鬼滅の刃 清めの音(ね)を持つ鬼   作:レイファルクス

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第11話

 

藤の花の家紋の家での休息中、禰豆子が箱から出てくると善逸がデレデレした表情で待ち構えていた。禰豆子はびっくりして善逸から逃げるが、善逸はデレデレ顔のまま禰豆子を追いかけた。

 

 

そこに騒ぎを聞きつけた炭治郎が隣の部屋から入り、禰豆子は兄である炭治郎の後ろに隠れた。けど善逸はデレデレ顔を止めなかった。その顔に恐怖した炭治郎は禰豆子とともに善逸から逃げるが、善逸はまたもや禰豆子たちを追いかけた。

 

 

「善逸、いい加減に…しろ❗❗」

 

 

遂に堪忍袋の緒が切れた炭治郎はその場に止まり懐から音角と瑠璃狼を取り出す。それから音角を鳴らしディスクモードの瑠璃狼に近づけた。すると鋼色だった瑠璃狼が瑠璃色に染まり、善逸へと投げつけた。

 

 

すると瑠璃狼はディスクモードからアニマルモードへと変形し善逸へと襲い掛かった。善逸は驚き足を止め瑠璃狼を振り払おうとするが、そこに炭治郎が頭突きを喰らわし、更に追い討ちをかけるように伊之助が善逸の背中に体当たりを噛まし、善逸を黙らせた。

 

 

その翌日に善逸は目を覚まし、炭治郎たちに文句を言おうとするが、炭治郎はディスクモードに戻っている瑠璃狼を善逸に見せると、善逸はガタガタ震えながら引き下がった。

 

 

それから約数ヵ月。ようやく怪我が完治した後、炭治郎の鴉が緊急任務を告げた。

 

 

「北北東、北北東。竈門炭治郎、我妻善逸、嘴平伊之助ノ三名ハ至急那田蜘蛛山(なたぐもやま)ヘ急行セヨ❗」

 

 

それを聞いた三人は着ていた浴衣を脱ぎ、隊服に着替え炭治郎と善逸は各々の羽織に袖を通した。そしてひささんがお祓いのために切り火をしたが、その行為を知らない伊之助はひささんに突っ掛かろうとするが、炭治郎と善逸に止められた。

 

 

そして炭治郎(+禰豆子)、善逸、伊之助は那田蜘蛛山に進路を取った。

 

 

そしてその夜。炭治郎たち三人は指定された場所である那田蜘蛛山の麓に到着した。しかし、善逸の悪い癖『恐がり』が発動し、山へ続く道端に座り込んでしまった。

 

 

善逸を元気づけようと炭治郎は声を掛けようとした時、『恐怖』の匂いを嗅ぎとり山の方を振り向くと、ひとりの鬼殺隊員が地面に寝そべっていた。

 

 

炭治郎が理由を聞こうと駆け出して伊之助が後を追う。後少しの所で寝そべっていた隊員が突如『何かに引っ張られるように宙に舞い』、山の中に消えた。

 

 

「…………俺は行く」

 

 

炭治郎は覚悟を決めると伊之助が炭治郎の前に出て

 

 

「俺が先に行く❗お前はガタガタ震えながら後ろをついて来な❗」

 

 

「腹が減るぜ❗」

 

 

伊之助の行動に炭治郎は感動するが、善逸は震えながら『腕が鳴るだろ』とツッコミを入れていた。そしていざ入山しようとした時

 

 

「あれ❓お前らこんな所で何してるんだ❓」

 

 

後ろから声をかけられ振り向くと、炭治郎の師匠である響鬼と、彼に付き添っている青年二人と炭治郎たちと同年代のモヒカンヘアの少年がいた。

 

 

「師匠❗なんでこちらに❓」

 

 

炭治郎はすぐさま響鬼のそばに向かい、事情を聞いた。その速さに善逸と伊之助は唖然(あぜん)としていた。

 

 

