GBN:ダイバーズコンピレーション   作:X2愛好家

13 / 44
歩きづらくない?


マ魔王と長女

「ふはははは!マガ家にようこそ!我が眷属達よ!」

GBNの動画配信サービスG-TUBE。日夜様々な動画がアップロードされるG-TUBEで配信を行う動画配信者をG-TUBERと呼ぶ。そんな配信者の一人であるマガツ・ローとそのチャンネルのマガ家。今日もまた、配信が始まったのだがスタート直後から妙に高いテンションでリスナーを歓迎したのは、配信主であり母であるマガツや、アシスタント兼繋ぎとして登場する頻度の高いマガサイゴともまた違う異形の少女だった。

 

『マキガイちゃん様!』

『あっ一番上の(小さい)姉様!』

『マキガイ様だぁぁぁぁ!』

『ィヤッタァァァァァ!』

 

「うむうむ!我が闇の眷属達は今宵も昂っておるなぁ!・・・小さいって言った奴は覚えとけよ」

 

『ヒエッ』

『早速キャラぶれてて草』

『闇の支配者(笑)』

『やみのしはいしゃ』

 

「ええい!うるさい!我は闇の支配者ぞ!?眷属が主をからかうでないわ!そして先に言うな!カッコワライと付けるな!」

闇の支配者を名乗る異形。ふくらはぎまで届くライトブルーの長髪に紫色の斑点模様を散らした毒々しい髪。帽子と呼ぶには余りにも大きく異質なオウムガイのようなヘルム。灰色のウェットスーツのような衣服を着用し、腰からはクラゲのようにスカートが広がり、さらにスカートの裾から触手のような物が伸びている。海洋生物を禍々しくアレンジし、人の形に詰め込んだような少女の名は【マガマキガイ】。マガツの娘の一人であり、マガ姉妹の長女である。

 

配信開始早々にリスナーからイジられ、自らを映す配信用のカメラに向けてビシィ!と指を突き付けるマキガイ。

「良いのか!我は闇の支配者ぞ!我がその気になれば眷属たる貴様らなぞ・・・あれだ、そのぉ・・・あっ一捻りだぞ!」

本人としてはカッコよく決めたつもりなのだろうが、言葉が出てこなかった瞬間と思い出した瞬間はバッチリ映ってしまっており、なんなら「あっ」という声も聞こえてしまっている。ついでに言えばライブ配信の為編集でどうにかという事も出来ない。そしてそんなイジリポイントを逃すリスナーではない。

 

『語彙よわよわの支配者』

『あっ、って言ってましたよね?』

『一捻りが出てこない女』

『闇の支配者(笑)確定』

『これで長女ってマ?』

『サイゴちゃんが居ないとよわよわですね』

『そんなマキガイちゃん様すこ』

『可愛いなぁ』

 

「ぬぅぅぅ!我強いもん!長女だもん!可愛いって言ってくれたのはありがとう!」

変な所で律義な闇の支配者である。微妙に涙目であり、キャラがぶれているが。このままマキガイイジりが続くかと思われた配信だが、そこに別の人物が入ってくる。

 

「姉上は愛でるモノ、はっきりと分かるのだな」

「にゅっ!?ら、ランキ!居たのか!」

 

『ランキさん!?』

『珍しい』

『久しぶりに見た…』

『マガ家のレアキャラじゃねえか…』

『にゅっ、って何だよ可愛いかよ』

『姉妹の中でカップリングが安定しない二人』

 

新たな人物の登場とマキガイのリアクションに盛り上がるコメント欄。現れたのは生物的な異形のマキガイやサイゴとは別の意味で異形の姿。鋼の装甲を生身に纏い、瞳は機械である事が分かるレーダーやターゲットサイトのような意匠。喉元から下腹部にかけて明滅を繰り返す発光パーツが縦一列に並んでいる。機械と人間を雑にまとめたような少女の名は【マガランキ】。マガ姉妹の三女にして、マガ家チャンネルで最も登場回数の少ないレアキャラである。

 

「久方ぶりに配信に出ようと思い立った次第」

「居るならもう少し早く声を掛けてくれ・・・いつ来たのだ?」

「姉上の、マガ家にようこそ!我が眷属達よ!からだな」

「最初から居たのか!?見ていないで助けんか!」

「姉上の愛らしい醜態・・・勇姿に見惚れてしまってな」

「醜態って言った!?言ったよねぇ!?うわぁぁぁ!皆揃って私をいじめるぅぅぅ!」

 

