GBN:ダイバーズコンピレーション   作:X2愛好家

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前回までのレイド
描写したキャラの戦闘区域

【後方】 絶対防衛線付近
モミジ&セツ
テイクイットイージー
ミズキリ&シゼ

【前線】 ELS群中央~深部
アリム&イオリ(突破し最前線へ)

【最前線】 ELS群最深部~超大型ELS
キョウスケ
ユユ&リリカ(前線を突破して合流)
THE Bi-ne&ジェーン
グラハムスペシャルズ

ゲスト出演キャラの作者様に改めて感謝を


それぞれのレイドバトル 終結編

木星帝国とELSの混成軍を相手にしたレイドバトルは佳境を迎えつつあった。

 

「くぅっ!いい加減どけってんだよ!」

 

ダイバー側が苦しい状況のまま。

苦戦するアリム。その相手は白と紫のツートンカラーという特徴的な色合いをした異形のMS【ディキトゥス】。原作であるクロスボーン・ガンダム 鋼鉄の七人において、ラスボスと言える木星帝国総統【カリスト】の搭乗機である。人型から変形すると「手」そのものの形状になるという独特な可変機構を持つ機体であり、「MS大の手が迫ってくる」という視覚的なプレッシャーに加え、見た目からは想像できないスピードで動き回り、高出力のメガ粒子砲で狙ってくる厄介な相手。特に変形状態で注意すべきは───

 

「チィッ!掴まれんなよ!握られたら一発アウトだ!」

 

強力なI・フィールドと機体のパワーを合わせ、文字通り敵を「握り潰す」事が可能な点だろう。これもまた、原作にて防御に厚い機体を大破させていた場面から再現した要素。しかも今回はレイドバトル仕様となっている為、おそらく常設ミッションに登場するディキトゥスよりも手強く調整されている。さらにはELSの攻撃も捌きながらの戦闘になるため厳しい状況が続く。

 

「FOEだけでも先行させねぇと後ろがヤベェってのに」

 

救援要請を送ってきたダイバーの言葉が正しいのなら、ダイバー側の勝利条件であり敗北条件でもあるコロニーレーザー「シンヴァツ」が絶対防衛線近くに出現しているはず。超火力を持つFOEさんことキョウスケのディバインダブルオークアンタならば発射前のコロニーレーザーを破壊する事は容易いだろう。もっとも間に合えばの話だが。

 

『先に行って!この化物は私が抑える!』

「イオリ!?」

 

アリムのアルケーを追い抜き、ディキトゥスに果敢に斬りかかるのはイオリのトリスタンサファイア。

 

「置いて行けるか!」

『戦争屋らしくない!今は一人でも多く後方の援護に向かうのが先決でしょう!』

「けど・・・!」

『終わったら良い事してあげるって言ったら?』

 

イイコト

 

アリムの聴覚がその言葉を思考に届けて認識した瞬間、一瞬にして様々な感情がアリムの中でせめぎあう。

 

自分とイオリは友達であって「そういう」関係じゃないしけどイイコトって何だろう凄く気になるいやいや違うだろイオリは皆の委員長だし自分だけがそんな良い思いしていい訳がないしでもイオリの好意を受け取らないのもそれはそれでどうなんだそもそもここはGBNでそういう事は出来ないだろ待てよむしろここでカッコ良くFOEを護衛してそれが勝利の鍵になってレイド終わったらイオリ褒めてくれるんじゃそれをご褒美に貰おうこれならいかがわしくない普通に友達同士で健闘を称え合ってるだけだからそれにガーフレは百合に寛容って聞いたし違う違う百合じゃないから同性ダイバーの友情だからそういうんじゃないからでもイオリが求めてくれるなら全然オッケーむしろいつでも大丈夫あれ?何を考えてたんだっけそうだレイドだよヨシ

 

「任せろ!!!」

『任せました!』

 

大混乱と若干の欲望をごちゃ混ぜにした状態のままELSの包囲網に穴を空けて突破を試みるアリム。だが、彼女一人が奮起した所で状況はそう変わるわけもなく───

 

『ハハッ!ハアッハッハハハハハ!』

『先に行くんだ!私達が変わる!』

 

変わった

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

「ご機嫌麗しゅう!新総統殿ぉ!お会い出来て光栄です、が!ここで消えていただく!!!」

『あまり突っ込みすぎないでくれよ?まぁ言った所で君は止まらないだろうがねぇ!』

 

ディキトゥスvs最前線組の戦いに割って入ったのは急転直下の戦況に再びテンションMAXとなったダブル眼帯貴族主義者THE Bi-neと随伴のジェーン。ピーファウルランチャーからビームをフルバーストしつつディキトゥスに接近していく。

 

『順番は守ってもらえる?こっちの獲物なのよ!』

 

凶暴な笑顔になりながらこちらも突進するイオリのトリスタンサファイア。ここが使い所とばかりに残っていたミサイルを全弾発射しディキトゥスを狙うが命中せず。しかし、包囲網を構築していた小型ELSが複数巻き込まれた事と二機のクロスボーンがディキトゥスを抑えた事で隙が出来た。

 

『お兄様』

『分かっている』

『おい眼帯野郎!イオリが撃墜されたら分かってんだろうな!全力でやれよ!』

 

キョウスケ、ユユ、そしてミッションよりイオリ命モードのアリムが間隙を突いてその場からの離脱に成功した。

 

「言われずとも・・・こんな心躍る戦い!手を抜く方が難しいというもの!」

『やれやれ、戦争屋からあぁ言われては仕方ないね』

『アリムさんったら・・・フフッ!』

 

改めてディキトゥスに向き直る三人。さらにキョウスケとユユに遅れて通過しようとしたダイバー機のうち数機がその場に残りELSへ攻撃を開始した。

 

