鬼滅の刃 雪華ノ乙女   作:アウス・ハーメン

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柱合裁判すっ飛ばして蝶屋敷編になります。

今回、すこーし不死川さんなど一部に対して辛口です。

不死川さん好きの方は若干閲覧注意でお願いしますm(__)m


第14話 蝶屋敷での日々

 私が目を開けると、最初に飛び込んできたのは最早馴染みのある場所、隊士たちがその身に負った傷を癒すための場所、蝶屋敷の天井であった。

 

「私……なんで……」

 

「よかった、目が覚めたのね!」

 

「カナエ……さん……?」

 

 次に目に入ったのは、元花柱でこの蝶屋敷の主、胡蝶カナエの目一杯に涙を浮かべ、自身を心配そうにのぞき込む顔であった。

 

「カンナちゃん、3日も眠ってたのよ。心配したんだから」

 

「3日……ハッ!」

 

 カナエさんの言葉で私は、あの那田蜘蛛山で十二鬼月の1体、下弦の伍の累を斃した後の事を思い出した。

 

―――――

―――

 

 下弦の伍、累を斃した後、炭治郎はその身に水の呼吸からヒノカミ神楽の呼吸に無理やり切り替えたことによる反動でその場に倒れ伏してしまった。

 

(くっ、体が思うように動かない、呼吸を乱発しすぎたせいだ……家に伝わる神楽で、なぜ技が出せたのかはわからないけど……でもそのおかげで勝てた、だけどまだ……戦いは終わっては……伊之助を助けないと……)

 

「炭治郎!」

 

 その炭治郎にカンナは慌てて駆け寄るが。

 

「あっ!」

 

「カンナさん!?」

 

 カンナも脚を縺らせて倒れてしまう。カンナも先に漆ノ型を使った反動が容赦なくその体を襲っていたのだ。

 

「くっ! 落ち着いて……呼吸を使って……少しでも疲労を……」

 

 それでもどうにか立ち上がろうと、自身の呼吸を整え少しでも疲労を緩和しようと試みるも、すぐさま地面にへたり込んでしまう。

 

(くっ、漆ノ型を使った反動が、これほどまで私を阻むなんて……こんなんじゃ、全然大師範にも師範にも、姉さんにだって追いつけや……しない……こんなんじゃアイツを……姉さんを殺した鬼なんて、倒せやしないじゃない!)

 

 疲労で蹲るカンナの脳裏には、死ぬ間際の姉の姿が浮かんだ。

 

『カンナ……』

 

『お姉ちゃん! お姉ちゃんしっかりして!』

 

 カンナの腕の中で、どんどんと命の火が消えていく彼女の姉、つばき。カンナ自身既に分かっていた。つばきは、自身の姉はもう助からないのだということが。

 

『カンナ……私の最後のお願い……聞いてくれる……?』

 

『何でも聞く! なんでも聞くからお姉ちゃん……私を……一人にしないで……!』

 

 遺された力を振り絞って、つばきはカンナに告げた。自身の最後の望みを。

 

『鬼殺隊を……やめなさい……』

 

『お姉……ちゃん……?』

 

『カンナには、普通の人生を歩んでほしい……どこにでもいる……普通の女の子の人生を……好きな人に出会って……結婚して……子供を産んで……おばあちゃんになるまで……生きてほしいの』

 

 しかし、つばきの最後の望みは。

 

『いや……いくらお姉ちゃんの言葉でも、それは聞けない! 家族をみんな殺されて、それでそんな風に生きるなんてできるわけない! 言って、お姉ちゃん! 誰がお姉ちゃんをこんな目に合わせたのか!! お姉ちゃんをそんな風にした鬼は、誰なの!?』

 

 終ぞカンナには届かなかった。

 

『〝私たち〟を襲った鬼は……虹色の両方の瞳に……それぞれ〝上弦〟と〝弐〟と刻まれていたわ……白橡色の髪に頭から血を被ったかのような模様が描かれていた……』

 

『それって……まるで……』

 

『ええ、その姿は導磨君に……瓜二つ……でも、その気配は間違いなく、鬼そのものだった……』

 

 その言葉を最後に、つばきは事切れた。

 

 

 

