鬼滅の刃 清めの音(ね)を持つ鬼   作:レイファルクス

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柱稽古編
第44話


 

 

刀鍛冶の里襲撃事件から数日後、炭治郎は蝶屋敷のベッドの上でアオイ特製(愛情たっぷり)のおにぎりを食べていた。炭治郎は気絶してから七日間意識を失ってはいたが、この日の二日前に目を覚ましたのだ。

 

 

炭治郎は隠の後藤さんから刀鍛冶の人たちのその後などを聞いていた。

 

 

「そう言えば、一番聞きたかったんだがよ、お前さんの妹、何かえらいことになってんだって❓」

 

 

「えぇ。太陽を克服しましてね。今はアオイさんたちと散歩とかしちゃってますね。克服した原因は今しのぶさんと珠世さんが共同で調べてもらってますけど」

 

 

「『珠世さん』って確か、隣の鬼屋敷にいる医者の鬼だっけ❓」

 

 

後藤さんは珠世に何度か会っているため、存在は知っていたのだ。因みに珠世(+愈史朗)のことを知っているのは炭治郎と禰豆子、後藤さんを除くと鬼屋敷に住む善逸、伊之助、玄弥、炭治郎の師匠の響鬼、蝶屋敷に住むカナエ、しのぶ、アオイ、カナヲ、なほ、すみ、きよ、炎柱の杏寿郎、その弟の千寿郎、元音柱の天元、その妻の須磨、まきを、雛鶴、産屋敷耀哉とその奥方のあまね、その子供のひなき、にちか、輝利哉、くいな、かなたの二十四名であり、全員になると二十七名になるのだ。

 

 

それと産屋敷家の方は末娘のかなたが皆に教えていたのだった。

 

 

後藤さんの質問に炭治郎は頷くと、後藤さんは考え込んだ。炭治郎はどうしたのか聞いてみると

 

 

「いや、もしあの五月蝿いタンポポ頭に禰豆子ちゃんのことが知られたら、厄介なことになるんじゃないかと思ってな」

 

 

後藤さんの懸念はこの後当たってしまうのであった。

 

 

「いぃぃぃぃ~~~やぁぁぁぁぁ~~~❗❗❗」

 

 

庭から善逸の声が聞こえ、炭治郎は後藤さんにお願いしておんぶしてもらって庭に出た。すると善逸が大声を上げながら禰豆子の手を掴み求婚していた。だがそれを阻む者がいた。

 

 

「おい善逸、五月蝿ェぞ❗もうちっと静かにしろ、近所迷惑だ❗それから禰豆子は"俺と"結婚すんだ、横槍入れんじゃねぇ❗」

 

 

刀鍛冶の里で禰豆子にキス"された"玄弥だった。彼はアオイたちの手伝いをしている最中だったのでその場に"最初から"いたのだ。

 

 

「ハアァッ❗❓横槍を入れてんのはそっちだろうがァ❗それに、禰豆子ちゃんと結婚するのは俺だァ❗」

 

 

「じゃあ聞くが、お前は炭治郎から"許し"が出てるのか❓『結婚しても良い』という許しを。俺は出てるぞ、炭治郎"義兄さん"から」

 

 

玄弥は炭治郎が目覚めた翌日、偶然ベッドが隣だったため、炭治郎に禰豆子との結婚を申し出た。炭治郎はすんなりOKを出し

 

 

「なんなら俺のことは『義兄さん』と呼んでいいよ」

 

 

と玄弥と禰豆子の婚約を許したのだ。善逸は『それはウソだ❗』と喚き散らす。そこに炭治郎が後藤さんにおんぶされた状態でやって来たので、善逸は(後藤さんごと)炭治郎を揺らし真偽を確かめる。すると

 

 

「禰豆子は善逸のこと怖がってたし、任せるなら善逸じゃなくて玄弥が最適かなって思ったんだ」

 

 

この炭治郎の言葉に善逸は衝撃を受け、後藤さんから離れると、絶望的な顔をして四つん這いになった。そこに

 

 

