…

 

「実は私、民間協力者っていう形で響達に協力しているんです。」

 

「民間協力者?」

 

そう。未来はフロンティア事変の後…魔法少女事変、そしてパヴァリア光明結社との戦いにおいてS.O.N.G.の民間協力者として響達に協力しているのだ。

自身のお日様…響を支える為に。

 

「響から全部聞きましたよ。涙を隠しながらずっと1人で背負い込んで戦っていたんですね…」

 

予想通り。響が未来に話していた。

 

「……おしゃべりめ。」

 

「すみません…どうしても未来に相談したくて…」

 

「……ん?あと3人足りないな。防人と歌姫、忍者はどうした?」

 

隼人は指令室に翼とマリア、そして緒川がいない事に気づく。

 

「3人は今、海の向こう側にいるんだ。」

 

隼人の疑問に藤尭が答えた。話によるとパヴァリア光明結社との戦いの後、マネージャーの緒川と共に延期していた2人の夢のコラボレーションのライブツアーで世界各地を巡っているとの事だ。

戦場では勇ましい翼とマリアも剣を収めればトップアーティストなのだ。

 

「あの2人もこれから前より忙しくなるだろうな。」

 

「隼人さんも知ってるんですねッ!」

 

「あいつらのライブチケット、いつもプラチナチケット化しててダフ屋が出回ってるからな。」

 

「後、マリアさんと翼さんのファンクラブが世界中にあるんですが、その影響でファン同士のトラブルが多発しているみたいです。」

 

「宗派戦争も勃発してんのか…」

 

エルフナインの説明を聞いて、隼人はファン同士のトラブルやライブチケットのプラチナチケット化で改めて2人の人気ぶりを実感したのだった。

 

「この前なんか、翼さんのファンがリディアンに押しかけて来たり、勝手に敷地内に入って来たんですよッ!」

 

「聖地巡礼という訳か……っと話がずれたが、聞かせてもらう。何の為に俺をここへ連れてきた?」

 

少々話がずれてしまったがここで隼人は本題に入る。自分を何の為にここへ連れて来たのか。響が何をしたいのか。

隼人の質問で思い出したのか、響が口を開いた。

 

「私達、隼人さんの事もっと知りたいんですッ!」

 

「……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わりS.O.N.G.本部のレクリエーションルームにて、藤尭と友里を除いているのは弦十郎とエルフナイン、響、クリス、調、切歌、そして椅子に座る隼人だ。

 

「さぁ、今この部屋には俺達以外誰もいないし、誰も入らないように釘を刺してある。これで思う存分話せるぞ。」

 

「ここならボク達といろいろ話す事が出来ますよ。」

 

「盗聴器とかレコーダーとか仕掛けられてないよな?」

 

隼人はこの部屋に盗聴器やレコーダーが仕掛けられていないのか弦十郎に言った。当然彼は警戒している。

自分の事は勿論聖剣やライドブックについて誰かが聞いていたら面倒な事になるのは目に見えている。故に警戒心は持ったままだ。

 

「あぁ。先程俺達で探知機等を使って全てチェックしたから大丈夫だ。」

 

「壁の中で盗み聞きしてる奴とかいないよな?」

 

「か、壁の中デスかッ!?」

 

「怖すぎる……ッ!」

 

「いるわけねぇだろそんな奴ッ!」

 

「あ、あぁ。勿論いないッ!」

 

隼人の壁の中に人がいるかもしれないという発言に調と切歌はビクッと反応した。弦十郎も少し困惑しながらもいないと断言する。

そもそもS.O.N.G.の基地は潜水艦であり壁の中に人がいると言うのは到底無いとは思うのだが。

 

「隠れ身の術で隠れてる奴もいないよな?」

 

「緒川さんじゃあるまいし…」

 

「流石にそれは無いですよ隼人さん…」

 

隠れ身の術で隠れてるかもしれないの発言に響や未来も苦笑いだ。

 

「そんな不届き者はもちろんいないぞ。」

 

「とにかく話してくれよッ! あたし達は色々聞きたいことがあるからな。」

 

「せっかちだなぁ……まぁいい。俺が話せる範囲でなら……話すよ。」

 

こうして、響達による隼人への質問コーナーが始まったのであった…

しかし、勿論隼人も自分自身の事はプライバシーもあるのでそう簡単には話さない。ここから隼人と響達の質疑応答が繰り返される事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず最初に質問したのは、意外にも弦十郎だ。

