GBN:ダイバーズコンピレーション   作:X2愛好家

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マスダイバーよ、これが有志連合だ


エクストラコンピレーション
それぞれの有志連合戦


後に第一次有志連合と呼ばれるようになる決戦。多くのダイバーが世界を、そして己の意地とプライドを懸けて挑んだ激闘。その中には勿論、若き光と戦姫以外のダイバー達も居た。

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

「キンケドゥゥゥゥゥ!!!」

『ザビィネェェェェェ!!!』

 

突き出されるビームサーベル、振り下ろされるビームザンバー。さながら漫画 クロスボーン・ガンダムの1シーンのようだが、この二機が狙ったのは互いの愛機ではなく。

 

『クソッタレがぁ!』

『化物め・・・!』

 

コックピットを一突きにされるX1と袈裟斬りにされるX2。どちらも紫色のオーラを発しており、マスダイバー機である事が見てとれる。ブレイクX1とX2を同時に撃破したのは、X2とX1の改造機。それを操るダイバー THE Bi-neとジェーンは、次から次へと現れるマスダイバー機のコックピットに狙いを定め、数を減らしていく。

 

「敵に遅れを取るな!続け!」

『防衛部隊に手を出させるな!何としても、ここで奴らを叩くんだ!』

 

有志連合の御旗に髑髏を添えて。狂乱と奇跡がGBNの宇宙を彩る。

 

 

▽▲▽▲▽▲

 

 

『ぐおぉっ!?』

「そらそら!どうしたマスダイバー!」

 

ブレイクデカールを発動させているG-セルフを、赤く塗装されたモンテーロが追い詰めていた。搭乗しているのは戦争屋と呼ばれる女にして傭兵ダイバーのアリム。

 

『てっ、めぇ・・・!戦争の天才とかチヤホヤされてよぉ!こっちの商売あがったりなんだよクソが!』

「なんだぁ?同業者かよ。悔しかったらテメェの腕で来やがれっての。それと───」

 

『ガッ!?』

 

「奇襲はもうちょい静かにやったらどうだ?」

 

G-セルフのビームサーベルと切り結んでいた連結状態のビームジャベリンを僅かに動かし、背後に向けて連結解除・射出を行った赤いモンテーロことアリムの愛機ウォーモンテーロ。爆発光と火線が絶え間なく発生する虚空へ吸い込まれるはずのジャベリンは、途中で金属音を響かせ、何かに「突き刺さって」止まっていた。

 

『なっ、馬鹿な!ブレイクデカール使ったステルスだぞ!何で気付ける!』

「これがチートに頼った三流とアタシの違い、ってな」

『っざけんな!』

 

機能停止寸前となったのか、ステルスが解除され溶け出すように姿を現したのはG-アルケイン。まだ動けるらしく、ぎこちなくアリムのモンテーロにビームサーベルを振るおうとするが、鍔迫り合いを文字通り切り上げたウォーモンテーロの蹴りにより、胸部に刺さったジャベリンを押し込まれ今度こそ機能停止してしまう。

 

「はんっ!ジャベリンはぁ───」

 

『っ!?』

 

「こう使うッ!」

 

ブレイクブーストによる再生能力の影響か、撃破判定はされていないアルケイン。その手からサーベルを奪いG-セルフに突き出すモンテーロ。再生が完了する前にアルケインのコックピットへビームライフルを接射してトドメを刺し、手元に残ったジャベリンでG-セルフの首を落とす。

 

『くっ、そ・・・がぁっ!』

 

「蝶のように舞い!蜂のように刺すってなぁ!」

 

撃破されブロックノイズとなって消えていくマスダイバーのアルケイン。ビームライフルをラックに収めつつ射出したジャベリンを回収し、二刀流の構えを取ったウォーモンテーロ。抵抗も空しく双剣状態のジャベリンに切り刻まれ、G-セルフも撃破となった。

 

「さて、っとぉ!」

 

