女子高生ですが、大妖怪に間違えられて式神になりました。   作:バケツJK

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更新遅くってごめんなさい!
ちょっと事情があって書く時間が取れなかったんですけど、とりあえず落ち着いたんで次はもっと早く出したいです!


ウォーキング・ゴースト

 途中でちょっとした休憩を取ったりしつつ、ねるこちゃんと小夜(さよ)ちゃんに金髪サンドイッチされながら車に揺られること、二時間弱。

 車内は映画の話題で盛り上がっていた。

 

「小夜はト〇ロが好きです! お母さんは!? お母さんは何が好き!?」

 

「私はお母さんではないが、そうだな……ホラーならキャビン、ホラー以外ならマルホランド・ドライブだな」

 

 東根(ひがしね)先生がそう言うと、小夜ちゃんが「ト〇ロじゃない!? なぜ!?」と驚き、ねるこちゃんが「マルホランド・ドライブはホラーなのではござらんか?」とつっこみを入れる。

 

「私の中ではあれはホラーではないな、青春映画の方がまだ近い気がする。寝子(ねるこ)ちゃんと言ったか? 君の好きな映画も教えてくれ」

 

「それがしはマイ・プライベート・アイダホが好きでござる」

 

「ほう、てっきり七人の侍とかの時代劇映画をあげてくるかと思ったが……」

 

「たまたま見たのでござるが、それがしの家はちょっと複雑でござって、それもあって妙に感情移入してしまったのでござるよ。あとは秘密の花園とか、小さな恋のメロディとかも好きでござる」

 

「ござるござると言っている割にはずいぶんと女の子らしい趣味じゃないか。しかし、古めの映画ばかりだな」

 

「ママ(うえ)が好きだった映画を見ることが多かったでござるからな、そのせいでござろう。ところで、先ほどからあまり喋っていない気がするでござるが、山田()はどんな映画が好きなのでござるか?」

 

「えっ、う?」

 

「ト〇ロ!? ヤマダヤマコもト〇ロ好き!?」

 

「ふえ」

 

 どの映画も知らないしつまらないなと思っていたところで、急に話を振られて少し焦ってしまう。

 好きな映画はあるにはあるのだけど、クレイアニメだし、子どもっぽいと思われそうであまり言いたくなかった。

 

「答えるのをためらうということは、もしかしてちょっとエッチな映画でござるか?」

 

「ち、違いますよ!? 違いますけど、うっ……キャロ――コララインとボタンの魔女が好きです」

 

 背伸びして大人っぽいタイトルを言おうかとも思ったが、そもそも難しい映画なんてわざわざ見ないので一つも思いつかず、結局正直に答えてしまった。

 子どもっぽいと言われたら嫌だなと身構えるも、東根先生が「ああ、ちょっと教訓めいた感じがあって私はそこが気に入らなかったが、魔女の世界は不気味で良かったな」と言ってにやりと笑う。

 

 うーん……魔女の世界、不気味だっただろうか?

 私は可愛くてワクワクする世界だと思ったが……実際にコララインも最初は魔女の世界を楽しんでいたはずだ。みんなの目がボタンなのも、ぬいぐるみみたいで可愛かったしな。

 

 そんな風に私が不思議に思っていると、助手席で眠っていた杠葉(ゆずりは)さんが目を覚ました。

 杠葉さんが後部座席を振り返り、目をしばたたく。

 そして怖い顔をして私に聞いてくる。

 

「ヤマコ、どういうつもりだ? なぜ、お前の学友がこの車に乗っている?」

 

「え? だって、ねるこちゃんは私の部屋に泊まりにきてるんですよ? それなのに置いて行っちゃうのもかわいそうじゃないですか。それにお金は東根先生が払ってくれますし」

 

「そういう問題じゃない。俺はこの子の父親になんて説明すればいい? たった数日前にうちの式神は無害だと伝えたばかりで、この状況だぞ?」

 

「へ? 私なんにも悪いことしてませんよ?」

 

「ただの旅行ならばまだしも、(はら)い屋としての仕事に同行させるのは危険が過ぎる。東根、お前もお前だ。なぜヤマコの友達を同行させた?」

 

「本人が一緒に来たがっていたから乗せてあげただけだが、そんなに怒らなくてもいいだろう。ご当主サマを起こして確認しようかとも考えたが、寝ているところを起こすのも悪いかと思ってな」

 

「今度からそういった時には迷わず起こせ。まあ、こうなっては仕方がない。現場に行く前に宿に向かうぞ、仕事の間はその子には安全なところで待っていてもらう。その子の父親――終日(ひねもす)アラン・デイとはヤマコの授業参観で連絡先を交換したからな、出るかはわからないがとりあえず電話をかけてみる。謝罪して、後日依頼を受ける際に報酬を負けてやって、それでどうにか許してもらえたらいいが……」

 

 杠葉さんは疲れた顔でそう言うと、スマホを取り出して操作し始める。

 ねるこちゃんのお父さんは終日アラン・デイという名前なのか、初めて知ったな。しかし外国人なのに日本語っぽい苗字があるのはなんでだろう、よく知らないけど帰化(きか)とかいうやつかな?

 

「やっぱり、それがしがついてきてはいけなかったようでござるな……」

 

 そう呟いて、しゅんとしてしまったねるこちゃんを私は慌てて励ます。

 

「そんなことないです、だって私は一緒がいいですし、東根先生だって大歓迎してくれていましたし、杠葉さんが意地悪なだけです!」

 

 スマートフォンを耳に当てながら、杠葉さんが私をぎろりと(にら)んで言う。

 

「意地悪で言っているわけではない。アラン・デイにもその子を危険なことに巻き込まないと約束をしたし、心配だから言っているだけだ」

 

 ねるこちゃんが私の顔を見て、「いまいちよくわからないのでござるが、それがしたちはそんなに危ないところに向かっているのでござるか?」と聞いてくる。

 

「どうなんでしょうか? そういえば私もまだ行き先を聞いてませんけど……そもそもどこでいなくなっちゃったんですか、その人たち?」

 

「いなくなった私のファンたちのツイートを見る限りでは、私たちが数分前に通り過ぎた風雅(ふうが)の滝という観光スポットに寄り道をして昼食を()った後、赤い家と呼ばれる心霊スポットへ向かおうと車に乗り込んだのを最後に投稿が途絶えているな」

 

「ということはじゃあ、その赤い家で何かあったんですかね? そうなりますと行き先は心霊スポットなわけですし、確かにちょっと危険かもしれませんね……」

 

 というか、ニュースか何かで見た覚えがあるのだが、確かツイッター社ってアメリカに本社がなかったか?

 アメリカ嫌いのニシキリアンたちなのに、ツイッターを使うのはいいのだろうか?