 

「ではまず俺から質問させて貰う。前にも言ったが君は何者なんだ? 聖剣やライドブックの事よりも気になる。」

 

やっぱり初めはこれだ。下手に話せば身柄を確保されかねない。1番安全だと思う場所は実は1番危険な場所である事は分かりきっている。

政府からの回し者や内通者に聞かれたら元も子もない。警戒心は持ったままだ。

 

「俺? 人間だけど?」

 

「そういう事じゃねぇよッ! 自己紹介しろっつってんだよッ!」

 

''人間''という隼人の回答にクリスが突っ込んだ。

 

「いや何者かって聞かれたらまず人間って答えるだろ。逆に人間じゃないって答えたらどうする?」

 

「そ、それは…」

 

「あまりプライバシーに関する事は話したくないんだけどな……」

 

人にはそれぞれプライバシーがある。特に隼人は自分の事に関しては必要以上に踏み込まれたくない。下手に話して余計に混乱させてしまうのも避けておきたいからだ。

 

「そうか…それはすまなかったな。」

 

「気にしなくていい。誰にだって知られたくない事の1つや2つはある。」

 

「お前の場合1つや2つじゃ収まらないだろ…」

 

クリスの言う通り隼人には知られたくない事は1つや2つで終わるほどの量ではない。

 

 

「じゃあ次は私が質問しますね。」

 

次に質問をしたのは、響ではなく未来だ。

 

「響達は学生なんですがS.O.N.G.にシンフォギア装者として所属してるのは知ってますよね? 隼人さんって剣士の他にお仕事ってしてるんですか?」

 

意外にも職業についての質問だ。確かにここにいる未来を除いた響達は高校生とシンフォギア装者、二足の草鞋を履いている。普通の学生では到底両立出来ないだろう。

しかし、隼人の場合は…

 

「働いてないけど?」

 

「お前ニートなのかよッ!?」

 

隼人の口からストレートに飛び出た働いていないという言葉にまたクリスは思わず突っ込んでしまった。そう。隼人はニートだ。しかし、ニートはニートでも金を持っているロイヤルニートなのだ。

 

「働いたら負けだと思ってる。」

 

「完全にニートの台詞じゃねぇかッ!」

 

「隼人さんって…」

 

「ニート…なんですか…?」

 

「何だか知ってはいけない事を知ってしまった気がするデス…」

 

「そ、そうだね…切ちゃん…」

 

目の前にいる冷酷無情な宵闇の剣士がまさかのニート。これには一同も苦笑いだ。そこでエルフナインが隼人に聞く。

 

「働いてないならどうやって生活してるんですか?」

 

「腐るほど金あるからやりたい事やって自由に生きてる。」

 

確かに隼人には一生遊んで暮らせる程の財力はある。といっても散財する程金銭感覚は壊れていない。たまに贅沢するくらいだ。例を挙げるなら前に行った温泉旅行でフグを食べたり、高めのレストランに行く程度だ。

 

「やりたい事ってどんな事してるんですか?」

 

「コイツで旅費タダで自由に旅行行ったり、菓子とか大人買いしてる。何にも縛られずに自由に生きるっていいぞ。」

 

隼人はブックゲートを取り出しながら自分がとにかく自由気ままに暮らしている事を響達に話した。

 

「自由に旅行行ったりしてるんですかッ!? いいな〜ッ! 私も連れてって欲しいですッ!」

 

「もう…響ったら。」

 

目を輝かしている響を未来は微笑ましく見ている。隼人も響を見ながら、響と未来を初めとした皆を連れて行ったら1人で行く旅行も楽しくなるんだろうなと思った。

何にも縛られずに生きていると聞いた響達は隼人が素直ではなく自由な所があると知るのだった。

 

 

 

「じゃあ次はあたしが聞く。」

 

未来の次に質問したのはクリスだった。そして聞かれるのは誰もが思っている事だった。」

 

「お前さ、闇黒剣月闇とライドブックをどこで手に入れたんだ? あと害鳥野郎の剣もだ。」

 

クリスの質問に隼人の表情が変わり、真顔になる。それを見て響達も何やら彼の雰囲気が変わった事を察した。

 

「……それ、聞く?」

 