「この山で人が幾人もいなくなっていると聞いてな。もしかしたら魔化魍(まかもう)ではないかと思ってな。それで俺たちに召集が掛かったって訳さ」

 

 

「そうでしたか。けど恐らくではありますけど、那田蜘蛛山(ここ)にいるのは魔化魍では無く、人喰い鬼だと思います」

 

 

風鬼(ふうき)さん、俺もこいつの言うことは正しいと思います」

 

 

モヒカンヘアの少年が炭治郎の意見に同意した。風鬼と呼ばれた青年が視線を向けると

 

 

「この山から空気に混じって『鬼の味』がします。それもかなり濃い味です。もしかしたら十二鬼月かもしれません」

 

 

少年が言ったことに風鬼は頷きながら

 

 

「確かに玄弥(げんや)の味覚は鋭いからな。信憑性は高いだろう」

 

 

と納得していた。炭治郎と善逸はモヒカンヘアの少年に見覚えがあった。そう、最終選別の時に生き残った五人の内の一人だったのだ。

 

 

「あの❗あの時は君の腕を折ってごめんなさい❗」

 

 

炭治郎は玄弥と呼ばれた少年に近づき勢いよく頭を下げた。

 

 

「いや、あの時の俺は焦っていたから逆に助かったよ。っとそう言えば自己紹介がまだだったな」

 

 

「俺は鬼殺隊、階級・辛、並びに猛士が鬼、風鬼の弟子、不死川(しなずがわ) 玄弥だ。よろしくな」

 

 

そう言って玄弥は炭治郎に右手を差し出し握手を求めた。

 

 

「俺は鬼殺隊、階級・癸、並びに猛士が鬼、響鬼の弟子、竈門炭治郎だ。よろしく玄弥」

 

 

炭治郎は玄弥の握手に応じて彼の手を握った。

 

 

「それとそこにいる金髪の彼は我妻善逸。猪の被り物をしているのが嘴平伊之助。俺たちの同期だ」

 

 

炭治郎は善逸と伊之助の紹介をするが、玄弥は『こんな奴らいたっけ❓』と頭を傾げた。

 

 

「我妻善逸です。鬼殺隊であると同時に猛士の鬼の弟子です」

 

 

「俺は山の王、嘴平伊之助だ❗覚えておけ❗」

 

 

伊之助の自己紹介はともかく、善逸の自己紹介に伊之助ともう一人の青年を除く皆が目を点にした。

 

 

「えっ、善逸お前猛士の鬼の弟子なのか❗❓」

 

 

炭治郎が驚きの余り善逸に聞き返したが、意外な所から答えが帰ってきた。

 

 

「その通り。そいつは『俺の弟子』だ」

 

 

風鬼と呼ばれた青年とは違うもう一人の青年が善逸のそばに歩み寄り、善逸の頭を乱暴に撫でまくった。

 

 

「知っての通りこいつは怖がりでな。矯正させようとして修業をさせていたんだが、何時までたっても治らなくてな」

 

 

雷鬼(らいき)さん、乱暴に頭を撫でないで下さい❗」

 

 

「師匠と呼べといつも言ってるだろ❗」

 

 

善逸の抗議に雷鬼と呼ばれた青年は善逸の頭から手を放し、そのまま拳骨を喰らわした。善逸は涙目で雷鬼を睨むが、当の本人は何処吹く風の様にすましていた。

 

 

「ま、まぁここで出会ったのも何かの縁。もしよろしければ皆で一緒に行動しませんか❓」

 

 

炭治郎が話題を切り替えるように話を反らし、響鬼たちは炭治郎の提案に乗っかることにした。ただ、善逸は未だに動こうとはせず、善逸の師匠である雷鬼が善逸の隊服の襟を掴み引き摺りだした。

 

 

「ちょっ、雷鬼さ…じゃなかった師匠❗首、首締まってます❗」

 

 

善逸はどんな時でも元気であった。

 

 

