【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

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7月になって暑くなってきましたね。
まず最初の難所の部分です。ここでまだ原作5期2話なので先はまだ長いです。
オムニフォースとグリモワール、すぐに予約しました。






第79話 生命(いのち)が消え、歌は血に染まる。

南極での作戦終了後に帰還途中だったS.O.N.G.は、アヌンナキの遺骸を輸送中のアメリカ海軍を襲撃するアルカ・ノイズの殲滅の為、警戒待機した調と切歌が出撃。

そこへ焼肉を食べ損ねたカリバーを含めた3人の目の前にパヴァリア光明結社の残党の1人、エルザが現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人はエルザを追って空母内部へ進入。暗い廊下の中は僅かに明かりが付いているだけで、薄暗い。

しかし、闇の剣士であるカリバーはカリバーヘルムにより、闇の中でも通常と変わらない視界を確保する事が出来るのだが、相手を見つけられなければ意味がない。

カリバーと調は廊下の中でエルザを探す。すると、2人の背後を何かが駆け抜けた。

 

『後ろだッ!』

 

『鬼ごっこなら、シュルシャガナでッ!』

 

カリバーと調が走り出すと、その先にエルザか待っていた。そして後ろでは4体のアルカ・ノイズが待ち構え、不意打ちで解剖器官を伸ばす。

咄嗟に2人は距離を取るが、その隙をついてエルザが動く。

 

『アタッチメントッ!』

 

スーツケースからコードを伸ばし、尻に突き刺す。

すると、先程の猫の様な拳を出した。

 

『ネイルッ! ぶち抜くでありますッ!』

 

カリバーは咄嗟に闇黒剣月闇でガードするが、回避が間に合わなかった調は廊下の床に叩きつけられてしまった。

 

『月読調ッ!』

 

『カリバー、あなたの持つ力を渡してもらうであります。』

 

エルザは、カリバーの持つ力…即ちワンダーライドブックと闇黒剣月闇、そして無銘剣虚無を渡してもらうと宣言した。

新たな敵が来たと言うことは勿論これらを狙うのは目に見えていた。

 

『やはりそれも狙いか。誰の命令かは知らんが、パヴァリア光明結社の残党ならば始末させてもらう。』

 

カリバーはエルザに闇黒剣月闇の切先を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、2人と別の場所にを走る切歌はエルザがアルカ・ノイズと遭遇。破壊された壁から無数の数が姿を現した。

 

『今更ノイズが何体出てきた所でッ!』

 

切歌が鎌を振り上げたその時、鎌の刃が配管に引っかかってしまった。

 

『うあ……デェェェェッ!』

 

その隙をついてざまぁみろと言わんばかりに切歌にアルカ・ノイズが迫る。

 

『デェェェェェェッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

『フンッ! ハァッ!』

 

その頃、カリバーはエルザとお互いに攻防を狭い廊下の中で繰り広げていた。カリバーの闇黒剣月闇とエルザのテール・アタッチメントがぶつかり合い、更に召喚されたアルカ・ノイズがエルザに立ち塞がる。

 

『丁度いい。ここで貴様らの目的を吐かせてもらうぞ。』

 

『知る必要は無いでありますッ! それにしても他愛ないでありますッ! 完全なる命を砕いたシンフォギアかあの程度だなんて───』

 

エルザか叩きつけられて動かない調に対して他愛もないと吐き捨てたその時…

 

『それはどうかな?』

 

『?』

 

カリバーの言葉と共に2人の足元に調のヨーヨーが転がる。それを見たカリバーは咄嗟に後ろへ距離を取った。すると、ヨーヨーが回転し始め、カリバーにけしかけたアルカ・ノイズを斬り刻んだ。

 

『まさか…ッ!』

 

そのまさかだ。

 

『私を変えてくれた人がいる……強くしてくれた人がいる……簡単には負けられないッ!』

 

赤い煙と共に調が立ち上がった。

実はあの時、回避が間に合わなかった調にカリバーが咄嗟にエレメンタルドラゴンの水の力で水のクッションを作り出し調に来る衝撃を軽減させ、反撃の機会を作っていたのだ。

 