ジャベリンを連結状態に戻し、再びビームライフルを引き抜く。その銃口は背後から迫る別のマスダイバー機に向けられていた。

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

「ぐぬぅ・・・クジョウキョウヤをみうしなってしまった・・・こーどーがはやいヤツめ・・・」

 

のんびりとした言動とは裏腹に、忙しなく操縦桿を操っているのは、ヴェイガンのパイロットスーツを着用した白髪の少女。打倒クジョウキョウヤを掲げる、愛すべきポンコツクソガキのゲドーリトルである。

 

「だぁぁぁぁ!うっとーしい!」

 

物々しい装甲を開き、主たるガキンチョの鬱憤と共に極太のビームを吐き出したのは、鮫のような意匠が施されたザムドラーグの改造機であるサメドラーグ。そのビームは敵の大半には回避されたものの、反応の遅れた者や足の遅い機体を何機か巻き込んで撃破していた。

 

『何だあのサメ野郎!妙に強い!』

『俺らはチャンプじゃね───うぉぉぉぉ!?』

 

「ワタシのじゃまするヤツとクジョウキョウヤはまとめてぶったおすのだぁぁぁ!」

 

胸部のジョーズアーマーを閉じ、光波推進機関だけでなく両肩や背部装甲に増設されたカーブビーム砲からの連射に切り替えたサメドラーグ。その特性ゆえに回避しづらく直撃弾は多数だが、マスダイバー機の再生能力ゆえに撃破までは行かない。

 

「むぅ・・・ちっちゃいほうだとたおしづらい・・・これだからズルズルダイバーは」

 

ストレートかつ子供の感性を存分に発揮したネーミングだが、時としてこういう子供の何気無い言葉が大人の心を抉るのである。

 

「ズルしてたのしーか!」

 

元初心者狩りが何か言ってる。

 

「のわぁっ!?あぶなっ!」

 

『よそ見とは随分余裕だなぁ?』

『無謀な挑戦しか知らないガキだから仕方無いって、兄貴』

 

サメドラーグに不意打ちを仕掛けたのは二機のザクファントム。C.E.のザクファントムを宇宙世紀のザクカラーに塗り替えた機体と思われる。機体性能もブレイクデカールで上昇し、ダイバーもそれなりに自信がある様子。強敵の気配が漂うがゲドーは───

 

「いや、じっさいよゆーなのだが」

 

火に油を注いでいた。

 

「おまえらのこうげき、ほっとんどヘナチョコだからな~。ワタシつよいし?あたってやるほうがむずかしーのだが?」

 

───ブチッ

 

何かが切れる音がした。具体的には堪忍袋の緒が切れる音。もちろんその音がしたのはザクファントム二機からで。

 

『『ヤロオォブクラッシャァァァァ!!!』』

 

二人とも盛大にキレていた。キャットゥス無反動砲とビーム突撃銃を手に猛攻を掛けるザク。先程、兄貴と呼ばれた側は赤と白、呼んだ側は青と白に塗装されており、どうやら修羅の双星をイメージしているらしい。イメージ元に倣ってかコンビネーションアタックを行う修羅ファントムだが、原典よりも機動性が向上しているサメドラーグに掠りもしない。

 

『クソガキがぁ!』

『避けんなチクショウ!』

「ハンッ!2vs1はエミールとカルシウムのあいてでなれてるからなぁ!」

 

エミリアとカルナの事だろうか。このガキンチョ、クジョウ・キョウヤだけでなくAVALON全体に喧嘩を売り始めたらしい。

 

「あったれぇー!」

 

再びカーブビーム砲をフルバーストし、修羅ファントムを狙うゲドー。先の一斉射で撃破こそできないものの、ダメージを与えて足を止めさせる程度なら可能だと理解したらしい。一瞬でも隙が生まれれば上等と曲がるビームが修羅ファントムを、そして群がってきた他のマスダイバー機の装甲を溶かし抉っていく。

 

『んだそりゃあ!?』

『へ、へっ!こっちにはリジェネが───』

 

「かみつけぇ!サメドラーグゥ!」

 