『もう実弾は全部使いきっちまったんでな!ここで悪足掻きさせてもらうぜ!』

『お手伝いしてさしあげますわ!』

『FOEといえど間に合うか微妙だな・・・せめてここで撃破数は稼がせてもらう』

『私だってヴァルガ民なんだから!』

 

各々の思惑で残る事を決めたダイバー達。

 

THE Bi-neのEX2フルールクロス

ジェーンのX-1

イオリのトリスタンサファイア

悪足掻き宣言をしたペイルライダー空間戦闘仕様

どこか高飛車なパワードウェポンF91

ポイント稼ぎ目的のTB版フルアーマーガンダム

謎のヴァルガ民らしきファントム

 

事前に示し合わせた訳でもないのに集結した【七機】のガンプラと【七人】のダイバー。無論原作とは違いすぎる装備と編成だが、七人七機でカリストのディキトゥスを相手取る状況。ここに【レイド版 鋼鉄の七人】が結成されたのだ。

 

「行くぞ!フハハハハハ!!!」

 

ダブル眼帯貴族のテンションは振り切れていた。

 

 

▽▲▽▲▽▲

 

 

(ディキトゥスは一機だけだった・・・変形中の形状から察するに右指・・・左指はコロニーレーザーの方か)

 

息つく間も無く襲い来るELSの大群と木星帝国有人機。それらからの攻撃を回避し、返しの一撃で墜としながら推察するキョウスケ。最前線組と戦っていたのは影のカリストのバイオ脳が操っていたとされる「右指」こと【リーベルダス・デクストラ・ディキトゥス】。兄である光のカリストが操縦する「左指」のディキトゥスは恐らくコロニーレーザー近くに出現しているはず。立ち塞がるカングリジョをソードビットで切り刻んで突破し、後方へとディバインクアンタを加速させる。

 

「化物はどっちだか・・・」

『ふふ・・・褒め言葉として受け取りますね?』

「兄妹揃ってとんでもねぇなっと!」

『そこ』

 

キョウスケの後を追って宇宙を飛ぶのはアリムのゲニーアルケーとユユのG-イデア。どちらも足を止める事なく群がる敵を撃墜しながらディバインクアンタに追従している。互いの背後に接近していたELSエレバドをほぼ同時に撃ち抜いて撃破する二人。

 

『お見事』

「そりゃどうも!」

 

短く称賛を送りあい、再び機体を加速させるユユとアリム。刻一刻とゲームオーバーの時が迫り来る中でもパフォーマンスに支障は無い。一秒でも早く絶対防衛線へと辿り着く事が最優先とELSの群れを蹴散らしながら最短を突っ切る三機。さらにその三機が切り開いた道をELSに塞がれる前に駆け抜け、時には自前の武装で道を広げつつ急ぐ後続の最前線組。このまま順調に防衛線へ辿り着けると思われたが───

 

『うわぁぁぁぁぁ!!?』

『なんでコイツが!?くっそぉ!!』

 

突如として後続に襲い掛かる銀色の怪鳥。ここに来て攻撃パターンが苛烈になり始めた「中ボス」ユニット【ELSコルニグス】である。それも二機。

 

「援護・・・!間に合わねぇか!止まるな!足を止めたらヤられるぞ!」

 

フェザーファンネルの代わりに小型ELSよりもさらに小さな「ELSファンネル」か「フェザーELS」とでも呼ぶべき遠隔操作兵器にして同類を射出してくるELSコルニグス。銀の羽根に群がられ擬態ビームアックスに引き裂かれる様はダイバー達に「鳥葬」という言葉を想起させた。

 

(ムズいな・・・何機残れるか)

 

カリストの悪意に染まった銀翼を睨み付けながら思案するアリム。防衛線へと駆け付けても戦力が足りなければ敗北は必至。さらにはコロニーレーザー「シンヴァツ」を破壊しなければ勝利にはならないはず。それどころか地球を狙い続ける限り敗北条件が消えないという事になる。

 

(ELSを片付けながらコロニーレーザーを壊して、味方を残しながらカリストを倒す)

「全部やらなきゃならないのがレイドの難しい所だよなぁ!」

 

戦争屋の本領発揮と言わんばかりに凄みのある表情を見せるアリム。それに応えるようにゲニーアルケーも特徴的な四つ目を発光させ、群がるELSをライフルモードのバスターソードで、GNキャノンで、時には爪先に仕込まれたGNビームサーベルで蹴散らしていく。

 

「待ってろよ・・・」

 

防衛線で死闘を繰り広げているだろうダイバー達の為にも、ここを突破する必要が────

 

「イオリ!」

 

そっちかい。良いこと、ご褒美が頭から離れない様子のベタ惚れアリム。戦争屋じゃなかったのかな。

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

『耐久戦じみてきた──あっぶな!?』

『みんなさっきよりバラバラになっちゃった・・・これじゃハモニカ撃てないよぉ』

『これは、完全に裏目かなぁ・・・』

 

一方、防衛線にて。先程までの最前線と同じかそれ以上に激戦区となっている後方宙域。咄嗟に引き抜いたビームサーベルで有人機のバタラの頭部を斬り落とし、ダメージを与えたのはモミジのハイザック・バトルスキャン。損傷したバタラをビームバズーカで撃ち抜いてトドメを刺したのはセツのイクスリベイクフルディバイダーである。セツが溢した通り、防衛側のダイバー達はカリストの策が発動する前よりも散開し乱戦となってしまっている。そんな状況でクアドラプルハモニカをフルバーストすれば誤射は確実になってしまい、かといって友軍機に射線からの退避を要請しても敵の物量がそれを許さない。