そして炭治郎たち八人は那田蜘蛛山に入山。しかし至るところに蜘蛛の巣があり、先頭を行く伊之助は(ことごと)く蜘蛛の糸に引っ掛かり苛立っていた。

 

 

炭治郎は伊之助に一緒に行くことにお礼を言って伊之助は黙っていた。そして炭治郎は尻餅をついている隊員を見つけ、自分の名前と階級を告げ状況を聞こうとした。けどその隊員は炭治郎の階級が癸であることを知ると

 

 

「なんで"柱"じゃないんだ…❗癸なんて何人来ても同じだ…意味が無い❗」

 

 

と震え出した。すると伊之助がその隊員の顔に拳を喰らわし、髪を掴んで状況伝達を急かした。

 

 

その隊員が言うには、十人の隊員が入山し、しばらくたった時に隊員同士が斬り合いになったそうだ。そしてその隊員の視線の先には口から血を流している隊員がいた。

 

 

その頃とある屋敷、その縁側に座る一人の男性の膝に息を切らした鴉が寝そべっていた。

 

 

「よく頑張って戻ったね。私の剣士(こども)たちは殆どやられてしまったのか。"十二鬼月"がいるかもしれない」

 

 

「"柱"を行かせなくてはならないようだ。義勇(ぎゆう)、しのぶ」

 

 

「「御意」」

 

 

返事をしたのは左右違う柄の羽織を着ている男性、冨岡(とみおか)義勇と蝶の羽根の模様を模した羽織と同じく蝶の髪飾りをしている女性、胡蝶(こちょう)しのぶだった。

 

 

「人も鬼もみんな仲良くすればいいのに。冨岡さんもそう思いません❓」

 

 

「無理な話だ。鬼が人を喰らう限りは」

 

 

「そうそう。これから向かう所には『音撃の鬼』がいるそうだから、攻撃しないようにね」

 

 

縁側に座っている男性は二人の方を向き、軽やかな口調で追加の指示を出した。義勇としのぶは頭に『❓』を作りながらも那田蜘蛛山へ向かった。

 

 

一方炭治郎たちは襲ってきた隊員の攻撃を凌いでいた。炭治郎は相手の動き方を見て操られていることを察知。どうすれば操られている人たちを解放できるか考えていると、背中側から奇妙な匂いがするのを感じて相手の背中側の宙に刀を振るった。

 

 

すると操られていた隊員は支えを失ったかの如く地面に倒れこんだ。炭治郎は糸で操られていることを伝えると、伊之助が残りの隊員の糸を斬り、難を逃れた。

 

 

しかし、糸を斬った筈の隊員がまた動き出した。それもそのはず、操っているのは糸では無く、糸の先にいる小さな蜘蛛だったのだ。炭治郎は蜘蛛の存在に気付き、伊之助に操っている元凶を探すようお願いした。伊之助は自身の刀を地面に刺し、両手を広げ

 

 

『獣の呼吸 (しち)ノ型 空間識覚(くうかんしきかく)

 

 

自身の感覚を底上げする技を使った。そして元凶を見つけると

 

 

「見つけたぞ❗向こうだ❗それと上に何かいるぞ❗」

 

 

炭治郎は伊之助に言われ上を見ると、そこには月明かりの下に佇む少年がこちらを見下ろしながら宙に、否、蜘蛛の糸の上に立っていた。

 

 

伊之助は隊員の背中を足場にして跳躍。少年を斬ろうとするが、後少しの所で届かず、地面に激突した。少年のことは気になるが、まずは操っている元凶を何とかするためにその場を『村田』と名乗った隊員に任せ、伊之助が指し示した方角へ向かった。

 

 

1/3ほど進んだ所でまたもや操られている女隊員に出くわした。しかし彼女は意識があり、彼女の手や刀には他の隊員の亡骸がいた。

 

 

その頃隊員を操っている元凶の鬼は岩の上に座り、手の指先から伸びてる糸で隊員を操っていた。

 

