「お前いいなぁあ、その顔いいなぁあ。肌もいいなぁ、シミも痣も傷もねぇんだなあ。肉付きもいいなぁあ、俺は太れねぇんだよなぁ。
男の鬼は天元を見ながら体格や顔を妬んでいた。そこに泣いていた堕姫が『他にもいる』、『よってたかっていじめた』だの言い出した。それを聞いた男の鬼は『許せねぇなぁ、妹をいじめる奴らは皆殺しだ』と言い出した。
「取り立てるぜ俺はなぁ、やられた分は必ず取り立てる。死ぬときグルグル巡らせろ。俺の名は
上弦の陸の一・妓夫太郎は天元に向かって鎌を投げた。鎌は家屋を突き破り、ブーメランのように妓夫太郎の下へ戻る。それを炭治郎としのぶは見ていた。そこに伊之助と善逸が遅れて到着した。
伊之助は『ド派手に暴れるぜ❗』と天元の影響をしっかりと受けていた。炭治郎は『禰豆子を箱に戻してくる』と言うと
「炭治郎君、禰豆子さんは私に任せてください。貴方は宇随さんの加勢に」
しのぶがかって出た。炭治郎は禰豆子をしのぶに任せると、箱がある場所を教え、屋根の上まで移動し、しのぶは禰豆子を抱きしめ、箱がある場所まで行った。
その頃天元は妓夫太郎との戦いを繰り広げていた。妓夫太郎は天元のことをまた妬むと
「まぁな、俺は派手で華やかな色男だし当然だろ。女房も三人いるしな」
と自画自賛した。これには妓夫太郎も怒り顔を掻きむしった。
『血鬼術
妓夫太郎は鎌から"黒い斬撃"を飛ばし、天元は床を壊して避けた。
「逃がさねえからなあ、『曲がれ飛び血鎌』」
妓夫太郎は斬撃を操り、天元は斬撃を刀で切り裂く。そして指の間に"黒い玉"を挟み、上に投げ刀で全て斬った。すると斬られた玉が爆発した。爆風が止むと、そこから現れたのは"球状になった帯"だった。そしてその中から妓夫太郎と彼の肩に乗った堕姫が姿を見せた。
「俺たちは二人で一つだからなあ」
堕姫を肩車している妓夫太郎はそう言った。
その頃しのぶは禰豆子を箱の中へ入れ、千切れた肩紐を直し、箱を背負った。
「炭治郎君、どうか死なないで…」
しのぶは炭治郎の無事を祈りながら戦闘箇所へ向かった。
妓夫太郎は天元の"才能"に嫉妬していた。だが天元は
「俺に才能なんてもんがあるように見えるか❓
そう言い切った。
「この国は広いんだぜ。凄ぇ奴らがウヨウヨしてる。
「俺が選ばれてる❓ふざけんじゃねぇ、俺の手の平から今までどれだけの命が零れたと思ってんだ❗❓」
妓夫太郎は未だ死なない天元に頚を掻きむしりながら問いかける。妓夫太郎の血鎌には"毒"があり、"斬る"だけでなく、"触れるだけでも毒に侵す"ことができるのだ。天元は『忍の家系だから毒は効かねぇ』と答えるが、堕姫は『忍なんて嘘だ』と叫ぶ。
だが天元の『忍の家系』と言うのは事実だった。天元は自身を含め九人姉弟であったが、十五才になるまでに七人亡くなっていた。そして天元の弟は自身の父の"複写"となったしまい、心が折れそうになった。
だが、そんな天元の心を救ったのが、お館さまこと産屋敷耀哉だった。
天元は少しふらつくが妓夫太郎は『毒が効いてる』と言う。けど天元は
「いいや全然効いてないね。何なら天丼百杯食ってやろうか❗❓派手にな❗」