「だいじょうぶ❓いのすけ」

 

 

禰豆子が"名前を間違える"止めを差し、善逸は血を吐いて倒れた。

 

 

「禰豆子、こいつは伊之助じゃなくて善逸だ」

 

 

玄弥は禰豆子の肩を軽く叩きながら間違いを訂正していた。禰豆子が善逸の名前を間違えた理由は、怪我をした伊之助が蝶屋敷を訪れた際、禰豆子に自分の名前を覚えさせたのが原因だった。

 

 

「そう言えば炭治郎さん、近々"緊急柱合会議"があるとしのぶ様から聞きましたけど、ご出席されるのですか❓」

 

 

善逸を無視したアオイが炭治郎に会議があることを聞くと

 

 

「それに関してはしのぶさんから聞いてるよ。お館さまは俺の体調を気遣ってくれて完治次第するって言ってくれたんだ。しかも場所がお館さまの屋敷じゃなくて、鬼屋敷でやるって」

 

 

炭治郎の言葉に『❓』を浮かべるアオイたちだった。

 

 

それから数日後、炭治郎が全快し、緊急柱合会議が鬼屋敷で開かれた。呼ばれたのは、『炎柱・煉獄杏寿郎』、『水柱・冨岡義勇』、『蟲柱・胡蝶しのぶ』、『恋柱・甘露寺蜜璃』、『霞柱・時透無一郎』、『蛇柱・伊黒小芭内』、『風柱・不死川実弥』、『岩柱・悲鳴嶼行冥』、そして『元音柱・宇随天元』の九名である。

 

 

柱の面々(しのぶ除く)は自分の鴉に案内され、鬼屋敷へ到着した。

 

 

「おぉ天元殿、久方ぶりだな❗」

 

 

「よぅ杏寿郎、相変わらず派手な声だな」

 

 

最初に到着したのは、杏寿郎と天元だった。二人は炭治郎に招待された後、幾度か鬼屋敷を訪れており、鴉の案内が無くとも屋敷へと到着していた。そこに

 

 

「杏寿郎さん、天元さん、お久しぶりです❗」

 

 

「煉獄さん、宇随さん、お久しぶりです」

 

 

蜜璃と無一郎も到着した。

 

 

「おぉ蜜璃に時透殿も❗久しぶりだな❗」

 

 

「久しぶりだな二人とも。相変わらず派手さと地味さが混ざってるな」

 

 

杏寿郎と天元は蜜璃と無一郎に挨拶を返した。そこに

 

 

「柱の皆様、ようこそ鬼屋敷へ。私は案内役の後藤です。どうぞよろしく」

 

 

鬼屋敷から隠の後藤さんが現れた。四人は後藤さんに挨拶をする。

 

 

「皆様に鬼屋敷へ入る前にお願いが御座います。本日の柱合会議では『帯刀は禁止』とお触れがお館さまより出ております。従って、入る前にこちらに刀をお預けいただきますようお願いします」

 

 

後藤さんは刀を預けるよう言った。天元以外は刀を持っているが、三人は何の迷いも無く後藤さんに刀を預けた。

 

 

「ありがとうございます。他の柱の方々が到着されるまで、あちらの部屋でお寛ぎください」

 

 

刀を預かった後藤さんはお礼を言って、部屋の一つを指差した。そこには、しのぶと炭治郎が談笑していた。四人は直ぐ様その部屋へ移動した。

 

 

その後、義勇→行冥→小芭内→実弥の順番に到着し、いよいよ柱合会議が始まる。

 

 

柱合会議が開かれる大広間に通された柱の面々(炭治郎、しのぶ、義勇、杏寿郎、天元除く)は既にそこにいた珠世と愈史朗の"気配"に驚いた。

 

 

「皆様良くお集まりいただきありがとうございます。本日の柱合会議、産屋敷耀哉の代理を私産屋敷あまねが務めさせていただきます」

 

 

「当主の耀哉は病状の悪化により今後皆様の前に出ることが不可能となった旨、心よりお詫び申し上げます」

 

 

