鬼滅の刃 清めの音(ね)を持つ鬼   作:レイファルクス

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柱合会議~機能回復訓練編
第16話


 

「起きろ、起きるんだ。起き…、オイ、オイコラ。やいてめえ、やい❗いつまで寝てんださっさと起きねぇか、柱の前だぞ❗」

 

 

気絶していた炭治郎が隠の怒声で目が覚めると、しのぶを始めとした大小様々な体格の男女が炭治郎を見下ろしていた。炭治郎は両腕を背中側で縛られ拘束されていた。(変身は気絶したと同時に解けているが、隊服は着たままです。)

 

 

炭治郎はここは何処なのか考えていると

 

 

「ここは鬼殺隊の本部です。あなたは今から裁判を受けるのですよ。竈門炭治郎君」

 

 

読心術でも持っているのか、しのぶが炭治郎が考えていることの答えを言った。

 

 

「裁判の必要などないだろう❗鬼を庇うなど明らかな隊律違反❗我らのみで対処可能❗鬼もろとも斬首する❗」

 

 

炎を模したマントのような羽織を着ている男性『炎柱(えんばしら)煉獄(れんごく) 杏寿郎(きょうじゅろう)』が斬首を推奨すると

 

 

「なら俺が派手に頚を斬ってやろう。誰よりも派手な血飛沫を見せてやるぜ。もう派手派手だ」

 

 

派手派手言いながら格好も派手な男性『音柱(おとばしら)宇髄(うずい) 天元(てんげん)』が煉獄に賛同し、自ら頚を斬ると言い出した。

 

 

「(えぇぇ…、こんな可愛い子を殺してしまうなんて胸が痛むわ苦しいわ)」

 

 

二人のやり取りを聞いていた胸元が開いた隊服を着ている女性『恋柱(こいばしら)甘露寺(かんろじ) 蜜璃(みつり)』が頬を染めながら悲しい表情をしていた。

 

 

「あぁ…、なんとみすぼらしい子供だ可哀想に。生まれて来たこと自体が可哀想だ」

 

 

額に横一文字に傷があり、盲目から涙を流しながら数珠をジャリジャリ鳴らしている男性『岩柱(いわばしら)悲鳴嶼(ひめじま) 行冥(ぎょうめい)』が炭治郎"自体"を否定していた。

 

 

「(何だっけあの雲の形。何て言うんだっけ)」

 

 

炭治郎に見向きもせず、流れる雲を『霞柱(かすみばしら)時透(ときとう) 無一郎(むいちろう)』は見ていた。

 

 

自分が殺されそうになっている最中、炭治郎は禰豆子、善逸、伊之助、村田隊士を目だけで探していた。

 

 

「そんなことより冨岡はどうするのかね」

 

 

声がした方を見ると

 

 

「拘束もしていない様に俺は頭痛がしてくるんだが。胡蝶めの話によると隊律違反は冨岡も同じだろう。どう処分する。どう責任を取らせる。どんな目にあわせてやろうか」

 

 

松の木の枝に寝転がっている『蛇柱(へびばしら)伊黒(いぐろ) 小芭内(おばない)』が頚に白い蛇を巻き付けた状態でネチネチと義勇を言葉攻めしていた。そんな様子を見た甘露寺は何故か見惚れていた。

 

 

伊黒が指を指している所を見ると、『水柱・冨岡義勇』が少し離れた場所にたっていた。それを見た甘露寺はまたしてもときめいていた。

 

 

しのぶが炭治郎に質問があると言って炭治郎は声を出そうとするが、喉が渇いているのか声が出ず咳き込んでしまった。それを見たしのぶは小さい瓢箪を取り出し、中にある鎮痛剤入りの水を飲ませた。

 

 

喉が潤った炭治郎は『妹は人を喰ってはいない。人は傷つけない』と言ったが、義勇以外信じてはいなかった。その時、甘露寺は『お館さまがくるまで待ったほうがいいのでは❓』と皆を止めていた。

 

 

「妹は俺と一緒に戦えます❗鬼殺隊として人を守るために戦えるんです❗だから」

 

 

『信じてください』と言おうとした時に

 

 

「オイオイ何だか面白いことになってるなァ」

 

 

伊黒とは違う声が聞こえそちらを向くと

 

 

「鬼を連れてた馬鹿隊員はそいつかいィ。一体全体どういうつもりだァ❓」

 

 

襟元から腰にかけて隊服を着崩し、見えている肌には無数の切り傷をつけた男性『風柱(かぜばしら)不死川(しなずかわ) 実弥(さねみ)』が、禰豆子が入っている箱を担いでいた。

