鬼滅の刃 清めの音(ね)を持つ鬼   作:レイファルクス

22 / 76
第22話

 

 

指令が言い渡された炭治郎は早速善逸と伊之助に内容を伝えた。そして炭治郎たちは各々の隊服と羽織を着用。炭治郎は禰豆子が入った箱を背負い蝶屋敷を後にした。

 

 

三人は列車が止まっている駅に到着すると、余りにも人が多かったため、伊之助は炭治郎の背に隠れるように進んだ。すると目の前に"無限"と彫られたプレートを付けた『蒸気機関車』が停車していた。

 

 

伊之助は蒸気機関車を知らないので、列車のことを"生き物"と勘違いしており、攻撃しようとする。だが列車のことを知っている善逸がそれを止める。炭治郎はカナヲから列車のことを聞かされているが、実物を見るのがこれが初めてだった。

 

 

善逸が切符を買いに行っている間、一悶着あったが、三人は無事に❓列車に"飛び乗った"。

 

 

客車の中で同じ任務に着く杏寿郎を探していると、『うまい❗』と大きな声で連呼している男性がいた。側まで寄ってみると、杏寿郎が大量の駅弁を食っていた。

 

 

炭治郎と杏寿郎が色々話していると列車が出発。徐々にスピードが増していくと伊之助が窓から身を乗り出した。

 

 

(良い子はマネしないでね)by作者

 

 

窓から身を乗り出す伊之助を善逸は中に戻そうとしていた。

 

 

「危険だそ❗いつ鬼が出てくるかわからないんだ❗」

 

 

杏寿郎が注意すると善逸と伊之助は耳を疑った。

 

 

「短期間のうちにこの汽車で四十人以上の人が行方不明となっている❗数名の剣士を送り込んだが全員消息を絶った❗だから柱である俺が来た❗」

 

 

杏寿郎の説明に善逸は降りると言い出し、

 

 

「そして溝口少年❗君は柱に成り立てだ❗柱の仕事はどういったものか分からないだろう❗だから俺との合同任務となったのだ❗」

 

 

「俺は竈門です❗ご教授よろしくお願いします❗」

 

 

杏寿郎の仕事ぶりを見学するために炭治郎が呼ばれたのだ。

 

 

するとそこに車掌が現れ、切符に切り込みを入れた。そして立ち去ろうとした時、

 

 

「車掌さん❗危険だから下がってくれ❗火急のこと故帯刀は不問にしていただきたい❗」

 

 

杏寿郎が刀を持って立ち上がった。視線の先にはいつの間にか鬼がいた。

 

 

「その巨躯(きょく)を❗隠していたのは血鬼術か気配も探りづらかったしかし❗罪なき人に牙を剥こうものならば」

 

 

「この煉獄の(あか)き炎刀がお前を骨まで焼き尽くす❗」

 

 

杏寿郎は抜刀しながら見栄を切り、

 

 

『炎の呼吸 壱ノ型 不知火(しらぬい)

 

 

素早く鬼の頚を斬った。そして炭治郎たちは弟子になることを志願し、杏寿郎はそれを受ける。

 

 

だがそれは『夢の中の話』だった。そして先頭車両の上には

 

 

「夢を見ながら死ねるなんて幸せだよね」

 

 

鬼舞辻の血に順応した下弦の壱がいた。

 

 

「言われた通り切符を切って眠らせました。どうか早く私も眠らせてください。死んだ妻と娘に会わせてください」

 

 

車掌は客車の床にある"左手"に向かって喋っていた。その左手は甲に口があり、親指の付け根に目がついていた。左手は『お眠り』と囁くと車掌は倒れた。左手の後ろには数人の子供がおり、

 

 

「俺は暫く先頭車両から動けない(・・・・・・・・・・・・)。準備が整うまで頑張ってね。幸せな夢を見るために」

 

 

そう言うと子供たちは返事をした。

 

 

その頃善逸は禰豆子と一緒に桃園を走り回っている夢を見ており、伊之助は狸になった炭治郎、鼠になった善逸、兎になった禰豆子と一緒に洞窟を探検する夢を見ていた。そして杏寿郎は先程見ていた夢とは違い、父に柱になったことを報告しており、弟の千寿郎(せんじゅろう)を励ましている夢を見ていた。

 

 

そして炭治郎は生家がある雲取山(くもとりやま)におり、そこには"死んだはず"の弟と妹がおり、炭治郎は思わず抱きついて泣き出した。

 

 

その頃先頭車両にいる下弦の壱は

 

 