 

「いや、それなんだが、やつらが赤い家に入ったとはちょっと考えにくい。その日のそれまでのツイートを見る限り、やつらは現場に到着したら探索を始める前に必ず現地の写真を添えて『どこそこに着きました』というようなツイートをしているんだが、15人いた参加者の誰一人として赤い家に着いたというツイートはしていない。昼食を摂る目的で立ち寄った滝の写真まで上げているのだから、赤い家に到着していたのならば写真を上げないわけがないと思う。まあ、山奥だから電波がきていなかったという可能性もないではないが……」

 

「なるほど。でも、もしも東根先生が言うようにいなくなった人たちが赤い家に行っていないのだとすると、じゃあどこでいなくなったんでしょうか?」

 

「滝から赤い家までのルート上のどこかだろうとは思うが、正直わからないな。滝から赤い家はそれほど離れているわけではないのだが、土産物屋があるようなわかりやすい観光スポットこそないものの、小さな滝やら何やらといったちょっとしたスポットは数多く存在しているようだ。その中のどこかに寄り道をした可能性が高いのではないかと思う。まあ、まずは赤い家に行って電波がきているかを一応確認してみるつもりだ。もしも電波がきていれば、赤い家に到着していたとしたらやつらは必ずツイートをしているはずだから、赤い家には行っていないということになる。そうしたらあとは滝から赤い家までの間で、やつらが立ち寄った可能性がありそうな場所をしらみつぶしに見て回るつもりだ」

 

 私と東根先生の会話を聞いていたねるこちゃんが、困惑した様子で(たず)てくる。

 

「ええと、さっきお屋敷でもちょろっとそんなような話を聞いた気はするのでござるが、15人も行方不明になったとかいうその話は真実なのでござるか? で、今からその現場を探しに行くということでござるか?」

 

「はい、そうですよ。あれ? ねるこちゃんもお屋敷で一緒に東根先生のお話を聞いていましたし、事情をわかった上でついて来てくれたんだと思ってたんですけど……もしかして違うんですか?」

 

「えっと……何の話をしているのかあんまりわかっていなかったというか、正直現実の話だとは思っていなかったでござる」

 

「ええ? じゃあ、どうします? 杠葉さんが言うように宿で待ってますか?」

 

「いや、ブシドーに二言(にごん)はな――」

 

「絶対に宿で待っていてもらう、決まっているだろう」

 

 ねるこちゃんの発言を(さえぎ)って、杠葉さんが厳しい口調で言い放つ。ねるこちゃんのお父さんが電話に出なかったようで、杠葉さんは着物の右の(たもと)から左手で『たもと落とし』を引っ張り出して、持っていたスマートフォンを中に仕舞った。

 ねるこちゃんがちょっぴり怯えた顔をして、「そんなに危険なのでござるか……」と呟く。

 

「でもだいじょぶ! バッドラックも乗りこなせば無事故無違反無欠席! いえーい!」

 

 と小夜ちゃんが叫んで、両(こぶし)を振り上げて車内の天井をポコンポコンと叩いた。

 それにしても、さっきから車内に流れる歌の歌詞がみんな不穏だな。ドント・フィアー・ザ・リーパー(死神を恐れるな)とか繰り返していたり、ベイビー・ジョイン・ミー・イン・デス(死の中で一緒になろう)だのウォンチュー・ダイ・トゥナイト・フォー・ラヴ(今夜愛のために死んでみないか)だのと繰り返していたり、アイル・ビー・デッド・バイ・クリスマス・ナウ・エニーウェイ(いずれにしろクリスマスには死ぬんだ)とか繰り返していたり、アイム・ドリーミン・イン・ア・キャスケット((ひつぎ)の中で夢を見る……つまり、死んでいる?)とか繰り返していたり、アンダー・ザ・ローズ(薔薇の下で……つまり、お墓の下か?)とか繰り返していたり……中には二階建てバスにつっこまれて君と一緒に死んじゃいたいだとか、10トントラックに()かれて君と一緒に死んじゃいたいみたいな歌詞の歌もあった。他の英語が難しかったりそもそも英語ですらなかったり早口だったりしてよく意味がわからなかった曲も、きっと『死んじゃおう系』の悪趣味な歌詞だったのだろうな。まあ、東根先生の趣味なのだから悪くて当然といえば当然だけど……これから行方不明になった人たちを捜しに行くというのに、なんだか縁起が悪いように感じられて正直ちょっと嫌だった。だって私、死にたくないもん……。

 後続車もいなければ、対向車もまったく来ない夕暮れ時の(とうげ)道で、車を運転する東根先生がふと思い出したかのように言う。

 

「そういえば、もうすぐ魔のカーブだな」

 

「このサーキットには魔物が潜んでいる! 超エキサイティン! フーウ!」

 

 そう言ってまたもや両拳を振り上げて車内の天井をポコンポコンと叩いた小夜ちゃんのことはとりあえず無視して、私は東根先生に訊ねる。

 

「魔のカーブ、ですか?」

 

「特に何の変哲もないカーブなのだが、昔から原因のわからない事故が頻発(ひんぱつ)しているらしい。事故を起こした運転手の話もまちまちで、まっすぐの道が続いているように見えたと言う者もいれば、ハンドルが動かなくなったなんて言う者もいる」

 

「もしかしたら、ニシキリアンの人たちもそこで事故に遭ったとか……?」

 

「いや、それならもっと騒ぎになっているだろう。見たところガードレールだってあるし、何らかの痕跡が残るんじゃないか?」

 

「ですか」

 

 トゥトゥトゥ トゥトゥトゥ トゥトゥトゥトゥトゥ トゥルン♪ とラインの着信音(木琴の音色)が車内に響いて、杠葉さんがスマートフォンを取り出して電話に出る。

 小夜ちゃんが「川だ! お母さん! 崖の下に川がある!」と声を上げて、東根先生が「いまさら何を言っているんだ、ずいぶん前からずっと川沿いを走っていたぞ?」と呆れた風に言う。

 せっかくなので私も川を見たいなと思い首を伸ばすが、崖側に座っている小夜ちゃんからは見えても、中央の私や対向車線側のねるこちゃんからはどう足掻いても見えなそうだった。

 ちょっと残念に思いつつも川を見るのは諦めて、再び前を向くと道路とガードレールが緩やかに弧を描いている。見通しも悪くないし事故が頻発しそうな場所には見えないが、ここが東根先生の言っていた『魔のカーブ』なのだろうか?

 

「あ――これはまずいかもしれないな。ハンドルもブレーキも()かないぞ」

 

 東根先生が特に慌てた風でもなくそんなことを言うと、多分ねるこちゃんのお父さんからの電話だったのだろう――電話の相手にひたすら謝罪の言葉を繰り返していた杠葉さんが東根先生の方を向いて、「は!? 何だと!?」と声を上げる。

 スピードを落とすことなく車はどんどん直進していき、いよいよガードレールにぶつかる寸前で私は目をぎゅっとつむって身を固くした。

 ディグアップハー、ボォオウォウォウォウォ~ウォ~~~ンズッ! という叫びを最後に、車内にかかっていた音楽がプツリと途絶える。

 そういえば後部座席の真ん中が一番死にやすいとどこかで聞いたことがあるし、もしかして死んじゃうのかなと思い、震えて待つが……しかし、いつまで経ってもぶつかった衝撃がやってこない。

 こわごわとまぶたを開けると、フロントガラスの向こうにはガードレールも道路も見当たらず、車はなぜか竹藪(たけやぶ)の中にエンジンが切れた状態で停止していた。周囲をぐるりと背の高い竹に囲まれており、大量の竹をどうにかして退かさない限りは車を動かすこともできなそうだ。

 

「なんだここは……? 通話も切れた、電波がないな」

 

 そう言って、杠葉さんはスマートフォンを仕舞って数枚の霊符(れいふ)を取り出すと、助手席のドアを開けて外に出る。

 東根先生が「ううむ」と(うな)り、口を開く。

 

