「流石に肝が冷えたな・・・」
終末を呼ぶ竜から逃げ切り、ヴァルガから生還したTHE Bi-ne。セントラルロビーに戻るといつもの喧騒が聞こえてくる。雑談に花を咲かせる者、ミッションの相談をする者、何故かロビーの片隅に佇む者。そんな心地よい騒がしさを生むダイバー達もTHE Bi-neが現れたことを知ると目を逸らすか、二度見するか、気にしないかの三択を迫られるのだが。
いつもの事なのでTHE Bi-neは気にせず歩くが。
ふとロビーの大型モニターに目を向けると、丁度誰かが戦闘中らしく他のダイバー達もその映像を眺めていた。
セントラルロビーのモニターには、バトルが行われている場所のライブ映像がランダムで映るのだ。THE Bi-neが目を向けたモニターには、レッドフレームと思わしき機体がフェネクスの改造機に殴り掛かっている映像が映っていた。
(レッドフレームにディバインストライカー・・・いやトリケロスか?どちらにせよテスタメントと混ぜたのか)
他者が作ったガンプラは眺めるだけでも面白い。
考察している内に、レッドフレームがトリケロスのような籠手をフェネクスに叩き込み決着となった。
「さて・・・どうす「あらぁ~!ビー君じゃなぁい」む?」
THE Bi-neの思考を中断させたのは【皆の頼れるお姉さん(?)】こと【マギー】だった。
「マギー殿か、このロビーでよく見つけましたね」
「ビー君は個性的な見た目だから、すぐ分かるわよ♪」
((((マギーさんも十分個性的では・・・))))
誰もが思ったが、誰も口には出さなかった。
「どうされました?」
「実はさっき、ちょっとおイタをした子とOHNASHIしてね?初心者を騙して、ヴァルガに連れ込んでポイントを奪ってたらしいのよ」
「ほう、それはまた・・・」
「中々タイミングが合わなかったんだけど、撃墜されて戻ってきた所で会えたのよねぇ」
「それは良かった。初心者狩りも減りますな」
「で、その子がX1に乗ってたみたいだから、もしかしたらビー君が墜としたのかと思ってね?」
「確かに、先程ヴァルガでX1と戦いましたな」
やっぱりねぇ、とマギーは苦笑する。
「ヴァルガでの遭遇戦だし、初心者狩りをしていたのも事実だけど・・・あんまり他の子を怖がらせちゃダメよ?ビー君は戦い方とテンションがちょっと・・・アレなんだから」
マギーが言葉に詰まり、内容をぼかすのは珍しいだろう。戦闘中のTHE Bi-neは木星帝国に投降した後の狂気に染まったザビーネを模したロールプレイを行う事で有名なのだ。操縦桿を握るとテンションが上がる性質も相まって、大多数のダイバーからヤベー奴扱いをされている。先程のヴァルガ離脱時のような冷静な立ち回りもするが、それを知るのはごく一部である。
「ビー君はGBNを心から楽しんでるのは見てて分かるし、有志連合としてGBNの為に戦ってくれたのも勿論知っているわよ?だからこそビー君にGBNを嫌いになってほしくないし、嫌われてほしくもないのよ」
「マギー殿・・・」
「・・・ごめんなさいね?お礼を言うつもりだったのに説教じみた事言っちゃって」
「いえ、マギー殿の言葉、痛み入ります・・・ですが」
「ザビーネ・シャルこそ私の憧れであり、クロスボーンこそ青春のバイブル。戦術や武装で迷い、試行錯誤する事はあっても手は抜かない。そして私の全力がザビーネを模した言動であり戦い方なのです。どうかその点だけはご理解いただきたい」
「ビー君・・・」
変える気は無いという意思表明だろうか。万が一にも他のダイバー達との間に決定的な亀裂が入ってしまえば、関係性は二度と修復出来ないだろう。今はまだ熱狂的なロールプレイヤーで済んでいるが、一度間違えてしまえばどうなることか。
「ですが・・・」
「?」
「私だけのGBNではないという事も承知しているつもりです。ここは【皆の好きが集まる場所】私の好きを否定されたくないように、他のダイバー達にも好きがある」
二度の有志連合に参加したからこそ、それを実感した。
ビルドダイバーズに協力した者も、チャンプの側に立った者も、どちらの思いも間違ってはいない筈なのだから。
「ですので・・・その・・・善処はします」
「ふふっ・・・善処って、やらない常套句じゃない?」
「もし【僕】が間違えたら全力で止めてくださいね?」