そう言って戦闘を再開した。天元は戦闘の最中、先程の火薬玉をバラ撒き、妓夫太郎はそれを斬ってしまう。すると再び爆発が起き、堕姫がそれを喰らう。天元は爆発の最中に堕姫の頚を斬り、妓夫太郎の頚を狙って刀を振るう。だが距離的にも届かないにも関わらず、刃が迫った。その理由は鎖で繋がれている刀の片方の『刃先を持っていた』からだった。
妓夫太郎は刀を鎌で弾くが、微かに擦ってしまった。妓夫太郎は『自分たちの弱点』に天元が気づいていることを察する。だがいくら天元が柱でも上弦の鬼が二体もいれば流石に厳しく、追い討ちをかけるように毒も回っている状況では、天元が負けるのは"時間の問題"だった。
だが、禰豆子が開けた穴から伊之助と善逸が飛び出し、上から炭治郎が飛び降りた。
炭治郎は既に音角を鳴らしており、額に近づけ全身を光が覆う。そしてその光が止むと、炭治郎は輝鬼へ変身していた。
妓夫太郎が苛立ちながら顔を掻きむしっている中、輝鬼は妓夫太郎が本体と思っていた。だが実は"どちらも本体"であることに気づいていたのは天元"只一人"だった。
「勝つぜ❗俺たち鬼殺隊は❗」
「勝てないわよ❗頼みの綱の柱が毒にやられちゃあね❗」
輝鬼は堕姫の言った"毒"と言う言葉に反応し、天元を見る。
「余裕で勝つわボケ雑魚がァ❗毒回ってるくらいの足枷あってトントンなんだよ❗人間様を舐めんじゃねぇ❗そいつら二人は優秀な俺の"継子"だ❗逃げねぇ根性がある❗手足が千切れても喰らいつくぜ❗」
だが天元は『そんなの関係ねぇ❗』と言わんばかりに言い放つ。伊之助は天元の言葉に同意し
「それに、いつ"
「俺の前にいるコイツは"十人目の柱"だぁ❗コイツの姿を見ろ❗俺よりド派手で格好いいじゃねぇか❗」
輝鬼のことを褒め称え、堕姫と妓夫太郎は驚き
「俺は鬼殺隊、"鬼柱"、竈門炭治郎❗そしてこの姿の時は"猛士の鬼"が一人、音撃の戦士、輝鬼❗お前たちを倒す者の名だ❗」
輝鬼は大見得を切った。
「いいかお前ら、コイツらの頚を"同時に斬れ"❗そうすれば倒せる❗」
天元がそう言うと、妓夫太郎と堕姫は『それは出来ない』と揃って言った。そこに善逸が堕姫を屋上へ連れて行った。伊之助もその後を追い、妓夫太郎は天元と輝鬼、堕姫は善逸と伊之助が担当することになった。
屋上に着いた堕姫に善逸は『耳を引っ張った女の子に謝れ』と言ったが、堕姫は聞く耳を持たなかった。
「人にされて嫌だったこと、苦しかったことを人にやって返して取り立てる。自分が不幸だった分は幸せな奴から取り立てねぇと取り返せねえ」
「それが俺たちの生き方だからなあ。言いがかりをつけてくる奴は皆殺してきたんだよなあ。お前らも同じように喉笛掻き切ってやるからなああ」
堕姫の額に逆さになった陸の文字が入っている目が開き、妓夫太郎は左目を瞑っており、言動がシンクロしていた。
妓夫太郎は輝鬼に迫り、鎌を振るう。輝鬼は寸前でのけ反り、その上を天元の刀が走った。輝鬼は横に転がり攻撃のチャンスを伺うが、頭上から大量の帯が"攻撃してきた"。その攻撃は堕姫が"屋上から"していたのだ。屋上で戦っている善逸と伊之助は切り傷だらけとなり、
「クククッ継子ってのは嘘だなあ。お前らの動きは統率がとれてねえ。全然だめだなあ」
妓夫太郎は帯の隙間から天元の嘘を見抜いていた。