鬼滅の刃 清めの音(ね)を持つ鬼   作:レイファルクス

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第32話

 

 

天元が妻たちの機嫌を宥めている時、伊之助が『斬った蚯蚓帯共が上の穴から逃げた』と騒いだ。そして天元たちは上の穴から出て蚯蚓帯を追いかけた。

 

 

「どけどけェ❗宇随様のお通りだ❗」

 

 

天元は物凄いスピードで炭治郎たちの所へ屋根の上を走っていた。伊之助と善逸もこれ以上離されないために全力疾走していた。

 

 

そして炭治郎と戦っていた堕姫の下へ先程の蚯蚓帯が堕姫の体に刺さった。いや、"吸収"されていた。

 

 

炭治郎はすぐさま攻撃するが、その場に堕姫はいなかった。堕姫は屋根の上にいつの間にか移動しており、その姿も変わっていた。すると戦闘音が騒がしかったのか、周辺の店から数人外に出てきた。堕姫はそれを鬱陶しく思い、帯で周囲の人を"建物ごと"斬った。

 

 

斬られた建物は所々崩壊し、人もズタズタに斬られてしまった。だが炭治郎は外に出ていた男性を庇ったため、男性は左手を失う"だけ"で済んだが、炭治郎は胸を斬られていた。

 

 

炭治郎はその場を去ろうとする堕姫を呼び止めた。堕姫は鬱陶しくも炭治郎"たち"を見下し、罵詈雑言を浴びせる。それには炭治郎の怒りが頂点を吹っ切れた。

 

 

堕姫は天元たちの所へ向かおうとした時に炭治郎に足を掴まれ、動きを止めた。そして炭治郎は堕姫の足を斬った。足を斬られた堕姫は炭治郎から距離を取る。炭治郎はそんな堕姫に向かって

 

 

「失われた命は回帰しない。二度と戻らない」

 

 

「生身の者は鬼のようにはいかない。なぜ奪う❓なぜ命を踏みつけにする❓」

 

 

「何が楽しい❓何が面白い❓命を何だと思っているんだ❓」

 

 

そう言った。堕姫は斬られた足を再生させながら聞いていると、炭治郎が一瞬、"同じ痣と耳飾りをした戦国武将"に見えた。

 

 

「どうしてわからない❓どうして忘れる❓」

 

 

炭治郎は未だに語りかけた。堕姫は見えている武将が『無惨の細胞の記憶』であることがわかった。

 

 

「人間だったろうお前も。かつては痛みや苦しみにもがいて涙を流していたはずだ」

 

 

堕姫は苛立ち屋根の瓦を拳で砕く。そして"自分は何してもいい"と言った。

 

 

「わかった。もういい」

 

 

炭治郎は喋るのを止めて堕姫に向かって走り出す。

 

 

『血鬼術 八重帯斬(やえおびぎ)り』

 

 

堕姫は帯を幾重にも重ねて炭治郎を攻撃する。が、

 

 

『ヒノカミ神楽 灼骨炎陽(しゃっこつえんよう)

 

 

迫る帯を斬った。堕姫はどうして斬られたのか、何で斬られた箇所が痛いのか分からなかった。炭治郎は目から血を流しながら更に堕姫を追い詰める。そして堕姫の頚を"斬ろうとした"。

 

 

「アンタなんかにアタシの頚が斬れるわけないでしよ…❗」

 

 

だが堕姫は頚を"帯状"にして斬撃を"吸収"したので斬れなかった。堕姫は帯で炭治郎を攻撃するが、炭治郎はバク転で避けて後方へ下がる。堕姫は尚も攻撃を繰り出す。だが炭治郎はその動きが"遅く見え"、帯をいなす。そして一ヶ所に集め刀で縫い付ける。堕姫はまた弾き飛ばそうと帯を引っ張るが、帯はびくともしなかった。

 

 

炭治郎は刀を抜き堕姫に迫りながら帯を斬る。そして頚を斬ろうとした時

 

 

『お兄ちゃん息をして❗お願い❗』

 

 

彼の妹の『花子』が現れ、炭治郎に息をするように言った。すると炭治郎は思い出したかのように息をする。だが、今まで"無呼吸"で動いていたので、息をしようとすると咳き込んでしまった。