「俺達もそれが気になっている。君が持つ2本の聖剣…闇黒剣月闇と無銘剣虚無、そしてワンダーライドブック。これらを何処で手に入れたのか教えて欲しい。」

 

「ボクも凄く気になっています。完全聖遺物に近い物と推測しているだけあって凄く状態も良くて、その上能力も強力。一体これをどうやって入手したのか気になります。」

 

予想していた質問だ。実際は白いおっさんに転生特典として貰ったが、無銘剣虚無については並行世界から帰って来たら何故か家にエターナルフェニックスと共に置かれていた。

神様に転生して貰ったと言っても余計に話がややこしくなってしまう。

 

「こればっかりはどうしても言えないな。」

 

「はぁ? 何でだよ。減るもんじゃねぇし教えてくれたっていいじゃねぇか。」

 

「それは無理だが強いて言うなら無銘剣だ。並行世界で奴を倒して神山飛羽真に返しただろ?」

 

「飛羽真さんに返したのは知ってますよッ!でも何で隼人さんが持ってるんですか?」

 

もちろん響達も隼人が並行世界で害鳥野郎こと鳳真司を倒して無銘剣虚無とエターナルフェニックスは破滅の本と共に返したのは知ってるのだが、何故隼人は持っているのかは分からない。気になる事の1つだ。

 

「俺が並行世界から帰ってきた時に帰宅したんだ。そしたらな…」

 

「そしたら?」

 

「何故か俺の家に置いてあったんだよ。」

 

「…………は?」

 

「何だと……ッ!?」

 

隼人の発言に一同は唖然としてしまう。勿論返したはずの物がいつのまにか家に置かれていたとなると驚くのも当然だ。

 

「えぇぇッ!? 家に置いてあったんですかッ!?」

 

「嘘……ッ!」

 

「誰が置いたんデスかッ!?」

 

「ホラー過ぎる……ッ!」

 

信じられないかもしれないが、本当の事。一体誰が置いたのか未だに分からないのだ。

 

「怖すぎんじゃねぇかッ! 誰の仕業なんだよッ!? 」

 

「そんな事俺が知るか。皮肉にもそのお陰でパヴァリア光明結社との戦いでは役に立ったけどな。」

 

「意外とポジティブだなお前ッ! 少しは怪しむだろッ! もしかしたら何かヤべェ事が起こるんじゃねぇのかって疑ってもいいじゃねぇかッ!」

 

「ちょっと何言ってるか分かんないな。」

 

「何で何言ってるか分かんねぇんだよッ!」

 

響達の目の前で繰り広げられているのは、隼人とクリスの漫才だ。

 

「あーあ…クリスちゃんったら、隼人さんに乗せられちゃってる…」

 

「でも隼人さん、前より生き生きしてる気がするデス!」

 

「うん。あの時の凄く陰鬱していた時と大違い。」

 

「隼人さんって…すっごく自由なんだね…」

 

クリスとのやりとりを見て響達は、隼人が前よりも生き生きとしている気がしていると感じていた。闇黒剣月闇が見せる未来で絶望していた時とは大違い。

ようやく元気を取り戻したと実感している。

 

 

「はいはいッ!じゃあ次は私が質問しますッ!」

 

元気よく声を上げたのは響だ。

 

「隼人さんっていろんな力を使えるワンダーライドブックを持ってるのは知ってるんですが、どれくらいあるんですか?」

 

「どれくらい種類があるのか、ボクも気になります。」

 

響とエルフナインに言われ、隼人は鞄からタブレットを取り出してアプリを起動させて響達に見せた。

実は、最近買ったタブレットでワンダーライドブックライブラリというライドブックを管理するアプリを作成していたのだ。

このアプリにはただの管理アプリの為、データなどは入っていない故に他者に取られる事も無い。

 

「これが現状俺が持っているワンダーライドブックだ。」

 

「結構あるんですね…」

 

「響が言ってたブレイブドラゴンや青いライオンもこの力なんだ…」

 

「物語に比べて生物少なッ! 5冊だけかよッ!」

 

「いろんなの使ってるから数はあると思ってたけど…」

 

「20冊以上はあるデス…」

 

「隼人君のノートに書いてあった通り3つのジャンルに分かれているな…」

 

「神獣、生物、そして物語…様々な力はこの力と聖剣で引き出しているんですね……あ、そうだッ! 思い出したんですが…」

 

