【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

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お盆休みが取れたので少しは更新と執筆スピードを上げられるかもしれません。
遂にこのエピソードに来ました。今回、物語において重大な真実の回となので賛否両論と読者の皆様に怒られる覚悟の上で書きました。




余談ですが隼人の名前って仮面ライダー2号の一文字隼人と同じ事に気付きました。


第83話 虚無の中の、偽りの主人公(ヒーロー)

S.O.N.G.が政府による査察の中、アルカ・ノイズの大群が襲来。しかし戦いの中、翼が何故かアルカ・ノイズがミラアルクに見える様になり、更に逃げる未来とエルフナインに本物のミラアルクが毒牙をかけようと迫る。やがてヴァネッサから何かを承諾したミラアルクは伸ばした長い爪で…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…ッ! な……ッ!?」

 

そしてカリバーが闇の中から飛び出し、到着した時には既に未来とエルフナインの姿は無く、ミラアルクもいない。

 

(監視カメラが破壊されている……ッ!)

 

目の前には未来のひび割れたスマートフォンと血が付着したカバン、そして大量の生々しい血溜まりが残されていただけだった。

 

「嘘だろ……ッ!?」

 

仮面越しに絶望に満ちた表情を浮かべるカリバー。そして、わなわなと震える右手に持つ闇黒剣月闇が妖しく光っていた。まるで間に合わなかった事に絶望するカリバーが堪らないと言いたげに…

 

その後、隼人の通報により現場に警察が到着し、鑑識によって調べられている中、響と翼はそこにいた。

 

「まさか…ッ! 未来とエルフナインちゃんが…ッ!」

 

響は絶望の表情を浮かべ、翼も助けられなかった悔しい表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「現場周辺からの遺体発見の報告、ありません。」

 

その後、夜になっても鑑識による調査は続けられ、捜査員が緒川に遺体が無い事を報告していた。

 

「近隣の病院に負傷者が運びこまれた記録もありません。ですが、あの出血では…」

 

確かにあの量では出血多量で失血死してもおかしくない量だ。

緒川は顎に手を添え、考える。

 

「捜査範囲の更なる拡大をお願いします。」

 

「「了解です。」」

 

捜査員が去った後、破壊された監視カメラを見上げる緒川。

 

(手口は周到…入念に…隼人さんから聞いた通り周辺の監視カメラまで、1つ残らず壊されている…)

 

緒川は本部にいる弦十郎に状況を報告する。

 

『恐らくは、偶発的に巻き込まれたのではなく…」

 

「あぁ、敵の仕組んだ罠にかかってしまったと考えるべきだな…」

 

『保護レベル最高位指定の2人が揃って…』

 

「錬金術によるバックアップスタッフと、神の力の依り代たりうると、仮説される少女…」

 

未来とエルフナインは、S.O.N.G.において保護レベルが最高位に指定されている。敵に狙われてもおかしくない。

 

「調査部にて警護に努めてきましたが、査察による機能不全の隙を突かれてしまいました。」

 

「敵の狙いは隼人君が持つ闇黒剣月闇や無銘剣虚無、ライドブックと読んでいたが、本当の狙いは未来君、またはエルフナイン君、あるいは…」

 

『その全て……という線も考えられますね。』

 

「いずれにせよ、今必要なのは情報だ。状況打開の為にも、引き続き調査を頼む。」

 

『まもなく鑑識の結果も出ます。調査部の全力をかけて、必ず。』

 

(2人とも……無事でいてくれ…)

 

スクリーンに現場に残されていた未来の私物を見ながら、弦十郎は未来とエルフナインが無事である事を祈った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、響達は食堂に集まっていたが、響は自身のスマートフォンを見つめていた。そこへクリスが響の頭にポンと手を添え、頷く。

 

「ありがとう…クリスちゃん。」

 

「それにしても、まさかと言うよりやっぱりの陽動だったデスッ!」

 

「あの時、管制指示を振り切ってさえいれば…」

 

調と切歌は、管制指示を振り切っていれば2人を助けられたのではないかと口にすると…

 

「月読と暁は、私の状況判断が誤っていたとでも言いたいのか?」

 

「え?」

 

「えっと、そうじゃなくてデスね…」

 

「ならばどういう──」

 

「いい加減にしてッ!」

 

別に翼の判断が誤っていたと2人は言っていない。立ち上がり、突っかかる翼にマリアが声を上げた。

 

「誰よりも取り乱しそうなこいつが、自分のなすべき事に向き合おうと努めてるんだッ! 頼むよ先輩…ッ!」

 

マリアに続き、クリスも声を上げる。この中で1番辛いのは響だ。だからこそ翼も冷静になって欲しい。今考えるべき事は未来とエルフナインを救出する事。

 

「……」

 

「翼さん…」

 

「どうしたの? らしくもない…」

 

「……ッ!」

 

マリアが翼に手を伸ばそうとすると、思わず翼は振り払ってしまいハッとする。

 

「待ちなさいッ! 話はまだ…ッ!」

 

マリアの静止も聞かず、翼は出て行ってしまい食堂の中を気まずい空気が支配していた。

 

「何だか様子が…」

 

「ギザギザハートになってるデス…」

 

「そうね…でも、これ以上責めないであげて。翼自身、分かっているはずよ。」

 

「んな事言われなくったってな……く……ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺がもう少し早く来ていれば…2人を救えたはずだ…ッ!」