とうとう完全に素に戻り、膝から崩れ落ちるマキガイ。そんな長女の肩に手を置き、優しく語り掛ける三女。

 

「大丈夫だ姉上」

「らんきぃ・・・」

「姉上がポンコツなのは母上と姉妹全員が知っている」

「うわぁぁぁぁぁん!」

 

トドメを刺しただけだった。なにが大丈夫なのか。

『姉妹仲良好ですねぇ』

『マキガイ様崩れ落ちたけど、ヨシ!』

『どこをみてよしっていったんですか?』

『姉にトドメ刺したぞこの妹』

『ランキさんが一番ドS疑惑』

次々に流れるコメント。その内の一つを拾い上げ返答するランキ。

「ドSではないぞ?姉上が何かやらかした時に、それを面白可笑しくつついて反応を楽しんでいるだけだ。姉上は愛でて楽しむモノだと解釈しているからな」

『ヒェッ』

『やだこの娘目のハイライト消えてるわ』

『分かる』

『それをサディストと言うのでは…』

『姉で楽しむ妹』

『何を楽しむんですかねぇ…』

『マキラン?マキランなの?』

 

クールなマガサイゴの笑顔はかなりレアとされているマガ家チャンネルだが、そもそもの登場頻度が低いランキは配信に出てくるだけでレアなのだ。そんなランキの笑顔は、姉をイジり倒して愉悦するというやや歪んだ物だった。ポンコツなマキガイをイジって反応を楽しむという考えに共感するリスナーも一定数居るようだが。

と、そこに───

 

「おーう、またせた──何だこの状況」

「母上、お帰りなさい」

「ママぁぁぁぁぁ!ランキがいじめるぅぅぅぅ!」

「ゴフッ」

 

本来の配信主であり、マガ家の母であるマガツ・ローがログイン、もとい帰宅した。何事も無かったように母を迎えるランキと、もはやキャラを投げ捨てて母に抱きつくマキガイ。その大きなシェルヘルムがマガツにクリーンヒットしているのだが。

 

「ってぇ・・・ランキがどうしたって?」

「いじめてはいないぞ母上、姉上が愛すべきポンコツだという事を再認識していただけだ」

「ポンコツって言うなぁぁぁぁ!ランキとコメントの人達がいじめるのぉぉぉぉ!」

 

マキガイを抱きしめ、あやしながら話を聞くマガツ。コメントの人達という単語に一瞬だけ鋭い視線をカメラに向けるが悪ガキと呼ばれるリスナーはそれに臆す事なく、自分の欲望に忠実だった。

 

『ギャン泣き甘えマキガイちゃん様良いぞぉ…』

『ママみたいな表情してた…ママだったわ』

『やはりママオロチ…ママは全てを解決する』

『申し訳ないがこれは可愛い』

『愛すべきポンコツゥ…ですかねぇ…』

『ランキさんがトドメ刺したんだ!俺は悪くねぇ!』

 

「トドメって事は途中までダメージ与えてた奴が居るって事だよなぁ?」

悪ガキは 墓穴を 掘って しまった!

そしてマガツの後ろで、計画通り・・・とでも考えていそうな悪い顔をしたランキが居たりするのだがマガツは気付いていない。『後ろ後ろ』『悪い顔しとるでぇ』等のコメントも流れているのだが、マガツが振り向く瞬間にスッと元の無表情に戻り、何か?とでも言わんばかりに首を傾げるのだ。自分への言及が無い事をほくそ笑んでいたのだが、後日アーカイブで確認したマガツに無事バレた。

 

