Serenade of azure   作:yurarira

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元ができているのに更新をしないこの感じどうにかならんものか、、、。
お休みの前日とかに、ゆっくりでしかできないんですよねえ…。

ううむ、時間の使い方が下手人間辛い。


勘違いのagitazione ~「見てください、この力こぶ」~

Kahoko side

 

 

 

 

 

 

名前も知らない彼に助けて貰ってから、

1週間ほど経ったある日。

 

私は、深くため息をついた。

 

 

 

 

 

「……はあ…」

 

 

 

 

…実は、あれから1度も彼を見かけないのだ。

 

駅前や校内でそれとなく探してるんだけど…。

なにかお返しをしたいのに……。

 

 

やっぱり学科が違うと、

ほとんど会わないものなんだなあ…。

 

まあ、そうよね。

今まで普通科との関わりもほとんど無かったんだもの…。

 

 

 

 

「……………はあ」

 

「まーたため息ついてる。もう何回目よそれ」

 

「真奈美…」

 

 

 

 

ふっと視線をあげると、

そこには笑みを浮かべた真奈美の姿。

 

 

 

 

「なーに悩んでるのかな、香穂子ちゃんは」

 

「…からかってるでしょ、真奈美」

 

「ふふ、バレた?

 そんな分かりやすく悩んでるの珍しいからつい。

 それで?どうしたの」

 

「……彼と、会えないの」

 

「彼?…あー、もしかして助けてくれたとかいう人?」

 

 

 

 

彼女の言葉にこくりと頷き、窓の外に目を向ける。

 

彼は…見当たらない。

 

 

 

 

「同じ学校なんだっけ?」

 

「らしい…けど」

 

「普通科でしょ?クラスは?」

 

「……」

 

 

 

 

ふるふると首を横に振る。

 

 

 

 

「……名前は?部活とかは、やってるの?」

 

 

 

 

今度は少し強めに首を横に振る。

 

 

 

 

「…分かるのは、見た目だけ、ね。

 それじゃあさすがに厳しいわよ」

 

「…分かってるわ。だから、困ってるんじゃない」

 

 

 

 

再び、はあ、とため息をつく私に、

真奈美はまあまあ、と笑いながら鞄を手に取った。

 

 

 

 

「一度帰り道で会えたんだから、

 きっとまたばったり会えるわよ」

 

「…うん」

 

「ほーら、そんな気落ちしないで。

 甘いものでも食べて帰りましょ」

 

「…うん、そうね。ありがとう真奈美」

 

 

 

 

やっと表情を和らげた私に、

真奈美は笑顔を返すと出口へ向かい…、

 

不思議そうに振り返る。

 

 

 

 

「香穂?なにしてんの、置いてくよ?」

 

「…え?だってまだHRが…」

 

「とっくに終わってるわよ?

 …やだ、そんなに呆けてたの?」

 

「うそ!?」

 

 

 

 

慌てて周りを見ると、…確かに。

私たち以外、既に誰もいない。

 

 

 

 

「ごめん、真奈美!帰ろっ」

 

「もー、しっかりしてよ?

 そんなにぼけっとしてると、

 そのうち雄一が離れなくなるわよ?」

 

「…………雄一も、さすがに、そこまでは…」

 

 

 

 

……無い。とは言いきれないのだけれど。

 

 

苦笑をこぼしながら靴を履き替える私に、

真奈美はつま先をとんとんと合わせながらため息をひとつ。

 

 

 

 

「アイツはやるわよ。絶対にあの男はやる。

 香穂の為ならなんだってやるのが雄一だもの」

 

「…なんでもは怖いからいいわ……」

 

「だったら、あんまり心配かけさせないこと。

 雄一もだけど、みんな不安になっちゃうのよ」

 

「…うん、わかった。ありがとう、ごめんね?」

 

「分かったならよし。さて、帰ろっか」

 

「うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…それで、その時雄一驚きすぎてさ」

 

「うん」

 

「階段からずり落ちたのよ?

 ホント妙に格好のつかない男というか、

 からかい甲斐があるというか」

 

「ふふ。雄一って驚いた時のリアクションが大きいものね。

 でもそれ、怪我とかは大丈夫だったの?」

 

「うん。まあアイツは丈夫だしね。

 ああでも、肘は軽く擦りむいてたかも」

 

「…ああ。だから、可愛い絆創膏してたんだ」

 

「えっ、なにそれ見たかった!」

 

「ファンの人に貰ったんだろうなーて柄の。

 可愛い絆創膏だね、って言ったら

 すぐに取っちゃったんだけど」

 

「そりゃ、香穂に言われちゃあね…。

 アイツ妙にモテるわよねえ。どこがいいんだか」

 

 

 

 

呆れたようにため息をつきながら、

真奈美は苦虫を噛み潰したような顔で呟く。

 

 

 

 

「そう?