 

その頃隼人は自宅で未来とエルフナインを助けられなかった事を悔やんでいた。しかし、それで助けられる訳ではない。

今するべき事はヴァネッサ達から2人の居場所を聞き出す、助ける事だ。すると…

 

「うぁぁ…ッ! またか……ッ! 何度も何度も…ッ!」

 

頭痛と共に再び未来予知が発動。前から見ている2つの未来が何度も何度も啓示される。

 

「どうなってるんだよ…本当に…ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、遺棄されたチフォージュ・シャトー内部にてタブレットを持ったヴァネッサが何やらシェム・ハの腕輪を装置にかけていた。

 

(腕輪から抽出した無軌道なエネルギーを、拘束具にて制御…これで私達は…)

 

ずっと望んでいた願い…人間に戻れる。悲願が達成される。

その時、エルザがテレパシーで話しかけてきた。

 

(ヴァネッサ。ミラアルクの帰還を確認。お客様も一緒であります。)

 

「ご苦労様。こちらの準備も順調よ。早速取り掛かりましょう。」

 

(がんすッ!)

 

「神の力は、私達の未来を奪還する為に。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、本部のガレージにて翼はバイクの整備をしていた。と同時に未来とエルフナインを助けられなかった自分を責めていた。

 

(分かっている…悪いのはこの私だ…ッ! 皆に当たるのも、弱き者を守れないのも…)

 

自分を責める中通信機が鳴る。その相手は…

 

「翼です。」

 

「聞いたぞ。失態であったな。」

 

裏でノーブルレッドを操り、未来とエルフナインが失踪した原因を作った訃堂だった。

 

『言葉もありません。ですが、次こそは必ず防人の務めを果たしてみせますッ!』

 

その時…

 

「刻印、掌握。」

 

訃堂の言葉で翼の瞳がスタンドガラスの様に変化する。ミラアルクに受けてからだ。

 

『翼、果たしてそこはお前の戦場(いくさば)か? そこにいて、何を護る? 何を護りきれる?』

 

「ッ!?」

 

訃堂の言葉にハッとする翼。

 

「道に迷う事あらば、いつでも訪ねよ。お前は風鳴を継ぐ者であり、天羽々斬は、国難を退ける剣である事、ゆめ忘れるな。」

 

翼にそう言い伝えると訃堂は通信を切った。

 

「ここでは無い…私の…戦場(いくさば)…」

 

いつの間にか目に涙が浮かんでいた。それを拭うと左頬にオイルの汚れが付着する。

 

「奏…」

 

自分の戦場(いくさば)はここではない。何を護れるのか? 心の中で本当の戦場(いくさば)は何処なのか思いながら、亡き片翼の名を呟く翼。すると…

 

『緊急の対策会議を行います。装者達は至急発令所に集合をお願いします。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして指令室にて弦十郎と緒川の前に装者達が集結しており、翼も遅れて到着した。

 

「遅くなりました。」

 

「翼。何をしてたんだ?」

 

「すみません。」

 

遅れた翼を見て、マリアは溜息を付いた。

 

「これより、未来君とエルフナイン君の失踪について、最新の調査報告を元に緊急対策会議を行う。」

 

「鑑識の結果、現場に残された血痕は、未来さん並びに、エルフナインさんのものではないと判明しました。」

 

緒川の言葉に安堵の声を出す装者達。

 

「じゃあ…未来とエルフナインちゃんは…ッ!」

 

「うむ…遺体発見の報告が無い以上、殺害ではなく、敵による略取であると俺達は考えている。」

 

「あぁ…あぁ…」

 

希望が見えた。2人は生きている。

 

「フ……まだ一概には喜べない……。それでも、希望を繋ぐ事は出来たわね。」

 

「だけどよ、ぶちまけられたあの血溜まりは、一体誰のものだったんだ?」

 

クリスの言う通り現場にあったあの血は誰のものなのか。2人では無いとしても誰かが殺害された事になる。

 

「引き続き調査中です。」

 

「これより、今後の方針を2人の奪還作戦に切り替え──」

 

「あ、あの、1ついいですか?」

 

弦十郎が未来とエルフナインの奪還作戦を立案しようとすると、調が質問を投げかけた。

 

「略取って…錬金術を扱うエルフナインは分かります。ですが、どうして未来さんまでが……?」

 

錬金術を扱うエルフナインはまだしも民間協力者であり何も力を持っていない未来が誘拐されるのは引っかかる。

 

「司令…」

 

「うむ…今回の一件…何故、未来君は巻き込まれつつも害されず、さらわれてしまったのか…その仮説を聞いてもらうには、いい頃合いかもしれないな。」

 

「未来…」

 

そして遂に、響達に弦十郎が話そうとしていた事実が明らかにされようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やはり奴等の狙いは小日向未来とエルフナイン…」

 

その様子を寝室でシャボン玉を通して見ていた隼人は、ノーブルレッドは未来とエルフナインは何かに利用する為に誘拐されたのではないかと推理していた。

 

「うん…そういえば…」

 

隼人は未来予知で見た未来に似た人物が災いを起こす最悪な未来を思い出した。そして奪われたシェム・ハの腕輪。

 

「……まさか…いや…」

 

そのまさかだ。同時に…

 

「うぁぁ……ッ!あぁ…ッ!」

 

