鬼滅の刃 清めの音(ね)を持つ鬼   作:レイファルクス

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第56話

 

 

かなたにあまねの雷が落ちてから数時間後、鬼屋敷に向かう一つの影がいた。

 

 

「猪突猛進、猪突猛進❗」

 

 

行冥の修行を終えた伊之助だった。

 

 

「ヒャッハー❗山の王、嘴平伊之助様のご到着じゃ~❗」

 

 

伊之助は元気よく扉を開ける。すると

 

 

「伊之助お帰り❗帰って早々悪いけど、買い出しに行かないといけないから一緒に来てほしいんだ❗」

 

 

炭治郎が出迎えた。そして直ぐ様伊之助に買い出しの同行をお願いすると

 

 

「子分の頼みなら行くぜ❗何故なら俺は親分だからな❗」

 

 

そう言って炭治郎の手首を掴み、再び外へ走り出した。

 

 

炭治郎たちが鬼屋敷を出るのと入れ違いに鬼屋敷に近づく人影が二つあった。

 

 

「玄弥ァ、禰豆子を紹介するのはいいがァ、ちと先走り過ぎじゃねぇかァ❓」

 

 

「だって早く兄ちゃんに会わせてやりたいんだ❗」

 

 

それは不死川実弥と不死川玄弥の兄弟だった。玄弥は伊之助よりも早く修行が終わったのたが、何故伊之助よりも遅く鬼屋敷に向かっているのか❓それは玄弥に同行している実弥にある。玄弥は行冥の下を去った後、風屋敷に訪れ実兄の実弥に禰豆子を紹介したいと言い、一緒に鬼屋敷へと向かっていたのだ。

 

 

「そう言や兄ちゃん、禰豆子に会うのは初めてじゃ無かったっけ❓」

 

 

「あァ、蝶屋敷で人を喰わねぇか検証したのが初めてだったなァ」

 

 

そんなこんなで、二人は鬼屋敷へ到着した。

 

 

「ただいま戻りました~」

 

 

「邪魔するぜェ」

 

 

「邪魔するなら帰ってや~」

 

 

「「は~い」」

 

 

実弥と玄弥は挨拶をするが、突如現れた男に言われ二人は踵を返す。

 

 

「「って、ちょっと待て❗」」

 

 

危うく出ようとした二人は慌てて振り返る。

 

 

「師匠、そんな冗談止めてくださいよ❗」

 

 

「いやぁ~すまんすまん。『邪魔する』と言われると、ついああやって返しちゃうんだよ」

 

 

突如現れた男こと風鬼は頭を掻きながら謝っていた。

 

 

「おい玄弥ァ、こいつは誰だァ❓」

 

 

「紹介するよ兄ちゃん。この人は猛士での俺の師匠の…」

 

 

「風鬼だ、よろしく。字は『風の鬼』と書くんだ」

 

 

玄弥から自己紹介を引き継いだ風鬼は実弥に握手を求めるように手を差し出す。

 

 

「弟がお世話になってます。鬼殺隊風柱、不死川実弥です」

 

 

実弥も自己紹介をし、風鬼の手を握る。

 

 

「なんだお前さんも『風の力』を持っているのか。ならお互い助け合っていこうぜ」

 

 

「えぇ」

 

 

風鬼と実弥は互いに握った手を上下に動かした。

 

 

「そう言えば師匠、なんで鬼屋敷にいるんですか❓」

 

 

玄弥は風鬼が何故鬼屋敷にいるのか疑問に感じ、質問をした。

 

 

「ここ鬼屋敷は猛士の鬼殺隊支部だからな。俺がいても可笑しくは無い」

 

 

「と言いたい所だが実は違う。おやっさんが対無惨用の切り札を完成させたと言われて呼ばれたって訳さ」

 

 

風鬼は移動しながら鬼屋敷にいる訳を説明した。

 

 

「対無惨用の切り札…、ですか❓」

 

 

