GBN:ダイバーズコンピレーション   作:X2愛好家

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GN合唱団まさかの出張先に困惑を隠せない。


眼帯貴族と太陽炉

【GNドライヴ】機動戦士ガンダム00に登場するMSの動力機関。主人公達のガンダムに搭載され、圧倒的なアドバンテージを誇っていたが、物語の中盤以降で【タウ型】という量産可能かつオリジナルに劣らない性能の物が登場した事により、1stシーズン終盤以降はドライヴ搭載機同士の戦闘が殆どであり、ドライヴ非搭載の旧式機との性能差は如実だった。太陽炉とも呼ばれるそれはGN粒子を発生させる事で半永久的にエネルギーを得られたり、擬似太陽炉の粒子は圧縮すると人体に悪影響が出たりと他にも様々な設定があるのだが、それはさておき。

 

GBNに於いてもGNドライヴ、太陽炉の優位性は高い。機体に飛行能力と高い機動性を持たせたり、ビーム武装の運用が容易になったり、一時的に機体性能を飛躍的に向上させるトランザムシステムの使用が可能になる等のメリットが多いが、その反面機体の機動性にダイバーが付いていけなくなったり、後付けや無理のある取り付けがなされた太陽炉だと機能不全に陥り、最悪自壊するなどデメリットも存在する。

 

何故こんな話をしたのかというと、GBNをプレイしている一人のダイバーが太陽炉搭載機にチャレンジしようとしているのが今回の物語だからである。

 

 

 

 

 

『今、大人気のGBN!老若男女を魅了するガンプラ!』

 

そんなテロップが大きくテレビに映っている。その映像を映しているテレビはやや古い型だが。

 

「古くて悪かったね」

 

カウンターを挟んでコーヒーを挽いている男性からそんな言葉を投げ掛けられた。エスパーか何かなんだろうか。

 

「常連の顔色読めなきゃ店なんてやれねぇよ」

 

読めすぎではなかろうか。そもそもグラサンを掛けてるのに顔色を読めるモノなのだろうか?失礼なのは分かっているが。

 

「にしてもガンプラねぇ・・・」

 

コーヒーを挽いていた男性、この店のマスターも画面を見て呟く。

 

「何が流行るか分からんもんだ。前に似たようなのなかったっけか・・・?」

「GPDですか?」

「あぁたしかそんな名前だったな」

 

つい独り言に乗ってしまった。ここのマスターは嫌いではないが、人と話すのが苦手な自分としては会話の流れを作るべきではなかった。

 

「アンタ、ガンプラに詳しいクチ?」

 

やはり会話の流れが出来てしまった。

 

「え、ええまぁそれなりに」

「ならよぉ、何かこう・・・可愛いっていうか、女の子に似合うヤツねぇか?」

 

自分以外に客が居なくてよかった、というのはこの店とマスターに失礼だが、他にダイバーかガンダム作品が好きな人が居ればオススメ戦争の開幕だろう。可愛い機体という事は女性へのプレゼントか何かだろうか。行き付けの店のマスターが裏ではマギーと同じタイプというのは少々気まずい。マギーの店は時々行くが。

 

「そうですね・・・」

 

聞かれてしまった以上は答えたいが、これは中々悩む。自分の好きなシリーズであるクロスボーンから提案したいが、キット化されている機体が少ない上にシリーズファンから見ても奇天烈というかゲテモノというか、変わったシルエットの機体がかなり多い。そこが良いという者や、キモ可愛いという見方をする者もいるだろうが。クロスボーンシリーズから女性らしさのある機体を提案するとしたらアンヘル・ディオナやクレイン等だろうか。そうなるとキット化されていないのがネックになる。おそらくはプレゼントだろうから、やはり既存のキットで尚且つ限定品ではないもの・・・」

 

「あー・・・軽く聞いてみただけだから、そこまで考えてくれなくていいぞ?」

「えっ・・・?」

 

あれだけの考えを読んだのだろうか?このマスターただ者ではないようだ。

 

「キモ可愛いがどうのって辺りから声に出てたぞ?」

「え、あぁ・・・あの、すいません・・・」

 

普通に思考が漏れていただけだった。

 

「こっちの質問に頭使ってくれたんだ、気にしちゃいねぇよ」

「ありがとうございます・・・あ、あの」

「ん?」

「ガンプラ作る方へのプレゼントなら道具も喜ばれると思いますよ?一緒に買いに行ってみたらどうでしょう」

「一緒にか・・・」

「好みと向き不向きがありますから、あとは値段──」

「おっ邪魔しまーす!」

 

道具等の軽い解説だけしようと思った瞬間、店のドアが開かれた。入ってきたのは若い金髪の男性。見た目どおりにヤンチャそうだ。

 

「あれ?お客さん居る・・・珍し」

「余計なお世話だ」

 

やはり客入りはそうでもないのだろうか。

 