またしても胸を謎の激痛が襲う。まただ。一体これは何なんだ。自分に何が起こっているのか。そして痛みが治る。更に…

 

「…ッ!? うぅ…ッ!」

 

同時に頭痛が隼人を襲う。痛さに目を瞑ると、すぐに痛みは消えた。目を開けるとどう言う訳か真っ白な空間が広がっていた。

 

「ここは…?」

 

「上條隼人。」

 

声をする方向を振り返ると、富加宮が立っていたのだ。

 

「富加宮さん……ッ! どうして……ッ!?」

 

「知り合いに頼んでお前の意識の中に繋げてもらった。お前にどうしても伝えたい事がある。」

 

「伝えたい事…?」

 

「そうだ。災いが迫っている。それも最悪な災いだ。」

 

「災い…? そうだ…ッ! 小日向未来とエルフナインが、ノーブルレッドに誘拐されたんですッ! 一刻も早く救出しないと取り返しのつかない事……ッ!? ぐぁぁぁぁ…ッ! うぁぁぁぁぁぁッ…!」

 

再び隼人の胸を謎の激痛が襲う。痛みに悶絶し胸を手で押さえる隼人。それを見た富加宮は血相を変えた。

 

「よせッ!お前はもう変身しない方がいいッ!」

 

「え…ッ?」

 

胸を痛める隼人に富加宮は「もう変身しない方がいい」と言う。痛みが治った隼人は胸を押さえながら富加宮の顔を見る。

一体どういう事なのか。この胸の痛みと何か関係があるのではないかと考えた。そして、富加宮の口から思いもよらない事実が明らかとなる。

 

「前に夢で話しただろう? 物には魂が宿ると言われていると。」

 

「それが何か…?」

 

「……その通りだ。」

 

富加宮は、夢で話した事は本当だと隼人に打ち明けた。

 

「……は?」

 

「継承前にお前が闇黒剣月闇を自在に操れたのは、闇黒剣の中の意思が渋々力を貸していたからだ。そしてワンダーライドブックもな。」

 

「……何ですかそれ…言ってる事全然分かりませんよ。」

 

隼人は富加宮の言う事は全く分からなかった。

当然だ。いきなり継承前に使えたのは剣の中の意思が力を貸していたなんて、それはいくらなんでも荒唐無稽だ。にわかに信じられる訳が無い。

 

「闇黒剣月闇の意思が力を貸していたなら無銘剣虚無はどうして使えるんですか?」

 

ならば無銘剣虚無は何故使えるのか。並行世界で鳳を葬った後、帰宅したら何故か自宅に置かれていた無銘剣虚無。

闇黒剣月闇に意思が宿っているなら無銘剣虚無にも宿っているのかと隼人は思っていた。だが、隼人の予想を遥かに上回る答えが富加宮の口から飛び出した。

 

「お前が転生した、この世界と関係がある。」

 

「この世界…?」

 

「お前が転生したこの世界は、戦姫絶唱シンフォギアという始まりから終わりが全て記された物語の世界だ。」

 

「戦姫絶唱…シンフォギア…?」 

 

「戦姫絶唱シンフォギア」。明らかに物語のタイトルの名前だ。それと無銘剣虚無とどう関係しているのか。始まりと終わり。即ち既に完成しているという事。

 

「この世界の物語には主人公がいる。だが、それはお前では無い。これが何を意味するか分かるはずだ。」

 

その時、隼人の脳裏に次々に浮かんでくる。響がひょんな事からガングニールの力を手にした事、ルナアタックでフィーネとの最終決戦で立ち上がり、エクスドライブへ移行した事、フロンティア事変でマリアのガングニールを自身に纏った事、魔法少女事変でキャロルとの戦いで翼達のギアの力を1つにした事。自分の暴走を止め、エレメンタルドラゴンを生み出した事。アダムとの戦いで黄金錬成をし、神殺しの力を秘めていた事。ノーブルレッドとの戦いで新たな力を発現させた事。まるで絵に描いたような主人公ではないか。これらを思い出すだけで、どういう事なのか分かってくる。そして、富加宮の言葉の意味の答えを口にする。

 

本当の主人公は…立花響…

 

「そう。この世界の物語の本当の主人公は、立花響だ。」

 

「立花響がこの戦姫絶唱シンフォギアっていう物語の主人公なら、俺は一体…?」

 

響がこの世界の物語の主人公ならば、自分は一体何者なのか。神様から事実を聞いた富加宮の口から思わぬ事実が判明した。

 

「お前は本来この世界の物語に存在する必要が無い…いわば、虚無の存在だ。」

 

「虚無…? 」

 

「シンフォギアの世界の物語においてそもそも存在する必要も意味も無い異端分子…お前自身が虚無だから変身する事も出来た。やがて鳳から引き離した事で無銘剣はお前を選んだ。つまり、お前が手にするのは運命だったからだ。この世界に、上條隼人も、仮面ライダーカリバーも、最初から存在する必要が無いからだ。」

 

このシンフォギアの世界において、本当の主人公は立花響。そして自分は本来この世界の物語に存在しない転生者。存在する理由も無ければ意味もない。

そして本来歩むはずだった人生という名の物語を自ら生きるのを諦めて終わらせ、自身の中に虚無を作り出していたからこそ、隼人はファルシオンに変身出来、無銘剣虚無を使う事が出来た。

 

「存在する意味がない俺は…偽りの主人公(ヒーロー)…」

 

