鬼滅の刃 清めの音(ね)を持つ鬼   作:レイファルクス

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第46話

 

 

緊急柱合会議in鬼屋敷から二日後、炭治郎の下に鋼錢塚が訪れた。理由は刀鍛冶の里で研磨していた刀が研ぎ終わったからだった。炭治郎は鋼錢塚に急かされて鞘から刀を抜く。すると炎を思わせる赫色の模様に漆黒の刃が現れ、卍の鍔の側には"滅"の一文字が彫られていた。

 

 

鋼錢塚曰く、素材として使われている鉄の質が非常に良いとのことだった。

 

 

炭治郎は刀を鞘にしまいながら鋼錢塚の説明を聞いていると、伊之助が窓を破って入ってきた。

 

 

「強化強化強化❗合同強化訓練が始まるぞ❗紋治郎、お前もやるよな❗❓」

 

 

伊之助は興奮した状態で炭治郎に聞くと

 

 

「俺は訓練を"させる"側だから全てに参加する訳じゃないぞ❓」

 

 

と言った。だが伊之助は興奮が収まっておらず、辺りを駆け回る。そこにしのぶが到着し、伊之助の肩を掴むと

 

 

「伊之助君、あなたは一体、何をしているのですか❓」

 

 

青筋を浮かべた顔で聞いてきた。これには流石の伊之助も興奮が収まり、しのぶの前で正座をした。

 

 

それから数時間、伊之助はしのぶの説教を受けていた。

 

 

炭治郎が刀を受け取ってから数日後、遂に柱稽古が開始された。まず鬼殺隊員は男性は鬼屋敷、女性は蝶屋敷に別れて集まり、稽古をつける柱が来るのを待った。

 

 

鬼屋敷では今か今かと柱が来るのを待っていると、隊服(+市松模様の羽織)を着た炭治郎が腕を組ながら現れた。

 

 

「諸君、おはよう❗本日より皆に稽古をつけることになった鬼柱・竈門炭治郎だ❗まず"柱稽古"について少々説明をする❗俺を始めとした柱はそれぞれ違う内容の稽古を諸君に課す❗諸君はその稽古を行い、柱が許可を出せば次の柱の下へ行き、その柱の稽古を受ける❗その繰り返しだ❗全ての稽古を終えた時、諸君たちは今までとは雲泥の差の力が手に入るだろう❗」

 

 

「だが、稽古自体は生優しいものでは無い❗しかし、我らに弱音を吐く暇は無い❗苦しくても立ち向かえ❗いいな❗❓」

 

 

『御意❗』

 

 

炭治郎は軽くではあるが柱稽古について説明をすると、男性陣は一斉に返事をした。その中には、玄弥、伊之助、善逸と言った同期の姿、村田と言った以前の任務で知り合った隊士の姿もあった。炭治郎はその返事に満足そうに頷くと

 

 

「良い返事だ❗ではこの俺、鬼柱の稽古を伝える❗俺から課す稽古はただ一つ、『楽器から音を出す』。これだけだ❗」

 

 

炭治郎の稽古に男性陣はざわめき出す。

 

 

「だがただ単に音を出せば良いと言う訳では無い❗いいか❗❓楽器の音色は己の心と直結している❗心が清らかであれば音色は綺麗な音になる❗しかし心が淀んでいれば音色は汚い音になる❗」

 

 

「戦いでも同じだ❗諦めなければ必ず勝機が向こうからやって来る❗心が諦めてしまえば勝てる戦いも勝てはしない❗俺はそうやって幾度の戦いを乗り越えて来た❗」

 

 

「いいか❗❓鬼を憎む心を俺は否定はしない❗だが、憎しみだけで戦えばいつか必ず心が潰れる❗諦めてしまう❗だからこそ己を信じろ❗仲間を信じろ❗その心は決して裏切らない❗」

 

 

炭治郎の言葉にざわついていた男性陣は静かに聞いていた。

 

 

「仲間を助ければその行いは巡り巡って自分に帰ってくる❗自分を助ける力となる❗その時の心が綺麗であればある程助ける力が強くなる❗いいか❗❓仲間の心が折れそうになっていたら励ませ❗諦めさせるな❗己を鼓舞し、仲間を鼓舞しろ❗分かったか❗❓」

 

 

『御意❗』

 

 

炭治郎の"持論"を聞いていた隊士の中には、涙を流す者もいた。

 

 

「ではまず諸君の手本となる演奏をする❗師匠、お願いします❗」

 

 

炭治郎はそう言って少し下がると、そこに響鬼と玄弥の師匠、風鬼と善逸の師匠の雷鬼が現れた。

 

 

「自己紹介させていただく。炭治郎の師匠の音撃の戦士、響鬼だ。よろしく」

 

 

「同じく、音撃の戦士、風鬼」

 

 

「同じく、雷鬼だ」

 

 

響鬼たちは自己紹介をすると、各々の楽器を取り出した。

 

 

響鬼は太鼓を挟んで炭治郎と向かい合い、

 

 

風鬼はトランペット(烈風・音撃モード)を、

 

 

雷鬼はギター(列雷・音撃モード)を持ち、演奏を開始した。

 

