鬼滅の刃 清めの音(ね)を持つ鬼   作:レイファルクス

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第18話

 

禰豆子が人を襲わないと証明された数日後、炭治郎の下に二人の人間が見舞いに来た。那田蜘蛛山で助けた村田隊士と同期の玄弥だった。

 

 

村田隊士は以前の任務の子細報告のため、柱合会議に召喚されたのだが、余りにもピリピリした空気の中での報告だったので、生きた心地がしなかったと愚痴を溢していた。そして玄弥は純粋に炭治郎の見舞いに来ていたのだ。

 

 

「玄弥、一つ聞きたいんだけど、もしかして風柱の実弥さんとは知り合い❓」

 

 

「あぁ言って無かったな。風柱の不死川実弥は俺の兄ちゃんだ」

 

 

炭治郎は玄弥と実弥の名字が一緒だったのが気になり、玄弥に聞くと、兄弟であることがわかった。そして炭治郎は自分の師匠である響鬼が実弥にしたことを謝ると、

 

 

「あぁ兄ちゃんは結構過激なところがあるし。そうなっても仕方ないと思うぞ❓それにしても、兄弟揃って腕をへし折られるなんて」

 

 

ある意味兄をディスっていた。

 

 

「そう言えば炭治郎、お前柱になったんだって❓おめでとう」

 

 

玄弥は然り気無く話題を変えた。それに乗った炭治郎はお礼を返した。するとそこにカナヲと以前カナヲが連れてきた女性が入ってきた。

 

 

「炭治郎紹介するね。カナエ姉さんよ」

 

 

「貴方が竈門炭治郎君ね。あの時はバタバタして自己紹介が遅れちゃったわね。私は胡蝶カナエ、鬼殺隊で元花柱よ。よろしくね」

 

 

「は、はじめまして。竈門炭治郎です。此度お館さまの任命で『鬼柱』となりました。よろしくお願いします❗」

 

 

カナエは炭治郎と目が合うと自己紹介をした。炭治郎も連れて挨拶をした。

 

 

「つかぬことをお聞きしますが、貴女は俺の師匠である響鬼さんと恋仲であると聞きましたが」

 

 

「あら響鬼さんのお弟子さんなのね。そうなのよ。響鬼(あの人)は私の恋人であり命の恩人なのよ」

 

 

炭治郎は響鬼の恋人よりも、命の恩人の方に驚いた。

 

 

時は遡ること数年前、当時花柱だったカナエは夜中にある町を巡回していた。すると屋根の上に鬼がいたのだ。その鬼は髪の色は"頭から血を被った"ような色をしており、瞳の色は虹色で左目に"上弦"、右目に"弐"と刻まれており、そして二つの鉄扇を武器にする男の鬼だった。

 

 

カナエは直ぐ様戦うが、暫くすると呼吸が出来なくなってしまった。その隙を付かれ殺されそうになった時、"紫色の炎"がその鬼を襲った。その炎は響鬼が放った鬼火であり、カナエから遠ざけることに成功した。

 

 

響鬼は鬼火と烈火剣を駆使し、その鬼に攻撃し一進一退の攻防を繰り広げた。すると朝日が上り、鬼は撤退。響鬼は顔だけ変身を解き偶々持っていた回復薬(猛士特性)をカナエに飲ませ、その場を去った。後日カナエは休暇のため炭治郎が訪れた店に入ると、響鬼に遭遇。その後何度か通いカナエから告白。めでたく恋仲となった。

 

 

カナエの恋バナを聞いたカナヲは目をキラキラさせ、炭治郎、善逸、玄弥は目を点にしていた。因みに村田隊士はカナエが来た瞬間、そそくさと逃げた。

 

 

カナエは両手を一回軽く叩き

 

 

「これで私の話はおしまい。炭治郎君と伊之助君は"機能回復訓練"に入ってくださいね。善逸君は明日から訓練に参加してね」

 

 

そう言われて炭治郎と伊之助はカナエとカナヲに連れられて病室を出ていった。暫くすると、連れていかれた二人が戻ってくるが、なぜかやつれており、善逸が理由を聞こうとすると、『ゴメン』とだけ返されて善逸は不安になった。そして翌日、炭治郎、伊之助に加え、善逸が機能回復訓練が行われている道場に入ると

 

 

「善逸さんは今日から訓練参加ですのでご説明させていただきますね。まずはあちら。寝たきりで硬くなった体をあちらにいるなほ、すみ、きよの三人がほぐします」

 

 

「それから反射訓練。湯飲みの中には薬湯が入っています。お互いに薬湯をかけ合うのですが、湯飲みを持ち上げる前に相手から湯飲みを押さえられた場合は湯飲みを動かせません」

 

 

「最後は全身訓練です。端的に言えば鬼ごっこですね。反射訓練とこの全身訓練は(わたくし)神崎 アオイとあちらの栗落花 カナヲのどちらかがお相手します」

 

 