「ねんねんころりこんころり。息も忘れてこんころり。鬼が来ようとこんころり。腹の中でもこんころり」

 

 

子守唄のような歌を歌っていた。下弦の壱、魘夢(えんむ)の作った縄は繋げた者の夢の中に侵入できる特殊な力を持つ。先程の子供たちは炭治郎、善逸、伊之助、杏寿郎の四人の手首と自身の手首を縄で縛り、各々の夢の中へ侵入していた。

 

 

魘夢が見せる夢は無限には続いてはいない。夢を見ている者を中心に円形となっている。夢の外側には"無意識の領域"があり、そこには"精神の核"が存在していて、これを破壊されると持ち主は廃人になる。

 

 

杏寿郎の夢の中に侵入した女の子は"夢の壁"を見つけ、持っていた錐で壁を破る。杏寿郎の無意識の領域は所々燃えており、かなりの暑さがあった。そして女の子は杏寿郎の"精神の核"を見つけ、錐で砕こうとする。が、女の子本体の頚を杏寿郎の本体が"握った"。

 

 

通常、魘夢の術に掛かった者は動くことはできない。だが杏寿郎は"本能"で危険を察知し、精神の核の崩壊を阻止した。その頃炭治郎は未だ夢の中にいた。

 

 

炭治郎は母の葵枝(きえ)に言われ風呂の用意をするため家を出る。すると木の根元に"禰豆子が入っていた"箱が置かれていた。炭治郎は呆けて桶を蹴飛ばしてしまった。そして視線を戻すと箱は"消えていた"。

 

 

炭治郎は気にしながらも近くの川から水を汲もうとする。すると川に映っていたのは、"鬼殺隊の格好をした自分"だった。炭治郎は桶に水を入れるために桶を川に入れる。すると水面に映っていた"自分"が手首を掴み引き寄せ

 

 

「起きろ❗攻撃されている❗夢だ❗これは夢だ❗目覚めろ❗起きて戦え❗」

 

 

"もう一人の自分"に言われ、自分は汽車の中にいることを思い出す。だが、気がつくと"家族と一緒に食事をしていた"。炭治郎はどうすれば夢から覚めるのか考えていた。

 

 

同じ頃、現実の世界では禰豆子が箱から出てきたが、箱は座席の上に置かれており、禰豆子はでんぐり返しをしてしまい、床に落ちた。そして起き上がると、杏寿郎が女の子の頚を掴んでいる光景が見え、周囲の状況が把握できていなかった。

 

 

そして炭治郎の方を向くと、荒い息をしながら苦しそうな表情をして寝ていた。禰豆子は頭を撫でてもらおうと炭治郎を起こそうと揺するが、中々起きず。怒った禰豆子は頭突きを炭治郎にするが、炭治郎は石頭であるため自分の額が傷つき、血が流れた。遂に禰豆子は目から涙を流し、最後の手段として血鬼術を使い炭治郎を"燃やした"。

 

 

夢の中の炭治郎は自分の身体が急に燃えだしびっくりする。炭治郎は炎の中から禰豆子の匂いを感じた。そして鎮火した時には、炭治郎の服が隊服に変わっていた。すると炭治郎は立ち上がり外へ駆け出した。すると少し進んだ所に"禰豆子"が山菜が入った(ざる)を持って帰っている所だった。

 

 

炭治郎は俯き立ち止まるが、すぐに走り去る。それを末っ子の六太が呼び止めようとするが、炭治郎は立ち止まらず涙を流しながら走り去った。

 

 

その光景を見ていた少年は持っていた錐で壁を破り、無意識領域に足を踏み入れた。そこは一面青空が広がる暖かい空間であり、少年はその光景に目を奪われた。

 

 

同じ頃伊之助の無意識領域に侵入した少女は狭い洞窟の中で迷っていた。そこに伊之助の"本能"が現れ、少女を追いかけ回した。そして善逸の無意識領域に侵入した少年は真っ暗な世界で迷子になっていた。そこにハサミの切る音がして後ろを振り向くと、善逸の"本能"がハサミを持っており、少年を襲った。

 

 

一方炭治郎は未だ夢の中から"覚めない"でいた。どうすれば覚めるのか考えていると

 

 

「炭治郎刃を持て。斬るべきものはもう在る」

 

 

後ろに自分と同じ羽織と耳飾りをした父『炭十郎』が現れ、助言をした。

 

 

水面に映った自分、禰豆子の箱、背後に現れた父の言葉。これは全て"炭治郎自身の本能の警告"だった。

 

 