 

『的は見えてるのに・・・もどかしいなぁ!』

 

ハイザック、ひいてはモミジの視界に映る巨大な銀色の筒。ELSと融合したコロニーレーザー「ELSシンヴァツ」である。かつて超長距離狙撃を成功させた事もあるモミジだが、ここまで敵の猛攻が激しいとスナイプに集中できず、さらにはバトルスキャンの攻撃が数発着弾してダメージを与えても破壊は夢のまた夢だろう。ELSシンヴァツを完全に破壊するには、それこそセツやキョウスケ、MAを筆頭とした砲撃機体などの火力を持つ機体を向かわせるしかないのだが、大型機はどうしても的になりやすく序盤で大破させられた者も少なくない。木星帝国機の物量に加え、前線より数は少ないものの小型ELSも健在なのだ。その上───

 

『でかお姉ちゃん上!!』

『分かってるっ!刀!?ナツキチじゃないよね!』

 

ELSバタラやELSヴァゴン等の擬態ELS機。その中に僅かに混じっているダイバー機擬態型が厄介な事この上ない。モミジのバトルスキャンに日本刀のような武器で斬り掛かって来たのは、誰が乗っていたのか擬態されたレッドフレーム改。偶然にもモミジの仲間であるダイバー「ナツキ」と同じアストレイだった。

 

『しつこいって!』

 

元の機体に搭乗していたダイバーのランクを参照してNPDとしてのレベルが変動するダイバー機擬態型。モミジに知る術は無いが、レッドフレーム改のダイバーはSランクだった為、この「ELSフレーム改」もNPDとしては中々の強敵となっている。奮闘虚しく取り込まれてしまったのだろうレッド改の搭乗ダイバーが、ELSにさらなる戦力を与えてしまった形になる。まだレッドフレームの得意レンジに踏み込ませてはいないものの、遠距離という程離れている訳でもない。さらには小型ELSも捌きながらのドッグファイトの為、モミジにもあまり余裕が無い。

 

『もう!撃っても撃ってもキリがないよぉ!』

 

つい先程セツから飛んできた援護も今は止んでしまっている。存在がイノベイターやイノベイド扱いなのか、本当に脳量子波でも発しているのか他のダイバーよりもELダイバーに多く群がるようになったELS達。引き付けてからビームバズーカとディバイダーのハモニカ砲で一掃するという原作さながらの攻撃を行うセツだが、本人が言った通り次から次へと現れキリがない。周囲には他のダイバー機も居るのだが、モミジやセツと同じくELSに追われている、あるいはELSシンヴァツの攻略に向かってしまい援護が出来ない。

 

『ちょっ!?増えるのは聞いてない!』

 

バトルスキャンの索敵機能が捉えた機影が三つ。機動性に優れたELSエレバドである。ELSフレーム改と擬態前の群れでは詰め切れないと判断したのか、新手の群れと他のダイバーを追っていた群れから一機ずつ計三機がシンヴァツ方向からモミジに向かって来たのだった。今までの戦況やキルスコアから「放置すれば危険」な相手とでも判断されたのだろう。悠長に狙撃など完全にできなくなったモミジ。

 

『しゃーない!』

 

取り込まれて利用される可能性と味方を誤射しかねない僅かな可能性の二つのリスクから使用を控えていたザック・リフレクタービットを三基全て展開し、指定ポイントに配置するモミジ。

 

『ちびっこ!』

『おまかせー!』

 

自分よりも多くのELSに追われているセツと合流する軌道をバトルスキャンにとらせ、少ない言葉で射撃指示を出す。セツもまたそれを理解して・・・いるのかは本人しか分からないが、モミジを追うELSに向けてハモニカ砲を放ちながら軌道を合わせる。さらに別の手に持たせたもう一基のディバイダーからリフレクタービットにハモニカ砲のビームを撃つ。ビットに反射されたビームはELSエレバドに命中せず。しかし───

 

『はぁい!3名様ご案内!』

 

反射ビームを回避した先で「一直線」に並べられた三機のELSエレバド。その一瞬を逃さず狙撃し、まとめて撃破するモミジ。「ギャルスナイパー」というスゴいんだかネタ枠なんだか分からない呼び名からは想像もつかない技量を持つのがこのモミジという狙撃手なのだ。

 

『そんなんアリ!?』

 

そんな事は百も承知、把握済みとでも言いたいのか。撃ち抜かれたELSエレバドの爆発光と爆煙の中、最後尾から現れたのはモミジに何の恨みがあるのかELSフレーム改。擬態ガーベラストレートを鞘に収め、背部に接続されていたタクティカルアームズに擬態した部位をアローフォームで構えている。

 

『でかお姉ちゃん!!!』

『ヤバ───』

 

リフレクタービット・・・二基は小型ELSの群れに飲み込まれ消失。残り一基、位置が悪く間に合わない。

まずった。そんな言葉が出かかるが発しはしない。被弾は確実、最悪コックピットを撃ち抜かれて撃破。流れる時間がスローになるような錯覚。ノーダメージはあり得ない、現実は非情である───

 

『させない!』

 

なんて誰が決めた?