「マスターに失礼でしょ!」

「静かで良いじゃないか、このレトロな雰囲気は好ましい」

「コーヒーも美味しいしね。お邪魔します」

「カレーもな!」

「ふふっ、お邪魔します」

 

金髪の男性に続いて入店してくる面々。

 

「すいません、お代ここに置いておきますね」

「あいよ、またどうぞ」

 

カレーとコーヒーの代金をカウンターに置き席を立つ。入店してきたグループが道を空けてくれたので、軽く礼をしつつ店を出ようとした所で───

 

「っと、失礼しました」

「あぁ、いえ、こちらこそ」

 

少し遅れて入店してきた男性とぶつかり掛けてしまう。互いに謝罪し、特に何事も無かったが。

 

(あの金髪の人・・・どこかで会った事あるような)

 

どうしても思い出せないが、思い出せないという事はそこまで重要な記憶ではないのだろう。腹ごしらえも済んだ事だし、帰って製作の続きに取り掛かろう。マスターの話に乗ったせいか、製作意欲が湧いてきている。我ながら単純だと思う。

 

そうして普段より少しテンション高めの男性【サビネ・タカト】は自宅への帰路につく。彼もまたGBNにログインしているダイバーなのだが、ダイバールックとリアルの姿、性格がかなり異なるタイプであり、両方を知るのはそれこそマギーくらいだろう。

【THE Bi-ne】それが彼のダイバーネームである。

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

「今の人は・・・」

───ニャアン

「あんな怪しいグラサン着けてるのと知り合い?お前の人脈ホントに変だよな」

「確かに怪しいがウチの常連だよ」

「こ、個性的な方ですね・・・」

「あんなグラサンが似合うのなんてクワトロ大尉くらいだろー」

 

やいのやいのと騒がしく階段を上がっていく面々。鞄の中に何故か猫が入り込んでいる男性は、先程の常連客が出ていった店のドアを暫し見つめ、他の面々と同じく階段を登っていった。

 

 

▽▲▽▲▽▲

 

 

自宅に戻り、作業を開始したタカト。GBNではザビーネ・シャルのロールプレイを行い、クロスボーン・ガンダムX2の使い手として有名な彼が製作しているのは当然のようにX2である。【EX2改】と名付けられた愛機は、一部のダイバーから恐怖の対象として、それ以外の者からはヤベーダイバーのヤベー愛機として認識されている。だが、タカトの視線の先に置かれているパーツはEX2改の物ではない。破損した訳でも、交換する訳でもなく新たなX2を作り出そうとしているのだ。

 

「やっぱりコアファイターはオミットするしかないか」

 

構想はGNドライヴ搭載のX2。だがそのドライヴを搭載する位置が問題になってくる。スタンダードに胸部に内蔵しようとするとクロスボーンのコアファイターが邪魔になるのだ。クアンタのバインダーのように、独立させたユニットにする案もあるが、肩部装甲には別の構想があるので、その肩付近は使いたくない。アルケーのように脚部に内蔵すると、慣れないうちはバランスに手間取る。それに主機になるドライヴは、やはり胸部に備えておきたい。そんな考えがあって、独り言に戻るのだ。コアファイターをオミットし、ドライヴを胸部に搭載する。この方向性で決まったらしい。

 

「あとはスラスター・・・いや、コアファイターもオミットするし、この際スラスターじゃなくてもいいか」

 

クロスボーン・ガンダムの特徴的なX字状のスラスター。背部にそれがないと微妙に落ち着かないという、もはや病気のレベルでX2を使い込んでいるタカトことTHE Bi-ne。一応ベルガのフィンノズルやF91のヴェスバーでも気持ちの代用は可能だが・・・

 

「ヴェスバー?」

 

タカトに電流走る。

EX2改が完成するまではベルガ・ギロスと、好きなシリーズのガンダムタイプであり、X2の慣らしとして黒の部隊カラーに塗装したツインヴェスバー仕様のF91も使用していたタカト。そのいずれも問題無く乗りこなせた。

 

「僕は・・・X字に近い形状の物が背中にあると安心するのか?」

 

完全に病気である。

厳密にはザビーネ・シャルの搭乗機だとテンションが上がり、X2のスラスターがあれば尚良しなのだろうが。漫画クロスボーンやゲームに登場したX2による刷り込みが極まり過ぎている。

 

「なら、コレもそのまま使うか・・・どうせなら増やしてもいいな」

 

タカトが手に取ったのは、別のシリーズに登場する機体のキットの箱。太陽炉取り付けの参考と色合いに惹かれて衝動買いしてしまった物だが、当初の想定以上に役立ってくれそうだ。

 

「よし、やるか」

 

新たな狂気が目覚め、形を成そうとしていた。

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

GBN内、何処かの孤島にて

 

正面から向き合う二つの機体。片方はオレンジの塗装に大剣が特徴的なスローネツヴァイ。搭乗しているのは本来のパイロットであるミハエル・トリニティではなく

 

『ほぼ丸腰じゃねぇか!随分と慌てて来たみたいだなぁ?ガンダムさんよぉ!』

 