「(斬るべきものは在る。それはすなわち自分の頚❗けどもし違っていたら…。いや、迷うな❗自分で自分の頚を斬るんだ❗)」

 

 

炭治郎は刀を抜き、自分の頚に押し当て、"自害した"。

 

 

すると叫びながら"目を覚ました"。炭治郎は自分の頚に手を当てて生きてることに安堵した。そして自分の大声にびっくりして肘掛けに隠れた禰豆子に寄ろうとした時に"焼き切れている"縄が目に入った。

 

 

禰豆子の血鬼術"爆血"は人には無害だが、鬼には陽光と同じ作用があり、魘夢が作った縄"だけ"を焼き切ったのだ。

 

 

炭治郎は縄から鬼の匂いを微かに感じ、切符も匂いを嗅ぐと、そこからも鬼の匂いを嗅ぎとり、魘夢のからくりを見破った。炭治郎は杏寿郎、善逸、伊之助の三人も自分と同じだと分かり、禰豆子に縄を燃やさせた。炭治郎は禰豆子を心配させたこと、善逸たちの縄を燃やせたご褒美として頭を撫でた。

 

 

すると無意識領域に侵入していた子供たちが錐を持って炭治郎に襲い掛かった。

 

 

「邪魔しないでよ❗あんたたちが来たせいで夢を見せてもらえないじゃない❗何してんのよあんたも❗起きたなら加勢しなさいよ❗」

 

 

「結核だか何だか知らないけど、ちゃんと働かないならあの人(・・・)に言って夢見せてもらえないようにするからね❗」

 

 

炭治郎は涙を流している少年を見つめた。

 

 

病気の彼には害意が無くなっていた。何故なら、彼は炭治郎の心の中に入った時、光る小人、つまり"炭治郎の優しさの化身"に案内され精神の核の前まで来た。だが、炭治郎の核はとても暖かく、彼はその場で泣き出してしまった。そして炭治郎が自力で目覚めたと同時に現実世界に引き戻される際に小人の手を握った。そして小人は彼の心の中でずっと明るく暖かく照らしているので、彼はもう誰も襲わなかった。

 

 

炭治郎は錐を持った子供たちに手刀を首筋に当て気絶させた。炭治郎は禰豆子を連れて客車の連結部の所までくると、魘夢の匂いを嗅ぎとったが、余りの匂いに鼻を摘まんだ。そして屋根に飛び乗り禰豆子をその場で待たせ、屋根の上を走り先頭車両の所までくると魘夢が炭治郎に気づき

 

 

「あれぇ起きたの、おはよう。まだ寝てて良かったのに」

 

 

軽い感じで挨拶をした。そして炭治郎を再び眠らせどんな夢を見せようか話をする。だがそれは炭治郎の怒りに火をつけた。炭治郎は刀を抜き

 

 

「人の心の中に土足で踏み入るな❗俺はお前を許さない❗」

 

 

怒りを露にした。魘夢は炭治郎の耳飾りを見て、以前無惨の血を入れられた時に見た少年だと分かると微かに笑った。

 

 

『血鬼術 強制昏倒催眠(きょうせいこんとうさいみん)(ささや)き』

 

 

魘夢は自分に向かってくる炭治郎に血鬼術を使って眠らせる。炭治郎は血鬼術に掛かり眠るがすぐに覚醒する。魘夢は何度も血鬼術で炭治郎を眠らせるが、その度に炭治郎は自害して覚醒する。

 

 

魘夢が炭治郎に見せていた夢は『家族に責められる悪夢』だった。弟や妹、父や母が炭治郎炭治郎を責める。そして遂に炭治郎の怒りが頂点を超えた。

 

 

「言うはずが無いだろうそんなことを❗俺の家族が❗俺の家族を侮辱するなァアァアアアア❗」

 

 

『ヒノカミ神楽 円舞』

 

 

炭治郎は魘夢の頚を斬った。だが、手応えが殆んど無かった。炭治郎はかつて戦った累のことを思い出す。けどそれは杞憂に終わる。何故なら魘夢は"まだ死んではいなかった"。その証拠に斬った頚から肉塊を樹木のように"生やしていた"。

 

 

「頚を斬ったのにどうして死なないのか教えて欲しいよね❓いいよ。俺は今気分が高揚しているから。赤ん坊でもわかるような単純なことさ」

 

 

それ(・・)がもう本体ではなくなっていたからだよ。今喋っているこれ(・・)もそうさ。君がすやすや眠っている間に俺はこの汽車と"融合"した❗」

 

 

「この列車全てが俺の血であり肉であり骨でもある」

 

 