(私の姉を殺した鬼……こんなんじゃ……〝上弦の弐〟には到底届かない……ふざけるな! 今日まで私は、死に物狂いで鍛錬してきたんだろ!? この程度で、動けなくなんてなるな!! 高々漆ノ型を使ったくらいで、下弦の伍との戦いくらいで……)

 

 カンナは、かつて自身が感じた悔しさと悲しさをバネに再び立ち上がろうと必死になるが、それでもまったく体に力が入っていかず、また地面に倒れ伏してしまう。

 

(なんで……どうして動いてくれないの!? 姉さんの想いを踏みにじった私への……罰だとでもいうの……ねぇ、なんで……なんで!)

 

 カンナの頬を涙が伝う。今日までカンナは文字通り血反吐を吐くほどの鍛錬を積んできた。全集中、常中すらも身に着けた、より多くの鬼を滅しても来た。

 陸ノ型までしかなかった雪の呼吸に、自分だけの漆ノ型を編み出した。

 それでもまだ全然、自分は死んだ姉にも自身の師範たち、柱にすら届かない。カンナは悔しかった。自分はまだこの程度なのだと思い知らされるのが本当につらかった。

 

(カンナさん……なんて、悲しい匂い……)

 

 そんなカンナの心情を、炭治郎は匂いで感じ取った。

 だが、カンナの心配をしている暇は炭治郎にはなかった。

 

「おやおや、大丈夫ですか~?」

 

 突如、炭治郎とカンナの間に割って入るように、恰も蝶が舞い降りたかのような静かさで、一人の小柄の女性が降り立った。

 

「全く、カンナさん無茶しすぎです」

 

「しのぶ……さん……?」

 

 その女性は、現鬼殺隊蟲柱、胡蝶しのぶであった。

 

「全く、まだ完全ではない漆ノ型を、そんな状態で無理やり使ったんですね。言ったはずですよ? 私も姉も無茶はしては駄目だと」

 

 しのぶからの指摘にカンナは押し黙る。

 

(全く……敵わないわよ……しのぶさんには)

 

 冷静になった頭で再度カンナは今回の戦いを思い返してみれば、さすがに今回は無茶をしたという自覚があったため、カンナには言い返す言葉がなかったのだ。

 

「そこの坊や、それとあなたが庇っているのは鬼ですね?」

 

「ハッ!」

 

 カンナとある程度言葉を交わした後、しのぶは今度は炭治郎の方を向いてそう静かに口にした。

 一方の炭治郎はしのぶの言葉にハッとなり。

 

「俺の、妹なんです!! 確かに鬼だけど、禰豆子は違います! いや、違わないか……けど!」

 

「あぁ~落ち着いて、落ち着いてくださ~い。深呼吸ですよ深呼吸、事情はある程度伺っていますから大丈夫です。採って喰いはしませんよ」

 

 慌てて事情を説明しようとするが、よほど慌てていたためかしどろもどろになりうまく言葉を紡げない。一方のしのぶはそんな炭治郎を落ち着かせるかのようにそう諭した。

 

「けれど竈門炭治郎君、貴方が行ってることは隊律違反になります。怪我が結構酷いようですが、貴方はこれから鬼殺隊の本部で、裁判を受けねばなりません。でも大丈夫です。御館様は貴方方の事を把握しておりますし、事前にカンナさんとあなたと同門の水柱、冨岡さんとあなたの師、鱗滝さんからの調査報告と陳情もありますから悪いようにはなりませんよ。まぁ、多少他の柱の方々からはお小言をもらうかもしれませんが、それは鬼を連れてることでの当然の結果だと思ってください」

 

「あ、はい」

 

 しのぶの説明に炭治郎はぽかんと言った顔になりただ粛々とその言葉に耳を傾けるだけであった。

 

「それでは、もうすぐ隠の方々もいらっしゃいますし、炭治郎君と妹さんは一度本部へ、カンナさんは……これでは同席は無理でしょうから蝶屋敷の方へ行ってくださいな。あ、それとこの山にいた鬼は、先ほど残る2体の鬼も退治して全滅しましたので、どうか安心してください」

 