柱たちが問い質す前にあまねが開始の挨拶をする。入ってきた全員はすぐに平伏し、頭を下げた。

 

 

「承知…、お館さまが一日でも長くその命の灯火を燃やしてくださることをお祈り申し上げます…」

 

 

先頭にいた行冥があまねに挨拶を返す。

 

 

「ありがとうございます。では本日の柱合会議の議題ですが、まず最初にこちらにおります『珠世様と愈史朗様』について、そして『痣のこと』について、最後に『今後のこと』についての三つとなります」

 

 

あまねは議題を言うと

 

 

「あまね様、蛇柱・伊黒小芭内が進言します。そこにいる者たちは鬼ではないのではありませんか❓」

 

 

小芭内が先に珠世たちについて質問した。

 

 

「確かに珠世様と愈史朗様は鬼ではございますが、私たちに協力を申し出てくださった方々です。ご無礼無きようお願いします」

 

 

あまねは小芭内の質問に答えると炭治郎としのぶ以外の柱が驚いた。

 

 

「何と珠世殿、我ら鬼殺隊に協力してくださると❗❓」

 

 

「はい煉獄さん、私たちはあなた方鬼殺隊に協力を申し出たところ、しのぶさんが耀哉さんに一筆書いてくださって当人から『ご協力くださりありがとうございます。こちらとしても願ってもない話なので是非とも』とお返事をいただきました」

 

 

杏寿郎が珠世に聞くと、珠世は懐に入れていた手紙を広げて皆に見せた。そこには確かに彼女が言っていたことが記載されていた。

 

 

「信じない信じない。鬼の言うことは信じない」

 

 

「そんな(モン)、いくらでも偽造できるしなァ」

 

 

だが、実弥と小芭内はその手紙などを否定した。しかしその手紙を読んでいた天元が

 

 

「お前らが否定したいのは派手に分かる。けどな、そんな地味な小細工をして彼女たちに何の得があるってんだよ❓それにこの筆跡、あまね様のご筆跡ではありませんか❓」

 

 

二人の否定に疑問を感じ、質問した。更には手紙のことについてあまねに質問すると

 

 

「宇随様の仰る通りです。その手紙は私が書きました」

 

 

あまねは肯定し、実弥と小芭内は黙ってしまった。

 

 

「南無…、そこのお二方が我らに協力をし、お館さまがそれを承認なされたことは分かりました。ですが、お二方がもし人を喰ってしまったらどうなさるおつもりなのかお聞きしたい」

 

 

行冥は珠世と愈史朗の二人が協力することに納得はしたが、『最もな疑問』をあまねに聞いてきた。

 

 

「それに関しては私自身がお答えします。私は鬼になった当初、旦那と息子を喰ってしまいました。ですが数百年前に自分の体を弄くって血を少量飲むだけで飢えを凌げるようにしました。それと皆さん同様、食物を栄養として摂取できるようまた体を弄くりましたので、食人衝動は起こりません」

 

 

「もし疑うのであれば、この中に稀血の方がいらっしゃればその血の匂いを嗅がせて結構です。それでご納得頂けるのなら。それと愈史朗ですが、私が二百年近く掛けて作った薬で鬼になりました」

 

 

「彼は私よりも少量の血を飲むことで飢えを凌げましたが、今の私同様に体を弄くって食物を栄養にできます」

 

 

行冥の疑問に珠世が答える。そしてあまねは炭治郎としのぶに刃物と桶を用意するよう指示を出し、二人は部屋を後にする。程なくして桶を炭治郎が、刃物をしのぶが持ってきて"検証"が始まった。

 

 

まず実弥が自身の腕を桶の上で刃物で斬り、出血させ血まみれの腕を珠世たちに見せる。だが珠世と愈史朗は何の反応も示さなかった。

 

 

「これでご納得頂けたでしょうか❓」

 

 

珠世の質問にしのぶの治療を受けている実弥とその側にいる小芭内は渋々頷いた。

 

 

「ではこれで珠世様と愈史朗様についての議題は終わります。次に『痣』についての議題に入りたいと思います。この事について、珠世様からご説明があります」

 