『さぁ、反撃の狼煙は上がった。行くぞ。』

 

『うんッ!』

 

調はお返しと言わんばかりにα式 百輪廻を繰り出す。エルザはテールアタッチメントで防御するが、その隙をついてカリバーが水の力で水流をエルザに浴びせ、怯ませる。

そこへ調が縦横無尽に動きながら2つのヨーヨーをエルザに飛ばし、エルザも回避する。しかし、調が糸を廊下に張り巡らせたのを見てカリバーはある事に気づき、ヘンゼルナッツとグレーテルを取り出して起動、闇黒剣月闇にスキャンした。

 

【ヘンゼルナッツとグレーテル!】

 

【必殺リード!ジャアクヘンゼル!】

 

調のヨーヨーがエルザを包囲する。そう。相手の逃げ場を無くす調の技、β式 獄糸乱舞だ。

 

【月闇必殺撃!習得一閃!】

 

闇黒剣月闇から放たれたお菓子のエネルギーの斬撃波がエルザに迫り、テール・アタッチメントで防御しようとするが、一歩遅く吹き飛ばされる。

 

『あぁぁッ!』

 

ダメージを向けたエルザは床に転がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、召喚されたアルカ・ノイズを切り刻みながら切歌は鎌を2本の手鎌にして廊下を走っていた。

 

『ダウンサイズしてしまえば、狭くたって問題は無いのデスッ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、エルザは廊下を調の丸鋸を避けながら移動していた。が、調の攻撃を避ければカリバーの放つ水流や火炎弾をくらい、カリバーの攻撃を防ごうとすれば無防備な所へ丸鋸が放たれる。そして遂に…

 

『調ッ! カリバーッ!』

 

切歌と合流。挟み撃ちだ。

まずは調が歌いながらヨーヨーを合体、大型化させエルザに投げつける。

 

『そんな大雑把な攻撃が、当たる訳がッ!』

 

一見大雑把に見えるこの攻撃だが、ある狙いがあった。それは…

 

『それはどうかな?』

 

『ッ!?』

 

後方で調のヨーヨーを切歌が鎌と合体させたのだ。

 

『嘘でありますッ!』

 

エルザが驚く中、調が再びα式 百輪廻を繰り出し、今度はカリバーがエルザに向けて炎を放つ。

 

『うぅッ!』

 

怯ませているその隙に切歌が合体させたヨーヨーと鎌を大型化させた。そして、エルザに発射。2つに分離し、調が縦横無尽に操る。それを見たエルザは回避行動に取るが、カリバーがそれを見逃す訳がない。

 

【ヘンゼルナッツとグレーテル!】

 

【ジャアクリード!ジャアクヘンゼル!】

 

再びヘンゼルナッツとグレーテルを取り出して起動し、闇黒剣月闇にスキャンすると、エルザの足元にシロップを放った。

ここで、必殺技を打つ手もあるが威力の関係で空母が沈没しかねない。

 

『あ、足がッ!?』

 

『今だッ!』

 

シロップでエルザの動きを封じ、その隙に2つの大型の棘付きヨーヨーが動けなくなったエルザに迫る。

そして、沈没はしないものの、空母の船体に穴が開く程の爆発が起きた。

 

『やったね2人ともッ!』

 

『今夜はハンバーグなのデースッ!』

 

『いや待て…ッ!』

 

思わず夜は焼肉だろと言おうとしたカリバーは何とか抑え、瓦礫がある場所を2人に見る様に言う。すると…

 

『やってないッ!任務遂行を優先して、こちらが加減してたでありますッ!』

 

エルザが瓦礫の下から飛び出し、シロップをテール・アタッチメントで取り払った。その時…

 

(そうよエルザちゃん。やり過ぎて船ごと聖骸を沈める訳にはいかないわ。撤退しましょう。)

 

『撤退でありますか?…そんな簡単に…』

 

とある場所では、あの女性がメイクをしながらエルザにテレパシーで撤退する様言った。彼女のまたパヴァリア光明結社の残党の1人、ヴァネッサだ。

 

『可愛いエルザちゃんをボロボロにしてまでの任務じゃないわ。カリバーに付いてはまた今度にしましょう。』

 

