Serenade of azure   作:yurarira

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わんちゃん、、、わんこ、、、どっちでもいいか。

いじりがいがありますよね!!


わんちゃんはflebile~「…結構ガチで凹んでるッス…」~

Kahoko side

 

 

 

 

 

「…ごほん。それより、勘違いってどういうこと?」

 

 

 

 

取り乱したのが恥ずかしかったのか、

少し頬を染めた真奈美は、

軽く咳払いをして彼らに向き直った。

 

 

 

 

「あなたは彼女の手を握っている黄瀬くんを見て、

 彼が無理やり彼女を連れていこうとしているように

 見えたんですよね?」

 

「黄瀬って誰」

 

「オレッス。急に蹴るなんてひどいッスよぉ」

 

「……ああ、ごめん。髪色通りなのね、名前」

 

「…誠意が感じられないッス……」

 

「気のせいよ。…空色の人、あなたの推理は正解。

 この子、かなりの巻き込まれ体質で、

 本人の自覚がないから余計に、ね。」

 

「………過保護すぎよ…」

 

「…キミに対してなら、仕方ないと思いますけど。

 それよりそれ、勘違いです」

 

「…え?」

 

「真奈美、この人が私を助けてくれた人だよ」

 

「放置したら、後味が悪かっただけですよ」

 

「それでも、きちんとお布団に寝かせてくれて、

 すごく気遣ってくれました」

 

「…………」

 

 

 

 

どこかバツの悪そうな顔をして、

ふい、と視線を背けてしまう彼。

 

 

すごく助かったのは、本当の事なのに。

 

 

 

 

「…え、黒子っち、知り合い?」

 

「……まあ」

 

「つまり、なんだ?」

 

「バ火神くんにも分かるように説明すると」

 

「おい」

 

 

 

 

赤髪の人が眉間をしかめたのも気にせずに、彼は口を開く。

 

 

 

 

「黄瀬くんが、自分のファンだと勝手に誤解したんです」

 

「黒子っち言い方に悪意があるッス!」

 

「…へえ。随分とご自分に自信があるようで」

 

「ちょ、ちがっ、」

 

 

 

 

真奈美に絶対零度の笑みを向けられ、

黄瀬という人は冷や汗をかきながら慌てて口を開く。

 

 

 

 

「オレ、モデルやってるんスよ!

 黄瀬涼太って聞いたことないッスか!?」

 

「………ああ。そういえばそんなん居た気もするわね。

 興味ないけど」

 

「ええっ!?モデルさんなんですか!?

 すごい…全然知らなかった…」

 

「……悪意全開なのと、純粋に驚かれるの。

 連続でくるとなんかキツいッス……」

 

 

 

 

どよーん、と肩を落としへこんだ表情の黄瀬さん。

 

 

…その姿はまるで……。

 

 

 

 

「………なんだろう。うちのバカ犬思い出したわ」

 

「いぬ!?同じ扱いッスか!?」

 

「え?…ああ、違うわよ?ちゃんと雄一って人間の犬よ」

 

「に、人間の犬……」

 

「やー、なんか誰かに似てるなーと思ってたのよね。

 スッキリしたわ」

 

「オレはずたぼろッス…」

 

「……ああ、確かに似てるかもしれないです」

 

「そっか。あんたは知ってるのよね」

 

「はい、まさにバ………、犬みたいだなと思いました。」

 

 

 

 

………今、何か言いかけた……。

 

 

ちなみに黄瀬さんは既に半泣き状態だ。

 

…全身からどことなく哀愁が…。

 

 

 

 

「あ、あの…大丈夫、ですか?」

 

「…結構ガチで凹んでるッス…」

 

「…ええっと……その、私はいいと思いますよ?」

 

「……え?」

 

「わんちゃんみたいってことは、一生懸命って事でしょう?