「さてはお(ふだ)の家の蔵で存在しないはずの階段を上ってしまったことで、ワープ(ぐせ)でもついたのか? 今度は車ごと、乗車していた全員まとめてのワープか……電車に乗っている最中や、車やらでの走行中にいつの間にか異界にいたり、本来その時間じゃ移動できるはずのない遠方にワープしてしまったりといった話は稀に聞くが……先ほどぶつかりそうになったガードレールの手前あたりの空間にアインシュタイン・ローゼン・ブリッジみたいなものがあったとして、エンジンが切れたのは電磁波やらの影響かもしれないが、車の運動エネルギーはどこへ行ったんだ?」

 

「あいんしゅたいんろーぜん……って、なんですか?」

 

「いわゆるワームホールのことだ」

 

「わーむほーる」

 

「ワープするための特別な通路のようなものだ」

 

「ああ、ワープホールのことですね! 何作か前のポテモンに出てきましたから知ってます、より遠くのワープホールを目指して飛ぶとハイパービーストというカッコイイポテモンがいる世界に行けるんです!」

 

「まあ、(おおむ)ねそんな感じだな」

 

 大胸? あ、概ねか。

 知っている言葉だが、東根先生が言うとなんだかエッチに聞こえてしまう。

 

「そうだな……とりあえず必要になりそうな物と大事な物だけを持って、全員で車を降りて辺りを探索してみよう」

 

「ですね。もしかしたらいなくなったっていうニシキリアンの人たちもここら辺にいるかもしれませんしね」

 

「ああ、助ける余裕があれば勿論(もちろん)助けたいが……だが、今ここにいる私たちの生還が最優先だ。予め伝えておくが、たとえ彼らと合流できたとしても、誰かを犠牲にしなければ絶対に生還できないと思った時には私に断ることなく彼らを切り捨てて構わない。その代わりに、依頼人である私のことは絶対に助けてくれ」

 

 きりっとした表情でそんなことを言う東根先生に、ねるこちゃんが「妙に恰好良さげな雰囲気で、恰好悪いことを言ったでござるな……」と冷たい視線を送る。妖怪の存在も信じていなかった割にはずいぶんと落ち着いているなと思ったが、そういえばねるこちゃんはオリエンテーリングの際に私と一緒にワープのような現象を何度も経験していたのだった。もしかすると、あれで少し耐性がついているのかもしれないな。

 ずっときょろきょろと周囲を見回していた小夜ちゃんが、「ここはどこ!? 世界がバグった! あんびりーばぶる!」と興奮した様子で声を上げた。

 

 私はスマホとお財布と家の鍵が入ったサコッシュに、着替えを入れてきたリュックサックから替えの靴下一足を移す。そしてサコッシュを首にかけると、ねるこちゃんの後に続いて車を降りる。

 小夜ちゃんの側のドアは竹が邪魔をしてほとんど開かなかったので、結局後部座席の三人ともねるこちゃんの側のドアから外に出た。

 最後に東根先生が運転席から降りてくるが、(かばん)などは持っておらず、ジーンズのベルトループにフラッシュライトが入ったナイロンケースを付けているだけだ。どうやらスマホやお財布はポケットに入れているらしい。こういうところはなんというか男らしくて、ちょっと憧れるな。東根先生は変態なところを隠せば、結構年下の女の子とかにもモテそうな気がしなくもない。

 

 もしかしたら内心では焦っているのかもしれないが、いつもの無表情で杠葉さんが言う。

 

「俺が先頭を歩く。ヤマコは殿(しんがり)を頼む、他の三人は俺とヤマコの間に居てくれ」

 

「フフ、冷光(れいこう)のご当主サマと、最強の大妖(おおあやかし)が護衛か。怖いものなしだな」

 

「油断をするな。ヤマコは強いが、察しが悪い上に不器用だ。危ないと思ったらヤマコにくっついておけ」

 

「ほう、まさかご当主サマからヤマコにくっつく許可をいただけるとは光栄だ。もはやヤマコの肉体は私の物だと言っても過言ではないんじゃないか?」

 

 どう考えても過言だが、つっこみを入れるのは後に回して耳を澄ます。

 …………うーん、特に変な音はしないな。さっき何か地面を引きずるような音がかすかに聞こえた気がしたのだが、気のせいだったのだろうか?

 杠葉さんがねるこちゃんを見て言う。

 

「終日、寝子だったか? 申し訳ないがこうなってしまった以上、宿で待っていてもらうというわけにもいかなくなってしまった。色々と疑問や不満があるかもしれないが、お前を無事に父親のもとへ帰すために全力を尽くすと誓う。どうか今だけは信じてほしい」

 

「えっと……よろしくお願いするでござる。何がなんだか、正直よくわからないのでござるが、みんなの雰囲気から切羽詰まった状況だということは理解できたでござるよ。どうやらそれがし以外はこの状況にある程度の理解があるようでござるし、なるべく指示には従うでござる」

 

「助かる。落ち着いて話せるようなタイミングがあれば俺にわかる範囲で説明はするが、とりあえず今は時間が惜しい。この先何が起こるかわからないが、できるだけ俺かヤマコのそばに居てくれ」

 

「承知したでござる」

 

 ねるこちゃんが頷くと、杠葉さんが「では行くぞ」と言って先頭に立って歩き出す。その後ろに東根先生と小夜ちゃん、そしてねるこちゃんが続く。どうやらねるこちゃんは杠葉さんのそばではなく私のそばを選んでくれたようだ。

 杠葉さんは顔は綺麗だけど態度が大きいし意地が悪いからな。正直私が選ばれて当然なのだけど、やはり選ばれて悪い気はしない。

 

 少し歩くとコポコポコポと川の流れる音が聞こえてきて、渓谷(けいこく)が現れた。谷の深さはおよそ3、4メートルといったところか。対岸までの幅も同じくらいだ。

 そのまま崖際を歩いていくと、だいぶ塗装が()がれてしまっているものの、元は赤く塗られていたのであろう細い鉄製の橋がかかっていた。

 歩みは止めずに、杠葉さんが呟くように言う。

 

「赤い橋は結界(けっかい)(もち)いられることが多い」

 

「え、そうなんですか? そういえば山の中とかの橋って、なぜか赤く塗られている物が多い気がしますけど……」

 

「だいたいは渡った先が神域になっていて結界の役割を負っている。そして神域というのは磁場がおかしな場所が多く、つまり怪異が好む土地であることが多い」

 

 そう言って杠葉さんが橋を渡り始めると、金属でできた橋が(きし)んでギイイと音が鳴る。そんなに細くて大丈夫なのだろうかと思ってしまうほど細い欄干(てすり)など、鉄のパーツ同士の合わせ目が目に見えて(ゆが)んでいた。

 たとえ落っこちたとしてもよほど打ちどころが悪くない限り死ぬような高さではないが、どうしたところで怖いものは怖い。

 

「飛べない人形はただの人形だ!」

 

 突然叫んで、小夜ちゃんが助走をつけてぴょーんと橋の上に飛び乗った。ギシッ、ギギイッと音を立てて橋全体が大きく軋み、ぐらぐらと揺れる。

 ちょうど橋の真ん中にいた杠葉さんが振り返って、小夜ちゃんをぎろりと睨んで言う。

 

「おい、二度とこういうことはするな。この先ふざけるのは禁止だ、次にやったらヤマコに命じてお前を壊すぞ」

 

「マジか!? ヤマダヤマコめちゃ怖い!」

 

 さっきも小夜ちゃんからヤマダヤマコと呼ばれた気がするが、あんまり可愛くないあだ名だな。小さい頃からあだ名で呼ばれるのに憧れていたものの友達が少なくてあだ名で呼んでもらったことがない私でも、このあだ名はさすがに嬉しくないぞ……というか、そもそも長すぎないか?