 雄一結構カッコイイし、気遣いもできるからじゃない?」

 

「…ホントに相手のことを思っての気遣いなのかは

 かなり怪しいけどね、アイツの場合」

 

「えっ?」

 

「なんでもなーい。

 それより香穂、雄一にカッコイイなんて言っちゃダメよ」

 

「どうして?」

 

「絶対調子に乗る」

 

「乗らせちゃまずいの?」

 

「まずいわよ。ただでさえ香穂香穂香穂香穂うっさいのに」

 

 

 

 

真奈美はさっきよりも深くため息をつく。

 

…クールだなあ。

 

 

真奈美はいつも、周りが見えている気がする。

 

周りの人の感情や、私情に振り回されてしまう私と違って、

その人その人にとって

いい解決策を選べる目を持っているというのか。

 

 

 

…かっこいいなあ、と思う。

 

私も真奈美みたいになりたい、と言ったら

みんなに香穂子はそのままで、と止められた。

 

 

……確かに私はどっか抜けてるし、

真奈美みたいに完璧じゃないけど………むう。

 

 

 

 

「………」

 

 

 

 

少し口を曲げつつ真奈美を見ると、

なぜかどこか厳しい顔をした彼女に開きかけた口をつぐむ。

 

 

なにかを堪えるような…誰かを、憎むような。

 

 

 

 

「…真奈、美……?」

 

「……ん?どしたの、香穂」

 

「…な、んでも、ない…」

 

 

 

 

こちらを向いたのはいつもの表情。

 

…気のせい、かな。

 

 

 

 

「変な香穂。まだ本調子じゃないんじゃない?」

 

「えっ、そ、そんなことないよ?」

 

「どもるあたり怪しいなあ。香穂はすぐ無理するんだから」

 

「そ、そんなことな…ひゃっ」

 

 

 

 

額に少しひんやりとした手が当てられ、

私は軽く目をつむる。

 

 

 

 

「…うーん、確かに熱はないみたいだけど…」

 

「本当に、大丈夫だから。みんな私に過保護すぎよ」

 

「…………」

 

 

 

 

真奈美の複雑そうな視線は…きっと気のせい。

 

そして笑顔を浮かべた私の視界の片隅に、

なにかが横切った。

 

 

 

 

「……あれ?」

 

「ん?どしたの、香穂」

 

「…気のせいかな。今……」

 

 

 

 

空色が、見えた気がした。

 

 

 

真奈美の戸惑う声もそのままに、私は辺りを見渡す。

 

 

元気いっぱいに走る小学生。

 

ベビーカーを押す綺麗な女の人。

 

忙しそうなサラリーマン。

 

ストリートバスケをする男の人たち。

 

 

……男の人たちをよく見てみるけど、

空色の彼は見当たらない。

 

 

 

 

「香穂?」

 

「…今、あの人が見えた気がしたの」

 

「えっ?あの人…って香穂が探してる人でしょ?

 蓮より薄めの空色の髪と目だっていう…」

 

「…うん」

 

「見渡す限りそんな人居ないけどなあ…。

 もっと髪色目立つ人は居るけど」

 

「…見間違い……だったのかな」

 

「多分ね。だって見当たらないもの」

 

 

 

 

真奈美は苦笑しながら、帰ろうと私をうながす。

 

 

……確かに、見えた気がしたのに。

 

 

私は諦め悪く、

ストリートバスケをしている集団を振り返った。

 

 

そして―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ………!?」

 

「ちょっと、香穂!?」

 

 

 

 

次の瞬間、私の足は自然と走り出していた。

 

 

やっぱり、見間違いなんかじゃなかった…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Manami side

 

 

 

 

 

 

声をあげたかと思うと、急に走り出す香穂。

 

 

 

 

「ちょっと、香穂!?…どうしたのよ、もう…」

 

 

 

 

お世辞にも足が早いとは言えない香穂とは

思えないくらいのスピードで、

あっという間に遠ざかっていく彼女にため息をひとつ。

 

 

…全く。どうしたっていうのよ……。

 

 

見た感じ、香穂子は

ストリートバスケをしている男の集団の方へ

向かっているみたい。

 

黄色や、赤色の目立つ髪色のヤツなら居るけど

空色なんていないのに……。

 

 

 

 

「……って、ちょっと待って」

 

 

 

 

男の…集団………?

 

 

 

 

「――ああっ!!?か、香穂待って!!」

 

 

 

 

原色の髪の奴らは知らないけど、

他の奴らはここから見ても分かる。

 

明らかに、面倒事吹っ掛けてきそう…!!

 

 

ただでさえ巻き込まれ体質のあの子が、

あんな男たちのところに行ったら、

絡まれるのはきっと必須。

 

 

 

 

「…ったくもう!!本当に、あの子は…!」

 

 

 

 

私は慌てて香穂を追う。

 

どうか今からでも間に合いますように。

と、恐らく叶わないであろう願いを抱きながら…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Kahoko side

 

 

 

 

 

「っは…はあっ…はあ…っ」

 

 

 

 

うう…私体力無さすぎ…。

 

こんなに走ったの、久しぶりだから…。

 

 

 

胸に手を当て、息を整えながらコートを見ると、

どうやら試合は終わったようだった。

 

…そして何故か、黄色と赤色と、空色の彼以外の人が、

腰を抜かして座り込んでいる。

 

 

 

……???