 真っ直ぐなのはいいことですよ!」

 

 

 

 

そう言って笑みを浮かべる。

 

彼は驚いたように数秒固まり…、ゆっくりと口を開いた。

 

 

 

 

「……………………名前」

 

「え?」

 

「な、名前、何て言うんスか?」

 

「えっと…日野香穂子です?」

 

「なんで疑問系なんですか」

 

 

 

 

少し声を張り上げた彼に、戸惑いつつも答える。

 

 

 

……と、不意に体が宙に浮く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!!!????」

 

「香穂子っち、ありがとうッスぅぅう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼が、私を持ち上げていたのだ。

 

抱き上げるというよりは、

本当に小さい子をあやすかのように持ち上げられている。

 

 

……視界が、高い…。

 

 

 

 

「……………香穂子っち、て…ナニ、アレ」

 

「黄瀬くんは気に入った相手の名前に、

 っちを付ける癖があるんです」

 

「………………」

 

 

 

 

 

 

Tetsuya side

 

 

 

 

 

 

「それより、彼女たぶん

 思考ショートしてますけどいいんですか」

 

「ずっと固まってんな。いや、降りれないからだろうけど」

 

「……どうやって、止めようかしら」

 

「このままいくと、完全に彼女巻き込みますもんね」

 

「…どうやったら、アイツだけ殺れるかしら」

 

 

 

 

ぼそっとなんか聞こえた気がするけど、

まあいいか。黄瀬くんだし。

 

 

 

それより問題は彼女だ。

たぶんあれじゃ、今黄瀬くんが彼女に向けて発してる賛辞は

ひとつも耳に入ってないだろう。

 

 

…というかたぶん、あれ気絶してるな。

目、開けたまま。

 

 

 

 

「黄瀬くん」

 

「……ん?なんスか、黒子っち?」

 

「日野さん、完全にオチてますよ」

 

「?おち…?

 …わあああ!!香穂子っちぃぃい!!」

 

 

 

 

ぼけっと小さく口を開いたまま微動だにしない彼女に、

黄瀬くんは慌てて彼女を降ろした。

 

…そしてそのままその場に座り込む日野さん。

 

 

目の前で手を振ってみる……反応はない。

本当に気絶してたのか。

 

 

 

 

「……黄瀬涼太?」

 

「ヒッ」

 

「覚悟は…出来てるのよね?」

 

「で、できてない、出来てないッス!!」

 

「…そう。それは、残念だったわね」

 

「く、黒子っちぃい!!」

 

「自業自得ですね」

 

「そんなあ!!!」

 

 

 

 

 

 

Kahoko side

 

 

 

 

 

 

ハッと気がついたのは、誰かの悲鳴が聞こえたから。

 

慌てて周りを見ると、何故か伸びている黄瀬さん。

 

 

……あれ?私たしか…持上げられて…。

 

 

 

 

「…あ。気づきました?」

 

「……え、あ。ええっ、と…??」

 

「キミ、キャパ超えて気絶してたんですよ」

 

「え、ええ!?」

 

 

 

 

まさかそんな…、と呟いた私に、

彼は無表情で本当ですから、と続けた。

 

 

……まあ、確かにすごく驚いたというか

何が起こったのかわからなかったけど…。

 

 

 

 

 

「急に振り回されてましたけど、

 体調はもうなんともないんですか?」

 

「あ、ええ。おかげさまで」

 

「…なら、いいですけど」

 

 

 

 

ホッとしたように少しだけ眉を下げて、

ぶっきらぼうにそう言う彼。

 

……うん、やっぱりすごく優しい人だ。

 

 

 

 

「あの、私ずっとあなたを探してて」

 

「……え」

 

「こないだのお礼がしたくて」

 

「………………ああ。別にいいですよお礼なんて」

 

「そんなわけには……、ええと」

 

「?」

 

「……よろしければ、お名前お伺いしてもいいですか…?」

 

「…そういえば、名乗ってませんでしたっけ」

 

「ええ。同じ学校の普通科ってことしか…」

 

「…そうでしたね。すみません」

 

 

 

 

彼は私に向き直り、口を開く。

 

 

 

 

「ボクの名前は―――」




*flebile=哀れな
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