 

『ハルお姉ちゃん!』

『おまたせ、セツ』

 

セツの元にも援軍、いや、これ以上ない最高の味方が到着したようだ。

 

『遅刻だぞー!ナツキチー!』

『ごめんごめん!』

 

擬態タクティカルアームズを構えたELSフレーム改の右腕をすれ違いざまに斬り落とし、モミジの危機を救ったのは「蒼翼のサムライ」。ELSの群れからセツを救い出したのは「空域の支配者」。

 

春夏秋冬、揃う。

 

『さて、アストレイでモミジさんを虐めるとは良い度胸だねぇ?』

 

失った右腕を周囲の小型ELS数体に補修させるという、原作でもやっていたか怪しい荒業で機体コンディションを戻すELSフレーム改。

 

『ふぅん・・・そういう事するんだ』

 

さらに本体から離れた擬態タクティカルアームズにも複数のELSが集まり、別のダイバーが乗っていたであろう「ELSケルディム」となって新たに動き出す。近接戦担当のELSフレーム改と射撃援護担当のELSケルディムという分担なのだろうが、フォース春夏秋冬に対して、ハルとナツキの二人に対してその機体チョイスは少しまずかった。

 

『ナツキ!』

『オッケー、行くよ!』

 

近接戦闘が得意なハルナツに斬り裂かれ、持ち直したモミセツに撃ち抜かれ、数を減らしていくELSの群れ。擬態型も小型ELSで損傷部位を補修するが、春夏秋冬の猛攻に修復が間に合わない。

 

『これで』

『終わり!』

 

ハルのガンダムファイルムに貫かれ、ナツキのガンダムアストレイ オーバースカイに両断されデータの粒子となって消えていく二体の擬態ELS。ほんの僅かな休息が四人に訪れる。

 

『危なかったー!』

『あたしらが見てないからってイチャイチャしてたんだろー?』

『戦いながら無駄に高度な事しないって』

『出来なくはないけどさ』

 

本当にやりかねないのがこのカップルである。終わってから存分にイチャついてもろて。

 

『ひゃっ!?』

『ちびっこ?』

『なんかゾワッとした・・・』

『アレ、止めないとヤバくない?』

 

ナツキのオーバースカイが視線を向ける先、悪意と破滅の光を吐き出さんとする銀色のコロニーレーザー。狙うは我らが住まう仮想の水の星。擬態ELSにも共通する紫色のビーム光を筒の至る所から迸らせている。いつの間にかゲームオーバーの時が近くなってしまったようだ。

 

『でかお姉ちゃん、ここから狙えないの?』

『狙えるけど壊せるかは別なんだよね・・・』

『トランザムでも間に合うかどうか・・・いや、ギリギリ無理、かな』

 

防衛線の死守が無駄だった訳ではないが、ELSシンヴァツの攻略に手間取ったらしい。戦力不足だったのか、あるいはシンヴァツの護衛が想像以上に強敵だったのか。

 

『とにかく行くだけ行こう。まだ逆転できるかもしれない』

 

かなり低いどころか限りなくゼロに近い勝率。それでも何もしないよりはマシとシンヴァツへ向かう春夏秋冬。の前に飛来する機体が一機。

 

『セツ!』

『あー!シゼだー!どしたの?』

『えーと!アレ、アレだよ!コロニーが地球狙って負けるから・・・』

 

近い宙域で戦闘を行っていたシゼ、そして少し遅れてやって来た青いジンクスⅢ──ミズキリのジンクスである。シゼはどうやらセツに用があって飛んできたらしいが、焦っている上に考えがまとまっておらず何を言いたいかが分からない。そして大慌てしたまま伝えたい事を大幅に圧縮した結果とんでもない爆弾発言となる。

 

『一緒に気持ち良くなろ!』

 

セツはきょとんとし、ミズキリと春夏秋は宇宙猫となっている。少し時間を戻して、シゼが何故こんな発言をしたのか確かめてみよう。

 

 

▽▲▽▲▽▲

 

 

『数ばかりゴチャゴチャと!』

『調子に乗ってくれちゃってぇ!』

 

ウルフスベインとケルベロスから放たれたビームが大型ELSを貫き。

 

『こっち来るなって!』

『レールガンは効くぜぇ!もう一発!』

 

肩部リニアキャノンと115mmレールガンが擬態ELSに風穴を穿ち。

 

『リーダー!ワンテンポ遅いです!』

『バルカンにテンポもクソもあるか!』

 

バルカンシステムとイーゲルシュテルンが小型ELSを蜂の巣にする。

 

『なんとしても突破してコロニーレーザーを止める!お前ら気合い入れろよ!』

 

リーダーであるリットがフォースメンバー達に言った通り、シンヴァツ攻略に乗り出すテイクイットイージーの面々。後方にて防衛線を守っていたリット達だが、シンヴァツと木星帝国本隊がワームホールから出現した際、偶然近くにいた為否応なしに最前線組となってしまったのである。無論テイクイットイージー以外のフォースやソロ参加ダイバーの搭乗機もシンヴァツ攻略に動いているが、いかんせんこのレイドバトルのラスボスとラストウェーブに該当するため難易度が高い。

 

「生きてるかリット!」

『リンカも無事?』

『ミズキリか!』

『シゼちゃん!良かった・・・』

 

敵を示すマーカーが多すぎて仕事を放棄したレーダーでは味方の把握もままならない。そんな中でなんとか合流できたミズキリ&シゼとテイクイットイージー。どちらも機体の損傷はあまり目立たないが、手持ち武装を手放していたり固定武装が破損していたりと激戦を潜り抜けた事が見てとれる。

 

『ゴリ押しだろうが抜けてぶっ壊さなきゃヤバいぞ!トランザムは!』

「俺もシゼも残ってる!けどあの護衛を突破できてもジンクスじゃ火力が足りん!」

『こちらも似たような物ですね・・・ソルさんのインパルスは?』

『呼んだ?申し訳ないけど私のヘキサは足が遅いから途中で捕まる可能性大よ』

『こちらジョウチ!先に言っとくけど俺のフォルテストラも砲撃支援がメインだから、ソロでコロニー破壊は無理だ!』

『ポッシボーも同じく!内部の破壊は出来るだろうが止められるかは確約できん!そもそも常設ミッションのコロニーレーザーとは恐らく構造と耐久値が違う!』

 