 しのぶはそう言い残すとその場から姿を消し、しばらくするとしのぶの言ったとおり、鬼殺隊の後方支援部隊である隠がこの場にやって来て、炭治郎及びカンナを抱えて、炭治郎は一度鬼殺隊の本部へ、カンナは蝶屋敷に運ばれることとなったのだ。

 

―――――

―――

 

「それで……私は運ばれてる最中に気を失って、結果3日もこうして寝てたというわけですか」

 

「そうなるわね~」

 

 本当、まだまだ修行が足りないと私は自嘲気味にため息一つこぼしてそう言った。

 

「あ、でもちゃんと女の隠の人にカンナちゃんは運ばせたわ」

 

「ハァ……でもなぜ?」

 

「なぜって……どこの馬の骨とも分からない男(ヤロー)にカンナちゃんのきれいな肌を触らせるわけねぇだろって話だからよ~」

 

 今、いろいろ物騒なこと言ってなかったかこの人は。やっぱりあのしのぶさんのお姉さんだなと私はまた、今度は違う意味で溜息がこぼれた。

 一見ホンワカしてるようでその本質はやはり姉妹で、似てるところは似てるのだなと私は改めてこの胡蝶カナエという人物を見てそう思った。

 

 

 

 とにかく目を覚ました後、私はカナエさんが持ってきてくれた食事を一通り平らげる。食事の内容は基本、消化の良いお粥を中心として、所謂典型的な病院食だった。

 食事を終えた後、やはり私も怪我人、病人の類なので決められた用量の薬を飲む。

 

「うっ……」

 

 しかし、そこは薬、良薬口に苦しという言葉の通り、めちゃくちゃ苦かったが頑張って飲み干した。

 食事も薬の服用も終わった私はカナエさんに那田蜘蛛山での戦いの後の事を聞いた。私はあのあと3日も眠っていたこともあって、仔細の内容を把握していなかったので、できるなら知っておきたかったのだ。

 それ以上にあの後鬼殺隊の本部で裁判にかけられたという炭治郎、禰豆子の竈門兄妹の事が特に気になって仕方がなかった。しのぶさんは那田蜘蛛山で会ったときの炭治郎への言葉から、一応は事情を事前に把握していてくれてたようだったが、他の柱たちはその限りではないだろう。特に鬼を激しく憎む不死川さんや伊黒さん当たりは正しく、この鬼殺隊という組織それ自体が抱える悪癖其の物ともいえる人たちだ。簡単に竈門兄妹たちを受け入れるわけがない事は容易に想像がついた。

 そして、私の懸念は案の定出当たっていた。

 

「那田蜘蛛山での戦いの後、炭治郎君だったわね? それと禰豆子ちゃん……あの子たちの裁判が行われたんだけどね」

 

「大体は想像がつきます。おそらくはほとんどの柱たちは炭治郎及び禰豆子の処分を求めたのでしょう?」

 

「ええ」

 

 カナエさんは元は花柱とはいえ、今はそれを引退してるため直接裁判に顔を出してはおらず、あくまで現蟲柱である妹のしのぶさんからの伝聞だと前置きしたうえで炭治郎たちの裁判の仔細を教えてくれた。

 案の定ほとんどの柱たちは炭治郎と禰豆子の処分を求めていたらしい。炎柱の杏寿郎さんと音柱の宇随さん、岩柱の悲鳴嶼さん、拳柱の拍治さんは御館様の到着を待たずの処分を口にし、伊黒さんもそれに賛同、事情を知るしのぶさんと鋼柱の厳鉄さんは一応は炭治郎たちの弁護に回ってはいたが、それでも基本中立の立場を取り恋柱の甘露寺さんと、私の師範は御館様の到着を待つべきと主張したという。

 なお霞柱の時透君は興味なさげに空を見るばかりで会話に入らず、炭治郎と同門でしのぶさんと同じく事情を知るはずの水柱の冨岡さんは……そもそも役に立たないのは私も分かっていたので冨岡さんが何をしたかは聞かなかった。

 だが一番の問題児は他でもない。

 

「不死川さんは白洲の前に禰豆子ちゃんの入ってる箱を強引に隠の人から奪い取っちゃってね」

 

「まさか、刀で禰豆子ごとぶっ刺したとか……」

 

「その……まさかなのよ……」

 