初めてやる善逸にアオイは丁寧に説明した。そこに善逸は炭治郎と伊之助を道場の裏に"無理矢理"連れて行き、正座を強要した。当然伊之助は反発するが、善逸に殴られ回転しながら壁にぶち当たった。炭治郎は善逸に伊之助に謝るよう言うが

 

 

「お前が謝れ❗お前らが詫びれ❗天国にいたのに地獄にいたような顔してんじゃねぇぇえええ❗女の子と毎日キャッキャキャッキャしてただけのくせに何をやつれた顔して見せたんだよ土下座して謝れよ切腹しろ❗」

 

 

「いいか❗❓女の子に触れるんだぞ体揉んでもらえて❗湯飲みで遊んでる時は手を❗鬼ごっこの時は体触れるだろうがアア❗」

 

 

「女の子一人につきおっぱい二つお尻二つ太もも二つついてんだよすれ違えばいい匂いがするし見てるだけでも楽しいじゃろがい❗」

 

 

今の炭治郎にとって善逸の三つ目の台詞は明らかに"禁句"だった。炭治郎は密かにカナヲに恋心を抱いており、カナヲもまた炭治郎に恋心を抱いていた。つまり、邪心を抱く善逸は今最も"カナヲに触れてほしくない男"だったのだ。

 

 

因みに伊之助はと言うと、若干嫉妬する位だった。何故なら、伊之助は"恋"と言うもの"そのもの"を理解しておらず、邪な思いを"持っていない"からであった。

 

 

炭治郎は善逸の肩を掴むと

 

 

「善逸、ちょっと頭、冷やそうか」

 

 

ハイライトが無い目で善逸を見た。流石の善逸も炭治郎の目を見ては興奮から冷め、ガタガタと震え出した。

 

 

裏から戻った炭治郎たちは遂に機能回復訓練を始める。が、その前に炭治郎は善逸、伊之助を除く皆を集め、話をした。そして訓練が開始する。が、炭治郎と伊之助は通常通りの柔軟だが、善逸だけは違った。

 

 

なほ、すみ、きよの三人は持てる力を全て使い、善逸を"痛め付けた"。これには流石の善逸も悲鳴を上げる。そして反射訓練での最初の相手はアオイだった。伊之助は勝ち、炭治郎は負ける。そして善逸の番となったが、アオイは湯飲みに入っている薬湯を"全て"かけたのだ。もう一度言おう。薬湯を"全て"かけたのだ。全てとは、ちゃぶ台にある湯飲みの薬湯を"全て"である。

 

 

これには善逸も堪らなかった。そして最後の全身訓練では、炭治郎と伊之助はアオイには勝った。だが善逸は触れようとするとパンチやキックが飛んでくる始末であった。

 

 

なぜ善逸"だけ"がこんな仕打ちなのか、それは訓練が始まる前まで遡る。その時炭治郎はカナヲ、アオイ、なほ、すみ、きよの五人を呼ぶと

 

 

「善逸だけは全力でやってほしい。遠慮はいらないので」

 

 

と言っていたのだ。五人は炭治郎たちの裏のやりとりを"聞いていた"ので、炭治郎のお願いを承諾した。

 

 

善逸はボロボロになりながらも相手がアオイからカナヲに変わる。けど炭治郎はおろか伊之助と善逸もカナヲには勝てなかった。

 

 

それから五日間、炭治郎たちはカナヲに負け続ける日々を送った。流石に炭治郎はアオイには勝てるようになったが、カナヲには勝てなかった。負け続けた伊之助はへそを曲げ、善逸も早々に諦め、遂には参加するのは炭治郎のみとなってしまった。アオイは『貴方も来たくなければ来なくてもいいですよ』と言うが、炭治郎は『自分が勝てば二人に勝つ方法を教えてあげられる』と言って挑み続けるが、十日間負け続けた。

 

 

ずぶ濡れになった炭治郎は病室に戻る最中、自分とカナヲの違いを考えていた。なほ、すみ、きよの三人が呼んでいる声も聞こえない位に。そして袖を引っ張られようやく三人に気付き声をかける。すると三人は炭治郎に手拭いを渡したのだ。炭治郎はお礼を言いながら受け取った手拭いで拭いていると

 

 

「あの炭治郎さんは全集中の呼吸を四六時中やっておられますか❓」

 

 

と聞いてきた。炭治郎は心当たりがあるようで

 

 

「それって"全集中・常中(じょうちゅう)"のこと❓」

 

 

と聞き返していた。

 

 

「知っておられるのですか❗❓」

 

 

「うん。カナヲから聞いたんだ」

 

 

びっくりしている三人になぜ知っているのか種明かしをした。

 

 

「知っておられるのなら話は早いです。その常中ができるのとできないのでは天と地程の差が出るそうです。柱の皆さんとカナヲさんはできますよ。頑張ってください」

 

 

三人に励まされ、炭治郎は訓練の合間、常中を会得するための特訓を開始した。

 

 

 

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