 

約五分に及ぶ演奏を終えると、隊士は拍手を送った。

 

 

「諸君も鍛えればこれくらいは造作もない❗因みにここでの稽古は隣の蝶屋敷と合同で行う❗今日は鬼屋敷での稽古、明日は蝶屋敷での稽古、その次はまたこちらと交互に行う❗俺と向こうの"二つの許可"が出れば次に進める❗心して掛かるように❗」

 

 

『御意❗』

 

 

こうして鬼屋敷の稽古が始まった。

 

 

 

 

 

一方蝶屋敷の方は、女性隊士が集められていた。

 

 

「皆さんおはようございます。本日より最初の稽古を受け持つことになりました蟲柱の胡蝶しのぶです」

 

 

しのぶは丁寧にお辞儀をすると

 

 

「ここ蝶屋敷では、『応急処置の仕方』と『薬草の知識』を身に付けてもらいます。負傷した場合、時と場所によっては自分で処置しなければならない時があります。そう言った場合を考慮して皆さんにこの知識を役立てられるようにします。よろしくお願いしますね」

 

 

「もし分からないことがありましたら、私や元柱で私の姉のカナエ、隊士兼看護士のアオイ、同じく看護士のなほ、すみ、きよ。そして協力者の珠世さんに指示を仰いでくださいね」

 

 

『よろしくお願いします❗』

 

 

しのぶは分かりやすい説明で女性陣を稽古していると、隣の鬼屋敷から演奏が聞き取れた。女性陣は手を止め、その演奏に聞き惚れていた。

 

 

 

 

 

翌日、男性陣と女性陣は入れ替わり、男性陣は蝶屋敷へ、女性陣は鬼屋敷へ入っていった。そして昨日同様の説明を柱の二人はする。と

 

 

「すみません。質問よろしいでしょうか❓」

 

 

鬼屋敷で稽古の説明を受けていた隊士、那田蜘蛛山で出会った『尾崎』隊士が挙手をした。

 

 

「昨日ですが、こちらでとても綺麗な音がしてましたが、私たちもそんな音を出すことができるのでしょうか❓」

 

 

尾崎隊士の質問に炭治郎は

 

 

「できる❗とは言い難い。しかし、仲間を思いやりすれば自ずと音色は綺麗になる」

 

 

その答えると、尾崎隊士は頬を赤く染めながらお礼を言った。

 

 

この日の稽古が終わり、夜を迎え、風呂の時間になった時に"事件"は起きた。

 

 

『キャアァァアアァァァ~~~❗❗❗』

 

 

蝶屋敷から悲鳴が聞こえ、炭治郎と響鬼たちは蝶屋敷へ文字通り"すっ飛んで"来た。すると、中庭で善逸がアオイに"往復ビンタ"を受けている所だった。

 

 

炭治郎はアオイの手を掴み事情を聞くと、善逸に呼び出され、いきなり手を握られたと言った。炭治郎は善逸に真偽を聞くと、アオイに告白しようとして手を握ったことが判明した。

 

 

騒ぎを聞きつけたしのぶたちに炭治郎は事情を説明すると

 

 

「善逸君、アオイは炭治郎君とお付き合いしているのですよ❓無論私も炭治郎君とお付き合いしています。このことはカナヲは愚か、蝶屋敷の皆が知っていることです」

 

 

と言われ、善逸の告白は無惨にも終わりを告げた。

 

 

その後入れ替わり立ち替わりで稽古を行うが、女性陣は皆双方の許可をもらっているのに対し、男性陣は殆んど"残っていた"。

 

 

その理由は鬼屋敷での稽古は女性陣は皆が皆、『炭治郎を思って』音を出したからだった。

 

 

因みに双方の許可をもらった男性陣は、玄弥、善逸、伊之助、村田の僅か"四名"だった。

 

 

そこで炭治郎は残っている隊士に一人づつ笛を渡し、"無理矢理"練習をさせた。それも昼夜問わず。

 

 

炭治郎のシゴきに耐えた隊士は続々と次の柱の下へと向かった。

 

 

「炭治郎君、お疲れ様です」

 

 

最後の隊士を見送った炭治郎にしのぶが寄り添い、労いの言葉を掛けてきた。

 

 

「しのぶさんこそお疲れ様です」

 

 

炭治郎はしのぶの手を握りながら彼女を労った。

 

 

「…最初、あんなに賑やかだったのに、今はすっかり静かになっちゃいましたね」

 

 

「しのぶさん、俺…ンッ」

 

 

炭治郎が何かを言おうとすると、しのぶが炭治郎の口に指を当てて遮った。

 

 

「全部言わなくても分かります。『俺も柱稽古に参加したい』ですよね❓」

 

 

しのぶは炭治郎が何を考えていたのか言い当てた。

 

 

「今日の内に鴉に飛んでもらって参加の許可をいただきましょう。いきなり来られては向こうもびっくりするでしょうしね」

 

 

「今日はゆっくり疲れを癒してくださいな」

 

 

しのぶは炭治郎の前まで移動すると、炭治郎の唇を奪った。

 

 

 

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