富加宮の言葉で隼人は自分自身がこの物語の主人公ではなく、本来存在意義のない偽りの主人公(ヒーロー)である事を導き出した。今まで全く知らなかった真実。自分はこのシンフォギアの物語の中で今まで何も違和感も感じずに過ごし、響達と出会った。しかし、響達とは違い自分はこの世界にそもそも存在する必要がない虚無だ。

 

「残念ながらそういう事だ………だが、もうそんな事はどうでも良いッ! お前は継承するのが遅過ぎたッ!」

 

突然富加宮が声を荒げて何やら焦る様子で隼人に言う。

 

「本来人間に使いこなせるかどうか分からないジャオウドラゴンや禁書であるプリミティブドラゴン、不完全とは言え全知全能の書の力や闇属性で染めたライドブックの力を使い続けた結果お前の体は既に取り返しのつかない段階まで蝕まれているッ!」

 

「え……ッ?」

 

このまま変身し続ければ、お前自身が滅ぶ事になるだろう…」

 

「……そんな未来、闇黒剣は見せませんでしたよ…」

 

「敢えて見せなかったんだろう…」

 

自分自身が滅ぶ。即ち死ぬという事だ。突然の宣告に隼人は鳩が豆鉄砲を食ったように呆然としていた。が、ある事を思い出す。

 

(まさか…あの大凶のおみくじ……ッ!?)

 

それは、正月に引いた大凶のおみくじだった。まさかあのおみくじがこれが来る事を知らせていたとは思いもしなかった。

響達と繋がり、未来へ進もうと決意した彼にとって、非常に残酷な運命。しかも闇黒剣月闇は今まで自分が死ぬ未来は一度も見せてこなかった。

大半の転生者なら「話が違う!」や神様に「何とかしてくれよ!」などと喚くだろう。だが、隼人は違った。

 

「………人を斬ったツケが、今になって回って来たんですね…」

 

死が迫っている事を宣告されたのに、それを分かっていたかの様な返答だった。

 

「…妙に冷静だな。」

 

「いずれこういう日が来るんじゃないかと薄々思っていましたよ。」

 

あの日初めて人を殺めてから、いつかそのツケは自分に回ってくる事は心の中で覚悟していた。それが今、こうして自分に来ている。

 

「お前に残された道は2つ。未来を捨てて戦うか未来の為にここで戦いを捨てるかだ。」

 

富加宮の口から自分に出された苦渋の選択。このまま自分の未来を捨てて、戦いの果てに散るか響達と未来を行く為に戦う事を止めるか

確かに胸の痛みが増す中、このまま行けば自分は死ぬかもしれない。だが、未来の為に戦いを捨てれば闇黒剣月闇の未来予知で響達が命を落とす最悪な未来が啓示されてしまう。故に放っておけない。2つに1つの選択の中で、隼人が出した結論は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そのどれでもありませんよ。」

 

「何…?」

 

「俺はもう逃げないって決めたんです。運命からも、未来からも。だから、戦いながらもその先の未来へ進んでみせます。それに、俺が自ら選んだ力なんです。途中で投げ出すなんて、いくら正式に継承したとはいえ勝手過ぎます。だから最後までやり遂げます。」

 

隼人は富加宮の目を真っ直ぐ見ながら決意した。もう未来からも運命からも逃げないと。

 

「それがお前の答えか。」

 

富加宮の言葉に隼人は頷いた。

 

「お前にはかなり残酷な運命を背負わせてしまったな…すまない…」

 

「富加宮さんのせいじゃないですよ。」

 

「ありがとう。上條隼人、命を燃やし最後まで戦ってくれ。覚悟を超えた先に、希望はある。それを忘れるな。」

 

その言葉と共に富加宮の背後から眩い閃光が放たれ、隼人は目を腕で塞ぐ。そして、閃光が治ると同時に隼人は自身の寝室に立っていた。

すると、溜息を吐いて膝を落とし、床に座り込む。

 

「立花響が主人公で…俺は……虚無……………本来俺には……存在意義はない……なら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何で俺…この世界に存在してるんだろう…」

 

命の危機よりも気になる事だ。本来この世界に存在する必要が無いなら、何故自分は存在しているのか。虚無である自分は一体何なのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は一体何なんだッ!? 何の為に存在してるんだッ!? 神様は何故俺をこの世界に転生させたんだッ!? 俺に本来存在意義が無いからッ!偽りの主人公だからッ!俺の未来も何もかも虚無になって消えるって事なのかッ!?」

 

心の中の声を思いっきり叫んでぶち撒けた。富加宮の前ではずっと我慢していた。あの時強がって素直になれずに抑えていた気持ちが全て飛び出した。自分が本来存在意義もする必要もないなら何故この世界にいるのか。神様は何故、何の為に転生させたのか。分からない。全く分からない。だったら存在している理由くらい教えてくれたっていいじゃないか。

自分が主人公ではなく虚無であり、そして死が迫る中、偽りの主人公である闇の剣士は自分の存在意義を問う。

 

「俺は何故この世界に存在しているんだぁぁッ!?教えてくれよッ! 誰でもいいから教えてくれよぉぉぉぉぉッ!」

 

しかし、いくら叫んでもその問いを答えてくれる者は誰もいない。隼人が叫び終わっても部屋の中を静寂が支配しているだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、チフォージュ・シャトー内部。人形の残骸と培養ポッドの様な物が並ぶ廊下の中でエルフナインは目を覚ました。

