小鉄は『思い立ったが吉日』と言わんばかりに炭治郎のことを『シゴいた』。
持たせている物を刀から素振り棒に変えてはいるが、動きが尋常ではなかった。
「しっかりしてください❗あなたは癖で動いているんですよ。相手の動きを見てから動いてるんじゃないんだ、だから駄目なんですよわかります❓要は基礎がなってない。本当に今までよく生きてこられましたね。鬼殺隊でギリギリですよ全てが。俺はアナタの弱い所を徹底的に叩きますから、俺の言ったことができるようになるまで食べ物あげませんから❗」グサグサッ
小鉄は毒舌だった。
縁壱零式は首の後ろの鍵を回す他に、手首や指を回したりすることで動きを変えられるからくりだった。小鉄はそれを動かして動きを変えた。
炭治郎は輝鬼に変身して特訓をしているが、五日経っても一撃を与えることすらできてはいなかった。小鉄は更に追い込むために翌日から刀を持たせると言った。
炭治郎は里にくる前に天元から貰っていた"忍者食"で飢えを凌ぎ、喉の渇きは降ってきた雨で凌いだ。 だが、不眠不休が祟ったのかその忍者食が無くなり、雨も降らなくなり、変身も解け、遂には三途の川を渡りかけた。
「(カナヲ、しのぶさん、アオイさん、師匠、すみません。先に逝く俺を許してください。禰豆子、人間に戻せなくて、ごめん…)」
炭治郎は目を閉じかけながら頭に浮かんだ人に謝罪をした。
その頃蝶屋敷では、しのぶとアオイ、カナヲの蝶の髪飾りが"突然"割れ、結っていた髪がほどけた。しのぶたちは長年使っていたせいでガタが来たのかと思っていたが、言い切れぬ"不安"が胸を締め付けていた。
炭治郎は三途の川に掛かっている橋を渡っている所で空腹によるめまいで橋から"足を滑らせ"川に落ちる。
(幽霊なのに足があるのか❓と言うツッコミは無しで)by作者
炭治郎は川底に沈んでいく中、何かが光っているのを発見し、そこへ向かう。光っているのは"石"だった。炭治郎はその石を掴むと突如覚醒し、人形が攻撃を仕掛けてくる場所が"匂い"で分かった。
人形の攻撃を避けながら遂に足に一撃を与えた。だが炭治郎は受け身を取れず、顎を地面に強打してしまった。
小鉄は漸く納得したようで、炭治郎のリクエスト通りの食事を用意し、炭治郎はなんと"七日ぶり"のまともな食事にありつけた。
炭治郎が会得したのは『動作予知能力』と言うスキルで、匂いによって相手が次に狙っている箇所が分かると言うものだった。
このスキルを得た炭治郎は零式との特訓もやり易くなり、輝鬼・炎光の持続時間も大幅に上がり、出せる力も八割程になっていた。
炭治郎は炎光の力を無限列車の終わりから遊郭に向かうまでの四ヶ月の間に力を"抑えなから"修行をしていた。遊郭の上弦の陸との戦いでは、全力を十割で表すと、"五割"の力で戦っていた。
そして炭治郎は零式の頚を捉えたと同時に刀も折れてしまった。
縁壱零式の顔に罅が入ると、砕けた頭部から"刀"が現れた。
人形から出た刀を見た炭治郎と小鉄はなぜか組体操をしながら興奮していた。そしていざ刀を抜くと、刀身は"錆びていた"。当然、二人は刀が錆びていることに落胆した。
するとそこに、筋骨隆々になった鋼錢塚が現れ、
「話は聞かせてもらった…、後は任せろ…」
「「何を任せるの❗❓」」
いきなり鋼錢塚が錆びた刀を持ち去ろうとした。当然炭治郎たちは刀を奪い返そうとするが、振りほどかれる。だが
「彼の急所は脇です。ここを擽れば大人しくなりますよ」
鉄穴森が現れ鋼錢塚の脇を擽って大人しくさせ、刀を取り返した。
「久しぶりですね炭治郎君。彼は擽られるとグッタリするのでしばらくは安全ですよ」
「彼は君を死なせないために強靭な刀を作るために修行をしていたのですよ。君は彼にずっと刀を依頼してましたよね❓彼は気難しい性格のため、幾人もの担当から外されてしまったので本当は嬉しかったんですよ」
鉄穴森に言われたことに炭治郎は嬉しくなった。
「人付き合いが下手なんですよねこの人。だから未だに嫁がいないんですよ」ズバッ
ここで小鉄の毒舌が炸裂し、鋼錢塚が復活した。
「この錆びた刀は俺が預かろう。鋼錢塚家に伝わる"日輪刀研磨術"で見事磨き上げてしんぜよう」
まるでどこかの『世紀末救世主』のような動きで言った。
「じゃあ始めからそう言えばいいじゃないですか。信頼関係も無いのにいきなり現れて任せろって言われても承諾できませんよ」
小鉄の毒舌が癪に触ったのか、鋼錢塚は小鉄を持ち上げた。炭治郎と鉄穴森は鋼錢塚を落ち着かせるために鋼錢塚の脇を再び擽った。
「と、言うことが昨日あってさ。刀の研磨が終わるまで三日三晩かかるらしくて、研ぎ終わるのが明後日になるんだってさ」
炭治郎はその翌日の夕方、玄弥の部屋で寛いでいた。
「お前、八日間も消息を断っていたのに、そんなことしてたのかよ…」
炭治郎の話を聞いた玄弥はグッタリしていた。
「お前の姿が見えなくなったから魔化魍にやられたと思っちまって危うく師匠たちに捜索の手紙を書く所だったぜ」
「心配させてゴメンな、玄弥」
「悪く思うなら、今度旨い飯を食わせてくれよ❓」
玄弥は炭治郎が無事だったことに安堵し、飯を作ることを約束させた。
「しかし、禰豆子は玄弥に懐いているな」
禰豆子は正座している玄弥の背中に抱きついていた。玄弥もそれを鬱陶しく思ってはおらず、寧ろ懐かれていることに嬉しさを感じていた。
「俺は家族が兄ちゃんだけじゃなくて弟や妹がいたからな。それであやすのが得意なんだ。俺に懐いているのはそれが原因じゃねぇのか❓」
玄弥は喋りながら背中に抱きついている禰豆子を気遣いながら体を前後に揺らし、禰豆子はそれを楽しんでいた。
「なるほど。禰豆子も楽しんでいるのはそのためか。(禰豆子を嫁に出すなら、善逸じゃなくて玄弥の所がいいかな❓)」
炭治郎は禰豆子の楽しげな表情を見て、納得していた。
その日の夜、一人の刀鍛冶職人は温泉から帰る途中で道端に壺が置かれているのを見つけた。その人は壺に触れようとした所で"壺に呑み込まれた"。
その後吐き出された時には、職人の体は"溶けかけていた"。
「不味い不味い。やはり山の中の刀鍛冶の肉など喰えたものではないわ。だがそれもまたいい…。しかしここを潰せば鬼狩り共を確実に弱体化させられる」
壺の中から現れたのは、上弦の伍・玉壺だった。そして屋根の上には上弦の肆・半天狗が身を潜めていた。