それぞれ右腕と左脚を破壊されるも、ブレイクデカールによる再生能力を過信し、反撃に移ろうとする修羅ファントムのマスダイバー。起き攻めしに来た相手に、足を止める行動取るのは駄目なんだって、極限動物園の頃からそれ一番言われてるんよ。

 

『ぬおぉっ!?』

『だぁっ!離せクソガキがぁ!』

 

固まっていたのが災いし、残っていた腕にまとめて噛み付かれる修羅ファントム二機。そのまま全開出力で光波推進機関を稼働させたサメドラーグに連れ去られてしまう。

 

「ちょうどいい!オマエにきめたぁぁぁぁー!」

 

ブーストを噴かす先には、ブレイクデカールのオーラを纏うキュベレイ。サメドラーグの接近に気付き、数基のファンネルを迎撃に回してくるが時既に遅し。腕から放たれたビームガンは修羅ファントムを盾にして防ぎ、回り込んできたファンネルは電磁装甲で無力化する。

 

「サメドラーグキャノォンッ!」

 

『『あっ』』

 

「はっしゃぁ!!!」

 

気圧されたのか味方ごと撃てば良いと思ったのか、回避行動を取らなかったキュベレイに修羅ファントムを激突させ、ファントムを咥えていた前部装甲を解放するゲドー。次の瞬間、眩い光が溢れ出し、修羅ファントムとキュベレイをまとめて消し飛ばしたのだった。

 

「ふんっ、ザコザコめ。ワタシにかてるとおもったか」

 

元から突出していた事に加え、修羅ファントムを輸送しながら戦場を突っ切った為に最前線へと躍り出たらしいゲドー。しかも目立つ攻撃行動を取った事で、マスダイバーからの注目を集めたようだ。先程よりも厚い弾幕がサメドラーグへと襲い掛かる。

 

「ぐっ、ぬぅ・・・!」

 

致命的な被弾こそ無いものの、マスダイバー機を一撃で消滅させられる集束サメドラーグキャノン発射の隙を見付けられないゲドー。カーブビーム砲と指のビームバルカン、足を止めずに放てる拡散サメドラーグキャノンで応戦するものの、やはり撃破にまで至らない機体の方が多い。一気にジリ貧へと追い込まれたゲドーだが───

 

「むっ!?」

 

突如として敵の内四機に何かが突き刺さる。いずれも真横や背後からコックピットを貫かれたらしく、直ぐにブロックノイズとなって消えていく。

 

「ほっ・・・じゃなくて!よけーなことを!」

 

一息ついて直ぐ文句。それもそのはず、マスダイバー機を屠った鋭利な物体が何か分かっているからだ。

 

『無事なようで何よりだ』

「クジョウキョウヤァ・・・!」

 

にっくきクジョウキョウヤその人である。そう、マスダイバーが搭乗している四機を一瞬にして撃破したのは、彼の操るガンダムAGEⅡマグナムのFファンネル。開かれた通信ウィンドウのキョウヤを、これでもかと睨み付けるゲドー。普段ならここから、しょーぶだクジョウキョウヤァ!望む所だ、と結果の見えるやり取りが始まり、キョウヤの表情も勝負を楽しむ微笑になるのだが───

 

『君も来てくれ』

「あぁ!?なんでワタシがオマエにきょうりょくなんて───」

『頼む。この世界を、皆の夢と希望を守るために』

 

いつになく真剣な表情のキョウヤに息を呑む。

AVALONフォースネストでの決起集会に呼ばれた際も、キョウヤと戦わせろと自分勝手に騒いでいたゲドー。そんなクソガキにすら理解できる凄みが、今のキョウヤにはあった。

 

「っ、そこ!」

『ッ!』

 

有志連合最強の旗頭と、キルスコア上位の鮫が動きを止めているのを好機と見たマスダイバー。その隙は有って無いような物であり、互いの背後から迫るマスダイバー機は、サメドラーグキャノンとハイパードッズライフルマグナムから放たれた光の奔流でほぼ同時に塵へと変えられた。