 

「母さん」

 

 

「る…、(るい)

 

 

母さんと呼ばれた女鬼は塁と呼ばれた少年の鬼を見るやガタガタと震え出した。塁はその事を無視し、『早く倒さないと"父さん"に言いつけるから』と言って暗闇の中へと消えた。

 

 

母鬼は震えが大きくなり、払拭するかの如く操作を再開した。それと同時に女隊員が動きだし、先程の隊員よりも速くなってはいるが、無理矢理動かしているために彼女の腕の骨が折れてしまった。

 

 

更には瀕死の重症を負っている隊員が現れ、炭治郎と伊之助の後ろにいる響鬼たちに襲い掛かった。ところが響鬼たちは冷静に隊員たちを無力化した。

 

 

響鬼、風鬼、雷鬼の三人は"何故か持っていた"刀で対応していた。実は響鬼と風鬼は最初に襲われた時に操られていた隊員の刀を奪っていたのだ。雷鬼に関しては、善逸の刀を使っていただけである。

 

 

炭治郎は無力化した時が好機と捉え、響鬼たちにこの場を任せ伊之助と共に母鬼の下へ駆け出した。母鬼は操っている隊員を殺そうとするが、動かせずにいた。

 

 

何故なら、響鬼たちが投げ飛ばしたりして蜘蛛の糸を複雑に絡め、木の枝に縛り付けていたからだった。母鬼はもう操れない糸を切り、とっておきの"人形"を使うことにした。

 

 

炭治郎と伊之助は視線の先にある影を捉え、見ると、そこにいたのは"手が鎌になっている頚が無い鬼"だった。

 

 

伊之助は『急所が無ぇ❗』と叫んでいるが、炭治郎は『袈裟斬りにすれば』と提案する。それを実行しようと伊之助は炭治郎の制止を聞かず斬ろうとするが、頚無し鬼のほうが速く、伊之助は切り傷を負ってしまった。

 

 

しかも鬼の蜘蛛が伊之助の身体に取り付き、伊之助は拘束されてしまった。絶体絶命の時、炭治郎が頚無し鬼の攻撃を刀で往なし牽制。伊之助を縛った糸を斬って助けた。

 

 

炭治郎は伊之助に『一緒に戦おう』と言うが、当の伊之助本人は

 

 

「うるっせえェェェッ❗❗これ以上俺をホワホワさせんじゃねェッ❗❗」

 

 

『ホワホワ』とは何なのか意味不明だが、伊之助が炭治郎に突進し炭治郎は『俺を踏め』と言うが、伊之助が実際踏んだのは炭治郎が背負っている"箱"だった。

 

 

伊之助は箱を踏みながら鬼の腕を斬り落とし、炭治郎の指示で跳躍。炭治郎は伊之助が宙を舞う間に打ち潮で鬼の脚を斬り、伊之助が自身の刀二本で鬼の身体を袈裟斬りにし、灰に帰した。

 

 

すると着地した伊之助が炭治郎の側まで駆け寄り、炭治郎を掴むと、そのまま上空へ投げ飛ばした。宙を舞う炭治郎の視線の先には、手駒を失い、呆然とする母鬼の姿があった。

 

 

炭治郎は伊之助の意図が分かり、水面斬りで頚を斬ろうとした。

 

 

「(殺される……❗頚を斬られる❗考えて……、考えるのよ❗ああ……、でも……、死ねば解放される。楽になれる……)」

 

 

自ら頚を差し出したことに気づいた炭治郎は

 

 

『全集中 水の呼吸 ()ノ型 干天(かんてん)慈雨(じう)

 

 

痛みを伴わない慈悲の型で頚を斬った。

 

 

母鬼は頚を斬られたにも関わらず、痛みを感じなかったことに気付き、崩れ行く中、

 

 

「十二鬼月がいるわ、気をつけて…坊や」

 

 

そう言って崩れ去った。

 

 

 

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