 

「まさか、ここは…?」

 

エルフナインにとっては忘れるわけが無い場所。そこへミラアルクとエルザがやって来る。

 

「お帰りなさいませ、ご主人様ッ!」

 

メイドの様にスカートを摘んで挨拶するミラアルク。

 

「あなた達ッ!?」

 

「キャハハッ! 日本に来たのなら、一度言ってみたかったんだゼッ!」

 

エルフナインに迫り顔を掴んで笑うミラアルク。

 

「ここは…チフォージュ・シャトー…」

 

「よッ!」

 

「うわぁッ!」

 

ミラアルクはいきなりエルフナインを投げ飛ばした。

 

「いけないであります。客人は丁重に扱わないと…」

 

「次からそうさせてもらうゼ。」

 

「むー、であります…」

 

(考えなきゃ…今何が起きているのかを…、ここに連れて来られるまでに何が起きたのかを…)

 

起き上がったエルフナインはここに来る間に何が起こったのか必死に考える。記憶を頼りに思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

『エルフナインちゃんッ! 大丈夫ッ!?』

 

逃げている間に転倒し、ミラアルクに追い詰められた。そこに現れたのはあの査察官。そしてミラアルクが人差し指の爪を伸ばし2人を惨殺した…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「思いがけない…空模様…」

 

のではなく、ミラアルクが殺したのは査察官だった。そう。あの血溜まりは査察官の物だったのだ。

 

「きゃああああああああッ!」

 

未来の悲鳴が冬の空に響き渡り、殺された査察官は緑の炎と共に消滅。悲鳴を上げた未来は気を失った。目の前の惨劇にショックを覚えたエルフナインも気を失い、チフォージュ・シャトーに運ばれて今に至るという訳だ。

 

「そうだ…未来さん…ッ! 未来さんは何処にいるんですかッ!?」

 

すると、エルザが錬金術で台の上で眠らされている所をエルフナインに見せた。

 

「未来さんッ!」

 

「用済みと判断された彼とは異なり、彼女はまだ生きている──生かされているであります。」

 

「まさか、バラルの呪詛から解き放たれた未来さんを使って…」

 

エルフナインには、未来を使って彼女達が何をしようとするのか予想がついていた。

 

「そのまさかだゼ。そして、やってもらう事はお前にもあるんだゼ。」

 

「今はあなたが使っている、キャロルの身体を使って起動して欲しい物があります。」

 

「キャロルのッ!? まさか、チフォージュ・シャトーをッ!? それは無理ですッ!例え起動出来たとしても、ヤントラ・サルヴァスパもネフィリムの左腕も失われた今…自在に制御する事など絶対に…」

 

そう。不可能だ。かつて世界の分解をしようとしたチフォージュ・シャトーを、ヤントラ・サルヴァスパやウェルの様にネフィリムの左腕を用いて起動は勿論、自在に制御する事など不可能だ。

 

「落ち着けって。そうじゃないんだゼ。」

 

「あなたに起動してもらいたいのは、こちらであります。」

 

エルザの声と共に照明が照らされる。そこにはジェネレーターと思わしき物が。

 

 

「これは…何かのジェネレーター………ッ!? これはッ!?」

 

エルフナインはガラス越しの棺桶に収められた物を見て驚愕する。それは、腕や脚が欠損した人形。

 

「あなた達は、一体何を企んで…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、とある場所のリビングにて神様が富加宮を隼人の意識に繋げ、命の危険を伝え終わっていた。

 

「あいつに伝えたか?」

 

「……私は、嘘をついてしまった。」

 

「何ッ!?」

 

そう。富加宮は隼人にライドブックを使い続けた結果身体が蝕まれていると伝えたのだが、実際神様が富加宮に教えた事を伝える様に言った事と富加宮が伝えた事は異なっているのだ。

そして富加宮は隼人に伝えた事を神様に教えた。

 

「何故本当の事を言わないッ!? このままだとあいつはッ!」

 

「言える訳無いだろうッ!? 「ヤンデレの闇黒剣やライドブックがお前が好きだから殺そうとしている」などという馬鹿げた事をッ!」

 

そう。実は隼人は闇黒剣やライドブックに殺される運命なのだ。それを知った神様は富加宮にそれを隼人に伝える様意識を繋げた。だが、富加宮は思わず嘘をついてしまったのだ。

 

「だが、命の危険は伝えた。あいつは妙に冷静だった。いや…強がっていた。」

 

「強がっていた?」

 

実は、富加宮は隼人が妙に冷静に振る舞っていた時に隼人の右手が震えていた事を見逃さなかったのだ。

 

「あいつの手は震えていた。本当は死ぬのが怖いのに、素直になれず強がっていた。でも、''最後までやり遂げる''…あの言葉は本当だった。」

 

「……」

 

「お前は…あの世界であいつに何をさせたい?」

 

富加宮は神様に本来隼人が存在する必要ないシンフォギアの世界で何をさせたいのか質問した。

 

「私はあいつにどうしても知って欲しい大切な事がある……」

 

「大切な事?」

 

「命の大切さ……そして3つの感情…ようやく2つを知ったんだ…ッ!あと1つ……あと1つなんだ……ッ! だが…ッ!」

 