 

あまねは珠世たちの議題を終え、痣についての議題に入った。

 

 

「ここからは私珠世があまねさんに替わってご説明させていただきます。まず『痣』とは、とある"条件"を満たした場合に起こる"現象"のことです。この痣の特徴は『鬼の紋様に似た痣を持つ者が一人現れると、共鳴するように他の者たちにも痣が現れる』というものです」

 

 

「そしてその痣をこの時代で最初に出したのがあなたです、炭治郎さん」

 

 

珠世の言葉に炭治郎を除く柱が全員炭治郎の方を向いた。

 

 

「炭治郎さん、あなた心当たりがあるんじゃないですか❓『高熱なのに調子が良かった』とか『心拍数が異常に高い』とか」

 

 

珠世の質問に炭治郎は全て心当たりがあり、頷いていた。炭治郎はどうしてそのことを聞くのか珠世に質問すると

 

 

「先程あなたに聞いたことが『痣を出す条件』だからです。つまり、『体温が三十九度以上の高熱』と『心拍数が二百以上』。この二つが痣を出すのに必要な条件なのです」

 

 

珠世の説明に皆がポカンとした。

 

 

「ですが、痣が出ても安心してはなりません。『痣の出現』とはこれ即ち『命の前借り』なのです。痣を出現させた者は、齢二十五を迎えると寿命を全うします」

 

 

この珠世の説明に過敏に反応した者がいた。炭治郎の隣に座っているしのぶだった。

 

 

「ちょっと待ってください。その痣を持つ者は例外無く二十五で亡くなったのですか❓」

 

 

「はい。『痣を出現させた者』は例外無く二十五で亡くなっています」

 

 

しのぶは珠世に例外はあるのか質問するが、珠世は『例外は無い』と言った。それを聞いたしのぶは泣きながら炭治郎にしがみついた。炭治郎はしのぶをあやしていると

 

 

「胡蝶よ、ちょっと待って欲しい。珠世殿、先程『痣を"出現"させた者』と言っておられたが、"生まれつき痣を持つ者"はどうなるのですか❓」

 

 

二人の会話に疑問を持った杏寿郎が珠世に質問をした。

 

 

「生まれつき痣を持つ者は私が知っている限りでは、『始まりの呼吸』と呼ばれている『日の呼吸』を使う方が該当します。彼は炭治郎さんと"同じ痣"を持っており、二十五を過ぎても存命でした」

 

 

珠世は杏寿郎の質問に答えると

 

 

「恐らく、生まれつき痣を持つ者は"痣の呪い"に該当しないと考えられます。きっと生まれつき痣を持つ炭治郎さんも二十五を過ぎても存命されるでしょう」

 

 

その答えにしのぶは今度は嬉し涙を流しながら炭治郎により強く抱きついた。

 

 

「痣のことは今後の課題にするということでよろしいでしょうか❓」

 

 

あまねの質問に皆が頷いた。

 

 

「では最後に今後のことについてお話致します。鬼柱様の妹君(いもうとぎみ)である禰豆子様が太陽を克服されたと同時に鬼の出没が止みました。耀哉様はこれを機に『隊士の合同強化合宿訓練』即ち"柱稽古"を実施するよう仰せつかりました。内容につかれましては各々に任せるとのことです」

 

 

『御意❗』

 

 

最後に鬼の出没が止んだことで隊士の能力を向上させる訓練、通称"柱稽古"を実施するよう指示が出た。これに柱全員は返事をし、会議はお開きとなった。

 

 

しかし柱全員はその場に残り、『どの順番で稽古をするのか』を相談し始めた。

 

 

そして順番が決まり、このような順番となった。

 

 

炭治郎&しのぶ→天元→無一郎→蜜璃→小芭内→杏寿郎→実弥→行冥

 

 

この順番に義勇の名が無いのは、彼が頑なに柱稽古の参加を拒んだからだった。

 

 

こうして緊急柱合会議in鬼屋敷は幕を閉じた。

 

 

 

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