 

 

「不死川さん、勝手なことをしないでください」

 

 

実弥の行動にしのぶは注意をするが、実弥は聞く耳を持たず

 

 

「鬼が何だって❓坊主ゥ。鬼殺隊として人を守るために戦えるゥ❓そんなことはなァ、ありえねぇんだよ馬鹿がァ❗」

 

 

実弥は左腰に差していた刀を右手で逆手で抜き、回して順手に持ち替えると、禰豆子が入っている箱に刀を突き刺そうとした。だが刺さる瞬間、茜鷲が実弥の周りを飛び、実弥の刺突を妨害。そして箱を誰かが奪い取った。

 

 

「お前の方こそ一体何をしようとした❓」

 

 

箱を奪い取ったのは響鬼(人間の姿)だった。茜鷲は実弥から離れ、炭治郎の側をまるで守るかのように飛んでいた。響鬼は箱を炭治郎の側に優しく置き

 

 

「もう一度聞く。"お前の方こそ一体何をしようとした❓"」

 

 

実弥の方を向き、怒りを露にしながら実弥を指差した。

 

 

「誰だァ、手前はァ❓部外者が何でここにいんだよォ❓」

 

 

実弥は青筋を立てながら響鬼に言うと

 

 

「俺のことはどうでもいい。それよりも貴様ら柱は(義勇以外)馬鹿ばっかりか❓殺すだの何だの、可哀想だの何だの。裁判は有罪な(ころす)のか無罪な(ころさない)のか決めるためのモンだろうが」

 

 

「勝手に"俺の弟子"の生殺与奪(せいさつよだつ)を決めんじゃねぇ❗」

 

 

響鬼も青筋を立てながら怒りを露にした。

 

 

「(あの人、あの子を庇って怒ってる。素敵)」

 

 

甘露寺は響鬼の姿を見てまたもやときめいていた。だが、甘露寺と義勇以外の柱は馬鹿にされたことに腹を立て

 

 

手前(てめえ)は誰の前にいるのか派手に分からねぇみたいだな」

 

 

天元の言葉を筆頭に腹を立てた面々が各々の刀に手を伸ばすと

 

 

「止めろ。もうじきお館さまがいらっしゃるぞ」

 

 

義勇に止められ、渋々刀から手を離した。

 

 

「皆の無礼、この場を持って謝罪します」

 

 

義勇は響鬼の前まで進むと、響鬼に向かって頭を下げた。

 

 

「あんたが頭を下げる道理は無い。頭を下げるのは、あんたとあそこにいる桜色の髪の女性"以外全員"さ」

 

 

響鬼は義勇と甘露寺、いや蜜璃以外が謝るべきだと言った。そして響鬼は蜜璃の所まで歩くと

 

 

「先程は我が弟子を立てていただきありがとうございます。よろしければ貴女の名前をお伺いしても❓」

 

 

蜜璃の名前を聞いてきた。

 

 

「えっ❗❓か…、甘露寺 蜜璃…、です。鬼殺隊で恋柱をしています」

 

 

蜜璃は驚きつつも名前と階級を言った。

 

 

「甘露寺蜜璃か…、素敵な名前ですね。俺に恋人がいなかったら、申し込んでいましたね」

 

 

蜜璃の答えを聞いた響鬼は蜜璃の名前を褒めた。

 

 

「ありがとうございます❗恋人がいるなんて素敵❗お相手はどんな方なのですか❓」

 

 

蜜璃は名前を褒められたことが嬉しくてお礼を言い、響鬼の恋人のことを聞いてきた。

 

 

「名前は胡蝶カナエ。鬼殺隊の"元"花柱(はなばしら)だったんだ」

 

 

響鬼の恋人の名前を聞いた柱たちは驚いていた。特にしのぶは驚きの余り立ち上がってしまうほどだった。するとそこに

 

 

「「お館さまのお成りです」」

 

 

二人の子供の声がしてそちらの方を振り向くと、部屋の奥から一人の男性が少女二人に寄り添われて現れた。

 

 

「よく来たね。私の可愛い剣士(こども)たち」

 

 

「お早う皆。今日はとてもいい天気だね。空は青いのかな❓顔ぶれが変わらずに半年に一度の"柱合会議"を迎えられたこと、嬉しく思うよ」

 

 

現れたのは体格は細身。顔は鼻から上がまるで火傷の痕みたいに爛れている男性『産屋敷(うぶやしき) 耀哉(かがや)』だった。

 

 