 そういえば小学生の時に仲の良い友達がいなくて、席がたまたま隣になった男子にあだ名で呼んでほしいと頼んで断られたっけな。まあでも、小学生くらいの男子って好きな女の子に対して素直になれないのが当たり前みたいだから、しょうがなかったんだろうけど……そんなことを考えつつ、私以外の全員が橋を渡り切るまで立ち止まって待って、みんなが橋を渡り切ったのを確認してから最後尾をおっかなびっくりと進む。

 ボロい橋は一人でゆっくりと渡っても結構揺れた。小夜ちゃんがあんな風に飛び乗ってきたのに悲鳴を上げたりへたり込んだりせずに(こら)えた杠葉さんは凄いと思う、たとえ()せ我慢だったとしてもだ。私だったら泣いていたかもしれない。

 何はともあれ無事に橋を渡り終えて、みんなと合流して再び歩き始めた。そうしてしばらく歩いていると竹藪を抜けて、土手の上に出る。

 すぐ下には背の高い雑草がぼうぼうに生い茂っており、その向こうにぼろぼろの家々が建ち並んでいた。

 足を止めて、杠葉さんが誰にともなく訊ねる。

 

「どの家も状態が悪いな、廃村か?」

 

「そのように見える。しかし、先ほど車で走っていた辺りには村も廃村もなかったはずだが、私たちはいったいどこまで飛ばされたのだろうな」

 

 東根先生がそう言って、ぐっと眉根を寄せた。

 軽く肩をすくめて杠葉さんが言う。

 

「強制的に連れてこられた先で見つけた廃村なんて、嫌な感じしかしないが……他にめぼしい物も見つからない以上、危険だとわかっていても踏み込んでみるしかない。時間があれば慎重に行動したいところだが、俺たちは食糧(しょくりょう)すら持っていないしな」

 

「そうだな。それに、単にどこか離れた場所にワープさせられただけならばまだいいが、この空間自体が異常だという可能性もある。そういった可能性がある以上は、仮に食べ物なんかが手に入ったとしても安易には食べられないな」

 

 杠葉さんが振り返り、私を見る。

 私も視線を返すと、杠葉さんが小さく頷いて言う。

 

「ヤマコ。この先に何が潜んでいるかはわからないが、お前の学友と東根を全力で守れ。頼むぞ」

 

「あ、あいさー」

 

 良き奴隷(しきがみ)である私は杠葉さんの命令に逆らうことができないので、二人を守り抜く自信はなかったもののとりあえず頷いて答える。怖い見た目をしたやつとか、触りたくない感じの気持ち悪い見た目をしたやつとかが出てなければいいが……。

 小夜ちゃんが「小夜は!? 小夜のことは守ってくれない!? なぜ!?」と騒ぎだす。

 

「なぜも何も、だって小夜ちゃんは人形で妖怪で式神じゃないですか。誰を優先して助けるかとかって、基本的に人間が最優先なんですよ。私もなんでなのかはわかりませんけど、そういうものなんです。小夜ちゃんはアニメが好きだってさっき車内で聞きましたけど、アニメでも大体はそんな感じじゃないですか?」

 

「そういえばそうかもしれない……なぜ? なぜ人間ばかりが優遇される? 小夜はなぜ人間じゃない!?」

 

「小夜ちゃんが人間じゃない理由はわかりませんけど、人命が他よりも優先されるのは多分、助ける側も人間だからじゃないでしょうか?」

 

「でも、ヤマダヤマコは妖怪! 妖怪なら妖怪を優先して助けるべきでは!? つまり、この中だと小夜を最優先すべきでは!?」

 

「いやいや、私は人間ですよ」

 

「なんだって!? こちら嘘つき警察、嘘つきは逮捕する! なんてイカれた妖力(ようりょく)だ、こいつはどう見ても妖怪だ! 逮捕ー!」

 

「うわっ!?」

 

 小夜ちゃんががばっと抱き着いてきて、私の首に両腕を回した。

 しばらく黙っていたねるこちゃんが、いつになく不安げな面持ちで聞いてくる。

 

「妖怪って、本当にいるのでござるか? 山田氏は、何者なのでござるか……?」

 

「に、人間です! 私は人間です! 妖怪はいますけど、私は人間です!」

 

「ヤマダヤマコめ、また嘘をついたな! パンツ脱がせてやる!」

 

「わー!? やめてくださいっ、何するんですか!? ス、スウェットだから簡単にズボンごと脱げちゃいますから! こらっ――この!」

 

 冗談とかでなく、多分本気で私のパンツを脱がそうとしてきた小夜ちゃんにビビッてしまい、手のひらでべしっと突き飛ばす。

 すると、「飛んでるーーーっ!?」と悲鳴を上げて小夜ちゃんが何十メートルも吹っ飛んでいき、一番手前に建つ廃屋(はいおく)の壁を突き破って姿を消した。

 

 それから心の中で十を数えても誰も何も言わず、結局、最初に沈黙に耐え切れなくなったのは私だった。

 

「だ、誰か何か言ってくださいよ……」

 

「えーと、それがしは何も見なかったでござる」

 

 ねるこちゃんがあさっての方向を見て言った。

 私に気を使っているつもりなのか、それとも単純に私を恐れているのかはわからないが、とても良くない勘違いをされている気がする。

 

「ち、違います! ほんとに違いますから! 私は人間なんです、ほんとに! 妖怪なんかじゃないんです、信じてください!」

 

「……今のを見せてしまっては、さすがに誤魔化すには手遅れじゃないか?」

 

 少し言いづらそうにしながらも東根先生が指摘してくる。

 私だってわかっている、普通に考えたらさすがに今のは生身の人間にできることじゃない。でも実際に私は人間だし、スイちゃんのせいで妖力があるがゆえに狂ったパワーが出せてしまうというか、勝手に出てしまうだけなのだ。

 

「うう、ほんとに人間なのに……!」

 

「わ、わかっているでござる。大丈夫でござるよ、それがしは誰にも言わないでござる」

 

「絶対わかってないじゃないですか! だってわかってない人の反応ですもん、それ!」

 

「まあ、とにかく小夜を回収しに行こうじゃないか。頭の出来がすこぶる悪いとはいえ、あれでも私の大事な仕事道具なのでな。ないと困ってしまう」

 

「あ、いまさらですけど、小夜ちゃん大丈夫ですよね? 妖怪ですし、吹っ飛んだくらいじゃ死にませんよね?」

 

「吹っ飛ぶくらいならば問題ないはずだが、あの廃屋に妖怪がいたら少々危ないかもしれない。小夜は(のろ)いや霊体には強いが、妖力をほとんど持っていないし妖怪相手には打つ手がないからな。さっきのも、もしもヤマコがもう少し力を込めていたら吹っ飛ぶ前に一瞬で消滅していただろう」

 