『誰と話している? 貴様の仲間か?』

 

『うう……ガンス。……帰投であります。』

 

ヴァネッサに可愛い人言われたエルザは顔を赤くすると、テレポートジェムを用いて撤退した。

 

『とりあえず、勝てた?』

 

『今日の所は…な。』

 

『少なくとも、あの気味の悪いミイラは守れたのデス…』

 

(これがおみくじが示していた、大凶なのか…?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ただちに救護班を向かわせろッ!』

 

『世界に敵対する新たな脅威…』

 

新たな敵の出現により、再び戦いの幕が開けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我々S.O.N.G.も、極冠にて回収した遺骸の警護に当たるべきではないでしょうか。」

 

「気持ちは分かるわ。でも、遺骸の調査・扱いは、米国主導で行うと各国機関の取り決めだから、仕方ないじゃない。」

 

今回、各国機関は威信を失い国際社会で孤立しているアメリカに名誉回復の最後のチャンスを与える事などを理由に、アヌンナキの遺骸の調査を提案していたのだ。

 

「日本政府やS.O.N.G.に、これ以上聖遺物と関わらせたくない国も少なくないですからね。それに、隼人さんの事もありますから。」

 

「彼が世界における抑止力として日本にいる以上、それを快く思わない国もいるわ。」

 

S.O.N.G.は日本が保有する異端技術を出来る限り目の届く所に置いておきたいという各国政府の思惑もあって設立された組織。

おまけにこれまで散々横槍を入れてきたアメリカの行為を全世界に公開した仮面ライダーカリバーこと隼人も各国から日本政府に身柄を確保しろと催促されているのだ。

しかし、現状はアメリカの二の舞になる事を恐れて手が出せない事を盾に、日本政府は「仮面ライダーカリバーは日本にいる以上日本の物だ」と主張している。

 

「せめて、私達が警護に当たれば、被害を抑えられ……あいたッ!?」

 

突如、マリアが翼の額にデコピンを浴びせた。

 

「今やる事と、やれる事に集中するのッ! ステージに立って歌うのは、あなたの大切な役目のはずでしょ?」

 

「むううう…不承不承ながら、了承しよう。だが、それには1つ条件がある。」

 

「…は?」

 

マリアのサングラスを取って笑みを浮かべる翼が言う条件とは…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、アメリカのロスアラモス研究所にてアヌンナキの遺骸が調査されている頃、S.O.N.G.では指令室の弦十郎と鎌倉の訃堂がその事について通信で話し合っていた。

 

『報告書には目を通した。政治介入があったとはいえ、先史文明期の貴重なサンプルの調査権を米国に掠め取られてしまうとは…なんたる無様ッ!』

 

「カリバーが起こした行動に影響があったとはいえ、反応兵器の使用をはじめ、これまでの騒乱に様々な横槍を入れてきた米国に対し、一層の注意を払うべきでした。」

 

遺骸の調査が米国が行う事に憤慨する訃報。

彼からしてみれば反応兵器を使い国を火の海にしようとした憎むべき国だからだ。

 

『更には、パヴァリア光明結社の残党をのさばらせおって。』

 

「それについても対応中であり……」

 

『お前にも流れる防人の血を辱めるなッ!一刻も早く殲滅せよッ!その為にも、宵闇の剣士をものとしろ。』

 

パヴァリア光明結社の残党を殲滅とカリバーを捕獲しろと言った訃堂は通信を切った。

 

「ふぅ…」

 

明るくなった指令室で緊張感から解放された弦十郎は椅子に座り、ネクタイを緩めた。

そこへ、友里が弦十郎にコーヒーを渡した。

 

「司令。あったかいものどうぞ。」

 

「あぁ、あったかいものどうも。すまないな。」

 

「鎌倉からのお叱り……今まではほとんど無かったのに、随分と頻度が増えましたね。」

 

「うむ……そうだな……パヴァリア光明結社の残党、隼人君を捕獲しろとの命令…解決しなければならない問題が山積みだ……」

 