アリー・アル・サーシェス。ガンダム00に登場する戦争屋であり、原作通りツヴァイを奪い搭乗している。厳密にはサーシェスを再現したNPDなのだが。

 

「フッ、生憎と武装はまだ未完成でね」

 

もう片方は【赤い粒子を放出するX2】に搭乗したTHE Bi-ne。完成した太陽炉搭載型X2の試運転として、このミッションを受注したらしい。サーシェスNPDが反応した通り、現状のX2に手持ちの携行武装が見当たらない。だが───

 

「これも武装の一つだ」

『チッ!』

 

X2の背中に備えられていた四つのバインダーの内、上二つが可変し銃口をツヴァイに向けビームを放つ。

 

【1.5ガンダム】のバインダーライフル。これがX2の背中にコアファイターとスラスターに代わって装備された武装である。バインダーライフルのビームを、バスターソードを盾にして防ぐツヴァイ。そのまま移動し、X2に斬り掛かってくる。

 

『へっ!最高だよなぁガンダムってのは!コイツはトンでもねぇ兵器だ・・・戦争のしがいがある!テメェのガンダムもその為にあるんだろ?』

 

太陽炉を搭載したガンダムタイプに搭乗していると、このセリフが聞けるシステムらしくTHE Bi-neにも問い掛けてくるサーシェスNPD。無言でも問題無いが返答するとある程度のパターンの反応が聞ける問答。THE Bi-neは───

 

「間違ってはいないな、X2は兵器だ。だが少なくとも貴様のような者との下らない戦争で使い潰す消耗品ではない」

 

ノリノリで返答していた。

 

『んだとぉ・・・?』

「素晴らしき貴族主義社会を実現する為の、そして───」

 

X2が赤い輝きを放ち始める。

 

「この手で、キンケドゥを仕留める為の力だ!」

 

その言葉と共にX2がツヴァイの目の前から消える。

 

「フッ・・・ククッハハッハァハッハハハハハ!」

 

突如、狂ったように笑い始めるTHE Bi-ne。その機体【クロスボーン・ガンダムGN-X2】は黒と紫の装甲を赤く輝かせ、両手に持ったGNビームサーベルでツヴァイを斬り刻んでいた。トランザムシステムである。

 

『くそったれがぁ!』

 

バスターソードを取り落とし、肩のGNビームサーベルで迎撃を試みるツヴァイだが、トランザムで性能が飛躍的に向上したGN-X2に反応しきれない。

 

『この俺がぁ!?』

「アッハハハァハハ!」

 

原作と同じく腰のバインダーを切り離して離脱するつもりのツヴァイ。だがバインダーをサーベルでX字に切り裂き、さらに出力の上がったバインダーライフルで本体を撃ち抜きダメージを与え、離脱を阻止する。

 

「罪を償え!アッハハハハァ!」

 

右手のサーベルから左手のサーベルで連続して斬り付けツヴァイの体勢を崩し、反撃を許さぬ連続攻撃で追い詰めていく。両手のサーベルを水平に斬り開いて距離を離し、それぞれ肩の上と脇を通して四基のバインダーを全て正面に向ける。そして、バインダーの間に発生させたGNフィールドから高出力のビームを放ち、ツヴァイを文字通り消し飛ばす。

 

『クソ・・・野郎がぁぁぁ!』

 

「フフッ・・・美しいものだなぁ?GN粒子が舞う様は」

 

【MISSION SUCCESS】

 

撃破されたツヴァイから撒き散らされるGN粒子を視界に映し、サーシェスが原作で発していたセリフのアレンジを呟くTHE Bi-ne。機体に不具合は無くトランザムの使用も問題無し。後は本格的に武装を作製して揃え、機体の内部構造をEX2改と同じくらいにまで作り込むだけ。

 

 

この日、X1を使うダイバーは言い知れぬ悪寒を感じたとか感じなかったとか。




イオリア「コレに託すってマ?」


【サビネ・タカト(錆音 貴尊)】
THE Bi-neの本名。
人と目を合わせるのが苦手。
外出時はクワトロのようなグラサンで目元を隠している。
物静かな性格でGBN内とリアルの差が激しい。両方を知っているのはマギーくらい。
太陽炉搭載機に興味を持ちX2に搭載した。

【クロスボーン・ガンダムGN-X2】
タカトが新たに製作した機体。
元のX2以上にビーム兵器に偏った装備。
機体は完成しているが各種武装はまだペーパープラン。現状の武装は1.5ガンダムのバインダーとGNビームサーベルのみ。
トランザムシステムは問題無く使用可能。
太陽炉はジンクスやスローネが搭載していた赤い粒子を放出する疑似太陽炉の初期型。

【金髪の男性】
タカトが行き付けの喫茶店ですれ違った。
実はGBNにて貴族主義をガンギマリさせたTHE Bi-neのX2に追い掛け回されたX1使いのダイバーだったりする。
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