半天狗の本体が悲鳴を上げる中、玄弥は信じられない光景を見た。
それは積怒が腕を上げた瞬間、可楽と空喜が積怒に"吸収された"。そして一瞬の内に哀絶の所まで移動し、そのまま吸収した。そして積怒は子供の姿になり、背中には雷神を思わせる太鼓が付いており、叩く面には『憎』の文字が書かれていた。
喜怒哀楽の鬼が合体した鬼・
憎珀天は太鼓を叩き、地面から竜のような樹木を生やし、炭治郎を攻撃した。だが炭治郎は禰豆子に助けられていたが、禰豆子は左腕と左足を喰われていた。禰豆子は失った箇所を再生させるが、力を使いすぎたのか地面に降りるとグッタリした。
「弱き者をいたぶる鬼畜、不快、不愉快、極まれり、極悪人共めが」
炭治郎は憎珀天を見て六体目と驚くが
「炭治郎、ソイツは六体目じゃねぇ❗さっきの喜怒哀楽の鬼が合体したのがソイツだ❗」
玄弥が叫び、炭治郎は匂いを嗅ぐと、玄弥の言った通り喜怒哀楽の鬼の匂いがしなかった。
憎珀天は太鼓を叩き、樹木を操り本体を隠そうとする。炭治郎は咄嗟に声を出す。すると憎珀天が炭治郎を睨む。それだけで炭治郎は憎珀天の威圧感に呑まれる。更に憎珀天が声を発すると、それだけで威圧感が増した。
「どうして俺たちが悪人なんだ❓」
炭治郎は声を絞り出して憎珀天に聞く。
「『弱き者』をいたぶるからよ。のう❓先程貴様らは手のひらに乗るような『小さく弱き者』を斬ろうとした。何という極悪非道、これはもう鬼畜の所業だ」
炭治郎の質問に憎珀天は答える。だが
「小さく弱き者❓ふざけるな、お前たちから漂う血の匂い…、喰った人間の数は百や二百じゃ無いだろう❗」
「その人たちがお前に何をした❓命をもって償わければならないことをしたのか❗❓大勢の罪なき人を喰い殺しておいて被害者面をするな❗」
「貴様のその捻じ曲がった性根、絶対に許さない。悪鬼め、お前の頚は俺が斬る❗」
憎珀天の答えに炭治郎は堪忍袋の緒が切れ、音角を取り出し、鳴らすと炭治郎の体が光に包まれる。そして光が止むと、炭治郎は輝鬼に変身していた。だが、変身はこれだけに留まらなかった。輝鬼の手足に炎の模様が浮かび、胸には日輪のような円が浮かぶ。
そう、炭治郎は一気に輝鬼・炎光にまで変身したのだ。
『霞の呼吸 壱ノ型
炭治郎が変身した時と同じ頃、玉壺の血鬼術に捕らえた無一郎は壱ノ型で破ろうとするが、血鬼術でできた水は形を変えるだけで破れなかった。
その頃玉壺はあばら屋に入っており、鉄穴森を痛めつけていた。すると鋼錢塚がこの騒ぎの中、刀を研いでいる所を見て声を掛けるが、鋼錢塚はぶつぶつ言いながら研ぎ続けていた。
玉壺は鋼錢塚の集中力に『この集中力は芸術家として負けている気がする❗』と思い、使い魔を使って集中力を途切れさせようとした。
(いや、芸術家としてお前と比べるのは烏滸がましいと思うぞ❓)by作者
鋼錢塚は玉壺に攻撃され、お面が割れながらも研磨を止めようとはしなかった。
同じ頃、無一郎は"炭治郎の幻影"と話❓をしていた所に、包丁を持った小鉄が水獄鉢を破ろうとするが、無一郎ができなかったことを小鉄ができる筈もなく、破れなかった。小鉄は何かを思いつき、行動しようとした時、玉壺が放っていた使い魔に攻撃された。そして人間の急所である鳩尾を刺された。
小鉄はふらつきながらも無一郎の所まで歩き、鉢に口を付けて"息を吹いた"。吹かれた息は泡となって無一郎のそばまで漂い、無一郎はその泡を"吸い込んだ"。
『霞の呼吸 弐ノ型
空気を得た無一郎は渾身の技で水獄鉢を切り崩した。無一郎は自分の顔に刺さっていた針を抜いて小鉄の下へ向かう。その後ろを使い魔が襲うが、無一郎はそれを斬り、崩壊させた。
その間、無一郎は『思い出していた』。"父"のこと、"母"のこと、そして"兄"のこと。無一郎は死に逝く兄の"最後の言葉"を思い出した。