 え……? 洒落(しゃれ)にならないな、スイちゃんパワー。いきなり私のパンツを下ろそうとしてきた小夜ちゃんが悪いのは確かだけど、だからといって私の張り手で小夜ちゃんが消滅していたらさすがに罪悪感で病んだと思う。自戒(じかい)を込めて二の腕あたりに『R.I.P SAYO』とタトゥーを彫ったかもしれない。

 

 ねるこちゃんがこわばった表情で「一瞬で消滅……」と呟いて、怯えた視線を向けてくる。居心地の悪さを感じた私は小夜ちゃんが突っ込んでいった廃屋を目指して歩き出しつつ、振り返ってみんなに言う。

 

「と、とにかくですよ、小夜ちゃんが危ないかもしれませんし、急いで見に行きましょう!」

 

「待て。ヤマコは後ろだ」

 

「あ、すみません、つい……」

 

 杠葉さんに注意されてのそのそと最後尾に戻る。さっきまで私の目の前を歩いていたねるこちゃんが今度は杠葉さんの方に行ってしまったらどうしようと不安に思ったが、優しいねるこちゃんは同じ並びを維持してくれた。

 胸くらいの高さにまで伸びた雑草地帯をどうにか抜けると(一瞬何かに足首をつかまれたような感触がして焦ったが、思い切り足を振ったらすっぽ抜けてどこかに飛んでいったので多分枝か何かだったのだと思う。雑草のせいで何も見えなかったので、凄く怖かった。)、杠葉さんが立ち止まり、振り返って細身のフラッシュライトをねるこちゃんに差し出す。

 

「予備のライトだ、廃屋の中では灯りが必要になるだろうから持っておけ」

 

「おお、かたじけないでござる」

 

「こうした場所では電気製品が故障しやすい。急に灯りが消えて、二度と点灯しなくなるなんてこともざらにある。そうした際になるべく取り乱さないように構えておけ」

 

「しょ、承知したでござる……」

 

「なに、リラックスしたまえ。今回はこれだけの人数がいるからな。誰かしらの懐中電灯がつかなくなるなんてことは日常茶飯事だが、全員の懐中電灯が一斉に消えるなんて事態はそうそう起こらない。まあ、絶対に起こらないとは言い切れないが」

 

 そんなことを言ってくつくつと笑い、東根先生が自分のフラッシュライトを点灯させた。

 杠葉さんもフラッシュライトを点けると、外から室内を照らして様子を確認しつつ、壁に開いた人間大の穴から廃屋へと踏み込む。先ほどはずいぶんと簡単に穴が開くんだなと思ったが、それもそのはずで、廃屋の壁は薄い板を適当に並べただけの雑な作りだった。断熱材なんてもちろん入っていないし、隙間だらけだ。

 とはいえ、隙間がどれほど多かろうと、外が暗くなってきているために当然廃屋の中も暗い。

 

「あれ? 山田氏は懐中電灯を点けないのでござるか?」

 

 小さな声でそう訊ねつつ、ねるこちゃんが私を振り返った。

 そして、「ひゅっ……!?」と息を()む。

 もしや私の後ろに何かいたのだろうかと思い、私もがばっと振り返る。しかし、何もいない。

 顔を前方に向け直して、未だ怯えた顔をして硬直しているねるこちゃんに訊ねる。

 

「えっと、どうしたんですか?」

 

「め、めめめ、めっ……めが、めっ」

 

「めめめめめめがめ?」

 

「い、いや、なんでも、なんでもないでござるよ、それがしの勘違いだったでござる!」

 

「へ?」

 

 なんだか不自然な態度で、ねるこちゃんが私から顔を背けた。

 いったいどうしたのだろうと不思議に思っていると、東根先生がぼそっと言う。

 

「ヤマコ、人間は目が光らない」

 

「あっ!?」

 

 慣れてしまったのか最近はあまり意識しなくなっていたが、そういえば私の目って暗いところで緑色に光るのだった。私の目が光っているのを見て、ねるこちゃんはびっくりしちゃったんだな。

 学校の友達にまで妖怪だと思われるのは嫌だけど、とはいえ、普通の人の目は確かに光らないし、もうこうなってしまうと言い訳するのも難しい気がするな。でも、本当に私は人間なんだけどな……。

 隙間だらけの壁の向こうにもう一間あるようで、壁越しに小夜ちゃんの元気な声が聞こえてくる。

 

「なんだお前!? 何者だ!? なぜ追いかけてくる!? 待て、小夜に触れたらお前ヤバいぞ!? あっ!? くっ……愚かな!」

 

 なぜか戸が閉まっており、杠葉さんがガタガタと何度も引っかかって中々開かない板戸をどうにかこじ開けると、奥は土間になっていた。

 何があったのかはわからないが、小夜ちゃんが悲しげな顔をして佇んでいる。今の今まで誰かに話しかけていたようだったのに、小夜ちゃんの他には誰もいない。

 杠葉さんが小夜ちゃんに訊ねる。

 

「なぜここの戸を閉めたんだ?」

 

「開けた戸は閉める、点けた電気は消す! それがお母さんの教えです! 忘れると罰せられます!」

 

「そうか。それで、何と話していた?」

 

「なんかゾンビみたいなやつがいて! でも、ゾンビなのは見た目だけで多分オバケで! オバケが小夜に触ると自動で封印されちゃうから注意したけどそれでも触ってきて、やつは封印された!」

 

 小夜ちゃんが謎の身振り手振りを交えつつ(見ていても私にはまったく意味がわからなかった。)説明すると、黙々と家の中を物色していた東根先生が言う。

 

「なるほど、妖怪ではなくて幸いだったな……とりあえずこの家には何もなさそうだ、外に出て他を調べるとしよう。他の廃屋にもオバケがいるかもしれないが、一生この廃村で暮らすのは嫌だからな」

 

「単純にこの廃村を抜けた先に出口のようなものがある可能性もあるが……すべての廃屋を調べるにしろ廃村を抜けてみるにしろ、もう夜になる。暗闇の中で下見すらしていない場所を歩き回るのはやはり危険だ、怪異が潜んでいる可能性が高いとあってはなおさらに。先ほど時間がないかもしれないという話をしたばかりだが、比較的状態のいい廃屋を見つけて夜が明けるのを待った方がまだいいかもしれない」

 

「ふむ。暗闇か時間か、どちらかのリスクを負わねば――おっと、どちらのリスクを取るか、か。フフ、こういった時はできる限り前向きな言い方をしなければな、(げん)担ぎは大事だ」

 

「お前の言っていることは正しいが、情報を共有する必要があるのも事実だ。申し訳ないが後ろ向きな発言をさせてもらう。懐中電灯に入れる替えの電池もないからな、俺としては落ち着いて夜が明けるのを待った方がいいのではないかと思っているが、正直ここがマトモな空間なのかもわからない以上、何時間と待ったところで永遠に夜が明けない可能性もある。いたずらに時間を失うだけにもなりかねない」

 

「私はアナログの腕時計をしているし、電気製品は当てにならないものの一応スマホの時計もある。とりあえず夜が明けるのを待ってみて、いよいよ空の色に変化がないとなればそれから動き出すのでもいいかもしれないな」

 

「わかった、ならばそうしよう。夜明けを待つのに一番マシそうな建物を急いで探すぞ」

 