エネルギーチャージに入っていると思わしきコロニーレーザーを前に攻略法が見付からない面々。そこへ最後に通信に混ざったのは機動撹乱担当のサダメ。

 

『サダメからミズキリさんとリーダーへ、俺とシゼで砲撃機を引っ張るのはどうだ?デスティニーインパルスなら一機連れて飛ぶ事も出来る』

『それしか無いか・・・シゼちゃん行けそうか?』

『行けるよー!シゼは誰を運べば良いの?』

『火力的にはジョウチ───後ろだ!』

『へっ?うぐぉあ!?』

 

ソルのブラストインパルスをサダメのデスティニーインパルスで、GNドールシゼでジョウチのバスターダガーLをシンヴァツまで高速輸送しての電撃破壊作戦に打って出ようとした矢先、襲い掛かる異形。要となるはずだったジョウチのバスターダガーを「掴んで」連れ去ったのは───

 

『ジョウチィィィィ!!』

「クッソ!ラスボスのお出ましか!」

『何あれ!?おてて!?』

 

キョウスケが危惧していた「左指」。光のカリストが操る【ユーリスディス・シニストラ・ディキトゥス】がテイクイットイージーとミズキリ&シゼの前に現れたのだった。一瞬のうちにジョウチのバスターダガーLを文字通り握って加速するディキトゥス。独自にフォルテストラを追加し剛性を増したバスターダガーLだが、それを上回るディキトゥスのパワーによって機体のあちこちから火花とスパークが散り骨が軋むような嫌な音が響く。

 

『油断した・・・チクショウ!』

 

コックピットのレッドアラートが機体の限界を告げ、一瞬遅れて爆散するバスターダガー。全員で生き残るというテイクイットイージーの目標は惜しくもここで潰えてしまった。

 

『仇は討つ!』

「その前に時間切れっぽいぞ・・・!」

 

闘志を燃やすリットだがコロニーレーザーのチャージが間も無く完了しかけている。ここまでなのか、その場の誰もが諦めかけた瞬間。

 

『諦めないで!』

『最後までやってみなければ分からんぞ!』

『FOEも向かってるはずだ!もう少しだけ持ちこたえてくれ!』

『無理矢理にでもレーザーは止める!シンヴァツ破壊の準備を整えるんだ!』

 

コロニーレーザーの照準先、砲身と地球の間に陣取る機体が数機。集まった機種を確認したミズキリはシゼと共に学んだ原作知識から「トンデモ」をやらかす気だと確信する。

 

『あれは・・・?』

「・・・無茶する気だな!レーザーは任せてこっちは突破だ!ジョウチ以上の火力を用意できるかどうかだな」

『───向こうに居る!』

『ちょっ、シゼちゃん!』

「俺が行く!手のバケモンにやられんなよ!」

 

何かを見付けたか、あるいは感じ取ったか、シンヴァツとは逆の方向に躯体を加速させるシゼ、それを追ってジンクスⅢを飛ばすミズキリ。ジョウチのバスターダガーLと同等かそれ以上の火力を用意できるというのだろうか。

 

『リーダー!シンヴァツが!』

『おいおい、本当に何とか出来るんだよなぁ!?』

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

リットの不安など露知らず、かのコロニーレーザーを本気で止めるつもりのダイバー達。シンヴァツの情報が出た時点で各々用意していた秘策を使うつもりらしい。ちなみに全員別々のフォース所属かソロなので面識は無かったりする。

 

『手伝って・・・!』

 

ナラティブ版フェネクスがデストロイモードに変身し

 

『たかがコロニーレーザー!ガンダムで押し返してやる!』

 

νガンダムのサイコフレームが共振し

 

『やるぞ!ユニコーン!』

 

ユニコーンガンダムのサイコフレームが緑色に輝き

 

『そそっかしいんだよお前ら!』

 

バンシィ・ノルンも黄金の輝きを放つ

 

祝え!人智を超え、技術者を泣かせる宇宙世紀のトンデモ素材、サイコフレーム搭載のガンダム!その勢揃いの瞬間である!他にも居るけど!

 

だが、そう簡単にいかないのがレイドバトル。ジョウチを握り潰し、他のダイバーも何人か犠牲となった光のカリスト搭乗のディキトゥスがコロニーレーザー発射の邪魔はさせまいと襲い掛かってきたのである。強敵の出現に若干動揺するレーザー阻止組だが───

 

「ポジションを崩すな!コイツは僕が!」

 

ディキトゥスの背後に迫る大柄なシルエット。赤いクリアパーツに光を宿し、有線式遠隔攻撃端末と強襲武装ユニットを欲張りセットで纏った機体。

 

「ミサイル!」

 

ナラティブガンダム、それも映像版に登場したABCそれぞれの装備仕様をスクラッチ込みで全て同時に装着、再現し、自分が使いやすいよう各部をアレンジした「フルウェポンナラティブガンダム」である。先んじてディキトゥスに向けて発射したスタークジェガンの大型ミサイルは回避されたが、続けて武装ユニットの連装ミサイルで逃げ場を奪っていく。

 

「軌道予測は出来ている!・・・射撃、今!!!」

 

サイコキャプチャーの先端から放たれるビームライフルと、バックパックの攻撃端末を射出せずにビーム砲としてそのまま使用した連続射撃を命中させるが、反転し正面を向いたディキトゥスのI・フィールドに阻まれてしまう。

 

「やはり射撃戦は決定打に欠ける・・・」

 