神様は隼人にどうしても知って欲しい大切な事があると言う。命の大切さと、3つの感情の内2つは隼人は知り、残すはあと1つ。一体それは何なのか。

 

「こんな筈では無かった…ッ! 完成に想定外だ…ッ!」

 

何と、神様でさえこの状況は完全に想定外だという。すると、立ち上がり、リビングを出ようとする。

 

「何処へ行くッ!?」

 

「あいつをあの世界から連れ出す。やっぱりあの世界に転生させたのも、特典を与えたのも間違いだったッ!」

 

何と、神様は隼人をシンフォギアの世界から連れ出すと言い出した。このままでは2度目の死を迎えてしまう。

それを聞いた富加宮は神様に早歩きで詰め寄り、胸ぐらを掴んだ。

 

「いくらお前が神でも、それは身勝手過ぎるだろッ!」

 

「身勝手なのは分かっているッ!だがようやく前に進み始めたあいつにとってどれほど残酷な運命なのか分かるはずだッ!」

 

神様も富加宮の腕を振り払い言い返す。未来へ進み出した彼にとって死ぬのは残酷過ぎる運命だ。故に2度目の死を避けさせたい神様の善意だった。だが、富加宮はそれを許しはしない。

 

「だからといってあいつの決意を無下にする気かッ!? 」

 

「お前はあいつが報われない2度目の死を遂げようとしているのが辛いと思わないのかッ!?」

 

「思うに決まってるだろッ! …確かにあいつはあの世界にそもそも必要ない虚無の存在だ。でも、今あいつは確かに存在しているッ! 生きているッ! 命を燃やして戦っているッ!」

 

富加宮は隼人の決意を尊重しようとしていた。自身に死が迫る中、死ぬのが怖いはずなのに強がって素直になっていなかった。でも、最後まで戦う決意は本物だった。だからこそ最後までやり遂げて欲しいのだ。かつて闇黒剣月闇を手にした者として。

 

「……これを見てもそんな事が言えるのか…ッ?」

 

富加宮の言葉を聞いた神様は、ノートパソコンを操作してある映像を富加宮に見せた。

 

「こ、これは…ッ!?」

 

驚愕の表情を浮かべる富加宮。そこに映し出されていたのは、寝室で己の存在意義は何なのか苦悩し、床に座り込む隼人を響と未来に瓜二つな紫と青白い少女と赤とオレンジ色の少女が、まるで落ち込む彼氏を慰めるかの様に抱きしめていた映像だった

 

「あのヤンデレ共…ッ! あいつの命の危機も苦悩の原因も自分達が作り上げている事を棚に上げてこんな事してるんだぞッ!」

 

神様は彼女達に憤慨し拳でテーブルを叩いた。

 

「とにかく…アイツをあの世界から連れ出す…ッ! 」

 

「おいッ! 待てッ!」

 

リビングを出ようとする神様を富加宮が止めようとした所、映像が突然ノイズと共に乱れ、砂嵐となった。その時…

 

「ッ!? ぐぁぁッ!」

 

突然、どういう訳か砂嵐の画面から紫色のエネルギー波とプリミティブドラゴンのボイドタロンが飛び出し、富加宮を弾き飛ばし、壁に叩きつけた。

 

「何ッ!? まさかッ!」

 

「ぐぁぁぁぁッ!」

 

そのまさかだ。パソコンの画面を向いた神様にいきなり赤黒いエネルギーとオレンジ色のエネルギーが神様に直撃し、それを受けた神様は床を転がる。

 

「うぅ…ッ!」

 

「おい…大丈夫か…?」

 

吹き飛ばされた神様に安否を問う富加宮。すると…

 

『邪魔しないでよ…!私達…隼人の為にやってるのに…!』

 

ノイズと共に砂嵐の画面から聞こえてきたのは、響の声。だが、その声の持ち主は響では無い。

 

「まさか…ッ! 闇黒剣月闇…ッ!?」

 

富加宮はこの声は具現化した闇黒剣月闇の声である事を悟った。

 

『隼人は私達と永遠の平和がある場所へ行くの…それを邪魔するなんて…破滅したいのかな…?』

 

次に聞こえてきたのは未来の声だ。しかし、その声の持ち主も未来ではない。

 

「プリミティブ…ドラゴンか…ッ!」

 

「永遠の平和だと…ッ!? お前ら…」

 

富加宮は破滅と聞いてこの声はプリミティブドラゴンと悟り、神様は永遠の平和と聞いて彼女達が何をしでかそうか予想が付いた。

 

『あんなクズ共が沢山いる世界にいたら隼人が汚れちゃう…だから連れて行くの…』

 

『それを邪魔するなんて許さない…!』

 

更に聞こえてきたのはまた別の2人の少女の声だった。

 

「無銘剣虚無に…オムニフォースか…ッ!」

 

「ふざけるな…許さんぞ…ッ! お前らのせい…ぐぁぁッ!」

 

突如、立ち上がった神様に赤色のエネルギー波が浴びせられ、壁に叩きつけられた。その時、絶対にありえない光景を2人は目にする。

 

『邪魔する奴は…神だろうが…先代カリバーだろうが…叩き潰す…ッ!』

 

その言葉と共に神様と富加宮が見たのは、自分達に飛びかかる目を大きく見開き、口が三日月の様に避けた狂気の笑みを浮かべ、鬼の様な形相をした、闇黒剣月闇、無銘剣虚無、カラドボルグ、そしてボイドタロンを振りかざす4人の少女だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつけば、リビングは滅茶苦茶に荒らされ、床には4人の少女に痛めつけられて気を失っている神様と富加宮が横たわっている。