 壁に開いた大きな穴をくぐって廃屋から出て、また杠葉さんを先頭にして歩き始める。もはや言うまでもなさそうだが、私は一番後ろだ。

 二つ前を歩いている小夜ちゃんの指先が黒ずんでいることに気がついて、声をかける。

 

「小夜ちゃん、なんか手が汚れてますよ」

 

 小夜ちゃんが歩きながら振り返り、手を上げて答える。

 

「これ? 呪いとかオバケとかを封印すると、どんどん先っちょから黒ずんじゃうの。黒くなっちゃったパーツはあとでお母さんに取り換えてもらうから、大丈夫だよ!」

 

「あ、そういう……なんかばっちい物を触って、そのままなのかと思いました」

 

「あー。そういえばさ、こないだ公園の砂場で遊んでたら猫のうんち握っちゃった。ぎゅって!」

 

 東根先生が振り返り、「砂場では遊ぶなといつも言っているだろう」と眉をひそめて小夜ちゃんに言うが、小夜ちゃんは気にせずに「ブランコの前にある鉄でできた手すりみたいなのをつかんだら、鳥のうんちがついててびちゃってなったこともある!」と言って笑う。

 しかし、小夜ちゃんの外見が小っちゃい男の子とかだったりしたら凄くかわいかったかもしれないが、十代後半の良いところのお嬢さまって感じの容姿なので公園の砂場やブランコで遊んでいたらめちゃくちゃ悪目立ちしそうだ。

 どういう基準で選んでいるのかは知らないが、廃屋の外観やその周辺を確認しては杠葉さんが「ここは駄目だ」と言ったり、東根先生が「比較的防衛しやすい造りだが、一度侵入されたら退路がないな」などと言う。

 私にはよくわからなかったので、久しぶりに復楽苑(ふくらくえん)のチョコレートラーメンかホワイトチョコレートラーメンが食べたいななどと考えながら、ぼうっと最後尾を歩き続けた。

 

「アア~……ウア~……」

 

 後ろから変な声がして、ズリ、ズリと引きずるような足音が聞こえてくる。

 あれ、私の後ろには誰もいないはずだよな? と思い、とっさに振り向く。

 海外の映画とかに出てくるような感じの、ザ・ゾンビみたいな姿をした男が()びた(なた)と、変な方向に曲がった片足を引きずりながら歩いてきていた。すでに辺りは暗くなっていたが、高性能なヤマコアイのせいでキモいゾンビの姿がくっきりと見えてしまう。

 

「ひょえっ……!?」

 

 悲鳴を上げて立ち止まると、すぐ脇に建つボロボロの廃屋の窓から(かま)を握った細い腕が伸びてきて、私の居る方を目掛けてブウンと鎌を振ってくる。

 

「ひょわあっ!?」

 

 びっくりして仰け反るが、しかし、そもそも鎌はまったく私に届いていなかった。

 杠葉さんが振り返り、素早く状況を確認して言う。

 

「ヤマコは東根と終日(ひねもす)から離れるな、すぐそばにまで近づかれた時にだけ対処しろ」

 

 杠葉さんが霊符を取り出して、古語や難しい言葉が多くてよく聞き取れないものの、多分退魔(たいま)呪言(じゅごん)(とな)える。

 すると、後ろから来ていた鉈を持ったゾンビがすうっと消えて、錆びた鉈が未舗装の土の道路に転がった。

 

「ヤマコや人形はともかく、人間は夜目が()かないからな。このまま暗い中を歩き回っていたら間違いなく事故が起きる。もう寝床を吟味(ぎんみ)する余裕はない、とりあえず近くでマシそうな廃屋を選んで入るぞ」

 

「坂の上に見える、あの二階建てはどうだろう? 低いところよりは高いところの方が有利だし、あれも廃墟なのだろうが他の家々よりかは幾分立派な造りに見える」

 

「そうだな、そこを目指そう。慌て過ぎても事故に繋がる、今までと同じように列になって歩いて向かうぞ。今みたいな怨霊やらを見かけたらすぐに周りに報せろ、距離があれば俺が対処するが、気づかない内に近づかれていた場合はヤマコがやれ」

 

「はいっ!」と元気よく手を挙げて、小夜ちゃんが言う。

 

「オバケなら小夜もワンタッチで収納できます!」

 

「やつらがどれだけ居るのかはわからないが、万一ヤマコがカバーし切れないような状況になったらお前にも対処を手伝ってもらう。だが、そうなるまでは俺とヤマコに任せていい。お前の場合は器に霊魂を封じるという特性上、対処できる総数に限界があるはずだ。いざという時の備えとして温存しておきたい」

 

「温存!? つまり、小夜は最終兵器!? 一番強いってこと!?」

 

「ああ。とにかく立ち止まっている暇はない、行くぞ」

 

「うおおっ、小夜が最強だ!」

 

 はしゃぎ始めた小夜ちゃんを適当にあしらって、杠葉さんが再び歩き出す。杠葉さんの後ろを歩きながら、東根先生が「不可解だな」と呟いた。

 

「何がですか?」

 

「いや……幽霊が武器を持っているパターンというのは稀にあるが、その場合は武器も質量を持っておらず、実在していないのが普通だ。たとえば八王子城跡の裏山で刀を持った武士たちの霊に斬りかかられたことがあるが、奴らの刀は私の身体をスカスカとすり抜けていた。だが、ここに居る幽霊どもは錆びてボロボロになっているとはいえ、質量を持った本物の武器を扱っている。私も経験したことのない事例だよ、実に興味深い。推論だが、手に持っているように見えるから不思議に思えるだけで、いわゆるポルターガイスト現象なのだろうな……実際には手で持って動かしているわけではなく、物体をプラズマで包み、宙に浮かせて操っているわけだ」

 

「えーと、私から聞いておいてアレですけど、よくわかりませんでした。あと、武士のオバケに斬られた話はさすがに嘘くさいです」

 

「む、失敬な。確かにあまりにもベタだという意味では疑わしく感じられるかもしれないが、数年前に私が実際に体験した出来事だぞ」

 

「うーん……いえ、東根先生がそんなつまらない作り話をするはずがないってことはわかっているんですけど、でも、やっぱりベタすぎて……」

 

「わかった。ならばここを脱出したら、八王子城跡の裏山に一緒に行こうじゃないか。私が嘘をついていないと証明してやろう」

 

「あ、それは結構です。東根先生とお出かけなんてなるべくしたくありませんし」

 

「むう……確かに先日の温泉では少々はしゃぎ過ぎた自覚はあるが、もしかしてだが、私が絶対に傷ついたりしないと勘違いをしていないか?」

 

「あ。分が悪くなるとそうやって急に同情を引こうとしたりするの、サイコパスの特徴だってこないだユーチューブで見ました」

 

「ほう、今のは中々良い(あお)りだったぞ。少しカチンときた」

 

「え? や、八つ当たりとかしないでくださいね? の、呪いをかけるとか……」

 

「私は『呪い破り』だから呪いをかけたりはしないし、呪い返しすらも行わない主義だ。それに、そもそもヤマコのような大妖(おおあやかし)を呪ったら私の方が死んでしまうだろう。とはいえ、いくらヤマコが強かろうが所詮はさくらんぼだからな、何かうまい仕返しを考えておこう」

 

「ええっ、そんなっ!? ちょ、ちょっとした冗談じゃないですか、本気にしないでくださいよ! 誤解ですよ、誤解!」

 

「ふむ。都合が悪くなると誤解だと言うのも、確かサイコパスの特徴じゃなかったか?」

 

「私がサイコパスのわけないじゃないですか!」

 

「まあ実際にはヤマコは妖怪なわけだが、もしもその性格で人間だったら間違いなくサイコパスだな」

 

「エッ!?」

 

 んんんっ!? どういうことだ? 私は人間だぞ?