 

「・・・ぃけど」

『ん?』

「こっ、こんかいだけは!オマエについてってやる!でもかんちがいするなよ!きょーりょくするワケじゃないからな!オマエをたおすのはワタシで、ズルズルダイバーにオマエがたおされたらこまるから!だから!な!」

 

ズビシィッ!!!とビームバルカンも兼ねた指をAGEⅡマグナムに突き付け、資源衛星に向かう姿勢を見せるサメドラーグ。ちなみにツンデレのように聞こえるセリフは、真剣かつ厳しい顔をしたキョウヤがちょっと、ほんのちょっとだけ怖かったから出た、やせ我慢と負け惜しみに近いモノだったりする。

 

『感謝する。ユカナ、エミリアとのデータリンクは欠かさずに頼む』

『承知しています』

 

『キョーセイはユカナの護衛を』

『了解、胞子一粒触れさせませんよ』

 

キョウヤが指示を出したのは、遊撃部隊の一員として今も戦場を飛び回っている二人の部下。クランシェカスタムにアルティメスウェアをミキシングした機体と、ジェノアスOカスタムの更なるカスタム機にそれぞれ搭乗している男女が応える。

 

「あー!ウイルスおんなとややこしメガネ!」

『俺は眼鏡はしていないと何度言えば・・・』

『ライトノベルのタイトルみたいですね』

 

ジェノアスに搭乗しているキョーセイは呆れ、クランシェに乗るユカナはどこか楽しげに笑う。

 

『頼むぞ。よし、では往こうか!』

「むぅっ、めいれいするなー!」

 

ようやくいつものクジョウキョウヤに戻ってくれて、内心ホッとしているゲドーリトル。この後、資源衛星に突入して調子を取り戻した矢先、チャンプ怒りのプロヴィ裂きと気迫を目の当たりにし、再びガチビビりする事になるとは知る術も無いゲドーだった。

 

 

▽▲▽▲▽▲

 

 

『おい!ここ抜かれたらマズいんだろ!?』

『仕方ないでしょ!あんなのどうやって───』

 

止めればいいのよ、と続けようとしたマスダイバー機のコックピットブロックに風穴が開く。耳障りな金属音を響かせながら、背中まで貫通したのは大型のドリル。貫いたマスダイバーのジム・クゥエルを他の敵機に向けて振り抜き、即席の防壁としたのは得物であるドリルが脚となっているモビルスーツ。

 

「次」

 

『ぐあっ───』

『ちょっ、ちょっと待───』

 

「撃破、次」

 

淡々と、無慈悲に、事務的に、機械的に、マスダイバー機を処理していく大型モビルスーツ。人形傭兵ことユアーナが操るグレイズ・スレイブである。シュヴァルベから移植したバックパックと、各部に増設されたスラスターを小刻みに噴かしながら絶えず動き、資源衛星突入を阻止せんと突入部隊に食らい付こうとするマスダイバー機群を相手取り続けている。

 

(ダメージレベルはイエローゾーン、機動に問題は無い)

 

他の支援部隊も居るとはいえ、スレイブに掛かる負担は尋常ではない。現に装甲の複数箇所に傷が付き、コックピットは機体損傷を報せるイエローアラートで染まっている。だが、スレイブを操るユアーナに動揺や焦燥の類いは見られない。一時撤退という選択肢も思考から外されている。

 

何故なら、それが【依頼】だから。

それが【命令】だから。

 

(左腕消失、戦力低下)

 

誰かに尽くす事、誰かに命令される事、それが彼女───ユアーナというダイバーの存在意義。突入部隊を支援しろ、戦線を維持しろ、そう命じられているからそうするだけ。

 

「退避を。その損傷では危険です」

『助かる・・・けど、あんただって!』

 

無論一人で出来る事などたかが知れている。だから傷付いた友軍を下がらせ、補給を受けさせ、再び戦ってもらう。一機でも多く味方を撃破させないのも命令の内だ。ユアーナの事を気にかけた通信も無視し、目の前の敵に武器を向ける。