そして机にはパソコンの画面から流れる砂嵐の画面のノイズの音だけがリビングに響き渡っていた。すると、画面から何かが聞こえて来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『隼人… 未来の災いで苦悩する隼人の顔も、痛みに悶える顔も、すっごく可愛いよぉ…そんな可愛い隼人が大好きだから…ずっと一緒にいたいんだ…』

 

『あんなクズばっかりの世界にいて、辛かったよね…? 苦しかったよね…? だから… 私が隼人を楽にしてあげるから…』

 

『怖がらなくていいよ…私が守ってあげる… 隼人に手を出す奴等は1人残らず破滅させるから安心して…? もうすぐ私とお揃いになれるよ…そうしたらいっぱいぎゅーってしてあげるね…』

 

『あの時からずっと望んでるんだよね…? 私達と一緒にいる事を…だから私達が隼人の願いを叶えてあげる…』

 

『行こうよ一緒に…永遠の平和がある場所… 天国に…』

 

 

存在する意味も必要も無い虚無の存在であり、偽りの主人公の行く末は…

 

 




いかがだったでしょうか?
今回の話、隼人が命の危機に晒され、本来シンフォギアの世界に存在する意味も必要もない虚無の存在…偽りのヒーローである事が明かされました。これで伏線も回収出来たと思います。

実は月闇達がヤンデレになっていた時から、隼人に命の危機が迫るのも、こういう展開にする事は決めていました。なのでこれもどうしてもこういう展開にしたいという自分の勝手です。
こんな身勝手な作者で本当に申し訳ありません。そして、あれこれ言わずに読んで下さる読者の皆様、本当にありがとうございます。
いよいよ次回通算100話突破となり、アニメパートも前半戦が終了します。完結までよろしくお願いします。




ではここで解説に入ります。結構長いので休みながらじっくり読んで下さい。

・継承前の隼人が何故闇黒剣月闇を使えたのか?

本来聖剣とワンダーライドブックは、聖剣に選ばれた人間にしか使えません。つまり、隼人は普通のホモ・サピエンスであって本来ならば使えませんが、ご存知の通りこの小説の闇黒剣月闇には意思(ヤンデレ)が宿っています。ただ、最初からヤンデレではありません。
第1章から第4章の間にかけて意思が渋々隼人に力を貸して変身を可能にしていました。正体バレの後から闇黒剣月闇の未来予知が本格的に発動し、隼人がどん底に陥りプリミティブドラゴンの影響で暴走していた時期、響の力でエレメンタルドラゴンが生み出され、隼人が未来を変える事を決意した事で闇黒剣月闇を邪剣から聖剣へと覚醒させた事で正式に継承しました。
未来の災いの啓示は歴代の使い手が嫌い、恐れた力ですが、隼人が未来へ進む事を決意した事で、意思が隼人の事を「ずっと一緒にいたい、そして災いの未来を見て苦悩する隼人の可愛い顔が見たいといたく気に入り、響にそっくりなエネルギー体として具現化する程のヤンデレとなったという訳です。

結論 闇黒剣月闇の意思が力を貸していたから。





・隼人が何故無銘剣虚無を使えるのか?

断章最終回にて、害鳥野郎こと鳳真司を葬る前に隼人は無銘剣虚無を拾い、ファルシオンに変身して鳳にトドメをさしました。
何故変身出来たのか。それは、上條隼人という人間が本来シンフォギアの世界に存在する意味が無い人間…即ち、虚無の存在です。ほとんど原作通りに進んでいるこの小説で読んでいる読者様も「原作とほとんど変わらないなら隼人(コイツ)いらなくね?」と思ったはずです。
本来シンフォギアの物語の主人公は響であり、転生者の隼人は完成されたシンフォギアの物語において主人公ではなく、最初から存在する意味も必要も無く、存在意義が無い虚無。
つまり、隼人はセイバー本編におけるデザストに近い存在なんです。
デザストは「気まぐれで生み出され、存在する理由がなければ目的も無い」でしたが、隼人の場合は「気まぐれどころか完成された物語にそもそも必要無い存在」偽りの主人公(ヒーロー)です。
前世で人に騙され裏切られ、自ら命を絶ちもう存在しない虚無となり、転生したシンフォギアの世界でも元々存在する意味も必要も無い虚無。故に隼人が虚無だったから変身が出来、鳳から引き離した事も重なった事で意思がヤンデレと化し、無銘剣は隼人を選んだ事であの時自宅のリビングの机に置かれていたのです。
更に隼人は過去に大切な存在である瑠奈を悪意を持つ者によって失っているので、同じ大切な家族を仲間の裏切りで失ったバハトの要素も持っています。なので、隼人が無銘剣虚無を手にするのは運命だったのです。つまり、隼人はカリバーの資格よりも、最初からファルシオンになる資格があったのです。
それに隼人にヒロインがいないのも、本来存在する意味のない人間にヒロインも存在する必要がないからです。
ちなみに響の発言や行動は人によっては綺麗事と捉えられてもおかしくありませんが、そもそも響がシンフォギアの物語の主人公だからこそ許されるものであり、アニメの視聴者も響を主人公として認識しているからこそ一連の行動を批判せずに見られるんです。ですが、隼人の場合は存在する意味も必要もない虚無であり、偽りの主人公(ヒーロー)なので、行動や発言が批判されても何もおかしくないんです。