「そうだ。俺たちが無惨を含む人喰い鬼を倒すには、雷鬼が持つ烈雷の刃で斬るか、炭治郎こと輝鬼が倒す。この二つ"だけ"だった。現に那田蜘蛛山では倒せなかったしな。そこでおやっさんは"輝鬼の力を借りる"ことで俺たちも人喰い鬼を倒せるようにしたって訳さ」

 

 

風鬼はとある一室の前に到着するまで玄弥に説明をした。

 

 

「さて、と。ここが今俺が"借りている"部屋だ。遠慮無く入ってくれ」

 

 

そう言いながら風鬼は扉を開け中に入る。しかし、その扉には『玄弥』と書かれていた。

 

 

「「いやちょっと待て❗❓そこはどう見ても俺(玄弥)の部屋だろうがァ❗」」

 

 

実弥と玄弥は同時にツッコミを入れた。風鬼は気にも止めずそのまま入室し、実弥と玄弥は互いに顔を見た後、入室した。

 

 

「さて玄弥、お前はこの柱稽古で"かけがえの無いもの"を手に入れた。だが、"それ"を守れる力はまだ足りない。そこでおやっさんはお前に"これ"を渡すよう俺に言った」

 

 

正座した風鬼は自分の横に置いてあった箱(大、小)を二つ、玄弥の前に置いた。玄弥はその箱の一つ(大)を開けると

 

 

「❗❓これ、『変身鬼笛・音笛』と『音撃管・烈風』じゃないですか❗❓どうしてこれを❗❓」

 

 

その中に入っていたのは、風鬼が使っている物と"同じ"音笛と烈風だった。

 

 

「言っただろ❓『おやっさんに渡すよう言われた』って」

 

 

風鬼はおちゃらけた感じで言うと、急に背筋を伸ばし、その空気を読んだ実弥と玄弥も背筋を伸ばす。

 

 

「不死川玄弥、汝を新たな『音撃の戦士』として認める。これからは一人の"鬼"として、人々の命を護りたまえ❗」

 

 

「御意❗」

 

 

玄弥は風鬼から『変身鬼笛・音笛』と『音撃管・烈風』を授かった。そして音笛と烈風が入っていた箱の隣にある小箱を開けると、そこには『輝鬼眼魂』が入っていた。

 

 

「師匠、これは❓」

 

 

玄弥は眼魂を取り、風鬼に質問する。

 

 

「それがさっき言った"対無惨用の切り札"だとよ。名前は確か"輝鬼眼魂"って言ってたかな」

 

 

「えっ❗❓輝鬼って確か炭治郎が変身した時の名前だった筈では❗❓」

 

 

風鬼の答えに驚いたのは玄弥では無く、実弥だった。

 

 

「詳しいことは分からねぇが、おやっさんが言うには、『それには輝鬼の"魂の一部"がある』って言ってたぞ」

 

 

風鬼の説明に二人は頚を傾げる。

 

 

「だから言っただろ❓『詳しいことは分からねぇ』って。それより、玄弥は『鬼になった時の名前』は決めているのか❓」

 

 

風鬼に言われ玄弥はギョッとする。そして少し考え込むと

 

 

「今決めました。『悪鬼を滅する息吹きを吹かす鬼』、その名も『威吹鬼』です」

 

 

玄弥は風鬼に言った。風鬼は何度か頷くと

 

 

「『悪鬼を滅する息吹きを吹かす鬼、威吹鬼』か。良いじゃねぇか、なら不死川玄弥、否、『音撃の戦士・威吹鬼』よ、これからも一層修行に励め❗」

 

 

風鬼はそう言った後立ち上がり、玄弥の肩に手を置くと

 

 

「期待しているぞ」

 

 

そう言って部屋を退室した。玄弥は風鬼が去った扉を見て平伏した。そして頭を上げると

 

 

「良かったなァ、これまでの努力が報われて。諦めないで本当に良かったなァ」

 

 

玄弥の頭をゆっくり、優しく撫でた。玄弥は感無量となり、涙を流した。実弥はそんな玄弥をずっと、泣き止むまで頭を撫で続けた。

 

 

 

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