ワンダーライドブックについて、エルフナインが何やら思い出したかの様に隼人に質問した。

 

「実は気になっていたんですが、響さん達が絶唱やS2CAを使う時に一時的にフォニックゲインが急上昇していたと聞いてたんですが、それもワンダーライドブックの力なんですか?」

 

エルフナインが前から気になっていた事を隼人に聞く。それは、響達が絶唱やS2CAを使う時にフォニックゲインが一時的に急上昇している事だった。

他にも、調と切歌の絶唱のエネルギーを吸収したり、S2CAを放った時に響に来るバックファイアが消えているという事についてだ。

エルフナインの質問に隼人はタブレットを操作してあるワンダーライドブックを表示する。

 

「……これの事か。」

 

響達に見せたのは、「ブレーメンのロックバンド」だった。

 

「ブレーメンの…ロックバンド?」

 

「これには音を操る力を持つ。それを利用して絶唱やS2CAを放った時に放たれるフォニックゲインを吸収、それに同等する音のエネルギーに変換し、増幅して放っている。歌もだからな。それと同時に立花響に掛かるバックファイアのエネルギーを闇黒剣月闇で吸収して打ち消している。今なら無銘剣虚無で余剰エネルギーを無に帰す事で力を調和させる事も可能だな。」

 

隼人の説明は、響達装者に絶唱やS2CAの負荷を実質ゼロにするもの。リスクも大幅に減るという物だ。

 

「そうなんですか…!だから身体に負荷が掛からなかったんだ…!」

 

「凄ぇな…あたし達にとってメリットしかねぇ…!」

 

クリスの言う通り響達にはメリットしかない。フォニックゲインを増幅させ絶唱やS2CAの威力が上がると同時に負荷も無くなるからだ。

 

「なるほど…威力を増大させるだけでは無くバックファイアも打ち消すとは…」

 

「やはり凄まじい力を秘めているんですね…」

 

これには弦十郎もエルフナインも驚きだ。予想を遥かに越える闇黒剣月闇とワンダーライドブックの力。それを簡単に使いこなす隼人。敵対していたら間違いなく勝てなかっただろう。

 

「他にも山や森、月も修復出来るとは驚いたぞ。」

 

「後始末は大事だからな。後自然を大切にしてくれよ?」

 

隼人がいなかったら月は砕けたままでK2も世界3位になり森も放ったらかしのままだっただろう。

すると、何かを思い出したかの様に調が隼人に質問を投げかけた。

 

「ワンダーライドブックで思い出したんだけど、私達への怒りで出来たあれは何?」

 

「あのデッカい奴デス!」

 

切歌の言うデッカい奴とはジャオウドラゴンの事だ。

 

「あの人間に使いこなせるかどうか分からない奴だッ!」

 

「隼人さん身体は大丈夫なんですかッ!?」

 

「身体には異常は無いぞ…………今の所は。」

 

「隼人さんッ!もしかしたら隼人さんの身に何か起こるのかもしれませんッ!今すぐ使うのを止めましょうッ!」

 

いきなり響が顔色を変えて隼人に迫り、両手首を掴んで大声を出す。響はプリミティブドラゴンで暴走した時みたいに隼人に何かが起きると考えて心配しているのだが、これには隼人は勿論親友の未来も驚きだ。

 

「な、何だよ急に…!」

 

(珍しい…響が人助け以外でここまで誰かにこだわるなんて…)

 

「落ち着けバカ。そうと決まった訳じゃねぇだろ。」

 

クリスが響の頭に軽く手刀を振り下ろして響を落ち着かせた。

 

「ああ……すみません……前みたいな感じで何か起きそうかと思って……」

 

「気にしなくて良い……あぁ驚いた……急に大きい声出すなよ……」

 

気を取り直して、今度は調と切歌が質問をする。

 

「隼人さんが使ってたプリミティブドラゴンと…」

 

「あのマシマシの奴は一体何デスか?」

 

「私から生まれたあのライドブックですねッ!」

 

プリミティブドラゴンと響から生まれたエレメンタルドラゴンについてだった。

 

「プリミティブドラゴンか……あれは遥か昔から封印されてきた、人類に災いを齎すと言われている…禁書だ。」

 

「禁書だとッ!?」

 

隼人の発言に弦十郎が驚きの声を出す。

 