弦十郎は山積みとなった問題をどうするか考えながら、コーヒーを1口飲んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久々のライブだよッ! 翼さんの凱旋公演だよッ! だけどこんなじゃ間に合わないよ〜ッ!」

 

夕方、東京の高速道路が渋滞している中、未来と共に後部座席に座る響は困っていた。今日は翼の凱旋ライブなのだ。

そこへ、隣の車線にクリスと調と切歌が乗る車が並ぶ。

 

「どうしようもないだろッ! 道路が混雑してんだからッ!」

 

「マリアも急に来られなくなるなんて……」

 

「ついてない時は、どこまでもダメダメなのデス…」

 

「隼人さんに頼めばブックゲートですぐ行けるのに〜ッ!」

 

「あいつが何処に住んでるのも、連絡先も分かんねぇから無理だろッ!」

 

困る響の声とクリスのツッコミが黄昏時の空に響くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、観客達の歓声が響き渡り、青いサイリウムが会場を照らす中ステージの上で、Tsubasaの文字が映し出されると同時に、and Mariaの文字が映し出された。

 

「え? マリアって……確か……」

 

その時、翼の美しい歌声が会場に広がり始め、その隣に何故かマリアが現れ、マリアの力強い歌声が重なる。

やがて2人は走り出し、長い滑り台を滑っていく。

思わぬサプライズに観客達は大盛り上がり。歓声が響き渡る。

何故マリアがステージに立っているのか。それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そんなの、無理よ……出来ないわッ!』

 

顔を赤くして無理と言うマリア。

 

『いつか、私と歌い明かしたいと言ってくれたな。』

 

『でも……私には……』

 

『私は歌が好きだ。マリアはどうだ?』

 

そう。これが翼の言った条件だ。

 

 

 

 

2人は華麗に着地し、歌う。大好きな歌を精一杯歌う。

 

翼とマリアの歌声は観客の誰もを魅了し、ステージは2人が駆け抜ける度に青やピンクへ鮮やかに輝く。

そしてサビに突入と同時に2人は以上を脱ぎ捨て、動く足場で歌う。会場のボルテージは最高潮。ステージが黄金に輝く。

歌い終わりと同時に観客は興奮状態。2人も笑顔で手を振る。

 

(アーティストとオーディエンスが、1つに繋がり、溶け合った様な感覚…まるであの日に故郷の歌が起こした奇跡の様な…)

 

 

だが、人々の歓声が恐怖に満ちた悲鳴断末魔へ変わる時が、迫っていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、夕飯に今度こそ焼肉を食べに行こうとした隼人は、出かけようとする。すると…

 

「ッ!? うぅ……ッ! くぅぅ……ッ!」

 

その時、激しい頭痛と共に闇黒剣月闇の未来予知が発動。ここで啓示される未来は…

 

「これはまさか…4年前と同じかッ!? ……これは…ッ!?」

 

「凱旋ライブの観客が全員死亡し、防げたとしても7万人が犠牲になり翼とマリアも戦死する」というものだ。

4年前と同じ1月に起きたツヴァイウィングのライブの惨劇。

そして4年後の今日、同じ悲劇が起ころうとしている。

同時にその未来を掻き消すかの様に新たな未来の災いが啓示され、頭の中がこんがらがる。

こんな事をしている場合ではない。隼人はすぐに向かう為頭痛を拗らせながらも闇黒剣月闇とブックゲートを手に寝室を後にした。

そしてこの時、隼人には見えていないが、背後で響そっくりの紫色の少女のエネルギー体が頬を赤らめ恍惚の表情を浮かべていた。まるで焦る隼人が可愛いと言いたげに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、隼人が向かったと同時に、未来が現実となる。

 

「「ッ!?」」

 

突如、ステージ上空に魔法陣が出現。それが何の魔法陣なのかは2人はもちろん知っている。

しかし、観客は気づいていない。

 

「これは…!」

 

翼の脳裏に浮かぶ。奏を失った4年前の惨劇。あの時と同じ光景。

 

 

 

 

 

 

S.O.N.G.指令室に警報が鳴り響く。

 

「横浜湾岸のコンサート会場に、アルカ・ノイズの反応を検知ッ!」

 

「装者を急行させるッ! ヘリの用意だッ!」

 