 

 

未だに荒い息を整えながら首を傾げる私の方に、

彼らが歩いてくる。

 

 

 

 

「……あ、」

 

 

 

 

私は、話しかけようとして……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴツッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……えっ」

 

「…痛いです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かけそびれた。

 

タイミングを完全に逃してしまった私はそのまま固まる。

 

 

ど、どうしよう…。

 

 

 

 

「お前は何考えてんだ、バカ!」

 

「ちょ、火神っち!黒子っち怪我してるんスよ!?」

 

「なおさらだっつーの!

 …ったく、後先考えずに突っ込んでいきやがって。

 勝てるつもりだったのかよ」

 

「いえ、あのままいけば、100%ボコボコにされてました」

 

「テメェ…!」

 

「見てください、この力こぶ」

 

「ねぇよ!!」

 

「…黒子っちって、たまにスゴいよね」

 

「……それでも、あの人たちは間違ってると

 …ひどいと思いました。

 だから言っただけです」

 

「だったらその先を考えろ!」

 

 

 

 

固まる私をよそに、どんどんと縮まる距離。

 

一旦逃してしまったタイミングを

再び掴むことのできない私。

 

 

…ど、どうしよう…っ。

 

 

 

 

「…ん?オレたちに何か用ッスか?」

 

「!!」

 

 

 

 

ま、待って。まだ言葉が纏まってない…!

 

 

 

 

「……あれ。キミは……」

 

「あ、あああの、私…っ」

 

「…ああ!もしかしてオレのファンッスか?」

 

「……へっ?」

 

 

 

 

言葉の意味も理解できないままに、彼に手を取られる。

 

ふぁん?ファン?なんの?誰が???

 

 

 

 

 

 

 

 

――混乱する私の耳に

次に飛び込んできたのは、女の子の声だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――香穂から離れてっ!!」

 

「…へ?う、うわあっ!?」

 

「な、なんだっ!?」

 

 

 

 

……次の瞬間には。

 

 

私の手を握っていた彼はどこかに…、

 

横に、吹き飛んでいた。

 

 

 

…………えええと??

 

 

 

 

「香穂っ!大丈夫!?なにもされてない!?」

 

「…ま、真奈美?え?」

 

「あーもう、心臓潰れるかと思ったわ。

 とりあえず早く私の後ろに」

 

「え?え?あの、真奈美??」

 

「……いってー。もう、なんなんスかぁ…?」

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

 

 

 

駆け寄ろうとした私の腕を、真奈美が掴んで止める。

そしてそのまま庇うかのように、彼女は私を背中に隠す。

 

……すごく、警戒してる…?

 

 

 

 

「…よく訳は分からねーけど、売られた喧嘩は買うぜ?

 女だからって容赦はしねーからな」

 

「何言ってんのよ。先に手を出したのはそっちでしょ。

 女だからって見くびると足元掬われるわよ」

 

「あぁ!?んだと…!?」

 

 

 

 

男の人の額に青筋がたち始めたのが見えて、

サーっと血の気が引く。

 

 

…な、なんか色々行き違いが起こってる気がする…!!

 

 

 

 

「ま、真奈美っ!」

「火神くん」

 

 

「「落ち着いてください(っ!)」」

 

 

「えっ!?香穂!?」

「っ!?てめ、黒子…!」

 

 

 

 

真奈美の前に飛び出た私と、

赤髪の人に膝かっくんを仕掛けた彼。

 

 

真奈美は目を見開き、男の人は空色の彼を睨み付けた事で、

とりあえず一触即発の空気は免れた。

 

 

 

 

「真奈美、違うの。あのね?」

 

「多分両方とも、色々誤解してます」

 

「は?誤解…って……。

 っ、きゃああああああああ!!?」

 

 

 

 

空色の彼を見た途端、悲鳴をあげて後ずさる真奈美。

 

…な、なんか似たような光景をこないだも見たような…。

 

 

 

 

「だ、誰っ誰誰々っ!?いつから!?幻覚っ!?」

 

「ボクは最初から居ましたし、幻覚でもありません」

 

「うそ!!?……全然、気づかなかっ……」

 

 

 

 

口元を手で覆い、目を見開いたまま、

その場で停止する真奈美。

 

……こんなに取り乱したの、久しぶりに見た…。

 

 

 

 

「…あ、あの、真奈美?大、丈夫…??」

 

「…………あ……、うん。なん、とか……」

 

 

 

 

彼女はやっと、そこで私に笑顔を取り繕った。

 




* agitazione=動揺して
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