 

『クソッ!クソォッ!来るな!来るなぁっ!』

『誰でも良いからそのグレイズアインを止めろ!止めるんだよ!』

『あなたがやりなさいよ!言い出しっぺ!』

 

どれだけ機体が強くなっても、ダイバーの心が強くなる訳ではない。スレイブに目を付けられたマスダイバー達は、完全に恐怖に呑まれていた。

 

「友軍の資源衛星突入を確認。戦線の維持に注力します」

 

恐慌状態なら追い詰めるのも容易、と人形としてGBNに再現されたユアーナの無機質な瞳がマスダイバーを射抜く。

 

もし、もしほんの少しだけ、ユアーナに話し掛ける相手が違っていたら。有志連合ではなくマスダイバーの誰かが、一足早くユアーナに依頼をしていたら。彼女は有志連合にとっての脅威となっていただろう。このマスダイバー達は意気揚々と有志連合に牙を剥いていただろう。だが、そうはならなかった。人形傭兵ユアーナは、有志連合の一員として、この戦場に立ってしまったのだ。

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

『懐かしい姿じゃないかグリッダム?でも私は・・・君を倒して、次のツカサくんを探すよ』

『次は無い!ここで終わらせるぞ!アレクシス・ゲルグ!』

 

邪悪な高笑いと共に、片側からビーム刃を発振したナギナタを両手に持った黒いゲルググが突撃を開始する。それを迎え撃つように、同じく正面からチャージを敢行したのは赤地に白い装甲が目立つ、初代ガンダムをベースとした改造機体。数秒と経たずに両者は激突し、派手にスパークを迸らせながら鍔迫り合いとなった。

 

「何だろ、この既視感・・・」

『やっちゃいなよー!そんな悪者なんかー!』

 

そしてそれを眺めている異形の鳥と、無邪気にガンダムを応援するザクウォーリア。コルニグスに搭乗しているアカネくんと、ライブ仕様ザクウォーリアにブレイズウィザードを装備した実戦投入型に乗るμだ。

 

「っ、と。ほら、悪者おかわり来たよ」

『へっ?うわわっ!?危ない危ない!もうちょっと早く言ってよぉ!』

 

戦場で呑気に足を止めていた二人を狙い、マスダイバー機が押し寄せる。アカネはGBN式の操縦に慣れたのか、回避行動を取りつつ追加装備したインプルースパーツからフェザーファンネルを放つまでやってみせる。一方μはコミカルな悲鳴を上げながら、どうにかこうにか攻撃を避けていた。

 

「やっぱさぁ、ここ私達が来ていい場所じゃない気がするんだけど」

『うひゃあっ!?でっ、でもぉ!世界が壊れちゃったらアカネも困るでしょ!』

「それはまぁ・・・そうだけど」

 

GBNメインシステムにまで影響を及ぼし始めたブレイクデカールを根絶し、流布した黒幕を捕らえる為に有志連合を結成する、という情報を得たアカネとμ。チートコードなんてあるんだ、と対岸の火事程度にしか考えていなかったアカネだが、放置すればやがてGBNという世界そのものが破損してしまうという事を知り、μが協力しよう!と騒ぎ出したのもあって決戦の宇宙に紛れ込んだのである。

 

『ふっ!くっ、ぬぅ!』

「場違いだと思うんだよねぇ・・・こんだけ強い連中が集まってるんなら、私達いらなくない?」

 

どさくさに紛れてエリア11に辿り着いたは良いものの、当初からあまり乗り気では無かったアカネは、被弾を抑える事に特化した消極的な戦闘しか行っていない。対してμは必死に操縦桿を動かし、一人でも多くの味方を援護しようと奮闘している。

 

『ダメだよ!助けなきゃ!』

「何でそんな張り切ってるのさ」

『だって!ここは皆の大好きって気持ちに溢れてる!』

「そうだね。でも、それは私達には関係無い」

『あるよ!』

 