驚愕の事実に炭治郎は驚きつつも魘夢に斬りかかる。だが魘夢の頚"だった"物は屋根へと一体化した。炭治郎は四人の下へ駆け出すと、誰かが屋根を突き破った。その人物は

 

 

『爆裂覚醒』

 

 

「猪突猛進❗伊之助様のお通りじゃアアア❗」

 

 

覚醒した伊之助だった。炭治郎は伊之助に汽車全てが鬼になっていることを大声で伝えると

 

 

『獣の呼吸 伍ノ牙 狂い裂き』

 

 

屋根諸とも肉塊を斬った。伊之助が狂い裂きで肉塊を斬っている間、禰豆子は自分の"爪"で肉塊を攻撃していた。血鬼術を使えば早い話だが、血を使いすぎると眠ってしまうからなので、仕方なく爪で攻撃していたのだ。

 

 

そんな中、禰豆子は肉塊に腕を掴まれ、遂には四肢を拘束され捕まってしまう。しかし、その肉塊を善逸が全て斬った。

 

 

『雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 六連』

 

 

「禰豆子ちゃんは俺が守る」

 

 

善逸の言葉に"少しばかり"ときめくが、寝ていることに気づくと

 

 

『こんな人よりもお兄ちゃんに守ってもらった方が嬉しい』

 

 

と思っていた。

 

 

その頃炭治郎が肉塊を斬っていると

 

 

「うーん❗うたた寝している間にこんな事態になっていようとは❗よもやよもやだ❗柱として不甲斐なし❗穴があったら入りたい❗」

 

 

杏寿郎が覚醒し客車に衝撃が走る。炭治郎はその衝撃に耐えきれず転げると、杏寿郎が炭治郎の側まで来た。杏寿郎の話では、汽車は八両編成であり、杏寿郎は後方五両を守る。そして前方三両を善逸と禰豆子に任せ、炭治郎と伊之助は頚を探すとのことだった。だが炭治郎は今鬼は列車と融合していることを言おうとすると

 

 

「どのような形になろうとも鬼である限り急所(くび)はある❗俺も急所を探りながら戦う❗君も気合を入れろ❗」

 

 

そう言って後方へ向かった。炭治郎は伊之助を探しながら肉塊を斬っていると伊之助の声が"上から"聞こえた。どうやら屋根の上を走っているようだ。伊之助は既に全力の漆ノ型で急所を見つけており、そこへ向かっているようだ。

 

 

炭治郎も伊之助を追いかけるように先頭へと向かった。そして伊之助が先に到着する。そこにいた運転手が出ていくように言うと、肉塊が腕のような形になり、伊之助を捕まえようとする。

 

 

伊之助は刀を使い腕を斬るが、数が多く遂に捕まる。だが

 

 

『水の呼吸 陸ノ型 ねじれ渦』

 

 

炭治郎が到着し、ねじれ渦で拘束していた腕を斬った。炭治郎は匂いで急所の位置を探り、伊之助に伝える。

 

 

『獣の呼吸 弐ノ牙 切り裂き』

 

 

伊之助は床を斬ると、そこから見えたのは"巨大な頚の骨"だった。炭治郎は滝壺で骨を斬ろうとするが、肉塊が壁となり届かず、斬られた床が塞がった。その後も肉塊は腕となり二人に襲い掛かる。炭治郎は伊之助と息を合わせて連撃をしようと提案し、伊之助は承諾する。

 

 

そしていざやろうとすると

 

 

『強制昏倒催眠・(まなこ)

 

 

魘夢の血鬼術が発動し、眠ってしまう。だが、夢の中で自害し、覚醒する。そして何度も眠っては自害を繰り返し、炭治郎はまた自害しようとする。すると

 

 

「夢じゃねぇ❗現実だ❗罠にかかるんじゃねぇよ❗つまらねぇ死に方すんな❗」

 

 

伊之助に止められた。さっきのは炭治郎が眠らされたと"勘違い"してしまったからの行動だった。なら何故伊之助は無事なのか。その答えは簡単だった。伊之助は猪の頭の被り物をしているため、視線がどっちなのか分からないのだ。

 

 

だが運転手が子供たちが持っていたのと同じ錐を伊之助に向け、刺そうとした。しかし炭治郎が身を楯にして伊之助を庇い

 

 

『獣の呼吸 肆ノ牙 切細裂き』

 

 

伊之助が再び床を斬り骨を露出させる。そして

 

 

『ヒノカミ神楽 碧羅(へきら)(てん)

 

 

炭治郎が魘夢の頚の骨を断った。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。