ディキトゥスの強力なI・フィールドに阻まれ、ビーム射撃はほぼ通じない。単体での最大火力である腰部メガ粒子砲も期待値は低い。となると連装ミサイル等の実弾武装かI・フィールドの張れない背中から攻撃を仕掛けるしかないが、普通に撃ったミサイルでは回避され背中に回ってもそうそうダメージは入れさせてくれないだろう。コロニーレーザーの発射も迫っている。となれば動きを封じ、格闘戦で仕留めるしかない。

 

「インコム!」

 

先程はビーム砲として使用した攻撃端末を本来の使い方である遠隔攻撃兵器として射出する。ディキトゥスからもそれは見えている為、容易く攻撃端末の軌道から逃れられてしまうが。

 

「本命はこっちだ!アームドビット!ジャマーファンネルも射出!」

 

なんとブースターと複合兵装ユニットを兼ねていたA装備部分と分離し、ディキトゥスに向けて撃ち出したのである。A装備にもC装備のキットから移植したサイコフレーム再現のクリアパーツが仕込まれており、本人がビットと呼んだようにこれもまた遠隔攻撃端末なのだ。さらにブースター付近のユニット後部からローゼン・ズールのサイコジャマーを改造したジャマーファンネルも全基射出し、ディキトゥスの軌道を妨害しつつキルポイントに誘導する。焦れたディキトゥスが攻撃端末──インコムからのビームを避けアームドビットを握り潰そうと急激に方向を変えるが、アームドビットのサイコキャプチャー部分が動いたのを認識して離脱を始める。

 

「もう遅い!キャプチャーモード!」

 

アームドビットのサイコキャプチャーとジャマーファンネルによる檻がディキトゥスを捕らえた。

 

「これも持っていけ!」

 

だめ押しとばかりにインコムの有線接続を解除し、原作にてNT-D状態のB装備が使用したキャプチャーモードも檻に追加するナラティブ。変形した状態のまま完全に身動きを封じられたディキトゥスにトドメを刺すべくビームサーベルを引き抜く。

 

「最大出力!」

 

左手に保持したビームサーベルに発振部溶解ギリギリのエネルギーを送り込み、ビーム刃を極限まで延長する。サイコキャプチャーやジャマーファンネルを破壊せず、かつI・フィールドに阻まれない位置から全力で振り下ろす。撃破は出来ずとも指の数本はいただいていく。はずだったが───

 

「馬鹿なっ!?」

 

爪のような部分から発振されたビーム刃がナラティブのサーベルを受け止めた。サイコキャプチャーに捕らわれた状態にも関わらず強引に機体を駆動させ、最大出力のビームサーベルすら止めてみせたのだ。やはりレイドボスは伊達ではないという事か。

 

「見くびっていたか・・・なら!」

 

動きを止めた事でELSも群がってきた。サーベルへのエネルギー供給を停止し、右腕に装着したハンドビームキャノンの射撃でELSを撃破しつつ離脱を始めるナラティブ。アームドビットに仕込まれていたサイコフレームパーツが、意思を持っているかの如く剥離し、ナラティブの元へ集まっていく。さらにアームドビットに指示を出して距離を離した。コックピットのディスプレイにやや短めのカウントが追加され、それがゼロになった瞬間ナラティブの背後に光が発生した。自爆装置である。

 

「倒せてはいないが、そこで寝ていろ」

 

アームドビットの爆発を後方に置き去り、機体周囲に分離させたサイコフレームを侍らせて飛ぶナラティブガンダム。目指すはレーザーを阻止せんとする機体の元。ディキトゥスとのチェイスで離れた距離を縮めるべく推進機関を全力で噴かす。

 

また、阻止組の周囲では様々な作品のガンプラとダイバーがELSと木星帝国機を押し留めていた。

 

『お嬢の不死鳥には指一本触れさせるなぁ!』

『どこの馬の骨とも知れん野郎がお嬢に触って良いと思ってんのかゴラァ!』

『ドラム缶に詰めて経済特区の港に沈めてやる!』

 

シェザール隊仕様のジェスタが七機、フェネクスに近付く敵を優先的に撃墜している。口振りからするにヤの付く自由業の方々に聞こえるが、フェネクスのダイバーの仲間でありフォースメンバーである。あとA.D.のダイバー達が怖がるからELSのドラム缶詰めはやめようね。他にもドートレス・ネオにバリエントといった新地球連邦の機体や、ウィンダムにエグザス等の地球連合製の機体、ヘビーガンやジムスナイパーⅡといった同じ宇宙世紀の機体も散見され、「連邦」のシリーズ違いに地球「連合」の違いはあれど地球軍機を操るダイバーが奮戦していた。

 

『連邦の雑兵に遅れを取るな!』

『雑兵ってかヤバい連中にしか聞こえないけどな!』

『やっぱり連邦軍はチンピラの集まり・・・』

『おっとそこまでだ』

『無駄口叩く暇があったら敵を墜とせ!』

 

ジェスタと背中合わせの形でELSを迎撃しているのはギラ・ズールやドライセン、ドラッツェ等のジオン系ガンプラを使うダイバー達。臨時のリーダーとなっているのは、珍しくビームライフルを装備した試作2号機 サイサリスと火星独立ジオン軍仕様のF90。どちらもジオンに奪われたガンダムである。

 

『後ろは俺達で守るぞ!』

『了解!』

 

地球軍組とジオン組がカバーしきれない部分のフォローに入ったのはテイクイットイージー。小型ELSやバタラ等を蹴散らしながら戦線に合流した。さらには───

 

『こちらビルドダイバーズです!援護します!』

 

この上ない援軍の到着。大文字の方ことBUILD DIVERSが前線から折り返して駆け付けたのだ。ダブルオースカイメビウスを駆るリクを筆頭とした歴戦のダイバーとして名を馳せる面々の到着に沸き立つ防衛線のダイバー達。ジェガンブラストマスターがELSを薙ぎ払い、モモカプルが有人機に体当たりしてバンシィやフェネクスから引き離す。そんな中でフェネクスの女性ダイバーに呼ばれるメンバーが一人。