「やっぱり危険ですよッ! 絶対隼人さんの身に何か起こりますってッ!使うのは止めた方が良いですッ!」

 

「落ち着けってッ! 何も起きてないからッ!」

 

再び迫る響を引き剥がして落ち着かせる隼人。

善意なのは分かっているが、少々お節介な所がある。でもそれが響のいい所なのかもしれない。

 

「何故そんな物を君が持っているんだッ!?」

 

「あぁ、ベッドの下に置いてあったんだよ。」

 

「何でそんなヤバいもんがベッドの下にあんだよッ!?」

 

「そんな事俺が知るかッ!俺だってそんな物があるとは思わなかったんだよッ!」

 

隼人の言う通りプリミティブドラゴンの禁書も夢で富加宮と会った時に何故かベッドの下にあったものだ。

本当に謎。一体誰が何のために置いたのか未だに分からないのだ。

 

「とにかく、それはさておきエレメンタルドラゴンに付いてだ。」

 

「世界を構成する自然界の四大元素と相反する光と闇の力…ボクも驚いています。まさか響さんから生み出されるなんて、これも奇跡だと思っています。」

 

「立花響から生まれたあの力で、あれ以来暴走する事は無くなった。お前が生み出したエレメンタルドラゴンのお陰だ。ありがとな。」

 

響と手を繋いだ事で生まれたエレメンタルドラゴンの力。そのお陰でプリミティブドラゴンを制御出来、ようやく前を向く事が出来たのだ。

 

「いやぁ〜それ程でも〜!あの時は隼人さんを助けたいと無我夢中だったのでまさか私からライドブックが生まれたのは驚きですけど私のお陰だなんて〜!」

 

「お前だけのお陰じゃねぇだろ。」

 

照れる響の額を手の甲でぺしっと叩くクリス。隼人は響のお陰だと思っているのは分かるが、実際は違う。

 

「あはは…」

 

「もう…響ったら…隼人さんに会ったら見せる物があったでしょ?」

 

「あッ!そうだったッ!ちょっと待っててくださいッ!」

 

響は何かを思い出したかの様にレクリエーションルームを飛び出していくと、数分後に数枚の紙を持って戻ってきた。

 

「これ、隼人さんに見てもらいたいんです。」

 

「これは…」

 

それは、響達がプリミティブドラゴンの悲しみの物語をハッピーエンドにする為の物語が書かれた紙だった。

 

「響と作詞の経験のある翼さんとマリアさんが中心になって書いたんですよ。」

 

「これ考えるのに苦労したんだぞ?」

 

「私達で隼人さんへの恩返しとしてこれを考えたの。」

 

「今までたくさん助けてくれた身体今度はアタシ達の番という訳デスッ!」

 

紙をよく見ると、消した後が幾つもあり、何度も何度も書き直して苦労して考えたのがよく分かる。

未来に絶望して暴走を繰り返しながら破滅へ向かう隼人を助ける為に、未来は変えられる事を証明する為に作り、響がライドブックとして生み出したエレメンタルドラゴン。

 

「決してお前だけの力では無かったんだな…」

 

「私達人は決して1人では生きていけません。困った時、頼れる誰かがいる。それはとても大切な事なんです。そしてそういう人の事を、友達って言うんですよ。」

 

「友達…か。悪くないな。」

 

響の友達という言葉で、隼人は表情を緩めた。

 

「話していたら、何か小腹が空いて来たデス! お菓子か何か食べたいデスね〜」

 

「切ちゃんったら…」

 

「え? 菓子? 食いたいなら出してやるよ。」

 

【ヘンゼルナッツとグレーテル!】

 

【ジャアクリード!ジャアクヘンゼル!】

 

隼人は闇黒剣月闇を取り出してヘンゼルナッツとグレーテルを起動して闇黒剣月闇にスキャンした。

すると、机の上にスナック菓子やチョコレート、ケーキを初めとした様々なお菓子が現れたのだ。

 

 

「うわぁ〜ッ!お菓子がいっぱいッ!」

 

「凄えな…!」

 

「隼人さんってこんな事も出来るんですね…」

 

「美味しそうデスッ!」

 

「これ、食べても良いの?」

 

勿論響達は目の前のお菓子に興奮。隼人は好きなだけ食べなと響達に言い、美味しそうにお菓子を食べる響達を微笑ましく見るのであった。

すると、弦十郎か隼人の元へ歩いてくる。

 