「まぁ悪ガキ共はバトルでシメるとしてだ、娘が二人居るし何やるかね」

「母上が来たのなら私は下がるとしよう」

「何でだよぉ一緒にやろうぜ?」

「私達マガ姉妹が二人以上いると気を遣って母上が退場するだろう、バッサとバシャの時のように」

「あれは・・・本当に二人が楽しそうだったからよぉ」

「途中戻ってきたかと思えばGBNの飲食アイテムを差し入れして、また退場したではないか。私達を愛してくれているのは嬉しいがこのチャンネルは母上が主人なのだぞ?」

「・・・うっす」

何故か途中からマガツへの説教じみてきたランキの話。普段の強気な姿勢は何処へやら、事実である以上マガツもばつが悪い様子である。

「あぁすまない母上、責めている訳ではないんだ。愛してくれて嬉しいのは本心だし、私も母上を愛している。それだけは信じてほしい」

「あ、当たり前だ!こんな可愛い娘を嫌いになったりする訳ねぇだろ!」

そう言って左腕でマキガイをあやしながら、右腕でランキも抱きしめるマガツ。これだけなら家族愛で済む話であり、コメントも『イイハナシダナー』等が流れてているのだがそれで終わらせないのがマガランキという少女である。抱きしめられた瞬間にまた悪い顔をしたのだ。以前の配信でサイゴがマガツを独占した事が許せなかったのだろうか。

 

『マガランキ……恐ろしい子……!』

これがこの時のリスナーの総意だった事は確かである。

 

 

「母上成分も補給できたので、私はこれで失礼する。しばらくログインはしているので、何かあったら呼んでほしい」

「おう!変な奴に絡まれたら直ぐ呼べよ?オレがぶちのめしてやるからよ!」

「いや普通にガードフレームを呼ぶから大丈夫だ」

「そうかぁ・・・」

「それに母上が手を出して問題になったら私も悲しい」

「そうか!気を付けろよ!」

「ありがとう母上。リスナーの皆もまた何処かでな」

 

『バイバーイ』

『またねー』

『お気をつけてー!』

『つまりランキさんと遭遇できる可能性が…?』

『早速変な奴が居るぞ』

『もしもしガードフレーム?』

 

そんなやり取りをして、退出していくマガランキ。配信部屋に残ったのはマガツと───

 

「で、マキガイはいつまでオレにくっついてる気だ?」

「・・・ログアウトまで」

「動きづれぇ・・・」

「ランキだけズルい、私もママ成分補給する」

「オレが来てからずっとくっついてたろ・・・」

 

メンタルブレイクから立ち直れない長女だった。

 

「明日シーフードパエリア作ってやっから」

 

その言葉でスッとマガツから離れるマガマキガイ。イジられて崩れ落ちた長女は何処へやら、配信開始時のように「闇の支配者モード」になっていた。

「ククッ、我が母にして六の属性を束ねし魔王の長よ、今宵はどのような宴を催す?」

「そうだなぁ・・・」

 

『立ち直り早っ』

『それで良いのか闇の支配者』

『パエリアで立ち直る支配者』

『パエリアとマガツニウムで活動する女』

『シーフードを付けろよ!』

『「シーフード」パエリアな。ここ大事』

『ママオロチの手慣れた感よ』

『キャラの変化を当然のようにスルーしてて草』

 

闇の支配者を自称し、変わった言い回しをするマキガイのこの状態は今に始まった事ではないのでスルーするマガツ。

 

「あー・・・今日はこのまま駄弁るかねぇ」

「つまり我らの言霊にて眷属達を骨抜きにしてやろうと?フフッ、我が母ながらなんと恐ろしい事よ」

 

『つまり雑談配信と』

『翻訳ニキがおった』

『何で分かりやすい言葉を分かりづらく言い直すのか』

『闇の支配者だからね仕方ないね』

『サイゴちゃん本当に優秀だったんだなって』

『闇翻訳長女』

 

「つっても何話すか・・・機体はメンテ以外特に弄ってねぇし、他のジーチューバーに関して?はマナー違反だっけ?」

「!」

 

『おっコラボですか?』

『そういやマガ家ってコラボした事ないよね』

『他の方々と絡むマガ家かー』

『良識の範囲内で話題に出すだけなら問題無いかと』

『マキガイ様どうした?』

 

コメント欄がコラボするのか?と沸き立つ中、マキガイが妙にキラキラした目をマガツに向けている。その事に気付いた悪ガキも居るようだ。そのコメントとマキガイの様子にマガツも気付く。

 

「どうした?」

「他のG-TUBERとな?一人、素晴らしい御方が居るのだが?母様がどうしてもと言うのなら?説明しても?よいのだが?」

語りたいらしい。

 

『つまり説明したいんですね』

『ウズウズが抑えられないマキガイ様すこ』

『ブンブン振られる尻尾が見える見える』

『マキガイ様は触手だろ』

『マキガイちゃんのセルフ触手本だって!?』

 