 東根先生は変態でサイコパスで駄目な人だけど、でも高い教養のある、いわゆる知識人(インテリ)って人種だ。

 そんな東根先生が断定するほど、私ってサイコパスっぽいのか?

 

「えっ、えっ、それってつまり、私ってサイ――」

 

「ヤマコ、東根、いつまで無駄話をしているつもりだ? 報告以外で声を出すな、周囲の音を聞き漏らす可能性が高くなる」

 

 杠葉さんが前を向いたまま文句を言ってきて、私はごにょりと口ごもる。

 しかし、冷静に考えてみれば東根先生がいくら頭が良かろうとも、お医者さんですらないのだし見誤ることはあるだろう。やっぱり、どう考えても私がサイコパスだなんてことはありえないと思う。

 東根先生とおしゃべりをしている間にそこそこ歩いてきていたようで、気づけばもう坂を上りきるところだった。

 坂の上に建つ廃屋は近くで見ても大きくて、立派な造りをしていた。背の高い木製の板塀(いたべい)に囲われているため二階部分しか見えないが、そもそもこの廃村に来てから二階がある家を初めて見た気がする。改装してカフェにでもしたら可愛くなりそうな感じの古民家で、壁にも外からぱっと見てわかるような隙間は見当たらない。

 そのまま板塀に沿って歩いていくと、木製の門が見えてくる。

 私と東根先生がそこそこ大きな声で散々おしゃべりをしていたので今更感はあるものの、声を抑えて杠葉さんが言う。

 

「門が閉ざされている。人かあやかしかはわからないが、誰か中に居るかもしれない」

 

「ほう、針金が巻かれているな。おや? この呪符(じゅふ)には見覚えがあるぞ」

 

「我流にしても、でたらめ過ぎるこの呪符にか? しかも、プリント用紙のような紙に印刷してあるように見えるが……」

 

 杠葉さんと東根先生の会話が気になって覗き見てみると、西洋風の魔方陣の上に昔の漢字みたいな文字と妖怪の顔みたいな絵が細い筆で書いてある謎のお(ふだ)が、閉ざされた門の中央に太い針金で巻き付けられていた。

 針金は錆びているが、お札はほとんど汚れておらず新しい物に見える。

 

「これは最近の月刊△ーの付録だ。確か、持っているだけで素敵な恋人ができたり宝くじに当たったり出世したりするという触れ込みだった。何にせよ、こんな物を実際に持ち歩いているとなるとまともな相手じゃないな。失踪したニシキリアンたちかもしれない」

 

「だろうな。どうする? 無理やり侵入する前に一度、外から声をかけてみるか?」

 

「だが、この廃村の幽霊どもが見た目通りにゾンビ的な特徴を有しているのだとすれば大きな声を出すのは危険かもしれないぞ。ブードゥー教のゾンビではなくアメリカ映画のゾンビの話だが、音に集まってくるタイプはメジャーだろう?」

 

「そもそも、映画のゾンビが実在するとは思えないが……しかし、本物の武器を使っていたしな。俺もここの幽霊のような幽霊は今まで見たことがないし、確かにどのような特徴を持っているのかはわからない。だが、黙って侵入したらしたでそのニシキリアンとやらに攻撃されるかもしれないぞ?」

 

「そうだな。失踪したニシキリアンたちが立てこもっているのだとすれば、黙って侵入したら容赦なく致命傷を狙ってきそうだ。ここの幽霊どもだが、見た目と歩き方こそゾンビっぽいものの、そもそも霊体な上にゾンビが武器を使うパターンはかなり珍しいし、やはり普通のゾンビとは違う気がしなくもない。どちらにしろリスクはあるが、ニシキリアンたちに殺されては元も子もないし声をかけてみるか」

 

 そう東根先生が決断したところで、門の向こうの廃屋の方からカラカラカラと引き戸を動かすような音が(かす)かに聞こえてきた。

 そして、カサ、カサ……という控えめな足音が二つ、ゆっくりとこちらに近づいてきて門の前で止まる。

 姿は見えないが、野太い声質(せいしつ)の――おそらく壮年くらいの男性が、門越しに話しかけてくる。

 

「あの……もしかして、東根先生ですか?」

 

「そうだが、オフ会ツアー中に失踪したニシキリアンか?」

 

「そ、そうです、今開けますっ……!」

 

 左右の門扉を固定している針金がきしきしと音を立てて、上下に小刻みに動く。内側からニシキリアンの人が針金を外そうとしているのだろう。

 板塀の角から、「ウア~……」と(うめ)きながら斧を持ったゾンビが一体姿を現した。杠葉さんが霊符を構えて呪言を唱え始めるが、ゾンビは足を止めると右手に握った斧を振り上げる。

 すると次の瞬間、こちらに刃を向けた状態で、斧が私の顔面を目掛けてビュンッと一直線に飛んできた。東根先生がさっき言っていた『実はポルターガイスト説』を裏付けるような不自然な飛び方だ。

 

「ほわあっ!?」

 

 と叫んだまま()(すべ)もなく固まっていると、何か細長い物が私の鼻先をヒュンと通り過ぎて、キィンッという金属音とともに斧があさっての方向に(はじ)き飛ばされる。

 

「危なかったでござるな」

 

「ねるこちゃんっ!」

 

 いつの間に入手していたのか、どこかで拾ったらしい()び錆びの鉄パイプを両手で握ったねるこちゃんに思わず抱きつく。本当に死んじゃうかと思った。

 というか、高性能なヤマコアイをもってしてもねるこちゃんの振った鉄パイプの動きがほとんど見えなかったのだが、もしかしてねるこちゃんって強いのだろうか? ブシドーとかカタカナっぽく言っているのに……。

 

「た、助けてくれてありがとうございます! ところで助けてくれたということは、私が人間だって信じてくれたってことですよね!?」

 

「たとえ山田氏の正体が何であれ、助けない理由にはならないでござるよ。命は等しく命、友は友ということに変わりはないでござる」

 

「えっ……!? あ、あの、凄くいいことを言っているのはわかるんですけど、人間だって信じてほしいです!」

 

「フ……今まで妖怪や幽霊なんて話はまったくの戯言(たわごと)だと思っていたでござるが、こんなに身近にいたとは驚きでござるよ。隣の席に座っていながらまったく気づかなかったでござる」

 

「いや、あの、私にんげ――」

 

「パパ上と、ママ上に謝らねばならないでござるな。実際に今日のようなことがあった以上、ママ上の失踪も本当に神隠しだったのかもしれないでござる。それがしはずっとパパ上がだらしないせいでママ上が出て行ったのだと思っていて、ママ上はそれがしを捨てたのだと思っていて……それがしはママ上を捜そうともせず、ママ上を捜そうとするパパ上の活動も否定していたのでござる。だけど、もしもママ上がママ上の意思とは関係なく、今のそれがしたちのように事故に遭うように消えてしまったのだとしたら……本当はママ上がそれがしを捨てたのではなく、それがしがママ上を捨てたということでござろう。あまりに情けない話でござるよ、弱さゆえにママ上の愛情を疑い、己が価値を疑い……せめて、今後の人生を()けてママ上を見つけ出す所存でござるが、そのためにもまずはこの村から生きて帰らねばならないでござるな」

