鬼滅の刃 清めの音(ね)を持つ鬼   作:レイファルクス

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第54話

 

 

反復動作を義弟の玄弥から教えてもらった炭治郎はまず"決めた動作"を考えることにした。

 

 

「(俺の力を高めてくれるもの、それはやっぱり"皆の笑顔")」

 

 

炭治郎は家族や恋人たちの顔を思い浮かべた。すると不思議と力が体の内から少しずつ沸き上がってくるのを感じた。だが、岩を押すことはできなかった。

 

 

反復動作を開始してから数日後、遂に炭治郎は岩を動かし始め、それを見ていた善逸と伊之助と玄弥。善逸は『バケモノ』と言って驚き、伊之助は悔しがり、玄弥は善逸の頭に拳骨をしていた。

 

 

そして伊之助も炭治郎に負けじと岩を押し始めた。何故か『天ぷら』と叫びながら。

 

 

更に玄弥も禰豆子の笑顔を頭に描きながら岩を押し始めた。

 

 

残った善逸はどうしようか迷っていると

 

 

「よぉ善逸、久しぶりだな」

 

 

「師匠❗❓」

 

 

頭に善逸の鎹雀のチュン太郎こと『うこぎ』を乗せた雷鬼が現れた。

 

 

「師匠、どうしてここに❗❓」

 

 

「お前さんの様子を見るのと、この『手紙を届ける』といった所だ。手紙はお前さん宛だ」

 

 

雷鬼は懐から手紙を出し、善逸に渡した。善逸は受け取った手紙をその場で読み始めた。

 

 

その頃炭治郎はとうとう一町先まで岩を動かし終えた。だが炭治郎は汗を大量に流していた上に水分を摂取していなかったので、脱水症状を起こしていた。

 

 

そこに行冥が現れ、炭治郎に水を飲ませた。しかも『南無阿弥陀仏…』と唱えながら。

 

 

「岩の訓練も達成した。それに加えて"里"での正しき行動、私は君を認める」

 

 

炭治郎は水を飲みながら疑問を感じた。そして行冥が言った里とは"刀鍛冶の里"のことだと気づくと

 

 

「悲鳴嶼さん、そう簡単に俺を認めないでください。あの里で禰豆子は結果的に太陽を克服しましたけど、一歩間違っていれば禰豆子はもちろん、里の人の命が失われていました」

 

 

「いつも誰かが助けてくれて、結果的に間違わずに済んでいるだけなんです。だから、俺を簡単に認めないでください」

 

 

「水と今日までの訓練、ありがとうございました」

 

 

炭治郎は『簡単に認めないで欲しい』と言うことと、礼を言いながら頭を下げる。すると

 

 

「疑いは晴れた…。誰が何と言おうと私は君を認める、竈門炭治郎」

 

 

行冥は炭治郎を完全に認めた。炭治郎は『どうして❓』と聞くと行冥は自分の昔話をした。

 

 

行冥は鬼殺隊に入る前、寺を孤児院として開いていた。その寺の住職は既に他界しており、行冥がその寺を引き継いでいた。ところがその孤児の一人が行冥が言っていた門限を破り、夜の森を彷徨いていると、鬼と遭遇した。その子は自分の保身の為に寺の子供たちと行冥を鬼に襲わせようとした。

 

 

行冥は日が暮れると、鬼が嫌う『藤の花の香炉』を焚いていたのだが、その子はその香炉の火を消し、鬼を寺に招き入れた。そして八人いた子供の内四人がすぐに殺され、残りの四人の内三人が行冥の言うことを聞かず逃げ出し殺された。

 

 

行冥は最後の一人『沙代』を自分の後ろに隠し、鬼に挑んだ。そして何度も何度も夜明けを迎えるまで鬼の頭を殴り続けた。鬼は陽光で消滅し、行冥と沙代は助かった。が、駆けつけた大人に沙代は言った。

 

 

『あの人は化け物、みんなあの人が、みんな殺した』

 

 

と。大人たちは状況"だけ"を見て子供たちを殺したのは行冥と思い、行冥から沙代を引き離し、彼を牢屋へと放り込んだ。

 

 

「お館さまが助けてくださらなかったら私は処刑されていた。それから私は何もかも疑うようになった。無論君も疑っていた。だが君は人を疑わず、嘘も言わず、まっすぐ人の心と向き合った。言うのは簡単だが、実行できる者はほんの一握り。君はその一握りの人間」

 

 

「そんな君だからだろう、私も信じたくなった。もし君が道を間違えそうになったら、私も道を正すため手を伸ばそう」

 

 

行冥は昔話を終えると同時に炭治郎を認める理由を話ながら炭治郎の頭を優しく撫でた。炭治郎は『ありがとうございます…』と泣きながら笑った。行冥は微笑みながら

 

 

「私の訓練は完了した…、良くやり遂げたな……」

 

 

炭治郎を慰めた。

 

 

 

 

 

その日の昼、炭治郎と玄弥、伊之助は小屋の囲炉裏で飯(炭治郎作)を食べていた。玄弥は行冥の優しさを語り、炭治郎は『確かに』と納得していた。

 

 

「俺、これ食べたら鬼屋敷に帰るけど、玄弥も来るか❓禰豆子も心配してるだろうし」

 

 

「いやいや義兄さん、俺まだ一町動かせてないから無理だよ」

 

 

「ギャハハハ、まだ動かせてねぇのか雑魚が❗俺様はもう少しで動かせるぜ❗」

 

 

炭治郎は玄弥に一緒に鬼屋敷への帰宅を薦めるが、玄弥はまだ一町動かせておらず、それを聞いた伊之助は玄弥を挑発。取っ組み合いの喧嘩になった。炭治郎は二人の喧嘩を止めさせ、魚を焼き始めた。

 

 

炭治郎は焼けた魚を葉っぱに乗せ、善逸の所まで来た。善逸は岩の上に座っていた。炭治郎は善逸に岩は動いたか聞くと、善逸は"まだ"と答えた。炭治郎は鬼屋敷に帰ることを伝えると

 

 

「そうか、良かったな。俺はやるべきこと、やらなくちゃいけないことができた。それをやり遂げるまでは戻らない」

 

 

そう言った。炭治郎は何か手伝えないか聞くと

 

 

「ありがとう、お前は本当良い奴だよ。でも、これは絶対俺がやらなくちゃ駄目なんだ。炭治郎は炭治郎のやるべきことをやれ」

 

 

「(善逸から今まで嗅いだことのない"決意"の匂いがする。)…、分かった。気をつけてくれ。あ、魚焼いたからここに置いていくよ。後で食べてくれ」

 

 

炭治郎は魚を乗せた葉っぱを地面に置いてその場を去った。そして炭治郎は去った後、雷鬼が現れ

 

 

「良かったのか善逸❓あんなこと言って」

 

 

善逸を心配しての行動か、炭治郎が去った方向を向いて善逸に質問をした。

 

 

「これでいいんです。これだけは俺がやらなくちゃいけないんです」

 

 

善逸は頭から血を流しながらそう言った。雷鬼はため息を一つ吐くと

 

 

「分かったよ、もう何も聞かねぇし言わねぇ。だが修行はより一層厳しくするぞ❓」

 

 

「望む所です」

 

 

雷鬼は修行を厳しくすることを伝え、善逸は承諾した。

 

 

 

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