「とりあえず本のコメントした奴はオレとタイマンだからな。特に話の内容決めてねぇしマキガイに任す」

「うむ!良い判断をしたぞ!母様!」

「どんな奴なんだ?」

 

「まず容姿だな!内側に巻かれる角が生えていてな!背中には蝙蝠を思わせる禍々しき翼!雄々しき竜の尾を腰から伸ばし!瞳は左右で色違い!くぅ!これがまたカッコいい!そして闇を凝縮したかのような漆黒のドレスを纏った艶かしき玉体!あぁ麗しい!」

「・・・?」

『あー…誰か分かったかも』

『奇遇だな俺もだ』

『何オン様なんだ…』

『トライオンかな』

『デラシオンかもしれない』

『宇宙正義やめーや』

『表現がだいぶ誇張されてません?』

『さっきとは別の意味でキャラ崩壊してるな』

熱く語り始めたマキガイ。特徴は聞きつつも、早速話について行けなくなるマガツ。コメント欄のリスナーは誰の事を言っているのかほぼ分かっているようだが。

 

「あの御方を語るなら【竜】という単語は外せないな!何故ならあの御方は、終末を呼ぶ竜がこの世で活動する為の端末なのだから!そしてそしてぇ!その本体たる竜の力強さたるや!恐ろしくも神々しい、まさに畏怖と畏敬を体現せし神の如き存在!」

「なぁ、そろそろ止めた方がいいか?」

『うーん……』

『貶してる訳ではないし……』

『むしろリスペクトではあるよね』

『本人がこれを聞いてどう思うかだけど……』

『赤面してプルプルしだしそう』

『それか後に黒歴史確定の言葉でノリだすか』

『そしてそしてぇ!可愛い』

『ノリノリマキガイ様すこ』

 

とうとう悪ガキ達に相談しだすマガツ。コメント欄はそれに反応する者と、マキガイの言動を可愛らしいと思うかの二択にほぼ別れている。

 

 

この後マキガイによる終末を呼ぶ竜語りが続くかと思われたが、さすがにマガツが止めた。そして途中で何度か発言していた通りにバトルを行い、マガツがリスナー代表を撃破してこの日の配信は終わったのだった。

 

「むぅ・・・まだまだ語り足りないのにぃ・・・お茶目な所とか、羞恥発狂した時とか、魅力はたくさんあるのに・・・」

 




【マガマキガイ】
マガ姉妹の長女。
長女だが素の性格は一番子供っぽい。
普段は闇の支配者を自称するいわゆる中二病。
元々カッコつけたがりであり、とあるG-TUBERを知ってからは憧れからそれに拍車がかかり現在のキャラになった。
好物はマガツが作るシーフードパエリア。
マガツ(母親)の呼び方は、素の時は【ママ】支配者モードの時は【母様】【魔王の長】など。
一人称は【私】、支配者モードでは【我】
リスナーの事は【眷属】と呼ぶ。

乗機はガンダムレギルスの改造機【ガタノレギルス】
スラスターやウイングバインダーの代わりにノーティラスを模した巻き貝のようなユニットを背中に装備している。

【マガランキ】
マガ姉妹の三女。
マガ家の中で唯一、機械的なアバター。
姉妹の中で一番何を考えているのか分からない娘。
クールなマガサイゴ以上に無表情だが、姉妹や母が困っていたり泣いていたり、いわゆる【曇っている】時だけゾッとするような不気味な笑顔を見せる。また、愉悦狂いじみた性格を抑え込むのも得意な為、リスナーにさえ気付かれていない。(悪い顔してると言われる程度)
マガツ(母親)の呼び方は【母上】
姉であるマキガイとサイゴは【姉上】妹達は各々のダイバーネームかリアルの名前。

乗機はゴメルの改造機【グランメル】
両腕を、クローを備えたマニュピレーターから武器そのものに変更している。右腕はグシオンリベイクフルシティの大型シザースを改造したペンチ状に、左腕はバンシィのアームド・アーマーVNを改造し、上側三本、下側一本のネイルとなった振動クローとなっている。


【何オン様、終末を呼ぶ竜】(出典 青いカンテラ様)
ダイバーネームは【クオン】
G-TUBERにしてランキング四桁に位置しているダイバー。マキガイが語った通りのダイバールックをしている。マキガイの憧れの人。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。