 何やってんのよあの風柱はと私は一瞬、また昏倒しそうになった。

 

「ちなみに、他の柱の皆さんはそれを止めに入らなかったんですか?」

 

「しのぶはちょっと怒ってたらしいけどね~」

 

 分かってはいたが念のために聞いた私の問いにカナエさんは困ったようにそう答えた。

 つまり、柱の皆さんは誰も不死川さんの暴走を止めることがなかったということだ。私はそれを聞いて本当、不貞寝でもしてやろうかと思ってしまったくらいだった。

 私も決して人の事は言えない。そもそも炭治郎の妹の禰豆子を私も初対面の時には問答無用に頸を墜とそうとしたのだから。

 だが、私の場合はまだ鬼殺の範疇だし、そもそも基本的に鬼となった人間は自分の身内だろうと見境なく人を喰らうという習性がある。禰豆子のような例の方が本来は希有なのだから被害を出さないためにそうするのは半ば当然のことでもある。

 だが、今回炭治郎らを裁判にかけるという決定をそもそも下したのは誰であるのか、普通に考えれば柱にでもなっているのならばわかって然るべしだし、不死川さんのような行動が許されるのならそもそも裁判の意味すらない。

 本当は師範や甘露寺さんが言った通り御館様による白洲を黙って待つのが基本なのだ。だからこそ、杏寿郎さんも宇随さんも悲鳴嶼さん、拍治さんも最初こそ自分たちで処理すべしと口にこそしても、甘露寺さんの言葉の後は御館様を待つべきという考えに至り何もせずにいたのだろう。

 

「まぁ、不死川君は情熱的な子だし~」

 

「それで庇い立てする話じゃないですよ。隊律云々以前の問題ですそれは……」

 

 最も今回の件があまりに鬼殺隊という組織の想定を超えていたということもそうした杜撰な裁判の状況となってしまった原因だとは思うが、それでも一度、特に柱の皆さんは念入りに鬼殺隊の隊律、それ以上に常識というモノを勉強しなおすべきではないかとそう思ってしまうほど、今回の炭治郎らの裁判の話は頭を抱える事ばかりであった。

 

「それで、結果はどうなったんですか?」

 

「一応御館様の計らいで、炭治郎君と禰豆子ちゃんの事は鬼殺隊の公認となったわ。カンナちゃんも、そのことに一口噛んでいたのよね?」

 

「ええまぁ、あと真菰さんもですね。そうでなかったら全くの骨折り損でしたよ」

 

 とはいえ、私が先に御館様の密命により調査した禰豆子の仔細報告が裁判では取り上げられ、一応は禰豆子の件は御館様自ら公認ということとなったらしいので安堵した。

 加えて炭治郎の師の鱗滝さん及び冨岡さんが事前に炭治郎の件で御館様に陳情も出してたらしくそれらも踏まえてとのことだったとも言う。なお、不死川さんはそれでも受け入れがたく、自らの手で鬼の醜悪さを証明してやると息巻いたらしいが、私の調査報告書が出た時点で赤っ恥をかく形になってしまったようで、以後は素直に引き下がったとのことだ。

 

「それで、裁判後は炭治郎たちもここに?」

 

「ええ、怪我がひどかったしね、しのぶの判断で」

 

「そうですか……」

 

「なんなら、会いに行く?」

 

 カナエさんがそういった直後。

 

まずいモノはまずいんだよ!! クッソ苦いの! クッソ辛いのコレ飲むの!!

 

善逸、いいから静かにしてくれ! 他の隊士の人に迷惑だろ!?

 

ゴメンネ……弱クッテ……

 

伊之助! お前は頑張ったって! 自信を持て!