 

『貴女とその子なら・・・来て?』

『えっ?わ、私?』

『お願い』

 

【RX-零丸 神気結晶】SDユニコーンを改造して製作された忍者風の機体の強化仕様とそれを操るくノ一姿のダイバー【アヤメ】。前線での戦闘で使用したのか支援メカの武装装甲八鳥・極と合体したリアル形態となっている。リクに通信を送りユニコーンとバンシィの間に陣取る零丸。アヤメがポジションに付いたのとほぼ同時にνガンダムのダイバーから警告が飛ぶ。

 

『来るぞ!皆退避してくれ!』

 

レーザーの射線から可能な限り遠ざかるダイバー達。残ったサイコフレーム搭載機がほぼ一斉に防御姿勢をとる。ユニコーンとバンシィのシールドが、フェネクスのアームドアーマーが、零丸の大苦無が、文字通りの盾として結界のように配置され、νガンダムのフィンファンネルがバリアを展開して結界を補強する。防げるのか、誰もが固唾を呑んで見守る中───

 

宇宙に一筋の光が流れた。

 

『νガンダムは伊達じゃない!!!』

『耐えろ!ユニコォォォォォォォン!!』

『やってみせろ!バンシィィィィィ!!』

『頑張って・・・フェネクス!』

『っくぅ!』

 

破滅の光を押し留める心の光。例えこの戦いがレイドバトルで、GBNというゲームであっても、その中のイベントであっても、たかがゲームでバカみたいに叫んでいても、今この場に集い本気で遊んでいるダイバー達の存在は偽りではない。この瞬間に全力を尽くしてゲームを楽しんでいるのだ、自分の【好き】のために。

 

『ダメ!止まらない!』

『サラ?』

 

拮抗しているように見えた光が薄れはじめ、サイコフレームの結界にも亀裂が見えるようになってきた。悲鳴に近い声で叫んだのはファーストELダイバーと目されるビルドダイバーズのサラ。ガンプラの声が聞こえるというELダイバーの特殊な感性が最悪の結末を予測してしまったのか。

 

『みんな行って!』

『でも!』

「僕が支援に入る!今のうちにシンヴァツへ行くんだ!」

 

レーザーに巻き込まれないよう、木星帝国の機体もELSも散開し特定の場所にしか集まっていない。突入ルート選択をさせてもらえる今こそ攻め時と判断したアヤメと見捨ててはいけないリク。そこにレーザーの射線を迂回し、サイコフレームを引っ提げたナラティブが到着した。侍らせていたサイコフレームを結界に回して補強し機体をフェネクスの横に付ける。

 

「君が鳥になるなら・・・」

 

その場にいるほとんどのダイバーが続く言葉を予想できた。

 

「僕も鳥になる!!!」

 

機体装甲に取り付けられているサイコフレームの色が赤から青い燐光へと変化するナラティブ。それを見たフェネクスがナラティブへと手を伸ばし、ナラティブもまたその手を握り返す。

 

『こっちも負けられない!』

 

さらにアヤメも零丸からサイコシャードを発生させ、薄れていたサイコフレームの結界が先程までよりも強く輝きを放つ。

 

『暖かい・・・』

『サラ、行こう!』

 

光を強め、より強固となった結界がコロニーレーザーを防いでいる。力強く暖かな人の心の光に強ばっていた表情を緩め笑顔となるサラ。リクもまたアヤメと他のダイバー達を信じてスカイメビウスをシンヴァツへと飛翔させる。この戦いを終わらせるために。

 

 

▽▲▽▲▽▲

 

 

『照射が止まった!敗北通知も来ていない!これが最後のチャンスだ!突撃ぃぃぃい!!!』

 

一気呵成とばかりにフルブラストしていくダイバー機。後の事など考えない、これが正真正銘最後の戦い。だが照射が終了した事によって集まってきたのはダイバーだけではなく、護衛の木星帝国機もまたシンヴァツ周辺に集結し防御を固めている。敗北を阻止しただけで敗北条件が消えた訳ではないのだ。一刻も早くシンヴァツを破壊、ないしは機能停止させなければならない。

 

「間に合っ・・・てはないか、けど暴れさせてもらうぜぇ!!」

『参ります』

 

アリムとユユ、そして最前線から舞い戻ったダイバー機も加わり熾烈な混戦となってきた戦場。その戦場を切り裂く流星、飛んでいるのは───

 

「シゼは海が好き、デブリサーフィンも楽しい!」

『セツは撃つのが好き、はっしゃ楽しい!』

 

セラヴィーⅡからそのまま移植されたGNバズーカをパージし、背中合わせの状態でセツのイクスリベイクを背負い加速を続けるGNドールシゼである。

 

「でも今日はチマチマ避けてばっかで」

『今日は全然はっしゃできなくて』

 

「『ストレス!!!』」

 

『何だ?強引に突破する気か?』

『あれ、火力の妖精?』

『援護しながら続くぞ!』

 

シゼとセツの後に続きシンヴァツとの距離を縮めていくダイバー達。矢面に立っているシゼとセツは───

 

「だからシゼと」

『セツで』

 

「『気持ちよくなる!!!」』

 

「『言い方!』」

 

ミズキリとモミジ、保護者と相方のツッコミが響く。

 

「トランザム・ビッグブルー!!」

 