弦十郎は響達装者達を急行させる為にヘリを用意する様命じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、巨大アルカ・ノイズからアルカ・ノイズの群れが会場に解き放たれた。

 

「やめろぉぉぉぉぉぉッ!」

 

翼が叫ぶが、アルカ・ノイズは無情にも逃げ惑う観客を餌食にしていく。響き渡るのは歓声では無く観客の悲鳴と断末魔の二重奏だ。

やがて、会場が破壊されていく。

そこへカリバーがブックゲートで急いで到着。目の前で次々に命が消えていく。

 

【ジャアクリード!ジャアク忍者!】

 

【ジャアクリード!ジャアクな豆の木!】

 

カリバーは猿飛忍者伝とジャッ君と土豆の木の力で分身を生成し、豆の様に増やすと数人を会場のアルカ・ノイズ殲滅に回し、残りを観客を逃す為に回した。翼とマリアは走り出す。そして…

 

「imyuteus amenohabakiri tron」

 

「Seilien coffin airget-lamh tron」

 

悲鳴と断末魔が響き渡るステージで聖詠が響き渡り、2人はギアを纏った。

2人は駆け抜けながらアルカ・ノイズを斬り伏せる。

そしてカリバーと合流し、3人でアルカ・ノイズを斬る。

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん落ち着いて下さいッ!こちらの指示にッ!」

 

避難口では緒川が観客達に落ち着く様言うが、一度恐怖で興奮した観客は周りが見えなくなってしまう。

 

「いやあッ! 私が逃げるのッ!」

 

「どけッ!お前らッ! 道を開けろッ!」

 

我先に逃げようとする観客達。すると、何処からか爆発音が聞こえる。

 

「お前達こっちだッ!」

 

「焦るな落ち着けッ!」

 

分身カリバー達だ。実は敢えて会場をあちこちを破壊し、そこからこぶた3兄弟やオムニフォースの力を使い、いくつもの脱出用スロープや船を生成しているのだ。

逃げ惑う観客達を分身カリバー達が誘導、観客に近づくアルカ・ノイズを倒しながら脱出用スロープや船へ誘導し、ブレイブドラゴンやジャアクドラゴン、ライオンセンキにランプドアランジーナに観客を乗せステージから脱出させている。

 

「隼人さん……ありがとうございます……これは…パヴァリアの……残党……ッ!」 

 

緒川はカリバーに静かにお礼を言いながらこの仕業がパヴァリア光明結社の残党である事を悟った。

 

 

 

 

 

 

 

 

現状は勿論車内の響にも伝わっていた。

 

「スタジアムにアルカ・ノイズって…、だって、そこは翼さんの…」

 

「はいッ! すでにピックアップ用のヘリをそちらに向かって飛ばしていますッ! 装者の皆さんは到着したヘリに搭乗後、直ちに現場に急行してくださいッ!」

 

「響ッ! あれッ!」

 

未来が指さす方向…会場が爆発を起こし煙が立ち込めている。

 

「ライブにアルカ・ノイズをけしかけるだなんて、錬金術師は何が狙いだッ!」

 

ライブ会場に錬金術師がアルカ・ノイズをけしかけた事に憤慨するクリス。装者達は渋滞の中ヘリを待つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふッ! はッ! はぁぁッ!」

 

分身カリバー達が観客達を避難させている間3人はけしかけた張本人を探しながらアルカ・ノイズを倒していく。すると…

 

「ッ! 奴が来る…ッ!」

 

「何ッ!?」

 

カリバーの言う通り、破壊された会場にアルカ・ノイズを解き放った張本人が登場した。

 

「アッハハッ! 恐れよッ! 怖じよッ! ウチが来たゼッ! ここからが始まりッ! 首尾よくやってみせるゼッ!」

 

現れたのは、南極でエルザと共にいた翼を生やすあの少女。

彼女もまたパヴァリア光明結社の残党で錬金術師…ミラアルクだ。

 

「カリバーもいるが、今のウチの標的はお前だゼッ! 風鳴翼ッ!」

 

「パヴァリアの残党ッ! 歌を血で汚すなッ!」

 

