GBN:ダイバーズコンピレーション   作:X2愛好家

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ヴェイガンは殲滅する!


無自覚チャレンジャー
魔少女(笑)とある意味始まり


「───このGBNだけでなく不特定多数のプレイヤーが存在するオンラインゲームで、ああいった行動は推奨出来ない。折角興味をもってくれた初心者が居なくなってしまうし、君の評判も悪くなってしまう。そうなれば君もこのGBNを楽しめなくなるし、新たな出会いや繋がりも途切れてしまう。折角ガンダムが、ガンプラが好きな仲間であり同士が大勢居るのに、その輪に入れないのは寂しいだろう?君にも、君と戦った彼女にもGBNを嫌いになってほしくないし、嫌われてほしくもないんだ。それは分かってほしい」

「・・・うぅ」

 

GBNのセントラルロビー。そこは常に様々なダイバーで賑わう場所なのだが、今日はその雑踏の種類が違っていた。ミッションカウンターの邪魔にならない位置で三人の人物が向き合っており、その三人の様子を他のダイバー達が窺っているのだ。一人はGBN不動のチャンプ【クジョウ・キョウヤ】、もう一人は皆の頼れるお節介お姉さん(?)【マギー】、そして最後の一人は白髪に赤い瞳が特徴的な少女【ゲドーリトル】である。チャンプは屈んでゲドーリトルに高さを合わせており、彼女は若干涙目になりながら視線を下に向けている。チャンプに何か酷い事を言われた訳ではなく、むしろ正論で諭されているのだ。

 

「リトルちゃん、確かにあのやり方は楽かもしれないし、アナタは楽しいかもしれないわ。でもね?それで嫌な気持ちになる他の子がいるのも知ってほしいの。もしアナタが始めたばかりの頃に同じ事をされたら嫌な気持ちになるでしょう?」

「・・・えぅ」

 

マギーからも正論を言われる。ぐうの音も出ない程に正しい事実だ。

 

「・・・ズルはしてない・・・ほかのヤツらもやってた・・・」

「確かに改造ツールは使っていないだろう。あの手この手で初心者を騙してポイントを得る者達が居るのも重く受け止めている」

「だからこそ、こうやってお話しているのよ。余計なお世話だと思われるけどね。リトルちゃんにだけキツく当たってる訳じゃないの」

「・・・うぅ」

 

可能な限りの抵抗はしてみたものの、やはり大人二人には敵わないらしい。そして───

 

「ご・・・めん・・・ぃ・・・もぅ・・・しない・・・」

 

途切れ途切れだが確かに謝罪だった。

 

「こちらも言葉が少し厳しかったね、すまない」

「キチンと謝れるなら大丈夫よ、これからは皆と仲良くね?」

 

「・・・」

 

無言ながらもコクンと頷くゲドーリトル。正しい事を言っているキョウヤが謝罪し、マギーも硬い雰囲気が霧散し終結したこの話し合い。原因は少し前に遡る。

 

 

 

「いしゃりょうおいてけー!」

『わ、私が何をしたって言うんですかぁぁぁぁ!』

 

何処かで見覚えがある状況?そう、かつてガンメタルのカプルに難癖を付けて追い回し、正体不明のナラティブガンダムとの戦闘になだれ込んだ時と同じ状況になっているのだ。その時と違うのは追い回しているのがカプルではない事。ヤナギランの花畑への道ではない事。そして追われている女性ダイバーを助けられる者が居ない事だ。

 

ゲドーリトルは懲りずに【サメドラーグ】に搭乗し、同じやり口で女性ダイバーを追い掛けており、追われる女性ダイバーの機体はアストレイ ターンレッドをミラージュフレーム セカンドイシューに近いカラーリングに塗装するという、ターンレッドである意味が微妙な機体だった。

 

紫のターンレッド【ヴァーリアストレイ】に搭乗する女性ダイバー【スズナタ】はカプルのダイバーよりも場数は踏んでいるのか、サメドラーグの攻撃をほぼノーダメージで回避しきっている。だが、流石に難癖を付けられて追い回される事は今までに無かったのか、混乱もあって反撃が命中していない。

 

『ひぃぃぃぃやぁぁぁぁぁ!来ないでぇぇぇぇ!』

「おまえがポイントになればやめてやるのだ!」

『それ墜ちろって事じゃないですかぁぁぁぁ!私何も悪い事してないのにぃ!』

 

強いて言うならゲドーリトルに狙われた事が不幸だろうか。

 

(ミッションなんてやるんじゃ無かったぁ!フォースネストでのんびり縫い物してれば良かったぁ!)

