どうやら具合が悪いと言って部屋から出て来ないようだ。それを聞いた伊之助は早速まきをがいる部屋、つまり女性たちが歩いて来た方へ向かった。
伊之助は今、とてつもないストレスを感じていた。伊之助は感覚が鋭く、物に触れていなくても距離などを知ることができる。だがそれは主に上半身で感じており、服などを着ると感覚が鈍ってしまうのだ。おまけに声も出すことは許されず、情報収集も難儀していた。
そのため、伊之助のストレスは溜まる一方だった。
一方まきを当人は"帯に縛られていた"。まきをは宇随の定期連絡のため手紙を書いていた。だがそれを"何者"かに感づかれてしまい、拘束されてしまった。
一方伊之助はまきをの部屋の近くまで来ていた。伊之助は妙な感覚を感じており、様子を伺っていた。そして覚悟を決めて部屋の前まで行き、一気に襖を開ける。すると部屋は辺り一面無数の"傷"があり、布団もズタズタにされ中身の綿が散らばっていた。そして微かに風を感じ、伊之助は首を傾げる。
「(風…、窓は開いてないのに)」
そして伊之助は持ち前の感覚で風がどこから吹いているのか見破った。
「(そうか❗天井裏かっ❗ここにいたのはまきをと鬼だ❗今は昼間だから上に逃げたな❗)」
伊之助は中身が入っている丼を掴むと
「おいコラ❗バレてんぞ❗」
天井に向けて投げた。丼は割れたが、天井裏から"何者か"が逃げる音がした。
「逃がさねぇぞ❗」
伊之助は追いかけ、壁を殴って壊して逃亡者を捕まえようとする。が、その手前の部屋から男性が出てきてしまい、男性諸共殴ってしまい、壁には罅が入ったが壊れはせず。逃亡者を"下"へ逃がしてしまった。
伊之助は尚も追いかけるが、気配を感じづらく、完全に見失ってしまった。
「邪魔が入ったせいで見失っちまった…❗」
一方善逸がいる京極屋では、善逸が正気を取り戻していた。
「(なんか俺、自分を見失ってた……。俺は宇随さんの奥さんの"雛鶴"さんを探すんだったよ。三味線と琴の腕を上げたってどうしようもないだろうよ)」
(善逸よ、三味線の腕は上げといた方が良いぞ❓)by作者
善逸は廊下を歩きながら持ち前の聴覚を活かし、聞く耳を立てる。すると女の子が"泣いている"声が聞こえ、そこへ向かった。そして到着すると、散らかった部屋の中で一人の女の子が泣いていた。
善逸は女の子に声をかけると、女の子は"更に"泣いてしまった。善逸はその子を慰めていると
「アンタ、人の部屋で何してんの❓」
部屋に"誰か"が入って来た。その人は京極屋の花魁『
「(人喰い鬼の音だ。今後ろにいるのは人喰い鬼だ。これ上…、上弦の鬼じゃないの❓音やばいんだけど、静かすぎて逆に怖いんだけど)」
「オイ、聞こえないのかい❓」
返事をしない善逸に蕨姫花魁は苛立ちが増し、威圧を掛ける。部屋の外にいた他の女の子たちが善逸がいつ入ったのか言うが、それは彼女の"怒りの火"に油を注ぐ行為だった。当然彼女は苛立ちが更に増し、女の子たちはへたり込む。
善逸は勝手に入ったことを謝り、理由を言う。けど彼女は善逸の顔を見るなり罵詈雑言を浴びせる。そして泣いていた女の子の側でしゃがむと、その子の耳を引っ張った。少し"鬼の力"が出ているのか、耳から血が流れ、千切れそうになる。それを善逸が彼女の手を掴んで止めた。
遊郭にある店が開店準備を終えて店を開け始める時間帯、とある一角の暗闇に隠れる一人の男性がいた。
しのぶの逆鱗に派手に触れた『幼女趣味の人さらい地味柱』こと音柱の宇随天元だった。彼は今、"命の危機"に晒されている。何故なら、『鋼鉄の黒い魔人』ならぬ『鋼鉄の黒い蝶人』こと胡蝶しのぶに命を狙われていた。
「(胡蝶の奴、派手な俺をこんな地味な所に追い込ませるなんて、どんな神経してやがんだ❗❓)」
宇随は物陰に隠れながら周囲の様子を伺う。しのぶの気配は感じられず、いざ出ようとした時
「見つけましたよ、宇随さん」
しのぶに見つかってしまった。宇随は壁際まで追い込まれ、しのぶは羽織の袖から数本の"試験管"を取り出す。その試験管には見るからに怪しい"液体"が入っていた。
「おい胡蝶❗その液体は何だ❗❓」
宇随は試験管の中身について聞くと
「これですか❓実は以前、何回か炭治郎君と響鬼さんの任務に"同行"させていただいたことがありまして。その時に"偶々入手"した『新作の毒』です」
しのぶはニッコリ笑って中身の説明をした。宇随は『なぜそれを取り出した』のか聞くと
「毒に耐性がある『
「今派手に"実験"って言ったよな❗❓それと地味に訂正してんじゃねぇ❗❓」
宇随は若干落ち着きを取り戻したのか、しのぶの言葉を聞き逃さず、ツッコミを入れた。だがしのぶは聞く耳を持たず、試験管を指の間で挟み
「さぁ、"覚悟"を決めてくださいね」
ハイライトが消えた目で宇随を見ながら近づいた。
しのぶは宇随にこの任務が終わった後、アオイとなほに謝るよう"確約"を取り付けた。