「無一郎の"無"は"無限"の"無"なんだ」
兄の言葉を口ずさんだ無一郎の顔には、"霞を思わせる痣"が浮かび上がっていた。
『時透無一郎、覚醒』
一方鋼錢塚の方は、未だに刀の研磨を止めなかった。鋼錢塚は血まみれになり、片目を潰れても止めようとはしなかった。
そこで玉壺は鉄穴森に狙いを定めた。そこに無一郎が斬り掛かるが、玉壺は別の壺に逃げる。だが、無一郎の斬撃は玉壺の肩を少し斬っていた。
『
無一郎は玉壺に迫るが、玉壺は手にした壺から蛸足を出し、無一郎の攻撃を防ぐ。そして遂に無一郎が持っている刀が折れてしまった。
蛸足があばら屋を壊したが、鋼錢塚は刀と砥石を持って逃げ延び、再び研ぎ出した。玉壺は鋼錢塚から蛸足で捕まえた無一郎たちに標的を変えた。だが、蛸足は斬られ無一郎たちは着地した。
「俺のために刀を作ってくれてありがとう、
鉄穴森は無一郎の最初の刀鍛冶で既に故人である"鉄井戸"と呼ばれる人が遺した書物を読み、その通りに作った刀を捕まった時に渡しており、無一郎はそれを使って蛸足を斬ったのだ。
『霞の呼吸 伍ノ型
玉壺は蛸足を全て無一郎に向けるが、無一郎はそれを全て細切れにし、頚を斬ろうとする。だが玉壺はまたもや別の壺へ逃げた。しかし、頚は繋がってはいたが、斬られていた。
玉壺と無一郎は互いに相手の悪口を言い合っていたが
「何かその壺形歪んでない❓左右対称に見えないよ❓」
無一郎が玉壺に対して"禁句"を言った。玉壺は当然ブチ切れ、地面が割れて其処から壺が出ると
『血鬼術
「一万匹の刺客がお前を骨まで喰い尽くす❗これで死ねぇ❗」
手にしていた壺から大量の魚を差し向けた。
『霞の呼吸 陸ノ型 月の
だが無一郎はそれを全て斬り捨てる。しかし玉壺も馬鹿では無い。放った魚には皮膚に着いても効果を出す"毒"を混ぜていたのだ。
『霞の呼吸 参ノ型
だが無一郎は回転する斬撃で魚を"毒諸とも"弾き飛ばした。無一郎は遂に玉壺の頚を斬る。だが斬ったのは玉壺の"脱皮した皮"だった。
脱皮した玉壺の姿は先程とは変わり、小さい手は無くなり、変わりに全身が鱗に覆われ、顔は変わらなかったが、腕には水掻きが付いた手、下半身は蛇のような形にヒレが付いた姿になっていた。
玉壺は無一郎に殴り掛かる。すると殴られた箇所が"魚になっていた"。無論無一郎の服も例外ではなく、触れた箇所も魚になっていた。
「華麗なる私の本気を見るが良い❗」
『血鬼術
玉壺は見た目に背くような素早い動きで無一郎を翻弄する。だが
『霞の呼吸 漆ノ型
無一郎は姿を消しては現れて、消しては現れての繰り返しで逆に玉壺を翻弄した。
「ねぇ君は何で
そして遂に無一郎は玉壺の頚を"本当に"斬った。
玉壺は最初、頚を斬られたことに気づかなかったが、頭を地面にぶつけた衝撃があったので、それで気づいた。玉壺は斬られた箇所から体を再生しようとするが、無一郎に頭を細切れにされ、崩壊した。
『時透無一郎、上弦の伍・玉壺を撃破』
無一郎は毒が回っているせいか、体が震えだすも鉄穴森に小鉄の所へ向かうよう言うと、泡を吹いて倒れた。そこに"まだ生きている"小鉄が現れた。鉄穴森は『小鉄の亡霊』と驚くが当人はそれを否定する。
けれど鉄穴森が驚くのも無理はない。何故なら、小鉄の服には血が着いていたからだった。小鉄によると、服に着いている血は腕のものであり、
「腹の方には"これ"を入れていたので、これに当たって刃が刺さらなかったので助かりました」
小鉄は懐から取り出したのは、『
「これは生前の父が作った鍔です。父はいつも言ってました。『この形のように誰かと誰かを繋げる自分でありたい』と」
小鉄は鍔を見ながら父が言っていたことを思いだし、涙を流した。