 

何をしていようが本人の自由だが、GBNにログインして手芸して一日を終えるというのもどうなのか。そんなスズナタの考えなど知った事ではないと言わんばかりに攻め立てるサメドラーグ。

 

「むぅ・・・いいかげんやられろぉー!」

『うひゃあ!?』

 

ビームが中々命中しない事に苛立ち、サメドラーグの推進システムを全力稼働させて突進を行うゲドーリトル。その突進を右に逸れる事で回避するスズナタ、機体のチョイスや塗装から見てもただの初心者ではないらしい。

 

(あぁやっぱり私なんかぁ・・・ポイント取られて、腑抜けてるって怒られるんだぁ・・・)

 

その胸中はネガティブそのものだったが。

 

「おーちーろー!」

 

曲射ビームだけでなく、機体前面の装甲を展開し高出力ビームも放つサメドラーグ。

────それが失敗の原因かもしれない。

 

 

ヴァーリアストレイに命中しなかったビームは射線上のオブジェクトを薙ぎ払い、別のダイバーの視界に映り込んだ。

 

「今のは・・・?」

 

最強の男の目に。その機体のデュアルアイに。

 

 

「あぁーもー!いーかげんにしてよ!」

『こっ、こっちのセリフですぅ!誰か助けてくださいぃ!』

 

恐らく逃げずに勝負していれば互角以上に渡り合える筈なのだが、スズナタの消極的な性格と訳も分からず追い回されている状況による混乱が、立ち向かうという選択肢を彼女の思考から排除してしまっている。

 

「こんなところにたすけにくるヤツなんて───」

『居るかもしれないぞ?』

「へ?」

 

連続して瞬く光。三連射されたビームはサメドラーグに命中こそしないものの、その動きを止める事に成功した。

 

「なに!?だれ!?」

『アレって・・・』

 

混乱するゲドーリトルと何かに気付いたスズナタ。その視線の先には人型に変形する機体があった。

 

『ちゃ、チャンプゥ!?なんでぇ!?』

「・・・エイジツー・・・むぅ」

 

ガンダムAGEⅡマグナム。それがサメドラーグを止めた機体の名であり、最強の男クジョウ・キョウヤの愛機の名である。

 

『例の改造ツールではないようだが・・・同意の上でのバトルという訳でもなさそうだ。この状況は見過ごせないな。君は下がっていてくれ』

『は、はいぃぃぃ!ありがとうございますぅ!』

 

離脱していくヴァーリアストレイ。本来の目的地に向かうルートなのは、ちゃっかりしているのか偶然か。

 

『さて、急に攻撃してすまない。事情を聞かせてもらえないかな?』

「ポイント・・・」

『ん?』

「ワタシのポイントー!よくもジャマしてくれたな!せっかくおいつめてたのに!」

『やはり同意の上でのバトルではないのか・・・(幼いな・・・そういうアバターだからか、或いは・・・)』

「ふん!いしゃりょうとしてポイントもらうはずだったのにジャマしてさ!」

『慰謝料?先程の彼女が何かしたのかな?』

「ワタシがれんしゅーしてたらむこうがうってきたんだ!だからいしゃりょうもらう!」

『(成る程・・・そういう手口か)では彼女も呼んで話し合おう。先程の女性ダイバーの言い分も聞かなければね』

「・・・わ、ワタシがうそつくわけない!」

 

第三者も含めて話し合う。その流れになった瞬間慌て出すゲドーリトル。キョウヤの推測が確信に変わりつつあった。

 

『君が嘘を言っていなくても、彼女もまた当事者なんだ。双方から話を聞かなければ公平じゃないだろう?』

「ワタシは・・・うがー!もういい!オマエもポイントにしてやる!」

 

申請も出さず、キョウヤのAGEⅡマグナムに襲い掛かるサメドラーグ。

 

『仕方ないか・・・申し訳ないが、多少強引にでも降りてもらう!』

 

迎え撃つキョウヤ。ここから先は・・・察してくれ。

 

 

 

チャンプに勝てる相手などそうそう居る筈もなく、案の定撃墜されロビーに強制送還されたゲドーリトル。ショックからかログアウトして逃げるという考えが抜け落ちている。さらに運が悪い事にロビーには彼女(?)が居た。

 

「リトルちゃ~ん!ちょっといいかしら~」

 

筋肉質な男性アバターに乙女のハートを内包したダイバー、マギーが笑顔でゲドーリトルを呼んでいた。

 

「うぇっ・・・マギー・・・」

「うぇっとは何よぉ!失礼しちゃうわ!」

 

本気ではない事が分かるコミカルな怒り方でゲドーリトルの前に立つマギー。

 