「炭治郎、俺たちの真似をするんだ。貴方も「俺は下がるよ」…そうですか」

 

 

義勇はその場に膝を付いた。炭治郎は義勇の真似をしながらふと横を見ると、残りの柱全員が義勇と同じ体制をしていた。そして響鬼は義勇と炭治郎の後ろに立った。

 

 

「お館さまにおかれましても御壮健(ごそうけん)で何よりです。益々の御多幸(ごたこう)を切にお祈り申し上げます」

 

 

実弥が挨拶をすると、炭治郎と響鬼は『誰っこの人❗❓』と声には出さなかったが、若干引いていた。そして実弥は炭治郎のことを聞き出すために耀哉に質問をする。耀哉は炭治郎と禰豆子のことは容認しており、柱の皆にも認めるよう言った。

 

 

蜜璃はそれに従い、無一郎はすぐ忘れるからと保留。だが義勇以外の柱はすぐには認めなかった。そこで耀哉は左近次からの手紙を娘の一人に読ませた。そこには『もし禰豆子が人を襲った時は、炭治郎、左近次、義勇の三人が切腹をする』と書かれていた。

 

 

炭治郎は禰豆子のために命を掛けている義勇に涙を流した。すると

 

 

「耀哉殿、その命を掛ける者の名に俺の名も加えていただきたい」

 

 

と今まで閉口していた響鬼が口を開いた。

 

 

「その声は響鬼さんだね。久しぶりだね、声を聞く限り息災のようだね」

 

 

「おやっさんの護衛で会ったきりだから数ヶ月ぶりですな。そちらは"呪い"が進行しているようですが、息災で何よりです」

 

 

と親しげに互いが挨拶をした。柱たちは親しげに話す響鬼に驚いていると

 

 

「あぁ皆には言って無かったね。彼は"猛士"と言う"人ならざる者"を狩る我々鬼殺隊と似たような組織の一人だよ」

 

 

「猛士が鬼の一人、音撃の戦士響鬼だ。よろしくな」

 

 

耀哉の説明に続く形で響鬼が自己紹介をした。

 

 

「猛士は私たち鬼殺隊と時を同じく平安の時代に発足された組織なんだ。我々鬼殺隊も幾度が彼らに助けられたことがあるんだよ」

 

 

「けど互いの事情が事情だったから、不用意に互いに干渉してはならない決まりだったんだ。鬼と分かれば問答無用で刀を向けてくる輩もいるしな」

 

 

響鬼はそう言うと、しのぶや実弥の方を睨んだ。睨まれた二人は響鬼を睨み返すが、彼には何処吹く風だった。

 

 

「話は炭治郎と禰豆子のことに戻すが、いくらお前らが否定しようにも、襲わないことに命を掛ける者が四人もいるんだ。否定する側もそれなりの材料を提示しなければならないのは分かっているのか❓」

 

 

響鬼は話の路線を戻し、先程の否定していた者たちに睨みを効かす。否定していた者たちは否定する材料が無いため、黙ってしまった。

 

 

「それに炭治郎は鬼舞辻と遭遇している」

 

 

そのことに柱は驚き、響鬼は『それ今言うことか❓』と呆れていた。案の定柱は次々と炭治郎に詰め寄り、無惨のことを聞き出そうとする。だが炭治郎の前に響鬼と義勇が立ちはだかり、他の柱は止まった。

 

 

そして耀哉が人差し指を唇に近づけ『静かに』のジェスチャーをすると、騒いでいた柱たちは静かになった。

 

 

「鬼舞辻はね炭治郎に追っ手を放っているんだよ。その理由は単なる口封じかもしれないが、私は初めて鬼舞辻が見せた尻尾を掴んで離したくない」

 

 

「恐らく禰豆子にも鬼舞辻にとって予想外の何か(・・・・・・)が起きているのだと思うんだ。わかってくれるかな❓」

 

 

耀哉は炭治郎を容認した理由を説く。これで分かってくれる。そう思っていた。だが実弥だけは頑なに否定を貫いていた。実弥は『鬼が人を襲うこと』を証明しようと禰豆子が入っている箱を掴もうとした。が、寸前で響鬼が実弥の伸ばしていた腕を掴んだ。

 

 

「放せよォ、鬼」

 

 

「絶対やだね。お前は禰豆子ちゃんを傷つけようとしている。大方、自分の"稀血"で禰豆子ちゃんから襲わせる算段だったんだろうが、俺の目が見えてる内はそんなことはさせない」

 

 

