1ヶ月………。
書き留めてはあるんですが、ここに載せるとなると…(面倒くさがりがすぎる)
久しぶりにやったらやり方わかんなくて、プロローグの後ろにこれくっついてました。
ど う し て そ う な っ た。
Tetsuya side
「ボクの名前は黒子テツヤ。
クラスは1-2でバスケ部です」
「くろこ、てつや、くん…」
「はい」
彼女はなにかを確かめるように
たどたどしくボクの名前を繰り返す。
そしてなにかを言い出しにくそうに
軽く目を伏せたかと思うと、
覚悟を決めたようにボクに目を向け、口を開いた。
「黒子くん」
「はい」
「……私たち。もしかして、昔―――」
「――香穂子っちぃい!!」
「きゃ!?」
「……黄瀬くん…」
いつの間にか復活していた黄瀬くんが、
彼女に後ろから抱きつく。
…おかげで、止まってしまった彼女の言葉。
「ほんっとゴメンッス!!
体調は?具合悪くなってないッスか?」
「え?あ、ええと、はい。全然…」
「黄瀬涼太?今すぐ香穂から離れなさい。
さもなくば殴るわよ、顔を」
「フルネーム呼び!?てか顔指定!?
オレ商売道具なんスけど!!」
「だからに決まってんでしょ。…5、4、3」
「わあああ!!離れる!離れるッス!!!」
慌ててパッと手を離す黄瀬くん。
……もう完全にコントロールされてるじゃないですか…。
「あ。つーか、…んーと………日野?
もう平気なのか?」
「あ、はいっ。大丈夫です。ありがとうございます」
火神くんに向き直って律儀に頭を下げる彼女に、
居心地の悪そうな火神くん。
まあ、確かに。苦手そうなタイプですよね。
「………」
「……!」
ふっと、目が合うと、彼女はどこか困ったように笑う。
……先程の話の続きは、ここでは…ということなのだろう。
Kahoko side
……聞きたいことが、あったのだけど。
また、2人で話す機会があったらにしよう。
…あまり、人には聞かれたくない。
苦笑いを返す私に彼はなにかを察したように、
スッと目線を逸らした。
「――あ!そうだ!」
「なあに黄瀬涼太」
「フルネーム呼びやめて!?」
「嫌」
「…………」
「それで、なんだよ」
「連絡先交か」
「嫌」
「最後まで言ってないッス!!」
「誰が好き好んで
個人情報の流出なんかしなきゃいけないのよ」
「んな大袈裟な…」
「……なるほど。警戒心も高いんですね、この人」
「…あ、あはは……」
「………黙ってれば美人なのに…」
「何か言った?」
「何も言ってないッス!」
「…大丈夫よ?私がこんな態度とるの、犬にだけだから。
おかげでモデルなんてしなくても良くしてもらってるわ」
「犬決定ッスか!?」
「あー、もうキャンキャンうるさいなあ」
抗議する黄瀬くんに対して、
真奈美は耳を抑えながら顔を背けた。
……なんか、こんな感じのことをどっかで…。
「あ、そうだ。ツンデレだ」
「…は?香穂?」
「……ああ、なるほど!そうだったんスね!」
「…なにか誤解をしているようだけど。
天地がひっくり返ってもないわ、
ありえない、自惚れないで」
「そこまで言う!?」
「うん」
「………いっそ清々しいよお前…」
「見た目は、いいとこのお嬢様なんですけどね彼女…」
「…も、もう。真奈美!」
「ん?なあに、香穂」
傷ついたような…というか
確実になにかが傷ついてる黄瀬くんを気にも留めずに、
くるりと振り返りいい笑顔を浮かべる真奈美。
…全く、もう。
私はたしなめるように少し声を張り上げる。
「真奈美、あんまりいじめないの!
可哀想でしょ」
「えー」
「えーじゃありません」
うなだれる黄瀬さんの顔を覗き込んで、
安心させるように笑みを浮かべる。
「私は連絡先知りたいです。
せっかく知り合えたんですから」
「か、香穂子っちぃ~…」
彼は感動したように目をうるうるさせて、両手を広げ……
「いっ!?」
「香穂に抱きつかない」
……広げたところで、真奈美に阻止された。
拳骨…痛そう……。
「あんたみたいなデカワンコが抱きついたら、
香穂が潰れちゃうでしょうが」
「いや、さすがに潰れは……そこまで柔じゃないよ私…」
「少なくとも今いる人たちの中では
一番柔なのは間違いないでしょ。華奢だし」
……真奈美だって、スラーって細いし華奢じゃない……。
「あ?お前だって十分華奢だろーが。
背はまあまあでけーけど」
「……それ、あなたに言われると複雑ね…」
「…ボクに対する当てつけですか?」
苦虫を噛み潰したような顔で、
真奈美が赤髪の彼を見て、黒子くんが真奈美を見る。
……みんな私からしたらおっきいですよ…。
「別に当てつけなんかじゃないわ。
ただ、武道を習ってるから
そこらの適当な男には負けない自信があるだけ」
「つっても、体格やら力だってあるし、
やっぱ女じゃ男に勝つのは無理あるだろ」
プツン、と。
なにかが切れたような音がした気がする。
慌てて彼女を見ると、これ以上無いくらいのいい笑顔。
「…ふふ。そこまで仰るのなら、
実践して差し上げないとね?」
「ま、真奈美!!ダメ、ストップ!!」
「はあ?
――って、うおっ!?」
「―――!!?」
「か、火神っち!?」
どんっ、と鈍い音がした時にはもう彼は尻餅をついていて、
驚いたようにあんぐりと口を開けていた。
黒子くんと黄瀬くんも目を見開いている。
対する真奈美はこれまたいい笑顔で、
パンパンっと手を叩いていた。
……ああ、もう…真奈美の馬鹿…。
「…どうかしら?男のみなさん」
「……真奈美、やりすぎ」
「女だからって足元見るのが悪いのよ。私は悪くない」
「………もう」
つんっとそっぽを向く彼女の説得は諦めて、
私は赤髪の彼へ手を差し出す。
「…真奈美がごめんなさい。
少し…頭に血が上っちゃったみたいで。
…大丈夫ですか?怪我とか、してませんか?」
「そんな適当な投げ方してないわよ」
「真奈美は黙ってて」
「…はいはい」
軽く真奈美を一瞥すると、
彼女は小さくため息をついて
両手で呆れたようなポーズをとる。
……元はと言えば真奈美が…、まあそれより。
私は目の前の彼に視線を戻す、と
ようやく状況の掴めたらしい彼と視線が合った。
「……あ、ああ。すまん、大丈夫だ」
彼は私の手をとらず立ち上がると、ズボンなどを軽く叩く。
「……すごいッス…」
「…いくら女性の中では高身長な方だといっても…」
「10cm以上は差あるッスよね?
しかも火神っち、かなりがっしりしてる方なのに…」
「まあ、確かに黄瀬くんは
さっきずたぼろにやられてましたけど」
「それは言わないお約束ッス!!」
「体重なんてほとんど関係ないわ。
持ち上げてる訳じゃないもの。技をかけただけよ」
「わ、技ッスか…」
「そ、技。…どう?さっきの発言、訂正する気になった?」
「……っ。あ、ああ。……悪かった」
「分かってくれたようで、何よりだわ」
にこっと真奈美は微笑んだ。
それはもう、勝ち誇ったような笑みで。
*adagissimo=非常に遅く