「なんなのだ・・・?いまワタシはしょーしんちゅーだぞ・・・」

「実はねぇ?ついさっきミッション中に襲われたって子の相談に乗ってねぇ?」

「ギクッ」

「小さい子供みたいな声だったらしいのよ?」

「へ、へぇー・・・そ、そりぇで?ワタシにかんけーありゅんのか?」

 

噛みまくっている上に目が泳いでいる。事情を知らない人間でもこの様子を見れば察するだろう。

 

「もしかしたらリトルちゃんも被害に遭ってるんじゃないか、って心配になったのよ。傷心中らしいしね?」

「わ、ワタシはへんなエイジツーにやられただけだから・・・」

「変なAGE-2?もしかしてあの人が乗ってる?」

「あのひと?」

 

ゲドーリトルの背後を指差すマギー。振り返った先には金髪に黒い制服を着た男性ダイバーが居た。

 

「???」

 

首を傾げて疑問符を浮かべるゲドーリトル。次の瞬間驚愕する事になる。

 

「先程ぶり、で良いのかな?」

「!?ほぁぁぁぁぁ!?」

 

聞き覚えのある声。当然だ、ついさっき自分を撃墜した機体に搭乗していたダイバーなのだから。

 

 

マギーが聞いたスズナタの話と、キョウヤが見た現場証拠からゲドーリトルが初心者狩りを行っていた事が完全にバレた。そこからマギーを交えての説教が始まり、冒頭の場面に戻る。念の為に待機していたスズナタも加わりゲドーリトルが直接謝罪する形に収まった。

 

「ご・・・ごめ・・・なさぃ」

「ポイントは取られてないので大丈夫です・・・で、でももう襲ってこないでくださいね・・・?」

「・・・はぃ」

「本当にもうやっちゃダメよ?」

「・・・うん」

 

マギーにも念を押され完全に意気消沈したゲドーリトル。スズナタとキョウヤも別れトボトボと歩いてログアウトする。

 

 

 

 

「・・・むぅ・・・うぅ・・・うみゅ・・・」

 

ログアウトしたゲドーリトルこと【リドウ・リア】おねだりして買ってもらった個人用のダイバーギアを外し、ベッドに寝転がりながら呻き声のような何かを呟いてはゴロゴロしだす。

 

「あぅ・・・ぬぅ・・・!・・・うがぁぁぁぁ!」

 

次第に怒りが混じっていき、最終的に爆発した。

 

「なんで!ワタシだけ!あんなに!いわれなくちゃ!いけないの!」

 

枕をベッドにボフンボフンと叩き付けながら怒るリア。完全に逆ギレである。

 

「せっきょーなら!もっと!べつの!ばしょでも!いいじゃん!みんなの!まえで!はじ!かいた!」

 

完全に逆ギレである。(二回目)

そしてそろそろ枕が可哀想である。

 

「ふぅー・・・ひぅー・・・クジョウキョウヤぁ・・・!」

 

枕ボフボフを止めて何かを決意した様子のリア。

 

「ワタシにはじをかかせたヤツ・・・ギッタンギッタンのボッコボコにしてやるぅ!」

 

逆恨みである。

 

 

 

この日を境にゲドーリトルの初心者狩りは無くなった。

その代わり何かにつけてチャンプに勝負を挑む少女が現れるようになったらしい。結果?察してくれ。

 

「おぼえてろよー!クジョウキョウヤァァァ!」

 




だとーチャンプのはじまり

【ゲドーリトル】
ゼット編に先行登場した今回の主人公。
リアルガキンチョ。
赤い瞳に白髪、ヴェイガンのパイロットスーツを着ている。ちなみに顔立ちはリアルとGBNでほぼ変わらず、髪と瞳の色と服装が違うだけ。
リアルでの本名は「里導 李亜(リドウ・リア)」
そこそこ良い会社勤務のパパンにおねだりして自宅からGBNにログイン出来る。
ヴェイガン機大好き。
正論で諭された事を逆恨みし、初心者狩りから打倒クジョウキョウヤに思考がシフトした。

【スズナタ】
ゲドーリトルに追い回された女性ダイバー。
学校の制服と軍服を合わせたような服を着用している。
乗機は「ヴァーリアストレイ」。ターンレッドをセカンドイシューのような紫系で塗装し、タクティカルアームズをレッドフレーム改のアローフォームへの変形が可能なタイプに変更している。
GBNにログインしてもフォースネストに引き籠りたがる内向的な性格。たまにはミッション受けようかな…簡単なの。とか気紛れ起こしたら襲われた。
フォースに入っている為、ランクはD以上と思われる。

【クジョウ・キョウヤ】
原作キャラ。チャンプと呼ばれる事が多い。
GBN不動のチャンピオン。強い。
時系列的にはマスダイバーの調査中。
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