ビームトマホークがマスダイバー機のコックピットにクリーンヒットする。ブレイクブースト任せの荒っぽい操縦だった為、μでも渡り合う事ができたようだ。そしてその撃破した機体に小さく、ごめんね……と謝罪してからアカネに向き直るμ。

 

『たしかに最初は無関係だったよ?メビウスを創る参考になれば良いなって、今よりも人間を知れれば良いなって、それくらいに考えてた』

「・・・」

 

珍しくμの話を聞こうとしているアカネ。μの邪魔はさせないと、ザクウォーリアの背後から迫るR・ジャジャにフェザーファンネルを差し向け牽制する。

 

『でもアカネに会って、初めてガンプラに乗って、バトルもして。それで気付いたんだ。ワタシもこの世界が好きになってるんだって』

 

最初こそ不純な、こちらの世界に対して傲慢な理由だったかもしれない。だがアカネと共にこの世界を、GBNを知っていく内に芽生えた【好き】という感情。辛い現実を一時でも忘れられる夢のような世界、メビウスを創ろうとしているが故の共感。そして、μという人に近いモノが人に触れて得た心。

 

それら全てが叫んでいる。

 

『GBNを守らなきゃって』

「・・・ふーん」

『お願い、アカネの力も貸して』

 

μの瞳がアカネを射抜く。他者から与えられた【言葉】ではなく、他者が作った【歌】でもなく、μ自身の言葉がアカネの胸に落ちていく。

 

「はぁ・・・」

『アカネ・・・』

 

溜め息と共にコルニグスを動かすアカネ。μの言葉はアカネには届かなかったのか、アカネという存在を動かすには足らなかったのか。μの心が悲しみに染まろうとした瞬間───

 

「よそ見しない」

『へぶぅっ!?』

 

コルニグスがザクウォーリアを蹴り飛ばす。対ショック姿勢どころか、何の備えも出来ていなかったμに割と強烈な衝撃が襲い掛かった。そしてバーチャルアイドルから出て良い音ではない声を上げながら、ガックンガックン揺さぶられるμ。大丈夫かい。

 

『ちょっ!?何するのさー!』

「そろそろ羽根だけで迎撃すんのも限界なんだよ。あんたが自分語りしてる間、誰が!守って!あげてたと思ってるのかなぁ!」

 

そう、μが話をしている間、アカネはμの言葉に耳を傾けながらフェザーファンネルでザクを守り続けていたのである。途中で言葉を返さなかったのも、反応らしい反応を示さなかったのも、フェザーファンネルを操作していた為だ。何ならザクを蹴り飛ばしたのも、ファンネルの火線を抜けて来たマスダイバー機からザクを逃がすため。

 

『あっ・・・えっと・・・あ、ありがとう?』

 

これにはμも気まずそうにしている。

 

「まったく・・・」

『あっ、アカネ!』

「すれば良いんでしょ、すれば」

『っ、じゃあ!』

 

専用のビームライフルを構え、木星帝国機特有のモノアイに一際強く光が灯るコルニグス。

 

「リソースをちょっと借りる予定の電脳世界、その前に壊されちゃ困るんだよねぇ」

 

借りるというか、ちょろまかす気満々のアカネ。誰も知る事の出来ない本心を胸の深い深い奥底に隠し、あくまで自分の世界の為にと力を振るう。

 

「さて、と。そっちもチート使ってんだから、卑怯だの何だの言わないでよね」

 

そう言ってGBNの物ではない【自分のコンソール】を出現させ、手早く操作していくアカネ。その操作が終わると同時に、回収出来ず充電切れで周囲に漂っていたフェザーファンネルが息を吹き返した。

 

「ほらほら、鳥葬されたくなかったら逃げろ~」

 

自機のエネルギー量を無限に設定したのだ。オマケにファンネルから放たれるビームも、先程までとは段違いの出力になっている。この女【目には目を、チートにはチートを】をやらかしたのである。ブレイクデカールが溢れている戦場ならバレないと思ったのだろう。