 

「あ、う……」

 

 どうしよう、ねるこちゃんが私を妖怪だと思い込んでしまっているみたいだが、なんだかシリアスな雰囲気が邪魔をしてこれ以上は主張しづらい。

 おろおろとしているうちに針金が外されて、門扉が開かれる。

 門の内側には四十台くらいの無精ひげを生やしたおじさんと、二十台くらいの眼鏡をかけたノッポの男の人が立っていて、二人とも早く入ってこいと言うように高速で手招きをしていた。

 杠葉さん、東根先生、小夜ちゃん、ねるこちゃん、そして最後に私という順番で全員が門をくぐると、おじさんたちが素早く門扉を閉ざして再び針金を巻き始める。

 東根先生が首をひねり、おじさんたちに問いかける。

 

「それは意味があるのか?」

 

 無精ひげのおじさんが一瞬だけ東根先生を見やり、針金を巻く作業を続けながら(かぶり)を振って答える。

 

「正直わかりませんが、やらないよりかはいいかと……ああ、気づいていらっしゃるかもしれませんけど、あのゾンビみたいなやつらですが、見た目通りと言いますか音には結構敏感なので気をつけてください……あの、先生は我々を助けに来てくださったんですよね? 本当になんとお礼を言ったらいいか……」

 

「ああ、この私が大事なファンを見捨てるわけがないだろう? しかし、どうにかここまでやって来て、こうして合流もできたが……実を言うと、脱出方法はまだ調査中だ。暗くなってしまったから続きは明日にしようということになったのだが、念のために聞いておくが待っていれば普通に朝が来るのか?」

 

「ええ、朝は来ます。ですが、ここは普段我々が暮らしている世界とは異なる次元にある、異質な空間だとも思います……我々がそう判断した理由については、あとで家の中でお話ししますが……脱出方法というか、この空間の出口についても一応、ここかなと思う場所があるにはあるんですが、正直なところ先生がいらっしゃっても辿(たど)り着けなそうです」

 

「ふむ。なぜそう思う?」

 

「物凄い数のゾンビどもが通せんぼしているんですよ。それこそ、最近流行りの海外ドラマのワンシーンさながらに……」

 

「ほう……興味深いな。噛まれたくはないが、私はゾンビ物も結構好きだし、生でそのような光景を見られること自体は純粋に楽しみだ。何年か前にダ〇ルに憧れてバイクの免許を取ろうとしたが、教官と喧嘩になって教習所に行くのを途中でやめたことがある」

 

「先生らしいエピソードですね……」

 

 おじさんがふうっと息を吐いて、眼鏡の人とほぼ同時にこちらに向き直る。どうやら作業を終えたようだ。

 眼鏡の人がおじさんに「じゃあ、とりあえず戻りましょうか」と言い、おじさんが「ああ、みんなが不安がっているだろうしな」と頷く。

 おじさんが私たちを順々に見て、「ではついて来てください」と言って先に立って歩き始めた。

 歩きながら、東根先生が前を行くおじさんに訊ねる。

 

「そういえば、なぜ私だとわかったんだ?」

 

「ああ、外から話し声がかすかに聞こえてきまして、二回くらい東根先生って聞こえたので、もしや先生が我々の救出に駆けつけてくれたのだろうかと思いましてね。二階から外を覗いても暗いし距離があるしで顔まではとても見えませんでしたし、実を言うと門を開けるまでは何か恐ろしい化け物が我々を(あざむ)こうとしているのかもしれないとも思っていたんですが……どっちみち余裕もありませんでしたし、ここに賭けてみようと思って開けたんですよ。そうしたらサイン会や講演会でお会いしたままの東根先生が立っていたので、安心しました」

 

 玄関の前で足を止めて、比喩(ひゆ)でなく実際に手で胸をなでおろしつつ、おじさんが東根先生を見て疲れた笑みを浮かべた。

 そして、おじさんが玄関引き戸に手をかけようとしたところで、東根先生が意地悪い笑みを浮かべて余計なことを言う。

 

「記憶を読むことができて、姿形までを変えらえる化け物が私に擬態している可能性や、そもそも幻覚を見せられているといった可能性は考慮しなかったのか? そんなわけはあるまい、何せお前たちはニシキリアンだ」

 

「それは……もちろん、考えました。正直に言うと、現在進行形でそういった不安はあります」

 

「お前たちは私に憧れているのだろう? ならば、死ぬまで決して心を折るな。私は本物の東根(にしき)だが、私がお前たちの立場だったならもっと慎重に確認したぞ。どんなに疲れていて、余裕がなかったとしてもだ」

 

「う、すみません……」

 

「まあ、(しん)のニシキリアンを目指して精進することだな」

 

「はっ、はい! ありがとうございます!」

 

 真のニシキリアンが何なのかもわからなければ、最後におじさんが(ゾンビたちは音に敏感だから気をつけろとか言っていたのに)大声でお礼を言った意味もよくわからなかったが、一つだけわかったことがある。

 私はすすすっと杠葉さんのそばに寄り、背伸びをして耳もとに(ささや)きかける。

 

「杠葉さん、杠葉さん。おじさんが外から東根先生って聞こえてきたから門を開けてくれたって言ってましたけど、東根先生の名前を口にしたのは私ですよ。つまり、スムーズに、無事にニシキリアンさんたちと合流できたのは、私がおしゃべりをしていたおかげってことです!」

 

「黙れ」

 

「あだっ!?」

 

 バシッと側頭部をど突かれた。

 ()めてもらおうと思ったのに、()せぬ……。




【 バケツこそこそ話 】
作中に登場した映画や音楽はどれも実在しますが、ただ単に私の好きな物を並べたわけではなく、ちゃんとキャラクターの趣味やバックボーンなどを考慮して選んでいます。
キャビンはホラー好きではない人が見たらむしろ駄作に感じるのではないかと思いますが、ホラーが大好きで仕方ない東根先生からしたらディ〇ニーランドみたいな作品です。夢の国です。
車内でかかっていた曲の半分くらいはそのバンドの全盛期の曲ではなく、音楽通からの評価が低い曲をあえて選んでいたりします。なぜかといいますと、東根先生が曲の完成度や演奏技術なんかよりも歌詞とバンドマンのルックスに興味があるというタイプだからです。
東根先生はロマンチストなので、ロマンチックな歌詞の曲が好きです。一緒に死のうというフレーズに究極のロマンチシズムみたいなものを感じます。多分ですけど、クラシックならショパンの幻想即興曲とか雨垂れとかが好きそうです。
ちなみにですが、「アンダー・ザ・ローズ」というフレーズには「秘密に」「内緒に」といった意味がありますが、車内でかかっていた曲(H.I.M / Under the rose)の場合はそのまま供えられた薔薇の下、つまりは墓の下という意味で用いられているのでヤマコちゃんの解釈で合っています。
あと、実は東根先生も結構ト〇ロが好きです。お話の内容というよりも、家が廃墟風なところと、大ト〇ロの顔が単純に好きって感じですが!
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