「闇黒剣月闇の力には俺も驚きだ。それを使いこなせる隼人君もな…どれ、少し手に取っ……ッ!?」

 

弦十郎が隼人の側に置いてある闇黒剣月闇を手に取らせてくれないかと言おうとした瞬間、弦十郎は立ち止まり、顔が引き攣る。

この時、OTONAの弦十郎にだけ見えていた。

隼人の背後に、鬼の様な形相で弦十郎を睨みつける響にそっくりな紫色のエネルギー体の少女が…

 

「どうかした?」

 

「いや、何でもない…」

 

弦十郎が引き下がると、その少女は消えた…

 

「…そうだ隼人君。思い出したんだがアダム・ヴァイスハウプトとの最後の戦いで見せたあの姿は一体何だ?」

 

「あ、そうですッ!ボクも気になってましたッ!破壊された街を元に戻したあの力は何なんですか?」

 

響達とお菓子を食べていたエルフナインも気になっていた事。

あれは一体何なのか、凄く気になる。

 

「私達も気になりますッ!」

 

お菓子を食べていた響達も弦十郎とエルフナインの声を聞いて集まって来た。

 

「あれはな、全知全能の書…大いなる本の力だ。」

 

「大いなる本って…飛羽真さん達が言ってた…!」

 

もちろん響達も覚えている。飛羽真達の世界を創造したと言われている全知全能の書。

あの時見せたあの姿がその力とは。響達も驚きだ。

 

「でもな、あれでもまだ不完全だ。」

 

「あれで不完全だとッ!?」

 

「街を修復する力を持っていても不完全…もし完全な力だったら…神の力に匹敵…いや、それ以上が予想出来ます…!」

 

「あれで不完全だなんて…!」

 

「あんなチートな力でも不完全なのか力なのかッ!?」

 

弦十郎やクリスは驚いた。もちろん響達もだ。異なる力を組み合わせて放つ力に街を修復する程の力。

それでもまだ不完全だとは思わなかった。もし完全な力なら計り知れないだろう。

 

「これだけでも驚きだが、もう1つ…隼人君が持つ剣からアウフヴァッヘン波形が検出された。」

 

「アウフヴァッヘン波形ッ!? それってもしかして…!」

 

アウフヴァッヘン波形が検出されたという事は、聖遺物を持っている事となる。

ただでさえ反則な力を持つカリバーが聖遺物の力を持っているのならさらに強さが増す。

 

「はい。照合してみた所、波形はエクスカリバー、そして、カラドボルグである事が判明しました。」

 

エクスカリバー…アーサー王伝説に登場するアーサー王が持つと言われている剣であり、そしてカラドボルグはケルト神話に登場する英雄、フェルグス・マック・ロイが持つ魔剣であり、エクスカリバーの原型と言われている。

まだ見つかっていない聖遺物を何故持っているのか、弦十郎とエルフナインはあの時から気になっていたのだ。

 

「あれはライドブックの1冊、キングオブアーサーとさっき話した全知全能の書の力…オムニフォースに宿る剣だ。」

 

「オムニフォース…全ての…力…」

 

隼人はタブレットを操作してキングオブアーサーを見せる。

 

「ワンダーライドブックに宿る剣…」

 

「だから厳密にはライドブックの力だ。聖剣とは違う。あの力は計り知れない。」

 

そう。キングエクスカリバーもカラドボルグもそれぞれライドブックに宿る剣。

闇黒剣月闇や無銘剣虚無とは違って聖剣では無いのだ。

すると、未来が思いもよらない事を口にした。

 

「じゃあ、隼人さんの側にあるそれが、全知全能の書の力…」

 

「そういう事……ん? ちょっと待て。今何て言ったッ!?」

 

未来の発言に血相を変える隼人。

 

「えッ!? 隼人さんの側にあるって…」

 

「それどういう事だよッ!?」

 

「だって…

 

未来が指を指す方向には…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隼人さんの隣に置いてあるから…」

 

何故かオムニフォースが隼人の横に置かれていた。まるで彼氏に寄り添う彼女の様に…

 

未来に言われて横を見ると、何故か家に置いてきたオムニフォースが置かれている。

一体何故なのか全く分からなかった。隼人の顔が恐怖に満ちた顔になる。

 

