体の震えが止まった炭治郎たちは近くで焚き火をし、その火で川で収穫した魚を焼いていた。
「アイツすげぇよ、玉ジャリジャリ親父。きっと鬼殺隊最強だ」
伊之助は炭治郎が焼いた魚を(骨ごと)食べながら行冥の凄さを『鬼殺隊最強』言っていた。
炭治郎も匂いで行冥の強さを感じ取っていたのか、伊之助に同意した。炭治郎は『痣が出てるかもしれない』と言うと、伊之助は『十匹目』の魚を食べながら『出てても可笑しくねぇ』と同意していた。
他の隊士たちは炭治郎たちの話についていけず、炭治郎が焼いた魚に舌鼓を打っていた。
善逸は未だ行冥を否定しているが、炭治郎は
「善逸も耳がいいんだから嘘をついているかいないかわかるだろう❓」
と善逸を貶す。と丁度そこに炭治郎たちが押そうとしている物よりも二回り程大きな岩を『南無阿弥陀仏…』と言いながら押している行冥が通りかかった。
それを見ていた全員(炭治郎、伊之助除く)は唖然としていた。
炭治郎は行冥に憧れを抱くが、善逸はそれを真っ向から否定した。しかし伊之助が闘志を燃やしてしまい、善逸は肩身が狭い思いをした。
そして炭治郎と善逸は滝打ちの修行と丸太担ぎの修行を終え、いよいよ岩押しの修行に取りかかる。だが岩は一ミリも動かず、逆に自分の足がずり下がってしまう。
その日の修行を終え、皆は炭治郎が炊いた飯を食べていた。
「俺、今回の訓練で気づいたわ。今の柱の殆んどに継子がいない理由」
炭治郎が炊いた飯で作られた握り飯を食べていた村田さんが唐突に口を開いた。
「訓練がしんどかったり、自分との実力差に打ちのめされたり」
炭治郎は村田さんの予想に『そうかなぁ❓』と頚を傾げる。
「て言うか、炭治郎米炊くの上手くねぇか❓昼間の魚も旨かったし」
「俺は鬼殺隊に入る前からよく料理を手伝っていたので。料理は火加減❗」ドヤッ
村田さんの疑問に炭治郎はドヤ顔で答えた。
『(ウザッ)』
…皆には不評だったようだ。
炭治郎たちが行冥の下を訪れて六日が経過した。炭治郎は未だに岩を動かすことができなかった。輝鬼になれば楽に動かせるのだが、炭治郎はそれをしなかった。そんなズルをしても何の利点も無かったからだった。
「義兄さん、大丈夫❓」
夜になり、炭治郎は岩を押すのを止め地面に寝転がっていると、そこに玄弥が覗いていた。玄弥は炭治郎たちとは少し離れた所で修行を行っていた。
「あっ、玄弥。うん、何とか大丈夫」
炭治郎は上半身を起こし、返事をする。
「あれ❓義兄さんの額の痣、前より濃くなってない❓」
玄弥は炭治郎の痣を見て手鏡を渡す。炭治郎はそれを受け取り、鏡を覗く。すると確かに以前より痣の色が濃くなっていた。
「義兄さんも岩の修行をしてるんだな」
「うん。でも、全然動かなくって」
玄弥は炭治郎の側にある岩を見ていた。炭治郎は動かないことを言うと
「コイツを動かすには"コツ"がいるんだよ。"反復動作"ってやつ」
玄弥は動かすコツを教えた。
"反復動作"、別名"プリショット・ルーティーン"。ある一定の動作をすることでイメージや集中力を高めることを言う。例を上げるとすれば、元メジャーリーガーの『イチロー』が打席に立った時の動作がこれである。
「"反復動作"ってのは、集中を極限まで高めるために予め決めておいた動作をするんだ。俺の場合は"念仏を唱える"」
「あっ❗それ悲鳴嶼さんもやってる❗」
「そうそう、南無南無言ってる」
二人が笑い合って話しているのを行冥は離れた木の陰から見ていた。
その頃、街中を歩いていた隊士の後ろを"肆"と刻まれた眼が見ていた。そして『ワカメ頭の臆病糞鬼頭』こと鬼舞辻無惨は自分の城である"無限城"で楽器の琵琶を持った鬼"
どうやら産屋敷邸と禰豆子を探しているようだ。しかしこの鳴女は"密かに無惨の呪いを解いていた"。
「(嗚呼、早く貴方様の御姿を拝見しとう御座います❗何処に居られるのですか❗❓輝鬼様❗、炭治郎様❗)」
…
……
………
この鬼は炭治郎に心酔しているようだった。┐(´д`)┌