刀を手に斬りかかる翼。ミラアルクは左の翼を左腕に巻き付かせ大型にした腕で刀を防いだ。

 

「大人しく躙らせてもらえると助かるゼッ!」

 

「戯れるなッ!」

 

憤慨する翼は冷静さを失っている。

 

「挑発に乗るな風鳴翼ッ!」

 

「翼ッ!深く追い過ぎないでッ!」

 

カリバーとマリアの言葉も入らずにミラアルクと攻防を繰り広げる翼。

 

「うぁぁぁぁぁぁッ!」

 

そして翼がミラアルクを瓦礫へ吹き飛ばし、追い討ちをかけて突っ込む。

しかし、ここで思わぬ事態が発生。ミラアルクが逃げ遅れた少女を人質にしたのだ。

 

「何…?」

 

目の前の少女は恐怖に満ちた表情を浮かべ涙を流している。

 

「やってくれるゼ風鳴翼ッ! 弱く不完全なウチらでは、敵わないゼッ!」

 

「弱い…?」

 

「そう。弱い。だからこんな事したって恥ずかしくないんだあぁッ!?」

 

その時、カリバーがミラアルクの脇腹に闇黒剣月闇のグリップエンドで一撃をくらわせ、左腕が緩んだところを見て少女の肩を掴んでミラアルクから引き離した。

 

「こいつに乗れッ!」

 

【ブレイブドラゴン!】

 

カリバーはブレイブドラゴンを召喚すると、少女を乗せて会場から脱出させた。

その隙を突いて翼が斬りかかり、カリバーが顔を殴りつけ2人同時に蹴りを浴びせて吹き飛ばした。しかし…

 

「うわーんッ! お母さーんッ! どこーッ!?」

 

ミラアルクが吹き飛ばされた場所の出入口から少年が泣きながら走ってきた。

惨劇前にトイレにいたが、アルカ・ノイズ襲来時に母親がカリバーが来る前に餌食にされた事を知らず、もうこの世にいない母親を探しに迷い込んだのだ。

 

「ッ!!」

 

ニヤリと笑ったミラアルクは少年の首を掴み捕まえた。

 

「「やめろぉぉぉぉッ!」」

 

カリバーと翼がミラアルクに向かって叫びながら走る。

しかし、ミラアルクはカリバーに向けてアルカ・ノイズを放ち、僅かに到着を送らせ、さっき妨害した仕返しと言わんばかりに少年を躊躇なく背中を右腕で貫いて殺した。翼が後一歩の所で助けられる所で。

 

「「「ッ!!」」」

 

少年の血が翼を赤く染めた。

救えなかった。1つの小さな命が。人を守る防人である自分が救えなかった。

さっきまで生命(いのち)だったものが目の前に転がっている。

 

「あ……あぁ………あぁぁ………」

 

「ウチらは弱いからこんな事しても恥ずかしくない。お前等が油断してたから、余計な犠牲が増えたんだゼ?」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

「ふざけた真似を……ッ!」

 

カリバーは憤慨し、救えなかった絶望感が身体を染め上げ翼が発狂する。

 

「刻印ッ!侵略ッ!」

 

その時、ミラアルクの目にステントガラスの様な模様が浮かび上がり、翼の目にも浮かび上がった。

 

「貴様ァァァァァァァァァァァァッ!」

 

「冷静になれッ!」

 

翼は怒りで我を忘れミラアルクに突っ込む。

許せない。歌を血で染め小さな命を奪った奴を斬り伏せる。殺す。憎悪が、殺意が翼を突き動かす。

 

「総毛立つッ! 流石にここまでだゼッ!」

 

翼は蒼ノ一閃を空中に逃げるミラアルクに我を忘れて何度も放つ。

 

「その不埒、掻っ捌かずにはいられようかッ!」

 

「落ち着きなさいッ! ここにはまだ逃げ遅れた者がいるかもしれないのよッ!」

 

マリアは怒りで我を忘れる翼を落ち着かせようと必死だ。分身カリバー達は逃げ遅れた人々がいないか探している。

 

【月闇居合!読後一閃!】

 