「おいちょっと待て…何でこれがここにあるんだよ…ッ!」

 

「え? 隼人さんが持って来たんじゃ…」

 

「そんな訳あるかッ!そもそも俺の元にあるのがおかしいんだよッ!」

 

そう。隼人の元にある事事態おかしいのだ。このオムニフォースは隼人が行った並行世界とはまた別の世界から生まれた物。しかし、肝心の隼人の元へ向かう流れは知る事が出来ず、消失したのだが、夢で富加宮と会った後に目が覚めたら何故か置かれていたのだ。

その後、再び隼人からオムニフォースに付いて説明を受けた弦十郎達はやはり戦慄したのは言うまでもない。

 

「はぁ…とりあえず俺はこれらを使ってこれからも戦い続ける訳だが…お前達は何の為に戦ってるんだ?」

 

今度は隼人からS.O.N.G.のメンバー達へ質問だ。

すると、弦十郎が口を開く。

 

「俺達S.O.N.G.はこれからもアルカ・ノイズや錬金術師から人々を守る為、その身をかけて戦い続ける。全ては世界の平和の為に。報酬は人々の笑顔ただ1つ。それが俺達の戦う理由だ。」

 

響達装者も、弦十郎や緒川に藤尭と友里、そしてエルフナインはこれからもアルカ・ノイズや錬金術師達から人々を守る為に戦い続ける。

戦いは終わらない。しかし、必ず終止符を打つ。

その為に、S.O.N.G.は人々の平和の為に戦い続けるのだ。

 

「じゃ、俺はこの辺で。飯食いに行くから帰るわ。」

 

「いやいや自由過ぎんだろッ! ニートのくせにッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、アメリカ ホワイトハウスにて…

 

「大統領、各国からの非難が相次いでいます…」

 

閣僚らしき人物が大統領に状況を報告している。

 

「くそ…ッ!何故分からない…ッ!安全性保障の為だというのに…ッ!」

 

国連で否決されたにも関わらず反応兵器を発射したアメリカは、各国から非難が相次いでいた。

 

「このままでは、我々の立場が危うくなるのは時間の問題だと…」

 

「ならば…黙らせれば良い…!すでに手は打ってある…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、日本に向けてアメリカ軍の特殊部隊が大統領令を受け密かに向かっていた。

アメリカは表向きに名誉挽回の為S.O.N.G.に協力し、パヴァリア光明結社の残党を摘発している事を世界に示しているが、実際は非難する各国を黙らせる為に世界最強の抑止力として扱われているカリバーを手に入れようと動き出したのだ。

 

「すぐに終わらせるぞ。」

 

「はい。いざとなればこれでカリバーを揺さぶれますからね。」

 

兵士が手にしているのは、アルカ・ノイズを召喚する結晶と金の獅子の飾りだった。

何故彼らがこれを持っているのか。実はパヴァリア光明結社の残党を摘発している時に押収、密かに鹵獲した物だ。

 

「カリバーの力を手にするのは他でもない。我々こそが相応しい。」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ラーメン屋でラーメンを啜り、炒飯と餃子を食べている隼人は、自分がまた手を汚さなければならない事が起こる事を知る由もなかった。

 




いかがだったでしょうか?
今回は隼人と響達の交流回です。最近仕事が忙しいので更新が空いてしまいますが、何とか頑張ってます。
弦十郎にだけ見えたあの少女は一体何だったんでしょうね?
次回はロイヤルニートの隼人の1日を響達が探偵みたく調査する回とアメリカさんへのキツいお仕置きになると思います。
どんなお仕置きになるか予想してみて下さい。

今回はここまでです。感想お待ちしています。

「隼人さんって、普段何してると思う?」

「あいつこんな事してんのか…」

「大人しく渡さなければ、どうなるか言うまでも無いだろう?」

「お前達がそのつもりなら、こちらも遠慮はいらないな。」

次回「知られざる、剣士(ニート)の一日。」


闇黒剣月闇「何こいつら…隼人を狙うなんて…闇に消えたいのかな…?」
無銘剣虚無「隼人を狙うクズ共は全員無に帰さないと…ね?」
プリミティブドラゴン「隼人を守らなきゃ…あんな奴等は破滅させなきゃ…」
オムニフォース「私達の力で…フフ…消しちゃえばいいんだ…!」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。