響鬼は掴んでいる実弥の腕をへし折る勢いで力を込め、遂に実弥の腕を"へし折った"。実弥は余りの痛さに声が出ず、気絶してしまった。

 

 

「お前らも覚えとけ。炭治郎や禰豆子ちゃん。ましてや俺たち音撃の戦士に危害を加えるなら、こいつと同じ、いや、これ以外の苦痛を与えてやる」

 

 

響鬼はへし折った腕を放し、実弥の頭を踏みつけ、睨みを効かす。義勇以外の他の柱は青ざめた顔で響鬼を見ていた。

 

 

「響鬼さん、あまり私の剣士(こども)たちをいじめないでほしい。炭治郎、君たちのことを快く思わない者もいるだろう。証明しなければならない。これから炭治郎と禰豆子が鬼殺隊として戦えること、役に立てること」

 

 

「十二鬼月を倒しておいで。そうしたら皆にみとめられる。炭治郎の言葉の重みが変わってくる」

 

 

耀哉は響鬼を嗜め、炭治郎にこれからのことを語った。

 

 

「俺は…、俺たちは鬼舞辻無惨を倒します❗俺と禰豆子が必ず❗悲しみの連鎖を断ち切る刃を振るう❗」

 

 

炭治郎は己の覚悟を叫びだした。耀哉は

 

 

「今の炭治郎にはできないからまず十二鬼月を一人倒そうね」

 

 

と話した。炭治郎は余りの恥ずかしさに顔が赤くなり、他の柱も笑うのを堪えていた。だが、

 

 

「耀哉殿、炭治郎は十二鬼月を一人倒しているぞ」

 

 

この空気を壊したのは響鬼だった。響鬼は那田蜘蛛山で起きたことを話した。

 

 

「なるほど。それが本当ならすごいことだ。義勇、響鬼さんが言ったことは本当かい❓」

 

 

「御意。彼が言っていることは全て事実です。俺もこの目で見ておりました」

 

 

耀哉の質問に義勇が答え、耀哉は顎に指を添えて少しの間考えると

 

 

「皆、炭治郎を"十人目"の柱に任命したい」

 

 

と言い出した。これには他の柱はもちろん、響鬼までもが驚き

 

 

「ちょっと待っていただきたい耀哉殿。柱になるには『階級が甲であること』と『鬼を五十体以上、若しくは十二鬼月を一体倒す』の二つの条件が必要なはず」

 

 

「炭治郎は確かに十二鬼月を倒したが、階級はまだかなり下のはずだ」

 

 

響鬼は柱になる条件と炭治郎の階級のことを話すが

 

 

「これもまだ言って無かったね。炭治郎は既に"階級は甲"だよ」

 

 

耀哉が言ったことに当人である炭治郎を含め全員が驚いていた。

 

 

「炭治郎、右の拳の甲をこちらに向けて『階級を示せ』と言ってごらん」

 

 

炭治郎は言われた通りにすると、右手の甲に"甲"の文字が浮かび上がった。これは"藤花彫り"と呼ばれる特殊な技法が使われているのだ。

 

 

本来なら最終選別を合格した者の階級は全て癸になるはずなのだが、炭治郎は音撃の戦士である上に、藤襲山にいた鬼を殆んど倒しただけでなく、他の候補生も助けていたのだ。

 

 

更に決定的なのは最終選別が終わった時、娘の一人、かなたを玄弥から助けたのが原因だった。炭治郎に階級を彫ったのは何を隠そう彼女だったのだ。

 

 

「これで柱になる条件は全て整ったね。どうだい炭治郎、柱になってはくれるかい❓」

 

 

炭治郎は暫く考えると

 

 

「大変嬉しくは思いますが、俺はまだ未熟の身。義勇さんたちと肩を並べることはできません。申し訳ありませんが」

 

 

断ろうとした炭治郎の言葉を遮ったのは響鬼だった。彼は炭治郎の肩に手を置いて

 

 

「受けておけ炭治郎。実力云々じゃ無い。実力なら柱に並ぶさ。師匠である俺が言うんだ、自信を持て」

 

 

炭治郎を説得した。炭治郎は更に考えて

 

 

「分かりました。柱の件、慎んでお受けいたします」

 

 

柱になることを承諾した。

 

 

「ありがとう炭治郎。柱の名前は『鬼柱(おにばしら)』にしようか」

 

 

今ここに新たな柱が誕生した。その名は鬼柱、竈門炭治郎。

 

 

この先にある悲しみの連鎖を断ち切る刃を振るう男であり、唯一人喰い鬼を倒せる音撃の戦士である。

 

 

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