 

『よぉーし!ワタシも!』

 

それを見たμも何かをしでかそうとしている。君がブレーキ役を放棄したら誰がこのカミサマを止めるんだ。

 

『聞いて!ワタシの歌!』

 

と、次の瞬間コックピットハッチを解放し、機体外へと躍り出るμ。即席のライブステージとしたザクのマニピュレーターの上に足を着け、その可愛らしい口を開く。

 

戦場に歌声が響く。

有志連合もマスダイバーも、敵味方問わず誰もが振り返り、耳を傾けてしまう女神の歌が。爆発と溶断、雄叫びと怒号が飛び交う戦場に、澄み渡った声が解けていく。

 

『なに?歌?』

『こんな時にどこのアホが!』

『綺麗な声・・・』

 

そして、μの歌声に共鳴するかのようにザクの姿が変わっていく。機体カラーが、ビビッドピンクからμ本人を思わせる白と灰へと変化したのだ。原典のザクウォーリアには備わっていないはずのフェイズシフト装甲のように。更にショルダースパイクとシールドの衝角が消失し、背部に装着されていたブレイズウィザードもパージされる。

 

ウォーリア( 闘士 )からディーバ( 歌姫  )へと。

ザクが変貌したのだ。

 

「これが真骨頂・・・本業か」

 

μが初めてザクを操縦したチュートリアルから【戦いが似合わない】という漠然とした違和感を抱いていたアカネ。今、そのモヤモヤとした違和感が晴れたようだ。彼女の視線は一度コルニグスの機体ステータス画面へと向けられ、直ぐ様マスダイバー機を捉えたメインカメラからの映像へと移る。すっごい悪い笑顔になりながら。

 

『なっ、何だ!?残弾が増えたぞ!』

『エネルギー回復!?補給まだなのに!』

『ウソ・・・動かせるようになった・・・』

 

続々と上がる驚愕の声。それは、μとアカネの付近で戦闘を行っている有志連合のダイバーのものだ。μの歌声が届いた機体から、実弾武装の残弾が急にリロードされたり、ビーム兵器のエネルギーが回復したり、スタンデバフが掛かっていた機体が動かせるようになったりと様々だった。

 

『何だよコイツら!?急に復旧したぞ!』

『向こうもブレイクデカールを使ってるの!?』

『・・・いや、見ろ。あのザクだ』

『連ザのライブザクみてぇな事を!』

『L覚でしょ!』

『何でも良い!あのザクを潰せ!』

 

マスダイバー側も異常に気付き始める。その中の一人が冷静に原因を見極め、号令と共に一斉にμのザクへと襲い掛かってきた。

 

「ちょっとマズいかな・・・」

 

今この場を支配しているのは間違い無くμだ。μのザクを撃破させる訳にはいかないと援護に回っていたアカネだが、想定以上にマスダイバー達が躍起になって攻めて来ている。確殺を入れなければ再生されてしまう為、多少前に出て戦闘をしていたのだが、僅かにμへのルートを空けてしまった事に気付いたようだ。

 

「おっと、ナイトくんの登場?」

 

その隙を逃さず突撃してきたのは、頭部とバックパックが特徴的なザクフリッパー。バズーカを連射しながらμへと迫るが、その進路に割り込む機体があった。

 

『・・・』

 

『ぐっ、おぉっ!?くっそぉぁ!』

 

語る言葉など無い、とばかりに無言でザクフリッパーを迎え撃ったのは黒いストライク。見事なサマーソルトキックでフリッパーの体勢を崩し、すかさず両手に保持したビームライフルを連射して蜂の巣にする。撃破による消滅を見届けず、次の獲物へと向かうストライク。その頭部は、燃え盛る髑髏に見えるよう精緻なペイントが施されていた。

 

「カッコいいねぇ・・・こっちも、やると決めたからには仕事しますか」

 