 

 

堕姫は好機と捉え、炭治郎の頚を斬ろうとする。だがそれを阻止した者"たち"がいた。

 

 

『蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ』

 

 

炭治郎の妹の禰豆子と蟲柱・胡蝶しのぶだった。

 

 

まずしのぶが刺突で毒を打ち込み、動きが鈍った所を禰豆子が蹴り飛ばした。

 

 

しのぶと禰豆子はマジギレ寸前だった。普段笑っているしのぶの顔は憤怒の表情となり、禰豆子は顔や体のいたるところに血管が浮き上がっていた。

 

 

堕姫は打ち込まれた毒を直ぐ様"解毒"し、禰豆子に蹴られた頭を再生させていた。

 

 

「(もう"解毒"している。さすが上弦の鬼)禰豆子さん、炭治郎君は私が診ます。貴女は思う存分"殺ってください"」

 

 

禰豆子はしのぶを見て頷くと、堕姫の前に出た。しのぶは炭治郎の所まで来ると、

 

 

「炭治郎君、あなたは無呼吸で動いていたせいで肺がびっくりしてしまっています。まずゆっくり深呼吸してください」

 

 

肺を落ち着かせるための処置を炭治郎に言った。炭治郎はしのぶがいることに驚きつつも、言われた通りゆっくり深呼吸をした。

 

 

炭治郎が深呼吸をしている頃、禰豆子は堕姫に向かって蹴りを入れようとしていた。だが堕姫は帯で禰豆子の足を斬った。堕姫は禰豆子に向かって繰り出す。禰豆子は防御するが、斬られてしまい、家屋まで叩き落とされた。

 

 

堕姫は地面に降り立ち、瓦礫から禰豆子が這い出る。堕姫は禰豆子を見下ろすが這い出た禰豆子の体を見て驚愕した。

 

 

なんと、"切断された箇所が左腕を除いて再生していた"のだ。これには堕姫も驚きを隠せなかった。堕姫は確かに禰豆子の体を"切断した"。帯からの感触も確かに伝わっていた。なのに禰豆子の体は再生していたのだ。

 

 

禰豆子は堕姫の目の前で左腕を再生させた。そして義勇が着けた竹製の口枷を"噛み砕き"、姿が変貌する。

 

 

身長は伸び、額、右目の上から鬼を彷彿とさせる"角"が一本伸びており、乳房もアオイと同様の大きさとなり、身体中には、"藤の葉"のような"痣"が浮かび上がっていた。

 

 

禰豆子は再び堕姫を蹴ろうとする。堕姫はまた禰豆子の足を斬り飛ばす。だが、禰豆子は斬られた足を即座に再生させ、堕姫を"踏み抜いた"。

 

 

禰豆子は不適な笑みを浮かべ、堕姫は帯で禰豆子を斬り刻んだ。堕姫は更に斬り刻もうとするが、切断された四肢が"帯を止めた"。禰豆子は斬られた瞬間、自分の血を固め、鎖のようにして四肢を繋いでいた。堕姫はそれに驚いていると、禰豆子の血鬼術である『爆血』が発動。堕姫の体を燃やした。

 

 

禰豆子は斬られた箇所を戻して傷を再生。そして何度も堕姫を踏みつけ、蹴り飛ばした。禰豆子は堕姫を追うために屋内に入ると、そこにいる人を見る。そこにいる女性は腕を怪我しており、血が滴っていた。

 

 

禰豆子は涎を流し、"鬼の本能(・・・・)"である人喰いをしようと女性に襲い掛かろうとする。が、それを復活した炭治郎が寸前で止めた。禰豆子は暴れて放そうとするが、炭治郎は放そうとはしなかった。

 

 

禰豆子は四つん這いになると、足に力を入れて一階の天井に炭治郎をぶつけた。炭治郎たちは天井を突き破り二階に来るが、禰豆子は尚も暴れ続ける。そこに帯が襲撃し、そこから堕姫が現れた。堕姫は所々崩れており、再生がしにくいのか、崩れている所が中々直らなかった。

 

 

