時は大正時代。
季節は冬。
とある雪山を1人の男性が歩いていた。
赤紫色の服と同色の羽織を身に纏い、左の腰には鋼色の円盤を3つ、右の腰には「鬼の顔の様な装飾を施した」物を下げていた。
彼は立ち止まると徐に左腰の円盤を1つ取ると、右腰に下げている物を取り出して振り、音叉(ピアノ等の調律に使われる二股の道具)の形に変えると円盤を持っている左手首を軽く叩いた。
すると音叉の先から波紋が広がり、そのまま円盤に近づけると鋼色の円盤が瞬く間に茜色に染まり、彼はその円盤を上に投げた。すると色が着いた円盤は鷲の様な姿に変形し、上空へと飛び去った。
少し経つと、先程の鷲「ディスクアニマル『
しばらく歩き続けると、1軒の炭焼き小屋を見つけた。中を見ると、襖は破れており、辺りに血が飛び散っていた。そして小屋の側を見ると、一部分が盛り上がっており、傍らには花が添えられていた。
彼はそこが小屋に住んでいた者達の墓場と知り、その場にしゃがみ手を合わせ黙祷をした。数分にも満たない黙祷の後、立ち上がりとある方向に顔を向けると、その方向に向けて歩き始めた。まるで何かに引き寄せられるかの様に………。
歩きだしてから数日後、途中で休憩や野宿をしながら彼は目的地へと辿り着いた。そこは年中霧が発生している山「狭霧山」であった。その麓にポツンと一軒の小屋があり、その手前で必死に真剣を振り回している少年を見つけた。
彼は少年に近づき、声を掛けた。
「失礼。此方に鱗滝左近次という方はご在宅かな」
少年は肩で息をしながらも、数回首を縦に振った。彼は少年に礼を言うと、戸を軽く叩き小屋の中に足を踏み入れた。小屋の中には竹を口に咥えた少女が布団で寝ており、その横には天狗の面を被った男性が座っていた。
「お前さんが来るのは薄々わかっていた。お前さんの匂いは独特だからな」
彼は苦笑を溢しながら左近次の隣に座り
「ご無沙汰しております鱗滝左近次殿。御壮健で何よりです」
礼をした。
「よい。お前さんも息災で何よりだ。で、態々こんな偏狭な所迄来て何を求める❓言っておくが儂は」
「存じております。『
「炭治郎を…か❓」
彼は佇まいを直すと左近次にこう言った。
「彼…、炭治郎をこの俺『響鬼』の弟子にさせて頂きたい」