のんびりとした口調だが、操っているコルニグスはゴトラタンの首をビームアックスで抉り裂いているというバイオレンス状態。若干笑っている辺りサイコパス味が凄い絵面である。

 

「ほら、来なよマスダイバー。私にヒロイックな正々堂々バトルなんて期待しないでね?」

 

蹴飛ばした首無しゴトラタンをフェザーファンネルで鳥葬し、ビームライフルを扇ぐように動かして挑発する。歌い続けるμをバックに、異形のモビルスーツがマスダイバー達と対峙する。

 

この辺りまでは余裕を見せていたアカネだったが、終盤に現れたブレイク ビグ・ザムに「そんなのズルいじゃん」する事になったりする。




ミズキリとママオロチは、この時はまだ有志連合に呼ばれる程の実力が無い&必死になる理由が無いので参戦してません。

【ユカナ】(原案:守次 奏 様)
AVALON所属のSランクダイバー。
腰まで伸ばした、ウェーブの掛かった白髪寄りのプラチナブロンドとエルフ耳が特徴。
主に後述のキョーセイや、リーダーであるキョウヤ、エミリアにカルナと言ったフォワード組を索敵と狙撃で支援するのがフォース内での役割。
乗機はAGE-2アルティメスとクランシェカスタムをミキシングし、ビームスマートガンにドッズ効果を持たせた狙撃銃を装備する「クランシャーレ」。
ゲドーから「ウイルスおんな」と呼ばれている。これは実弾との切替が可能なドッズスマートガンによく装填されているのが、ミダス・タッチ・フラッシュに似た効果を発揮するウィルスバレットだからである。

【キョーセイ・グラース】(原案:麻婆炒飯 様)
AVALONに所属するSランクダイバー。
初動で火力制圧を行い、中盤以降は高機動タンク役として友軍を支えるのが得意。他にキョウヤやエミリア等の指揮官が不在の際、指揮官代理を務める事も。
乗機はジェノアスOカスタムをフルグランサへと換装し、アサルトジャケットで補強した上でアデルキャノンの要素も取り入れた「グランジェノアスFAカスタム」。普段はこの上に専用のHWSも装備している。
ゲドーからは「ややこしメガネ」と呼ばれる。ダイバーネームの「グラース」が「眼鏡」という意味に取れる事からなのだが、本人は裸眼である。勝手にややこしくしているのはゲドーの方……

【グリッダム】
電脳世界GBNを守る為、何処からともなく現れた夢現のヒーロー。ベースは初代ガンダムだが、カラーリングが原典とは異なっている。
今回の有志連合戦までは、プライマルストライクというストライクガンダム風の外装を纏っていたらしい。

【アレクシス・ゲルグ】
謎の黒いゲルググ。高機動型ゲルググを黒寄りのダークブルーで塗装し、それに映える赤いラインが入った姿をしている。片刃のビームナギナタを両手に持った二刀流でグリッダムを追い詰めた。

【ザクディーバ】
μが本来の力───バーチャルアイドルと電子生命体としての能力を解放した事で変異した、ライブ仕様ザクウォーリア。装甲の色合いがμ本人を思わせる白と灰色に変化し、ウィザードやショルダースパイク等も含めたありとあらゆる武装が強制排除される。戦闘能力は著しく低下するが、μの歌声を響かせる事が可能になり、その歌声を何らかの形で拾った機体は性能が飛躍的に向上する。また、マスダイバー機には何の影響も無かった事から、バフ効果を適用する機体はある程度自由に選択できる模様。

【ストライクルシード】
μを援護したストライクノワールの改造機。
ヴァリアブルフェイズシフト装甲の色が黒いのは変わらないが、所々に白いアクセントを入れられているのが相違点。更に、頭部全体が「燃え盛る髑髏」に見えるようペイントされているのも特徴。
主な武装は原典機の高エネルギービームライフルとは異なる、オリジナルのビームライフル。これを両手に保持し、サマーソルトキックで相手の体勢を崩してから連続射撃で蜂の巣にするコンボを必殺技としている。
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