「人使い荒いわねぇ。でも良いわよ?違反行為は今まで一度も無し、バトルもイベント戦とヴァルガが殆どで、他人に迷惑掛けた事がほぼ無い貴族さんを止める役割、引き受けるわ」
「意地の悪い・・・」
「事実でしょう?まぁ本当にGBNの破壊とか、地球の支配とか企てない限りそんな事にはならないわよ」
「ビー君は優しい子だって知ってるもの」
「僕は優しくなんか・・・」
「自覚してないならそれでも良いわ。そう思ってるお節介がいる事は覚えておいてね?」
ばちこーん、とウインクするマギー。
険悪になりかけた空気は霧散し、マギーもいつもの陽気な雰囲気に戻る。そして二人に話し掛ける人物が一人。
「間違えたりしませんよ。私が居る限り間違えさせたりはしない」
「ジェーン・・・」
「あら、ジェーンちゃんじゃない!」
パッと見はザビーネのライバルにして、クロスボーンのメインキャラクターである【キンケドゥ・ナウ】が重傷を負った際の姿だが、女性と分かる程度に胸部に膨らみがあるダイバー【ジェーン・ケドゥ】が会話に加わる。
「ふん・・・お前は私の保護者か何かか?」
「そのつもりなのだが?」
「私から一本も取れない腕で私を止められると?」
「この前は良い所まで追い詰めたろう?」
「追い詰めただけだ。勝負は私が勝った」
「近い内に追い抜くさ」
「そんな未来は来ない」
二人の間に見えない火花が散る。この二人はいわゆるライバル関係なのだ。そんな二人を見たマギーは───
「仲が良いのねぇ、妬けちゃうわぁ」
後方見守りお節介モードに入っていた。
「何なら今からでも戦うかい?」
「良いだろう、今日こそ正真正銘さようならだ」
「いや、私が勝たせてもらう。奇跡を見せてあげよう」
「ふん・・・ではマギー殿、今日はこれで」
「マギーさん、またお店に寄らせてもらいますね」
「はいは~い、二人共頑張ってねぇ」
手を振るマギーと別れる二人。
フリーバトル申請を送るジェーンと受諾するTHE Bi-ne。揃って格納庫へと移動する二人。
そして───
『THE Bi-ne』
『ジェーン・ケドゥ』
『クロスボーン・ガンダムEX2改』
『クロスボーン・ガンダムX-1』
『行くぞ!』
『出る!』
激突する二機のクロスボーン。
『キンケドゥゥゥゥゥ!』
『ザビィィネェェェェ!』
そんな二人の戦いは何の因果かロビーのモニターに映っており、マギーもそれを眺めていた。
「青春ねぇ~」
二人の戦いはまだ続く。
「あ、でもアリカちゃんには迷惑掛けてたわね?」
思い出したマギーだった。
ルールとマナーを守って楽しくGBN!
【クロスボーン・ガンダムEX2改】
THE Bi-neが目指すガンプラの一つの到達点。
フレームを始めとする内部構造の作り込みに重点が置かれている。RGキットと同等かそれ以上のクオリティとなっており、HGUCのX2を改造した物。
THE Bi-neの趣味で、原作のX2改では装備されていなかったショットランサーとABCマントを装備している。簡単に言えばEXVSシリーズのX2改と同じ。
変更点としては腰部装甲のシザーアンカーがオリジナルの武装である【デリートウィップ】に変更されている点。F91に登場した【バグ】を細いワイヤーで本体に繋いだような見た目。射出後もある程度の操作が可能な為奇襲によく用いられる。
青年ダイバーとの戦いでも使用され、煙の中で射出し、本体が飛び出すと同時にX1に襲い掛かった。
リアスカートにも内蔵されており、計四基装備している。
【ジェーン・ケドゥ】
女性ダイバー。THE Bi-neのライバル。重傷を負ったキンケドゥに近いアバターをしている。THE Bi-neにまだ一度も勝てていないが、その腕前は確実に上達している。
乗機は「クロスボーン・ガンダムX-1(エックスマイナスワン)」
THE Bi-neがX1を使用するダイバーの中で唯一「キンケドゥ」ではなくダイバーネームで呼ぶ相手。
【マギー】
原作キャラ。お節介な頼れるお姉さん。
筋肉質な男性アバターだがお姉さんだ、いいね?
【アリカ】(出典 笑う男様)
巨大なフォース連合「GHC」に所属する女性ダイバーにして総帥秘書。
マスダイバーとの決戦である第一次有志連合戦にてオペレーターを務めていた。
その際X1を追い回して突出しすぎたTHE Bi-neに何度も警告を飛ばしたが、テンションが上がりザビーネガンギマリだったTHE Bi-neには届かず、密かに激おこだった。