カリバーは闇黒剣月闇を納刀してトリガーを押し、翼を嘲笑うミラアルクに斬撃波を飛ばす。ミラアルクは回避しようとするが間に合わずに右の翼に当たり、痛みに顔を歪ませた。

 

「チッ…! そろそろ尻尾を巻かせてもらうゼッ!カリバー、今日はお前に挨拶に来たが、必ずその力は頂くゼッ!」

 

上空には召喚された無数の巨大アルカ・ノイズが。ミラアルクが指を鳴らし、巨大アルカ・ノイズが降り注ぐ。

カリバーとそれを見た分身カリバー達が迎撃しようとするが、間に合わず巨大アルカ・ノイズ達は会場を破壊。次々と崩落し、海に沈んでいった。その様子は勿論指令室にも映し出されている。

 

 

 

 

「錬金術師の追跡…不能…」

 

「10万人を収容した会場が、崩壊…生命反応は…」

 

「くッ!」

 

「それ以上言うなッ!」と言わんばかりに弦十郎は怒りと悔しさに満ちた表情で机を殴った。

4年前と同じ惨劇を防ぐ事が出来なかった無力感が指令室を支配していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「隼人さんッ! マリアさんッ! 翼さんッ!」

 

それからしばらくして、分身カリバー達は消え、変わり果てた会場に響達がヘリに乗ってやって来た。しかし、時すでに遅し。ミラアルクには逃げられ、大勢の人々が犠牲になった。ヘリからのライトが、失意の底にある翼とマリアと、2人を見るカリバーを照らしていた。

 

 

 

(守れなかった…大切な物ばかり…この手からすり抜けて…)

 

翼は力なく手にした刀を落とした。

 

悪意を持つ者によって、歌が血に染められ、人々を死の恐怖へと陥れるアルカ・ノイズ。そのアルカ・ノイズを用いる者達への憤怒、幼い命を奪ったミラアルクへの憎悪、人を守る防人であるにも関わらず命を救えなかった絶望が翼の中を支配し、凱旋ライブは最悪な結果で幕を閉じた。

 

(くそ…ッ! 奴には逃げられ、防げなかった…ッ!……だが、この惨劇の未来の啓示を掻き消したあの2つの未来は何だったんだ…)

 

 

一方、カリバーは見た未来の災いの中に、ライブの惨劇を掻き消すかの様に、新たに2つの未来が啓示された事を思い出した。1つ目は翼が何故か裏切り、訃堂が災いを起こす未来。そしてもう1つはファウストローブを纏う未来に似た人物が災いを起こすという未来だった。

闇黒剣月闇が啓示したこの2つの未来が一体何を表しているのか。

悔しさと新たな2つの未来を見せられたカリバーに何かを話しかける様に闇黒剣月闇が妖しく光っていた。

 

 

それだけじゃない。会場に来る前、啓示された3つの未来を寝室で見た隼人の身体に、闇黒剣月闇と無銘剣虚無、プリミティブドラゴンとオムニフォースから流れる紫とオレンジ、赤と青白いエネルギーが密かに流れ込んでいた…これが意味する物とは一体…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本でミラアルクがライブを襲撃した時、アメリカのロスアラモス研究所である動きがあった。

遺骸を検査機器にかけた時、右腕の腕輪が突如光だし、閃光に包まれると遺骸は腕輪を残して灰化した。

 

「記録、そして報告だッ! 急げッ!」

 

「分かりましたッ!」

 

そしてこの残された腕輪が、闇黒剣月闇が啓示した未来の災いを引き起こす事となる…

 

 

 




いかがだったでしょうか? 最初の難関であるミラアルクのライブ襲撃部分…作者の足りない頭を何とか回して書いた結果こうなりました。納得出来なかったら本当に申し訳ありません。前回も少し短めで終わってしまったので、出来るだけ長く書くよう精進します。
そういえばもうすぐ設定も入れて連載100話を突破しそうです。

今回はここまでです。感想お待ちしています。





闇黒剣月闇「未来を防げなくて悔しがる隼人も、焦る隼人もすっごく可愛いよぉ… もっと最悪な未来を見せてあげるから…あの可愛い顔ももっと見せて…」

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