成長したシゼが解禁した大海のトランザム。水と海をイメージした装甲色をさらに青く輝かせ、シンヴァツに突入するGNドールシゼ。木星帝国機の攻撃はGNフィールドで無理矢理防御しダメージにも目を瞑る、ELダイバーに群がってくるELSはスピードで振り切る。最後の戦いだからこそ後先考えずに切る事の出来た切り札である。

 

「回るよ!セツの準備は?」

『いつでもオッケー!』

「りょーかい!じゃあやるよ!」

『クアドラプルハモニカ砲!回転はっしゃー!!!』

 

セツを背負いトランザムによる強化状態のまま「回転」しながらシンヴァツへと突入したシゼ。かつてディバイダーで加速し、もう片方のディバイダーからハモニカ砲を乱射するという攻撃を行ったセツ。今回は回転と移動をシゼが担当し、セツはクアドラプルハモニカ砲をフルバーストし続けるという戦法に打って出たのである。

 

《タンデムサーフィンで銀色の波に乗るだけさ、お前なら簡単だろ?》

《ちびっこに任せるよ。何の成果も上げられませんでしたー!とか言ったらただじゃおかないかんね》

 

それぞれ送られた言葉を胸に、ELSシンヴァツの中を駆け抜け、撃ち続けるシゼとセツ。既に数体の小型ELSがハモニカの弾幕をすり抜けGNドールシゼとイクスリベイクに突き刺さり、侵食を始めている。そんな事に構っていられないと一切スピードを落とさないシゼ。シンヴァツの前半分は通り過ぎ、ハモニカ砲によって焼き切られた内部構造から外の景色が見え隠れしている。このまま最奥まで突っ切れるかと思われたが、二人の感覚が何かを捉えた。

 

「セツ!」

『うん、奥に何かいる!』

 

コロニーレーザー最奥で侵入者を待ち受けているのは、下半身の無い、厳密には腰から下がコロニーと一体化している偽神「ELSディビニダド」。これがシンヴァツ最後の砦にしてレイドバトル最後のギミック。頭頂部をシゼに向け、メガ粒子砲を発射するつもりのディビニダド。

 

『曲がる?』

「まっすぐ!」

『分かった!』

 

トランザムの効果時間は限界寸前、射撃を続けたディバイダーも溶解しかけている。下手に回避するよりこのまま突撃した方が良いと判断したシゼは加速を止めず、セツもハモニカ砲を収めない。トランザム・ビッグブルーとは別の必殺技を発動させ、真っ向から突っ込むシゼ。その技の名は───

 

「サブマジェット・・・ブレイク!!!」

『いっけー!!!』

 

AGE-FXを彷彿とさせる青い流星となるGNドールシゼ。その必殺技の発動とほぼ同時に放たれるメガ粒子砲。一瞬だけ拮抗した両者。打ち勝ったのは

 

 

シゼだった。

 

『しぜぇ・・・セツぐるぐるげんかい・・・うぇっぷ』

「シゼも、ギリギリかな・・・はきそう・・・」

 

コロニー底部から生えていたディビニダドを文字通り貫き、内部から宇宙へと飛び出したシゼとセツ。高揚したテンションで誤魔化していたが、機体のダメージとパイロットの酔い等色々と限界だった。慣性で流れていく二機を何とか押し止めたのはジンクスとハイザックの改造機。

 

『お疲れさん。だいぶシケた波だったみたいだな』

『やるじゃん、ちびっこ』

「みずきり・・・たたかいは?」

 

機能停止したシンヴァツの方をジンクスⅢの視線で示すミズキリ。

 

『もう終わるよ』

 

 

▽▲▽▲▽▲

 

 

所詮はNPD。人の操る本物でなければ原作のカリストという訳でもない。だが思考があれば間違いなくこう思っただろう。

 

何故こうなった、と

 

ナラティブの攻撃によって損傷しながらもまだ動ける様子のディキトゥスだったが、切り札だったシンヴァツは停止し、破損した自分の前には絶望が待っていた。

 

戦争の

紅き桜の

空を超えた

無限の

 

【トランザム】

 

ゲニーアルケーに、ファイルムに、オーバースカイに、スカイメビウスに斬り刻まれていくディキトゥス。如何に強力なI・フィールドでも正面に居なければ無意味。満身創痍となった左指と時を同じくして右指も追い詰められていた。

 

円卓の騎士と黙示録の騎士

質量を持った残像

稲妻の弾幕

怒れる幽霊

貴き髑髏の機人

 

「ハッハッ!ハァッハッハハハ!さようなら!」

 

別れを告げるビームサーベルが右指の背後から突き刺さったのだった。

 

そして左指の前には更なる悪夢。

 

『トランザム・ブースト、ツヴァイアクセル!』

 

ヴァルガの災厄が絶望の輝きを纏い剣を構えていた。

 

地球外生命体を巻き込んだ木星帝国の野望はここに打ち砕かれたのだった。

 

【Battle Ended】

【Winner:Player Teams】




アフター&???編に続く
長くなりますが次でレイド回ラストです。

【バシュタ】
ナラティブガンダムに搭乗していたダイバー。
ダイバーネームの通りヨナ・バシュタをイメージしたダイバー。ナラティブをこよなく愛している。
実は個人ランキング101位という魔窟の猛者。


【ゲスト参戦】

【守次 奏 様】
キョウスケ&ディバインダブルオークアンタ
ユユ&G-イデア

【青いカンテラ 様】
イオリ&ガンダムトリスタンサファイア

【二葉ベス 様】
フォース 春夏秋冬
ハル&ガンダムファイルム
ナツキ&ガンダムアストレイ オーバースカイ
モミジ&ハイザック・バトルスキャン
セツ&ガンダムイクスリベイクフルディバイダー

【原作 ガンダムビルドダイバーズRe:RISE】
フォース ビルドダイバーズ
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