炭治郎がどう動こうが悩んでいると

 

 

「おいこれ竈門禰豆子じゃねーか。派手に鬼化が進んでやがる。お館さまの前で大見得切ってたくせに何だこのていたらく(・・・・・)は」

 

 

音柱・宇随天元が炭治郎たちの前に現れた。そして

 

 

「皆さん、ここは危険です❗早く安全な所へ避難してください❗」

 

 

しのぶが周囲の人たちを避難誘導していた。

 

 

堕姫は柱が来たことに喜ぶが、

 

 

「うるせぇなお前と話してねーよ、失せろ。お前上弦の鬼じゃねぇだろ(・・・・・・・・・・)、弱すぎなんだよ。俺が探っていたのはお前じゃない」

 

 

天元が振り向いて話すと、いつの間に斬ったのか、堕姫の頚が"落ちた"。炭治郎が『天元がいつ頚を斬った』のか分からず驚いていると

 

 

「おい、戦いはまだ終わってねぇぞ。妹をどうにかしろ」

 

 

天元に言われ再び禰豆子が暴れだした。

 

 

「ぐずり出すような馬鹿ガキは戦いの場にいらねぇ。地味に子守り唄でも歌ってやれ」

 

 

禰豆子は炭治郎と共に部屋の外に出る。禰豆子は未だ暴れており、どうすれば良いのか考えていると、

 

 

『子守り唄でも歌ってやれ』

 

 

先程の天元の言葉を思い出した炭治郎は生前の母が歌っていた子守り唄を歌い出した。

 

 

「こんこん…小山の子うさぎはなぁぜにお耳が(なご)うござる♪小さい時に母さまがっ、(なーが)い木の葉を食べたゆえそーれでお耳が長うござる♪」

 

 

炭治郎の子守り唄を聞いた禰豆子は小さい時を思い出していた。

 

 

小さい禰豆子は母の手を握り、楽しく笑い合っていた。

 

 

それを思い出した禰豆子は泣き出し、身体中の藤の葉のような痣が消え、小さくなり蹲って穏やかな寝息を立てた。

 

 

「禰豆子さん、ようやく落ち着きましたね」

 

 

炭治郎が安堵のため息を吐いていると、避難誘導を終えたしのぶが炭治郎の側までやって来た。

 

 

「しのぶさん、はい。やっと寝てくれました」

 

 

二人は眠った禰豆子の顔を覗く。その姿はまるで"父と母、娘の親子"のようだった。

 

 

その頃天元は堕姫がいる所から去ろうとしていた。それを堕姫は騒いで止める。天元は堕姫を冷たい目で見る。堕姫は尚も騒ぎ、遂には泣き出した。

 

 

「(ギャン泣きじゃねぇか嘘だろ❓いやいやいや、それよりコイツいつまで喋ってんだ❓頚を斬ってるのに体が崩れねぇぞ)」

 

 

天元は未だに体が崩れない堕姫に疑問を浮かべていた。

 

 

「頚斬られたぁ❗頚斬られちゃったああ❗お兄ちゃああん❗」

 

 

すると

 

 

「うぅううん」

 

 

堕姫の"背中"から"誰か"が出てきた。天元は直ぐ様斬るが、斬撃は空振りに終わる。そして"二人"は天元の"背後"にいた。

 

 

「泣いたってしょうがないからなああ。頚くらい自分でくっつけろよなぁ。おめぇは本当に頭が足りねぇなあ」

 

 

堕姫の背中から現れた男は堕姫の頚を繋げていた。

 

 

「顔は火傷かこれなぁぁ、大事にしろ顔はなあ。せっかく可愛い顔に生まれたんだからなあ」

 

 

男は堕姫の顔を拭うと、堕姫の顔は元に戻っていた。天元は再び斬り掛かるが、男はいつの間にか両手に"鎌"を持っており、逆に天元が斬られた。

 

 

「へぇやるなぁあ、攻撃止めたなぁあ。殺す気で斬ったけどなあ。いいなあお前、いいなあ」

 

 

その男の目には、右目に"上弦"、左目に"陸"と刻まれており、天元の頭飾りが斬られたせいで少し壊れてしまった。

 

 

 

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