無銘剣虚無とエターナルフェニックスはもともと禁書を封印する役割を持った聖剣と本だったらしく、隼人が並行世界から去った後に封印されていた無銘剣の中の意思が動き出し、禁書庫にかつて自分が封印したプリミティブドラゴンの禁書を持ち出し、自宅の寝室のベッドの下に置いておき自身はリビングの机の上で隼人を待っていた…というのが真相です。
そして、無銘剣虚無を使った鳳もまた、神と豪語していただけの中身が空虚であり、虚無の存在だったのです。

結論 隼人がシンフォギアの世界にそもそも存在する必要もなければ意味も無い虚無の存在=偽りの主人公だから


・何故隼人に命の危機が来たのか?

いくらこれまで意思が力を貸していたとはいえ、普通のホモ・サピエンスには使えない聖剣とワンダーライドブックを使い続けていれば体内にその分の負荷が蓄積されていくはず。
セイバー本編でも倫太郎が聖剣とワンダーライドブックは危険と言っていました。メギドを倒せるのなら、人間も当然殺せるはず。
特に隼人の場合はジャアクリードで闇属性に統一する闇黒剣月闇の使い手で、怒りで生まれたジャオウドラゴンは人間に使いこなせるかどうか分からない代物、プリミティブドラゴンは封印されていた禁書。そして、継承した後に使った不完全とはいえ全知全能の書の力を持つオムニフォース。これらの強大な力を使い続ければ身を滅ぼしてしまうと言われても仕方がありません。
それに彼は人を殺めてしまっています。どんな理由であれど人を殺めてしまえば必ず何処かでツケが回って来る…今まさにそうです。
隼人はヤンデレ共に隼人の願いである永遠の平和がある場所へ連れて行く為に殺されるのです。それもじわじわと。
第79話の最後に隼人の身体に闇黒剣月闇と無銘剣虚無、プリミティブドラゴンとオムニフォースから流れる紫とオレンジ、赤と青白いエネルギーが密かに流れ込んでいましたが、それを使ってヤンデレ共は隼人を殺そうとしているのです。「無銘剣虚無ならばそれも無に帰せるのでは?」と思う方もいると思いますが、このヤンデレは隼人の命を無に帰すつもりです。
胸の痛みに悶え死に近づく恐怖に苦悩する大好きな隼人が可愛くて可愛くて堪らず、ずっと一緒にいる為に。
残酷なシンフォギアの世界から大好きな隼人を楽にする為に。
自分とお揃いにして大好きな隼人と一緒に過ごして、守る為に。
運命の糸が繋がっている大好きな隼人の願いを叶える為に。
彼女達は殺したいほど好きになった隼人と一緒に行こうとしているんです。永遠の平和がある場所、天国に。
あの大凶のおみくじは、「お前の身に危険が迫っている。ヤンデレ達に気をつけろ」というメッセージだったんです。
ちなみに隼人の誕生日は9月6日。
この小説のカリバーのフォームは6つ。
そして今回はXVの6話のAパート…
察しのいい人は気づいたと思いますが、666になるんです。
他にも…
隼人の年齢は22歳 2+2=4
響の誕生日は9月13日 1+3=4
隼人が転生して4年…など、4が結構ありますので6×4=24で24(ふよう)=(隼人は)不要…とも捉えられ、83話なので8×3=24にもなります。
さらに第72話の最後のブルーレイの映像で隼人が仮面ライダーソロモンに変身していましたが、ソロモンのベルトの名前は「ドゥームズドライバーバックル」。ドゥームは訳すと「差し迫った死」「運命」などという意味になります。要するに隼人に死が迫るのも運命だったのです。
響が隼人に「隼人の身に何かが起こるかもしれない」と言ってましたが、見事に当たりましたね。他にも隼人が入ろうとしたレストランの名前や10時59分の時刻も、オムニフォースの変身音の「FEAR IS COMING SOON!」も隼人の運命を暗示していたんです。
ちなみにヤンデレ達が神様と富加宮を痛めつけていましたが、原理としては神様については不完全ながら神の力を持つオムニフォース、死人の富加宮については仮面ライダーゴーストのユルセンの台詞「もう死なないけど、死ぬほど痛い」の原理と、ウェル博士が言っていた隼人があと1つ知る感情の力です。

「ヤンデレ達の被害に遭う人が出そう」という感想が来たんですが、皮肉にも被害に遭うのはその力を与えた神様と先代の富加宮、そして力を選んだ隼人だったという…

結論 人を殺めたツケとして、ヤンデレの意思達に殺されるから。






・これから物語はどうなるのか?

この小説の物語は、「隼人が二度目の人生を戦いながら生きる」では無く、「本来存在意義のない彼が何故転生させられたのか」というもの。
神様が隼人に知って欲しい大切な事…それを知った時この物語の本当の物語と、何故転生させられたのかが分かるでしょう。
バッドエンドではない、隼人なりのハッピーエンドへという物語の結末に。
アニメパートもいよいよ前半戦が終了しようとしています。
ちなみに、怒りで生まれたジャオウドラゴンがこの章のキーアイテムとなります。

長くなりましたが、今回はここまでです。感想お待ちしています。
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