 

 きわめて元気そうな3人の声が聞こえて。

 

「いえ、今は遠慮しときます。極めて元気そうですから」

 

「そう……わかったわ……」

 

 カナエさんが引くくらいのものすごく怖い笑顔で私はカナエさんからの申し出を断ったのだった。

 

 

 

 

 

 それからしばらくはカンナも先に蝶屋敷に運ばれた炭治郎たちと同じく療養の日々を送ることとなった。なお、カンナにとってはろくに体を動かすことのできない療養の日々は退屈極まりないモノであったが。

 

「カンナ、よかった、元気そうで」

 

 お見舞いに来る真菰や色々と愚痴を言いに来るしのぶなどの友人たちのおかげで幾分かそれらは和らげられていた。

 そんな中でしのぶは先の炭治郎らの裁判の後に行われた柱合会議で上がった議題に関してカンナに話したのであった。

 

「そうですか、やはり……」

 

「はい、先の那田蜘蛛山での仔細報告を聞く限り、隊士の質が相当に落ちているのが決定的になりました。柱合会議の議題はそれが中心で」

 

「それで、あの人……村田さんって言いましたね? その方も仔細報告に呼ばれたと」

 

 カンナは自身の病室の外の廊下をとぼとぼと歩く男性隊士を指さしそう言った。

 

「はい、まぁ……不死川さん曰く、育手の目が節穴なのではとか、拍治さん曰くまともに育手が隊士を育てられていないのではないのかとか、まぁ村田さんにあれやこれや詰め寄るのは違うとは思いますけど会議の場でもそういう声は上がりましたから、それで結構村田さんは揉まれちゃったみたいで」

 

 まぁ、それはそうだなと前半部分はカンナはしのぶの言葉に同意したが、後半はむしろ不死川と拍治の言葉の方に同意を示した。

 

「まぁ、村田さんを責めるのは違うと思いますけど、隊士の質が落ちてる件に関しては不死川さん、拍治さん両方の意見に賛成ですね。実際先の最終戦別、20人近くが参加していたにもかかわらず、突破できたのはその5分の1……元から狭き門とはいえ、あまりにも結果を見る限り酷いモノです。それにそれ以前に選別を突破した隊士ですらも伝え聞く話では全集中の呼吸すらまともに使えない者が多いと聞きますよ?」

 

 カンナの言葉にはしのぶも同意せざるを得なかった。それ以上にこれらの問題はそもそも鬼殺隊という組織、それ自体が抱える根本の問題も絡むものであった。

 鬼という人智を超えた存在と戦う以上に、鬼殺隊は飽くまでも産屋敷という一つの家の財と権威を基に成り立った政府非公認の組織だ。それゆえに人材の確保が容易には行えず、しかも折角確保できた人材すらその多くは鬼との戦いでほとんど失われることが常だ。柱ですらほとんど鬼との戦いの中で殉職してしまうくらいである。

 それゆえに後進を育成でき且つ、育手上げられるだけの人間というモノがそもそも育ちづらい状況にある。

 

「鋼柱様は、この事態を打開するためにも政府に働きかけを行い、鬼殺隊を政府公認の組織に召し上げ、継続的に人材を確保できるようにすべきではと提案なされましたが」

 

「御館様は難色を示されたと……」

 

「はい……」

 

 この事態を打開したいのなら、この国の政府に働きかけ、鬼の実態を説明したうえで政府公認の組織に鬼殺隊を召し上げ、様々な関係機関などから人材を融通してもらうのが最も有効な手だ。カンナも鋼柱である厳鉄の提案は実に利にかなっていると舌を巻いたが、御館様こと産屋敷耀哉はそれにはなぜか難色を示しているとしのぶは口にする。

 

「まぁ、鬼の存在を政府が受け入れてくれる保証がないから、御館様が難色を示されるのは無理ありませんが」

 

「しのぶさん、でも政府に鬼の存在を認めさせるなんて容易なことではありませんか? 我々鬼殺隊の護衛を付け、安全を最大限に配慮したうえで最終戦別の行われる藤襲山を案内させればそれで済むはずです。御館様が難色を示されたのは、それとは別の理由があるのでは?」

 

「かもしれませんが……」

 

 ともかく、御館様が鋼柱の提案を受け入れられない以上は、他の方法でどうにかする他はないが他に有効な手が思い浮かぶはずもなく、結局先の柱合会議でも結論は出ないまま棚上げになったと最後にしのぶはカンナに語りその日はカンナの下を後にした。

 

 

 

 それからさらに月日は経ち、カンナや炭治郎らの体力が戻り始め、いよいよここ蝶屋敷での療養生活の終局、〝機能回復訓練〟の時がやってきたのであった。

 

つづく

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